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言葉なき態度/ちかさき的小说

言葉なき態度 无言的态度

13,517字27分钟

X(旧Twitter)で掲載していた体調不良のお話の後半です。
这是在 X(旧 Twitter)上发布的关于身体不适故事的后半部分。


こちらはTwitter掲載時の伏字や誤字、ルビ等を読みやすく編集したものになります。未編集版はTwitterをご覧ください。
此版本对 Twitter 发布时的隐藏字、错字、注音等进行了易读性编辑。未编辑版请查看 Twitter。




9月開催のrnisのWebオンリーにてこちらの作品を加筆修正+後日談を付け加えた形で展示する予定です!
预计在 9 月举办的 rnis 网络限定展上,将以加笔修正并附上后日谈的形式展示这部作品!

追加部分のサンプル等はまた近づいたらアップします🙇‍♂️
追加部分的样本等将在临近时上传🙇‍♂️

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 ◆ ◆ ◆


 “青い監獄ブルーロック”内でU-20のW杯前の合宿中に高熱で倒れてから2年。俺たち監獄出身生は第二段階フェーズでオファーのあった中から所属チームを決めて、それぞれの活動場所を移した。
“蓝色监狱蓝锁”中,U-20 世界杯前的集训期间因高烧倒下已过去两年。我们这些监狱出身的球员,在第二阶段选拔中获得邀请后,各自选择了所属球队,并转移到了新的活动场所。

 俺と凛はお互い違う国の、違うリーグのチームに所属しているからそう頻繁には会えない。俺はドイツ、凛はフランスで活動していて、世界一を目指してお互いが自分で選んだ環境で己の価値を磨いている。
我和凛分别属于不同国家的不同联赛队伍,因此并不能经常见面。我在德国,凛在法国,我们各自在为自己选择的环境中磨砺自我,朝着世界第一的目标努力。

 とはいえオフシーズンだったりシーズン中でもオフが重なれば会えるし、ただ“青い監獄ブルーロック”にいた頃のように毎日顔を合わせることが無くなった、というだけの変化。
虽说休赛期或赛季中也有空闲时能见面,只是不像在“蓝色监狱 BLUE LOCK”时那样每天都能碰面,仅此而已的变化。

 メッセージでもサッカーについて触れることはあまりなくて、お互いのサッカーにおける近況はメディアを通じて知ることができるから、敢えて自分から言わなくとも試合の感想が飛び出したりする。
虽然我们很少在信息中提及足球,但彼此在足球方面的近况都能通过媒体了解,所以即使不特意说出来,比赛感想也会自然而然地流露出来。

 俺ならこうする、死角から敵が来たらどうする、なんて画面越しやたまに顔を合わせたときでさえそんな会話をするから、ほんとに付き合ってるの?なんて蜂楽に言われたことはある。
如果是我会这么做,敌人从死角来怎么办,就连隔着屏幕或偶尔碰面时也会聊这些,真的在交往吗?蜂乐曾这样问过我。

 世の中の恋人たちがどんなかは知らないから比べようがないけど、そんなに違うものなのかとか思ったこともあった。でも他所は他所だし別にいいか、とすぐに気にしなくなった。
虽然不知道世上的恋人们是怎样的,无从比较,但有时也会想,难道真的有那么大的差别吗?不过,别人的事终究是别人的,无所谓啦,很快就不再在意了。

 そんなわけで、それぞれの環境に身を置き始めて2年。最初の1年は環境になれるので精一杯だったから気が緩んだのかもしれない。
就这样,各自开始适应新环境已经两年了。最初的一年因为全心全意适应环境,可能因此放松了警惕。

 お互いのまとまったオフが被ったからと凛と会う約束をしていたある日、俺はドイツにある自宅で布団の中に籠っていた。
因为彼此都有空闲时间,所以和凛约好见面的某一天,我窝在德国自家的被窝里。

 ここ数日それっぽい予兆があったから、必要以上に夜更かししたりしないで早めに寝たり、食事とかも気をつけていたのに完全に風邪を引いた。しかも高熱というオプション付きで。
这几天已经有些感冒的预兆了,所以没有熬夜,早早睡觉,饮食也很注意,结果还是彻底感冒了。而且还附带高烧这个选项。

 布団から出られないほど身体は怠くて、本当は行きたいけど治さないと練習にも出れなくなる。俺は渋ることを諦めて予約していた飛行機をキャンセル、凛へと一言だけメッセージを送る。
身体懒散到连被窝都出不了,其实很想去,但不治好就无法参加练习。我无奈地放弃了预定的航班,只给凛发了一条简短的消息。

 変換もままならなくて、平仮名のままポコンという気の抜ける音と共に送信済みになったメッセージに、スマホを枕元に置く。そして背を向けて、静かな部屋──静か過ぎて周りの小さな物音さえ頭に響く──で目を閉じて眠りについた。
转换也不顺利,随着一声令人泄气的“咚”声,平假名原封不动地发送了出去。将手机放在枕边,背过身去,在寂静的房间——静得连周围细微的声响都清晰入耳——闭上眼睛,沉入了梦乡。

 ──ヴヴッと音を立てて受信したメッセージには、気づかなかった。
──嗡嗡作响的接收信息,未曾察觉。

 ◆

 ヒヤッとしたなにかに、意識が浮上する。ゆっくりと目を開けると視界の端でなにかを捉えて、何度か瞬きを繰り返す内にそれは人の形をしていった。
一阵惊悸,意识逐渐浮现。缓缓睁开眼,视线边缘捕捉到某个身影,几次眨眼间,那轮廓逐渐化作人形。

「凛……?」
「……まだ熱あんだから寝てろ」 「……还在发烧,去躺着吧」
「なんで」 「为什么」
「テメェが熱出した、行けないっつったんだろ」 「你不是发烧了,说不能去吗」
「你不是发烧了,说不能去吗」

 そうだけど、と思っても熱に侵された頭は働かない。熱を出したときのひとりぼっちは寂しくて、来て欲しいとは言わなかったのに来てくれたのが嬉しかった。
虽然心里这么想,但被高烧侵袭的脑袋却无法运转。发烧时独自一人的寂寞,明明没有说出口却还是来了,这让我感到很开心。

 寒気はもうなくて、いっそ暑いくらいに身体はポカポカしていて、思わず布団から出した手で凛の服の袖を軽く摘んだ。力は入らなくて凛が軽く腕を引けばそれは離れてしまうくらいに弱々しいものだったのに、フン、と言って凛はベッドに腰かけた。どうやら眠るまではいてくれるみたいで、俺はそれに安心してまた迫ってきた眠気に身を委ねながら、ポツリと呟く。
寒意已消,身体暖洋洋的,甚至有些燥热,我不由自主地从被窝里伸出手,轻轻捏住了凛的衣袖。那力道微弱得仿佛凛轻轻一抽手便会松开,然而她却哼了一声,在床边坐下。看来她会一直陪我到入睡,我安心地任由再次袭来的困意将我包围,轻声呢喃。

「おれ、りんにあいたかったから、きてくれてうれしい……」
「我,因为想见凛,你能来我很高兴……」

「そーかよ」 「这样啊」 「这样啊」
「でも、うつしたらわるいから、おれがねたらかえってだいじょうぶだからな」
「不过,要是模仿的话就不好了,我来说的话反而没问题。」

 その言葉に返事はなくて、ぎこちない手つきで頭を撫でられてそれが心地よくて、俺はもう一度眠りについた。
没有回应那句话,笨拙的手势抚摸着头,感觉很舒服,我又一次进入了梦乡。

 ◆

 次に目が覚めたとき、部屋の中は暗かった。熱に浮かされた頭で言うつもりのなかったことまで言った気がするけど、言葉にしてしまっていた場合取り消せないし、過ぎたことを考えるのはやめることにした。
再次醒来时,房间里一片昏暗。仿佛在发烧的恍惚中,连原本不打算说的话都脱口而出,但既然已经说出口,便无法收回,于是决定不再去想那些已成过去的事。

 しっかり眠ったおかげか、朝よりも身体の怠さはなくスッキリとしていて、俺はゆっくりと身体を起こした。真っ暗な部屋に人の気配は感じられなくて、凛の姿がそこにないことを実感する。
或许是睡得好的缘故,身体比早晨清爽了不少,我缓缓地坐起身来。漆黑的房间里感受不到人的气息,凛不在那里的实感清晰地袭来。

「……まぁ、忙しい中来てくれたんだしな……」 「……嘛,在忙碌中还抽空过来……」
 風邪が伝染る前にフランスに帰ってしまったのは仕方ない。俺たちはサッカー選手で身体が資本だから。
在感冒传染之前就回法国了,这也是没办法的事。我们可是足球运动员,身体就是本钱。

 それでも久しぶりに会えた恋人のあまり話せないのは寂しいなと膝を抱えて顔を埋めた。
尽管如此,久别重逢的恋人却无法畅谈,真是令人寂寞,我抱着膝盖,将脸埋了进去。

「凛のバカ……」 「凛这个笨蛋……」
 ポツリと小さく零れたそれは、誰にも拾われずに静かな部屋の中に吸い込まれるだけのはずが、無愛想だけど大好きな低い声が、それを拾った。
那细微的低语声,本应无人拾起,静静地消散在寂静的房间中,却被那冷淡却深爱的低沉嗓音捕捉到了。

「誰がバカだ、アホ潔」 「谁是笨蛋啊,阿洁」 「谁是笨蛋啊,阿洁」
 その声に反応してパッと顔を上げると、照明スイッチの横──寝室の入口で腕を組んでドア枠に寄りかかる凛の姿があった。思わずポカンとしていると、フイッと顔を逸らされてしまう。
听到那声音,猛地抬起头,只见凛正靠在卧室门口的门框上,双臂交叉。我不由得愣住了,她却轻轻别过脸去。

「な……んで、帰ったんじゃ……ねえの……?」 「为什么……不回来呢……?」
「あ?元々今日会う約束してただろ。で、泊まるって話もしてた」
「啊?我们原本不是约好今天见面的吗。而且,还说了要住一晚的事」

「でもそれは、俺がフランスに行くって話だったじゃん……。凛がわざわざこっちに来て泊まるとは思わなかった……」
「但那不是说我要去法国吗……没想到凛会特意过来住……」

 そこまで言えば、ハァと深いため息をつかれる。それはもう大袈裟なくらい深いため息で、一度部屋を出て行く。
说到这份上,他深深地叹了口气。那叹息深得近乎夸张,随后便离开了房间。

 ──呆れられた、かな……。 ──真是无语了,吧……。
 不安が、心の中を支配する。凛に出会う前の生活になんて戻ることはできないくらい、俺の中はあいつでいっぱいで、でも凛だけじゃなくて“青い監獄ブルーロック”での生活のこともあって、今の俺がいるのは“青い監獄ブルーロック”とそこで出会ったヤツら、そして隣に凛がいるからだ。
不安在心中蔓延。我已无法回到遇见凛之前的生活,因为我的内心已被他填满,但不仅仅是凛,还有在“蓝色监狱”中的经历,正是这些让我成为了现在的我——在“蓝色监狱”中相遇的那些家伙们,以及身旁的凛,这一切构成了我。

 上げたはずの顔がゆるゆるとまた吸い込まれるように下を向く。そんなとき、コツリと頭に何かが当たった。
本该抬起的脸又缓缓地垂下,仿佛被什么吸了回去。就在这时,脑袋上啪地挨了一下。

 視線だけ向けると、ベッドサイドに水のボトルを持った凛が立っていて、飲めと言わんばかりの態度で俺にそれを差し出していた。ボトルを受け取って蓋を開けようと力を入れると、スンナリと開いて凛が事前に空けておいてくれたことを悟る。
只是将视线转向那边,便看到凛站在床边,手里拿着水瓶,一副催促我喝水的样子递了过来。我接过瓶子,用力拧开瓶盖,却发现瓶盖轻松地旋开了,这才意识到凛事先已经帮我拧松了。

 チビチビと水を飲んでいると凛は口を開いた。 小口小口地喝着水,凛开口了。
「テメェが『ねつでた』『ごめんきょういけない』っつったあとに、少ししてから『あいたい』って送ってきたんだろ」
「你说了『发烧了』『对不起不行』之后,过了一会儿又发来『想见你』对吧」

「──…………は?!」 「──…………什么?!」
 一瞬、何を言われたのかわからなかった。水の入ったボトルをヘッドボードに置いて、慌てて枕元にあるスマホを手に取りロック画面を解除、凛とのトークルームを開く。そこには凛が言った通りのことが表示されていて、最後の受信メッセージは凛の『そっち行くから寝てろ』だった。
一瞬间,不明白被说了什么。将装有水的瓶子放在床头板上,慌忙拿起枕边的手机解锁屏幕,打开与凛的聊天室。那里显示着凛所说的内容,最后收到的消息是凛的『我要过去了,你先睡吧』。

 俺が迂闊にも会いたいなんて言ったから凛は本来予定ではなかったのにフランスからドイツまで来てくれて、俺を起こさないように合鍵で部屋に入って起きるまでここにいてくれたのだ。
因为我冒失地说了想见她,凛本来没有这个计划,却从法国一路来到德国,还用备用钥匙悄悄进了房间,一直等到我醒来。

 そこに答えが行き着いて、ジンワリと視界が滲んだ。本来は俺が会いに行くはずだったのに、高熱出して寝込んで、こっちまで来てもらった上に看病もしてもらって、オフにやりたいことなんてたくさんあるはずなのに、そうしてくれたことが嬉しいけど自分が不甲斐なくもあって。そんなまとまらない感情をどうにかしたくて、俺はまた抱えた膝に顔を埋めた。
答案在那里找到了归宿,视野渐渐模糊。本该是我去见她的,却因高烧卧床不起,反而让她来到这里照顾我,明明休息日有那么多想做的事,她却这样为我付出,我既感到高兴,又觉得自己无用。为了平复这纷乱的情感,我又一次将脸埋在抱膝的腿上。

「おい」 「喂」
「…………確かに俺がそう送ったけど、今までのお前なら、確実に無視してたじゃん……。なんで……」
「…………确实是我发的,但如果是以前的你,肯定会无视的吧……。为什么……」

「別に無視はしねぇ。そもそも今までだったら“青い監獄ブルーロック”内で同じ場所にいんだから、今みたいに国跨いだりなんてしねぇだろ」
「并没有无视你。毕竟以前在“蓝色监狱”里,我们都在同一个地方,根本不会像现在这样跨越国界。」

 テメェこっちに来て動けないほどの体調不良は初めてじゃねぇか、と最後に凛は付け加えた。
你还是第一次来我这儿就病得动弹不得吧,凛最后补充道。

 言われてみれば、確かにドイツに来てから動けなくなるほどの高熱は初めてかもしれない。今までは動けたし、そんなに高い熱も出さなかった。それは一重に環境には慣れても気を張り続けていたことが原因だとは思う。
被这么一说,确实来德国后发到动弹不得的高烧可能是第一次。之前还能动,也没发过那么高的烧。我想这归根结底是因为虽然适应了环境,但一直紧绷着神经。

 環境だけじゃなくていろんなことに慣れた今だからこそ、動けなくなるほどの熱を出したのかもしれない。
正因为如今不仅适应了环境,还习惯了各种事情,才可能发出了让自己动弹不得的高烧。

 昼間まではうるさいくらいに周りの音が響いて、それが余計に頭痛の種となっていたのに、今ではもうそんなこともなくて。人よりも優れているらしい五感は、慣れた感覚まで落ち着いていた。
白天时,周围的噪音响得让人心烦,甚至成了加剧头痛的元凶,但现在那种情况已经不复存在。似乎比常人更为敏锐的五感,也习惯了这种平静的感觉。

 寒気ももうなくて、あとは熱が下がりきるのを待つばかりだと少しだけホッとした。
寒意也已消退,剩下的只需等待热度完全退去,心中稍感宽慰。

 凛に行けないって連絡したあと、本当は黒名とか氷織に連絡して冷えピタとかゼリーとか買ってきてもらおうと思ってた。スポーツ選手である以上風邪薬だって気をつけなきゃいけない。
在通知凛不能去之后,其实原本打算联系黑名或冰织,让他们买些退热贴或果冻之类的。作为运动员,即使是感冒药也得小心谨慎。

 これで今日治らなくて明日以降も引き摺る感じだったら、チームドクターに診てもらおう、とまでは考えてた。でも俺は黒名や氷織に連絡する前に力尽きてて、俺からの連絡を見た凛がドイツまで来てくれて、看病してくれたおかげで風邪が治りつつある。
如果今天治不好,感觉会拖到明天以后的话,我本来打算去找队医看看的。但我还没来得及联系黑名和冰织就筋疲力尽了,凛看到我的消息后从德国赶来照顾我,多亏了他,我的感冒正在好转。

 ──……明日治ってたら、凛と一緒にミュンヘンの街を見て回るのもいいかもしれない。
──……如果明天痊愈了,或许可以和凛一起逛逛慕尼黑的街道。

 そこまで考えてふと、U-20W杯前の合宿中に倒れて寝込んだときのことを思い出した。
想到这里,突然回想起 U-20 世界杯集训期间倒下卧床不起时的情景。

 あのときの俺は、ただ違和感程度にしか感じてなかったけど、朝の時点で凛は俺の不調に気づいてて、様子を見てくれてた。
那时候的我,只是隐约感到有些不对劲,但凛在早上就已经察觉到我的不适,一直在留意我的情况。

 そのあと冴と合流して練習し始めて、休憩中に俺が倒れて、二人が看病してくれた。特に凛はずっと近くにいてくれてホッとしたというか、すごく安心して高熱のときに見る悪夢とかいつもよりも大きく細かく拾ってしまう五感に怯えることもなく、ゆっくりと眠ることができた。
之后与冴汇合开始练习,休息时我晕倒了,两人照顾了我。特别是凛一直在我身边,让我感到安心,高烧时看到的噩梦也比平时更清晰、更细致,但因为她的存在,我没有害怕,能够慢慢入睡。

 そんなことを思い出しながら小さく笑えば、いつの間にか寝室を出ていたらしい凛が器の載ったトレーを持って入口に立っている。
回想着那些事,不禁微微一笑,不知何时已走出卧室的凛,正端着放有器皿的托盘站在门口。

「何ひとりで笑ってんだクソが」 「你一个人在那笑什么鬼啊」
「ごめんって、ただの思い出し笑いなんだけどさ。“青い監獄ブルーロック”でのU-20前の合宿のときも、今も。看病してくれて──そばにいてくれてありがとな」
「抱歉,只是突然想起了一些好笑的事。在“蓝色监狱”U-20 集训前,还有现在,你照顾我——陪在我身边,真的很感谢。」

 おかげで安心して寝れたわ、と呟けばフイッと顔を逸らされてしまう。俺の方を見ずに、器用に押し付けてきたトレーには、お粥と水が載ってる。
多亏了你,我才能安心入睡。我低声说道,他却倏地别过脸去。他没有看我,而是灵巧地将托盘推到我面前,上面放着粥和水。

 あとから冴に聞いたけど、凛はあのとき看病の仕方なんかわかんなくて、どうしていいかわかんないみたいな顔をしていたらしい。たまたますれ違ったらしい蜂楽たちが言うには、いつも通りの表情してたとか言ってた。
后来听冴说,凛当时似乎不太懂怎么照顾病人,一脸茫然不知所措的样子。碰巧路过的蜂乐他们却说,凛的表情跟平时没什么两样。

 確かに凛は喜怒哀楽で言えば、怒の方がわかりやすくてほかの感情は読み取りにくいけど、そこは流石と言うべきか、冴は読み取れていたらしい。冴の横で、どうしたらいいかなんてのを凛はあのときに見てたらしくて、多分今日も同じことをしてくれてるんだと思う。
确实,凛的喜怒哀乐中,愤怒最容易察觉,其他情感则较难读懂,但或许正因如此,冴似乎能读懂她的心思。凛当时似乎在冴身边观察着该如何是好,我想今天她大概也在做同样的事情。

「──な、凛。明日熱下がってたらミュンヘンの街散歩しようぜ。いつもは俺が行ってばっかだからさ、たまには凛に俺のいる街を見てもらいたい」
「──呐,凛。明天要是退烧了,咱们去慕尼黑市区逛逛吧。总是我一个人去,偶尔也想让凛看看我生活的城市。」

「治ったばっかで動くヤツがいるわけねーだろ、タコ」
「刚治好就乱动的家伙不存在吧,章鱼」

「でも今日寝込んでた分トレーニングとかはしたいしさ」
「不过今天躺了一天,还是想做点训练什么的。」

 おすすめのパン屋もあるって言えば、仕方ないと言わんばかりに深いため息をつく凛。
推荐面包店的话,凛无奈地深深叹了口气,仿佛在说“没办法”。

「……しょうがねぇから行ってやる。朝、熱が下がっててほかの症状も治まってたらな」
「……没办法,我就去看看。早上要是烧退了,其他症状也缓解了的话。」

「約束だからな、凛」 「因为是约定啊,凛」
「ウルセェ」 「乌尔塞」
 指切りしようと小指を差し出したけどそれは叶わず、空になった食器の載ったトレイを取り上げられて、おでこに冷えピタを貼られる。
伸出小指想拉钩,却未能如愿,反而被夺走了装满空盘的托盘,额头上还被贴上了冰凉的退热贴。

 ご飯を食べたあとだからかだんだん眠くなってきて、冷えピタの冷たさが心地よくて、俺は小さくおやすみ、と呟いて眠りに落ちた。
吃过饭后,或许是这个原因,渐渐感到困倦,冷感贴的凉意让人舒适,我轻声呢喃着“晚安”,便沉入了梦乡。

 ──その日の夢は、凛と一緒に街を歩く夢だった。 ──那天的梦,是和凛一起在街上漫步的梦。

 ◆

 そして翌日。俺と凛は街に繰り出して、至るところでファンに目撃されたり声をかけられたりしつつも、プライベートなんで、とブルッターなどへの投稿は止めてね~みたいな感じで、お願いしたりしながら1日を過ごした。
然后到了第二天。我和凛一起出门逛街,虽然到处都被粉丝认出来或者打招呼,但我们还是以“这是私人时间,所以请不要发到推特之类的平台上哦~”这样的感觉,一边请求一边度过了一天。

 最初からそういう対応をしてたのは俺だけで凛は終始黙ってたけど、次第にファンも声をかけなくなってきて、遠目に見られる程度になった。
从一开始就那样应对的只有我,凛始终保持沉默,但随着时间的推移,粉丝们也不再搭话,只是远远地看着。

 そういえば、と思い出して凛とのツーショをブルッターに上げれば、なぜか冴からコメントが来て、それはそれで話題になるんだけど、その話はまた今度。


【完】

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