弟くんはお兄さまと最良のパートナーには逆らえない(不本意)
弟弟君无法违抗与兄长大人成为最佳搭档的命运(心不甘情不愿)
・今週もよろしくお願いいたします。 ・本周也请多多关照。
アニメ二期まで一ヶ月を切りましたね。待ち遠しいです。
动画二期还有不到一个月就要开始了,真是期待啊。
【お読みいただく前の注意事項】 【阅读前的注意事项】
・冴潔With凛でお送りいたします。 ・由冴洁与凛共同为您呈现。
・冴さんの熱愛報道です。n番煎じの出がらしですが、ご容赦ください。
・关于冴先生的热恋报道。虽是老调重弹,还请见谅。
・ヤマもオチもございませんし、なんなら中身もございません。
・既无高潮也无结局,甚至内容也空空如也。
・タイトルセンスは皆無です。 ・标题感完全为零。
・誤字脱字はサイレント修正を行います。 ・错别字会进行静默修正。
暇すぎてどうしようもない時にご覧ください。 闲得无聊时请随意观看。
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◆◆◆
ホテルには記者が詰めかけていた。 酒店外挤满了记者。
会場に入りきれなかったフリーランスのカメラマンや糸師冴のファンたちでホテル前では交通規制が行われるほどだった。
会场容纳不下的自由摄影师和糸师冴的粉丝们挤满了酒店前,甚至实施了交通管制。
これほど、いちサッカー選手が注目されることがあっただろうか。
如此这般,一名足球运动员受到如此瞩目,实属罕见。
これから行われる会見を、記者たちは今か今かと待ち望んでいた。
记者们对即将举行的发布会翘首以盼,迫不及待。
熱愛報道が出て初めての会見。 首次报道后的新闻发布会。
マスメディア嫌いの糸師冴がついに公の場で口を開く。
讨厌媒体的糸师冴终于在公开场合开口。
先だって、お相手とされる女優は、『大人として、親密にお付き合いさせていただいております』と声明を発表している。実に大胆な発言だ。彼女には勝算があるのだろう。或いはひどく妄想に犯されているのか。
此前,被视为对象的女演员发表声明称,‘作为成年人,我们正在亲密交往中’。这真是大胆的发言。她是有胜算的吧。或者说是被妄想所困扰。
会場に用意された壇上には机と椅子がみっつ、並べられている。
会场准备的讲台上摆放着三张桌子和椅子。
先ほど件の女優がこのホテル内に入っていったという目撃情報もあるため、両者揃っての交際宣言、或いは結婚会見か。
刚才也有目击消息称那位女演员进入了这家酒店,两人一起宣布交往,或者是结婚发布会吧。
期待が高まっていく。 期待逐渐高涨。
やがて司会進行を務める男性の言葉と同時に、閉ざされていた会場前方の扉が開き、一斉にフラッシュが焚かれた。
随着主持人的话语落下,会场前方的门缓缓打开,瞬间闪光灯齐齐亮起。
まず初めに足を踏み入れたのは、渦中の糸師冴。 首先踏入会场的是身处漩涡中心的糸师冴。
そして次に姿を現した人物に、会場内にはざわめきが走った。
而当第二个人物现身时,会场内顿时响起了一阵骚动。
「なんで潔世一選手が…?」 「为什么洁世一选手会……?」
誰かが発した言葉は、会場内の皆の気持ちを表していた。
某人脱口而出的话语,道出了在场所有人的心声。
潔は一斉にこちらにカメラレンズを向けてくる彼らに対して、一瞬驚いたように目を見張った後、少し照れながらもにこっと笑みを浮かべた。フィールド外では温和で人好きのする性格がよく表れた対応に、記者たちの心がほっこり和む。
洁面对齐刷刷将镜头对准自己的他们,先是惊讶地睁大了眼睛,随后略带羞涩地微微一笑。在场外展现出温和讨喜性格的应对,让记者们的心中感到一阵温暖。
最後にやってきたのは、渋面の糸師凛だ。 最后到来的是,面色阴沉的糸师凛。
記者たちは増々分からなくなって、あれ、この会見って熱愛報道に関するものじゃなかったのかも、なんて思うようになった。
记者们越来越摸不着头脑,心想,咦,这场发布会难道不是关于热恋报道的吗?
冴と凛はさっさと椅子に腰かける。潔はぺこっと一礼して、それから冴の横に座った。
冴和凛迅速坐下。洁微微鞠了一躬,然后坐在了冴的旁边。
「前置きは省く。 「前言省略。
先日の俺の熱愛報道はほぼ全て事実無根だ」 前些日子的我的热恋报道几乎全是子虚乌有」
マイクのスイッチを入れた冴が、社交辞令も何もかもすっ飛ばしていきなり始める。
冴打开麦克风开关,连社交辞令也一并跳过,直接开始了。
横の潔はあれまぁ、という顔をして、凛は腕を組んで宙を睨みつけている。あれ、やっぱり熱愛報道関係なんだ、と思った記者たちは、潔と、まあまあ物騒なお顔をしている凛がこの場にいることにもう一度首を傾げた。生中継のクルーたちは、この凛の表情をお茶の間に届けていいのかと戸惑うほどだった。
横山一脸‘哎呀,真是’的表情,凛则抱着手臂瞪着空中。记者们心想,果然还是和热恋报道无关啊,再次对洁和那个看起来相当危险的凛出现在这里感到疑惑。现场直播的工作人员们,甚至对是否要将凛的表情传达到观众家中感到困惑。
「しかし、同じホテルに泊まったのは間違いないですよね!? 入るときも数分差、出るときも数分差なんて、偶然にしては出来過ぎてませんか?」
「但是,住在同一家酒店是毫无疑问的吧!?进去和出来都只差几分钟,这偶然也太巧合了吧?」
「お相手の方はお付き合いを公言されていましたが!」
「对方可是公开承认了交往关系的!」
「ほぼ全てってことは、事実も含まれているってことですよね!」
「几乎全部的意思,就是说也包括事实吧!」
冴が礼節にこだわらない始め方をしたためか、質問が矢継ぎ早に放たれる。
因为冴不拘礼节的开始方式,问题接二连三地抛出。
「一緒のホテルを同じタイミングで利用した人間は全て熱愛中ってか? 笑わせる。
「在同一时间入住同一家酒店的人全都在热恋中吗?真是笑死人了。
名前が挙がってる相手だが、そもそも俺は一度も会ったことがねぇ。顔も知らねぇ相手と勝手に関係作られても迷惑なだけだ」
虽然提到了名字,但说到底我一次都没见过。连脸都不知道的人,擅自扯上关系只会让人困扰。
冴の完全否定に、会場がどよめく。 冴的完全否定,让会场一片哗然。
「しかし冴選手はいままで一度も熱愛報道が出たことはありませんでしたよね。今回が本命ってことじゃないんですか?」
「但是冴选手至今为止从未有过热恋报道吧。这次难道不是真命天子吗?」
「あんときゃ、俺もちょっと浮かれてたんだよ。そんでアンタらのお仲間のカメラに気が付かなかった」
「那时候啊,我也稍微有点得意忘形了。结果没注意到你们同伴的相机。」
「え」 「诶」
糸師冴が浮かれる?? 糸师冴会得意忘形??
記者たちは一様に宇宙を背負った猫のような顔になった。
记者们一致露出了背负宇宙的猫一般的表情。
傲岸不遜、冷静沈着の糸師冴が、浮かれる? 傲岸不逊、冷静沉着的糸师冴,竟然会兴奋?
そんな馬鹿な。 怎么可能。
「な、なにかいいことがあったんですか」 「发、发生什么好事了吗?」
「ああ」 「啊啊」
ついぽろっと出てしまった……みたいな質問に、冴は唇の端を引き上げた。
面对那不经意间流露出的……类似的问题,冴微微扬起了嘴角。
「先日プロポーズして婚約者に昇格した潔と久しぶりに会う約束があったからな。遠距離恋愛ってのは大変だよな」
「前几天刚求婚,升格为未婚夫的洁,我们约好了好久不见要见面。远距离恋爱真是辛苦啊。」
「え」 「诶」
記者たちの目が、冴と潔の間を忙しなく往復する。潔はぽっとほほを朱に染めた。
记者们的目光在冴和洁之间来回穿梭。洁的脸颊瞬间染上了绯红。
「え」 「诶」
「え……えええええっっっ!!」 「诶……诶诶诶诶诶诶诶诶!!」
「うるせぇ」 「吵死了」
「冴、記者さんたち、せっかく集まってくれてるんだしさ、もう少し愛想よく言えない?」
「冴、记者们,难得大家聚在一起,能不能再亲切点说话?」
「こいつらに振りまく愛想はねぇ」 「对这些家伙可没什么好脸色」
「つーか、帰っていいか、俺」 「话说,我可以回去了吗,我」
「えぇー、せっかく来たんじゃん、まだ居とけよ」 「诶——好不容易来了,再多待一会儿嘛」
冴の熱愛騒動(誤報)にも、冴と潔の恋愛模様にも関わりのない凛は、有無を言わさず会場に引っ張ってこられたことにイライラしていた。
与冴的热恋风波(误报)以及冴和洁的恋爱状况毫无关系的凛,被强行拉到会场,心中满是烦躁。
しかし潔はきゅるんとした可愛いお目目で凛を椅子に縛り付ける。
然而洁用那双圆溜溜的可爱眼睛,将凛牢牢地绑在了椅子上。
「俺の熱愛報道すんなら、相手はコイツ――潔世一一択だ。その皺のすくねぇ脳みそにしっかり叩き込んどけ」
「如果非要报道我的热恋对象,那只能是这家伙——洁世一,别无他选。把这牢牢刻进你那没褶皱的脑子里。」
「多分俺にオーラがないのが問題なんだと思いますが」
「大概是因为我没有气场吧。」
暴言の数々の冴に代わって、潔がマイクを握った。 接替冴的连番暴言,洁握住了麦克风。
「あの日、俺が一番にあのホテルにチェックインしたんですよねー…で、後から冴と部屋で合流しました」
「那天,我第一个到那家酒店办理了入住……然后,冴后来在房间里和我汇合了。」
「冴選手を庇っているのではないですか?」 「您是在袒护冴选手吗?」
「庇う? なぜですか? 「袒护?为什么这么说?」
もし冴が、俺というものがありながら余所にうつつを抜かすような男なら、さっさと斬り捨ててますよ、俺」
「如果冴发现我是个有你这样的存在却还心不在焉的男人,我会立刻斩断这份关系。」
「俺はてめぇしか興味ねーよ」 「我只对你感兴趣。」
「ありがと。 「谢谢。」
ってなわけで、その女優さんとの熱愛はいっさいありません。糸師冴は俺ひとりの男です」
所以,我和那位女演员之间没有任何热恋关系。糸师冴是我一个人的男人」
潔はこのホテルのどこかで会見を見ているであろう女性に、そして世界に宣言した。
洁向在这家酒店某处观看发布会的女性,以及全世界宣告。
「婚約早々不倫と言うことは……ヒッ!」 「刚订婚就传出出轨的消息……嘶!」
下卑た顔をした記者は台詞半ばで息を呑み、冴と潔の鋭い眼光に恐れをなして席に小さく蹲る。
低下卑微的记者话说到一半便屏住了呼吸,被冴和洁锐利的目光吓得缩回了座位。
「……この事実を、凛選手はご存じだったんですか」 「……这个事实,凛选手您知道吗?」
「あ? ご存じも何も、毎回巻き込まれてんだよ、こっちは」
「哈?知道什么啊,每次都被卷进来的是我这边好吗」
凛の眉間にふっっっかい皺が寄る。 凛的眉间皱起了深深的皱纹。
「こいつらはただのバカップルだ。ほっとけ」 「他们只是普通的笨蛋情侣。别管了」
「えーバカップルってことはないだろ」 「哎——说他们是笨蛋情侣也太过分了吧」
潔が凛の物言いに文句をつけた。 洁对凛的言辞提出了异议。
「お互いの間に誰も入る余地がないってだけなんだから」
「我们之间根本容不下任何人」
「公共の電波つかって公然とノロケんな、キメェ」 「别用公共电波公开胡闹,混蛋」
「相手がいないからって僻むな愚弟」 「没有对手就别闹别扭了,笨弟弟」
「僻んでねぇし!!」 「我才没闹别扭!!」
記者を放っておいてのやり取りに、記者たちは『糸師凛には恋人がいない』とメモを取った。
记者们见缝插针,记录下『糸师凛没有恋人』的信息。
「……つまり、この会見は、冴選手と潔選手の交際宣言…ということでよろしいですか?」
「……也就是说,这次会面是冴选手和洁选手的交往宣言……这样理解可以吗?」
女性記者がこほんと軽く咳払いして尋ねると、再び冴がマイクを握った。
女记者轻轻咳嗽一声询问后,冴再次握住了麦克风。
「交際宣言? んなわけねーだろ。 「交往宣言?怎么可能。」
入籍会見だっつーの」 入籍见面会啊,真是的」
リアコ勢は焼き払われ、凛潔勢は滂沱の涙を流し、冴潔勢は我が人生に一片の悔いなしと安らかに息を引き取った。
现实派被烧尽,凛洁派泪如雨下,冴洁派则无悔地安然离世。
【終わっとく】 【结束了】
熱愛報道相手の女性はストーカー。 热衷报道对手的女性是跟踪狂。