永遠がみえたとき
転生パロです。
教師(前世の記憶あり。しかし記憶喪失により忘れてしまう)✕教師(前世の記憶あり)
このお話(novel/17834050)の続編なのですが、読んでなくても大丈夫な内容となっております。…恐らく。
呪いのない世界に転生した五条と夏油は、学生時代から付き合っている恋人同士。ふたりは母校である呪術学園で教師をしながら、時折周囲を巻き込む大喧嘩をしつつも、ゆっくりと愛を深めていた。
が、五条が事故に遭い、記憶喪失になってしまったことで、ふたりの関係は一変してしまう。
『別れて。俺、男は無理だわ』
記憶喪失になった五条は、同性の夏油が恋人であることを拒絶し、ふたりは別れてしまう。
恋人関係を解消し、同棲していたマンションも出ていった五条。しかし、気づけば夏油のことを考えてしまう日々が続く。そんな想いに戸惑いつつも、やっぱりあの男は特別な存在なんだと五条が再認識した矢先、夏油がお見合いをしたと噂を聞いて──、な、お話です。
※ご注意※
・五条先生は記憶喪失により忘れてしまいますが、みんな前世の記憶があります。
・ミミナナちゃんたちは、虎杖君たちより一学年上の設定です。
前回は、温かいメッセージをありがとうございました。コメントも、とても嬉しかったです。スタンプもいっぱい頂けて幸せでした。また、ブックマーク、いいね、フォローと、ありがとうございました。
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永遠なんて、あるわけがない。
さっきまでこの部屋にいた双子達が、
〝永遠の愛を誓ったくせに〟
と、泣きながら訴えてきたけれど。
そもそも、『永遠』なんて言葉はまやかしで、それこそ他人同士の繋がりにそんなものを求めても、無謀で、無意味だ。
ましてや自分が、この目の前の男にそれを感じろだなんて、あり得ない。
『ああ、分かった。別れよう』
その男は一度、自身の左手の薬指で光る指輪を撫でたあとに、そう応えた。男の額に垂れた前髪が、開いた窓から入り込んできた秋風に揺れる。俺はその動きを目の端で追った。変な前髪、と思った。ただ、それよりも印象的だったのは──、
『オマエ、誰?』
目覚めたばかりの俺が、その男にそう訊ねたとき、訊ねられた男よりも後ろに控えていた奴らの方が、驚いた顔をしていた。それなのに、
『良かった』
男は穏やかに呟いた。そして、
『君が目を覚まして、本当に良かった』
と、笑ったのだ。
その男と病室で二人きりになって、俺は全てを聞いた。けれど、到底受け入れることなんて出来なくて。
『別れて。俺、男は無理だわ』
と、告げた。
ベッドサイドの棚の上に置かれた指輪が、俺のもので、その男の左手の薬指に嵌められているものと揃いであることは、早々に気づいていた。
所謂、【永遠の愛の証】。だから俺は、それをその男に渡した。否、〝返した〟と言うべきか。そのプラチナでできた小さな塊は、思ったよりも軽かった。
男は、それは、と唇を動かしたけれど、声にすることはなく、浮かべた戸惑いを微笑みに変えて、
『ああ、分かった。別れよう』
と、俺から指輪を受け取った。
その男が動揺らしい動揺を見せたのは、それ一度きりで、あとはずっと静かだった。
そうして、俺達は別れた。
【永遠がみえたとき】
ほら、やっぱり、まやかしだ。