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二十いくつと無限の恋/さらさらら的小说

二十いくつと無限の恋 二十几岁与无限的爱恋

19,234字38分钟

四か月限定で同居することになり、つきあってないのに身体の関係を持っちゃうりんいさ。の、本気の好きの話。
四个月限定同居,明明没有交往却发生了身体关系的凛和伊佐那,关于他们认真喜欢的话题。

凛と潔が好きでいまさらのように書きました。深く突っ込まずにお願いします。
我因为喜欢凛和洁,所以现在才写下来。请不要深入探讨,谢谢。


・監獄後、海外プロ未来軸。つきあってない、けど……の二人です。
·监狱之后,海外职业未来方向。虽然没有交往,但是……的两个人。

・おまえは俺のことだけ一生見てろよクソ潔大好きの凛と、絶対振り向かす一緒にいよーぜ凛!いいよな?の強気で健気な世一。(たぶん公式)
・你给我一辈子只看着我吧,超级喜欢你的凛,绝对不会回头的一起走吧,凛!没问题吧?坚强又勇敢的世界第一。(大概是官方的)

・りんいさはバチバチで一言で言えない関係ですが、とても純愛だと思う。いつでも。
・凛和伊佐的关系虽然复杂到一言难尽,但我觉得那是纯粹的爱。无论何时。

※12/5のR18デイリー・女子ランキングに入れて頂きました。すごくうれしいです…!
※12 月 5 日的 R18 日刊女子排行榜上被收录了,非常开心…!


・前回までのお話にブクマやスタンプ、コメントを下さった方、本当にありがとうございます…!!!壁打ちに近いので、ご感想頂けるのうれしすぎる…糧になりまくっています。今回もrnisです、好き。(最後の4ページ目はその後のおまけです)
・感谢之前的故事中给予书签、点赞和评论的朋友们,真的非常感谢!!!因为这些反馈对我来说就像是打墙练习,能收到大家的感想我感到无比开心…这些都成为了我宝贵的精神食粮。这次也是 rnis,我很喜欢。(最后四页是后续的附赠内容)


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如果大家能在这里留下感想或点赞等,对我来说将是极大的鼓励。这将成为我的动力。

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※12/10
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すごくうれしくて転がりました。スタンプも、頂けると思っていなかったので変な声が…✨こんな辺境に、ポチポチ下さってる方本当にありがとうございます!また書きますので良かったら…見てやって下さい…!
非常开心到打滚了。没想到还能得到印章,所以发出了奇怪的声音…✨在这么偏远的地方,还不断给我点赞的朋友们,真的非常感谢!我会继续写的,如果可以的话…请继续关注…!

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*  *  * *  *  *


 十二月も後半に差し掛かり、クリスマスが近づいてきた。町並みはもうすっかり雪化粧をしていて、やたら浮かれた空気に包まれるのは世界どこでも変わらないのだと毎年思う。
十二月也进入了后半段,圣诞节即将来临。街道已经完全被雪覆盖,无论世界何处,都被一种异常兴奋的气氛所包围,这是我每年都会想到的。

「そろそろクリスマスか、もう今年も終わるんだなァ。いやーほんと、お世話になって……特に後半」
"圣诞节快到了啊,今年也快要结束了。哎呀,真是承蒙关照……特别是后半段。"

「まったく迷惑だったな」 "真是麻烦透顶了。"
 その日、潔は昼から不動産屋やらチームの本契約相談に行くと言って、いろいろ準備をしていた。外を見やるなり白いマフラーを首元に巻きつつ、ニッと笑いかけて来る。
那天,洁从中午开始就忙着准备去房地产公司和团队正式签约的商谈。他一看到我,就围上白色围巾,咧嘴笑着走过来。

「まあ、んなこと言ってるけどさ。結構楽しかっただろ?」
“哎呀,虽然那么说,但挺开心的吧?”

「さっさと死ね」 “快去死吧。”
「こわー」 “哇——”
 あはは、と笑いながら濃紺のダウンを羽織る。楽しそうに出かける用意をする様子がやっぱり腹立たしくて、俺は潔から視線を外した。
她笑着,披上了深蓝色的羽绒服。看她那副兴高采烈准备出门的样子,果然还是让我感到恼火,于是我移开了视线,不再看洁。

 だが見送る必要もないだろうと踵を返しかけたそのとき、潔がぴたりと足を止める。振り向きざま、何か言いたげに一度口を開いて閉じた。それからほんの少しだけ笑った。
但就在我转身准备离开,觉得没必要再送她的时候,洁突然停下了脚步。她转过身来,似乎想说些什么,张了张嘴又闭上了。然后,她微微一笑。

「あの……でも、本当に世話になったよ。毎日おまえといられてよかった。ありがとな、凛」
“那个……不过,真的受了你很多照顾。每天能和你在一起真是太好了。谢谢你,凛。”

「……」 “……”
「凛がいなかったら、俺絶対ここにいないと思う。いろんな意味で」
「うるせえな。時間はいいのかよ」 “吵死了。时间合适吗?”
 こんなにもあっけなく、あまりにありきたりな別れを紡がれることに何よりイラついた。舌打ちをしてソファに腰掛けると、潔は時計を見たようだ。
我对于如此轻易、太过平凡的分手感到无比烦躁。我咂了咂嘴,坐在沙发上,洁似乎看了看时间。

「あ、そだな。早く行かねえと……物件の手続きしたら、あとで荷物整理の続きもやるからさ。ちょっと待っててな」
“啊,对了。得快点去……办完租房手续后,还得继续整理行李。你稍等一下。”

「……」 “……”
 振り返らずに黙っていても、ひとりでつらつらと何か言っている。俺はソファに座ったまま足を組み、テレビで試合の動画を見ることにした。
「帰り、凛の言ってたあのブーランジェリーのパンも買ってくるよ。じゃ、いってくる!」
「回去的时候,我会顺便买凛说的那家面包店的面包。那么,我走了!」

 潔が出て行くのも止められない。引き留める理由が何もない。あいつは居候で、それ以上でも以下でもなく、四か月間の同居の約束がもう終わるだけの話だ。
洁要离开也无法阻止。没有任何挽留的理由。他只是个寄宿者,不多也不少,四个月的同居约定已经结束了。


ガチャン 砰的一声(门关上了)


 後ろでドアが閉まる音がする。家を出て行ったのだろう。いまのが最後の出かける挨拶だったかもしれないなと、ぼんやり思った。
后门传来关闭的声音。他大概是出门了吧。我茫然地想着,这可能是他最后一次出门的道别了。

 リモコンを置き、テーブルを見やる。さっき潔がいた時も食わなかったし、何か食おうかと思ったがやっぱり何も食おうと思えない。とりあえず立ち上がりキッチンに向かうと、潔がさっきまで使っていたマグカップがあって舌打ちをした。
放下遥控器,目光转向桌子。刚才洁在的时候也没吃东西,本想吃点什么,但还是提不起食欲。先站起来走向厨房,看到洁刚才用过的马克杯,我不禁咂舌。

 皿も茶碗もすべて綺麗に洗ってあったが、あいつが使っていたものは全部処分しようと思った。ふとキッチン周りを見るだけで、かなりの量になるなとうんざりする。
盘子和碗都洗得干干净净,但我想把他用过的东西全部处理掉。只是环顾厨房四周,就觉得数量不少,令人厌烦。


 そうして振り返り、リビングを見る。玄関を見る。浴室に目をやる。
回过头,环视客厅。看向玄关。目光投向浴室。

「………は」 「………啊」


 キッチンだけではなかったなと、深く息をついた。 深深地叹了口气,意识到不仅仅是厨房。
 浴室もリビングも玄関も、寝室でさえ、いまは家中に潔のものが溢れている。もともとひとりではどう暮らしていたかを思い出せないほどに。
浴室、客厅、玄关,甚至连卧室,现在家里到处都充满了洁的东西。以至于我都想不起来原本一个人时是怎么生活的。

「──…」
 目に映るすべてを壊した日のことが思い出された。何もかもを壊してなくしてしまいたい、あればそれに面影を探してしまう自分が嫌だった。
想起那天把眼前的一切都毁掉的日子。我讨厌自己,如果有什么东西存在,就会去寻找它的影子,想要毁掉一切。

 いまはあの頃と違って、もう俺は子供ではない。壊したところで片付けるのもどうせ自分だ、イライラしたから先に掃除をしようと思った。潔がやるとか言っていたが待っている必要もないし、さっさとやろう。どこから手を付けるか悩むくらいなら、共用のものはいっそ全部捨ててしまえばいい。
现在和那时不同,我已经不是孩子了。即使毁掉,收拾的也还是自己,因为烦躁,我想先打扫一下。洁说要打扫,但也没必要等他,赶紧动手吧。如果纠结从哪里开始,干脆把共用的东西全部扔掉就好了。

 最初に床周りを掃除し、ソファを拭こうとして、この辺で潔をよく抱いたことも思い出した。やけにこのソファでやるのが好きだったから、なんでだか聞いたら「狭いからくっついてられる」とか意味わからねえことを言ったのも思い出した。このソファも捨ててやろうと思った。
首先清扫了地板周围,想要擦拭沙发时,也想起了曾经在这附近经常感到洁的洁癖。我记得他特别喜欢在这个沙发上做事,问他为什么,他说“因为地方小,可以靠得很近”,这种莫名其妙的话。我也想着把这个沙发扔掉算了。

 テーブルの上に積まれた雑誌も捨てようと思った。潔は割と紙媒体が好きらしく、本や雑誌から情報を収集していることが多かった。
桌子上堆积的杂志我也想扔掉。洁似乎比较喜欢纸质媒体,经常从书和杂志中收集信息。

 俺がインタビューなんかで載っているのも何故かよく読んでいたみたいで、勝手に買って来やがったからやけにたくさんある。何が楽しいのか俺よりもよほど内容に詳しく、サッカー以外のどうでもいい話題までしっかり読み込んでいた。
我记得他好像经常读那些我在采访中出现的东西,擅自买来,所以有很多。他比我更了解内容,连足球以外的无关紧要的话题都仔细阅读。

 でももうこれもいらないだろう。まとめて手に取った瞬間、何冊もあったせいで床にいくつかばさばさと散らばって落ちる。眉間にしわを寄せ、拾おうとして屈んだ。
但这些也不需要了吧。当我一次性拿起它们时,因为数量众多,几本杂志哗啦啦地散落在地板上。我皱起眉头,弯腰去捡。

「……ん」 「……嗯」
 はらりと、雑誌の中に挟まっていた紙が飛んで行った。捨てようと思い手を伸ばす。
一张夹在杂志里的纸片轻轻飘走了。我本想扔掉,伸手去抓。

 けれど紙に何か書かれているのが見えて、俺はそのまま固まった。
虽然看到纸上写着什么,我却僵住了。


『凛 
 糸師凛の』 糸师凛的』


 ドクン、と心臓が跳ねる。 咚,心脏跳动了一下。
 潔の字だ。意外に少し神経質そうな角ばった字、メモと同じだったからすぐにわかった。
那是洁的字。意外地有些神经质般的棱角分明的字迹,和笔记上的相同,所以我立刻就认出来了。

 書いてあるのは俺の名前だった。 上面写着的是我的名字。
 目が勝手に、その先を追いかける。 目光不由自主地,追随着那字迹向前。



『凛の好きな所リスト』 『凛的喜欢之处列表』



「──…」
 悪筆と言うわけではないから字は読める。だが、見ても理解が、処理が追い付かない。
 虽然不算字迹潦草,字还是能读的。但是,即便看了也理解不了,处理不过来。

 好きな所? リスト? だれの。  喜欢的地方?列表?谁的。
 潔が、俺の? 洁,是我的?
 視線が一瞬止まって、それから連ねられた言葉へと向かう。
视线在一瞬间停顿,然后转向连绵的话语。

 紙はしっかりと字で埋まっていた。 纸上密密麻麻地填满了字。



① サッカーが超うまい。超キレイ。あんなシュートもドリブルもプレイ全部、マジでセンス在り過ぎる。最高好き
① 足球踢得超级好,超级漂亮。那样的射门、盘带、所有比赛,真的太有天赋了。最喜欢了

② プライドが高い。めんどくさいくらいカンペキ主義ですげーエゴイスト! でもそれが凛だよな、むかつくけどやっぱ好き
② 自尊心很强。麻烦得要命的完美主义者,超级自我中心!但那就是凛啊,虽然让人生气但果然还是喜欢

③ 努力を惜しまない。才能だけじゃない、練習とメンテと自己管理、それに実力が裏打ちされてる
③ 不吝惜努力。不仅仅是天赋,还有练习、保养和自我管理,实力也得到了支撑

④ きっついけどやさしい。暴言こねえと物足りない。あと変にあまくない分やさしいなって思う
④ 严厉但温柔。不说些狠话就觉得不够味。而且不过分甜腻,反而觉得温柔。

⑤ 無駄がなくて理由がある。話してるとクリアになるし、楽しい
⑤ 没有多余,有理有据。交谈起来思路清晰,很愉快。

⑥ じつは甘えたなとこ。アイツ弟だからか? ずるいよなぁ、かわいいんだもん
⑥ 其实有些撒娇的地方。是因为他是弟弟吗?真狡猾啊,毕竟很可爱。

⑦ 顔に出る。無表情だから余計わかりやすいのに、本人そう思ってないとこ。あ、コレで二個か?
⑦ 表情外露。虽然面无表情反而更容易看穿,但本人却不这么认为。啊,这是第二个吗?

⑧ そう、あと顔。やっぱ顔も好き。見るたびどこもととのってて、みとれる
⑧ 对,还有脸。果然脸也很喜欢。每次看到都觉得很完美,让人看得入迷。

⑨ 指が長い。りんって絶対ムッツリだよな……さわられんのきもちいい。ていうかコレ好きなとこに書いちゃったな、あーーーまあいいか、好きだし
⑨ 手指很长。林肯定是个肌肉男……被摸感觉很好。话说回来,我居然把喜欢的地方写出来了,啊——算了,反正我喜欢。

⑩ 笑うと伏し目がち。上も下も睫毛が長い~~なんか目伏せられるとドキドキする~~
⑩ 笑的时候常常低头,上下睫毛都很长,被她低头看一眼就心跳加速。

⑪ 食事を残さず食べるところ。作ってよかったと思う
⑪ 吃饭时总是吃得干干净净,让人感觉做饭真好。

⑫ 箸の使い方が上手いところ。魚も喜んでそう ⑫ 用筷子很熟练,连鱼都好像很高兴的样子。
⑬ キスが上手い。えろいことがとにかくマジ、アイツいつあんな上手くなってんの? イラつく。おれにしとけよ
⑬ 接吻技术真好。那个家伙怎么变得那么厉害了?真是让人烦躁。应该让我来的。

⑭ 俺を呼ぶときの声。いさぎって名前でよかったなーって思っちゃう。世一はいい、はずい。
⑭ 叫我时的声音。用“世一”这个名字真是太好了,真棒,真好。

世一 世 いやはずい! なしなしなし! 世一 世 真好!不行不行不行!



「……」 “……”
 つらつらとただ潔の字で、俺のことばかりが書いてあった。やたらと『世一』のあたりはペンで消したようなあとがついている。
潔的字迹一行行地写着,全都是关于我的事。『世一』的部分似乎被笔反复涂抹过。

 瞬きをするたび消えてしまうのではないかと思いながら、紙を握り直した。文章はまだ続いている。
每次眨眼都担心它会消失,我重新握紧了纸张。文章还在继续。



⑮ 糸師凛って名前も好き。書きにくいな、でもりーんって呼びやすくて好き。いとしりんってひらがなだとかわいいな
⑮ 糸师凛这个名字我也喜欢。虽然写起来有点难,但叫起来顺口,喜欢。用平假名写成“いとしりん”很可爱。

⑯ 一緒にいると興奮する。凛がいるからおれも負けたくない!
⑯ 和他在一起会感到兴奋。因为凛在,我也不想输!

⑰ 色が白いから、赤くなるとすぐわかる。あれかわいーだろ、絶対言わないけど
⑰ 因为皮肤白,一变红就马上能看出来。那很可爱吧,虽然我不会说出口。

⑱ 疲れた時雑にひっついてくる。ちょいネコに似てるよな。とか大型犬
⑱ 累的时候会随便地黏过来。有点像猫呢。或者说像大型犬。

⑲ 髪サラサラ、ときどき触らせてくれる。凛のが背高いからずっと無理だったし、最近うれしい
⑲ 头发顺滑,偶尔让我摸摸。因为凛个子高,我一直摸不到,最近很开心。

⑳ 凛の目。すげー好き。凛に見られてると最高にゾクゾクする。もっとずっとおれだけ見てろ
⑳ 凛的眼睛。超级喜欢。被凛看着的时候感觉超级兴奋。再多再多只看着我吧。

㉑ なんかここに一緒にいたらどんどん増えるんだよな。まとまんねーー
㉑ 总觉得只要一起在这里,就会不断增加。真是乱七八糟的。

㉒  あと、凛って ㉒  还有,凛这个名字


 そこでリストは終わっていた。俺も知らない俺のことがひたすら書いてあって、時々走り書きや書き損じの跡もいくつかあって、ただ全部潔の言葉だなと、そう思った。
 在那里,清单已经结束了。上面写满了连我自己都不知道的我的事情,偶尔还能看到一些潦草的笔迹和涂改的痕迹,但全部都是洁的话语,我这么想着。

 声が出ない。  发不出声音。
 いつ書いたんだこんなの。けれどなんとなく、このテーブルでひとりせっせと書いている姿が浮かんで来た。潔のことだから結構ニヤニヤしながら書いたのかもしれない。それとも真顔だったんだろうか。俺がいない時に、俺のことを考えて? こんなに?
什么时候写了这样的东西。但不知为何,脑海中浮现出他在那张桌子前独自勤奋写作的身影。以洁的性格,或许是一边窃笑一边写的吧。还是一脸严肃呢。在我不在的时候,他在想我吗?如此深切?

 もうすぐ俺を置いて出ていくこの部屋で、あいつは。
在这间即将离开我的房间里,那家伙。


「………バカ潔」 「………笨蛋洁」


 紙をくしゃりと握りしめる。時計を見た。もう潔が家を出てからは数時間が経っている。
纸被紧紧地揉成一团。看了看手表。洁离开家已经过去几个小时了。

 いまからでも、行けば間に合うだろうか。 现在赶去,还来得及吗?
 いまから言っても、まだあいつは──… 现在去说,那家伙还会——…


 ガチャリ 咔嚓
 
 そのとき、鍵の音がした。 那时,传来了钥匙的声音。
 それがだれかなんて振り返らなくてもすぐにわかった。
即使不回头,也立刻知道是谁。


「た、ただいまー……」 「我回来了……」


 遠慮がちな帰宅の声がする。扉が閉まる音と衣擦れの音、躊躇いがちな足音がリビングに近づいてくる。
传来有些拘谨的回家声音。门关上的声音和衣服摩擦的声音,带着犹豫的脚步声向客厅靠近。

 なんでおまえはそうなんだ。 你为什么会是这样呢?
 ふざけやがって。 别开玩笑了。



「あ、あ~凛、いた。いや、あのさ……ってでぇえっ!?」
「啊,啊~凛,在这里。不是,那个……哎呀!?」

 そのまま気まずそうにひょっこりやって来て、テーブルに佇む俺の姿を見止めるや否や、潔はつぶれたような声を上げた。心底驚いたという顔をして、俺の手元を見ている。
他尴尬地突然出现,一看到站在桌边的我,洁就发出了像是崩溃般的声音。他满脸惊讶,盯着我的手看。

「ちょちょちょそれ、なになんでっ? いやまだ途中で下書きだし駄目だって、まっまま待てって」
“喂喂喂,那是什么?不行,我还没写完草稿呢,等等。”

「んだこれ」 “这是什么啊?”
 慌てて走って近づいてきたが、紙は俺が手元に引き寄せ握り直した。かさりと音がして、潔はそれに手を伸ばせない。
他慌忙跑过来,但我已经把纸拉到手边重新握住了。发出沙沙的声音,洁无法伸手去拿。

「えっ? だってあの、す……凛が、どこが好きって、言ったから。せっかくだしちゃんと言語化っていうか、書き出してみたっつーか……」
“诶?可是那个,凛她,说喜欢哪里,所以我想难得有机会,就试着好好表达出来,或者说写出来……”

 ごにょごにょとマフラーを取りながら何か言っている。耳が真っ赤なのは外が寒かったせいだけではないだろう、俺は黙ったまま潔を見つめた。
他一边嘟囔着一边解开围巾。耳朵红通通的,不仅仅是因为外面冷吧,我默默地盯着洁。

「……」 “……”
「ていうかさ、それマジで下書きだから。い、いろいろ書いちゃってるけど、あの、怒んないで……」
“话说回来,那真的只是草稿。我,我写了很多东西,那个,别生气……”

 へしょっと、犬だったら耳が垂れているだろうなというような様子で潔が呟く。俺が怒ると本気で思っているらしくて、深く息をついた。
"啪嗒"一声,洁小声嘀咕着,好像在说如果是狗的话耳朵应该会垂下来吧。他似乎以为我真的生气了,深深地叹了口气。

「……こんなん、わざわざ下書きとかしてんなよ」 "……这种事,没必要特意打草稿吧。"
「だ、だってちゃんと言いたかったし……あ~~もぉ、清書してちゃんと言おうと思ってたんだけど。いいや! いま言う!」
"但、但是我想好好说……啊~~真是的,本来想誊写一遍再认真说的。算了!现在就说!"

 髪をわしわし掻きむしり、目をぎゅっと閉じて開くと潔が言う。俺はその一瞬の表情すら見落としたくなくて、瞬きもせずに見ていた。
他抓着头发,紧紧闭上眼睛又睁开,然后洁说道。我不想错过他那一瞬间的表情,连眼睛都不眨地看着。

「えーとあのさ。俺、四か月って言ったんだけど、やっぱりまだおまえと離れたくなくて」
“呃,那个啊。我虽然说了四个月,但果然还是不想和你分开。”

「……なんで」 “……为什么?”
「なんでって、あ……諦めらんないんだよ。あの、俺もうちょっと、ここ住んでたら駄目?」
“为什么,啊……我不能放弃。那个,我再多住在这里一会儿不行吗?”

 最初は挑むような声音だったのに、いまは聞いたことがないほど弱気に聞こえた。いつも強気な顔ばかり見て来たのに、伏し目がちにたどたどしく告げて来る。
最初是挑战般的声音,现在却听起来从未有过的软弱。总是看到他强势的面孔,现在却低着头,结结巴巴地来告白。

 見入ったまま黙っていると、きゅっとダウンの裾を掴むのが見えた。細い指先だった。
我看得入神,沉默不语,看到他紧紧抓住了外套的下摆。那是细小的指尖。

「あー、じゃあ……凛にさ、す、好きな人が……できるまででもいいよ。まあ出来ても俺絶対振り向かせてやるけど。ヤ、ヤるんだってもっと、すっげー満足させるようにするし、絶対」
“啊,那么……凛,就算你直到有了喜欢的人……也可以。不过就算有了,我也绝对会让你回心转意的。我,我会做的,要更加,让你非常满足,绝对。”

 首まで赤くして、控えめと思ったらとんだエゴじゃねえか。クソエゴイストの潔らしいなと思いながらも、俺は震える睫毛をじっと見つめる。
 脸红到脖子,本以为他会谦虚,结果却是个大自我主义者。虽然心里想着这家伙真是无耻的自私鬼,但我还是紧紧盯着他颤抖的睫毛。

「……」 “……”
 何もずっと黙っていようと思っているわけじゃない。ただ何を言えばいいか、どう言えば伝わるのか、潔を前にするとどうしても言葉にならなかった。そうしているうち、急に眉を八の字にする。
 我并不是一直打算保持沉默。只是不知道该说什么,怎么说才能传达,面对洁的时候总是无法用言语表达。就在这样想着的时候,突然皱起了眉头。

「………お、おい頼むから、なんか言ってくれって………下書きもバレてこんな展開、結構しんどいんだけど」
“……喂,拜托你,说点什么吧……草稿被发现,事情变成这样,真的很辛苦。”

 細く言って、今度こそ泣きそうな顔になる。大きな目にいっぱい涙の膜が張っているのがわかり、俺はやっと声が出た。
他细声说道,这次真的快要哭出来的表情。我能看到他大大的眼睛里充满了泪水的薄膜,我终于发出了声音。


「──…おまえ、マジで言ってんのか」 “——…你是认真的吗?”
 言ってみると弾かれたように顔を上げる。目に涙をためたその表情が、俺の顔を見てくしゃりと歪められた。
他抬起头,仿佛被弹了一下。那双含泪的眼睛,看到我的脸时,瞬间扭曲了。

「そ、うだよ。こんなんネタなわけねえだろっ? 俺は、書いてもぜんぜんまとめらんないくらい、本気で凛が」
“是啊,这怎么可能是开玩笑呢?我写的时候,可是认真到完全无法整理思绪,全心全意地想着凛。”

「それ以上言うな」 “别再说了。”
「ッ……」 「……」
 遮れば息を呑み、ひどく傷ついた顔をされる。ぽろりと一雫頬を伝うのが見えて、違う、そうじゃないんだと言うよりも早く、気づけば思わず思い切り搔き抱いていた。
遮住的话会屏息,露出深受伤害的表情。看到一滴泪水滑落脸颊,我急忙想要解释,那不是我的本意,却在意识到之前,不由自主地紧紧抱住了她。


「──あとは、俺に言わせろ」 「──剩下的,让我来说吧」

 紙いっぱいの潔の感情。紙以上のそれを、震えそうな手で大切に掴み直す。
纸上的纯洁情感。用颤抖的手,小心翼翼地重新抓住那超越纸面的情感。

 そもそもあれだけ人の心にずかずか入って来て、挙句まとめてこんな爆弾ぶつけてきやがって。大概しんどいのはこっちの方だろうが。
毕竟,他那样肆无忌惮地闯入人心,最后却像扔炸弹一样全部抛下。大概辛苦的是我们这边吧。



「目。声。足。自己中。サッカー」 “眼睛。声音。脚步。自我中心。足球”

「へ?」 “诶?”
 ポツリと言えば、潔は腕の中で身じろいだ。抱きしめたまま俺は続ける。
 我轻声一说,洁在他怀里动了动。我继续抱着他,接着说:

「寝てる間抜け面。名前の呼び方。俺に向かって、笑う所」
“睡觉时的傻样。叫名字的方式。对我笑的样子。”

「そ……それ」 「那……那个」
「…………リスト」 「…………清单」
 断片的に言ってはみたが、こんな言葉だけじゃ俺には到底伝えきれない。一際強く抱きしめる。
虽然断断续续地说出来了,但仅凭这些话我实在无法完全传达。于是我格外用力地抱紧了她。


「……好きな奴ができるまで? そんなもん他にできるわけねえだろ、俺をこんなにしやがって」
“……直到找到喜欢的人?那种事怎么可能做得到,你把我搞成这样。”

 どれだけ浸食すれば気が済むんだ。言って行けばキリがないほど、おまえのことでいっぱいなのに。
“要侵蚀到什么程度你才满意。说起来没完没了,我满脑子都是你。”


「り…」 “理…”
「──行くな。世一」 “——别去,世一。”


 初めて名前を呼んだ。鼓動が早くておかしくなりそうだ。けれど口にしてみれば、世界の何よりも馴染む音のような気がした。
他第一次叫了我的名字。心跳快得快要失控了。但一旦说出口,感觉就像是世界上最为熟悉的声音。

「…っ!!…」 “…!!…”
 肩が跳ね、ひどく何か言いたげな様子だったが、ぎゅうっときつく閉じ込める。一回り小さな体は腕の中に簡単に収まるのに、こうでもしていないとするりと消えてしまいそうに思えた。
肩膀颤抖,显得非常想说些什么,却紧紧地闭上了嘴。虽然那娇小的身体轻易地被拥入怀中,但若不这样做,总觉得她会轻易消失。

 ……どうしようもなく壊してやりたいと、思っているはずだった。憎くて大切で欲しくて欲しくてずっと息ができない。ただどれだけ抱いても焦がれても、潔だけは手に入らないと思っていた。けれど。
……我本该想要彻底摧毁她。既憎恨又珍贵,渴望得无法呼吸。无论怎样拥抱、怎样渴望,我始终认为无法得到她的纯洁。然而。

「どこにも行かせねえ。出て行きやがったらぶっ殺す」
“我不会让你去任何地方。如果你敢离开,我会杀了你。”

「…………そ、っちかよ。なら、絶対どこも行かない」
“…………原来是你啊。那我绝对哪儿也不去。”

 そのまま胸の内を吐きだすように告げれば、わずかに頷いたのがわかった。呼吸する肩が震えている。
他仿佛将心声吐露般地说出这句话,我看到他微微点头。呼吸间,他的肩膀在颤抖。

「俺以外に好きな奴が出来てもマジで殺す」 “就算你有了其他喜欢的人,我也真的会杀了他。”
「ふ……それもない。俺をなめんなよ」 「呼……也不是那样。别小看我啊」
 泣きそうな声で、それでも笑いながらしがみついてきたから、俺は腰ごと引き寄せて抱き返した。そうしているうちにわずかに身じろぎ、潔が俺を見上げてくる。
他用快要哭出来的声音,尽管如此还是笑着紧紧抓住我,于是我连同腰部一起拉近,回抱了他。在这样做的过程中,他微微动了动身体,洁抬头看向我。

 いつもまっすぐな青味がかった大きな瞳。濡れたそこいっぱいに、いまは俺の顔が映っていた。
那双总是直率的带有青色的大眼睛。湿润的眼中,现在映着我的脸。

「おれ、マジで凛じゃねえと駄目だからな。俺をこうした責任取れよな」
“我可是认真的,非凛不可。你得为把我变成这样负责。”

「死ぬまで取らせろ」 “那就负责到我死为止。”
「え、し……?」 “诶,死……?”
「……なんか文句あんのか」 「……有什么不满吗?」
 言えばきょとりと目を瞬かせ、涙の跡が光った。また零れるなと思って眦を唇で掬うと、ぼんっと音がしそうなくらい一気に真っ赤になる。その何故か初々しい反応に、心臓が音をたてた。
她一说完,就惊慌地眨了眨眼,泪痕闪着光。担心泪水再次滑落,她用嘴唇轻触眼角,脸颊一下子变得通红,仿佛能听到“扑通”一声。她那莫名青涩的反应,让心脏不禁跳动起来。

「も、もももんくは……ないです。けど」 「没、没没没有不满……但是」
「おまえあんだけヤってて、何赤くなってんだ」 「你做了那么多,脸怎么红成这样?」
「や、り、凛にだけは言われたくねえなあ!? 顔赤いじゃ…っていててて……っひぃえ!?」
「啊,凛,我可不想被你这么说!脸红……之类的……啊哈?!」

 真っ赤な耳を引っ張ればそんなことを言うから、べろりと舐めてやった。潔は結構耳が弱いことも、俺はもうよく知っている。
如果拉扯他那通红的耳朵,他就会说那样的话,所以我舔了一下。洁的耳朵很敏感,这一点我已经很清楚了。

「ちょ、ちょまっ……聞けよ、噛むな…ってばぁ……りん…っ」
“等、等等……听我说,别咬……真是的……凛……”

 ガジガジと噛んでから離してやると、潔の目は潤み恨めしそうにこちらを見ていた。こんな顔、他の誰かに見せたらそいつを本気で殺してやろうと思っていると、耳を抑える。
他嚼了几下后才松口,洁的眼睛湿润,带着怨恨地看着我。我想,如果这张脸被其他人看到,我一定会真的杀了那个人,于是我捂住了耳朵。

「何だよ」 “怎么了?”
「え、あの、ていうか……えとさ。改めて、ちゃんと聞いときたいんだけど」
“呃,那个,也就是说……嗯,是这样的。我想再认真地问一次。”

 顔を真っ赤にして、潔はモゴモゴと何か言いたげな様子だ。期待をこめたような上目遣いで見られる。
洁满脸通红,似乎想说些什么,嘟嘟囔囔的。他用充满期待的目光向上看着。

「す、好きな奴なんて他にできないってことは……凛も、俺のことめっちゃ好きってことだよな?」
“所、所以说,你不可能喜欢上别人……凛,你是不是非常喜欢我?”

「………さあ」 「………来吧」
「さ、さあ!? エッさあって、おま、なん……こ、ここは言ってくれよぉ」
「来、来吧!? 呃,来吧是什么意思,你、你倒是告诉我啊」

 舌打ちが零れた。それはこっちのセリフだ。キスしてセックスしてもう絶対どこにも行かせないと、死ぬまで責任取らせろと言ってるのに、まだそんなぬりぃこと言ってんのかコイツ。フンと鼻を鳴らして呟く。
 咂舌声响起。那本该是我说的台词。明明都亲了做了还说绝对不会放你去任何地方,要你负责到底直到死,这家伙还在说这种无聊的话。哼了一声,低声嘟囔着。

「そんなに気になるなら一生かけて聞けよ」 “既然那么在意,就用一生去问吧”
「え、俺の一生かけていいの」 “诶,用我的一生也可以吗?”
「かけんだろ。普通」 “当然要用你的啊。这不是很正常吗?”
 離れるだなんてそもそも絶対に許さない。聞きたいならいつでも聞けばいいと思って言うと、潔は目を見開いてからへらりと笑った。締まりのない幸せそうな顔も悪くないなと思ったのは、気のせいではない。
绝对不会允许你离开的。如果你想知道,随时问我就好了,我说完,洁睁大了眼睛,然后轻轻地笑了。那种看起来无忧无虑的表情,其实也不坏,这并不是我的错觉。



「──…好きなとこ、また一個増えたじゃん」 “——…喜欢的地方,又多了一个呢”
「……そうかよ」 “……是吗”
「うん。やっぱ凛といたら、俺のリスト一生完成しないかもしんね」
“嗯。果然有凛在,我的清单可能一辈子都完成不了。”

 なんだかんだといちいちうるさいから、キスして言葉ごと塞いでやった。塞がれたのにうれしそうだなと思ったのも、たぶん気のせいではないだろう。
因为总是唠唠叨叨的,所以我就用吻堵住了他的嘴。尽管被堵住了嘴,但他看起来很高兴,这大概不是我的错觉。

 潔とはキスも何度もしたが、この日にしたのが、まあ一番甘い味がする気がした。
虽然和洁也接过很多次吻,但那天感觉是最甜的一次。



 それからどうなったか? というと、例のリストは案の定いまも完成していない。と、俺の隣で言っている。
那之后怎么样了呢?那个列表果然到现在还没完成。这是我旁边的人说的。

 俺もあの日以降のリスト更新はもうやめた。いくら言ってもまだ足りない、どうせ俺にとっての潔世一は、いつでもそれでできている。
我那天之后就不再更新那个列表了。无论怎么说还是不够,反正对我来说的洁世一,总是那样就足够了。


评论

  • みなほ
    2月22日回信
  • natsuki

    最高のrnisでした💓

    1月10日回信
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  • はなと雪
    2023年12月31日回信
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