这是用户在 2025-1-21 8:23 为 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=23725793#6 保存的双语快照页面,由 沉浸式翻译 提供双语支持。了解如何保存?

pixiv自2024年5月28日起更新了隐私政策更新记录


リアン
Eine liebeshungrige Bestie【期間限定Web再録】 - リアンの小説 - pixiv
Eine liebeshungrige Bestie【期間限定Web再録】 - リアンの小説 - pixiv
100,621字
Eine liebeshungrige Bestie【期間限定Web再録】
『あの子と繋がる魔法のオナホ』の再録と書き下ろし五話を収録した同人誌になります。再販予定がないため、期間限定でWeb再録します。
昨年3/17の春コミにて頒布した本でした。お手に取ってくださった皆様、ありがとうございました!
カイザーの誕生日、アニメ登場を記念し、1月末まで掲載します。良ければお楽しみください。

あらすじ:
ブルーロックからの支給品に紛れた魔法のオナホを手に入れたカイザーは、『恋するあの子のナカを完全再現♡ ※感覚共有あり』という謳い文句を疑いながらも、最悪な関係性から進展の望めない世一を堕とすため、そのオナホを利用することに決める。本人を堕とせないなら、まずは身体から。感覚共有という文言に惹かれるままに連日オナホでひとり遊びをするようになっていく。

以下含みます
無理矢理/♡喘ぎ/結腸責め/濁点喘ぎ/潮吹き/中出し

今年もよろしくお願いいたします!

この作品以外でも感想などいただけたら嬉しいです!
https://marshmallow-qa.com/rian2370?t=7ZlRrN&utm_medium=url_text&utm_source=promotion
查看后续
52773710,895
2025年1月1日晚上6点35分

お前じゃないと  不是你


 先走りを指に絡めて赤黒くそそり立った陰茎を扱きあげれば、ぐちゅぐちゅと水音が響く。
顺着先走りを指,赤黑色的阴茎被抚摸,发出咕咕的水声。

「ふ……うっ……」  ふ……うっ……
 
 ──イきそうだ。さっきからその感覚だけはあるのに、ずっと、何かが足りない。より強い刺激が必要なのかと鈴口のあたりを爪で引っ掻いてみても、ただびくびくと震えるだけだった。
——感觉不对劲。从刚才开始就一直有这种感觉,但总觉得少了点什么。觉得需要更强烈的刺激,于是用指甲在铃口附近挠了挠,结果只是微微颤抖而已。

「……クソッ、なんでイけない……ッ」  ……该死,为什么不能……
 
 限界まで硬く張り詰めて、今すぐにでもその先端から欲を吐き出したいと震えているのに、ラストスパートだと手を速めてもただ溢れる我慢汁で滑りが良くなるだけで、最後のあと一歩昇り詰めることが出来ない。
绷紧到极限,恨不得立刻从顶端喷薄而出,却在冲刺阶段加快速度,也只不过是让溢出的忍耐之液变得更滑,无法再攀登最后一步。

 自慰の頻度はそう高くなかったとはいえこれまでに何度も行ってきた行為だというのに、世一の痴態を思い出せば簡単に身体は反応するくせ、絶頂するには至らない。燻る熱で余裕はさらに無くなり、シュ、シュッと扱く手の動きが加速した。
尽管自慰的频率不高,但毕竟做过很多次了。一想到世上最愚蠢的举动,身体很容易反应,却达不到高潮。灼热的燥热感越来越强烈,余裕荡然无存,手上的动作也加快了,发出“哧、哧”的声音。

『明日試合だろ。さすがに今日はやだ』  明天比赛吧。今天实在不想。
 一時間ほど前の世一の言葉が頭の中でこだまする。  片刻前世一的话语在我的脑海中回响。

「断りやがって、クソ世一……」  “断了吧,真是个混蛋世界……”

 あのオナホを手に入れて以降、一度も自身の手で自慰をする機会が無かったから気が付かなかったが、いつの間にか世一でなければイけない身体になっていたらしい。しかも、世一を想像するだけでは足りないなんてクソッタレな状態だ。今回は二人とも揃っての遠征だったから直接触れれば良いとあのオナホを家に置いてきてしまったのは失敗だった。持っていたとして拒否された後に触れれば世一の怒りを買っただろうが、これほど苦悶することになるのならその方が余程マシだったかもしれない。
自从

 
「ふー……。このまま眠れるかよ」  “ふー……。このまま眠れるかよ”

 屹立した男根は時間経過で治るとは到底思えはしない有様で、絶頂寸前でお預けを食らったせいか、先走りが溢れすぎて滴るほどに手のひらを汚している。ひとり遊び中に思い描いた世一の痴態のせいで当人を呼び付けて挿れてやりたくて仕方がないが、あのフットボール狂いの男が一度そのために決めたことを覆すなどありえないから、まず挿入はさせてもらえないだろう。カイザーに触れられれば顔を蕩けさせて求めてくるくせに、世一から行為を求めてくることはない。
挺立的男性生殖器,时间根本无法治愈,看来是临近高潮时被叫停了,手心污迹斑斑,全是

 
「……クソ、」  ……槽、

 側のティッシュケースから数枚を掴んで手のひらと陰茎を汚す液体を拭う。ホテル備え付けのガウンを羽織って勃ち上がったままの中心を隠し、二重の意味で重い腰を上げた。
从旁边的纸巾盒里抓了几张纸巾,擦拭着掌心和阴茎上的液体。披上酒店提供的浴袍,勃起着,遮住核心部位,在双重意义上,艰难地挪动身体。

 


 カイザーがズボラな割に神経質なきらいがあることは、バスタード・ミュンヘンにおいては知らぬ者はいない。例え勝利した試合後であろうが馬鹿騒ぎを嫌うので、陽キャ気質なスポーツマンであるチームメイト達は誰も隣室になりたがらない。以前に試合後の高揚感に任せて深酒してしまった先輩達が大騒ぎしながら戻ると、超絶不機嫌なカイザーがゆらりと扉から現れ、絶対零度の視線を投げて寄越したかと思えば無言でバタン! と音を立てて部屋に消えていったらしい。怖すぎて一瞬で酔いが覚めたし、マジで漏らすかと思った、とはその場に居合わせたとあるDFの談である。
凯撒虽然粗枝大叶,却也神经兮兮,在巴斯特·慕尼黑,无人不知。即使是赢球之后,他也讨厌喧嚣,所以阳光开朗的队友们谁都不想和他同住一间房间。以前,比赛结束后,一些前辈们借着兴奋劲儿喝得酩酊大醉,闹哄哄地回来,结果超凶的凯撒晃晃悠悠地从门里出来,投来绝对零度的眼神,然后一言不发地“砰”一声关上门,消失在房间里。据说,在场的一名后卫吓得酒意全消,差点尿裤子。

 そのため最近ではもう自動的に一番端の部屋が割り振られているが、それでも構造上一人は隣室を使わざるをえない。誰もが押し付け合いをしていた最中──救世主が現れた。潔世一という名のエゴイストだ。
因此最近房间分配已经自动安排到最边上的房间,但结构上一个人仍然不得不使用隔壁房间。就在大家互相挤压的时候——救世主出现了。他名叫洁世一,是个利己主义者。

 初めこそ犬猿の仲だと思われていた二人だが、ある時を境に世一が参加する飲み会には必ず同席し隣を陣取るカイザーの様子に、周囲もなんとなく察しがついたのだろう。あるいは、着替え中の世一の素肌を彩る朱を見て悟った者もいたかもしれない。
起初两人被认为是犬猿之仲,但从某个时刻开始,在世一参加的聚会上,凯撒总是同席,占据相邻位置,周围的人似乎有所察觉。或许,有人看到世一换衣服时,肌肤上鲜红的颜色,也明白了。

 まあ、つまり。誰に聞くまでもなく、世一の部屋がカイザーの隣に配置されていることは周知の事実なのである。恐らくは、本人以外にとっては。
当然,也就是说,不用问谁都知道,世界第一的房间安排在凯撒的隔壁,这是众所周知的事实。或许,除了本人以外。

 コンコン。カイザーの部屋と二つ違いの部屋番号の扉を数回ノックする。問題なく部屋主の耳にも届いたのか、バタバタと近づく足音の後にガチャリと音がして扉が開いた。
コンコン。凯撒的房间隔壁房间的门,敲了几下。问题不大,房间主人听到了,哒哒哒的脚步声后,门“咔哒”一声开了。

「……もー、誰……」  ……呃,谁……
「ハハッ……不用心だなァ、世一」  哈哈……不用心だなァ,世一
「カイザー?!」  「凯泽?!」

 反射的に扉を閉めようとしたところに足を差し込めば、フットボーラーの足をドアに挟み込みそうになったことに狼狽えた世一が力を緩める。その隙を逃さず、ここぞとばかりに扉をこじ開け、身体を滑り込ませて部屋へと押し入った。
反射性地想把门关上,这时如果把脚伸进去,世一慌乱地放松了力气,生怕把足球运动员的脚夹在门里。趁这个空隙,他赶紧把门撬开,身体滑了进去,冲进了房间。

「なっ?! おま、」  啊?! 喂,
「はぁ……っ、世一、」  啊……世一、

 無遠慮に部屋へと侵入してきたカイザーに絶句し固まる世一をこれ幸いと抱き締めて、側の壁へ追いやった。昂る心のまま赤く熟れた唇に噛み付けば、押し返そうとしているのか強く腕が掴まれる。が、その手すらも捩じ伏せて、さらに強く壁にその身体を押し付けて唇を重ね合わせた。
カイザー无顾忌地闯入房间,世一惊呆地僵住,抓住他,将他抵在墙边。顺从内心,在鲜红成熟的嘴唇上咬住,他似乎想要反抗,紧紧抓住我的手臂。但是,我甚至扭转了他的手,更用力地将他抵在墙上,将嘴唇贴了上去。

 ガチャリ、と背後で扉にオートロックの掛かる場違いな音がする。
咔哒,背后门上自动锁的声音响了起来。

「ん……っ?! う、」  嗯……?! 啊、
「ふ、……はぁ、」  ふ、……はぁ、

 唇を食むだけの軽いキスの合間、足の間に身体を捩じ込んで擦り合わせれば、その硬い熱の存在に気付いた世一が腰を引いた。
嘴唇轻触的吻隙中,身体扭动着插入双腿之间,世一察觉到那坚硬的热度,便收回了腰。

「は……っ、おま、なんでもう勃って……ッ」  「是……啊,妈的,怎么又勃起了……」
「……ハァ、挿れないから、手伝え」  ……哈、插不进去,帮帮忙
「手伝っ?! え?!」  帮?! 啊?!

 カイザーの腕を掴んでいた手をその熱に触れさせれば、手を引こうと強い力で抗ってくる。今更、逃すはずがないのに。
抓住凯撒手臂的手,感受到那股热量,却被他用力地拉扯着。现在,怎么可能放手呢。

「ちょ、ここじゃ嫌だ! せめてベッドで……ッ」  “哎,这里不行!至少在床上……!”
「ふーっ……分かった」  “ふーっ……分かった”
「ひぁっ?!」

 突如襲ったふわりとした浮遊感に、世一は思わず目の前のカイザーに抱きついた。縋るような動きにカイザーの口角が上がる。体格差があるとはいえ、スポーツ選手である世一を軽々と持ち上げて姫抱きする様子にそのフィジカルを羨んでか、物言いたげに口を尖らせた。まるで拙くキスを強請るような表情に、思わず喉奥で唸る。
突如袭来的飘渺浮游感,世一情不自禁地抱住了眼前的凯撒。他依偎般的动作,让凯撒的嘴角上扬。尽管体格差距很大,但凯撒轻而易举地将运动健将世一举起,公主抱的姿态,令他羡慕不已,不禁张了张嘴,眼神里充满了话语。那仿佛拙劣地强吻般的表情,让他不禁在喉咙里发出低吟。

「チッ……」  “嗤……”

 少しだけ歩みを早めて、乱暴に寝室の扉を開けて広いベッドへ世一を下ろした。もう我慢ならず、ガウンの前を寛げて膝立ちになって、堪え性もなくダラダラと先走りを溢す
稍微加快脚步,粗暴地打开卧室门,将世一放倒在宽大的床上。再也忍不住了,脱下睡袍,跪在床边,抑制不住地,滔滔不绝地说个不停。

男根を握らせる。世一は一度、二度と上目遣いにカイザーを窺ってから、恐る恐る両手を陰茎に絡めて、我慢汁を全体に塗り広げ始めた。そんな柔い刺激だけでも、寸止めされていた身体は簡単に高まっていく。

「ぇあ、まだデカくなんの……」  啊,还没长大的……
「……口より手を動かせ」
「んなこと言ったって、仕方ないだろ。人のってやりにくいんだよ」
“这种事说了也没用吧。人活着真不容易。”

 世一の、カイザー自身のものより一回り小さな、それでいてしっかりと男を感じさせる筋張った手がカイザーの陰茎を扱く。やりにくそうではあるが、手つきは思っていたほど拙くはない。別に何らおかしなことではないけれど、今更この男も自慰をすることがあるのだと思い知らされた気分だった。ぬちゅぬちゅと水音が響き、青の瞳はチラチラとこちらの様子を伺っている。

「ふーっ、はあ……」  “ふーっ、はあ……”
「カイザーのびくびく震えてる……イキそう?」  凯撒吓得直哆嗦……要喷了吗?

 男は手は休めず、頬を紅潮させてこちらを見上げながらはぁ、と熱っぽい息を吐き、次いで見せつけるようにたらりと唾液を亀頭に垂らした。ちらりと覗いた赤い舌から滴る液体に、どくりと心臓が音を鳴らす。
男人手不停歇,脸颊涨得通红,抬头看着这边,发出“哈”的一声热气,随后,像炫耀似的,将唾液一滴滴地挂在龟头上。瞥见那条红红的舌头上滴落的液体,心脏“咚咚”直响。

「煽んなクソ……もう、出るッ……」  煽んなクソ……もう、出るッ……
「えっ、」  嗯?
「ぐッ……」

 口を開いた尿道口からびゅくびゅくと勢いよく飛び出た白濁が世一の手と頬を汚す。あれほど悩んだのが馬鹿らしくなるほど呆気なくカイザーは絶頂した。何度もお預けされていたせいか、勢いも量も普段に増して凄い気がする。世一は驚いたように目を瞠り、指にまとわりついた精液を掬い上げてはぬちゃりと擦り合わせて、指の間で糸を引く様を見て目を細めた。
张开的小便孔,一股白浊液体猛地喷出,弄脏了世一的手和脸颊。此前那些烦恼,在这一刻显得如此可笑,凯撒达到了极乐。可能是因为多次被推迟,这次的力度和数量都比平时更猛烈。世一吃惊地瞪大眼睛,用手指舀起粘在上面的精液,轻轻地搓揉,看着指缝间拉出的丝线,眯起了眼睛。

「ん……。おまえ、出しすぎ……」
「チッ、バカが……」

 幼く見える容貌に並んで映る白濁のアンバランスさに、むくむくとその手に握られたままの陰茎が再び膨張して屹立する。世一はぱちぱちと瞳を瞬かせて、頬の白濁を指で拭い勃ち上がったそれに絡めた。

「相変わらず復活早すぎ……さすがにお前のでかいちんこ何度も扱くのは疲れるんだけど」

 しゅこしゅこと手を緩やかに動かしつつ、そんな恨み言を吐く。

「じゃあ、お前のふともも貸せ。素股でいい」
「でいいってなんで上から目線なんだよ」
「お前がヤるのは嫌だっつうから……クソ、試合が終わったら絶対抱くからな」
「オフは前も言ったけど、オススメされたカフェに行ってくるから加減しろよ」
「……」

 む、と思わず眉間に皺が寄る。確かに話は聞いたが、行っても良いだなんて言った覚えはない。だが薄情なこの男は、カイザーの許可がなくても行くんだろう。

「黙り込むなよ! 何と言われても行くからな!」
「誰と行くんだ」
「そのカフェを勧めてくれた奴。前にも言ったじゃん。ハンスだよ」
「浮気か」

 あれほどチーム内には牽制したというのに、懲りない奴ばかりだ。世一もそう。入念に逃がさないためにとつけた首輪も、簡単にすり抜けてカイザーの元から去っていく。そう言う男だから嫌なんだ。

「はあ?! ただカフェに行くだけだろ! というか、お前が行きたくないって言ったから俺は、」
「行きたくないとは言ってない」
「気分じゃないって言っただろ! 同じことなんだよ!」
「……じゃあ。俺が行くと言ったらそいつの誘いは断るのか」
「いや、もう約束したから行くけど」
「……」
「でも、カイザーが来たいなら、次からも最初に声を掛けるよ」
「……世一が俺に来てほしいなら、付き合ってやる」

 お前さあ、という呆れ声が鼓膜を震わせた。ああクソ。一番呆れているのは、お前と行きたいという一言さえも言えない自分自身にだ。モゴモゴと口が動いて、結局何も言葉にならないまま全てをシャットアウトするようにぎゅっと目を閉じた。

「別に、イヤイヤ来てほしいわけじゃないんだけど」
「ッ、クソが。分かるだろ。これ以上言わせんな」
「ちゃんと言えって。前も言ったけど、言葉でくらい素直になれよ」

 世一が我儘な子供を相手にするように目尻を和らげて告げる。
 ──簡単に言ってくれる。言われて素直になれるくらいなら、とっくにそうしている。出来ないから、ずっとこんなことを繰り返しているんだ。

「……行くな」
「違うだろ」

 ケラケラと笑って世一が待ったをかける。本当に、俺たちはこんな状態で一体なにをやっているんだ。いや、逆だ。普段からこんな話が出来るならそもそもこうはなっていない。素直に、素直──。混乱しきった頭はまともに働いておらず、もう半ばヤケクソだった。

「……お前が行きたい場所なら俺が付き合う。だから、他の誰かと行くな」

 思ったよりも情けない声が出て、自分でも驚いて肩が跳ねた。それは目の前の男も同じだったようで、目を瞠って数秒カイザーの表情を窺ってから、イタズラっ子のようにクスリと笑う。

「善処するよ」
「そこは了承するところだろうが!」
「仲間内の集まりとかもあるし。出来ない約束はしない主義だから」

 妙なところで律儀な男だ。しかし、今ばかりはそんな気遣いはいらないからさっさと了承の応えを返せと言ってやりたかった。どうせブルーロックの集まりを指して言っているんだろう。アイツらはカイザーのことを良く思ってはいないから、カイザーが同行することを良しとしない。フィールドではあれほどのエゴを見せる世一も、プライベートではむしろ押しに弱い方だから拒絶された上でさらに食い下がることなどできないだろう。
 苦々しく思いながらも世一を送り出す未来が容易に想像出来てしまい、グツグツと腑が煮え繰り返る。本当に、何もかも世一のせいだ。未だにカイザーの想いを軽視して、数多の人間を狂わせ、魅了しておきながら自分には関係無いと笑う、フットボール界のオム・ファタール。魅了された哀れな人間に抗う術などないと、半ば開き直ってその身体に手を伸ばした。

「なッ……」
「もういい。こっちにわからせてやる」
「はァ……?!」

 トン、と肩を突いてその身体をベッドに転がす。
 唐突なカイザーの行動に焦った様子で足を擦り合わせた男の股座を撫でさすった。服越しでもわかる、硬い感触は誤魔化せない。

「……んな興味なさそうな面して、こっちは勃ってんじゃねえか」
「ッ、悪いかよ……」
「いや、悪くないな」

 ズボンの中で緩く勃ち上がった世一の陰茎。指摘されて頬を赤く染める男がカイザーのモノを扱きながら興奮していたのかと思うと、グルル、と喉が鳴った。

「ん、も、脱ぐから……」

 カイザーの手を押し退けて自ら下だけを脱ぎ捨てればぶるんと陰茎が飛び出し、世一は恥じらいながらそれを隠すように膝を擦り合わせる。

「隠すな」
「やっ……」
「何度も見てるんだ。今更だろ」

 頑なに足を閉じようとするその膝を割り、無理やり足を開かせた。ふるふると震えるソレにつつー、と指を這わせる。

「んッ……」
「はっ……可愛いなァ、世一」

 先端に手のひらを乗せて、ぐりぐりと刺激した。陰茎はさらに膨らんで、媚びるようにとろとろと先走りを溢す。この男の欲を目の前にして思わず息が上がる。

「なぁ、俺のを扱いて興奮してたのか?」
「ン、ちが……ッ」
「じゃあ何で勃ってる? ほら」

 指の腹で尿道を擦りながら、可哀想なほど震える男根にふぅ、と息を吹きかけた。それだけでも頬を赤らめて息を乱す男の何といじらしいことか。

「……せーりげんしょ……っ」
「ふーん。これが、生理現象だって?」
「ひッ……ぁっ♡」

 刺激を受けて、ほぼ完全に勃ち上がった陰茎をピン、と指で弾いた。ぶるんと震えて先走りを飛ばす様は哀れで愛おしい。

「……すまた、するならしろよ……っ」
「いや、こっちが先だ」

 涙目になった世一がシーツを握りしめながら強気に言い放った。ぐずぐずに蕩けているくせに、その精神はダイヤモンドかと思うくらい硬く揺らがない。だからこそ、その仮面を壊してやりたい。

「何だっていいだろ……ッ」
「よくない」

 良いわけがない。トロトロと後孔にまで我慢汁が垂れているのが見えて、思わず口の中に唾液が溢れた。まずは、裏筋に指を伝わせて軽く刺激してやる。

「ほら、言え」
「ひぅ……ッ、んぁ、」
「俺のを触ってて勃ったのか?」

 そのまま優しく掴んで緩やかな動きで上下に扱けば、世一がキッとこちらを睨んだ。

「そ、だよ……ッ、お前の、せいで、」
「……世一、」
「も、はなせよ、」

 胸を押され引き剥がされた。自分から問いかけたくせに、与えられた答えに想像以上に揺さぶられている。茹ったままの茫然とした頭でドロドロになった自身の手を離した。

「すまた、したいんだろ」

 回らない頭にダイレクトに世一の声が響く。世一が少し身体を起こしてシーツを握りしめていた手をこちらへと伸ばし、カイザーの剛直をするりと撫でた。刺激に震えてとぷとぷと先走りを溢れさせるのを見て、僅かに頬を染めながらカイザーを見上げる。

「ぐ、」
「んっ、ちょっ……」

 堪らなくなって、制止を押し退けて太ももを掴み、足を閉じさせて股の間に陰茎を押し込んで滑らせた。数回擦り付ければカイザーのモノが世一のと刺激し合い、混ざり合った我慢汁がぽた、ぽたと溢れて腹を汚す。

「ンッ……は、あぁ……ッ」
「ふ……ふぅ、くッ……」

 こうして見ると、決して世一のモノも小さくはない。それどころか、体格を考えても普通に大きい部類に入るだろう。だが、カイザーの剛直と並べれば小さく見えてしまうし、擦り付ければすっかり覆い隠されて見えなくなる。それを目にする度ゾクゾクと征服欲が腹を満たした。それでも尚、食い足りないと腹は疼く。
 兜合わせから陰茎を下にずらして、ずりずりと後孔に擦り付ける。何度も繋げてきた身体は、慣らさなくてもカイザーを受け入れてくれそうなほどに熟れていた。

「あっ、や、やんないからな……!」
「このまま流されてろよ、世一」
「素股だけって言っただろ!」
「クソ、焦ったい……ッ」

 目の前にあるのに触れられないというのがどれほどの飢餓を生むのか。擦り付ければ腰を揺らす世一も同じように飢えているはずなのに、その強い自制心が今は腹立たしい。

「ん、明日って、約束しただろ……」
「分かってんだよ……ッ」

 それでも、頭で理解していることと納得出来ていることは全く別物だ。ここに来るまでに何度、頭の中でその身体を犯し尽くしたかわからない。それほど求めたものが目の前に差し出された状態で耐えることがどれほどの苦痛か。飢えた身体は心のままに貪ってしまえと唆すが、理性がギリギリで押し留める。衝動を噛み殺すように歯を食いしばるも、結局堪らなくなって目の前の身体をひっくり返した。

「ン?! やめ、」
「挿れない……挿れないから、四つん這いになれ」
「あ、え、」
「早く」

 目が血走っている自覚がある。カイザーの圧に押され、おずおずと膝を立てて世一はこちらに向けて尻を突き出した。我慢汁に塗れ、ヒクヒクと震えて欲しがる後孔がよく見えて一息に突き刺してやりたい衝動が込み上げるが、歯を食いしばって堪え、足の間に剛直を挟んだ。

「ふー……もう少し足閉じろ」
「ん……これで、いい?」
「あぁ、それでいい」

 フットボール選手の武器であり商売道具である脚をこんなことのために利用しているという、言い表せない優越感を感じながら世一の陰茎と触れ合わせる。ゆっくり太ももから引き抜いては、再び勢いよく腰を打ちつけた。

「あッ、……ふぅう、」
「くッ……」

 背後から男根を擦り付けられて力無く倒れ込みそうになりながらも、健気に言われるがままに足に力を入れてカイザーのモノを扱き上げる。酷くいじらしくて嗜虐心を唆るが、ここで調子に乗って虐めて機嫌を損ねるのは得策では無い。

「よいち……ッ」
「あ、あ、んぅ……ふ、」
「は、」

 世一の陰茎をなぞるように腰を動かす。勢いよく突き刺すたびにぱちゅ、ぱちゅと水音混じりの破裂音が響いて、陰嚢が世一のまろい尻を叩いた。

「これ……ぁ、くぅ、」
「俺も、そろそろ、」

 限界が近付き、緩やかだったストロークをだんだんと速めていく。世一も足はかろうじて耐えているが、腕はもう力が入らないのかベッドの上で砕けてしまっていた。

「ぅあ、ひぅ……っ、ああッ」
「く、もう、」

 とっくのとうに世一の太ももは潤滑油にしては多すぎるほどのカイザーのものと本人の我慢汁でベトベトで、何度も擦ったせいで熱を持ち、まるで普段味わっている中の泥濘のように柔らかく男根を包み込んでくる。世一の魂とも言える、その脚で性欲を満たしているという事実が堪らなく良い。遂にカイザーも限界を迎え、暴発する手前ギリギリのところで剛直を引き抜いた。

「ひぁ……っ、ん、ふぅ……ッ」
「ぐぅ……ッ」

 楔を失い、くたりとシーツに伏したその背中に目掛け自身の手で扱き上げてぶっかけた。健康的な肌に白濁が散らされ、性のことなど何も知らなさそうな無垢な横顔が赤く染まる。

「ぁ……ああ……」
「ふー……さいこう、」

 つつー、と背中を彩る白濁が肌を伝ってシーツに落ちた。中の刺激がなくとも世一もイけたようで、びくびくと身体全体が痙攣している。はあ、はあとお互い息を整えて、カイザーはその横に寝転がった。

「……ベッド、汚れたじゃん……」
「シャワーを浴びたら俺の部屋に連れて行ってやる」
「……せいぜい尽くせよ」
「あいあい。我儘ねぇ」
「我儘王子に言われたくないんだけど」

 汗で張り付いた髪を撫で付けて、晒されたその柔肌にキスをする。くすぐったそうに身じろぎする身体を引き寄せて、唇に吸い付いた。

「……ふ、……ん」
「は、」

 眼前の赤く染まった目尻を指の腹で撫でて、突き出された舌にゆっくりと自分のそれを絡めた。穏やかな触れ合いがまだ足りないと叫ぶ心を満たしていく。

「んん……」

 艶やかな声が腰に響く。身体はまだ満足することを知らないが、心が満たされれば飢餓感は薄まる。吐息さえも全て喰らい尽くせば、この男を余すことなく手に入れたいという暴力的なまでの欲が少しだけ和らいでいく。

「は、ふ……」

 閉じた瞳から涙が溢れるのを目にして、名残惜しく思いながらも唇を離した。二人の舌を繋ぐ糸が切れることすら惜しい。糸の行方を眺めていれば、閉じていた瞼が緩慢に開かれて、潤んだ青の瞳がカイザーを見上げた。

「ん……?」
「少し休んでろ」

 射精後の倦怠感で脱力したままの男を抱き寄せようと手を伸ばす。が、惜しくもその手は空を切った。

「いや……シャワー浴びてくる」
「……待て」

 余韻もなく起き上がり、カイザーの元から離れようと柔らかなマットレスに沈み込んだ手を掴み、引き寄せてベッドへ押し留めた。相変わらず恐ろしいほど切り替えの早い男だ。この男の頭にはピロートークという概念は存在していないのだろうか。

「なに?」
「情緒とか無いのか、お前は」
「今そういうのは終わっただろ」
「相変わらずムードもない」
「はぁ……そういうのが欲しいなら他を当たれよ」
「……それは冗談か? それとも、」

 無意識に声が棘を持つ。紡がれる言葉の軽さが腹立たしい。ここまでしてもまだ理解していないのかと揺さぶって問い詰めてやりたくなる。掴んだ手にギリギリと力を込めると、呆れ顔で世一がため息を吐いた。

「お前、すぐ不機嫌になるなよ」
「もしそう見えるのだとしたら、お前のせいだが?」
「……あのさ。そういうのは後ででも良いだろ? 身体が汚れたままでいたくないんだって」
「それなら最初からそう言え。遠回しなことを言いやがって」
「勝手に勘違いして怒るなよ……」

 勘違いするような物言いをしたのはどちらだ。ため息と共に、それならばと自身も身体を起こして立ち上がった。

「え、なに?」
「シャワーに行くんだろ。洗ってやる」
「は?」
「尽くしてくれと言われたからな。もちろん、丁寧に隅々まで綺麗にしてやるよ」
「ちょ、」

 初めてのあの日のように、その身体を抱き上げて歩き出す。お望み通り、全身手ずから磨いてやろう。
 不安気に揺れる瞳の目尻にキスを落とす。渋々といった様子で脱力し、身体を預けてくる男を抱え直した。

「安心しろ。これ以上手を出すつもりはない」
「あー、うん、ありがとう……?」

 あれ、どうして自分が感謝しているんだ? と世一の顔が訝し気に歪む。わかりやすい表情の変化が面白くて、くくっ、と笑いを噛み殺しながら抱き抱えた世一ごと、カイザーは浴室へと消えて行った。



 ◇ ◇ ◇



 ところ変わってカイザーの部屋。真っ白なシーツの上に世一を寝かせて、背後からシャワーで温まった身体を抱きしめた。足を絡めて、肌がピタリと触れ合うほどに密着する。

「……寝にくいんですけど」
「俺は寝れる」
「……いや、あのさ……」

 世一は腕の中で居心地悪そうに縮こまっているが、文句を聞いてやる気はない。抗議と、さっさと寝ろという意思表示を含めてぐりぐりと首裏あたりに頭を擦り付けた。お前の言う通りに服も着てやったのに、これ以上何が不満なのか。

「甘えたかよ……」

 呆れ声と共に、諦めたのか脱力して世一の身体がベッドに沈む。それに気を良くして、カイザーもゆっくりと瞳を閉じた。腕の中の温かな体温が心地よく、同じ洗料を使ったはずなのに男から香る匂いは僅かに甘い。香りの源泉である首筋に顔を埋めれば、いつもより深い眠りにつけそうな気がした。

「おやすみ」

 世一の柔らかな声を子守唄に、段々と意識が落ちていく。ただこの温もりを逃さぬよう、ぎゅっと腕に力を込めた。



 ◇ ◇ ◇


 バタバタと急ぎ足で扉へ駆ける。寝坊助なカイザーのせいでまもなく朝食のビュッフェが終わってしまう。しつこく絡みつく腕をどうにか引き剥がしベッドから脱出した潔は、着替えのため自身の部屋へ戻ろうと勢いよく扉を開けた。さっさと自分の部屋に戻ってしまおうと一歩足を踏み出した潔に陰が降りかかる。

「は? なんで、カイザーの部屋から潔が……」
「アッ?!」

 声に顔を上げれば、向かいの扉から現れたチームメイトが潔を目に留めて呆然と立ち竦んでいた。ぱちぱちと瞼を瞬かせて、二度見どころか五度見くらいしてもまだ現状が飲み込めないのか、尚も視線は外れない。ちょうど部屋を出るタイミングが向かいの部屋と被るなんてどんな偶然なのか! 悪夢だと頭を抱えた潔に重ねて襲い掛かる悪魔の声。

「世一ぃ? そっちにいるのか?」
「来るなバカっ」
「ん? あぁ、なるほど……」

 制止を聞かず、やけに早足で追ってきたカイザーが潔の後ろから顔を出して肩を抱く。まだ整えられていない髪は爆発したままだし、潔の方も部屋着のままで明らかにさっきまで寝ていましたと言う状態だ。これは、最悪な誤解の予感。

「マジで、お前、」
「あ~~。大丈夫。全て理解した」
「何を?! ちょ、待て! 絶対誤解してんだろ!」
「ダイジョーブダイジョーブ、オレクチカタイ」
「なんで片言?! てか違うって!」

 あらぬ誤解をされた気がして思わず追い縋った。このままではかつての監獄時代のように、面白がったチームメイト達にベストカップルだのなんだのと拡散されてしまう。だがこの場を去ろうとする男を留めるために足を踏み出したところを、カイザーに後ろから抱き竦められた。

「ん~世一ぃ、それは酷くないか?」
「なにが! つーか、離せ!」

 まだ目覚めきっていないのか、耳元で響く気怠げな声が鼓膜を揺さぶる。クソ、状況が悪化している! カイザーが潔の思い通りに動かないのは今に始まった事ではないが、こればかりは洒落にならない。

「なにしてんだ? 朝から」
「うるせーなお前ら」

 そこらのドアがいくつも開いて、ワラワラとチームメイト達が廊下に集ってきた。普段こんな朝早く起きてこないくせに、こう言う時だけなぜそんなに目鼻が効くのか。

「……クソ、集まってくんなよ今日に限って……!」
「ふぅん? ちょうど良いな」

 頭を抱える潔と反して弾んだ声を溢すカイザーに思わず振り返った。ジリジリと近付く顔に後退しようとすれば背中に腕が回る。

「えっ、なに、」

 ──ぶちゅ。
 そんな効果音が聞こえてきそうな勢いで唇に何かが押しつけられ、眼前には酷くご機嫌な男の顔が──

「ん?!」
「ヒュ~!」
「お盛んだなお前ら!」
「手加減してやれよカイザー!」

 舌先で唇をつついてきて、待て、まさかここで舌まで入れる気か?! ヤジもいらねえ! 外野もさっさと散れ!!

「ん~~!!」

 唇を固く閉じて舌の侵入を拒む。不機嫌そうな唸り声を響かせたかと思えば、べろりと唇を舐めて顔が離れていったので安堵した。さすがに人前でディープキスなんて絶対に御免だ。ふと陰になっていた男が離れたことで明るくなった視界で目の前を見ると、にやにやと笑う男達がこちらを見ていた。

「~~~ッ!! この、クソカイザーッッ!!」
「お転婆なお姫様にはしっかりと首輪をつけておかないとな? おい、俺達はこういう関係だ」
「は?! お前、何言って、んぐ?!」

 否定しようとした口をカイザーの手で塞がれる。

「せいぜいお前らは邪魔せず見守ってろ」

 弾んだ声に思わず頬が赤らんだ。周りの生温かい視線が肌に痛い。

「んん~~!!」
「本当にじゃじゃ馬で困る。だが、離す気はない」

 カイザーの瞳が潔を捉える。口を塞いでいた手が外れて、ふにふにと唇に触れた。細められた青に籠る熱の眩さで僅かに溜飲が下がる。

「……ほんとお前さあ」

 ふつふつと腹に沸く焦燥感を飲み込んで、結局漏れたのは呆れ果てた男の声だけだった。

「急いでいたんじゃなかったのか?」
「はあ?」
「朝食を食べに行くんだろう? 早く支度しないと終わってしまうぞ」

 澄まし顔でカイザーは言うが、一体誰のせいでこうなっていると思っているんだ。百も千も文句は浮かぶが、結局空腹には勝てなかった。

「クソ! 後で説教だからなカイザー!」
「あいあい。慌てすぎて転ぶなよ」
「誰が!」

 相変わらずの煽りに、この男の不器用さを理解していても腹が立つ。絶対後で死ぬほど文句言ってやるぞと思いながら、肌に触れる手を振り払って自分に割り当てられた部屋へと戻った。



 世一の部屋である隣室へと消えていく姿を見えなくなるまで見送ってから、カイザーはただ無言で成り行きを見つめていた傍観者達に向き直った。

「可愛いだろう? 俺のSchatzだ」
「ゲー……おいカイザー。お前そんなキャラだったか?」

 ゲスナーがわざとらしくおえ、とえずく仕草をする。相変わらず品のない男だ。それを冷ややかな目で見ながらも、少しの優越感を含ませて告げた。

「さあ……あのエゴイストのせいかもしれないな」
「うわ~……つーか、マジで手加減してやれよ。ロッカールームでアイツの背中にあるキスマ見るのも気まずいんだよ!」

 そうだそうだ! とゲスナー以外からもヤジが飛ぶ。だが、カイザーがすっとそちらに視線を投げれば、途端に全員が押し黙り静まり返った。

「あのクソ鈍感が気付かないのが悪い」
「それどっちの話だ? キスマ? それともアイツが男どもから狙われてるって──」
「黙れ」
「あ~聞くだけで地雷なのね、了解」
「アイツに手を出したら殺す」
「俺が手出すわけねえだろ」

 ぴく、と反射的に眉間の皺が動く。カイザーとて断言するこの男に嘘があるとは疑っていない。ゲスナーの女好きはある意味信用に足る。この場で他の誰かでなくゲスナーが表立って発言しているのも、許されていることを理解しているからこそだろう。適当な男だが、そういった機微には聡い。

「お前に関しては心配していない。他の奴らだ」
「アレは俺のものだ。」

 周りにいる男どもを見回して告げた。ヤジを飛ばす野郎の中には、唇を噛んで悔しそうにしている男たちも混じっている。世一とカフェに行くと約束した件の男も。あの男の心を僅かにでもこちらに傾けるまでにどれほどの苦労があったと思っているのか。相手が誰であろうと、何があっても死んでも渡すものか。

「さっさと指輪でも贈ってやればいいのによ」

 その言葉に、途端にぐ、と眉間に皺を寄せて苦々しい顔になったカイザーに、何となく事情を察したゲスナーがあーなるほどね? と呟いた。

「まあ……長期戦になりそうだな」
「余計なお世話だ」
「優しく愛の言葉でも囁いてやれば、おぼこいアイツならイチコロだろ」
「……」

 優しく、と、愛の言葉。カイザーにとって今現在禁句ワードとも言える二つも全く他意もなく告げるこの男の鈍さはある意味凄い。背後のチームメイト達は怯えさえ瞳に映してゲスナーから距離を取ろうと後ずさった。そんな周囲から向けられる憐れみのような視線にカイザーの苛立ちはさらに募るが、認めたくないから糾弾も出来なかった。どちらも簡単に出来るなら苦労はない。
 苦虫を噛み潰したようなカイザーの表情を捉えて、ゲスナーが心底驚いた様子で目を瞠った。

「え、お前そんな難儀な性格してたっけ?」
「チッ……」
「本命童貞かよお前!! そんな面して?!」
「黙れ、ゲスナー!」
「これが笑わずにいられるか! 女なんて入れ食い状態だったお前がこんなザマだなんて昔の女どもが聞いたら泣くぜ?!」
「知るか。クソッ」

 そこらの女がどう思っていようがどうでも良い。アイツさえ、世一さえいれば。だが、それが一番難しいから腹立たしい。女が求めたカイザーの容姿も、地位も、世一にとってはさして価値の無いものだ。眉間に一層深く皺を刻んだカイザーの顔を見て、やれやれ、と爆笑していたゲスナーが肩を竦めて溜め息を吐いた。

「まーでもさっきのは割と本気でそう思うぜ? 日本には告白文化もあることだしな。言葉にしないと伝わらないこともあるだろ」
「……伝えてないわけじゃない」

 伝えたことならある。望んだ返事が貰えたことはないが、促されて求められるままに言葉を紡いだ。以前に比べれば、優しくだってしている。

「どうせ数回だけだろ。口説く側が日和ってどうすんだよ」
「……」
「今まではその顔面に胡座かいて来たんだろうが……欲しいなら伝えてやれ。それを切り捨てるような奴じゃねぇだろ」

 知ったような口振りにムカムカと腹が煮える。あの男がどんな言葉でカイザーの告白を受け流したかを知らないから言えるのだろう。アレはエゴイストだ。クソ不愉快だが、相手がカイザーでなければゲスナーの言葉は間違っていない。
 ──そう、カイザーでなければ。

「なんだ? 伝えてこっ酷くフラれたか?」  「怎么回事?传达过去被狠狠地拒绝了吗?」
「ヂィッ……」
「エッグい舌打ちかますなよ……ま、お前ら犬猿の仲だもんなあ」
别用舌头打鸡蛋……嘛,你们真是犬猿之仇啊

 ううん、とゲスナーが唸る。馬に蹴られたくないからか、気づけば周りを囲っていた野次馬のようなチームメイト達はものの見事に全員いなくなっていた。
嗯,格斯纳低吼着。大概是怕被马踢,转眼间,围在周围像看热闹的队友们,全都神奇地消失了。

「あー……じゃあ外堀から埋めるのはどうだ? 冗談半分とはいえ、ベストカップルだとか騒がれていたお前らだ。それとなくオフは一緒に過ごしているとか載せれば周りが勝手に解釈してくれんだろ」
啊……那从外堀开始填吧?虽然是玩笑话,但你们被称作最佳情侣,还偷偷地一起度过休闲时光之类的放上去,周围的人自然会自行解读吧

「……それは、悪くないな」  ……那倒不错
 ──それを世間は匂わせと呼ぶ。  ──それを世间は匂わせと呼ぶ。
 この時のゲスナーは知らない。加減を知らないカイザーによって、匂わせどころか嗅がせとすら言える投稿が世界中に拡散されることも、唆した責任だと全く悪びれないカイザーの代わりに上層部に絞られてしまうことも。
当时来参加的嘉宾不知道。凯撒不知轻重,导致他散布到世界各地的帖子,甚至可以说是暗示性的言论,唆使的责任完全不觉得过错,反而被上层人士包庇。

 この時のゲスナーはまだ知らないのである。  此时来宾还不知道。

夹书签
Eine liebeshungrige Bestie【期間限定Web再録】
『あの子と繋がる魔法のオナホ』の再録と書き下ろし五話を収録した同人誌になります。再販予定がないため、期間限定でWeb再録します。
昨年3/17の春コミにて頒布した本でした。お手に取ってくださった皆様、ありがとうございました!
カイザーの誕生日、アニメ登場を記念し、1月末まで掲載します。良ければお楽しみください。

あらすじ:
ブルーロックからの支給品に紛れた魔法のオナホを手に入れたカイザーは、『恋するあの子のナカを完全再現♡ ※感覚共有あり』という謳い文句を疑いながらも、最悪な関係性から進展の望めない世一を堕とすため、そのオナホを利用することに決める。本人を堕とせないなら、まずは身体から。感覚共有という文言に惹かれるままに連日オナホでひとり遊びをするようになっていく。

以下含みます
無理矢理/♡喘ぎ/結腸責め/濁点喘ぎ/潮吹き/中出し

今年もよろしくお願いいたします!

この作品以外でも感想などいただけたら嬉しいです!
https://marshmallow-qa.com/rian2370?t=7ZlRrN&utm_medium=url_text&utm_source=promotion
查看后续
52773710,895
2025年1月1日晚上6点35分
リアン
评论
星野凝
传达您的感想给作者吧

相关作品


同时推荐


发现