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縁は奇なもの落ちるもの/茶茶茶的小说

縁は奇なもの落ちるもの 缘分真是奇妙的东西

15,852字31分钟

「ゴサイジンとやらに運命をねじ曲げられるのが気に食わないだけだ」
「只是不喜欢被那个叫戈赛金的命运扭曲罢了」

「やっぱお前って可愛いよな」 「果然你这家伙很可爱啊」
「目が腐ってんのか?」 「眼睛坏了吗?」

渡独前、縁切りで有名な神社にカイザーとの縁切りをお願いしたらシーズン中全く会わなくて、それはそれで不服な世一が縁を繋ぐために神社に再訪したらカイザーと鉢合わせるお話です。
在渡独前,以斩断缘分闻名的神社里,我请求与凯撒断绝关系,结果整个赛季都没再见面,对此不满的世一为了重新牵起缘分,再次造访神社,却与凯撒不期而遇的故事。


・プロif:世一独、カイザー西 ·职业 if:世一独、凯撒西
・捏造+にわか知識 ·捏造+临时知识

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表紙お借りしましたillust/108750697
封面借用自 illust/108750697

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 初夏と言いながらも夏本番のような暑さの中、世一は一人で京都に来ていた。じりじりと照りつける日差しにパーカーを脱ぎ、無地のグレーシャツを汗で濡らしながら石畳の上を歩く。
 虽说是初夏,却已如盛夏般炎热,世一独自一人来到了京都。在炙热的阳光下脱掉外套,穿着素色的灰色衬衫,汗水浸湿了衣衫,走在石板路上。

 電車から降りて十数分歩き、ようやくたどり着いたそこは人が集う神社。世一と同じ目的で来たであろう真剣な面持ちの人々や、観光でやって来たらしい外国人たち。いろんな人間に囲まれながら、世一は鳥居をくぐった。
 从电车下来步行了十几分钟,终于到达了那个热闹的神社。与世一怀着同样目的而来的神情严肃的人们,以及像是来观光的外国人。被形形色色的人们包围着,世一穿过了鸟居。

 悪縁を断ち切り、良縁を結ぶ。  斩断恶缘,结下良缘。
 そんな言葉と共に話題となったこの神社では、自分自身で断ちたいと感じる縁を切ることができるのだという。普段なら神頼みなんてと本気にしない世一だったが、ある事情で切羽詰まっていたこと、縁が切れたという口コミが多かったこともあり、渡独前の休日を使って訪れた。
 据说在这个因这句话而成为话题的神社,可以斩断自己想要断绝的缘分。平时对神明祈愿之类的事情并不当真的洁世一,因为某种原因陷入了困境,再加上有很多口碑说缘分被切断了,所以他在前往德国前的休息日来访了。


 ――潔世一は、来季からバスタード・ミュンヘンに所属する。
 ——洁世一,将从下个赛季起加入巴斯塔德·慕尼黑。

 ブルーロックという狂ったプロジェクトに参加し、その中でドイツのサッカーチーム、バスタード・ミュンヘンからのオファーを勝ち取った。正しくはいくつかのチームが世一を入札しようとしたのだが、自分の望むプレーをするために世一は憧れの人が所属するバスタード・ミュンヘンを選んだのだ。
 他参加了名为蓝色监狱的疯狂项目,并在其中赢得了德国足球队巴斯塔德·慕尼黑的邀请。正确地说,有几个球队试图竞标世一,但为了实现自己想要的踢球方式,世一选择了憧憬之人所属的巴斯塔德·慕尼黑。

 そこで、一つ懸念事項がある。クソうるさい皇帝様だ。
 于是,有一个令人担忧的问题。那个烦人的皇帝陛下。

 ブルーロックプロジェクトの第二段階、新英雄大戦で同じチームになって以来、何かと突っかかってくるストライカー、ミヒャエル・カイザー。その実力は世界に認められるほどのものだが、実力の素晴らしさが人格に繋がることなどないと世一は彼で思い知った。
 自从在蓝锁计划第二阶段、新英雄大战中成为同一队的队友以来,总是找茬的斯特莱克、米海尔·凯撒。他的实力得到了世界的认可,但世一深知,实力再强也未必能反映在人格上。

 彼がブルーロックに参加している間、マウント癖の嵐を一身に受けた世一は疲弊していた。もちろん彼がいたことで得られたものはたくさんあったけれど、その性格の悪さで相殺されている。
 在他参加蓝锁期间,世一独自承受了那场傲慢的风暴,疲惫不堪。当然,因为有他在,也得到了很多好处,但都被他那恶劣的性格抵消了。

 そんな彼はバスタード・ミュンヘンの下部組織に所属しており、今回のブルーロック・プロジェクトを経てトップチームに上がるのだろう、と世一は考えていた。プロジェクト中、彼を入札しようとするチームは多々あったが、最高額を出したのはバスタード・ミュンヘンだ。順当に考えればバスタード・ミュンヘンのユニフォームを着続けることになるだろう。
 他隶属于巴斯塔德·慕尼黑的下属组织,世一认为,经过这次蓝色监狱计划,他应该会晋升到一线队。在计划期间,有许多球队想要竞标他,但出价最高的是巴斯塔德·慕尼黑。按理说,他将继续穿着巴斯塔德·慕尼黑的球衣。

 つまり、世一はこれから少なくとも一年間、彼のチームメイトとなる。新英雄大戦の時のような絡まれ方を毎日のようにされると予想される。
 也就是说,世一至少在未来一年内将成为他的队友。可以预见,他会像新英雄大战时那样,每天都被纠缠不休。

 そんなのは御免だと対策を調べた結果、見つけたのが縁切り神社だ。口コミを見れば見るほど同じような悩みを持つ人々がいて、世一は気付けば京都行きの新幹線のチケットを取っていた。
 世一对此感到厌烦,于是查找对策,发现了一个断缘神社。通过口碑,他发现有许多人与他有同样的烦恼,不知不觉中,他已经订好了前往京都的新干线车票。


 参道を抜け、手水舎の前で足を止める。幼い頃父に教わった通り手を漱ぎ清めた。
穿过参道,在手水舍前停下脚步。按照小时候父亲教的那样,漱口洗手,洁净自身。

 この神社にはトンネル状に穴が空いている石碑があり、それを潜ると悪縁を断ち切れるのだという。女性率の高い列に並び、四つん這いになって狭い穴を表から裏、裏から表へ潜った。カイザーとどうか縁が切れますように。そんな思いを込めながら。
这座神社有一块石碑,上面有一个隧道状的洞,据说钻过这个洞就能斩断恶缘。排在女性居多的队伍中,四肢着地,从狭窄的洞口从前往后、从后往前钻过。愿与凯撒的缘分就此断绝。心中怀着这样的祈愿。

 ワンコインで購入した絵馬にも匿名で皇帝との縁切りを願う文章を書き、日付とイニシャルで締めて掛所に飾る。他の絵馬にも恨みつらみがこもった縁切りを願う文章が並んでいて、世一は心が軽くなった気がした。うん、これならドイツでも頑張れそう。
在用一枚硬币购买的绘马上,匿名写下希望与皇帝断绝缘分的祈愿,用日期和首字母封好,挂在祈愿处。其他绘马上也满是充满怨恨的断缘祈愿,世一感到心情轻松了许多。嗯,这样在德国也能努力下去了。

 すっきりとした気持ちになった世一は軽い足取りで近くの甘味屋に向かい、餡蜜を楽しんだ。
 心情舒畅的世一轻快地走向附近的甜品店,享受着餡蜜的美味。

 ――ミヒャエル・カイザーをスペインの王者レ・アールが獲得した、というネットニュースを世一が見たのは、その一週間後の話だった。
 ——世一在网上看到米夏埃尔·凯撒被西班牙王者莱·阿尔获得的消息,是在那一周之后的事情了。



「……イチ、世一! 聞いてるんですか!?」 「……一、世一!你在听吗!?」
「……あー……」 「……啊……」

 ぱちり。世一は意識を浮上させる。嫌な熱を持て余す目覚めに顔を顰めていると、うるさく喚いていた男が目を吊り上げた。
 啪嗒。世一恢复了意识。他皱着眉头,对这令人不快的燥热醒来感到不适,这时,那个吵闹的男人瞪大了眼睛。

「いつまで寝ているんですか」 「你还要睡到什么时候?」
「……ネス」 「……内斯」

 ユニフォームを脱ぎ、スポーツウェアに着替えたアレクシス・ネスは世一の反応にため息を吐く。
 换下制服,穿上运动服的亚历克西斯·内斯对着世一的反应叹了口气。

「そんなところで寝ていたら体を痛めますよ。それに、もう撤収の時間です」
「在那里睡觉会伤到身体的。而且,已经是撤离的时间了」

 世一が寝ていたのはロッカールームのベンチで、部屋には世一とネス以外誰もいなかった。きっと皆は既にバスの中なのだろう。世一は慌てて起き上がる。
 世一在更衣室的板凳上睡着了,房间里除了世一和内斯外没有其他人。大家肯定已经在巴士上了。世一慌忙起身。

「悪い、すぐ用意する」 「抱歉,我马上准备」
「ええ、五分で支度してください」 「好的,请在五分钟内准备好」

 そう言ったネスは壁に寄りかかり、携帯端末を弄り始めた。どうやら世一がこの部屋を出るまで付き添ってくれるらしい。彼とはブルーロックプロジェクトからの付き合いだが、随分と態度が軟化したものだ。笑顔で嫌味ったらしいことを言ってくるところは変わらないけれど、チームメイトとしての情が透けて見えることが多くなった。
 说完这话的内斯靠在墙上,开始摆弄起手机。看来他会一直陪着世一,直到他离开这个房间。虽然两人是从蓝色监狱项目开始认识的,但内斯的态度明显软化了许多。他依然会笑着说些带刺的话,但作为队友的情谊却越来越明显地流露出来。

 ――ブルーロック、か。  ――蓝色监狱,啊。

 連想して思い出される顔に、すっかり冷えたユニフォームを脱ぎながら世一は顔を顰める。
 世一一边脱下已经完全冰冷的队服,一边皱起眉头,脑海中浮现出那些令人不快的面孔。

 今日、世一が所属するバスタード・ミュンヘンはヨーロッパのサッカーリーグ、チャンピオンズリーグの準決勝に臨んだ。
 今日,世一所在的巴斯塔德·慕尼黑队迎来了欧洲足球联赛,欧冠半决赛的挑战。

 相手はフランスの強豪、パリ・エクス・ジェン。ブルーロックで最良とも評されたライバル、糸師凛が籍を置くチームだった。
 对手是法国劲旅,巴黎圣日耳曼。被誉为蓝色监狱中最优秀的对手,糸师凛所在的球队。

 ノエル・ノアを中心としながら、世一など他の攻撃軸も持つバスタードだったが、惜しくも一点差で破れてしまった。
 尽管以诺埃尔·诺亚为核心,世一等其他攻击轴也具备的巴斯塔德队,可惜以一分之差惜败。

 世一は1ゴール1アシストと貢献したものの、最後まで凛に勝つことはできなかった。素晴らしい成績だと世間は褒め称えるであろう結果ながらも、世一は決勝に行けなかったこと、凛に勝てなかったこと、その二つに激昂し、ロッカールームで荒れた。気付けば気絶するように寝ていて、起こされ今に至る。
 世一虽然贡献了一粒进球和一次助攻,但最终还是没能战胜凛。尽管这是一个外界会称赞为出色成绩的结果,但世一因为没能进入决赛、没能战胜凛这两件事而愤怒,在更衣室里情绪失控。回过神来时已经昏睡过去,直到现在才被叫醒。

 何ともみっともない姿を晒してしまったものだ。チームメイト、特にノアには謝罪とフォローを入れなければ。そんなことを考えていると、ネスが大きな独り言を溢した。
 真是丢尽了脸。必须向队友们,特别是诺亚道歉并解释清楚。正当他这么想着,内斯突然大声自言自语起来。

「決勝は、フランスとスペインになるらしいよ」 「听说决赛将是法国对西班牙」

 世一はベンチを蹴り上げたい衝動に襲われたが、拳を握ることで耐える。
 世一有种想踢翻长椅的冲动,但他握紧拳头忍住了。

 分かっていたことだ。スペイン――レ・アールが進むことは。何度もチャンピオンズリーグを制覇しているチームだ。準決勝の相手がイングランドの王者マンシャイン・シティだとしても怯みはしない。
 他心里明白。西班牙——莱·阿尔的实力。这是一支多次夺得欧冠冠军的球队。即使半决赛的对手是英格兰的王者曼城,他们也不会退缩。

 けれど、その結果は世一の心臓をぐちゃぐちゃにした。何に怒っているのか、何を悔しがっているのかも分からない。ただ一つ、世一はその舞台に立てない。それだけが真実だった。
 然而,这个结果让世一的心脏乱成一团。他不知道自己在生什么气,也不知道自己在后悔什么。唯一清楚的是,他无法站上那个舞台。这就是唯一的真相。

「世一」

 温度のない声で名を呼ばれる。口元を端末で隠したネスが、こちらをじとりと見つめていた。
 被用毫无温度的声音唤了名字。嘴角被终端遮住的奈斯,正目不转睛地盯着我。

「観て行きますか?」 「要去看吗?」
「帰る」 「回去」

 今年のチャンピオンズリーグの準決勝、決勝の地に選ばれたのはイングランド、ロンドンだ。敗退したバスタード・ミュンヘンは決勝が行われるよりも先に帰国することになる。決勝をこの目で観るのなら、チームを先に帰して残るしかない。
 今年的欧洲冠军联赛半决赛和决赛的举办地选在了英格兰,伦敦。败北的巴斯塔德·慕尼黑将在决赛举行之前先行回国。如果想要亲眼观看决赛,那就只能让队伍先回去,自己留下。

 レ・アールとパリ・エクス・ジェン。世一がサッカーをする上で重要な人間が揃う大一番。観るべきなのは分かっているが、感情の嵐が吹き荒れたままの心で観たくはない。瞬時にそう判断して断ると、ネスは世一の返事に驚きもせず、そうですか、と呟いて端末に視線を戻した。彼は気持ちが定まらない世一を焚き付けるために問いを投げてきたらしい。珍しく気を遣われたと分かる。
 雷·阿尔与巴黎·埃克斯·让。世界第一的足球场上汇聚了至关重要的人物,这是一场大决战。虽然明白应该观看,但不想在情感风暴肆虐的心境下观看。瞬间做出判断并拒绝后,内斯对世一的回答并未感到惊讶,只是喃喃自语道:“是吗。”然后将视线转回终端。他似乎是为了激起心情未定的世一而投来问题。难得地感受到了他的体贴。

 ――それほどひどい有様なのだろう、今の自分は。  ——现在的自己,恐怕是那般糟糕的状态吧。
 世一は密かに自嘲した。  世一暗自自嘲。

 荷物をまとめた世一はロッカー内に忘れ物がないか確認し、気持ちに蓋をするように扉を閉じる。顔を上げれば、ネスがようやくかと目を眇めた。
 整理好行李的世一检查了储物柜内是否有遗漏,然后像是要封住心情一样关上了门。抬起头,内斯终于眯起了眼睛。

「さっさと帰りますよ。来季に向けて」 「快点回家吧。为了下个赛季」
「ああ」 「啊」

 次は勝つ。力強く返事をし、世一は部屋を出る。そして迷うことなく飛行機に乗り、イングランドを発ったのであった。
 下次一定会赢。坚定地回答后,世一走出了房间。毫不犹豫地登上飞机,离开了英格兰。



『リン選手、上がる上がる上がる! 反撃に切り替わった瞬間、何人もの選手を抜いて一気にゴールエリアへ!』
『林选手,冲啊冲啊冲啊!在反击转换的瞬间,连续突破多名选手,一口气冲向球门区!』

 帰国後、自宅に戻った世一は一人でテレビと向かい合っていた。画面に映っているのはまさに今行われている決勝戦。点差はゼロ、残り時間は十二分。手に汗握る展開にも関わらず、世一はソファーに横になるというだらしない格好で眺めていた。
 回国后,世一回到了自己的家中,独自一人面对着电视。屏幕上播放的正是此刻进行的决赛。比分持平,剩余时间十二分钟。尽管比赛紧张得令人手心冒汗,世一却懒散地躺在沙发上观看。

 画面の中で凛が一気に駆け上がる。しかし簡単に行かせてもらえるほど、レ・アールは甘くない。彼の天敵とも呼べる男――実の兄、冴が立ちはだかる。
 画面中,凛一口气冲上前。但莱·阿鲁尔并非轻易能被突破的对手。他的天敌,也是他的亲哥哥——冴,挡在了他的面前。

 カメラが捉えた冴は口が動いていて、凛に何か言ったのだろうと窺えた。しかし凛は答えず、パスで兄の壁を抜けていく。
 镜头捕捉到冴的嘴在动,似乎在对凛说些什么。然而凛并未回应,而是通过传球突破了哥哥的防线。

『おおっと、ここでパス! リン選手にしては珍しいプレーですね』
『哦,这里传球了!凛选手这种打法还真是少见呢』

『相手はサエ・イトシですからねぇ』 『对手可是佐伯伊织啊』

 冴を抜かした凛は再びボールを持ち、確実にシュートできるポジションを得ようとしていた。そこに飛び込んできた男の後ろ髪を見て、世一の瞳がキュッと細まる。
凛越过冴再次控球,试图找到一个能稳稳射门的位置。就在这时,一个男人的身影闯入,世一的目光紧盯着那人的后发,瞳孔骤然收缩。

「……カイザー」 「……凯撒」

 凛のボールを横から攫ったのはミヒャエル・カイザー。澄ました顔で凛を睨んだ男は、冴とパスを繰り返しながら前線を上げていく。一人で突っ走る凛と違い、チーム全体を引き連れていくような上がり方は皇帝という名に相応しい。ブルーロックでは見せなかった攻撃スタイルに、世一は抱きしめていたクッションに爪を立てた。
 从侧面夺走凛的球的是米海尔·凯撒。以冷静的表情瞪着凛的男子,与冴反复传球的同时提升前线。与独自冲锋的凛不同,他带领整个队伍前进的方式,确实配得上皇帝之名。在蓝色监狱中未曾展现的攻击风格,让世一紧握怀中的靠垫,指甲都嵌了进去。

『リン・イトシからボールを奪ったカイザー選手、早い早い早い! レ・アール必勝のパス回しでパリ・エクス・ジェンの反撃を潰したぁ!』
『从凛·伊藤手中夺球的凯撒选手,快得惊人!雷·阿尔必胜的传球配合,彻底击溃了巴黎·埃克斯·让的反击!』

『流石の速さです。そして恐ろしいのは――』 『真是惊人的速度。而更可怕的是——』
「そのシュート力」 「那射门的力量」

 解説員の言葉を先読みして呟くと、答えが話される前にカイザーが足を振り抜いた。殺人的な速さのボールがゴールネットに突き刺さる。
 解说员的话音未落,凯撒已抢先低语,在答案揭晓前,他已挥腿射门。球以致命的速度直击球网。

『ッ、ゴォオオオルッ! レ・アール三点! 残り時間十分を切ったところでの得点、これは大きい!』
『呜、吼吼吼吼!雷·阿尔三点!剩余时间不足十分钟时的得分,这可是关键!』

『カイザー選手は今大会七得点目ですか? 絶好調ですね』
『凯撒选手这是本届大赛的第七个进球了吧?状态绝佳啊』

 ギリ、と世一の奥歯が音を立てた。 世一的臼齿咬得咯吱作响。

『得点を挙げてもクールな顔を貫いています、これが好調の秘訣なのでしょうか?』
『即使得分也始终保持冷静的表情,这就是状态良好的秘诀吗?』

『浮かれない、ってことは大切ですけど、それにしてもちょっと……クール過ぎますよね。最近は笑顔も見ないですし』
『不浮躁确实很重要,但即便如此,也未免有点……太冷酷了吧。最近连笑容都看不到了。』

 カメラに映されるカイザーは仲間に抱きつかれても鬱陶しそうに振り払うだけで、喜ぶ素振り一つも見せやしない。マウントを取る時や人を揶揄う時以外は案外物静かな彼だけれど、それにしたって感情が見えなさすぎる。解説員が戸惑うのも当然に思えた。
 镜头中的凯撒即使被队友拥抱,也只是厌烦地甩开,丝毫不见喜悦之情。除了争强好胜或嘲讽他人时,他意外地沉默寡言,但即便如此,他的情感也过于难以捉摸。解说员感到困惑也是理所当然的。

 世一はどこかつまらなさそうに見えるカイザーの顔を注視する。その顔を見たのは半年ぶりだった。何なら半年前はどこかの女優とのスキャンダルが報じられた時に怒り心頭のネスに無理矢理見せられただけなので、それをノーカウントにするなら去年の夏、レ・アールのカイザー獲得を報じたネットニュースの写真が最後だ。
 世一注视着凯撒那看似有些无聊的脸。这是时隔半年再次见到他的脸。甚至可以说,半年前只是因为某个女演员的丑闻被报道时,怒火中烧的内斯强行让他看的,如果把那次不算在内的话,那么最后一次看到凯撒的脸是在去年夏天,关于莱·阿鲁签下凯撒的网络新闻照片。

 ――驚くべきことに、縁切り神社の効果は絶大だった。世一は一度もカイザーと会うことなく、今シーズンを終えた。
 ——令人惊讶的是,断缘神社的效果非常显著。世一一次也没有与凯撒见面,就这样结束了本赛季。



 優勝したのはレ・アールだった。全試合を通して最も活躍したのはレオナルド・ルナだったが、冴やカイザーの勢いも凄まじく、彼らの名前を聞かない日はない。
 夺冠的是莱·阿鲁。整个赛季中表现最出色的是莱昂纳多·卢纳,但冴和凯撒的势头也非常强劲,没有一天听不到他们的名字。

 そんな中、世一はネスと二人でカフェに来ていた。奇しくもチームメイトとなったネスとは気付けば毎週のように食事をする仲である。身近に甘党がこいつしかいなかった。理由を聞かれると二人は口を揃えてそう言うけれど、結局のところ気を遣わなくていいのが楽なだけである。良くも悪くも二人は互いのことを嫌っていて、信頼していた。
 在这样的日子里,世一和内斯两人来到了咖啡馆。巧合的是,自从成为队友后,内斯不知不觉间几乎每周都和世一一起吃饭。身边只有这家伙是甜食党。当被问及原因时,两人异口同声地这么说,但归根结底,只是因为不需要顾虑对方而感到轻松罢了。无论好坏,两人都讨厌彼此,却又相互信任。

「カイザーから連絡が来ました」 「凯撒来联系了」
「黙れ」 「闭嘴」
「ベスト4おめでとう、ですって」 「恭喜进入四强,是这么说的吧」
「殺す」 「杀了你」

 ミルクレープにぐさりとフォークが刺さる。それを嫌そうな顔で見下ろしたネスは、憂鬱という言葉を絵に描いたような顔で窓の外を眺めた。
 叉子深深刺入千层蛋糕。内斯俯视着它,露出厌恶的表情,然后带着一幅如画般的忧郁神情望向窗外。

「あーあ、今シーズンは一度もカイザーと戦うどころか会うこともできなかった。ショックです」
「啊啊,这个赛季别说和凯撒交手了,连见都没见到他。真是打击啊。」

「会いに行けばいいだろ、勝手に」 「想见就去见呗,随你便。」
「やですよ。嫌われたくない」 「才不要呢。不想被讨厌。」

 面倒な彼女のような台詞に世一は顔を顰め、アップルティーに口を付ける。林檎の柔らかい香りで穏やかな気持ちを取り戻し、そうかなと首を傾げた。
 面对她那麻烦的台词,世一皱起了眉头,抿了一口苹果茶。苹果的柔和香气让他恢复了平静的心情,不禁歪头思考。

「お前ならあいつも喜び……はしないかもだけど、追い返したりはしないだろ」
「如果是你,那家伙或许不会高兴……但也不会赶你走的吧」

「貴方、カイザーのことを何も分かっていないんですね」
「您对凯撒的事情一无所知呢」

 これだから世一は、と首を竦める男に世一は口をへの字に曲げる。カイザーのことでマウントを取られても。
 就是因为这样,世一才……男子耸了耸肩,世一却噘起了嘴。就算是因为凯撒的事被占了上风。

「カイザーは干渉をひどく嫌います」 「凯撒非常讨厌干涉。」
「あいつは干渉してくるのに?」 「那家伙会来干涉吗?」
「ええ。カイザーの干渉は許されますよ。カイザーなので」
「是的。凯撒的干涉是被允许的。因为他是凯撒。」

「……聞いた俺が馬鹿だったわ」 「……听信了的我真是傻啊」

 カイザーだから、の一言でどんな例外も許されてしまうのならば、理解なんかできるはずがない。世一は主従関係の彼らの話はやめて、別の話題へと誘導した。
 既然因为他是凯撒,任何例外都能被允许,那理解什么的根本不可能。世一决定不再讨论他们主从关系的话题,转而引导到其他话题上。

「そういえばさ、お前の友達がストーカーされてた件ってどうなったの?」
「说起来,你朋友被跟踪狂骚扰的事后来怎么样了?」

「急ですね、いいですけど」 「真突然啊,不过没关系。」

 世一が口にしたのは、ネスから聞いたストーカー女の話だ。ネスの友人の男性は優しく、その気がある人にも勘違いさせてしまうほどの優しさを見せてしまうのだという。その結果自分を彼の恋人だと勘違いする女が、ストーカーまがいの行為を繰り返していた。
 世一提到的是从内斯那里听来的跟踪狂女人的故事。内斯的朋友是个温柔的男性,他的温柔甚至会让有心人误会。结果,有个女人误以为自己是他的恋人,反复做出类似跟踪狂的行为。

 粘着質な人間って嫌ですよね、と面の皮が厚い男が言っていたのは二週間前。イングランドに渡る直前である。あの時はストーカー防衛策をインターネットの海で探し回り、被害者の男性にアドバイスして話は終わった。そろそろ結果が出る頃だろうと思い話を振ると、ネスは「残念ながら」と嫌な前口上から説明を始める。
两周前,一个脸皮厚的男人说,粘人的人真讨厌,对吧?那时他即将前往英格兰。当时,我在网上搜索反跟踪策略,给受害的男性提供了建议,事情就结束了。我以为结果应该快出来了,于是提起这个话题,内斯却以“很遗憾”这种令人不快的开场白开始解释。

「恋人がいる、今度結婚する、実は二回離婚しているんだ……等々の嘘は全て無駄に終わりました。前者の二つはストーカーが自分のことだと思い込み、後者は『それでも今愛しているのは私でしょう』で論破」
“有恋人、马上要结婚、其实已经离过两次婚了……等等的谎言全都白费了。前两者让跟踪狂坚信自己就是那个人,后者则被一句‘即便如此,你现在爱的还是我吧’驳倒了。”

「わぁ」 “哇哦。”

 思い込みが激しいからストーカーになるのだという事実をまざまざと見せつけられた気分だった。お手上げとはこの事である。世一は両手を挙げた。
 深深陷入自我认知,以至于成为跟踪狂的事实被赤裸裸地揭示,这种感觉真是无计可施。世一举起了双手。

「彼は『もうあとは神に祈るしかない』と最近教会にこもっています」
「他最近一直待在教堂里,说『剩下的只能祈祷神明了』」

「神頼みねぇ……あ、そうだ」 「只能依赖神明了啊……啊,对了」

 世一はぽんと手のひらを打つ。じとりとした目を向けてくるネスに、笑顔で提案を口にした。
 世一啪地拍了一下手掌。他转向目光锐利的内斯,微笑着提出了建议。

「日本の神社……えっと、何て説明すればいいか」 「日本的神社……呃,该怎么解释呢?」
「知ってますよ、ジンジャ。赤いポールがたくさん並んでいる風流なところですよね?」
「我知道的,吉良。就是有很多红色柱子排列在一起的优雅地方吧?」

「知識偏ってんなぁ。そう、場所によっていろんな神様を祀ってんだけど、京都に縁を切る神様がいて」
「知识偏颇了呢。没错,根据地方不同,供奉着各种神明,但京都有一位切断缘分的神明」

「なんですか、その物騒な神は」 「那是什么危险的神明啊」

 勝手に人との縁を切らないでほしいですね。苦言を呈するネスに、世一はいやいやと手を振った。
 希望不要擅自切断人与人的缘分。对提出忠告的 Ness,世一无奈地摆了摆手。

「切らなきゃ幸せになれない縁もあるだろ。お前の友人とそのストーカーとか」
「有些缘分不斩断就无法获得幸福吧。比如你朋友和那个跟踪狂之类的。」

「…………でも、神頼みなんでしょう?」 「…………但那不就是依赖神明吗?」
「それがさぁ」 「就是啊」

 世一は得意げに手を広げた。  世一得意地张开了双手。

「俺も最初はそう思ってたんだけど、効果がすげぇんだよ!」
「我一开始也是这么想的,但效果真的很厉害!」

「へぇ」 「哦?」
「絵馬っていう木札に相手の名前と『顔も見たくないです』って書いただけなのに、それからマジでそいつの顔を見ることがなくてさ!」
「在绘马上写了对方的名字和『不想再见到你』,结果真的从那以后就没再见过那家伙的脸!」

「どなたと縁を切る事を神に祈ったんですか?」 「您向神明祈求断绝与谁的关系呢?」
「カイザー」 「凯撒」

 ネスが大きな音と共に立ち上がったと思ったら、胸倉を掴まれる。反射で振り払えばぎろりと睨まれた。周りからの視線を痛いほど感じるけれど、残念ながら世一もネスも外面を気にするような繊細な心を持ち合わせていない。
奈斯猛地站起身,发出一声巨响,随即被揪住了衣领。他本能地甩开,却换来对方狠狠一瞪。周围投来的目光如芒刺背,但遗憾的是,世一和奈斯都没有那种在意他人眼光的纤细心思。

「お前のせいで僕はカイザーと会えなかったってことですか、そういうことですよね!?」
「都是因为你,我才没能见到凯撒,是吧,就是这样吧!?」

「でたヒステリック・ネス」 「又来了,歇斯底里的内斯」

 突然激昂するネスに慣れている世一は両手で耳を塞いだ。ネスは世一の手を掴むと力づくで引っ張り、その耳に呪詛を吹き込む。
 世一已经习惯了内斯突然的激昂,他用双手捂住了耳朵。内斯抓住世一的手,用力拉扯,对着他的耳朵低语诅咒。

「今すぐその神とやらに縁切りを撤回させてこい。ノアにその所業晒しますよ?」
「现在就让你那所谓的神收回断绝关系的决定。不然我就把你的所作所为告诉诺亚,怎么样?」

「それは卑怯だろ!?」 「那也太卑鄙了吧!?」

 世一の憧れ、ノエル・ノアに告げ口されるのは困る。焦りを見せる世一にネスは鼻を鳴らした。
 世界第一的憧憬,诺埃尔·诺亚告密可不好。世一显得焦急,内斯哼了一声。

「僕とカイザーを遠ざけた世一の方が卑怯で卑劣で重罪ですよ」
「把我和凯撒分开,世一你才是卑鄙无耻的重罪犯吧」

「お前とカイザーが会えないのは俺のせいっつーかお前が会いに行かないから……」
「你和凯撒见不到面是因为我吗?明明是你自己不去见他……」

「世一のせいです」 「都是世一的错」

 なので、とネスはにこりと微笑む。魔術師の微笑み、と世間で評されるその笑みが現れる時は碌なことが起きないと世一は知っていた。ひくりと頬を引き攣らせ、恐る恐る問いかける。
 于是,涅斯微微一笑。世人称之为“魔术师的微笑”,每当这种笑容出现时,世一知道不会有好事发生。他紧张地抽搐了一下脸颊,小心翼翼地问道。

「何でしょうか……?」 「是什么事呢……?」
「世一のために特別に――ええ、特別に今夜の日本行きのチケットを取ってあげます。キョウトとやらの都市のホテルも予約してあげましょう。もちろんセキュリティランクの高いところを」
「为了世一你——嗯,特别为你准备了今晚去日本的机票。京都那边的酒店也帮你订好了。当然,是安保级别高的地方。」

「つまり?」 「也就是说?」
「カイザーの名前を書いた『エマ』を燃やしてこいクソ世一」
「把写着凯撒名字的『艾玛』烧掉,你这混蛋世一。」

 拒否は許さないとばかりに目をカッ開いて脅してくる男は、巷で可愛い系男子と噂されていると思えないほどどす黒い何かに覆われていた。
 那男人瞪大眼睛威胁着,仿佛在说绝不允许拒绝,他全身被一种深沉的黑暗所笼罩,完全不像传闻中那种可爱的系男子。

 世一は手首を掴んでいるネスの手を振り払い、困った顔で食べかけのミルクレープを見つめる。半年前の世一ならばネスを殴り飛ばしてでも断っていただろうが、今の世一は迷っていた。
 世一甩开了抓住他手腕的奈斯的手,困扰地盯着吃了一半的千层蛋糕。如果是半年前的世一,可能会毫不犹豫地揍飞奈斯来拒绝,但现在的世一却犹豫不决。

 カイザーと、今シーズン一度も会えなかった。サッカーで戦うどころか目を合わせることすらしなかったのだ。それを寂しい、とは思わないけれど、腑に落ちない気持ちにさせられる。例えるなら、あと一ピースで完成するパズルのラストピースをどこかに無くしてしまったような、そんな欠落感。
 与凯撒,这个赛季一次也没能见面。别说在足球场上对决了,连眼神交流都没有过。虽然并不觉得寂寞,但心中总有一种难以释怀的感觉。打个比方,就像拼图只差最后一块就能完成,却怎么也找不到那最后一块的缺失感。

「……行ってこようかな、京都」 「……去一趟京都吧」

 神社でカイザーの名前を書き込んだ時には想像もしなかった感情だ。たった一シーズン離れただけでこんなにも心が揺さぶられるとは思わなかった。
 在神社写下凯撒名字时,从未预料到的情感。仅仅一个赛季的间隔,竟会让心如此动摇,未曾想过。

 これが蜂楽や凛ならテレビの向こうで走っている姿を見て『来季こそは戦いたいな』で終わるのに、カイザーだけにはそれ以上を求めてしまう。来季も会えないなんて冗談じゃない。その焦燥の正体に触れないまま、世一は顔を上げた。
 如果是蜂乐或凛,看到他们在电视另一端奔跑的身影,只会想着『下季一定要一战』,但对凯撒,却渴望更多。下季见不到什么的,简直开玩笑。在未触及那份焦躁的本质前,世一抬起了头。

「ネス、俺行ってくるよ。チケットもホテルも自分で取るからいい」
「内斯,我走了啊。票和酒店我自己搞定就行。」

 むすりと顔を顰めたネスがわざとらしくため息を吐く。
内斯皱着眉头,故意叹了口气。

「大人しく僕の厚意に甘えなさい、バカ世一。お前に任せるとセキュリティランクの低いところを選びかねない」
「乖乖接受我的好意吧,笨蛋世一。交给你选的话,肯定会挑安全等级低的地方。」

「ちゃんと選ぶって。三つ星ホテルとか選べばいいんだろ? あと明日は却下。お前もそうだけど試合以外の仕事が山積みだし……あ、そうだ。ネスが代わりに燃やしにいけば?」
「要好好选啊。选个三星酒店不就行了?还有明天不行。你也是,除了比赛还有一堆工作……啊,对了。让内斯替你去烧不就行了?」

「レッドカード出しますよ」 「我要出红牌了」

 ネスは携帯端末を取り出すと、巧みな指使いで何かの手続きをしていく。その中には個人情報の入力もあっただろうに、ネスは世一に一つも聞くことなく入力を終えた。伊達に怒涛のシーズンを共に過ごしていない。
内斯拿出手机,灵巧地操作着进行某种手续。其中还包括输入个人信息,但内斯对世一一句也没问就完成了输入。毕竟不是白白一起度过了波澜壮阔的赛季。

 そんな奇妙な経緯で、世一はオフシーズン、奇しくも一年前と同じ日に京都を訪れたのであった。
 就这样,世一在休赛期,巧合地于一年前的同一天再次造访了京都。



 祇園の街並みを眺めながら、去年の暑さが異常だったのだと思い知る。それなりに気温は高いが、茹だる暑さとは言いがたい。それでもミュンヘンに慣れた体に湿気の高い空気はきつく、世一は日陰を渡りながら歩いて行く。
 眺望着祇园的街景,他才意识到去年的酷暑是多么异常。虽然气温依旧不低,但已难以称之为闷热。然而,习惯了慕尼黑气候的身体对这潮湿的空气仍感到不适,世一一边在阴凉处穿行,一边向前走去。

 件の神社は一年経っても変わらず人が多く、世一は一応キャップを目深に被って鳥居をくぐった。
 那座神社经过一年依旧人潮涌动,世一戴上帽子,压低帽檐,穿过鸟居。

 石碑を通り過ぎ、目的の場所へ急ぐ。世一は自分がある程度の知名度があるものの、冴や凛といった女性人気の高い面子よりは目立たない容姿をしていると認識していた。それでも一箇所に長居するべきではない、特にこんな場所では。
 穿过石碑,急忙赶往目的地。世一知道自己虽然有一定知名度,但比起冴和凛这些人气极高的女性角色,他的外貌并不那么引人注目。即便如此,他也不应该在一个地方久留,尤其是在这种地方。

 さっさと自分の絵馬を回収して去ろう。そう思って辿り着いた絵馬の掛所にはちらほらと先客がいた。絵馬を眺めながら話す観光客の女性たち、真顔で絵馬を掛ける青年、難しい顔をして絵馬を見つめる老夫婦、興味深げに眺める長身の男性。
 赶紧取回自己的绘马离开吧。这样想着,他来到了绘马挂处,那里已经有几位先到的客人。一边看着绘马一边聊天的女游客,认真挂绘马的青年,表情严肃地盯着绘马的老夫妇,以及饶有兴趣地打量的高个子男性。

 世一が絵馬を掛けた場所には長身の男性がいて、辺りを眺めながら彼が去るのを待つ。しかし一向にその場を離れないので、世一は手早く回収することにした。
 世一挂绘马的地方站着那位高个子男性,他环顾四周,世一等待着他离开。然而他始终没有离开的意思,于是世一决定迅速取回绘马。

「すみません、ちょっと前失礼します〜」 「不好意思,稍微打扰一下~」

 右側に掛けたような、ないような。そんな微かな記憶を頼りに、長身の男性に断りを入れて探そうとする。すると長身の男性が声を発した。
 像是挂在右边,又好像没有。仅凭这微弱的记忆,向高个子的男性打了个招呼,试图寻找。这时,高个子男性开口了。

「世一?」

 やば、バレた。どっと冷や汗が吹き出す。いざとなったら逃げて出直そう。そう思いながら恐る恐る顔を上げた世一は、この国にいるはずのない男の顔を見て仰天した。
 糟糕,被发现了。冷汗直冒。实在不行就逃跑重新再来。世一一边这么想着,一边战战兢兢地抬起头,看到本不该在这个国家的男人的脸,惊呆了。

「カイザー!?」 「凯撒!?」

 その男は世一と同じように黒いハットを深く被り、濃い色のサングラス、マスクと顔を徹底的に隠していたが、帽子から見え隠れする金と青、ハイネックから少しだけ顔を出した青薔薇で確信する。何よりも、世一の言葉にひどく顔を顰めたのが答えだった。
 那个男人和世一一样,戴着深色的帽子,脸上遮着墨镜和口罩,彻底隐藏了面容,但从帽子下隐约露出的金发和蓝色,以及高领下微微露出的青色蔷薇,让世一确信无疑。最重要的是,世一的话语让他皱起了眉头,这便是答案。

「ここがヨーロッパだったらその首掴んで逃げているところだ」
「要是在欧洲,我早掐着那家伙的脖子逃走了。」

「あ、ごめん」 「啊,抱歉」

 大声で名前を叫んだことについてドイツ語で指摘され、世一は素直に謝る。けれどカイザーも日本でのサッカー業界の認識がどんなものか知っているらしい。呑気な日本人に感謝するんだな、と嫌味なのかよく分からない言葉を返してきた。俺も日本人なんだけど、という無粋な突っ込みは横に置いて、世一はきょとりとカイザーを見つめる。
 因为大声喊名字而被用德语指出,世一老实地道歉。但凯撒似乎也知道日本足球界的认知水平。他带着一种难以分辨是讽刺还是感谢的语气说:“真是悠闲的日本人啊。”世一心里想着“我也是日本人啊”,但没说出口,只是惊讶地盯着凯撒。

「お前、こんなところでどうしたの。旅行?」 「你在这里干什么?旅行吗?」
「………………世一くんはお馬鹿ねぇ」 「………………世一君真是傻啊」

 一瞬の迷いを嘲りの笑みで覆い隠した男は、ふんと鼻を鳴らした。
 男子用嘲讽的笑容掩盖了一瞬间的犹豫,哼了一声。

「クソ暑い中こんなところに来る理由なんざ一つしかないだろう?」
「这么热的天气来这种地方,理由只有一个吧?」

 ここに来る理由。世一は目の前の絵馬掛所を見る。  来到这里的原因。世一注视着眼前的绘马挂所。

「お前も縁を切りに来たのか」 「你也来斩断缘分吗?」
「まあな」 「算是吧」
「ちゃんと調べなかったのか? 絵馬は見てるだけじゃ縁が切れないぜ。あそこで新しい絵馬を買って、縁を切りたい相手のことを書かないと」
「没好好调查吗?光看绘马是断不了缘的。得在那儿买个新的绘马,写上想断缘的对象才行。」

 世一は親切心でそう言ったのだが、カイザーが機嫌を降下させたのを見て思わず肩を跳ねさせた。
世一出于好意这么说,但看到凯撒脸色一沉,不由得肩膀一抖。

「な、なんだよ」 「什、什么啊」
「……別に。俺はどんな風に書けばいいか見ていただけだ」
「……没什么。我只是想看看该怎么写。」

「あー、そっか」 「啊,这样啊」

 絵馬に願い事を書く、というのは日本独自の文化だ。書き直しもできないので見本が無ければ書くのは難しいだろうし、見本のほとんどは日本語である。じっと観察してしまうのも仕方のないことだ。
 在绘马上写下愿望,是日本独有的文化。因为不能重写,如果没有样本的话,写起来会很困难,而且大多数样本都是日语。所以仔细观察也是无可奈何的事。

 そこで、世一はなんとなくカイザーを見つめる。まさか縁切りを無かったことにしに来たら、その相手と鉢合わせるとは思わなかった。神様も不思議な巡り合わせを好むことで。何となしに苦い顔をすると、カイザーが目を細めた。
 于是,世一不经意间凝视着凯撒。没想到来这里取消断绝关系,竟然会遇到对方。连神明也喜欢这种奇妙的缘分。他不由得露出苦涩的表情,凯撒眯起了眼睛。

「なんだ、その顔は」 「怎么了,那副表情」
「意外だと思って。お前って他人に興味あったんだな」
「只是觉得意外。你这家伙对别人有兴趣啊」

 この一年、カイザーの身に何があったか世一は知らない。チャンピオンズリーグで絶好調だったこと、彼のチームがスペインのラ・リーガで優勝したこと、いろんな女性とゴシップで巷を騒がせていること。全部伝聞の話で、世一の目で見た彼ではない。
这一年,凯撒身上发生了什么,世一并不清楚。他在欧冠中的出色表现,他的球队在西班牙的西甲联赛中夺冠,他与各种女性的绯闻闹得沸沸扬扬。这些都只是传闻,不是世一眼中的他。

 だから、世一の記憶にあるのはブルーロックとW杯U20で戦ったカイザーだけだ。マウント癖が強く、口を開けば煽りしか出てこなくて、距離が人より近く、それでいてどこか孤独なサッカーの天才。そんな彼が縁を切りたいと望み、極東へ神頼みに来るとは思いもしなかった。
因此,在世一的记忆中,只有与凯撒在蓝色监狱和 U20 世界杯上交锋的片段。他喜欢挑衅,一开口就是挑衅,距离感比常人更近,却又在某处显得孤独的足球天才。没想到他会希望断绝关系,来到远东寻求神的庇佑。

 そんな驚きを素直に口にすれば、カイザーは舌打ちの音を大きく響かせる。見ると、ぎょっとするほど酷い顔をしていた。題するなら魔界に堕ちた皇帝。冴を相手にぶち切れた凛とはまた違う意味で恐ろしいそれに動けなくなっていると、カイザーの方から視線が逸らされた。圧が無くなり無意識に息を吐く。
如果坦率地说出这种惊讶,凯撒会发出响亮的咂舌声。一看,他的表情简直糟糕透顶,令人震惊。如果说的话,就像是堕入魔界的皇帝。与冴对峙时爆发的凛不同,这种恐惧让人动弹不得,凯撒的视线从这边移开了。压力消失,无意识地吐了口气。

「お前は」 「你也是」
「……え?」 「……诶?」
「世一も縁を切りに来たんだろう」 「世一也是来断绝关系的吧」

 ぱちり、と目を瞬かせた。そして視線を彷徨わせる。まさか本人を目の前にして「お前との縁切りを取り消しに来た」なんて言えるわけがない。以前の、それこそブルーロックでいがみ合っていた時ならばともかく、こんな久しぶりの再会でわざと空気を悪くするほど世一は心が強くなかった。
 啪嗒,眨了眨眼。然后视线游移不定。怎么可能当着本人的面说出“我来取消与你断绝关系的决定”这种话。如果是以前,在 Blue Lock 里针锋相对的时候倒还罢了,这么久违的重逢,故意破坏气氛,世一还没有那么坚强的心。

「きょ、京都に旅行に来てて。ここに来たのは物見遊山と言いますか……」
「我、我来京都旅行。来这里算是观光游览吧……」

「素直に言え」 「坦率点说吧」

 鋭い声にそちらを見れば、カイザーはぎろりと世一を睨んでいる。
 尖锐的声音传来,转头一看,凯撒正狠狠地瞪着世一。

「縁を切りたくて来たんだろ」 「你是来断绝关系的吧」
「……あー、本当に違くて」 「……啊,真的不是」

 今のカイザーにとって嘘は悪手のようだ。世一は頭を掻きながら説明した。
 对现在的凯撒来说,撒谎似乎是下策。世一挠着头解释道。

「去年さ、ドイツに行く前にここで絵馬を書いたんだよ。そしたらマジでそいつと一年間会うこと無くてさ」
「去年啊,去德国之前在这里写了绘马。结果真的整整一年没见到那家伙。」

 効果覿面だよな、と世一は茶化すように口にしたが、カイザーの顔は見られなかった。
 效果立竿见影啊,世一打趣地说道,但没能看到凯撒的表情。

「離れてみて、なんつーか、そいつのこと嫌いじゃなかったんだなって気付いたんだ。だから縁切りを撤回したくて絵馬を回収しに来た」
「离开后才发现,怎么说呢,其实并不讨厌那家伙。所以想收回断缘的愿望,来取回绘马。」

「へぇ。探すのを手伝ってやろうか?」 「哦?需要帮忙找吗?」
「い、いいよ! 気にすんなって!」 「不、不用了!别在意!」

 カイザーのまさかの申し出に世一は飛び上がる。絵馬には個人名こそ書かなかったが「クソ皇帝の顔を見ることがありませんように!」と関係者が見れば察してしまう文章を書き込んだのだ。カイザーが日本語を読めないという安心材料は、写真を読み込むだけで翻訳ができる高性能携帯端末のせいで失われている。
 面对凯撒突如其来的提议,世一惊得跳了起来。虽然绘马上没有写上个人名字,但写上了“希望永远不要见到那混蛋皇帝的脸!”这样,相关人士一看就能猜到的内容。原本以为凯撒不懂日语可以放心,但如今高性能的移动设备只需读取照片就能翻译,这一安心保障也荡然无存。

 カイザーに絵馬を見られるわけにはいかないという一心で、世一は首を横に振った。
 一心想着不能让凯撒看到绘马,世一坚决地摇了摇头。

「ほら、あそこで絵馬が買えるから書いてこいよ。何なら例文も教えようか?」
「看,那里可以买到绘马,去写一个吧。需要的话,我还可以教你例文哦?」

「……良い。気分が変わった」 「……好。心情变了」

 カイザーはくるりと身を翻す。  凯撒猛地转身。

「さっさと回収して燃やせ」 「赶紧回收烧掉」

 ネスもそうだが、どうしてドイツ語を喋る男は絵馬を燃やそうとするのだろうか。お焚き上げは合法だが、世一のような素人ができるものではない。
 内斯也是,为什么说德语的男人会想要烧掉绘马呢。焚烧是合法的,但像世一这样的外行人可做不来。

 そんなことを考えていると、カイザーが歩き出した。去ろうとする足取りに世一は慌てて声をかける。
 正想着这些,凯撒开始走了。世一慌忙对着他离去的脚步声喊道。

「どこ行くんだよ」 「你要去哪儿啊」
「おや、世一くんは俺に行かないでほしいのか?」 「哦,世一君是不想让我去吗?」

 癪に障る言い方は、きっとわざとだ。世一は天邪鬼な言葉を口から飛び出る前に飲み込んで、親指を祇園の方へ向けた。
 那令人不快的说法,肯定是有意的。世一在那些别扭的话从嘴里蹦出来之前咽了回去,用拇指指向祇园的方向。

「飯、まだなら一緒に行かねえ? 近くに良いところがあるんだ」
「还没吃饭的话,一起去吧?附近有家不错的店。」

 時刻は昼の十二時半。ランチにはぴったりの時間帯だ。そう誘うと、カイザーは口元を緩め、皮肉げに吊り上げる。
 时间已是中午十二点半。正是享用午餐的绝佳时刻。如此提议后,凯撒嘴角微微放松,带着一丝嘲讽地挑起。

「まあ、及第点というところか」 「嘛,算是及格吧」

 ざっざっ、と高そうな革靴で砂利の上を歩き、カイザーが世一の目の前まで戻ってきた。傲慢さが透けて見える顔で見下ろしてくる。
 咔嚓咔嚓,凯撒穿着看似昂贵的皮鞋,踩在碎石路上,回到世一面前。他那透着傲慢的面容俯视着。

「誘われてやるよ。世一くんのクソ下手な口説きにな」
「我就勉为其难地答应吧。世一君那蹩脚的邀约」



 絵馬を回収した世一は、カイザーを連れて祇園の和食屋に来ていた。この店は小さな個室がいくつかあり、世一のように職業上他人の視線が気になる立場でも気軽に訪れることができる。何よりSNSで話題になっている看板メニューを食べたくて、世一は二週間前から予約を入れていた。
 世一收集完绘马后,带着凯撒来到了祇园的一家和食屋。这家店有几个小包间,像世一这样职业上在意他人目光的人也能轻松光顾。更重要的是,世一想品尝在 SNS 上热议的招牌菜单,两周前就预约了。

 予約人数の変更も笑顔で受け入れてくれた店員に案内され、二人用の個室に入る。お冷を持ってきた店員に看板メニューの親子丼を二つ、アイスコーヒーを二つ頼んだ。席に座れば自然と向かい合う形になり、世一は気まずい思いで視線を彷徨わせる。勢いで誘ったのはいいものの、何を話せばいいのか。全く考えていなかった。
 在店员微笑着接受预约人数变更的引导下,两人进入了双人包间。世一点了两个招牌亲子丼和两杯冰咖啡。坐下后自然形成了面对面的情况,世一感到尴尬,视线四处游移。虽然一时冲动邀请了对方,但完全没想过该聊些什么。

 世一がとりあえず口を開こうとすると、それを遮るように軽やかなメロディーが部屋に響く。カイザーは己の腰に手を差し込み、携帯端末を取り出した。煩わしそうに画面を見た彼は僅かに目を見開く。
 世一正要开口,轻快的旋律便如打断般在房间内响起。凯撒将手伸进腰间,掏出了手机。他皱着眉头看向屏幕,微微睁大了眼睛。

「外に出てくる」 「出来一下」

 余程大事な相手なのか、カイザーは足早に部屋を出ていった。世一はぽかんと口を開けてそれを見送り、次いでむすりと唇を尖らせる。仕事関係の電話なら仕方ないが、それでも久しぶりの再会をないがしろにされたようで苛ついた。
 大概是相当重要的对象吧,凯撒快步走出了房间。世一愣愣地目送他离去,随即撅起了嘴唇。虽然工作上的电话无可奈何,但久违的重逢被如此轻视,心中难免有些焦躁。

 ――いや、なんで俺、こんなに苛ついてんだ?  ——不,为什么我这么烦躁呢?

 カイザーとの再会は予定になかったもので、こうして二人で食事することになったのも成り行きだ。加えて世一とカイザーの関係は長年の友人でも何でもない、少しの間チームメイトになっただけである。
与凯撒的重逢并非计划之中,两人共进晚餐也是顺势而为。况且,世一与凯撒的关系并非多年好友,只是短暂地成为过队友。

 そう考えると、先程一発で世一のことを見抜いたカイザーは記憶力が凄まじい。もちろんカイザーの記憶に残るような戦いを繰り広げた覚えはあるが、たった一瞬、しかも帽子を深く被っていた状態で気付くのは相当だ。
这么一想,刚才一眼就看穿世一的凯撒记忆力真是惊人。当然,他记得自己曾展开过一场足以让凯撒铭记的战斗,但仅仅一瞬间,而且还是在帽子压得很低的状态下察觉到,实在是相当厉害。

 ――……あー、だめだ。あいつ相手だと何か調子が狂う。
 ――……啊,不行了。跟那家伙在一起,总觉得节奏不对。

 人と上手く付き合えるタイプだと世一は自覚しているが、カイザーだけは上手くいった試しがない。やはりあのままカイザーを見送れば良かったと後悔していると、カイザーが帰ってきた。彼は席に座りながらこちらを見て変な顔をする。
 世一自认为是个能与人相处融洽的类型,但唯独与凯撒总是合不来。他后悔当初应该就这样目送凯撒离开,就在这时,凯撒回来了。他一边坐下一边看着这边,露出奇怪的表情。

「……んだよ、その顔」 「……怎么了,那副表情」
「お前こそどうしたんだ。暑さでやられたのか?」 「你才是怎么了。中暑了吗?」

 世一は机に突っ伏していた顔を上げ、おしぼりでさっと机を拭いた。
 世一抬起趴在桌上的脸,用湿毛巾迅速擦拭了一下桌面。

「なんでもない。……電話、早かったな」 「没什么。……电话,来得有点早啊」
「最終確認だったからな」 「因为是最终确认嘛」
「確認?」 「确认?」

 水を飲みながら聞き返すと、彼はとんでもないことを口にする。
 一边喝水一边反问,他却说出了令人震惊的话。

「来季、俺はバスタード・ミュンヘンに移籍する」 「下个赛季,我要转会到拜仁慕尼黑。」
「ぶっふぉ!」 「噗!」

 世一は水を噴き出した。カイザーが嫌そうに顔を顰める。
 世一喷出了水。凯撒嫌弃地皱起了脸。

「おい」 「喂」
「っげほ、けほ、いや、今のはお前が悪いって」 「咳咳,咳,不是,刚才是你不好」

 咳き込みながら再度おしぼりで机を拭いた。ある程度拭き取ったところで、世一は恐る恐るカイザーを窺う。
 一边咳嗽一边再次用湿巾擦拭桌子。擦得差不多后,世一小心翼翼地窥视着凯撒。

「今の話、マジ?」 「刚才的话,是真的?」
「嘘を言うほど暇じゃない」 「我没那么闲去撒谎」

 カイザーは澄ました顔でそう言ってから、ハッ、と嘲笑うように口端を上げた。
 凯撒一本正经地说完,然后轻蔑地扬起嘴角,发出一声冷笑。

「ノア、世一、そして俺という攻撃パターンを持ちたいそうだ」
「诺亚,世一,还有我,想要拥有这样的攻击模式。」

 こちらを見つめるアイスブルーに、攻撃的な色が混じる。
 那双注视着这边的冰蓝色眼眸中,混入了攻击性的色彩。

「『何故か』俺は昨季バスタードと一度も試合できなかったしな」
「『为什么』我上赛季一次都没能和巴斯塔德交手呢」

「……ほら、リーグ違うし、他国だし」 「……你看,联赛不同,又是外国」
「そういうことにしておいてやろう」 「就当是这么回事吧」

 世一は焦りを感じ始めた。まるで『誰か』のせいだと言うような眼差し、カイザーのわざとらしい言い方。浮かんだ仮説の後押しをしたのは、脳裏に過ぎったこの旅行の言い出しっぺ、腰巾着野郎の顔だった。
 世一开始感到焦急。那仿佛在说‘都是因为某人’的眼神,凯撒故作姿态的说话方式。推动他脑海中浮现的假设的,是这次旅行提议者的脸,那个跟屁虫家伙。

「お前、まさか、知って……?」 「你,难道,知道……?」

 引き攣った顔をする世一に、カイザーは美しい笑みを浮かべる。
 面对表情僵硬的世一,凯撒露出了美丽的笑容。

「良かったなァ、世一。切れた縁はちゃんと繋がれたようだぞ」
「太好了啊,世一。断掉的缘分似乎好好地连上了呢」

「ひぇ……」 「咿……」

 世一は震え上がった。凛に勧められたどのホラー映画よりも怖い。絵馬の内容を本人に知られていたことも、回収した次の瞬間に縁が繋がったことも。フィクションだと思いたいが、残念ながらこれが現実だった。
 世一颤抖不已。比凛推荐过的任何恐怖电影都更可怕。绘马的内容被本人知晓,回收的下一瞬间缘分就连接上了。虽然想当作是虚构的,但遗憾的是,这就是现实。

 カイザーの責める視線に耐え切れなくなった頃、扉がノックされる。天の助けだ。はい、と世一が一際大きな声で返事をすると、カイザーは苛ついたように舌打ちした。
 无法再忍受凯撒责备的目光时,门被敲响了。真是天助我也。世一特别大声地回应了一声“请进”,凯撒不耐烦地咂了咂嘴。

 店員が持ってきたのはアイスコーヒーと熱々の石焼鍋。石焼鍋のプレートが目の前に置かれると、その場で生卵が三つ割られる。じゅう、と焼ける音がして、食欲をそそる光景に目を輝かせていればスプーンを差し出された。固まる前にかき混ぜるのだと説明される。
 店员端来的是冰咖啡和热腾腾的石锅拌饭。石锅拌饭的盘子一放在面前,现场就敲开了三个生鸡蛋。滋滋的煎烤声响起,诱人的景象让人眼前一亮,这时递过来一把勺子。被告知要在凝固前搅拌均匀。

 カイザーにも同様の説明をして、店員は去っていく。沈黙を貫いていたカイザーは、不遜な態度でこちらに視線を寄越した。
 同样向凯撒解释后,店员离开了。一直保持沉默的凯撒,傲慢地向我投来视线。

「何と言っていたんだ」 「你刚才说什么来着?」
「卵が焼けて固まる前にかき混ぜるんだと」 「说是要在蛋还没凝固之前搅拌」

 こうやって、と目の前で実演してやれば、カイザーは不可解そうに顔を歪めながら慣れない手つきでかき混ぜる。まるで覚えたての子どものような仕草に、世一は思わず口元を緩めた。プライベートですら余裕な態度を崩さず、己の弱みを見せない男だ。貴重な姿が見られたことを嬉しく思っていると、世一の視線に気付いたカイザーが睨んでくる。
" 就这样,在他面前演示一遍,凯撒就会一脸不解地皱起眉头,用不熟练的手势搅拌着。那动作简直像刚学会的孩子一样,世一忍不住嘴角上扬。即使在私人场合也从不放松态度,不暴露自己弱点的男人。能看到他这难得的样子,世一感到很高兴,却被察觉到视线的凯撒瞪了一眼。

「視線がクソうるさい」 「视线真他妈烦人」
「だって、なんか可愛いから」 「可是,就是觉得可爱嘛」
「ふざけたことを」 「别开玩笑了」
「えー、ほんとだって」 「诶,真的吗?」

 くすくすと笑うと、机の下で足を軽く蹴られた。やり返すとまた攻撃が飛んでくるので足を引っ込めて避ける。
 轻声笑着,桌子下被轻轻踢了一脚。回踢过去,又遭到攻击,于是缩回脚躲避。

「大人しく蹴られろ」 「乖乖被踢吧」
「やだね。お前、言葉で太刀打ちできないと手足を出す癖、どうにかした方がいいぞ」
「真是的。你啊,一词穷就动手脚的习惯,还是改改比较好哦」

 青い監獄時代から気になっていた癖を指摘すれば、カイザーは唇をへの字に曲げた。
 指出从蓝色监狱时代就注意到的毛病,凯撒撇了撇嘴。

「どうせお前相手にしかやらないからいい」 「反正我只对你这么做,无所谓啦」
「はあ? ったく、どうしてそうお前は俺ばかりに突っかかって……」
「哈?真是的,为什么你总是针对我……」

 世一はそこまで口にして、湧いた違和感に動きを止める。
世一说到这里,因涌起的违和感而停下了动作。

 カイザーは青い監獄で世一に逢いに来たと宣った時から、マウントと煽り、殺意といった態度を一貫していた。しかしそれは世一に限った話で、他の面子に絡みに行く様子はほとんど見られなかった。ひたすらに世一を煽り、殺意を向ける。
从凯撒宣称要在蓝色监狱里与世一见面时起,他就一直保持着挑衅、煽动和杀意的态度。然而,这仅限于世一,几乎没有看到他对其他人纠缠的样子。只是一味地煽动世一,将杀意指向他。

 プレー中ならばあのミヒャエル・カイザーの思考を己でいっぱいにできたことに嬉しいと思えるのだが、彼はプライベートまでその有り様だったので、世一は彼の意図が読めず、嫌がらせなのだろうなと決めつけていた。
 如果在比赛中,能完全理解米夏埃尔·凯撒的思维,世一或许会感到高兴,但他在私人生活中也是如此,世一无法揣摩他的意图,只能认定这是在找茬。

 けれど、と世一の脳が否を唱える。ならば何故カイザーは、世一の絵馬の件を聞いた上で京都にいるのだろうか。
 然而,世一的脑海中却反驳道。那么,为什么凯撒会在询问世一绘马的事情后,还留在京都呢?

 ――縁切り神社に縁を切りに来たわけでも無い。世一と会い、話をした後に彼は神社を去ろうとした。『さっさと回収して燃やせ』という言葉。
 ——并非为了去断缘神社断绝缘分。世一与他见面交谈后,他便打算离开神社。那句‘赶紧回收烧掉’的话。

 ぱちり、ぱちりとピースを当て嵌めて、もしかしてと顔を上げる。前髪を耳にかけながら親子丼を食べていたカイザーは、世一の顔つきを見て不味いものを食べたような顔をした。
 咔嚓、咔嚓地拼凑着拼图,或许是因为这样,他抬起头来。正在一边将刘海撩到耳后一边吃亲子丼的凯撒,看到世一的表情后,露出了像是吃了什么难吃东西的表情。

「クソ黙れ」 「闭嘴」
「お前も、繋ぎに来たの?」 「你也来当连接者吗?」

 絵馬掛所の前で、絵馬をじろじろと眺めながら動かなかった男。眺めていたのではなく、見慣れない日本語の中から世一の絵馬を探していたのなら。
 在绘马挂所前,男子一动不动地盯着绘马。他并非只是看着,而是在不熟悉的日语中寻找世一的绘马。

「俺が来なかったら、お前が燃やすつもりだった?」 「如果我没来,你打算自己烧掉吗?」

 カイザーはぱくりと親子丼を食べると、そっぽを向いた。澄ました顔を作っているが、前髪を掛けたことで顕になった耳朶が赤く染まっている。分かりやす、と思わずつぶやいてしまった。じろりとアイスブルーに睨まれる。
 凯撒一口吃下亲子丼,然后转过头去。虽然装作若无其事的样子,但因为撩起了刘海而显露出的耳垂却染上了红色。我不禁低声说了一句“真好懂”。随即被冰蓝色的目光狠狠瞪了一眼。

「ゴサイジンとやらに運命をねじ曲げられるのが気に食わないだけだ」
「我才不想被那个叫戈赛金的玩意儿扭曲命运呢」

 ミヒャエル・カイザーの運命には世一の存在が有るべきなのだと、そう言っていることにこの男は果たして気づいているのか、いないのか。
 米夏埃尔·凯撒的命运中,本应有世界第一的存在,他是否意识到了这一点呢?

 それを指摘してやるほど優しくない世一はからりと笑った。
 并不那么温柔的世界第一只是淡淡一笑,没有指出这一点。

「やっぱお前って可愛いよな」 「果然你这家伙很可爱啊」
「目が腐ってんのか?」 「眼睛坏掉了吗?」

 ほら、素直じゃない口も可愛らしい。親子丼を一口食べて、わざとらしく声を上げる。
 看吧,连这不坦率的嘴也可爱得紧。吃了一口亲子丼,故意发出夸张的声音。

「あ、ごめーん。凛の方が可愛いかも?」 「啊,抱歉。凛可能更可爱些?」
「俺が世界一可愛いだろうが今すぐ認めろ」 「我才是世界第一可爱吧,现在就承认吧」

 台詞に似合わない凶悪な顔つきに、ふは、と世一は笑う。そういうとこだよ。その囁きは思いの外優しい音となって部屋に響いた。
 与台词不符的凶恶表情,世一却笑了。就是这点啊。那低语意外地温柔,在房间里回响。


 ▼
  

 黒いカードで会計を済ませる男を、世一は横目で盗み見る。帽子やマスクでも隠せない美貌と余裕。女性の店員が見惚れてしまう気持ちも分かる。
 用黑色卡片结账的男人,世一用眼角偷偷瞥了一眼。那无法被帽子和口罩掩盖的美貌与从容。连女店员看得入迷的心情也能理解。

 感情が乗らないその顔に、そういえば、と世一はチャンピオンズリーグ決勝のことを思い出した。
 在那张毫无波澜的脸上,世一忽然想起了欧冠决赛的事情。

 ――得点を挙げてもクールな顔を貫いています、これが好調の秘訣なのでしょうか?
 ――即使进球也始终保持冷静的表情,这就是状态良好的秘诀吗?

 ――浮かれない、ってことは大切ですけど、それにしてもちょっと……クール過ぎますよね。最近は笑顔も見ないですし。
 ——不飘飘然,这固然重要,但即便如此,也未免……有点太冷淡了吧。最近连笑容都看不到了。

 実況者と解説の言う通り、チャンピオンズリーグの試合でカイザーは笑みと呼べる表情を見せなかった。青い監獄で散々見せられた不遜な嘲笑すらも。プレーに納得がいっていない様子でもなく、調子が悪いわけでもない。ただ、感情が乗っていなかった。サッカーをしても心が湧き立たない。そんな顔をしていた。
 正如解说员和评论员所说,在冠军联赛的比赛中,凯撒没有展现出任何可以称之为笑容的表情。就连在蓝色监狱里屡见不鲜的傲慢嘲笑也未曾出现。他的表现并非不满意,状态也并非不佳。只是,他的情感没有被激发出来。踢足球时,内心毫无波澜。他的脸上就是这样的表情。

「そんなに見つめられたら穴が開きそうだ」 「被你这么盯着看,简直要被看穿了」

 レシートを受け取ったカイザーが、そう言ってこちらを向く。にやりと浮かんだ笑みからは、世一を揶揄うことが楽しくて仕方ないという感情が見えた。
 接过收据的凯撒转过身来,带着一抹嘲弄的笑容说道。从那浮现的笑意中,可以看出他对揶揄世一感到无比愉悦。

 これは、どっちなんだろう。湧いた疑問を、世一はそのまま口にする。
 这到底是怎么回事呢?涌起的疑问,世一直接脱口而出。

「お前、俺のこと好き?」 「你,喜欢我吗?」
「――は」 「――哈?」
「もしくはサッカーがマジでつまらなくなった? どっち?」
「还是说足球真的变得无聊了?到底是哪个?」

 絶句した様子で動きを止めたカイザーは、次の瞬間世一の手を引いて店を出た。早足で世一を路地裏に連れ込むと、静かに見下ろしてくる。
 愣住的凯撒停下了动作,下一秒拉着世一的手走出了店铺。他快步将世一带进小巷,静静地俯视着他。

「その問いはどこから出たんだ」 「那个问题是从哪里冒出来的」
「チャンピオンズリーグでのお前と、今のお前を比較した結果」
「将你在冠军联赛中的表现与现在的你进行比较的结果」

「…………ああ」 「…………啊」

 なるほどね、とカイザーが温度のない声で呟いた。 “原来如此。”凯撒用毫无温度的声音低语道。

「自惚れが過ぎるぞ、潔世一。俺はオンとオフの切り替えができる優秀なフットボーラー。それだけだ」
“自恋过头了,洁世一。我是一个能完美切换 ON 和 OFF 的优秀足球运动员。仅此而已。”

「へぇ」 “哼。”
「フットボールがつまらない、というのはチャンピオンズリーグでの態度についてか? ゴール一つで一喜一憂してたまるか。あのリーグではハットトリックを決めたって足りやしない。クソ下々はたかが一点決めただけでパフォーマンスをしたがるが、理解できないな」
「说足球无聊,是指在欧冠赛场上的态度吗?一个进球就一惊一乍的,真是够了。在那个联赛里,就算上演帽子戏法也不够看。那些下三滥的家伙,仅仅进了一个球就自以为表现出色,真是无法理解。」

「ふぅん」 「哼」
「それと何だったか。俺がお前を好き? ハッ、寝言は寝て言うものだぞ世一ぃ。ブルーロックで散々殺し合った日々を忘れたのか? お前が俺のことを好きで仕方ないのは勝手だが、俺の好意を捏造するなクソが。新手のアイラブユーにしても趣味がクソ悪い」
「还有,你刚才说什么来着。我喜欢你?哈,梦话还是留到梦里说吧,世界第一。你忘了我们在蓝锁里厮杀的日子了吗?你喜欢我到无可救药是你的自由,但别捏造我的好意,混蛋。就算是新花样的‘我爱你’,品味也烂透了。」

「カイザー、俺のこと大好きじゃん」 「凯撒,你不是最喜欢我了吗?」
「は? 今のを聞いてどこでそう判断したんだクソ道化。お前の頭は本当にピッチ以外だとクソだな。バスタードというぬるま湯でふやけすぎたんじゃないか? 世一がこれではバスタードのブンデスリーガ連覇もクソ遠い夢だな。クソ運営が俺を欲しがるのも頷ける」
「哈?你从刚才的话里得出这个结论的?你这混蛋小丑。除了球技,你脑子真是一团糟。是不是在温水里泡太久了?世一这样下去,德甲连冠也是遥不可及的梦啊。运营想要我也是情理之中。」

「なあカイザー」 "「喂,凯撒」

 ――知ってるか。お前って、焦れば焦るほど『クソ』って言葉が出てくるんだ。
 ――你知道吗。你啊,越着急就越容易说出『混蛋』这个词。

 世一はにたりと笑う。  世一嗤笑一声。

「そういうの、日本のことわざだと『語るに落ちる』って言うんだぜ」
「那种情况,在日本谚语里叫做『言多必失』呢」

「…………クソが」 「…………该死」
「あはは」 「啊哈哈」

 苛立たしげに前髪を掻き上げる男に、世一はわざと笑い声を上げた。そして世一の手首を締め上げる手を掴むと、ひらりと翻して手のひらを合わせる。指を絡めるように繋いで、ゆっくりと引いた。
 烦躁地撩起前发的男人,世一故意笑出声来。然后抓住勒紧世一手腕的手,轻轻一翻,合上手掌。手指交缠般地连接在一起,缓缓地拉近。

「ッ、世一」
「なあ、もう一度縁切り神社行こうぜ」 「呐,再去一次断缘神社吧」

 正式名称を忘れてしまったので通称の方で目的地を言えば、カイザーがきゅっと目を細める。
 正式名称已经忘记了,所以用俗称来说目的地的话,凯撒会微微眯起眼睛。

「……切りたい縁でもできたのか」 「……想切断的缘分也形成了吗」
「ないよ」 「没有哦」

 冷えた手を温めるように握ってあげた世一は、自慢げに語った。
 世一温柔地握住那冰冷的手,自豪地说道。

「知らない? あそこって良縁を結ぶ神社でもあるんだぜ」
「不知道吗?那里可是结良缘的神社哦」

 時折恋人同士や家族連れ、観光客が訪れるのはそういうことだ。縁にまつわる神は切ることも繋ぐこともしてくれる。何とも万能過ぎて胡散臭く聞こえるが、今の世一は信じざるを得なかった。きっと、世一に手を引かれる男も同じだろう。
 偶尔会有情侣或家庭游客来访,就是因为这个。掌管缘分的神明既能斩断也能连接。听起来太过万能,甚至有些可疑,但如今的世一不得不信。想必那个牵着世一手的人也是一样吧。

 ちらりとカイザーを振り向けば、驚きに見開いた顔をにやけた面に変化させるところだった。余計なこと言ったかも、と思っても後の祭り。繋いだ手を強い力で握り返され、横に並ばれる。
 瞥了一眼凯撒,只见他惊讶地睁大了眼睛,随即露出了得意的表情。或许说了多余的话,但为时已晚。被紧紧握住的手以更大的力量回握,两人并肩而行。

「世一くんは素直じゃないねぇ」 「世一君真是不坦率呢」

 やれやれ、と言わんばかりの態度に自然と口端が上がる。青い監獄の時は嫌で仕方なかった響きが、今はこんなにも愛おしい。
 无可奈何,这样的态度自然地让嘴角上扬。在蓝色监狱时讨厌得不得了的声音,如今却如此令人怜爱。

「お前には負けるよ」 「我会输给你」

 軽く肩をぶつけると、はは、と笑い声が落ちてくる。憑き物が落ちたようなその声に、世一もおかしくなって笑い返した。
 轻轻撞了下肩膀,传来一阵笑声。那笑声仿佛驱散了附身之物,世一也不禁跟着笑了起来。


縁は奇なもの落ちるもの 缘分真是奇妙的东西

评论

  • 常守ØZERO
    5月16日回信
  • おしあこ 恋爱

    世一とカイザーが別のチーム!?という驚きから始まりましたが、見事な流れでエンディングへ。ひたすら可愛いカイザーの言動にニヤニヤしました。この二人の縁をより濃く感じさせていただいたお話でした。
    世一和凯撒竟然在不同的队伍!?从惊讶开始,精彩地走向结局。凯撒的言行一直很可爱,让人忍不住微笑。这篇故事让我更深刻地感受到了这两人的缘分。

    4月27日回信
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  • Keep 保留
    4月6日回信
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