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誓うな【rnis】/コヤマ的小说

誓うな【rnis】 不要发誓【rnis】

5,444字10分钟

10年後の6月11日の未来にタイムスリップしてしまった潔。その日は凛の結婚式当日であり、潔は友人代表のスピーチを控えていた。絶望する潔の前に、喋る不思議なぬいぐるみ『ブルーロックマ』が現れる。
穿越到 10 年后的 6 月 11 日未来的洁。那天正是凛的婚礼当天,洁作为朋友代表准备发表致辞。在绝望的洁面前,出现了一只会说话的神奇玩偶『蓝色监狱马』。

※注意!※夢オチであり、ハピエンです。凛と結婚する(?)モブ♀らしき人がいます。また、物語の舞台を2018年と仮定しています。
※注意!※这是一篇以梦境为结局的幸福结局同人作品。故事中有一位看似是路人女性与凛结婚(?)。此外,故事背景设定在 2018 年。


rnisワンライの『家族』のお題をお借りしました。時間がだいぶオーバーしてしまいました。
借用了 rnisワンライ的『家族』主题。时间已经大大超出了。

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「――あれ!? ここ、どこだ?」 「――哎?这里是哪儿?」
 潔が気づいた時、そこはどこかの施設の男子トイレだった。大きな鏡の前で、潔はスーツ姿で棒立ちしていた。男子トイレにしては広くて、綺麗な内装。洗面台の隅には大きな白い花が飾られている。なんだかいい匂いのする石鹸。
 洁注意到时,发现自己身处某个设施的男厕。站在大镜子前,洁穿着西装,呆立不动。男厕宽敞,装修精美。洗手台角落摆放着一束大白花。散发着宜人香气的肥皂。

 まじまじと鏡に写った自分の全身を検分する。  仔细打量镜中映出的自己全身。
 つい先程まで、ブルーロックの施設内にいたはずなのに。こんなトイレなんて知らない。辺りを見回してもブルーロックの中とは思えなかった。潔はポツンと、一人でそこに立ち尽くしている。
 明明刚才还在 Blue Lock 的设施内。这种厕所从未见过。环顾四周,完全不像在 Blue Lock 中。洁孤零零地站在那里。

 心なしか、鏡に映る自分は十六歳っぽくない。  不知为何,镜中的自己看起来不像十六岁。
 ――なんか、大人になった?  ——感觉,长大了吗?
 肌や目元、頬のライン……十代というよりは二十代のような気がする。何より、右サイドの髪を後ろへ撫で付けるヘアアレンジまでしている。サッカー一筋だった自分がこんなヘアアレンジしたことない。
 肌肤、眼角、脸颊的线条……与其说是十几岁,更像是二十几岁。尤其是,连右边的头发都向后梳成了发型。一心扑在足球上的自己,从未做过这样的发型。

「これ……本当に俺か? なんで俺、スーツなんて着て……何かの式典? 今日は何日だ?」
「这……真的是我吗?为什么我穿着西装……是有什么仪式吗?今天是几号?」

『今日は二〇二八年六月十一日、日曜日、大安だよー』
『今天是 2028 年 6 月 11 日,星期日,大安哦~』

「誰だ!?」 "「谁啊!?」
 天井からフヨフヨとその物体が降りてきた時、潔はたまらず後ずさった。
 当天井中那物体悠悠飘落时,洁不禁后退了一步。

「く、くま……? の、ぬいぐるみ?」 「熊……? 的、玩偶?」
 サイズは十二センチくらいだろうか。ニヤケ面の、お世辞にも可愛いとは言えない独特なフェイスのクマのぬいぐるみ。顔の形がブルーロックのロゴで、胴体がサッカーボールの形をしている。どこかで見たことがある気がする。
 尺寸大约十二厘米吧。那是一只面带奸笑、实在称不上可爱的独特熊玩偶。脸部形状是 Blue Lock 的标志,身体则呈足球形状。总觉得在哪里见过。

『僕はブルーロックマだよ』 『我是布鲁洛克玛』
 ブルーロックマと名乗るクマのぬいぐるみが喋った。それは空中をふわり、ふわりと漂っている。
 自称布鲁洛克玛的熊玩偶开口说话了。它在空中轻盈地漂浮着。

「なるほど、わかった。これは夢だな」 「原来如此,明白了。这是梦啊」
 潔は大仰に頷いて確信した。だって今日が二〇二八年なわけがないし、クマのぬいぐるみが喋るわけもないし、ましてやそれが浮いているなんてありえない。このブルーロックマ、確か帝襟アンリが持っていたような気がする。試作品を貰った、と言っていたような。
 洁自信满满地点头确认。毕竟今天不可能是 2028 年,泰迪熊玩偶也不会说话,更别提它还能浮在空中。这只蓝锁熊,洁记得好像是帝襟安理有的。她好像说过是收到了试作品。

『夢だったらいいのにねー』 『要是梦就好了呢——』
 ブルーロックマはニヤケ面をさらに歪めて笑った。  蓝锁熊咧嘴笑得更扭曲了。
「どういう意味だよ」 「什么意思啊?」
『本日はお日柄もよく、結婚式日和だね』 『今天天气真好,真是结婚的好日子啊』
「あ……もしかして、今日って誰かの結婚式なのか? 俺、こんなスーツ着ちゃってるし」
「啊……难道说,今天是某人的婚礼吗?我还穿着这么正式的西装」

『そうだよ。潔は結婚披露宴で新郎の友人代表としてスピーチするんだから、頑張ってね』
『没错。洁要在婚礼上作为新郎的朋友代表致辞,所以要加油哦』

「は!? 友人代表? 俺まだ、十六歳だぞ? タメの奴らだって十七歳だし……まだ結婚できる年齢じゃない」
「哈!?朋友代表?我才十六岁啊?那些家伙也都十七岁……还没到能结婚的年龄吧」

 傍から見れば、トイレでぬいぐるみと喋ってる痛い奴かもしれないけれど、今の潔はそれどころではなかった。
在外人看来,或许是在厕所里和玩偶说话的奇怪家伙,但现在的洁无暇顾及这些。

『何言ってるの? 今は二〇二八年なんだから、潔は二十六歳じゃないか。もう大人だよ!』
『你在说什么呢?现在是 2028 年,洁不是 26 岁了吗。已经是大人了啊!』

 ブルーロックマは空中をくるりと一回転して、ケラケラと腹を抱えて笑った。
 布鲁克洛姆在空中旋转了一圈,捧腹大笑起来。

 ――今が二〇二八年? 十年後? だから俺は二十代みたいな顔つきなのか? これってタイムスリップした夢ってことか? あまりにもリアル過ぎるな……。
 ——现在是 2028 年?十年后?所以我看起来才像二十多岁吗?这是不是时间穿越的梦啊?真实得过分了……。

 潔は目を白黒とさせて戸惑った。 洁困惑地眨了眨眼。
「仮にここが十年後の未来だとして、俺が二十六歳だとして……今日は誰の結婚式なんだ?」
「假设这里是十年后的未来,我二十六岁的话……今天是哪位的婚礼?」

『糸師凛の結婚式だよ! おめでとう!』 『是糸师凛的婚礼哦!恭喜你!』
「――え」 「――诶」
 いよいよ立ち眩みをした。目の前が真っ暗になり、膝が震えて立っていられない。なんとか洗面台の縁に掴まった。
终于感到一阵眩晕。眼前一片漆黑,膝盖颤抖得站不住。勉强抓住了洗脸台的边缘。

「凛って……凛? 凛が結婚する?」 「凛……凛?凛要结婚?」
 脳裏に浮かぶのは十六歳の凛の姿。美しい放物線を描くサッカーボール。凛の匂い、凛の瞳の煌めきと髪の輝きを一瞬にして思い出した。
脑海中浮现的是十六岁的凛的身影。那划出美丽抛物线的足球。一瞬间,凛的气息、凛眼眸的闪耀和发丝的光辉都回忆起来了。

 潔は顔を真っ青にさせて、ブルーロックマを呆然と見上げる。頭を思い切り殴られたみたいだ。
洁脸色苍白,茫然地抬头看着 Blue Lock。仿佛头部被狠狠地打了一拳。

「だ、誰と? 誰と結婚するんだよ」 「和、和谁?和谁结婚啊?」
『今の潔は知らないよ』 『现在的洁,我不认识哦』
「俺が知らない人……?」 「我不认识的人……?」
『そう。◯◯テレビの女子アナウンサー。年は糸師凛の一つ上で二十七歳。好きな女子アナランキング四年連続第一位! 背も高くて凛と並ぶと、お似合いだとお茶の間では大評判! 二人の出会いは二年前、ワールドカップのインタビューで……』
『没错。◯◯电视台的女主播。比糸师凛大一岁,二十七岁。连续四年最喜欢的女主播排行榜第一名!个子也很高,和凛站在一起,在观众中大受欢迎,被认为非常般配!两人的相遇是在两年前,世界杯的采访中……』

「聞きたくない!」 「不想听!」
 もはや悲鳴だった。枯れてひきつれた声は、静かなトイレ内で大きく反響した。
那已经是尖叫了。干涩而颤抖的声音,在寂静的厕所内回响得很大。

 そんなの聞きたくなかった。凛が、誰かの隣に立つ姿なんて想像もしたくないし、見たくもない、馴れ初めなんて聞きたくもない。潔の心臓は張り裂けそうだった。
不想听那种事。凛站在某人身边的身影,连想象都不愿意,更不想看到,也不想听什么相识的经过。洁的心脏几乎要裂开了。

 潔は首を横に振って、その場にうずくまった。 洁摇了摇头,蹲在了原地。
「無理、絶対無理!」 「不可能、绝对不可能!」
『スピーチが? 一生懸命練習したんだから大丈夫だよ』
『演讲吗?我可是拼命练习过的,没问题的』

「無理だって、俺、祝えない、無理だ」 「不行,我做不到,无法庆祝,真的不行」
『何が無理なのさ』 『什么不行啊』
「凛が結婚するなんてありえない」 「凛会结婚什么的,不可能的」
『……ありえなくないでしょ。あんなに顔が良いし、サッカーもうまいし』
『……也不是完全不可能吧。她长得那么好看,足球又踢得好』

「だって凛だぞ? あんなに協調性皆無でエゴの塊で……誰かと結婚なんて無理に決まってる」
「但那是凛啊?完全没有协调性,自我中心到极点……和谁结婚什么的,绝对不可能」

 潔は半分泣きながら笑った。きっと酷い顔になっている。
洁一边哭一边笑了。脸上一定很难看。

『それは十年前の糸師凛でしょ。今はもういろんな経験を経て大人になったんだよ。支えてくれる奥さんもできたんだ』
『那是十年前的糸师凛吧。现在他已经经历了许多,成长为大人了。还有了支持他的妻子。』

「まだ結婚してない! 奥さんって言うな!」 「还没结婚呢!别叫我妻子!」
 子どもみたいに言い返してしまった。できることならこの場で嫌だ嫌だと泣き叫んでしまいたい。
像个孩子一样顶嘴了。真想当场大喊不要不要,哭闹起来。

『入籍してるからもう奥さんだよ』 『已经登记结婚了,所以已经是太太了哦』
 ブルーロックマにトドメを刺された。  被 Blue Lock 马彻底击败了。

「だって、凛は、サッカーで、世界一になるって……サッカーがあるから、結婚なんて」
「因为凛你,要成为世界第一的足球选手……因为有足球,所以不能结婚什么的」

『サッカーで、でしょ。世界一を目指す奴が結婚しちゃいけないルールなんてないだろ』
『是说足球吧。没有规定追求世界第一的人就不能结婚吧』

「そうだけど」 「话是这么说」
『だいたいどうして祝えないなんて言うの? 凛を振ったのはキミでしょ』
『为什么不能庆祝呢?甩了凛的不是你吗』

「そ、そうだけど……!」 「虽、虽然是这样……!」
 両目から涙が溢れた。決壊してしまった。ぼろぼろと涙が溢れて落ちていく。
 泪水从双眼涌出。决堤了。泪珠滚滚而下。

 ネオ・エゴイストリーグが始まる直前、潔は凛を振った。肩書は『宿敵』だけの関係になった。それまでは『宿敵』と『恋人』という肩書がペアでついていた。この関係は誰にも言っていないし、誰にも相談していない。蜂楽あたりは気づいていたかもしれないけれど、あえて黙って見守ってくれていたようだった。
 新自我主义联赛即将开始前,洁甩开了凛。头衔只剩下‘宿敌’的关系。在此之前,‘宿敌’和‘恋人’这两个头衔是成对存在的。这种关系没有告诉任何人,也没有和任何人商量过。蜂乐或许察觉到了,但他似乎故意保持沉默,默默守护着。

 なんとなく、そういう関係になった。  不知为何,变成了这样的关系。
 彼に触れて、キスをして、言葉はなくても繋がっているような気がしていた。凛の考えていることがわかる喜び。
 触碰他,亲吻他,即使没有言语也感觉彼此相连。能理解凛的想法的喜悦。

 凛なんて自分の気持ちを素直に言う奴じゃないし、封鎖されたあの空間で、短い期間のうちに燃え上がった花火みたいな恋だった。潔は確かに凛に恋していた。自分のものにしてしまいたいって思った。
 凛不是那种会坦率表达自己感情的人,在那封闭的空间里,短暂的时间里燃起的就像是烟花般的恋情。洁确实对凛产生了爱慕之情。想要将他据为己有。

 凛もきっとそうだったと思う。あのブルーロック内で、凛にとって自分は特別だった。
 凛也一定是这样想的。在那蓝色监狱里,对于凛来说,自己曾是特别的。

 大人たちから見たら、それは勘違いだ、気の所為だ、なんて言われるかもしれないけれど本気だった。
 大人们可能会说,那是误会,是错觉,但那是认真的。

 でも、恋人の凛と、サッカーで世界一を目指す凛のどちらかを選べと言われたら、間違いなく後者を選ぶだろう。潔は本気で考えて悩んで、宿敵だけの関係に戻る方が良いと結論を出したのだ。
 但如果要他在恋人凛和以足球为目标成为世界第一的凛之间做出选择,他无疑会选择后者。洁认真思考后感到困扰,最终得出结论,还是回到宿敌的关系更好。

 自分たちの関係には未来がない。どんなに頑張っても家族にはなれない。二人を繋ぐものはサッカーしかないのだ。
 他们之间的关系没有未来。无论怎么努力,都无法成为家人。唯一能将两人联系在一起的只有足球。

 だから精一杯、ライバルらしく振る舞おうとした。  所以他竭尽全力,试图表现得像个真正的对手。
 潔から凛に恋人としての終わりを告げたのだ。  洁向凛宣告了作为恋人的终结。
 凛は怒っていたし、「殺す」とか物騒なこと言われたけれど、最後まで泣かなかった自分を少しだけ褒めてやりたかった。
 凛当时很生气,还被说了“杀了你”之类危险的话,但最后没有哭的自己,还是想稍微夸奖一下。

 それなのに、凛が自分ではない女性と結婚する未来に今、年甲斐もなく号泣している。
 然而,如今面对凛与非自己的女性结婚的未来,却毫无年长者的风度,号啕大哭。

『今更惜しくなった?』 『现在才觉得可惜吗?』
 泣いている潔の周りを、ブルーロックマが囃し立てるように飛び回る。
哭泣的洁周围,蓝色锁链球像是在煽动般飞舞。

「俺は……凛の家族にはなれない」 「我……无法成为凛的家人」
『なんで?』 『为什么?』
「認められてないだろ……日本じゃ」 「不被承认吧……在日本的话」
『他人に認められないと、家族になれないの?』 『不被别人承认,就不能成为家人吗?』
「それは……」 「那是……」
『言い訳だよ、潔。他人がどうこう言おうと、恋人になるかも、家族になるかも、凛と潔の二人で決めたら良かったんだ。お前は怖くなったから手放したんだ。傷が浅いうちに手放そうって思ったんだろ』
『那是借口,洁。无论别人怎么说,是否成为恋人,是否成为家人,都应该是凛和洁两个人决定的事。你只是因为害怕而放手了。你想着趁伤口还浅的时候放手吧』

「うん……そうだよ」 「嗯……是啊」
『今も凛のことが好きなんだろ?』 『你现在还是喜欢凛的吧?』
「……大好きだよ!」 「……最喜欢了!」
『どうする? 凛の結婚式、ぶっ壊す?』 『怎么办?要破坏凛的婚礼吗?』
「ぶっ壊したいけど、無理だろ……」 「想破坏它,但估计不行吧……」
『じゃあどうする? 寝盗る?』 『那怎么办?偷走它?』
「発言が物騒だな、お前……」 「你这发言真危险啊,伙计……」
 潔が涙を拭いながら立ち上がった時、ちょうどばたばたと走ってくる足音が聞こえた。勢いよくトイレのドアが開き、二十六歳の蜂楽が姿を表した。彼もまた髪を丁寧に纏めて、スーツ姿だった。本当にこの夢はよくできている。
当洁擦着眼泪站起来时,正好听到了急促的脚步声。厕所的门猛地被推开,二十六岁的蜂乐露出了身影。他也同样精心梳理了头发,穿着西装。这个梦真是做得太逼真了。

「潔! まだこんなところにいた! えっ、もう泣いてんの? 感極まるの早くない? それよりもチャペルに移動しないと! 凛ちゃんの結婚式始まっちゃうよ!」
「洁!你还在这里!咦,已经哭了吗?感动得也太快了吧?不过比起这个,我们得赶紧去教堂了!凛的婚礼要开始了!」

「えっ、ちょっと、待っ」 「咦,等等,等一下」
 潔が声を上げるよりも速く、蜂楽はぐいぐいと腕を掴んで走り出した。
洁还没来得及出声,蜂乐就已经一把抓住他的手臂,猛地跑了起来。

 ――待ってくれ、まだ心の準備ができていない……凛の結婚式なんか出たくない……!
——等等,我还没做好心理准备……我不想参加凛的婚礼……!

 心が悲鳴を上げている。  内心在尖叫。
 潔はチャペルの観音開きの大きなドアの前に立つ。いつの間にか蜂楽がいない。一瞬のうちに何処へ行ったのだ。
洁站在教堂大门前,不知何时蜂乐已经不见了。一眨眼间他去了哪里。

『よーし、素直に気持ちをぶちかまそうぜ! 潔!』 『好嘞,坦率地表达心情吧!洁!』
 いつの間にか着いて来ていたブルーロックマが、その小さな手で観音開きのドアを目一杯押した。扉はガチャンと音を上げて簡単に開いてしまう。
不知何时跟来的蓝色监狱马,用那小手使劲推开了大门。门发出嘎吱声,轻易地打开了。

 途端に、パイプオルガンの音色が響き渡る。聖歌隊の賛美歌が潔を包み込む。
突然,管风琴的音色响彻四周。唱诗班的赞美诗将洁包裹其中。

 赤い絨毯のバージンロードの先に、新郎と花嫁がいた。その二人の前には牧師姿の絵心がいる。
红色绒毯的处女之路尽头,站着新郎和新娘。在他们面前,是身着牧师装束的绘心。

 ――え、なんで? 絵心さんが牧師? さすが夢……何でもありなんだ。っていうか、もう結婚式始まってる?
——哎,为什么?绘心先生是牧师?果然是梦……什么都有可能。话说回来,婚礼已经开始了?

 白いタキシード姿の新郎が、闖入者である潔の方を振り返る。
身着白色燕尾服的新郎,转身看向闯入者洁。

 ばちっと音がするほど、目が合った。  目光交汇,仿佛能听到‘啪’的一声。

 二十六歳の凛がそこにいた。  二十六岁的凛就在那里。
 ――めちゃくちゃ良い男……!  ――超级棒的男人……!
 大人びた顔立ちに、すらりとした身長、サッカー選手らしい盛り上がった太腿の筋肉……悔しいけれど白いタキシードがすごく似合う。胸の高鳴りが抑えられない。
 成熟的脸庞,修长的身高,足球运动员般健壮的大腿肌肉……虽然不甘心,但白色燕尾服非常合身。心跳无法抑制地加速。

「凛……」
「なんだよ。大事な式の最中だぞ」 「搞什么啊。这可是重要的仪式中啊」
 凛が大きく舌打ちをする。その仕草は十年前と変わらない。
 凛发出一声响亮的咂舌声。这个动作与十年前毫无二致。

 ハッとして、凛の隣に並び立つ花嫁が目に入る。マーメイドスタイルのウェディングドレス。その顔はベールに包まれてよく見えない。
 突然回过神来,凛身旁的新娘映入眼帘。她身着美人鱼风格婚纱。那张脸被面纱遮住,看不真切。

 また涙が出そうになる。もう戻れないのかと絶望の淵に立たされる。
 泪水又要涌出。站在绝望的边缘,心中涌起无法挽回的念头。

『また諦めるのかよ、潔』 『又要放弃了吗,洁』
 いつの間にかブルーロックマが凛の肩に乗っている。あんな変なぬいぐるみが肩にいるのに、凛は平然としている。まさかアレが見えていないのか。
 不知何时,蓝色监狱的吉祥物已经坐在凛的肩上。明明肩上有个那么奇怪的玩偶,凛却泰然自若。难道他看不见那东西吗。

 ブルーロックマの発破に、潔はごくりと唾を飲み込んで喉を潤わせる。
 被蓝色监狱的吉祥物一激,洁咕噜一声咽下口水,润了润喉咙。

「俺……俺は凛のことが好きです!」 「我……我喜欢凛!」
 大きな声で言い切った。一度言うと、言葉が後からするすると出てくる。
 大声地说了出来。一旦说出口,话语便源源不断地涌出。

「この世の誰にも負けない。俺が一番凛のこと好き。俺を一番理解してくれるのはお前だと思ってるし、お前を一番理解できるのも俺だと思ってる。だから、だから……ずっと最良のパートナーでいてほしい。――俺を選んで、凛」
「在这个世界上,没有人能比得上我。我最喜欢凛了。我觉得最理解我的人是你,而最能理解你的人也是我。所以,所以……我希望你能一直成为我最好的伙伴。——选择我吧,凛」

 最後の方は声が震えて掠れていた。  最后的声音颤抖着,有些沙哑。
 凛の結婚式をめちゃくちゃにしてしまった。あぁこれ夢なんだっけ。あれ、わからない。これって本当に現実?
 凛的婚礼被我搞得一团糟。啊,这是梦吗?啊,我不确定。这真的是现实吗?

 凛は、コツ、と靴を鳴らして潔に近づく。  凛轻轻地敲了敲鞋跟,干脆地靠近。
 ――な、殴られるかも!  ――啊,可能会被打!

 怯えた潔はぎゅっと両目を瞑った。その瞬間、唇に柔らかい感触。
 害怕的洁紧紧闭上了双眼。就在那一瞬间,唇上感受到了柔软的触感。

 凛が潔の唇にキスをした。  凛吻了洁的唇。
「おせーよ、バカ」 「笨蛋,快点」
 凛は潔の手を取ってぎゅっと、力強く握り返してくれる。
 凛紧紧地、有力地握住了洁的手。

「え?」 「诶?」
 凛はむすっとした顔で、潔を見下ろしている。それから力いっぱい抱きしめられた。
凛一脸不悦地俯视着洁,然后被用力地抱住了。

 途端に、周りからわぁっと大きな歓声が上がる。見慣れたブルーロックのメンツだった。皆「おめでとう!」と口々に言い、拍手してくれる。
瞬间,周围爆发出巨大的欢呼声。是熟悉的蓝色监狱成员们。大家纷纷说着“恭喜!”并鼓掌祝贺。

「え? え?」 「哎?哎?」
 潔だけが理解できずに、硬直している。  只有洁无法理解,僵硬地站在那里。
 何故か花嫁までが拍手している。  不知为何,连新娘也在鼓掌。
 ――え、大丈夫ですか。俺今、大事な新郎を奪ってしまったんですが。
 ——咦,没问题吗?我刚才好像抢走了重要的新郎。

『おめでとう、おめでとう、潔!』 『恭喜恭喜,洁!』
 ブルーロックマも紙吹雪を降らせながら飛び回る。  蓝锁魔也一边撒着纸屑一边飞来飞去。
『良かったね、未来が変わったよ! ホラ!』 『太好了,未来改变了哦!看吧!』
 ブルーロックマは悪戯な風のように、花嫁のベールを上げる。現れた花嫁の素顔に、いよいよ悲鳴を上げた。
 蓝锁马如同恶作剧的风一般,掀起了新娘的面纱。露出真容的新娘,终于让人忍不住尖叫起来。

「は、花嫁、俺じゃん!」 「啊,新娘,是我啊!」
 そこにはウェディングドレスを着た潔世一がいた。  那里站着身穿婚纱的洁世一。


 潔は勢いよく飛び起きた。  洁猛地跳了起来。
「す、すごい寝言ですね……花嫁、俺じゃんって」 「这、这梦话也太夸张了吧……新娘,是我之类的」
 夢から覚めた。潔は後ろ髪の寝癖を跳ねさせながら、辺りを見回す。一度訪れたことがある、ドイツ棟の指導者ストライカールーム。ノアの部屋だ。
 从梦中醒来。洁一边拨弄着睡乱的头发,一边环顾四周。曾经来过一次的德国栋指导者前锋房间。这是诺亚的房间。

 ベッドのすぐ傍にはアンリが戸惑いの表情を浮かべてこちらを見下ろしていた。胸元にはタブレットや書類、ペンケースを抱えている。そのペンケースにはブルーロックマのストラップがついていた。
床边,安利带着困惑的表情俯视着我。他怀里抱着平板电脑、文件和笔袋,笔袋上挂着蓝色锁链的挂饰。

「ガス欠少年、これで二度目だぞ」 「没油少年,这可是第二次了哦」
 奥のモニターの前にはノアがブラックコーヒーを飲みながら、椅子に腰掛けていた。
「え、俺……また爆睡してしまいましたか」 「诶,我……又睡过头了吗」
「メディカルチェックでは異常は無いみたいですが、念のため様子を見に来ました。潔くん、気分はどうですか」
「医疗检查似乎没有异常,但为了保险起见,我还是来看看。洁君,感觉怎么样?」

 アンリが尋ねる。わざわざドイツ棟まで来てくれたらしい。
 安里问道。他似乎特意从德国栋过来看望。

「す、すみません! 体調は良いです。ありがとうございます……あの、お願いがあるんですが」
「非、非常感谢!我身体状况很好。谢谢你……那个,我有个请求」

「はい?」 「什么事?」
「フランス棟に行く申請をしてもいいですか?」 「我可以申请去法国楼吗?」
 今すぐ、凛に逢いたい。  现在,我好想见凛。


评论

  • ABC

    とても面白かったです…!ハピエン万歳!

    2023年12月21日回信
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