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短編集(春)/あきづき的小说

短編集(春) 短篇集(春)

15,490字30分钟

Twitter上で参加させていただいたワンライへの投稿作品(2023年4月分)をまとめたものです。全体的に甘口でお送りします。
这是在 Twitter 上参与的 One-Line 活动投稿作品(2023 年 4 月)的汇总。整体风格偏甜,敬请欣赏。

目次は1ページ目をご覧ください。 目录请参见第 1 页。

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名前のない関係 无名关系

 瞼を突き刺す朝の光。慎ましやかな鳥たちのさざめき。二度目の眠りを誘う寝具の柔らかさ。
刺眼的晨光。谦逊的鸟儿们的低语。诱人再次入眠的寝具的柔软。

 そして、両の腕でしっかりと抱き込んだ人肌の滑らかなぬくもりと、顎をくすぐるさらさらとした丸み。その少し下の位置から微かにひびく、深く寝入った人間に特有の規則的な呼吸音。
然后,用双臂紧紧抱住的人体那光滑的温暖,以及轻抚下巴的柔滑圆润。从稍下方微微传来的,深睡之人特有的规律呼吸声。

 よく日の差し込む寝室の景色には非常に見覚えがあるが、自宅のそれではない。
这间阳光充足的卧室景色非常熟悉,但并非自家。

 潔世一は起きたその瞬間、即座に理解した。深い深い溜息とともにポツリと一言。
洁世一在醒来的那一刻,立刻就明白了。伴随着深深的叹息,他喃喃自语。

「あー、これやらかしたわ」 「啊,这下搞砸了。」
 一つのベッドに同衾、しかもお互い裸。 两人同床共枕,而且还是赤裸相对。
 腰は怠くて動かす気にならないが、目覚めはすっきりと爽やかで意識も明晰だ。
 腰懒得动弹,但醒来时神清气爽,意识清晰。

 昨夜の記憶も欠けることなくすべて残っている。言い逃れの余地はない。
 昨晚的记忆完整无缺,没有逃避的余地。

 ああそうだ。実に、はっきりと、よく、思い出せる。
 啊,没错。确实,非常清晰,能很好地回忆起来。

 同じチームに所属する糸師凛の家で、家主と二人で酒を飲んだ。飲んでいるうちにそういう雰囲気になった。セックスをした。以上である。
 在同队的糸师凛家里,与家主两人一起喝酒。喝着喝着就变成了那种气氛。做了爱。仅此而已。

 これについて、潔の頭を悩ませる問題はいくつかある。
关于这件事,洁的脑海中困扰的问题有好几个。

 男同士だとか、恋人でもないのに酒の勢いでというのは一般常識的に見てどうなのかとか、そもそも相手が「あの」凛であるということとか。細かいことまで数え上げればキリがないほどだろう。
比如同性之间,又不是恋人却借着酒劲什么的,从一般常识来看到底算什么,还有对方是「那个」凛等等。细数起来简直没完没了。

 だが最もおおいなる問題は、このシチュエーションで目覚めるのはこれが初めてではない、ということにあった。
但最大的问题在于,在这种情境下醒来,这并非第一次。

 それどころか、言ってしまえば定期的にやっている。目覚める場所に関しては潔の方の家の寝室だったり適当なホテルの一室だったりでまちまちだが、凛と一夜を共にしたという点は変わらない。
不仅如此,坦白说,这已成为一种定期发生的事。醒来的地点有时是洁的家中的卧室,有时是随便某个酒店的房间,各不相同,但与凛共度一夜这一点从未改变。

 もう数えるのも馬鹿らしくなるくらいの回数、二人はこんなことを繰り返している。
两人已经重复了无数次这样的事情,数都数不清了。

 潔は左手で(なぜ左手かといえば、逆の手が凛の体の下敷きになっていたので)枝毛の一つもない凛の髪をすくってはこぼして手触りを確かめながら、再び溜息をつく。
洁用左手(为何是左手呢?因为另一只手被凛的身体压在下面)轻轻地抚摸着凛那没有一根乱发的头发,感受着它的触感,再次叹了口气。

 これほど体を重ねておきながら、前述の通り恋人というわけではないのだから、実に不健全な関係だ。幼き日の世一少年が聞けばひっくり返るかもしれない。
尽管身体如此紧密相贴,但正如前述,他们并非恋人关系,这实在是一种不健康的关系。若是年幼时的世一少年听闻此事,恐怕会大吃一惊吧。

 お前は将来プロのサッカー選手になって、チームメイトにして最も手強いライバルである男と定期的にセックスをするようになるぞ、なんて自分でもどうかしていると思う。
你将来会成为职业足球运动员,与队中最强劲的对手定期发生性关系,连自己都觉得这想法真是荒唐至极。

 残念ながら最初にこうなった理由はまったくわからない。わからないが、それが一度で済まなかった理由は身に覚えがある。
遗憾的是,最初变成这样的原因完全不清楚。虽然不清楚,但我知道为什么这不是一次就能解决的。

 とてもとても単純で即物的な事情だ。気持ちがよかった。あまりにも。一般常識だの倫理だのがすべてゴミ箱行きでどうでもよくなってしまうくらい、潔世一と糸師凛とは体の相性がよすぎた。まさしく最良の相手だった。
这是非常非常简单而实际的事情。感觉很好。太好了。常识和伦理之类的一切都变得无关紧要,洁世一和糸师凛的身体相性太好了。正是最佳搭档。

「ん、」 「嗯、」
 髪を触られるのがくすぐったかったのだろう、むずかるように凛がいやいやと頭を振る。慌てて手を離し、宥めるようにゆっくりと頭を撫でてやると、しばらくしてまた穏やかな呼吸へと戻った。
可能是被摸头发觉得痒,凛不情愿地摇了摇头,像是在抗拒。慌忙松开手,轻轻地抚摸她的头以示安慰,过了一会儿,她的呼吸又恢复了平稳。

 潔はほっと息を吐く。  洁松了一口气。
 次いでその目がすっと細まる。反芻する、夜のことを。
接着,他的眼神微微一凝。他在回味,那个夜晚的事情。

 凛とするセックスは麻薬のようだ。  凛的性爱如同毒品一般。
 ピッチの上と同じように、凛には潔の、潔には凛のすべての意図がわかる。
就像在球场上一样,凛能看透洁的一切意图,洁也能看透凛的一切意图。

 どのタイミングでどこに触れてほしいのか、どうやって触れたら気持ちがいいのか、目を見るだけで、その一挙手一投足を追うだけで。
在什么时机触碰哪里,如何触碰才能感到愉悦,只需对视一眼,只需追随那一举一动。

 サッカーをしているときにも通ずるものがあるような、それでいてまったく別物だとも感じる熱情と悦楽で頭が茹だる。
踢足球时也有类似的感觉,但同时又觉得是完全不同的热情和愉悦让头脑沸腾。

 毎回酒が入るとその欲を抑えられなくなってしまうのだ。そうなるとわかっていながら潔も凛も相手と二人で呑むのをやめようとはしないのだから、まったくもってお互い様としかいいようがない。
每次喝酒后,那份欲望就无法抑制。明知如此,洁和凛却依然不打算停止两人对饮,真是彼此彼此,无话可说。

 ここまでくればもはや二人で飲むということはそういうことだ、という暗黙の了解が成立しているといっていいだろう。
到了这个地步,可以说两人一起喝酒就意味着那种事,已经形成了心照不宣的默契。

 肉欲に抗い難いのは男の性というものである。  难以抗拒肉欲是男人的本性。

 けれど。  然而。

 実のところ、潔は別段快楽だけが理由でこうした状況に甘んじているわけではない。
 事实上,洁并非仅仅因为快感而甘愿陷入这种境地。

 身長の差からいっておよそ平時では見る機会のないつむじをじっと見つめる。
 身高差距使然,平时几乎看不到的发旋被他紧紧盯住。

 それを、凛はわかっているのだろうか?  凛他,明白这一点吗?

 まあいいか、とくふくふ笑う。  算了,他暗自窃笑。
 わかっていてもいいし、わかっていなくてもいい。自覚のあるなしはさしたる問題ではない。
 明白也好,不明白也罢。有无自觉并不构成问题。

 こうして潔に抱き枕にされていても凛が怒ったことは一度もない。凛が潔を抱き枕にしていることだって日常茶飯事である。
 即便如此被凛当作抱枕,她也从未生气过。凛把洁当作抱枕也是家常便饭。

 そうして起きたら大抵は近所のベーカリーにパンを買いに行って、ときには二人でキッチンに立って、朝食を共にする。オフの一日の、穏やかな始まりだ。
 醒来后,通常会去附近的面包店买面包,有时两人会一起站在厨房,共进早餐。这是休息日一天,平静的开始。

 今日はどんなメニューにしよう。焼きたてのパン、温かいスープ、新鮮なサラダ。タンパク質はどうしたものか、プロテインだけではあまりに味気ない。冷蔵庫には何があっただろうか。
 今天吃什么好呢。刚烤好的面包、热腾腾的汤、新鲜的沙拉。蛋白质怎么办呢,光是蛋白质未免太无趣了。冰箱里有什么来着。

 凛が起きたら聞いてみよう。  等凛醒了问问她吧。

 ふと、凛の呼吸の音が変わる。目覚めの気配がする。潔は自分の体を少しずらして、その顔を覗き込む。長いまつ毛が震えて、ゆっくりと瞼が持ち上がっていく様を見る。微笑んで言う。
 忽然,凛的呼吸声变了。像是醒来的迹象。洁轻轻挪动自己的身体,探头看向那张脸。长长的睫毛颤动着,眼睑缓缓抬起的样子映入眼帘。他微笑着说道。

「おはよう、凛」 「早上好,凛」

 目が覚めたとき、お前が当たり前のようにそこにいること。
 醒来时,你理所当然地在那里。

 本当は、それが一番、  其实,那才是最重要的,

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