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短編集:夏/あきづき的小说

短編集:夏 短篇集:夏

13,056字26分钟

X(twitter)上で参加させていただいたワンライへの投稿作品(2024年5~7月分)をまとめたものです。
这是在 X(twitter)上参与的 One Life 投稿作品汇总(2024 年 5~7 月)。

各話大体2000~3000文字程度。目次は1ページ目をご覧ください。
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囮役ミルキーウェイ 诱饵役牛奶路

 居酒屋の個室の入り口で、糸師凛は眉間に皺を刻む。
 居酒屋的包厢入口处,糸师凛眉间刻着深深的皱纹。

 目の前にはブルーロックで知った顔が並び、それぞれに驚きや好奇の視線を凛に向けていた。
 眼前是他在蓝色监狱中熟识的面孔,每个人都带着惊讶和好奇的目光投向凛。

 そんな中、凛を呼び出した張本人は一点の曇りもない笑みを浮かべ、ぶんぶんと手を振る。肩から勢いよく振り抜かれたそれが当たりそうになり、隣の席の蜂楽廻がひょいと避けた。
 在这其中,将凛叫出来的始作俑者脸上挂着毫无阴霾的笑容,不停地挥着手。那从肩膀上用力挥出的手差点碰到,邻座的蜂乐廻轻轻一闪避开了。

 上気した頬。潤んだ眼差し。やたらと大振りな動作。酒気を目一杯はらんだ呼吸。完全に出来上がった状態で、潔世一は意気揚々と口を開く。
 涨红的脸颊。湿润的眼神。异常大幅度的动作。满是酒气的呼吸。完全进入状态的洁世一,意气风发地开口。

「おんぶ!」 「背我!」

 こだます声に囲んでいた面々の顔が軽く凍りつく。コイツ勇者かよ、といわんばかりの視線が潔に注がれる。
 回荡的声音让周围的人们的脸微微僵住。这家伙是勇者吗,几乎要这么说的视线投向洁。

 言われた凛は一瞬目を見開いて、その後すぐにぎゅっと眼差しを引き絞った。そして、無言でくるりと背中を見せて、さっさと来い、と潔に告げる。
 被这么一说,凛瞬间睁大了眼睛,随后立刻紧紧地收敛了目光。然后,一言不发地迅速转身,干脆地示意对方快点过来。

 囲む視線は先刻を上回る驚愕で満たされる。纏わりつくそれらはひどく鬱陶しい。さすが凛、あいしてる、と如何にも軽々しい言葉が室内に響く。
 周围的视线充满了比刚才更甚的惊讶。那些缠绕的视线令人极为厌烦。不愧是凛,我爱你,如此轻佻的话语在室内回响。

 凛は首だけで振り向いてその声の主に一瞥をくれ、死ね、と吐き捨てた。
 凛只是转过头,瞥了一眼声音的主人,吐出一句“去死吧”。

 

 すう、すう、と首筋に掛かる寝息に眉を顰める。  呼、呼、地皱起眉头,感受着颈间传来的睡息。
 潔という男が何を考えているのか、凛にはまったくもって理解できない。
凛完全无法理解洁这个男人在想什么。

 こんなぬるい馴れ合いをよりによって凛に求めるなど、頭のネジが飛んだとしか思えないふざけた言動である。酔っ払いのすることに整合性を求めるのが無益と知りながらも疑問を抱かずにはいられない。それを止めなかった他の連中も正気を疑う。
竟然向凛提出这种温吞的亲密要求,简直像是脑袋里的螺丝松了一样荒唐。明知对醉汉的行为要求一致性是无益的,却还是忍不住心生疑问。没有阻止的其他家伙也让人怀疑他们是否清醒。

 そして、一番どうかしているのは、そんな戯言を一蹴できなかった凛自身だ。自覚せずにはいられない気色悪さを苦い顔で噛み潰し、凛は黙々と夜の道を歩いていた。
而最荒唐的,莫过于凛自己无法反驳那些胡言乱语。她苦着脸,强忍着内心的不适,默默地走在夜路上。

 夏の夜の生温い空気は人を背負って歩くのに適しているとは言い難い。背中に感じる酔っぱらいの体温は酷く熱く、汗が滲む。
夏夜的闷热空气并不适合背着人行走。背上感受到的醉汉体温异常炽热,汗水渗出。

 飲んでいた店からホテルまではすぐ近くだった。察するに利便性を優先したのだろう。千鳥足でも道に迷うことはないくらいのシンプルなルートで、普通に歩いたら十分も掛からない。
从喝酒的店到酒店很近。想必是优先考虑了便利性。即使步履蹒跚,也不会迷路的简单路线,正常走的话连十分钟都不用。

 その道のりを、凛は軽いとは言い難い足取りで進む。潔の肉体は選手として相応の重さを備えていたが、それを問題にするほどぬるい鍛え方はしていない。だからその足取りの要因としては物理的な部分よりも精神的な部分の方が大きい。
凛以一种难以称之为轻盈的步伐前行。洁的身体作为运动员具备相应的重量,但并没有进行那种会让人质疑其训练强度的松懈锻炼。因此,这种步伐的原因更多在于精神层面而非物理层面。

 久々に会った潔。 久违重逢的洁。
 そんな潔に対する自分の感情の動きのおかしさ。 面对这样的洁,自己情感波动的异常之处。
 それを眼前に突きつけられて、言ってしまえば凛は戸惑っていたのだ。
面对眼前的事实,凛不禁感到困惑。

 夜中に掛かってきた電話など相手が誰だろうと無視するのが常だった。迎えにきてほしいと言われ、のこのこと出向くような殊勝さを自分が持っていた記憶はない。おんぶなんてもってのほかで、どう考えても切り捨てて放って帰るべきだった。その場にいたのは潔一人ではなかったのだから、凛が放棄したところで何の問題も起きはしなかっただろう。背負った潔が早々と意識を手放したその時に、距離が近すぎることなんて無視してタクシーでもなんでも捕まえてぶち込んでやればよかった。
无论是谁在深夜打来的电话,通常都会被无视。自己并没有那种听到对方说希望来接就乖乖前往的谦逊。背着别人简直是荒谬,无论如何都应该果断放弃,任其自生自灭。毕竟当时在场的不止洁一个人,即使凛选择放弃,也不会引发任何问题。在洁早早失去意识的那一刻,本可以无视过于接近的距离,随便拦辆出租车或其他什么车,直接塞进去就好了。

 今この瞬間に至るまで「そう」するのをやめる機会はいくらでもあったのに、凛はそうしなかった。
直到此刻,凛有无数次机会可以“那样”做,但他没有。

 それを選んだ自分のことも、そうさせた潔のことも、本当に気持ち悪くて吐き気がする。苛々と唇を噛む。
选择了那条路的自己,以及促使自己如此的洁,都让人感到无比恶心,甚至想吐。烦躁地咬着嘴唇。

 その時、耳にむにゃむにゃと声が届いた。  就在那时,耳边传来了模糊不清的声音。


「んあ」 「嗯啊」

 なんか揺れてるな、と酩酊の抜けきらない意識のまま潔は思った。あと暑い。
 总觉得在摇晃啊,意识尚未完全清醒的洁这样想着。而且好热。

 確か今夜は飲んでいた。まあ色々あって楽しく飲んで、その気分のまま勢いで凛に電話を掛けたのだ。駄目元だった。連絡先を交換したのは遥か昔で、交換するだけしておいて実際に使ったのは片手で数えられるくらい。そんな状況で、こんな夜中に電話に出てもらえるとは潔だって思っていなかった。
 确实今晚是在喝酒。因为种种原因开心地喝着,然后趁着那股劲头给凛打了电话。算是破罐子破摔吧。虽然很久以前就交换了联系方式,但实际上用过的次数一只手都数得过来。在这种情况下,洁根本没想到会在这样的深夜接到电话。

 それに出られて、急の呼び出しにすらノーと言われなかった。そして今はこの状況である。これが調子に乗らずにいられようものか。
 而且不仅接了电话,连突如其来的召唤都没有拒绝。然后现在就是这种状况。这怎么能不让人得意忘形呢。

 にまにまと唇の端を吊り上げながら、潔は自分を背負う相手の名を呼ぶ。
 潔一边坏笑着,一边呼唤背负着自己的对方的名字。

「りん」 「凛」
「起きたかクソ野郎」 「醒了吗,混蛋」
「んー」 「嗯——」
「ならさっさと降りろ。暑いんだよ」 「那就快点下来。热死了」

 口ではそう言いながら、凛は無理に振り落とそうとはしない。潔の体を支えている手はそのままだ。それがおかしくて、くすぐったかった。
 嘴上虽然这么说,凛却没有强行甩开。支撑着洁身体的手依旧稳稳地托着。这让她觉得好笑,又有些痒痒的。

 思わずけらけらと笑い、その勢いでがくんと首が後ろに倒れて天を仰ぐ。動くな、と凛から苦情が入る。
 不禁咯咯笑出声来,顺势猛地向后仰头望天。别动,凛抱怨道。

 そこで目に入ったものに、潔は思わず声を上げた。  看到眼前的东西,洁不禁惊呼出声。

「おお! 凛、上、うえ!」 「哦!凛,上面,上面!」
「は?」 「哈?」

 言われて凛も空を仰ぐ。その先にあるものを見る。  听到这话,凛也抬头望向天空。凝视着那上方的东西。
 満天の星空だった。乳白色の川が横断するパノラマに、無数の星が輝く。新月の夜、その光は酷く鮮明に視界を埋め尽くした。
 那是满天的星空。乳白色的银河横贯全景,无数星星闪烁。新月之夜,那光芒极其鲜明地填满了视野。

 見入っている凛の様子に満足する。そうだろそうだろ、すげーよな、と思う。
 看到凛沉浸其中的样子,感到满意。没错没错,真厉害啊,心里想着。

 その横顔を見て、なんとなく視線を下げたら首筋が目に入った。滑らかでシャープなライン。そこに起伏をもたらす喉仏の凸凹。間近で無防備に曝け出されたそれに目を奪われて、潔の心にふっと衝動が鎌首をもたげた。
 看着那侧脸,不经意间视线往下移,看到了颈项。光滑而锐利的线条。那里有喉结的起伏。近在咫尺、毫无防备地暴露出来的那部分,让洁的心中突然涌起一股冲动。

 少し感心して、しかしここまで言うほどのことか、と我に返って文句を言おうとした凛の喉に、かぷ、と軽い感触が走る。ついでぺろ、と濡れた感触。
 稍稍感到佩服,但又觉得有必要说到这种程度吗,正要回过神来抱怨的凛的喉咙上,轻轻地传来“咔嚓”一声的触感。紧接着是湿润的“啵”的一声。

 噛まれて、舐められたのだ、と一拍置いて理解が追いつく。
 被咬了,被舔了,过了一拍才理解过来。

 その耳元で、内緒話でもするように密やかな声が囁く。
 在耳边,像是在说悄悄话一样,低声细语。

「しょっぱ。……ははっ」 「好咸。……哈哈」
「お前、何して」 「你在干嘛?」
「すき」 「喜欢」

 絶句する。  哑口无言。
 瞳孔が開く。お構いなしに潔は続ける。  瞳孔放大。洁毫不顾忌地继续说道。

「すきだよ、凛」 「我喜欢你,凛」

 そしてふ、と笑みをこぼして、またすうすうと眠りに戻っていった。
 然后轻轻一笑,又缓缓地沉入了梦乡。

 ふざけんなよクソが、と凛は思って、決意した。  混蛋,别开玩笑了,凛这样想着,下定了决心。


 絶対泣かす。  绝对要让她哭出来。
 そうしてその後、そのようにした。  于是,在那之后,他确实那样做了。

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