
『恋するあの子のナカを完全再現♡ ※感覚共有あり』
『恋する那个女孩的内部完全再现♡ ※感官共享』
ブルーロックからの支給品に混じっていた黒い箱。見るからに怪しさ満点のそれをカイザーが一息に捨ててしまえなかったのは、その謳い文句に縋ってでも手に入れたい相手が思い浮かんだからであった。
在蓝锁提供的物品中混杂着一个黑色的箱子。看起来十分可疑,凯泽之所以无法一口气将其扔掉,是因为想到了一个即使依靠其宣传语也想要得到的对象。
仲が悪いどころじゃない。あれほど煽ってきた相手を好きになる奴がいれば、むしろ心配になるくらいのことをしてきた自覚はある。それでも、そうだとしてもどうしてもあれが欲しい。それこそ、どんな手段を使ってでも。
仲得不好到这种地步。要是有喜欢上那种一直挑衅自己的人的家伙,反而让我感到担心。我意识到自己做了那样的事情。即便如此,我还是无论如何都想要那个。无论使用什么手段。
あとは単純に、溜まっていたのだ。目の前に好きだとか甘ったるい言葉すら生温いくらいの激情を向けている相手がいて、なんならそいつの半裸を見る機会が何度もあるような環境で欲を捨て去れるほどカイザーは枯れてはいない。
剩下的只是简单地,积累了。眼前有一个对象,甚至连喜欢或甜腻的言辞都显得温吞,向他倾注着激情,甚至在这样的环境中,有机会多次看到那家伙的半裸,凯撒并没有枯竭到可以抛弃欲望的地步。
そもそもアスリートの体調管理の一環として、オナホというのは割と重宝されているものである。遠征もある身ではそういつでも女と性交するなんて余裕はない。手っ取り早く欲を発散するのに都合が良いというわけだ。そういう事情もあって、これほど非現実的なアイテムであっても手放せはしなかったのである。
首先,作为运动员身体管理的一部分,自慰器是相当受欢迎的。身为远征队的一员,随时与女性发生性关系并不是一件轻松的事。它在快速释放欲望方面非常方便。正因如此,即使是这样不现实的物品,我也无法放弃。
「もし、これで世一を開発できるなら……」 「如果这样可以开发出世一的话……」
再度言うが、二人の仲は既に最底辺にまで落ち込んでいる。一時、普通に会話できるようになったかと思えば、カイザーが気持ちを自覚してから煽りでしか言葉を返せなくなり、関係は悪化した。いつも人に囲まれ、人に慕われている姿に焦りすぎてしまったことが要因だったが、気付いたからといってすぐさま態度を変えられるような性格ではない。さらに言えば──次のフランス戦が終われば、もうしばらく会うこともないだろう。潔がプロとしてどの国、どのチームを選ぶか不透明である以上、今距離を詰めておかなければ今後連絡すら取れないかもしれないのだ。
再度言うが,二人的关系已经跌落到最底层。一度以为可以正常对话,但在凯撒意识到自己的感情后,只能用挑衅的方式回应,关系因此恶化。总是被人围绕,受到人们的喜爱,这种状态让人感到焦虑,但即使意识到了,也不是那种能立刻改变态度的性格。更进一步说——等到下一场法国战结束后,可能就不会再见面了。洁作为职业选手选择哪个国家、哪个球队仍然不明朗,如果现在不拉近距离,今后可能连联系都无法做到。
僅かな時間で世一の心を変える手段。つまり快楽堕ちである。カイザーがこんな最悪な覚悟を決めたと世一が知れば二人の関係はもう修復のしようがないほど地に堕ちるだろうが、生憎今のカイザーは冷静ではなかった。嫉妬心さえ飼い慣らすと豪語する男が、初めての恋に狂ってしまったのだから当然だ。恋だと認めることすら腹立たしい、けれども、何よりも、自分以外を選ぶ世一など許せない。
仅仅通过短暂的时间改变世一的心。也就是说,是快感堕落。如果世一知道凯撒下定如此最坏的决心,两人的关系将无法修复,彻底堕落。然而,眼下的凯撒并不冷静。自夸能够驯服嫉妒心的男人,竟然在初恋中疯狂,这也是理所当然的。承认这是恋爱甚至让人愤怒,但最重要的是,世一选择除了自己以外的人是绝对不能被允许的。
カイザーからすればこれは慈悲ですらあった。自分を選ばなければ息の根を止めてしまいかねないほどのこの激情を、お前が俺を選んだなら真綿に包んで柔らかな愛だけを見せてやれるのだから。
从凯泽的角度来看,这甚至是一种慈悲。如果你不选择我,这种激情可能会让你窒息,但如果你选择了我,我就能用柔软的爱将你包裹起来,只展现出温柔的一面。
ベッドに座り込み意を決して箱を開け、窄まった穴のついたオナホールを取り出した。透明でも、ピンク色でもないそれは、やけにリアリティのある肌色をしている。それでいて、穴は可愛らしいピンク色でただのオナホールなのにごくりと唾を飲んでしまった。箱をひっくり返せば、付属するローションの小瓶と説明書の紙が転がり落ちる。
我坐在床上,鼓起勇气打开箱子,拿出了一个带有狭窄孔洞的自慰器。虽然它不是透明的,也不是粉色的,但却有着异常真实的肤色。尽管如此,孔洞是可爱的粉色,明明只是一个自慰器,却让我不由自主地吞了口水。翻转箱子,附带的小瓶润滑剂和说明书的纸张滚了出来。
──まずは好きな人を思い浮かべて! そうすればオナホが貴方の好きな子の形に変化します! 変化が止まったら、優しく穴に付属のローションを入れてあげてね! すぐに挿れることもできるけど、柔らかく解してあげれば相手も気持ちよくなれちゃうかも♡
──首先想象一下你喜欢的人!这样的话,自慰器就会变成你喜欢的人的形状!当变化停止时,温柔地将附带的润滑剂放入洞中哦!虽然可以立即插入,但如果轻柔地处理一下,对方也可能会感到舒服哦♡
楽しく憧れのあの子とセックスしちゃおう♡ 和我憧憬的那个女孩愉快地做爱吧♡
頭の悪い文章だが、そんなものでも興奮が煽られてしまうほどカイザーは限界だった。というのも、ちょうど半刻前にシャワールームで遭遇した世一が全裸だったせいである。タオルを取り忘れて脱衣所へ出てきたところだったらしく、反射的に手渡したタオルに感謝されたのは覚えているが、そのあと何をどうしたのか全く覚えていない。数多の女と関係を持ってきた色男がこの有様だというのだから、本命童貞と言われても仕方がない。
头脑简单的文章,但即便如此,凯泽也因兴奋而达到了极限。原因在于,刚刚半刻钟前在淋浴间遇到的世一是全裸的。似乎是忘记拿毛巾就走出了更衣室,反射性地递给他的毛巾让我记得他对我表示了感谢,但之后发生了什么我完全不记得了。与无数女性有过关系的花花公子竟然沦落到这种地步,难怪会被称为本命童贞。
オナホールを手に取ったまま想い人を思い浮かべてみるが、変化はない。あるいは箱から取り出すより前から世一のことばかり考えていたから、すでに変化したあとなのかも知れなかった。ということは、このピンク色の穴が世一の。
手握着自慰器,试着想起心仪的人,但没有变化。也许是在从盒子里拿出来之前就一直在想着世一,所以可能已经发生了变化。也就是说,这个粉色的洞是世一的。
目の前に本人がいるわけでもなく、ただのオモチャでしかないものを前にカイザーの股座はもう誤魔化しようのないほど屹立していた。焦る手で説明書の通りローションを開けて、ちゅぷ、とスポイトのような容器の細い先端を穴に差し込んで流し込む。ある程度入れたら外して手にもローションを垂らし、ゆっくりとまずは一本、指を埋め込んだ。
眼前并没有本人,只是一个玩具而已,凯撒的胯下已经无法掩饰地屹立着。焦急的手按照说明书打开了润滑油,咕唧一声,将像滴管一样的容器细尖插入洞中,流了进去。放入一定量后取出,手上也滴上了润滑油,慢慢地先埋入一根手指。
「……狭い……でも熱くて、吸い付いてくる」 「……狭い……但是热乎乎的,紧紧吸附过来」
挿れるまでは拒むように反発していた中が指を埋め込むと収縮し、強請るようにちゅうちゅうと吸い付く。熱く蕩けた中に挿れることを想像するとそれだけで昂ってしまう。しかしまだ硬く窄んだ入口も中も、カイザーのものを受け入れられるほどの柔らかさはない。逸る気持ちを抑えつつ、まずは、と指の腹で内壁を擦り、前立腺を探していく。
「世一のイイところはどこだろうな……?」 「世界上最好的地方是哪里呢……?」
くにくにと中を撫でながら指を上下させた。じゅぷじゅぷと音を立てて穴からは泡立ったローションが零れ落ちる。指に塗した分だけでなく、中で温められたローションもが指にまとわりついてぬるぬると気持ちがよく、滑りも悪くなかった。
「ん……一本だと探し辛いな。少し緩んだし……二本目入れるぞ」
「嗯……一本的话很难找呢。稍微放松了一下……要放第二根了」
一度埋めていた指を引き抜き、もう一本と揃えて中へ挿れていく。少し性急すぎたのか、挿入の際に入り口がみちみちと押し拡げられるような感覚があった。まだ二本目とはいえカイザーの指は決して細くなどないので、未経験の身体には辛いのだろう。とはいえ、カイザーはここで指を抜いてやるような優しい男では決してない。
一度埋めていた指拔出,另一根也齐齐地插入里面。或许是有些急躁,插入时感觉到入口被撑得紧紧的。虽然还是第二根,但凯撒的手指绝对不细,对于未经历过的身体来说可能是很痛苦的。不过,凯撒绝对不是在这里会温柔地拔出手指的男人。
「……痛かったか? 今良くしてやるからな」 「……痛了吗? 我现在就让你舒服点」
ここにはいない世一へ語りかけながら、ゆっくり第二関節くらいまで指を引き抜いて、再び埋める。何度かそうすれば入り口の硬さが和らぎ、呼応するようにカイザーの動きも早まりじゅぷじゅぷと水音が激しくなっていく。
在这里对不在的世一低语,慢慢地将手指拔出到第二关节左右,再次埋入。这样做几次后,入口的硬度会减轻,随着回应,凯撒的动作也加快,水声变得愈发激烈。
「は……今どんな顔してんだ、世一ぃ……」 「你……现在是什么表情,世一……」
まるで白濁を中で出された後のように、白く泡だったローションが穴の縁から垂れていく。目をカッ開いたカイザーがぐり、と関節を曲げて中を弄ると、びくんびくんと蠢いた。
仿佛像是白浊在里面释放后一样,白色泡沫的乳液从洞的边缘滴落。睁大眼睛的凯撒弯曲关节在里面玩弄,身体颤动着。
「……ここか?」 「……这里吗?」
同じ場所を再度擦り上げれば、また中が激しく収縮する。それを見たカイザーの口角が悪どく上がった。
再次擦拭同一个地方,内部又会剧烈收缩。看到这一幕,凯撒的嘴角露出了阴险的笑容。
「は……っ、感じてるのか、世一ぃ」 「哈……你在感觉什么吗,世一?」
強弱をつけてその少し膨らんだしこりを擦り、二本の指で中を拡げていく。内壁はぬるついて、段々と柔らかく解れて引き抜くたび媚びるように指に吸い付いた。
强弱地摩擦那稍微膨胀的肿块,用两根手指扩张内部。内壁湿滑,逐渐变得柔软,每次拔出时都像是依恋般吸附在手指上。
「……三本目、挿れるぞ」 「……第三本,插入了」
二本目の時と違い、スムーズに指が飲み込まれる。根本まで飲み込んでも引き攣るような感覚がなかったので、最初から遠慮なくじゅぽじゅぽと中で指を扱き上げる。
与第二本时不同,手指顺畅地被吞没。即使吞到根部也没有抽搐的感觉,所以从一开始就毫不客气地在里面玩弄手指。
「……ここ、だよなァ? 世一のイイところ……♡」 「……这里,就是吧?世一的好地方……♡」
カイザーは指の三本を巧みに使って中を押し広げ、前立腺を擦り、ローションを満遍なく塗りたくった。本当に感覚共有されているなら、世一は息も絶え絶えに喘いでいるのではないだろうか。童貞でもしないような欲望丸出しの妄想だが、それを止める奴は誰もいない。
「確か四人部屋だと聞いたな。まだ寝てる時間じゃないだろうから、部屋を飛び出してどこかで蹲っていたりするのか? どこかの個室にでも避難してろよ。お前のイイ顔、俺以外に見せるな……」
「我听说是四人间。现在还不是睡觉的时间吧,是不是已经跑出去在某个地方蹲着了?去某个单人间避难吧。你的好脸色,别给我以外的人看……」
自分でこんなことをしておいて、誰にも見せたくないなんて悋気を隠しもしない。いずれその顔を直接見たいが、まだ早い。初めて弄られた前立腺でここまで感じ入っているのだから元々素質はあるんだろうが、逃すつもりはないから念には念を入れるに越したことはない。
「……そろそろ、いいか」
ずぽっ、と音を立てて指が引き抜かれた。どろどろにローションで濡れた指は、ふやけて元々白い指がより一層色を失っている。ガウンの前をはだけさせ、指を汚すローションを塗りつけるように陰茎を擦り上げれば、期待でダラダラと溢れる我慢汁と混ざり合って、まるで既に射精した後のように白い液体に塗れていた。
「はー……クソ、死ぬほど興奮する」
ぷちゅ、と先端を押し付け、ぬるぬると入口を擦る。欲しがってヒクヒクと収縮する後孔は、少し力を入れれば全て埋まってしまいそうなほど柔らかく解れていた。
「……ぐ、挿れるぞ」
目を閉じて、世一の姿を想像する。色々な液体に塗れてあられもない姿の世一の腰を掴み、その身体を拓く様を。童貞でもあるまいに、そんな想像だけでゾクゾクと快感が込み上げて暴発してしまいそうな自分が信じられなかった。ゆっくりとその穴に血管が浮き出るほど硬く張り詰めた陰茎を埋めていく。
「……ぐ、ふう……っ、キツ、」
たっぷりのローションに浸され、前戯で蕩けた中が途端に媚びるようにきゅうきゅうと男根を刺激した。さすがに挿れてすぐイくのはと男の意地で堪え、深く息を吐いて快感を逃す。かなり解したはずだが、それでもカイザーの規格外のサイズの陰茎を受け入れるにはキツかったようで、締め付けは少し痛いほどだった。
しばらくそうして馴染むのを待っていれば、締め付けがだんだん柔らかく食むような動きに変わり、執拗に男根を扱き上げる。
「……ふーっ、ふーっ……クソ、まずい、」
ほとんど腰は振っていないというのに、中の動きだけでもってかれてしまいそうだった。これまでのセックスとは比にならないほど気持ちが良すぎて堪らない。それと同時に、惜しいと思ってしまった。初めて貫かれた世一の顔が見られないことが。
「……どんな顔してるんだ? 気持ちいいって蕩けてんのか? 見たい……」
カイザーの脳内ではシーツを握り締めて快楽に喘ぐ世一の姿が目の前にあった。口からは涎をこぼしながら堪えきれない嬌声を上げて、涙でトロリと溶けた瞳で見上げてくる様が。
「ぅ……っ、あ、出るッ、」
オナホに腰を押し付けて、ぶびゅ、と奔流のように溢れる粘っこい白濁を中へと流し込んだ。壁に塗り込むように腰をヘコヘコと揺らし、最後の一滴まで絞り出す。結局まともに腰を振ることもなくカイザーは絶頂した。
「は……、はっ……、ガキかよ、」
妄想だけで達した自身を自嘲するように言葉を溢しながらも、むくむくと再び大きく膨らむ陰茎は本人の口よりよほど雄弁で。こんなものでここまでの禁欲生活の鬱憤が晴れるものかと訴えていた。
「チッ……あともう一回だけ、」
もう一回程度で治らないことはカイザー自身が一番良く分かっていたが、本当に感覚が共有されているなら世一の方はそろそろ就寝の時間だろう。想い人の淫らな姿を誰かに見て欲しいわけではないし、彼の事後の気怠さも誰にも悟られたくはない。自分勝手なことを言っている自覚はあったが、全てカイザーの本音だった。だからあともう一度だけ吐き出したい。
「……ふ、ぅ……あ、」
今度はゆっくりと腰を振る。押し込む際に前立腺を擦ることも忘れずに、世一も気持ち良くなれるように意識してオナホに腰を押し付けていく。
「前立腺……っ、擦ると、すげえ締まる……ッ」
もう一度出してしまえば終わりだと思うとすぐにイッてしまいたくはなくて、スローセックスの要領で中のヒダに陰茎をしゃぶられる感覚を楽しみながらねちっこく律動を続けた。前立腺を弄るたび蠢く中は自分が出した精液も混じって腰が溶けそうなほど心地が良かったが、歯を食いしばって快感に耐えた。それでも込み上げてくる逆らえない射精感が、行為の終わりを予感させる。
「ふーっ……、ふーっ……奥に、出すからな、」
奥の入り口はまだ硬く閉じていて、今日すぐには開かれないだろう。今度こそ焦るな。確実に身体を堕としてから、実際の世一の身体に触れて、もうこの身体を満足させられるのはカイザーだけなのだと教えてやればいい。自身を受け入れる世一を夢想しながら、今日一番強い力で後孔を穿つ。
「ぐっ……イく、出す……ッ。世一の処女まんこの奥に、種付け射精……ッ」
中に叩きつけるように勢いよく射精した。最後まで搾り取ろうとヒダが絡みつく動きに低い唸り声が漏れる。名残惜しくて何度も腰を揺らしてからゆっくりと陰茎を引き抜けば、ローションと白濁が糸を引いてとろりと垂れた。
「……クソ、足りねえ……ッ」
カイザーの男根の角度は変わらず、萎える様子はない。後もう一度。もう一度だけなら。その思いを押し堪えて、割り当てられた部屋のシャワールームへ飛び込んで水を被る。
「……絶対、逃さねえ……世一ぃ……っ!」
◇ ◇ ◇
「ふーっ……はぁ、クッソきもちいい……」
右手で握りしめたオナホに今日二度目の精を吐き出して、ゆっくりと引き抜いた。どろどろの液体に塗れた陰茎はまたしても萎えてはいないが、連日やっていればさすがに欲の制御も覚えてくる。近くに置いたティッシュペーパーを数枚掴み、シーツに垂れそうな液体ごと拭い取って寝転んだ。
「……一度焦らすべきなんだろうが、んなの俺が無理だ」
そもそもこの新英雄大戦の残り日数はもう多くない。そんなことに使える時間の余裕は無かった。
あの日、初めてカイザーがオナホを使った日。翌日の潔はどこか身体を庇っているような、違和感に悶えているような様子で、カイザーはあの『感覚共有』の文言がただの雰囲気作りの謳い文句ではないと確信した。その勢いで夜には少し激しくしてしまい、次の練習で顔を合わせた際気怠そうな世一の姿にこれはまずいとそれからはある程度自重を覚えるようになったが、それはそれ。
「そろそろ、本人を攻めるか?」
とはいえ糸口がない。オナホを使い出してからもカイザーと世一の関係は改善してはいなかった。潔は最近の身体の違和感に戸惑っているようで、カイザーの軽口に付き合う余裕もない様子だったからだ。そこで優しい言葉を掛けてやれないあたりが拗らせているわけだが。
「そうだ……確か世一はシャワーを浴びるのが一番遅いんだったな」
そして、練習後ほぼ同じタイミングでシャワールームへ向かうのがカイザーなのである。部屋にも備え付けのシャワールームはあるが、練習後の汚れた状態で自室に戻りたくはないので、ブルーロックの面々と同じように共有のシャワールームを使っていた。
「つまり、シャワールームなら邪魔が入らない?」
思い返せば、これまでも世一とシャワールームで鉢合わせしたことはあるが、そこに他の誰かがいたことは一度もなかった。例外と言えば試合日くらいのものだ。
「どれくらい世一が蕩けているか、まずは確認しないとな。他の奴に声を聞かせてしまう心配もないし、世一も存分に喘げるだろう」
カイザーはニヤける口を抑えて、瞳を三日月に歪めて笑った。想像だけでなく、実際に声まで聞けたならどれほど昂ってしまうだろうか。
世一は知らないだろうけれど、カイザーの正気は潔世一という悪魔によって全て奪われてしまったのだから、最後まで責任を取ってもらわなければ割に合わない。
「……俺のものになる日が楽しみだなァ、世一」
まずは明日の夜。お前の声が聞きたい。
その日の練習中、ひたすらカイザーは調子が良かった。それがこの後に待っているお楽しみの効果だと誰かが知れば絶句するだろうが、周りはただいつにも増して動きの良いカイザーに目を瞠るばかりだ。唯一、潔だけが不可解そうな顔をしていたが、直接尋ねてくることはなかった。
「今日のカイザー、いつにも増して洗練されたプレーでしたね。新たな自主練でも取り入れたんですか?」
「ああ……そんな感じだ」
「そうですか! もし良かったら今度教えてください」
「悪いがそれはできない。ネス、お前には合わないだろうからな」
「そうなんですか? 残念ですが、カイザーが言うならそうなんでしょうね……」
──腹心のネスといえど、分けてやる気などさらさらない。もちろん、ネスにその気は微塵もないだろうが。しかし芽は摘んでおくに限るので。
「それじゃあ、僕は先に上がりますね」
「ああ」
バスタード・ミュンヘンの中ではカイザーの次に練習熱心なネスが練習場を去り、いよいよカイザーの緊張も高まってきた。いつもならここからあと一時間は練習をするが、今は身が入りそうになかった。それでも、身体は染みついた動きを繰り返し、ボールを蹴り上げる。そうこうしているうちに、あっという間にいつもの時間になっていた。
「……一度部屋に戻らなければ」
カイザーとて、さすがに練習場やロッカールームにオナホを持ち歩くほど非常識ではない。ではこれからする行為が非常識ではないのかと言われれば反論のしようもないが。
汚れた身体で部屋に入るのは気が引けるので、あらかじめ入口付近へタオルに包んで置いておいたオナホを掴み、シャワールームへ急いだ。世一のシャワー時間はそう長くないので、急がなければタイミングを逃してしまう。
◇ ◇ ◇
「~♪……~♪」
早足でシャワールーム前の脱衣所へ押し入ると、ご機嫌な鼻歌が聞こえてきたのでどうやら間に合ったようだった。安堵しつつ、シャワールームの扉を閉める際、念の為誰かが入ってくることがないよう鍵を掛けておく。シャワーブースはいつもであれば隣接しない個室を選んでいたが、今日はあえて隣を選んだ。世一はというと未だカイザーがやってきたことに気付いていないようで、楽しげな鼻歌は続く。
「ふふふふ~♪」
パラ、とタオルからオナホを取り出し、さてどうするかと考えた。何よりもまずは、ローションを入れてやらないと可哀想だろう。オナホと同じくタオルに包んでいたローションを取り出し、蓋を外した。呑気に歌っている男の顔が混乱に歪む様を想像するだけで堪らなくなり、ぷちゅ、と穴にその先端を埋め、ローションを押し込んでいく。
「ふんふ~ん♪ んッ?!」
途端に明確に声が上擦った。歌が止む。やはり間違いなくこのオナホは世一と連動しているのだ。そう思うと逸る気持ちを抑えられず、性急にローションを手に塗し、濡れた指で穴の縁を撫でる。
「ひぁッ……」
可愛らしい声が腰にクる。一切の刺激がなくともビキビキと勃ち上がったカイザーの陰茎はたらりと我慢汁を溢し、今日もまたその中で奉仕される時を待っていた。そして、ヒクヒクと震える世一の穴は更なる刺激を求めて指に吸い付き媚びてくる。その様を見て、カイザーは愉しい遊びを思い付いてしまった。
「……世一、大丈夫か?」
「カイザー?!」
「声がしたが、何かあったのか?」
「……いやっ、痛っ……」
これまで一度たりともまともに優しい言葉など掛けられた試しがないのに、そこに邪念があれば人は今まで叶わなかったことも出来てしまうらしい。驚いた様子の世一はその拍子に壁か何かにぶつかったのか、次いで呻き声を漏らした。世一は気が気じゃないだろう。この連日の凶行で、この行為は必ず相手の二度の射精を経なければ終わらないと身に沁みて知っているはずだ。隣にカイザーのいる状況が如何に拙いか。
「怪我してないか? 様子を見に行っても良いか?」
「あっ……いや、大丈夫……ッ、ちょっと驚いただけだから、」
「それなら良いんだが……」
白々しすぎて自分でも笑ってしまいそうだ。しかし、この程度で終わらせるつもりは毛頭ない。準備万端の指を一気に二本、中に挿し入れた。
「んぅ?!」
くぐもった声は、口を手で押さえているせいだろう。カイザーはまだシャワーをつけていないが、向こうはシャワーの音がするので掻き消されたことにして反応することをやめた。気付かれていないと安堵する世一の声が堪えられなくなる瞬間を見たいからだ。
「……ッ、ふ、」
ゆっくりとローションを混ぜるように中を捏ねていく。前立腺は避けているせいか、まだ声は比較的抑えられている様子だった。ぐちゅぐちゅと泡立てるように指を抜き差しして、漏れる声を楽しむ。
「ぁうっ……ひ、ぁ……」
あ──抱きたい。
泣き声の混じる喘ぎ声に腰が一層重くなった。今すぐにでもこの穴にぶち込んで揺さぶりたい。妄想だけでもあれほど気持ちが良かったのだから、実際に声を聞けばこうなるのは当然だった。男の喘ぎ声なんてと強がる余裕すらない。段々とカイザーは自分の意思で我慢しているとはいえお預けを食らっているような気分で苛立たしくなってきて、ぐっと指を押し込んだ。
「……ぅ、ぁあッ──」
ガタ、と音がしてシャワーの音が弱まる。中は指を食いちぎらんばかりに締め付けてきていて、世一が中でイッたことは明白だった。
「……本当に、大丈夫か?」
シャワーヘッドを取り落としたんだろう。未だシャワーの音は弱く、ドライで絶頂した世一の中はヒクヒクと震えていた。まだ声も出せないのか、返答はない。
「……そっち行くぞ」
「ぁっ……待って、大丈夫、だから」
──大丈夫なんかじゃないくせに。
口角が上がっていくのを止められない。これまでだって何度もオナホ越しに世一をイかせていたが、明確に俺の手で世一がイッたのだと実感できたのは今回が初めてだった。それ故か、感情の昂りを抑えられそうにない。
「も、出るから、気にすんな」
「そうか?」
まあ、それを許す気はないけどな。
強がって動揺を押し殺す声に、音に出さずそう呟きながらオナホを亀頭に押し当てた。隣のシャワーの音が止む。それを好都合だとほくそ笑みながら、ごちゅん! と腰を押し付け、遠慮なく奥まで力任せにぶち抜いた。
「ひ、ぁあッ──……」
嬌声の後で、どさ、と蹲る音がする。さあどうするか。優しい男を装って世一を助けに行くか、このままいつものように揺さぶって堕とすか──いや。
ここまで蕩けてんなら、もう直接抱いて堕としてやればいいだろ。無茶苦茶に挿れられても感じられるくらいには、もう世一の身体は俺の形を覚えているんだから。
上唇をぺろりと舐めて、ゆっくりとオナホから陰茎を引き抜いていく。
「アッ……んぅ、あ……ッ」
引き抜く動きにも感じるのか、シャワールームに甲高い声が響き渡った。飢えた獣のように唾液が溢れてやまない。オナホを置いて、代わりにローションを手に颯爽と個室を出る。鼻息は荒く、年上の余裕なんてそこには微塵もなかった。
「世一、」
「ぅ、あえ……かいざ……?」
なるべく優しく、扉越しに声を掛けた。詐欺師でもここまで酷くはないだろうと己を嘲笑しながら。対して未だ微睡の中にいるように朧げな様子の世一は、カイザーを拒絶することも忘れてしまったらしかった。
「入るぞ」
返事を聞く前に扉を開けて押し入った。予想通り蹲った状態の世一がゆっくりと顔を上げ、カイザーの腰のものを目に留めて悲鳴を上げた。
「ひっ……お前、なんで、くるなッ……」
「酷いなァ。あんなに喘いで、一人でシてたんだろ?」
「ちがうっ……なんで……?」
連夜の出来事で、自身がそういう目で見られるということに敏感になったのだろうか。怯えたように狭いシャワールームを後退りするも、壁にぶち当たり絶望の色で瞳を揺らした。でもその股座にある世一のモノは勃ち上がって涎をこぼしたままだ。
──やっぱり可哀想は、可愛いよなァ。
「指じゃなく、もっと太くて長いのが欲しいだろ?」
「いやだっ……いらない、ちがう、」
「あんなにデカい声で喘いで、違うはないだろう。誰かにオナニーショーを見て欲しかったのか?」
「ちがう……ちがうのに……」
ああ本当に。どうしてこんなに可愛いのか。
怯えて縮こまる身体を抱き上げる。腰の砕けた身体から繰り出される抵抗は簡単に抑え込める程度のものでしかなく、カイザーは意気揚々とシャワーブースの外の脱衣所まで足を進めた。カイザーの胸に擦り寄るように顔を伏せて啜り泣く世一の声は、残念ながら逆効果でしかなかった。
◇ ◇ ◇
予めタオルを敷いておいたベンチに下ろす。見下ろした先、怯えた瞳がカイザーを捉えて、縋るように腕を掴んできた。
「……冗談、だよな……?」
「お前こそ、あんな喘ぎ声で誘っておいて、今更嫌だはないだろう」
「あれは……ッ、好きでやってたんじゃない!」
「じゃあ何だって言うんだ?」
口籠る様子を眺めつつ、その足を持ち上げて亀頭を擦り付ける。オナホの中と同じように、すっかり解れた後孔からはローションが滴っていた。これならさらにローションを入れる必要もないか、と手にしていた小瓶を脇に置く。
「やめて、おねがい……」
涙目で見上げてくる世一からの初めてのお願いには正直昂るが、ここまで来てやめられるはずもない。ぐ、とほんの少し腰を押し付ければ、中が招くように蠢いて簡単に亀頭が泥濘の中に埋まってしまった。
「ぬ、抜いて、だめ……ッ、」
「……はー……。世一ぃ、それは逆効果だぞ」
縋るようにこちらへ手を伸ばすその身体ごと抱き上げて、世一の奥を穿つ。
「ぁっ……んぁあ゙──ッ、ひっ……」
「あ゙ー……すっげ、絡みついてくる……ッ。」
ヒダが媚びるようにうねり、カイザーの男根を扱き上げた。獣のような呻き声を漏らしながら、ごちゅごちゅと達したばかりの身体にも遠慮せず揺さぶる。
「止まって……ッ、くぅ、ひぁ……ッ」
「はー……。またドライでイッたなァ世一♡ まるで男なのに女の子みたいだな♡」
背中に回った手が爪を立てて背中を引っ掻いた。その小さな痛みすらも愛おしく、カイザーは世一の首筋に顔を埋めて唇を落としていく。
「ふ、……はー……あ、れ……?」
「ん?」
緩やかな律動の最中、世一がふと顔を上げた。口端からは涎を溢しながら、蕩けた表情が困惑で歪んでいく。
「お、まえ……まさか、」
怯え、焦り、驚き、──そして、期待。
ようやくか、とカイザーの口が歪む。酷く愉しそうに、嬉しそうに。
「ハハッ……偉いじゃないか、世一ぃ。形で分かったのか?」
「おまえ、ぜんぶ、わかって……?!」
「全部? 俺に指入れられて喘いでたことか? 大して慣らされもせずちんこ挿れられただけでイッたこと?」
世一の顔が真っ赤に染まる。距離を取るように肩に手を置いてどうにか逃れようと暴れているが、ガシリと腰を掴んだカイザーの手がそれを許さない。
「……このクソ野郎、信じらんねぇ……ッ! 嫌がらせのつもりか……?」
「馬鹿。嫌がらせで男抱くほど俺は酔狂じゃない。……なあ、世一」
「んぁあッ……♡ ひう、ぁあっ……」
ずんっ、と突き上げれば力を失くした世一が再びカイザーの方へと倒れ込む。その身体を今度は離さぬようにと強く抱きしめて、再び激しく揺さぶった。じゅぷじゅぷと水音が鳴り、ポタポタとローションか世一の腸液か、はたまたカイザーの我慢汁かわからない液体が垂れてきているのがわかる。
「何でこんなことをしたと思う?」
「ふ、ぅうッ……知らなッ……」
「そうかそうか。そうだよなァ。お前は何にも知らないもんな」
またきゅうきゅうと中が蠢いて、カイザーの男根から精液を搾り取ろうと収縮した。
あ゙ぁ、と低く唸りながらも、カイザーは腰を突き上げる動きをやめなかった。気持ちが良い、だが腹立たしい。これほどお前に狂わされた男がいることを知らずに生きていることにも我慢がならない。
「──イけ」
「ぁッ、ぉお゙ッ……。んぁっ、はッ……はッ……」
「……くッ、締めすぎだ……っ、出る、」
どちゅ、と痕が残るほどの力で腰を掴み、勢いよく突き上げた。汚い喘ぎ声が上がるのとほぼ同時に奥の壁が僅かに開き、カイザーは狙い撃つようにその隙間から迫り上がる精子を奥の部屋へとぶちまけた。
「あッ……ァ、だめ、なか、ダメッ……♡」
「世一は中出しが大好きだもんなァ。奥に精液ぶっかけられるとイく身体になっちまったんだろ? 俺がいないと満足できない身体に♡」
びしゃびしゃと中に熱いものがかけられるたび、世一の身体がびくんびくんと震えて瞳からは涙が零れ落ちる。いじらしくも扇情的なその有様に、その涙を舐め取ってやりながら優しく背中を摩った。
「ひぅ……おなか、あついぃ……っ♡ も、つらい……」
「おいおい、お前は知ってんだろ? 俺が一度で満足しないってことくらい、な♡」
「……やぁ……ッ、きもちいいの、いらない……」
「嘘つくな。お腹こんなにきゅんきゅんさせといて満足なんてことは無いだろ」
「身体が勝手に……ッ、だから、ちがう、」
「そうか。でも、俺はまだ足りないからやめないけどな♡」
嫌よ嫌よと口では言っていても、まだ足りないとカイザーの陰茎に縋り付く中は本人よりよほど素直だ。既に復活した男根で再び中を抉り、狙い澄まして奥を穿った。オナホで何度も身体を拓いても、まだ未開の場所を。惜しくも身体の初めては厳密には今日ではないのかもしれないが、ここは真実初めてだ。
「それ、やめて……ッ、なんか、くる、きちゃう、」
「あ゙~~ようやく緩んできたな……早く奥までぶち込んでやりてえ」
突かれるたび、衝撃で穴が開いていく。大抵の人間は奥を突かれると痛みを感じるらしいが、最初から感じ入る世一にはやはり抱かれる才能があるんだろう。本当に、どこまで行ってもカイザーの心をくすぐる男だ。
「入んない、はいらないッ……」
「入らないじゃない、挿れるんだよ」
「むり、だめッ……アッ、だめ、だめ……ッ」
本人の抵抗とは裏腹に、奥は着実に口を開いていた。もう少し開けば、亀頭を押し込んでやれる。そうすればようやく、カイザーの陰茎が全て世一の中へ収まるのだ。ゴクリ、生唾を飲む。
「開いてきた……♡ もうすぐ全部収めてやれるな」
「おかしくッ……おかしくなるっ……なんかくる、くるッ……ん、ぁあ──ッッ……♡♡」
にゅぽ、と亀頭が奥に埋まった瞬間、ぶしゃあ、と潔の陰茎から透明な液体が吹き出した。それは対面座位だったせいでカイザーの顔にまで飛んでいる。口周りに飛んだそれを舌で舐め取りながら、世一の身体を抱え直した。
「はー……奥突かれて潮まで吹くとか……世一はどれだけ俺を興奮させれば気が済むんだ?」
「今ダメ……ッ♡ おかしい、からだおかしいから……ッ」
「これだから童貞は……そう言われて止まれるわけがないだろ」
中が絶え間なく蠢き、早く寄越せと精液を強請って媚びるのと同じく、奥がしゃぶりつくように亀頭に吸い付いて直接催促してくる。いつもと違い、カイザーは迫り上がる射精感に逆らうことなく最奥へそのまま流し込んだ。
「ぅぐっ……ふ、ふーッ、」
「ひぅう♡ あつい……ッ♡ んん……♡」
とちゅ、とちゅと最奥に先端を埋めたまま小刻みに腰を揺らす。奔流のように流し込んだ後も、とぷ、とぷと長い射精は続き、その間も絶え間なく世一は身体を震わせていた。
「はー……ッ、クソ、さいこー……」
「ぅ……アン♡ ぁう♡ も、むりぃ……」
くたりと再び脱力した世一をゆっくりとベンチへ寝かせ、後孔から陰茎を引き抜いていく。腰を引くたび泡立った白い液体が零れ落ちる様はあまりにも目に毒で、これまでなら薄目で見ていたかもしれないほど淫猥だった。
これでようやく終わりだと安堵して世一がベンチに身体を預けて目を閉じようとする。この状況で寝入ってどうする気だと少し興味はあるが、それよりも目の前に世一がいるなら我慢の必要はないので。
力の抜けた身体をひっくり返すのは簡単で、世一はすぐにうつ伏せの姿勢になった。え? と混乱する世一にのし掛かり、ずぷ、と少しも硬さを失っていない男根をゆっくりと埋めていく。
「あぅッ……♡ 終わり、って……」
「そんなこと一言も言ってないだろう? 今までは世一のためを思って自制していただけのことだ」
「……い、いや、さすがにもうむり……」
こちらを振り返った潔の怯えた瞳はポーズなどではなく、表情までも血の気が失せて蒼白になっていた。
これまで二度で終わっていたのはカイザーが限界だからでは決してない。あまり長く離席して世一が怪しまれないため、ひいては誰かに艶やかに喘ぐ姿を見せることがないように。だがこの状況ならそんな配慮も必要ないのだから、好きなだけ貪るに決まっているだろう。
「お前もアスリートならこのくらい余裕だろ?」
「使う体力が違うんだって……ッ」
「……仕方ないなァ。俺が何故こんなことをしているか、その答えが分かったらやめてやろうか」
普段ならカイザーに泣き言を言うなど死んでも嫌がりそうな男が、必死に拒絶の言葉を吐いている。可哀想だ、とも好都合だ、とも思わず、そう囁いたのはただの気まぐれだった。自分ばかりが求めている状況で、相手もカイザー一色になってしまえばいいと、ただそれだけの思いから。
「え……」
「さあ、早く答えないと再開するぞ?」
「ぁっ、ちょ、まって、」
「さーん、にーい、」
「……まてって!」
「どうぞ?」
世一はカイザーのすまし顔を睨んでいるが、残念ながら潤んだままの瞳では男を煽るだけだ。本当に全く見当もつかないようで、答えを急かされ困ったように眉を下げている。
「……わかんねーよ。俺のからだをおかしくするため、とか?」
「はい、残念。じゃあもう一回ヤるか。一回終わるごとに一度の解答権をやるよ」
「は?! そんなの、死ぬ、」
そう言いながら、僅かに締まった中は誤魔化せない。世一は恥ずかしさからか上げていた顔を下げてベンチに突っ伏した。その赤く染まった耳元で囁く。そこに嵌る黒い機器を目にして、そういえばこいつ、シャワー中もイヤホン付けっぱなしだったのかなんて今更気がついた。たぶん外すのを忘れていたとかそんなところだろう。外してやればどんな反応を見せるのか気になるが、それは次のお楽しみとしておこう。
「まァ、安心しろ。そうそう人は死なねえよ♡」
「ほんと、クソ野郎だなお前は……ッ」
「お褒めいただきありがとう。お望み通り激しくしてやろうな」
「いやッ……いらない……!」
「世一は本当に、素直じゃないな」
もがく手を掴んで、指を絡ませる。決して逃さないように。
「トぶなよ、世一」
◇ ◇ ◇
「……ア♡ やぁッ♡」
「そうかもっと欲しいか♡ お望み通り良くしてやろうな♡」
「ちがっ……も、いらない……!」
「天邪鬼め♡ こんなにぎゅうぎゅう締め付けて、抜けないようにしているのはお前だろう?」
「……しらない……ッ♡ あぅ♡」
離さないとぎゅうぎゅう締め付けてくる中に激しく腰を打ち付けながら、ちゅ、ちゅと身体に紅を散りばめていく。自身がこれほど独占欲の強い人間だとは思わなかった。この男が人前で半裸になるのを防げるなら何だって構わない。それに肌に散る紅はまるで薔薇の花弁のように映り、色は違えど、カイザーのものであると証を残しているような心地がして止まれなかった。
「また次も直接この奥に注いでやろうな……世一クンは中に出されるのが大好きだろう? また出されただけでイくかもな?」
「ヒッ……いやだ、やだ……っ!」
「ふ、ほら、出すぞ、溢すなよ……ッ」
「ァ──……ッ、~~ッッ♡♡」
最奥に亀頭を埋め込んでまた大量の白濁を流し込めば、中で出されるのがすっかり癖になってしまったのか、身体をぶるぶると震わせながら中を締め付ける。正常位では縋るものがなく、世一の手がカイザーの前で右往左往していた。その手を掴み指を絡めながら、カイザーは中に精液を塗り込むように腰を回し、尿道に残る最後の一滴まで注ぎ切ろうとする。
「ぐッ……ぅ……。ふは、もう声も出ないか?」
「ひぁッ……♡ ふ、んぅ、」
「あ゙〜〜、世一の中にナマで中出しすんのきもち〜……最後まで搾り取られる……ッ、」
五度目の射精ながら、勢いも量も衰え知らずだった。体位を変える際に抜いてはいるが、一度も萎えてはいないのでほぼヌカロクである。中はもう許容量を超えた精液で満たされて引き抜くたび白い液体が溢れてきていた。
「なか、ずっとでてる……ッ♡ びくびくって……」
「世一ぃ、それマジで煽ってないのか?」
「んぅ……♡ ふぅ、ぁあ……♡♡」
「飛んでんなァ。おい、世一、四度目の解答権だぞ」
息も絶え絶えに喘ぐその頬を叩く。三回戦の始まりの前に一度、寝バックの後に一度、後背位で一度、そして今回。もうぐずぐずになって蕩けた世一は頭も働いていないだろうが、形式として答えを急かした。
「ぇあ……?」
「答えないならこのまま続けるが」
「ぃう……いう、」
「じゃあ答えろ」
うろうろ、目線が泳ぐ。答えに困窮しているような、あるいはどう答えたものかと悩んでいるかのような。しばらくじっとその顔を見つめていれば、意を決した様子で世一が口を開いた。
「……おまえ、おれのこと……すきなの?」
「ようやくか。鈍感な世一クンには難しすぎたってワケね」
あくまでも疑いを瞳に映して、ただその上で可能性として告げただけという様子の男は、正解だと中に埋めた陰茎を引き抜くカイザーに驚いて目を瞠っていた。カイザーの方も、また的外れなことでも言うのだろうと鷹を括っていたから、正直心の準備はできていなかった。答えられたらやめてやるなどと豪語したが、カイザーは世一が堕ち切るまでやめるつもりなどなかったから。
「鈍感じゃない……おまえが、やさしくないから」
「それを言われるとまあ、反論しようがないんだが」
「なんでやさしくないの?」
「……それを、答えろと?」
大人に、中学生だった頃に自分で付けた二つ名の意味を教えてくれと問うのと同じくらい、あるいはそれ以上にカイザーにとっては答え難い質問だった。思春期の男が好きな子にイタズラするのよりもタチが悪いと自覚しているからこそ、簡単には応じられない。カイザーにだって恥じらいくらいあるのだ。
「だって、わかんない……おまえがほんとにおれをすきなのか」
「……言ったらお前は応えてくれんのかよ」
「たぶん……」
もう体力も限界なんだろう。間延びした声は今にも眠ってしまいそうなほど気怠げに聞こえた。
「多分じゃ俺は困るんだよ」
「じゃあ、応える……」
「二言はねぇな?」
「おれは、男、だから……」
限界間近だからとはいえ、こんな凶行に及んだ男と簡単に口約束なんてして、本当に馬鹿な男だと思う。それにつけ込んで言質を取ろうとする自分はそれ以上の愚者だろうが。
応える、と告げられた瞬間本当にらしくもなく踊り出したくなるほど嬉しかったなんて、死んでも言ってやるつもりはない。
「了承ってことね。……まァ、お前が手に入るなら、クソ癪だが教えてやる」
「うん……」
恥も恥だ。自分の稚拙な行動の理由を自分の口で説明するなんて。それでもお前が欲しいのだと言えば、お前は笑ってくれるだろうか。
「優しくしたい。それは本当だ。ただお前が他の誰かと話しているのを見ると……余裕がなくなってしまう。俺の方を見ろとその顔を掴んで無理矢理にでもこちらを向かせてやりたくなる」
「……嫉妬してた、ってこと?」
「そういうところだけは鋭いな、クソ。そうだよ。お前の周りにいる奴ら全員に嫉妬してた。いつお前が誰かのものになってしまうかと思ったら恐ろしくてな」
「ここ男しかいないだろ……」
「馬鹿か。男同士でもそういう気持ちを抱くことはあるって、身を以て知ったばかりだろ。それにお前の周りは……いや、なんでもない」
言葉を切ったカイザーを不思議そうな顔で見上げているが、もう良いだろうとその瞼を撫でて眠りを促した。鈍感なこの男には、警戒しろと告げる方がややこしい事態を引き起こしかねないので、口を噤むことにする。
凯撒被切断的言语,被她带着疑惑的表情仰望,但她觉得已经足够了,于是抚摸着他的眼睑,促使他入睡。这个迟钝的男人,与其告诫他提防,不如保持沉默,以免引起不必要的麻烦。
やがて、すうすうと穏やかな寝息が聞こえてきた。その唇に自身のそれでゆっくりと触れる。そう言えばこれが初めてのキスだったななんてふと思い出した。
渐渐地,平稳的呼吸声传来了。他轻轻地触碰着她的嘴唇。对了,这是我第一次接吻呢,我突然想起来。
あらゆる液体に塗れた身体を丁寧に洗ってやって、カイザーの自室に寝かしてやろう。そうすれば夢だったなんて思うことも、言い逃れを許すこともない。その身体を抱き上げて、再びシャワールームへと戻った。
把浑身湿透的身体仔细地洗干净,然后让凯撒躺进他的卧室。这样他就不会胡思乱想,也不会找借口了。她抱起他的身体,再次回到了浴室。
それに未だあのオナホがカイザーの手中にある以上、世一は俺を拒めない。だから──
既然那个オナホ还在凯撒手中,世一就不会拒绝我。所以——
「お前が俺のものでいる限り、優しくすると約束しよう」
只要你还是我的,我就保证温柔对待你
天邪鬼で、素直じゃなくて、こんなことを仕出かすような男ではあるが。ミヒャエル・カイザーという男は世界で一番潔世一を愛しているのである。
天邪鬼,不老实,却做出这种事的男人。米夏埃尔·凯撒这个男人,却最爱洁世一。
昨年3/17の春コミにて頒布した本でした。お手に取ってくださった皆様、ありがとうございました!
カイザーの誕生日、アニメ登場を記念し、1月末まで掲載します。良ければお楽しみください。
あらすじ:
ブルーロックからの支給品に紛れた魔法のオナホを手に入れたカイザーは、『恋するあの子のナカを完全再現♡ ※感覚共有あり』という謳い文句を疑いながらも、最悪な関係性から進展の望めない世一を堕とすため、そのオナホを利用することに決める。本人を堕とせないなら、まずは身体から。感覚共有という文言に惹かれるままに連日オナホでひとり遊びをするようになっていく。
以下含みます
無理矢理/♡喘ぎ/結腸責め/濁点喘ぎ/潮吹き/中出し
今年もよろしくお願いいたします!
この作品以外でも感想などいただけたら嬉しいです!
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