【和泉三日/R18】薄闇にけぶる
【和泉三日/R18】薄暗处弥漫
RawTitle:【和泉三日/R18】薄闇にけぶる
RawTitle:【和泉三日/R18】薄暗处弥漫
Date:2017-07-01 Length:18509
Name:朝姫(https://www.pixiv.net/users/2610876)
Source:https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8363623
Tags:[R-18, いずみか, 和泉守兼定, 三日月宗近, 刀剣乱舞, 和泉守兼定×三日月宗近, 和泉三日]
Tags:[R-18, いずみか, 和泉守兼定, 三日月宗近, 刀剑乱舞, 和泉守兼定×三日月宗近, 和泉三日]
Caption:
标题:
和泉守兼定×三日月宗近
この感情に、名前はない。
对于这种感情,没有名字。
いや、つけてはいけない。
不,不能加上名字。
ヒトとしても刀としてもこの先どうなるのかわからない運命――
作为人,作为刀,接下来会怎样,无法预知的命运——
だからこそ、このひと時を。
正因为如此,才珍惜这片刻时光。
ただ、おぬしを支えたいと思った
只是,想要支持你
もう世に出すことはないだろうと思ったので、全文です。
因为觉得不会再公之于众了,所以是全文。
好きな刀をかけ合わせただけですが、本当に賛同は得られないと思っております(笑)
只是把喜欢的刀搭配了一下,但真的觉得不会得到赞同(笑)
地雷のない方だけお進みください。
请勿踏上没有地雷的地方。
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月のように輝くものは、とうに喪ったなにか。
像月亮一样闪耀的东西,早已失去了什么。
ヒトはそれを、若さと呼ぶのかもしれない。
人或许会把它称为年轻吧。
◇
夜も更け寝静まった本丸に、廊下を歩く音が響く。手ぬぐいで濡れ髪を拭きながら、ひとり自室へと足を進めた。
夜已深,城堡核心已沉睡,走廊的脚步声回响。一边用手巾擦着湿发,一边独自走向自己的房间。
(まこと、風呂とはいいものだな)
(真一,洗澡真是不错啊)
夜着である単衣姿で、三日月は目を細める。風呂というヒトの習慣が思いの外心地よく、遠征や出陣から帰ると決まって風呂に浸かる。
穿着夜服,三日月眯起了眼睛。洗澡这种人类习惯出乎意料地让人感到舒适,每次从远征或出征归来后,他都会泡澡。
その心地よさは、筆舌に尽くしがたい。刀であっては味わえなかったこと一覧で三本の指に入る出来事だ。
这种舒适感难以用言语形容。有三件事是只有用刀才能体会到的,而这件事位列其中,仅凭三根手指就能数完。
「……今宵は、望月か」
“……今晚,是望月吗”
部屋への戸を開けると、丸い月が目に飛び込んでくる。庭に面した障子を開けたままにしていたようで、しんと冷えた空気の中で、ただ月だけが清かに輝いていた。星の見えない夜空を見上げ、ひとり息を吐く。
打开通往房间的门,圆圆的月亮便映入眼帘。像是开着面向庭院的障子,在寂静而冰冷的空气中,只有月亮静静地散发着清辉。仰望着看不到星星的夜空,独自吐出一口气。
この刀身の輝きは月のよう。三日月形の打除けもあってか、三日月宗近という名前をもらった。それがどれくらい前のことなのかは、記憶に遠い。
这刀身的辉光如同月光。或许因为有三日月形的打除け,才得名三日月宗近。但这究竟是什么时候的事了,已经模糊不清地遗忘了。
天下五剣と呼ばれだしたのは昨今のことだ。その中でも一番美しいと称されてはいるが、制作年が古いじじいというやつである。ヒトの世でいうなら、長く生きたということだろう。
被称为天下五剑,是最近的事。虽然被称为其中最美丽的一把,但却是位制作年代久远的老人所铸。按人类的说法,大概就是活得长久吧。
冷たい風が火照った頬をなぶる。三日月は敷居の側で腰を下ろした。目を瞠るほどに、大きな月だった。
冷风轻抚着发烫的脸颊。三日月蹲在台阶旁。那月亮大得几乎要眯起眼睛。
「不思議な、ものだな」
「真是奇妙啊」
戦場へ戻ってくるなどと、誰が想像しただろう。それも主のように肉の器を得て、だ。飾られていた身としては、自らに両の手足があり、刀剣を振り回していることが滑稽に思える。
谁会想到会回到战场呢。而且还是像主人一样获得肉身。以被装饰的身躯而言,自己拥有双手双脚挥舞刀剑,倒是觉得有些滑稽。
「だが、面白い」
「不过很有趣」
剣として生まれたからには、何かを斬って生きていきたい。それはこの身になったところで変わらない。ずっと飾られ、奉られる世であるなら、たとえ破壊される危険があるとしても、新しい主の下で命をつなぐ方がいい。
既然作为剑而生,就想要斩断些什么而活。这一点,即使成了这副身躯也不会改变。如果这个世界一直被装饰、被供奉,那么即使有被破坏的危险,在新的主人手下延续生命也是好的。
――月が、きれいだ。
――月亮,真美啊。
(これは、誰の声か)
(这是谁的声音?)
幾人もの主に所有されたこの身は、果たして幸せといえるのだろうか。いつしか天下人に伝わる刀となった自らの刀生は、共に戦う仲間たちに比べればひどく薄っぺらいもののようで、嫌になる。
被多人拥有这身躯,真的能说幸福吗。不知何时起,自己这把流传于天下的刀,与并肩作战的伙伴们相比,显得如此单薄,令人厌烦。
振り返るのもじじいの特権か、と三日月はゆるく笑みを浮かべた。
回望,或许只是三日月特有的特权吧,她轻轻地浮起微笑。
「月だけは、変わらぬ」
「只有月亮是不变的」
名の持つ魔力なのか、皆が月夜になると手入れを始めた。満月も三日月も美しく、冴え冴えとした光に照らされた我が身も輝き、あの時間を好んでいたことを思い出す。
或许是名字蕴含的魔力,每到月夜大家就开始打扮起来。无论是满月还是弯月都如此美丽,在清冷的光芒照耀下,我的身体也闪耀着光芒,让人想起曾多么喜欢那个时刻。
夏は澄んだ藍の空――散るは桜、舞うは雪。赤い紅葉に彩られた庭は、いつでも美しかった。
夏天是清澈的蓝色天空——飘落的是樱花,飞舞的是雪花。被红色枫叶点缀的庭院,总是那么美丽。
「……せんちめんたる、というやつじゃの」
「……就是那种东西」
「ぶっ!!」
「砰!!」
「ん?」
「嗯?」
盛大に噴き出した声がして、三日月は振り返る。入口の柱に背をもたせた長身の男がひとり、喉奥でククッと笑っていた。
盛大地喷出的声音中,三日月回头望去。一个背靠着入口柱子的高个子男人,正从喉咙深处发出咯咯的笑声。
「あんたが横文字使うと似合わねえな」
「你用横文字说话,可不太适合啊」
湯上りなのか、同じように白い夜着を身につけている。
是不是刚洗完澡,穿着同样白色的夜着。
「おお、和泉守ではないか」
「哦,这不是和泉守吗」
三日月は笑みを浮かべた。
三日月露出了笑容。
「その呼ばれ方、ムズっとする」
「这种称呼方式,让人不太舒服」
「はっはっは。仕方あるまい。同じ名の者が数名おるのだ」
「哈哈哈哈。没办法。有几个人叫同一个名字」
「そうは言われてもな」
「话虽如此」
苦笑しながら兼定は襖を閉め、三日月の隣に腰を下ろす。曲げた片膝の上に肘を付きながら、空を仰ぎ見た。
兼定苦笑着关上被褥,在月亮旁边坐下。把肘放在弯曲的膝盖上面,仰头望着天空。
「いい、月だな」
「好了,是月亮啊」
「ああ」
「啊」
生きた時代は違えど、変わらないものはある。三日月の心を言い当てられたようでドキリとするが、兼定はどこ吹く風だ。
虽然生存的时代不同,但有些东西是不会改变的。仿佛被说中了三日月的心思,兼定不禁心头一震,但兼定又觉得这算什么。
「……こうしてると、自分が刀だってことを忘れそうになる」
「……这样下去的话,我可能会忘记自己是一把刀」
ぽつりつぶやかれた言葉が、耳に残る。兼定を見やれば、涼やかな目元に悔恨が滲んでいた。
那零星的话语,在耳边回响。兼定抬眼望去,只见他清冷的眉眼间,正渗出悔恨之色。
「そうさなあ」
「是啊呢」
刀である自分と肉の器を持った自分。これはなんと不可思議なことなのか。歴史を守るためとはいえ、主と同じ肉体を持ち、自身でもある太刀を振う。
既是刀刃的自己,又是肉身之器的自己。这究竟是多么不可思议的事情啊。说是为了守护历史,却拥有与主人相同的肉体,挥舞着也是自己的太刀。
人に使われるべき存在が、主を死に追いやった歴史のために生きているのだ。
本该被人利用的存在,却为了那追逼主人走向死亡的历史而活着。
(皮肉なものだな)
(真是讽刺啊)
飾り奉られる三日月と、主との死を選べなかった兼定と。そのどちらも哀しい末路に過ぎないのだけれど。
被装饰的三日月和无法选择与主人一同赴死的我兼定。两者都只是悲伤的结局罢了。
「和泉守は――」
“和泉守是——”
「兼定でいいぜ」
“兼定就行”
かぶせるように訂正され、三日月はでは、と言葉を続けた。
被像盖印章一样纠正后,三日月继续说道。
「兼定は、審神者に鍛刀されてどうだ?」
「兼定,被审神者锻造刀刃后如何?」
「え……」
「诶……」
「再び自身で戦えるいまを、良しとするか悪しとするか」
「再次能够亲自战斗的现在,是好事还是坏事」
「それは――間違いなく、良し、だろうな」
「那——毫无疑问,是好事,吧」
言い切った兼定に、迷いはない。その様子を頼もしく、また羨ましくも思う。
面对兼定斩钉截铁的言辞,他毫不犹豫。看着他的样子,既觉得可靠,又有些羡慕。
蘇ったいまを、良しとするか悪しとするか。
是评价苏醒后的现在为好,还是为坏。
それは三日月自身が、ずっと考えてきたことだ。答えはもちろんない。この戦いが終わったとき、自ずと導き出される気がしているからだ。
这是三日月一直以来思考的问题。当然没有答案。等到这场战斗结束的时候,自然会明白的。
それでも詮無きことを考えてしまうのは、やはりじじいだからなのだろうか。
但终究还是忍不住去想些无谓的事情,大概是因为我毕竟是个老头子的缘故吧。
「兼定は本当に、裏がない」
「兼定真的没有后手」
「嘘なんか吐いたって意味ねえだろ」
「说什么谎话有什么意义啊」
笑う兼定は屈託がなく、見ていて本当に気持ちのいい男だった。べらんめえは前主のものなのか、不器用な生き様は慕われるのにも納得がいく。共に生きた堀川国広をはじめ、気が付くと兼定の周りにはいつも誰かがいた。
笑着的兼定毫不掩饰,看着确实是个让人心情舒畅的男人。粗鲁的性格是前主的东西吗,笨拙的生活方式被人仰慕也是可以理解的。从一起生活的堀川国广开始,不知不觉中兼定身边总是有人。
兼定の生きた幕末は、動乱の時代と呼ばれている。すでに価値を見出された三日月とは違い、彼は文字通り前主と共に時代を生きてきた刀だった。
兼定生活的幕末被称为动乱的时代。与已经找到价值的月牙不同,他是字面意义上和前主一起度过时代的刀。
持ち主が歴史に名を残したため、名を上げてしまった刀でもある。
因为持有者名留青史,所以也有不少名字被传颂的刀。
(刀が、銃に負ける時代だ)
(刀啊,在枪炮输给时代)
近代化の波が日ノ本を襲い、その濁流に飲み込まれたのが志士たちである。誠を貫いた末に悲劇があったというなら、刀を置き、矜持を曲げても生きる道をとれなかったのかと傍観者である三日月は思う。
近代化的浪潮席卷了日本,志士们被卷入这股浑浊的洪流。如果坚守诚心最终导致了悲剧,那么旁观者三日月心想,难道不能放下刀,哪怕折断傲骨也要选择生存的道路吗?
(矜持など、捨てられたら苦労はせんか)
(所谓的傲骨,舍弃了不就省心了么)
ヒトとは厄介で、それでいて単純で、だからこそ愛おしい。愛してくれた主なら尚のことだ。
人是麻烦又单纯,正因为如此才可爱。被主人爱着更是如此。
「いい太刀だな」
「好刀啊」
「褒めても、なんも出ねえよ」
「夸了也没用啊」
「刀剣は、使い手の心が宿るという。鍛刀される者たちを見ておると、皆主に恵まれておったのだと思うよ、俺は」
「刀剑是承载使用者的心灵。看着被锻造的刀匠们,我觉得他们都被主人眷顾着,我啊」
「……いい主、だったさ」
「……是个好主人呢」
三日月の声に、誘われるように兼定は口を開いた。思い出すとつらくなるから、あまり過去に身を投じたくない。だが、こんな月の綺麗な夜は――どう足掻いたって記憶が呼び起される。
兼定被三日月的声音引诱着张开了嘴。因为想起往事会很痛苦,所以不太想沉浸在过去。但是,在这样的月色美丽的夜晚——无论怎么挣扎,记忆都会被唤醒。
「名は聞いている。土方歳三と」
「我听说过。土方岁三」
「俺と堀川国広は、生まれた時からずっとあの人の腰にぶら下がってた。武士じゃねえけど、武士以上に武士でありたいと願う、純粋な、人だったよ」
「我和堀川国广,从出生起就一直吊在那个人的腰上。虽然不是武士,但却比武士更想成为武士,一个纯粹的人啊」
ふむ、と三日月は相槌を打つ。足利家から徳川家所有となった三日月にとって、唯一の主に大切にされ最期まで戦い抜いた兼定は妬ましいほど眩く映る。
嗯,三日月与它相视一笑。对于从足利家转到德川家手中的三日月来说,被唯一的主人珍视并战斗到最后一刻的兼定,映照得令人嫉妒。
(死ぬまで、共に……か)
(直到死去,一起……吗)
最後に剣として扱われたのはいつだっただろう。ついぞ最近のことのように思えたが、兼定が生まれるよりもずっと前の話だ。刀としての年齢は、兼定は非常に若い部類に入る。
最后一次被当作剑使用是什么时候呢。明明感觉像是最近的事情,但其实是比兼定出生还要早很久的事情。作为刀的年龄,兼定属于非常年轻的类别。
だからこその熱、なのかもしれない。
或许正因为如此,才如此炽热吧。
月は、太陽の光を受けて輝くのだという。ならば、この身に熱を与えるのは――
月亮是借着太阳的光辉而发亮的。那么,给予这身温暖的是——
(こういう男なのかもしれんな)
(或许就是这样的男人吧)
審神者が努力をしているおかげか、大所帯になってきた。遠征や出陣も遠いところやもっと過去へと遡れるようになった。前の主の生きていた時代を進むときに、この男は何を思ったのだろう。
多亏了审神者的努力,队伍变得规模庞大起来。远征和出征也能去更遥远的地方,或是追溯到更久远的过去。当队伍前进到前主人生活的时代时,这个男人在想什么呢。
歴史を変えることは、敵と同じだ。堀川国広はもしかしたらとつぶやいた。だがその想いを、兼定は一刀両断にした。
改变历史和敌人一样。堀川国广嘟囔道。但兼定一刀两断地斩断了这份心意。
『歴史は歴史。良くも悪くも』
『历史是历史。好也罢,坏也罢』
兼定は正しい。だが、と三日月は思う。
兼定是正确的。但是,三日月这样想。
もし一人の主に生涯仕えたとして、歴史を変えられる好機があれば、その誘惑に縋りたくならないのだろうか。
如果一个人一生为主,如果有机会改变历史,难道不会想要抓住那个诱惑吗。
(泣くほど、前の主を好いていたのであろう?)
(难道是喜欢前主人到哭的地步吗?)
それでも言いつけを守り、戦う道を選ぶというのか。
但还是要遵守约定,选择战斗的道路吗。
「なあ、……後悔しているのか」
“啊,……后悔了吗?”
「後悔、か」
“后悔吗?”
兼定は考えるように目を伏せた。刀生を振り返ればいいものだったといえる自信はある。主はとても愛してくれた。最期まで一緒にいることができた。
兼定闭上眼睛,似乎在思考。他有自信,回头看看刀生,那确实是一件好事。主人非常爱他。直到最后都能在一起。
「……ひとつだけ、あるとすれば」
「……如果说只有一个的话」
唸るように絞り出す。
像吆喝一样榨取出来。
「あの日あの人を、護れなかったことだ」
「那天没能保护好那个人」
悔恨は深い。昏い影が、兼定を覆う。
悔恨很深。昏暗的影子笼罩着兼定。
「そのために、俺はいたってのに……」
「为此,我明明……」
兼定はぎりっと口唇を噛み、顔を上げた。
兼定狠狠咬住嘴唇,抬起脸。
「主はぁ、腹に銃弾をくらっちまった。落馬して、それで終わりだ。あんとき情勢は持ち直しつつあって、主が生きてりゃ勝てたかもしれねえんだ」
「主人啊,腹部中弹了。摔下马,那就完了。那时候局势虽然有所好转,只要主人活着,或许就能赢」
一瞬泣いているようにさえ見えた瞳には、まるい月が映りこんでいる。いつかの、夜のように。
那双仿佛曾哭泣过的眼睛里,映着一轮明月。如同某个夜晚。
「俺たちは、銃に敗けた。うねる時代の荒波に呑まれた。刀の勝負なら、独り寂しくなんざ逝かせなかったさ」
「我们败给了枪。被动荡时代的狂涛巨浪吞没了。如果是刀的对决,我绝不会孤零零地死去」
それだけ前の主は強い人であったという。純粋な剣技であれば他にも腕の立つ男はいたが、実戦となるとめっぽう強い。
之前的那个主人是个很强的人。虽然纯粹剑术的话也有其他高手,但实战中他非常强大。
勝つ剣術ではなく、負けない剣術――天然理心流の教えは泥臭い田舎剣術とも評されたが、死んだら終わりの世界だ。誠の旗を背負い、どこまでもどこまでも、進むつもりであった。
不是要赢得剑术,而是要赢得不会输的剑术——天然理心流的教诲也被评价为粗鄙的乡下剑术,但在死后的世界,一切都结束了。背负着诚的旗帜,无论到哪里,无论到哪里,我都打算前进。
並大抵の覚悟ではなかったのだろう。押し上げたかった局長と別れ、ひとりひとりと仲間が消えていく。先に死ねればよかったのに、それを周りが許さなかった。
我恐怕并非普通的觉悟。告别了想要提拔我的局长,一个个同伴消失。如果我能先死就好了,但周围的人不允许我这样做。
副長として、新選組を担うものとして、生きてほしい。そう幾人もの隊士が夢を、命を、つないだのだ。
作为副长,作为肩负新选组重任的人,我希望你能活下去。正是许多队员用梦想、用生命连接了彼此。
「主は、希望だった。新選組はみんなの、夢の在処だったんだ」
「主人,是希望。新选组是大家梦想的归宿啊」
片田舎のどん百姓だ。それが武士に憧れ、二本差しになり、大義名分をいただいて国のために戦った。そのことが彼の誇りであった。昔語りの後に分不相応な夢だと、兼定を手に笑っていた。
一个乡下穷苦百姓。他因憧憬武士而成为浪人,得到大义名分,为国家而战。这曾是他最大的骄傲。在往昔的回忆中,他笑着用兼定说,那是不相称的梦想。
あの日も、こんなふうに月の綺麗な夜だった――
那天也是,和这样美丽的月夜一样——
「くそったれ……っ」
「该死……」
血が出るほどに下唇を噛み、爪が食い込むほどに拳を握る兼定に、三日月はかける言葉が見つからなかった。どんな言葉も慰めにならない。主を喪うということは、刀身を折られるのと同じこと。
兼定咬着下唇,直到鲜血渗出,紧握双拳,却找不到一句能说出口的话。无论说什么都毫无慰藉。失去主人,就像刀刃折断一般。
ヒトでいうなれば、心臓を貫かれたのも同じ。
用人类的话来说,心脏被刺穿也是一样。
(俺のように、転々としたのでないなら尚更か)
(如果不像我这样漂泊不定,那更是如此)
所詮刀だ。武器でありモノであり、無機質な塊。主が変わることはよくあること。だが、刀であろうと記憶や想いが残る。
所论刀。武器也是物,是无机质的块。主人更换是常有的事。但是,即使是刀,记忆和思念也会残留。
その記憶(おもい)が、付喪神として肉の器を持ったいまの自分たちなのだ。
那记忆,成为了如今拥有肉体之躯的我们,成为了付丧神。
特に兼定のように若い刀は、一人の主のみである場合も多い。長く生きた三日月の思想とは根本的に違う。
特别是像兼定这样年轻的刀,很多时候只有一位主人。与长久生存的三日月的思想从根本上不同。
だからこその悔恨に、鉛を呑んだかのように胸が重くなる。
正因为如此,胸中如同吞下铅块般沉重,充满悔恨。
「……和泉守兼定」
三日月はそっと名前を呼んだ。この男を、心で血の涙を流す兼定を、包み込んでやりたかった。
三日月轻轻呼唤了他的名字。想要将这个内心流淌着血泪的兼定,温柔地拥入怀中。
「ッ」
「呃」
三日月は腕を伸ばした。そっと宝物を包み込むように、優しく大きな図体を抱きしめる。
三日月伸出手臂。如同小心翼翼地包裹珍宝一般,温柔地拥抱着他庞大的身躯。
泣いてもいいのだというように。
就像可以哭泣一样。
「あ、んた……」
“啊,你……”
「聞き分けがよすぎるのは、欠点かもしれん」
“分辨得太清楚,或许是个缺点。”
ぐりぐりと自らの胸に押し付けるように兼定の頭を掻き抱く。初めこそ少し暴れた兼定だったが、三日月の腕が離れないとわかると、ほうっと一度息を吐いた。強張っていた身体から少しずつ力が抜けていく。
像揉搓自己的胸口一样,紧紧抱住兼定的头。起初兼定有些顽皮,但当他意识到三日月的手臂离不开他时,便长长地吐出一口气。紧绷的身体逐渐放松下来。
「ぬくもりは、安心するだろう」
「温暖感,能让人安心吧」
「……そうだな」
「……是啊」
前主と同じ、ぬくもりだった。布越しの体温が懐かしい。
和前任主人一样,是温暖的感觉。透过布料的体温让人怀念。
ヒトに例えるなら、祖父と孫のような関係である。三日月は千年以上もの間、刀として生き続けてきた。主に仕え、刀として振るわれる喜びも、とうに忘れてしまった。
如果用人类来比喻,就像是祖父和孙子般的关系。这把三日月刀已经持续作为刀生存了一千多年。侍奉主人、享受作为刀被挥舞的喜悦,早已被遗忘。
それが、と兼定の頭を撫でながら、まだ生乾きの長い髪を梳く。
在那抚摸着兼定头的同时,梳理着尚未干透的长发。
(震える)
(颤抖着)
若き頃に感じていたように、少なからず胸が騒いだ。何かに期待しているような、明日を待ちわびるような――長らく忘れていた心の震えに、三日月はゆるりと笑む。
如同年轻时感受到的那样,胸膛不由得躁动起来。仿佛期待着什么,又仿佛在等待着明天——在这长久被遗忘的心悸中,三日月缓缓地笑了。
空虚な胸の内に、小さな火が灯る。
空虚的胸膛里,燃起小小的火焰。
「あんたは、さ」
「你啊」
心地よさそうに目蓋を閉じた兼定が、小さく三日月を呼んだ。
兼定带着温和的表情闭上了眼,轻轻呼唤了个月牙。
「後悔、してんのか」
「后悔了吗」
問いかけに、三日月は目を細める。この瞳に映る藍色の空は昔と寸分と違わず、部屋へ射し込む月の光もあの頃のままだ。
在问话中,月牙眯起了眼睛。映在这双眼眸中的蓝色天空与昔日分毫不差,射入房间的月光也还是那个样子。
(後悔など、捨てたよ、俺は)
(后悔之类的东西,都抛掉了,我)
折れることもなく存在し続けた意味を、意義を問う行為は、長い間繰り返されてきた。何度自問しても答えはなく、ただただ刀として飾られた長い時間が無意味に思える。
询问持续存在却不曾折断的意义的行为,长期以来一直在重复。无论问多少次,都没有答案,只是觉得作为刀被装饰的漫长时光毫无意义。
だがいかに無意味な時間を過ごそうと、無機質な塊でしかない我が身は、自らの死も選ぶことができなかった。
但是,无论怎样度过这无意义的时光,我这具毫无生气的躯壳,都无法选择自己的死亡。
(そんな生を、後悔しないわけがなかろうに)
(这样的生命,不后悔才怪呢)
主の死すら遠い昔だ。共に死ぬこともできなかった悔恨も、刀として振るわれない我が身を憂うことも、感情というそのすべてを、この長い時間を生き残ることで薄闇に溶かしてきたのだ。
主人的死亡已经是遥远的过去。没能一同赴死的后悔,担忧自己这副无法挥舞刀剑之躯,以及情感这一切,都随着在这漫长的时间里存活下来,渐渐消融在黑暗之中。
審神者によって鍛刀されなければ、破壊されない限りこの国の移り変わりを見守るだけの傍観者。そんな生が、良きものだと?
若非经审神者锻造,只要不被摧毁,就只能作为旁观者看着这个国家的变迁。这样的生命,算是好的吗?
(兼定にはわかるまい)
(兼定是无法理解的)
同じ状況下においても、兼定は三日月と別のことを思うだろう。憂うことなどせず、切り拓いていく。
即使在相同的情况下,兼定也会和三日月想不同的事情。不会担忧,只会开拓前进。
推測というより、確信。この男は、自分とは違う。
推测与其说是,不如说是确信。这个男人,和自己不同。
(だからこそ、おもしろい)
(正因为如此,才有趣呢)
ああ、と胸のざわつきに思い至る。自分はいま、ひどく愉しいのだ。
啊,想到胸口的悸动。现在自己正无比愉悦。
お役目を果たす意義を理解し、戦いに身を投じ、平素であれば会話など交わすことのない仲間といられるいまが、ひどく愉快なのだ。
理解了履行职责的意义,投身于战斗,平时连对话都不会有的同伴们能在一起,现在真是无比愉快。
「後悔はしていたよ、ついさきほどまでな」
「我确实后悔过,直到刚才呢」
「それ、どういうことだよ」
「那、是什么意思啊」
「……月が、綺麗だの」
「……月亮,很美啊」
「はぐらかしてんじゃねーよ」
「别转移话题啊」
さきほどまで。
刚才。
その言葉が気になった兼定は、顔を見ようと身体を動かす。じじいと名乗る三日月は平安貴族のように笑顔にすべてを溶かしてしまう。
对那句话感到好奇的兼定,想要看他的脸,便动了动身体。自称爷爷的三日月,像平安贵族一样,用笑容融化了一切。
ゆったりと笑むその姿は凛としてどこか儚く、気になってしまう。本音というものを、聞きたいのかもしれない。
他舒展地笑着,既威严又有些许脆弱,让人不禁心生好奇。也许,是真的想听听他的真心话吧。
「うおっ」
“哦哦”
だが、顔を上げた兼定の勢いがよすぎたのか、抱きしめていたはずの三日月がバランスを崩した。堪える間もなく、そのまま後ろに倒れ込む。
但是,抬起脸的兼定势头太猛了,本应抱着的月牙失去了平衡。还没撑住多久,就向后倒去。
「っ……」
“……”
目を瞠る三日月の前に、鮮やかな青が飛び込んでくる。吐息が交わるほど兼定が近くにいて、かすかに息を呑んだ。
在睁眼的月牙面前,鲜艳的蓝色冲了过来。兼定离得这么近,几乎能感受到彼此的呼吸,他微微屏住了呼吸。
彼の纏う羽織の色だ。浅葱色の揺るぎない瞳が、視線を逸らすことを許さない。
他身上的外衣颜色。浅葱色的坚定眼神,不允许视线转移。
「三日月……」
兼定は、一心に藍色の眼を見つめていた。角度によっては見え方の変わる不思議な瞳が、心を掴んで離さない。
兼定一心地凝视着蓝色的眼睛。那双随着角度变化而改变眼神的奇妙瞳孔,紧紧攫住了他的心。
「あんたの目、三日月が浮かんでる」
「你的眼睛浮现着三日月」
「ああ……、これか」
「啊……,就是这个」
名前を呼ばれたのかと思ったが違ったようだ。この眼に浮かぶ不可思議な光彩は、その名の如く三日月のように光る。
似乎以为是呼唤了我的名字,但好像又不对。眼前浮现的不可思议的光彩,正如那名字一般,像三日月般闪耀。
「これは俺の刀身にある打除けよ」
「这是俺刀身上的打除け啊」
「きれい、だな」
「真漂亮啊」
掠れた声が、耳に残る。そのまま兼定の瞳が近づき――吐息が、口唇にかかる。
掠过的声音,在耳畔回响。兼定的瞳孔就这样靠近——吐息,落在唇上。
何に惹かれたのだろうか。理由すらわからぬままに、端正な顔が傾けられていた。
是什么吸引了她。连理由都不明白,端正的脸庞还是歪斜着。
(けぶる……)
(热……)
雲が広がり、月が顔を隠していく。輪郭が徐々にぼやけていく瞳に、広がるのは宵闇。
云层散开,月亮遮住了脸庞。逐渐模糊的轮廓中,蔓延的是夜色。
「んッ……」
“嗯……”
そっと、柔らかいものが触れる。それが兼定の口唇だと気付いたときにはもう、吐息ごと呑み込まれていた。
轻轻地,有什么柔软的东西触碰到了我。当我意识到那触碰的是兼定的嘴唇时,连呼吸都被吞没了。
何かが始まる、予感がした。
有什么东西要开始了,我预感到了。
この気持ちに、名前などない。付けてはいけないし、付ける意味もない。
对于这种感觉,没有名字。不应该赋予它名字,赋予名字也没有意义。
この生の先に待ち受けるのは、破壊か静寂か。
在这生命的尽头等待我的,是毁灭还是寂静。
壊れてしまう命としても、飾られる日々に逆戻りだとしても、後悔などはない。
即使成为会坏掉的命运,即使回到被装饰的日子里,也不会有后悔。
(俺達は――刀で、仲間で、いずれここより消えるが運命)
(我们——用刀,用同伴,迟早会消失在这里,这是命运)
わかっているのに、始まりの音が聴こえた。
明明知道,却听到了开始的声音。
それは破滅への音か、それとも――
那是通往毁灭的声响吗,还是——
[newpage]
「ッ、ん、んん」
「呃、嗯、嗯嗯」
兼定の柔らかな粘膜(くちびる)が、三日月のそれを塞ぐ。何度も何度も押し付けられ、舌で口唇をなぞられてはまた塞がれる。
兼定的柔软粘膜(嘴唇)堵住了那弯月牙。一次又一次被强迫,舌尖描摹着唇瓣,又被堵住。
ぞわりと背筋に走るものがある。感じたことのないこれは、不快なのかそれとも愉悦なのか。
有什么东西沿着背脊窜动。这从未感受过的,是厌恶还是愉悦。
「ふッ……」
「呼……」
兼定の吐息が頬にかかるたび、三日月は肩をすくめ奥歯を噛みしめた。声が、漏れてしまう。
每当兼定的呼吸拂过脸颊,三日月都耸起肩膀咬紧了后槽牙。声音,快要漏出来了。
矢継ぎ早に口唇が下りてくるので息も上がってくる。
嘴唇迅速落下,气息也随之升腾。
(これが、口吸いというものか)
(这就是所谓的口吸吗)
唯一外にある粘膜が触れ合う行為が親愛の情を表すのだという。いや、情動の始まりというべきか。くちゅりと唾液の絡む音が、静かな室内に響く。
唯一存在于外部的粘膜相触的行为,便是表达亲爱之情。不,或许该说是情感的开端。黏糊糊的唾液交缠的声响,在寂静的室内回荡。
(意識が、霞む……)
(意识,变得朦胧……)
鼻で呼吸をすればいい。それだけなのにうまくいかず、次第に靄がかかるように身体が弛緩する。三日月の頭の横に肘を付き、一心不乱に口唇を貪っていた兼定が、掠れた声でつぶやいた。
只需用鼻子呼吸就好。明明只需要这样,身体却逐渐像被浓雾笼罩般松弛下来。兼定将肘靠在横跨在月牙形头部的位置,一心一意地贪婪地亲吻着嘴唇,用沙哑的声音低语道。
「悪ぃ……止められそうも、ねえ」
“好……好像要停下来了,呢”
熱を帯びた瞳だった。揺らめく情欲の炎に、兼定の限界を知る。
眼中燃着火焰。在摇曳的情欲之炎中,知晓了兼定的极限。
(男であれば持て余すだけの欲だ)
(若是男人,这种欲望只会更加旺盛)
審神者に鍛刀され肉の器を得たとき、教えられなくても様々な情報を知っていた。自身にまつわる記憶ではなく、人として生きることの最低限の本能と知識である。
当被审神者锻造成为肉体之器时,即使不被教导,也早已知晓各种信息。并非自身相关的记忆,而是作为人类生存所必需的本能与知识。
審神者とは性が異なること。
审神者与性不同。
ヒトには食欲、睡眠欲、そして性欲という抗えない三大欲求があること。
人类有无法抗拒的三大欲望:食欲、睡眠欲和性欲。
それ身をもって体験したのは、初の出陣を終えたときだ。敵を斬る高揚感。神経が昂ぶって眠れない。それどころか下腹部の奥が熱くなる。
亲身经历的,是初次出征结束后。斩杀敌人的兴奋感。神经兴奋得无法入睡。更别说下腹深处开始发热。
刀剣なのだから細部まで再現しなくてもいいのに、と三日月はひとりため息を吐いたほどだ。
明明是刀剑,没必要如此细致地再现,三日月独自叹了口气。
これは男子たるものみな抱える熱であり、本能の現れ。萌した欲望に、手を伸ばす背徳感。それをヒト故の動物染みた本能だと言い訳しながら、快楽に耽る。
这是身为男性皆会怀有的热情,是本能的体现。对萌生的欲望伸出手,带着背德感。一边以此作为人类特有的、带着动物本能的借口,一边沉溺于快感之中。
迎える、絶頂――吐き出された濁液に、命の源など宿るまいとわかっているのに。意味のない情動だと、わかっているのに。
即将面对,巅峰——明知吐出的浑浊液体中,生命之源不会驻留。明知是无意义的情感。
あの瞬間は、何物にも代えがたい快楽だった。
那一刻,是无法用任何事物替代的快感。
(その延長、なのだろうな)
(想必是那的延续吧)
頬にかかる熱い吐息に、胸の奥が疼く。同性として、欲望を処理するだけの行為。それだけだと、言い聞かせる。
脸颊上的热气,让胸口深处灼痛。作为同性,仅仅是处理欲望的行为。就足够了,我对自己说。
名など、いらぬ。
名字什么的,都不要。
この胸に宿るのは、快楽への期待だけだ。
胸中宿住的,只有对快乐的期待。
「よい」
「好」
その熱を受け止めるように、三日月は笑った。
如同承接那热度,三日月笑了。
「我が身で鎮めればよい。俺は兼定のことを、嫌いではないからな」
「用我的身体来平息一切就好。我并不讨厌兼定的事情啊」
「はっ……ははっ。ものわかりがよすぎるにもほどがあるぜ、じいさん」
「哈……哈哈。你太懂事了也过头了啊,老头子」
「何をいう。口吸いだけで、ほれ、このようになっているのは誰か」
「你说什么。光凭嘴说,就变成这样了,是谁干的」
三日月は寝ころんだまま膝を立てる。ぐりゅっと触れた熱い部分――兼定の股間は、すでに隆起している。
月亮正躺着,抬起膝盖。紧紧相触的温热部分——兼定的裤裆已经勃起了。
「っぐぁ……」
「よきかなよきかな。肉の器であれば、当然の欲求だ」
「そうは、言っても、ッ……」
つらそうに眉根を寄せる兼定に、三日月は笑って見せる。
「吐き出してしまえ」
「あ、んた……ッ」
「心に抱えているものすべて、肉の欲とともに出してしまえば楽になるさ」
幼子を抱きしめるように腕を広げれば、面喰った顔の後、ふっきれたように兼定が笑った。
「違いねえ」
「没什么不同呢」
うだうだ考えるのは性に合わねえんだ、と笑う浅葱の瞳が近づいてくる。
笑着说“总是思考这些不适合你啊”,浅葱的眼睛靠近过来。
「んっ……、ふ…」
「嗯……、是……」
先ほどよりも深く口唇が重なる。角度を変え何度も啄ばまれれば、風呂上がりの肌がしっとりと汗ばんでくる。
比刚才更深的嘴唇相触。如果改变角度被啄了好几次,那么洗完澡的肌肤就会润泽而微微出汗。
兼定は口唇を離し、耳朶に噛みつくように囁いた。
兼定离开嘴唇,像咬住耳垂一样低语。
「あんた、じじいなんていうわりに、吸いつくような肌だ」
「你啊,明明是个老头,皮肤却这么诱人」
衿の合わせに手を入れた兼定は、ぐいっと夜着を肌蹴させた。月明かりに浮かぶ白い肌に、視線が吸い寄せられる。
兼定把手伸进衣领,猛地扯开夜服。月光映照出的白皙肌肤,让人不由得被视线吸引。
「肉体は、若いものだろうて」
「肉体啊,还年轻吧」
刀としては年老いていても、この肉体は兼定とそう変わらない。三日月の肉体はその刀身の輝きがそうさせるのか、透き通るように白い肌をしている。
作为刀来说虽然年迈,但这个肉体和兼定并没有太大差别。三日月那刀身的辉光似乎让它拥有通透如白的肌肤。
だからなのか。
所以如此啊。
その肌に浮かぶ赤い頂が、艶めかしい。
那浮现在肌肤上的红色顶端,光泽动人。
「っは、はは。天下五剣一美しいってのは、伊達じゃねえんだな」
「呵呵,天下五剑中,所谓美丽,并非指伊达啊」
立ち昇る色香が見えるようだ。喉を鳴らす兼定に、三日月は悠然と笑んだ。
似乎能看到升起的色彩和香气。喉咙发痒的兼定,三日月悠然地笑了。
「褒め言葉として、受け取っておこう」
“作为赞美之词,就收下吧”
「それ以外ねえだろ」
“可不是嘛”
きょとんと眼を丸くする兼定に、三日月の方が呆れた顔になる。嘘が吐けない。戯れに褒めたり口説いたりが出来るような性格はしていなかった。
兼定瞪大了眼睛,三日月反而露出了厌烦的表情。说谎做不到。他并没有那种能开玩笑地夸奖或甜言蜜语的性格。
「おぬしは本当に、気持ちのいい男だな」
「你真是个让人感到舒服的男子啊」
「あんたは、のらりくらりしてっけどな」
「你虽然这样油嘴滑舌的」
本音を見せないところが、兼定の興味をそそるのかもしれない。笑顔の裏を、暴きたくなる。
或许是因为不表露真实心意,才让兼定感到兴趣吧。 想要揭开笑容背后的真实。
「でも、嫌いじゃないぜ」
「但是,我并不讨厌你」
「んっ」
「嗯……」
噛みつくような深い口付けに、くらりと眩暈がする。兼定の熱い指先が肌の上を這い、くすぐるような感触に三日月はびくりと身体を震わせた。
被咬得深情的嘴唇,让我一阵眩晕。兼定的热手指在肌肤上游走,痒痒的感觉让三日月身体颤抖了一下。
「ッ……」
「呃……」
飾りでしかない頂をカリカリと引っ掻かれ、乳輪が甘く疼く。指の腹の刺激がもどかしい。焦れて、知らず腰が揺れた。
发顶被硬硬地抓挠,乳晕甜蜜地发痛。指尖的刺激让人难以忍受。焦躁中,腰身不自觉地摇晃。
「ココ、硬くなってきたな」
「这,变硬了啊」
「っあ、あ……」
「嗯……」
ぷっくりと膨れ上がった乳首を、兼定は愉しそうに指先で抓み、捏ねる。ジクジクとした刺激に、三日月は眉根を寄せ、細い声を漏らした。
兼定愉悦地用指尖抓捏着噗地膨胀起来的乳头。在噼啪作响的刺激下,三日月皱起眉头,发出细小的声音。
乳首がなんのためについているのかもわからない。だが触れられれば勃起して存在を主張し、ぞわぞわとした刺激を三日月に訴えかける。
连乳头是为什么存在的也不知道。但只要被触摸就会勃起,向三日月诉说着噼啪作响的刺激。
(こんな、場所が)
(这样的地方)
感じるというのだろうか。
是指这种感觉吗。
快楽という意味で、雄に敵う部位はない。そこに全神経が集中し、蹂躙されてるかのような暴力染みた快楽を与える場所だ。脳髄へと駆け上がる快楽の波は、さながら津波のようだ。
在快感这个意义上,没有哪个部位能与之匹敌。这里是所有神经都集中于此,给予那种如同被践踏般的、充满暴力气息的快感的场所。涌向脊髓的快感之波,宛如海啸一般。
だがどうだ。この乳首に与えられる快楽は寄せては返すさざ波。じわじわと体中が熱を帯びる。
不过,你看。给予这个乳头的快感,是涌起又退去的细浪。全身都渐渐变得温热。
もどかしい。いっそ激しく引っ掻いてほしい。
烦躁。真想用力抓挠。
「ひうっ」
「嘶……」
だがどうだ。意に反して温かく濡れた感触が乳輪を覆う。三日月はそっと胸元に眼を遣った。
但是呢。与意愿相悖,温暖湿润的触感包裹着乳晕。弯月悄悄地映在胸前。
「ん、んんっ」
「嗯,嗯嗯……」
兼定が乳を呑む赤子のように、三日月の乳首に吸いついていたのだ。
金田像婴儿吸吮一样吮吸着新月的。
「な、に……」
“什么,......?”
乳など出るわけがない。そんな場所を吸う意味がわからなかった。だが熱い舌先が膨れ上がった乳首を転がし、歯を立てた唇で噛み、ざらりとした舌が乳輪ごと舐め上げる。そんな一連の行為が、確かに快感中枢を刺激していた。
乳汁不可能流出来。 我看不出在这样一个地方抽烟有什么意义。 然而,她滚烫的舌尖滚动着她肿胀的,用她长满牙齿的嘴唇咬住它们,她粗糙的舌头舔舐着她的乳晕。 这样的一系列动作,无疑刺激到了快感中枢。
「く、っ……ん、んん」
“嘘...... 嗯。
堪えようとしても、鼻から甘い声が漏れる。自身と同じ飾りでしかないような場所を弄られ声を上げるなど、到底信じがたい。
即便努力忍耐,鼻尖还是漏出了甜腻的声音。在那种与自身同样只是装饰般的地方被摆弄,却还要发出声音,实在难以置信。
だというのに――下腹部の、奥が熱い。
却说着——小腹深处,却很烫。
「ッ、は……」
「呃,是……」
耳朶に熱く短い息がかかる。獣染みた息遣いに、三日月の身体はすでに煽られていた。
耳朵泛着热,短促地喘息。带着野兽般的呼吸,三日月的身体早已被撩拨得蠢蠢欲动。
誰かの指が、この肌に触れる。その意味を、感覚を、嫌でも思い知らされる。
某人的手指,触碰到了这皮肤。那含义,那感觉,不由自主地被认知。
(自分ではないものに、なるかのようだ)
(似乎要成为不属于自己的东西)
ぞわりと肌が粟立つ感覚が、決して不快ではないと知ってしまった。慣れないこと故の恐怖と、未知への期待――当の昔になくしたものをまざまざと見せつけられる。
忽然间,皮肤起鸡皮疙瘩的感觉,让我意识到这绝非不快。不习惯带来的恐惧与对未知的期待——如今却要堂而皇之地展示那些早已失去的东西。
刀であったなら、全てを諦めることができた。天下五剣として飾られる運命を、振われることのない生を、無機質なモノである自分を。
如果是刀的话,我本可以放弃一切。那个注定要成为天下五剑的命运,那无法挥洒的生命,那个无生命的自己。
だのにいまは、数奇な縁でこうして肉体を持ってしまった。ヒトとしては幼子と変わらない刀剣達だが、育った肉の器は同時に欲望を伝えてしまう。精神は赤子なのに、肉体だけ大人で。どうしたって感情など、置いてけぼりなのだ。
然而如今,却因奇妙的缘分拥有了这具肉体。这些刀剑作为人类尚且如同幼童,但长成的肉身却同时传递着欲望。精神是赤子,肉体却已成年。无论如何,情感终究是被抛下的。
(ただ、受け止めてやりたいと思う)
(只是想要去接住)
剣であった時分に傷付いた魂を、癒してやりたいと思った。情愛などではなく、こうして欲望を吐き出すことで楽になる何かがあるような気がしたから。
曾经被剑所伤的灵魂,想要去治愈。并非情感之类的东西,而是感觉像这样吐露欲望,会有某种解脱。
それでも。ああ、其れ故に。
即便如此。啊,正因为如此。
(焦がれるのか、俺は)
(是焦躁了吗,我)
揺るぎない瞳を持ったこの男の生き様に。
拥有坚定眼神的这名男子的生存方式。
信念に。
信念中。
魂に。
灵魂中。
どうしようもなく、駆り立てられる。
不由自主地,被驱动着。
「ッ、ぁ、あ」
「呃、啊、啊」
ぴん、と頂を弾かれ、痛みにも似た刺激に意識を戻される。わずかに潤む瞳を向ければ、野獣がそこに、いた。
被轻轻弹了一下额头,那种类似疼痛的刺激让意识恢复。若稍稍睁开湿润的眼眸,就能看到野兽就在那里,在哀嚎。
「俺を、見ろよ」
「看着我啊」
掠れた甘い声が、理性を溶かしていく。欲望が滾る。
掠过的甜美声音,融化着理性。欲望在翻滚。
初めてこの手で敵を斬り捨てたときよりも、胸が騒いだ。
比第一次用这双手斩杀敌人时,心脏更加躁动。
(詮無きことか)
(这有什么意义呢)
理屈ではわからないことが確かにある。それは主たちが月の綺麗な夜に手入れをするように、自らの感覚でしかわからない何か。
确实有无法用道理说明的事情。就像主人他们在明月之夜打理事务一样,有些事情只能凭自己的感觉去理解。
それを考えること自体意味がないのだと、三日月は初めて知った。
三日月第一次意识到,思考这件事本身毫无意义。
「では兼定。おぬしにも、俺だけを見てもらおうか」
「那么兼定。要不要只看着我」
浅葱色の晴れた空を思わせる瞳に、己の三日月が映りこむ。真昼の月を何と呼んだか。そんな問いも、口付けで飛んでしまった。
那双如同浅葱色晴空般的眼眸中,映照出我自己的弯月。不知该称正午的月亮为何。这样的疑问,也随口抛出了。
「ンッ、んふっ……」
「嗯哼、嗯……」
「あんた以外見る余裕なんて、ねえんだよ」
「除了你以外,哪有闲工夫看别人啊」
「ああッ」
「啊!」
怒ったように頂を抓まれ、捻られる。これはさすがに痛みに声を上げた。さんざん舐めしゃぶられ勃ち上がったそこは真っ赤な苺のようで、鋭敏に刺激を伝えてしまう。
像愤怒一样抓挠头顶,扭动着。这确实让他在疼痛中叫出了声。被胡乱舔舐而勃起的地方,像鲜红的草莓一样,敏锐地传递着刺激。
「じいさんだから、痛いくらいがいいのかと思ったんだが」
「因为是爷爷,我还以为痛一点挺好的呢」
「肉体っ、は、変わらぬ、よ」
「肉体啊,是,不会变的,嗯」
「そうかい。じゃあ、もう反応してんだろ」
「原来如此。那么,已经反应过来了吧」
「つ……」
褌の上から遠慮なく揉まれ、三日月は身を震わせた。自分ではない他人の手の熱さに、その力強さに、眩暈がする。
褌上被毫不客气地揉搓着,三日月颤抖着身体。面对不属于自己的他人手掌的温度,那股力量,让她感到头晕目眩。
「ほら」
「看吧」
「んっ、んう……」
「嗯……嗯啊……」
ぐにぐにと握られ、芯を持った塊がいっそう硬くなる。兼定は口端を上げながら三日月の帯を解き、褌を寛げた。
被紧紧握住,带着核心的块状物变得更加坚硬。兼定一边抬起嘴角,一边解开月牙形的带子,松开了下裾。
ひんやりとした空気に素肌を撫でられる。ぶるりと身震いしたのは、そのせいだけではない。
微凉的空气轻抚着肌肤。剧烈颤抖的原因,并不仅仅是因为这个。
「あ……」
「啊……」
熱を孕んだ眼で、兼定は三日月を見ていた。局部を視線に晒され、知らず羞恥に肌が染まる。頷くように、雄がひくりと揺れた。
带着炽热目光,兼定凝视着新月。当身体暴露在视线中,肌肤不由自主染上羞涩。仿佛点头般,雄性猛兽剧烈颤抖。
「確かに俺と変わらねえ。……きれいな、色だ」
「确实跟我不一样……真漂亮,颜色」
「そ、んなこと、あるまい」
「没、不会有那种事吧」
声が掠れる。緊張とでもいうのか。獲物を狙う獣の瞳に、全身が貫かれてしまったようだ。
声音微微颤抖。或许是紧张吧。仿佛全身被瞄准猎物的野兽之瞳贯穿。
「あっ、ふ、う……」
“啊......hh
兼定の指が、直接三日月の肉棒に触れた。己で触れるときよりも力が強く、思わず声を上げてしまう。
金田的手指直接碰到了三日月的手指。 它比你自己触摸它时更强烈,你会情不自禁地提高声音。
「あんたのココは、敏感だな」
“你好敏感。”
「力が、つよす、ぎるッ」
“力量,力量,力量”
「痛い方が感じるんだよ、俺は」
「是疼痛更能让人感受到啊,我」
硬い爪先が鈴口にかかり、三日月は身を縮めた。何をされるかわからない恐怖を本能的に感じるせいだ。だが、兼定が口にしたのは、想像すらしない言葉だった。
坚硬的爪尖抵住铃口,三日月不由自主地缩起身子。出于本能感受到未知恐惧的缘故。然而,兼定口中的话语,却是连想象都未曾想到的。
「……生きてるって、実感する」
「……是能感受到自己还活着」
仄暗い影の落ちた瞳が、揺れた。刀からヒトの器を得た戸惑いなどではなく、もっと奥底にある不安が現れている気がした。
在昏暗阴影中摇曳的眼瞳,似乎并非从刀中获取人类容器的困惑,而是更深处的不安正在显现。
痛みなど憂うだけのものではないか。刀であれば感じないままに過ごす感覚の最たるものだ。
或许只是些无伤大雅的烦恼。刀的话,就感觉不到那种最极致的共存感。
確かに痛みも快楽も紙一重だ。ヒトの器になってから初めて知る感覚ばかりだが、特にこの二つは抗いがたい。
的确,痛苦与快乐只有一线之隔。成为人形之后才懂得的那些感觉,尤其是这两者,是无法抗拒的。
痛みによって支配され、快楽によって支配される。
被痛苦所支配,被快乐所支配。
だがその刹那を、生きているなどと実感するだろうか。
但是,会意识到自己还活着吗,在那刹那之间。
(少なくとも、痛みはないな)
(至少,不痛啊)
痛いからこそ、いまを生きている。考えとしてはわかるが、最も敏感な場所に痛いほどの快感を与えることが、気持ちいとは思わない。
正因为痛,才在活着。从道理上来说是明白的,但越是敏感的地方给予越痛的快感,我不觉得那有多好。
(……ああ、そうか)
(……啊,是这样啊)
目の前の、図体ばかり大きな子供の考えに行き当たる。
眼前,总是遇到那些想法单纯的大孩子。
不安に揺れる瞳にあるのは、罪悪感だ。
在动荡的眼眸中,映照出的是罪恶感。
きっと兼定本人も気付いていない、深層心理の現れだといえる。
想必连兼定本人也没有察觉到,这是深层心理的显现。
(そこまで――)
(直到如此——)
主を死に追いやった。その場所に一緒にいたのに何もできなかった。それどころか、こうして歴史改変主義者との戦いに身を投じている。
将主人逼向死亡。明明当时就在那个地方,却什么也做不了。更甚的是,现在还投身于与历史修正主义者的战斗之中。
一番歴史を変えたいのは――
想要改变历史的是——
「おぬし、なのか」
「是你吗」
震える声で問いかける。
用颤抖的声音问道。
良くも悪くも歴史は歴史。だが、その心の奥底で地面に爪を立て血の涙を流し、歯を食いしばって唸るのは、兼定自身だというのか。
无论好坏,历史就是历史。但是,在心底用爪子抓地,流淌着血泪,咬紧牙关咆哮的,难道是兼定自己吗。
「なにが、だ?」
「怎么了,是吗?」
「そんなにも――」
「竟然……」
兼定は知らない。痛みで生を実感することの意味を。心に巣食う、闇を。
兼定不知道。体会疼痛的意义是什么。心中滋生的、黑暗。
それならば、知らない方がいい。知ってしまえば、矛盾に葛藤するだけだ。
那样的话,不知道比较好。知道了的话,只会陷入矛盾和挣扎。
「いや。詮無きことだ」
「不。毫无意义的事」
三日月は一度長い睫毛を伏せた。本人すら気付かぬまま、その不安を吐き出させてしまえばいい。
三日月垂下长长的睫毛一次。本人自己都未察觉,就这样吐露了不安。
一人生き残ったことへの罪悪感。快楽を感じることへの罪悪感。
一个人幸存下来的罪恶感。感受到快乐时的罪恶感。
前主の喪失が与えた影響は、想像以上に強大なのであろう。
前主人失去所带来的影响,恐怕比想象中更为强烈。
誰でも傷を抱えて生きている。それを表に出すか出さないか、あるいは気付くか気付かないかというだけで。
每个人都在带着伤痕生活。是选择表露出来,还是隐藏起来,或者是否察觉到,这就够了。
(俺にも、あるのだろうな)
(我也有吧)
きっと、気付いていない、傷が。
一定,是没有察觉到伤痕的存在。
「気になる言い方だな」
“这种说法真让人在意啊”
「……ならば教えてやろう」
「……那么,我就告诉你吧」
三日月は己を握る兼定の手を掴み、上半身を起こす。何が始まるのかと黙って見ている兼定の股間に手を伸ばした。
三日月抓住兼定握住自己的手,抬起上半身。默默注视着什么即将开始,兼定伸手向自己的裤裆伸去。
「なっ!」
「啊!」
「ほれ、もう硬くなっているではないか」
「看吧,已经硬了不是吗」
「そりゃ……っ、ちょっ」
「那……啊,等一下」
強いのが好きだというから、自分に触れるよりもきつく褌の上から握り込む。びくんびくんと布越しに脈打つ熱い塊は、その温度も大きさも、三日月のものとは違う。
因为喜欢强烈的,所以比起接触自己,更要在内裤上紧紧握住。透过布料微微颤抖的温热物体,其温度和大小,都和月亮的不同。
「じい、さんっ」
「爷爷,叔叔」
「頭をからっぽにして、快楽だけ感じておればよい」
「把头放空,只感受快乐就好」
褌を寛げ、肉棒を引き摺りだす。それは確かに三日月とは異なる色艶をしていた。大きさも長さも、すべてが違う。
将裤衩褪下,露出肉棒。那确实与三日月有着不同的色泽。大小、长度,一切都不同。
(個体差がこんなにもあるとは)
(个体差异竟然这么大)
膨らんだ亀頭からは、先走りの汁が滲み出ている。三日月はそれを塗り込むように指の腹で円を描いた。
膨胀的龟头渗出先行的汁液。三日月用指尖像涂抹一样画着圆圈。
「っは……」
“哈……”
兼定の息が上がる。痛い方が感じるという身体には、もどかしいほどくすぐったい刺激なのかもしれない。
金田的呼吸加快了。 对于感到疼痛的身体来说,这可能是一个令人沮丧的痒痒刺激。
握り込み、亀頭の括れを揉みながら肉竿全体を扱く。だんだんと硬く、質量を増してくる。
握住它并处理整个,同时摩擦结。 它逐渐变得更硬、更庞大。
「気持ちよいのか」
“感觉好吗?”
「あ、あ」
“哦,哦。”
兼定は後ろに手を付き、脚を投げ出して目を伏せる。他人の手によって与えられる快楽を、振りほどけない。
兼定在身后伸手,踢出双腿,俯首低眉。不愿被他人之手所赐予的快乐。
「もうとろとろだの」
「已经软烂了」
ひくりと揺れた雄の鈴口は透明の液体でぬめり、三日月の手を濡らしていく。感じているのはお互い様だ。三日月自身も、兼定を愛撫しながら痛いほどに張り詰めている。
雄铃口在透明液体中滑腻,浸湿了三日月的手。感受到的是彼此相同。三日月自身,也正抚摸着兼定,痛苦地紧绷着。
「俺も同じよ」
「我也是」
腹につくほどそそり勃起する雄を隠しもせず、三日月は腕を通しただけの夜着を脱ぎ捨てる。そして、兼定の太腿を膝立ちでまたいだ。
随着雄性在腹上逐渐勃起,三日月毫不掩饰,脱去了仅覆盖着手臂的夜装。接着,她跪坐在兼定的粗壮大腿上。
「あ……」
「啊……」
開けられた障子から見えるは望月――輝くのは、藍色の空に輝く三日月。
从打开的障子中可以看到望月——闪耀的,是映照在蓝色天空中的三日月。
「つ、きが」
「不、不行」
「空の月か。それとも」
「是空中的月亮吗。还是」
三日月は、ゆるりと微笑んでみせる。
弯月缓缓地露出微笑。
「……俺の、三日月(つき)か」
「……是我的弯月吗」
望月を背景にした三日月の裸体はこの世のものとは思えない美しさであった。月の如き光をまとう白き裸身――息を呑む兼定の視界に、金色の三日月が広がった。
以望月为背景的弯月裸体,有着不属于这世间的美丽。披着月光般白皙的裸身——在兼定几乎要窒息的视野中,金色的弯月铺展开来。
「あんたの、月だ」
「这是你的月亮」
つぶやく兼定の口唇に、三日月そっと口付ける。兼定ほどの性急さはない。代わりに、官能を煽るようなねっとりとした口付けだ。
三日月轻轻贴在兼定喃喃低语的唇上。不像兼定那般急躁。取而代之的,是一种能挑逗官能的、缠绵悱恻的亲吻。
「んッ」
「嗯……」
何度も何度も兼定の少し乾いた口唇を吸い、舌先で撫でては、また吸う。戯れのような口付けを繰り返しながら、兼定の亀頭の裏筋に自らの先端をぐりぐりと擦り付けた。
一次次地吸吮兼定那略带干燥的唇瓣,用舌尖轻抚,然后再次吸吮。在重复着嬉戏般的亲吻中,将自己逐渐磨蹭在兼定的龟头后背纹路。
「っ、ああ……」
「唔、啊……」
兼定の陰茎は木の幹のように硬く、浮き上がった血管に擦られると、でこぼこした部分が鈴口をなぶっていく。
兼定的阴茎像树干一样坚硬,随着浮起的血管摩擦,粗糙的部分不断撞击着铃口。
「ンン、っ…ぁ、あ……」
「嗯嗯,唔……啊,啊……」
お互いの亀頭から溢れた粘液が混ざり合い、ぬちぬちと卑猥な水音を立てた。耳孔から、侵されていくようだ。
彼此龟头溢出的粘液混合在一起,发出湿漉漉的淫秽水声。仿佛从耳孔中侵入一般。
「俺だけが悦くても意味がない」
“我是唯一一个快乐的人是没有意义的。”
このままでは三日月だけ煽られてしまう。重なり合った肉棒を、両のてのひらを筒にして包み込む。濡れた二本の雄が、びくびくと震えていた。
如果这种情况继续下去,只有新月会被扇动。 用两只手掌将重叠的肉条包裹成管。 两个浑身湿漉漉的雄性战战兢兢。
熱い肉棒だが、お互いの体温は違う。そんな違いに眩暈がしそうだ。
是一根热乎乎的,但彼此的体温不同。 我对这样的差异感到头晕目眩。
「ふたりで、悦くなろうではないか」
“让我们一起快乐。”
三日月は赤い舌で自らの唇を舐めながら、ゆるく腰を前後に動かし始めた。手の形はそのままに、二本の肉棒を少し強く握る。
三日月开始松散地来回移动她的臀部,同时用她红色的舌头舔她的嘴唇。 在保持手形的同时,稍微用力握住两根。
動きに合わせ、てのひらに、お互いの肉棒に擦られる。まるまると膨らんだ先端が重なり合い、とろりと糸を引く粘液がぐちゅりとより大きな音を立てた。
- 根据动作,它在手掌中相互摩擦对方的鸡巴。 肿胀的尖端重叠在一起,浓密的粘液串发出越来越响亮的声音。
「ん、っ」
“嗯。”
吐き出される息は甘く、兼定の頬にかかる。眉根を寄せ、何かに耐えるような表情で腰を揺する三日月の痴態に、弾けてしまいそうなほど興奮が高まる。
他呼出的气息是甜美的,落在金田的脸颊上。 新月的愚蠢,皱着眉头,摇晃着臀部,表情似乎忍受了什么,让兴奋如此之大,似乎要爆裂。
「もう、達するのか」
“你准备好了吗?”
「んなこと、ねえ、よっ」
“嘿嘿嘿哟。”
声を出す振動のせいか肉竿を扱いていた指が自らの切っ先を掠め、鋭敏な場所への刺激に三日月はひっと息を呑んだ。
也许是因为他声音的震动,处理他的的手指抓住了他自己的伤口尖端,三日月在敏感部位的刺激下倒抽了一口气。
「ッ……」
"......."
三日月の手に思わず力が入った。肉棒をグッと握ってしまい、兼定も息を詰める。
新月的手不由自主地收紧了。 - 金田紧紧地握着,也哽住了呼吸。
痛い方が生を感じるとはいったが、あくまで自分でする場合だ。他人がどの程度の強さでどう動くのか予測できるはずもなく、身構えていない分直接刺激が駆け巡る。
我说过,痛苦更生动,但前提是你自己去做。 无法预测其他人会以什么强度移动,而且因为你没有准备好,直接刺激会跑来跑去。
「んあッ」
“嗯。”
静かな部屋に、兼定の声が思いの外大きく響いた。
在寂静的房间里,金田的声音出乎意料地响亮了。
一番奥の部屋を貰ったとはいえ、壁は薄い。夜も更けたこの時間、淫靡な行為が行われているなどと、本丸の刀剣男士達は夢にも思うまい。
得到了一个偏僻的房间,虽说如此,墙壁却很薄。夜深了,本丸的刀剑男士们可不会梦想到这里正在进行淫靡的行为。
「声が、聞こえてしまうかもしれんぞ」
"声音,可能会被听见呢"
「いまの、っは、あんた、が……」
"现在的,っ是,你,在……"
「すまん」
"抱歉"
確かに三日月に非がある。素直に謝るが、手の動きは止めない。止まらない。
确实三日月有不是。坦诚地道歉,但动作不停。不停。
「な、あ……」
「那、啊……」
兼定の息が弾んでいた。どくんどくんと流動する精を、三日月はてのひらで感じる。
兼定的呼吸急促。三日月用掌心感受着流动的精,笃笃作响。
「出せばよい」
「拿出来就好」
「手、汚しちまう」
「手、弄脏了」
「かまわんよ」
「没关系」
「っふ、ん……」
「嗯……」
指先を兼定のぬめる亀頭に這わせた。鈴口を爪先で突き、軽く引っ掻く。痛みより、快感が勝った。
手指轻轻划过兼定那湿润的龟头。用指尖戳着铃口,轻轻挠动。比起疼痛,快感更占上风。
「っああ!」
“啊
感じ入った声が響く。同時にぐうっと膨れ上がった兼定の肉棒から、熱い液体がびゅくびゅくと迸った。
一个声音与情感产生共鸣。 与此同时,热液从金田的中涌出,已经膨胀了很多。
「あ……」
“哦.......”
腰を小刻みに揺らし三日月のてのひらへと放った兼定は、荒い息を繰り返していた。ドッドッ……逸る心音が、三日月にまで響いてくる。
扭动臀部,放进新月掌心的金田,呼吸沉重。 繁荣。。。。。。 一颗偏转的心的声音甚至回荡在新月。
他人の鼓動を間近で感じるのは初めてで、生きているということを不思議にさえ思う。
初次如此近距离感受到他人的心跳,甚至让我对“活着”这件事感到不可思议。
(快楽を得ることも、生きているからこそ)
(获得快乐也是,正因为活着才得以实现)
わかってはいるのだが、頭での理解と現実は違う。だから他人の手で達するということは、思うよりも大きな刺激なのだ。
虽然明白,但头脑中的理解和现实总是不同。所以通过他人的手达成目标,其带来的刺激远比想象中强烈。
「悦かったか」
“快乐吗?”
「悪いわけ、ねえだろうが」
「可不是嘛,你说是吧」
くそったれ、と毒づかれ、三日月は破顔した。兼定の目元が赤い。
“混蛋!”他骂了一句,三日月露出了破涕为笑的表情。兼定的眼角泛红。
「ならば、よい」
“那好吧,很好”
笑んで、三日月は手を持ち上げた。どろりとした濁液が指を伝い落ちる。浅葱色の瞳を見つめながら、それを赤い舌で舐め上げる。
笑着,三日月举起手。浑浊的液体顺着手指流淌。他凝视着浅葱色的瞳孔,用红色的舌头舔舐着。
(苦い、な)
(真苦啊)
青臭く苦い味だった。わずかに眉根をよせながら、味わうように舌の上で転がしてみる。
那是一种青涩而苦的味道。他微微皱起眉头,像品味般让它在舌尖滚动。
「眉間に皺、寄ってるぜ」
“眉头都皱起来了”
「美味くはないのでな」
“确实不美味啊”
言いながら三日月はもう一度精液を舐めた。そのまま自ら濡れた指を秘裂へと伸ばしていく。
「み、かづ……ふ、ッ…」
兼定の口唇を塞ぎ、薄く開いた口唇から舌を差し入れる。精の残滓を、他の誰でもない兼定の口内へ運ぶ。
「ん、んふっ」
苦い味に兼定が目を白黒させている。まさか己の放ったものを味わう羽目になるとは思わなかったに違いない。
苦涩的味道让兼定目瞪口呆。他绝没想到自己放出的东西会尝到嘴里。
薄目を開け兼定の表情を楽しみながら、三日月はぬめる指先をそっと蕾へと押し込む。閉ざされていた秘所は、さすがに指先とはいえど抵抗を示す。
眯起眼睛,欣赏着兼定的表情,三日月将温热的指尖轻轻推入花蕾。被封闭的秘处,果然即使是指尖也显示出抵抗。
「っは……」
口付けるたびに、達していない雄が重たい首を上げ粘液を垂らす。三日月はそれを掬い、潤滑剤代わりに皺の間にまで行き渡るように塗り込める。
每当触碰,未达标的雄性都会抬起沉重的头颅,垂下粘液。三日月将其捧起,作为润滑剂,涂抹到皱纹之间。
「んん、っあ」
「嗯嗯、啊」
爪先が、つぷりと挿入った。異物感に括約筋が締め付け、するりと外に出されてしまう。
爪尖儿,猛地插了进去。异物感让括约肌紧缩,然后又流畅地被拔了出来。
「なんで、そんなとこ……」
「为什么,在这种地方……」
「男同士は、ココを、使うのだという」
「男人之间,是用这里,来使用的」
三日月の声に、兼定は口付けを避けるように顔を逸らし、見た。太腿を膝で跨いだ姿のまま、胸を弄ってくれと言わんばかりに突き出し、自らの指を後孔に食い込ませている。
在三轮月的声响中,兼定避开亲吻般的眼神,瞥见。她保持着双腿跨在膝盖上的姿态,几乎要说着要弄弄胸部般地向前突起,将自己的手指伸入后孔。
「っ……、だから」
“哦......这就是原因。”
煽られる。じじいと称するくせに妙な色香を放つ、この天下五剣一美しい、三日月宗近に。
燃料。 虽然自称老者,却散发着一股奇异的气味,而这五把天下的剑最美,就在月牙宗附近。
「んあっ」
“嗯。”
兼定は三日月の細い腰を引きよせ、赤く熟れた乳首を乳輪ごと口唇で食んだ。吸いながら兼定の舌が器用に弾く。すでにぷっくりと膨らんだそこは、くすぐったくももどかしい刺激を三日月に与える。
金田拉着三日月纤细的腰,用嘴唇用乳晕咬住她成熟的红色。 在吸吮时,Kanesada 的舌头灵巧地弹动。 已经丰满肿胀的新月给人一种发痒和令人沮丧的刺激。
「ンンっ、ふ、ぁ、ああ……」
「嗯嗯、唔、啊、啊……」
とろりとろり。蜜を零す雄が揺れ、三日月の指が少しずつ内部へと挿入っていく。乳首への刺激で身体の力が抜けるせいかもしれない。
摇摇晃晃。滴落蜜液的雄在摇晃,弯月的指尖逐渐插入内部。由于对乳头的刺激,身体的力量似乎在减弱。
「こっちも手伝うぜ」
「我也来帮忙」
兼定は空いた手を三日月の後ろへと伸ばした。慣らそうとする三日月の指に、己の指を添える。
兼定伸出手臂到弯月后面。将自己的手指添加到正在适应的弯月指尖上。
「な――っ、は、ッ、あああ」
「呐——,啊,呃,啊啊啊」
ずぷりと、兼定の指までも挿入された。一本でもきついというのに、いきなりの二本である。いかに指とはいえ、苦しさに喘ぐ。
突然,兼定的手指也被插了进去。明明只有一根就够痛苦了,却突然来了两根。手指虽说是手指,却依然痛苦得喘不过气。
「熱い、な」
「好烫啊」
感じたことのない熱だった。臓物はこのように熱く、柔らかいものなのか。兼定は加減がわからず、指を進めた。
这是从未感受过的热度。内脏竟然是这样的热,这样柔软的吗。兼定不知道该如何控制,继续推进了手指。
細くごつごつとした指が根元まで押し込まれ、苦しさに涙が滲む。
纤细而粗壮的手指一直按压到根部,痛苦中泪水渗出。
「はっ……、ん、んう」
「呃……、嗯、嗯啊」
余裕のない肉筒の中で、兼定の指が動きだす。三日月は圧迫感を軽減するため己の指を抜こうとするが、兼定の指に邪魔をされ、思わず息を詰めた。
在狭窄的肉筒中,兼定的手指开始活动。三日月试图拔出自己的手指以减轻压迫感,却被兼定的手指挡住,不由自主地屏住了呼吸。
「ッ、あ……、んっ」
「呃、啊……、嗯」
体内で、他人の指が蠢いている。探るように様々な場所を擦られる。くすぐったいというのか、奇妙な感覚だった。だが射精できていない身体にはなんでも刺激になるのか、肉棒は勃起したままだ。
在身体内部,其他人的手指在蠕动。 它像在探索一样在各个地方摩擦。 这是一种奇怪的感觉,好像我想被挠痒痒。 然而,任何可以被尚未射精的身体刺激的东西仍然是勃起的。
「はっ、ぁあ、ッ」
“哈,啊啊
兼定の無骨な指が縦横無尽に粘膜をなぶる。三日月はその度に短く息を吐く。なんともどかしいのだろう。すぐにでも欲望を扱き上げてくれれば達せるものを。
- Kanesada 崎岖的手指向各个方向抚摸粘膜。 新月每次都会短暂地呼气。 这真是令人沮丧。 如果你立即照顾好你的愿望,你能达到什么。
「ひあッ、あ、っあ」
“啊
ある一点を押され、三日月の腰がビクンっと跳ねた。その拍子に己の指が抜け、膝から崩れ落ちそうになる。
一点被按下,弯月的腰身猛地一颤。就在这时,自己的手指滑脱,险些从膝头摔落。
目の前の身体に縋るように手をかければ、ククッと喉奥で笑う声がした。
仿佛要抓住眼前的身体一般伸出手,喉咙深处发出咯咯的笑声。
「かね、さだ…っ」
「かね,さだ…っ」
「ココ、いいのか」
「这里,可以吗」
兼定は覚えたてのイイトコロを繰り返し指の腹で擦り、引っ掻くように指を曲げる。
金田用指垫反复摩擦新学的饭九郎,弯曲手指,仿佛在抓挠。
「ンン、っん、ん」
“嗯嗯嗯
声が止まらない。雄を刺激されるのとは違った快楽が、身の内から溢れだす。ひくりひくりと亀頭が揺れ、しとどに蜜を零していた。
我无法停止说话。 - 不同于被男性刺激的快感从内部溢出。 摇晃着,花蜜滴在喉咙里。
達したい。
我想达到。
欲望が高まる。出してしまいたいと本能が叫ぶ。
欲望日益增长。本能在呐喊着想要释放。
「はっ……、あんたのそんな顔、見られるなんてな」
「哈……,你那副样子,竟然能让我看到」
兼定が口唇を舐めながら、告げた。
兼定舔着嘴唇,宣告道。
(そんな、顔……)
(那样的,脸……)
いま自分は、どんな顔をしているのだろう。何かに焦がれるような、顔だろうか。
现在自己,究竟是什么样子呢。是那种焦躁不安的表情吗。
「兼定」
兼定
掠れた声で名前を呼びながら、三日月は兼定の下腹部に手を伸ばす。萎えたはずの男根が、すでに硬く芯を持っている。
用抓挠般的声音呼唤着名字,三日月的手伸向兼定的下腹部。本应萎靡的男根,早已变得坚硬结实。
早く欲しい。指なんかじゃ物足りない。硬く太い雄芯であのひどく感じる場所を、ごりごりと擦り上げてほしい。
好想快点。光用手指可不够。用那根又硬又粗的雄芯,狠狠地摩擦那让我感觉强烈的地方。
「はやく、コレを……」
「快点,把这个......」
挿入(い)れてほしい。
想让我插入。
告げることは叶わなかった。兼定が乱暴に三日月の口唇を塞ぐ。噛みつくような獰猛な口付けに三日月は何も考えられなくなる。
没能说出口。 兼定粗暴地用三日月般的嘴唇堵住了我的嘴。 那像是要咬人的凶猛吻让三日月什么也思考不起了。
(抱かれるのか、俺は)
(是要抱我吗,我? )
指が引き抜かれ、代わりにぬるぬるとしたものが蕾に押し付けられる。熱いそれは、挿りたいと言わんばかりにゆっくりと襞を割ろうとしている。
手指被抽离,取而代之的是柔软的东西被压在花蕾上。那温暖的东西,仿佛想要插入般,慢慢地绽开褶皱。
(この、灼熱の太陽のような、男に)
(这个,像灼热太阳一样的男人)
赤い衣を身にまとう、美丈夫に。
身着红色衣裳,英俊潇洒。
「ンンンッ――」
「嗯嗯嗯——」
三日月も応えるように腰を下ろした。兼定の張り上がった切っ先が、ゆっくりと肉を割る。
为了回应那三轮明月,他屈膝而坐。兼定那绷紧的尖端,缓缓刺入肉中。
「ぁああ……っ」
「啊啊啊……!」
挿入ってくる。ずぶずぶと熱棒が、体内へと押し込まれる。
刺入。热棒咕噜咕噜地,被推入体内。
「ッ――!」
「噗——!」
一番太いカリ首までを受け入れたところで、三日月は兼定にしがみつて顔を伏せた。肉筒が拡げられ、裂けてしまいそうだ。
即使接受了一根粗大的阳具,三日月也紧紧抓住兼定,把脸埋了下去。肉筒被撑开,似乎快要裂开。
襞の皺を引き伸ばし受け入れているそこが、灼けるように疼く。
拉扯着褶皱,接受着那里灼热地疼痛着。
排泄器官でしかない場所に受け入れるこの行為に、やはり名前などないのだろう。仮に子を成せる身体であっても、同性で励むものではないとわかっている。
在只有排泄器官的地方接受这种行为,果然是没有名字的吧。即使有能生育孩子的身体,也知道同性之间是不能互相激励的。
あえてその熱を重ね、奪い合う。
故意叠加那股热度,互相争夺。
そこにあるのは、ただの情――そうでなくては、ならない。
那里存在的,不过是情感——如果不是这样,便不行了。
(俺は、兼定を……)
(我,对兼定……)
長く生きたからこそ、わかることもある。主との関係、刀としての在り方。そして、己がどう生きたいか。
正因为活得长久,所以有些事情也能明白。与主人的关系,作为刀的存在方式。还有,自己想怎样生活。
飾られることを甘受したのは三日月だった。だが兼定は違う。未だに前主を救えなかったことを後悔している。
甘愿承受被装饰的是三日月。但兼定不一样。至今仍后悔未能救出前主人。
(あれの影を、払ってやりたいと思った)
(想把那道影子驱散)
年若いこの男を。自らの闇に気付いていない哀しい男を。精神が壊れてしまう前に、身体を重ねることで得られる安息もあるのだと思うから。
这个年轻的男人。一个没有意识到自己黑暗的悲伤男人。在精神崩溃之前,通过身体接触也能获得某种安宁,我想。
「ふッ、あ、あっ、ンン……ッ」
「呼……啊,啊……唔……」
声が抑えられない。身体を支えなければと思うのに膝に力が入らず、確実に兼定が身の内に呑み込まれていく。反射的に排泄したいと力が入り、さらに締め付けることになった。
忍不住出声。明明想着要支撑身体,却膝盖无力,确实被兼定吞没。反射性地想排泄,用力收紧了。
ドクドクという脈動まで感じてしまい、三日月はあえかなる声を上げた。
感受到名为“ドクドク”的脉动,三日月发出了绝望的呼喊。
「ああ……ッ」
“啊……ッ”
「こ、え、聞こえちまう、だろ」
“我、我、你听到了吧”
三日月の爪先がうなじに食い込み、兼定は顔をしかめた。苦しいのは兼定も同じだ。引き千切らんばかりに咥えられ、快楽を通り越して痛いほどだ。されどその痛みが生きている証にもなる。
三日月用爪尖咬住兼定的脖颈,兼定皱起了脸。痛苦的是兼定也同样如此。几乎要被咬断,超越了快感,达到了疼痛的程度。然而,这种疼痛也是生命存在的证明。
快楽も痛みも、生きていると実感できる。
快乐与痛苦,活着的时候才能真切感受到。
「っお、おきく、す、るな……ッ」
「唔哦,快起来,要,死……」
半分ほど呑み込んだ兼定がぐうっと膨らむ。かろうじて膝で立っているが、これ以上刺激を与えられたら座り込んでしまいそうだ。抗議を込めて顔を上げれば、晴れた空が広がっていた。
吞下了一半的兼定鼓胀起来。勉强用膝盖支撑着身体,如果再受到刺激,恐怕就要瘫坐下去。他抗议似的抬起脸,映入眼帘的是晴朗的天空。
「あ……」
「啊……」
どことなく靄が晴れたような、清々しい顔だ。
仿佛雾气不知去向般晴朗,面容清爽。
「お、ぬし」
「哦,大人」
心境の変化といっていいのか。思い悩むような暗い影がどこかへ去ってしまっている。
说是心境变化也好,那如同沉思般的阴暗阴影已不知去向。
「悪ぃ、じいさん。ちょっと、ヤバい」
「糟糕,爷爷。有点,危险」
兼定が、がしっと三日月の腰を掴んだ。
兼定紧紧抓住了三日月纤细的腰肢。
嫌な予感しかしない。咄嗟に兼定に回した腕に力を込めたが、力技で敵うはずがなかったのだ。
只有令人不快的预感。急忙将力量注入回转的臂膀,但以蛮力对抗显然是不可能的。
兼定が強引に腰を進める。逃げようとするが、細腰を掴んだ腕がビクともしない。
兼定强行向前逼近腰部。想要逃跑,但抓住细腰的臂膀纹丝不动。
「ひッ、アア――っ」
「嘶、啊——」
兼定が突き上げるのと同時に、腰を無理やり落とされる。尻が兼定の叢に当たり、根元まで一気に呑み込まされたのだと気付いた。呼吸(いき)が止まりそうだ。
兼定猛地向上的同时,腰部被强行压下。意识到臀部撞上兼定的茂密丛林,根部瞬间被吞噬。呼吸几乎停止。
「は、あ……」
「啊……」
兼定が感じ入った吐息を漏らす。嘆息したいのはこちらの方だ。隙間などないくらい、みっちりと肉筒を満たされている。
兼定漏出感人的叹息。想要叹息的是我这边。几乎没有任何缝隙,满满当当被肉筒填满。
兼定は何度か腰を揺すっては最奥まで己を埋め、掠れた声でつぶやいた。
兼定摇晃了几下腰部,将自己埋入最深处,用沙哑的声音低语。
「全部、挿入ったな」
「全都插进去了啊」
「んあッ、あ、ああっ」
「嗯啊……啊,啊……」
吐息が耳朶にかかり、身体がビクビクと震えた。その振動が雄の存在をこれでもかというほど三日月に認識させる。
呼吸声拂过耳畔,身体不由自主地颤抖。这种震动让雄性存在对三日月产生了近乎极致的感知。
「三日月……」
視線が重なり合う。どちらともなく顔を近づけ、深く深く口付けた。
视线交叠。两人都不自觉地靠近,深深地吻在一起。
「ンン、ン、んんっ」
「嗯嗯、嗯、嗯嗯……」
ずぐりと雄芯が体内で蠢いた。兼定がゆるく腰を打ち付け始めたのだ。ひどく感じる場所に切っ先が触れると襞が絡みつき、きつく肉棒を締め付ける。
雄蕊在体内躁动不安。兼定开始轻轻拍打腰部。当尖端触碰到敏感部位时,褶皱缠绕上来,紧紧地勒住肉棒。
兼定の下腹部を跨ぐ体位は、己の重みが布石となる分繋がりが深い。兼定も動きにくそうだが、その表情に余裕はない。
跨在兼定下腹部的姿势,因为自己的重量而更加紧密缠绵。兼定虽然动作不便,但表情上毫无余裕。
「あんま、もたねえ、から」
「哎呀,不行了,从」
「はっ、ンンン」
「哈,ンンン」
口唇の触れる距離でささやき、腹部に擦られていた三日月の雄を兼定が握る。しとどに濡れたそれは、三日月のものなのか、兼定のものなのか。
兼定用嘴唇相触的距离低语,握住擦过腹部的那轮弯月形状的阳具。那湿润而柔软的,究竟是弯月的,还是兼定的。
「ベトベトだな」
「好滑啊」
「そ、れは……ッあ、ああっ」
「那……啊,啊……」
膨らみ、ぱくぱくと口を開く鈴口を兼定は指先で引っ掻いた。痛みに勝る快感に、全身に力が入る。
兼定用手指挠着鼓鼓作响、张着嘴的铃口。在痛楚之上更胜一筹的快感中,全身都充满了力量。
「あ、ああ、あっ、も……」
「啊,啊,啊,也……」
ぐうっと兼定のてのひらのなかで三日月が膨れ上がる。肉筒と襞が引き絞るように絡みつき、同時に兼定自身も膨らんだ。
兼定掌心中的弯月逐渐膨胀。肉筒与褶皱如同绞缠般交织在一起,同时兼定自身也变得膨胀起来。
(爆ぜる……)
(爆发……)
目の前が、目蓋の裏が、真っ白に染まるような感覚。確かにそこにいる兼定の輪郭さえもぼんやりとして――
眼前仿佛染成了纯白,眼皮后面也是如此。确实,连兼定模糊的轮廓都在那里——
けぶる。
蒸腾着。
月の光に、薄闇に、けぶっていく。
在月光下,在薄暗中,蒸腾着。
この想いもすべて。
这份心意也全部。
(隠すように)
(像隐藏一样)
「あ、くる、くる……っ」
「啊,来,来……」
「お、れも……出す、ぜ」
「我,也……拿出来,啊」
「あ、あっ、あッ」
“啊
「……ッ」
「…… 哇。
迎える絶頂――お互いの欲望が、爆ぜた。
- 迎接的高潮 - 彼此的欲望爆炸了。
びゅくんっと兼定の手に、腹に、濁液が放たれる。快楽に身を引き攣らせた身体は肉棒をこの上なく締め付け――体内に、熱い迸りを感じる。
- 浑浊的液体在金田的手和腹部释放出来。 - 快感抽搐的身体将收紧到最好 - 我感到身体有一股热刺痛。
兼定は三日月をきつく抱きしめ、幾度か腰を震わせ残滓を放っていた。すべてを受け止め、体内を駆け巡る熱に内臓が灼けるようだ。心も身体も、この男に焦がされているようで、身の内から笑いが溢れる。
兼定紧紧抱住那弯新月,多次颤抖着腰肢释放着残留的余韵。他接纳了所有的一切,体内奔涌的热量仿佛要灼烧内脏。心与身,都像是被这个男人灼烧着,从心底涌出笑声。
「あ、んた……」
“啊,你……”
笑う三日月を不思議そうに見ていた兼定の眼が大きく見開かれた。三日月がそのまま、兼定に身体を預けてきたのだ。
兼定看着那笑着的新月,眼中充满了不可思议,睁得大大的。新月就这样,将自己完全托付给了兼定。
「すまん。腰が、立たぬ」
“抱歉。腰,站不起来了。”
本当はすぐにでも横になりたかった。まぐわいとはこのように体力を奪われるものなのか。修行が足りんな、と思いながらも体中から力が抜けて、一気に目蓋が重くなる。
本应立刻就想躺下。原来疲劳是这样夺取体力的吗。虽然想着是修行不够,但全身力气都被抽空了,眼皮一下子变得沉重。
寝てはだめだと思うほどに、身体が意識を裏切っていく。
身体开始背叛意识,仿佛睡意已经到了不行了的程度。
「ちょっ、じいさん。大丈夫か?」
“嘿,爷爷。没事吧?”
兼定の声がだんだんと遠くで聞こえ出す。
兼定的声音渐渐从远处传来。
兼定の存在を体内で感じたまま、三日月は意識を手放した。
在体内感受到兼定的存在时,三日月放开了意识。
◇
「ん……」
「嗯……」
冷えた風が、三日月の頬を撫でる。ふと目蓋を開ければ、飛び込んできたのは大きな望月だった。これはいつの月だ。
冰冷的風拂过三月日的脸颊。忽然睁开眼睑,映入眼帘的是巨大的望月。这是哪个月份。
思考がぼんやりする。ふと、枕が硬いことに気付いて視線を巡らす。
思绪有些模糊。忽然,注意到枕头很硬,视线游移开来。
「かね、さだ……」
「兼定,佐田……」
「まだ、寝てていい」
「现在,你还可以睡」
声が降ってきた。そこでようやく、自分が兼定の膝で寝ていることに気付いた。そう時間は経っていないのか、夜着を羽織っただけの格好だ。
声音渐渐低了下来。这时,他终于意识到自己正枕在兼定的膝盖上。原来时间并没有过去太久,他只是披了件夜行衣。
開いたままの障子から風が吹き込む。月が、こわいくらいに美しい。
从敞开的障子吹进风。月亮,美得有些诡异。
「なあ」
「哎呀」
兼定は庭を見据えたまま声をかける。
兼定凝视着庭院,开口问道。
「あんた、どうして……」
「你……为什么要……」
兼定自身なにを言うべきか考えているようだ。その問いを遮るように、三日月は手を伸ばす。
兼定似乎在思考该说什么。他试图打断这个问题,三日月伸出手。
「……羽織と、同じだな」
「……和羽织一样啊」
「あ、ああ。なんかそういう風になってた。俺の、一番好きな色だ」
「啊,啊。好像就是那种感觉。我,最喜欢的颜色」
鞘の赤は衣装に現れた。心に掲げた浅葱の羽織は瞳に。
护腕的红色出现在服装上。心中高举的浅葱色羽衣映在眼中。
「あの人も、好きだった」
「那个人也,喜欢过」
土方の話をする兼定に、仄暗い影はない。少しはこの身が役に立ったということだろう。満足そうに笑んで、三日月は告げる。
兼定谈论土方时,没有一丝阴暗。大概是这样,我的身体多少有些用处吧。三日月满意地笑着,宣告着。
「俺も、好きだ」
「我,也喜欢」
「っ……」
「……」
「晴れた空の、色だ」
「晴朗天空的颜色啊」
藍色の衣装は夜の闇。瞳に輝くは三日月。
蓝色衣装是夜色。眼中闪耀的是弯月。
赤い衣装は灼熱の太陽。瞳は晴れた青空。
红色的衣装如同灼热的太阳。瞳孔是晴朗的蓝天。
本丸で一番じじいの三日月と、一番若い兼定と。何もかもが対照的で、だからこそ惹き合うなにか。
在城堡里,最年长的三日月和最年轻的兼定。一切都形成鲜明对比,正因为如此才相互吸引。
そのなにかには、あえて瞑目しよう。そっと三日月は目を伏せる。
对于那种吸引力,不妨试着闭上眼睛。三日月轻轻垂下目光。
(もう二度と、その晴れた空を曇らせることがないように)
(不再让那片晴朗的天空变得阴沉)
静かな祈りを込めて。
以宁静的祈祷为意。
ゆっくりと兼定の顔が傾き――、静かに口唇が重なった。
兼定的脸庞缓缓倾侧——、唇瓣静静地相触。
薄闇に溶ける陽(ひかり)の如く。
如薄暮中消融的光。
真昼に浮かぶ月の如く。
如正午浮现的月。
すべてはけぶる、この現世で。
一切都弥漫着,在这现世中。
了