
「お前と旅がもっとしたいんだ」 "「我还想和你继续旅行啊」"
あれはいつ頃だっただろうか。確かリーグ戦が終わった後、フレア団騒動が落ち着いた頃だ。
那大概是什么时候的事呢。记得是联盟大赛结束后,闪焰队骚动平息不久。
故郷マサラタウンに帰ろうと決めたとき、サトシはある決意をした。
当决定返回故乡真新镇时,小智下了一个决心。
ゲッコウガともっと旅がしたい。 还想和甲贺忍蛙继续旅行。
ゲッコウガと一緒にさらなる高みを目指したいと思った。
想与甲贺忍蛙一同攀登更高的巅峰。
リーグ戦は残念な結果に終わってしまったけれど、世界は広い。まだまだ目指す場所は沢山ある。
虽然联盟赛以遗憾告终,但世界广阔无垠。我们还有无数目标要去追寻。
ゲッコウガとサトシは共にいて初めて強くなれる。だからもっと一緒にいたい。強くなりたい。大切なことを気付かせてくれた彼を、マサラタウンに置いて行きたくない。
甲贺忍蛙和小智只有在一起才能变得更强。所以想更多地在一起。想要变强。不想把让我明白重要之事的他留在真新镇。
初めての感情だった。どうすればいいのかわからない強い感情。ピカチュウに相談したら「一緒に行こうと誘ってみればいいよ」と肯定してくれたので嬉しくなった。
这是第一次体验到的情感。不知道该如何应对的强烈感情。和皮卡丘商量后,它肯定地说'试着邀请他一起走吧',这让我很开心。
「世界にはまだ出会ったことのない仲間が沢山いるし、強い奴がいっぱいいるんだ。だからさ、一緒に行かないか?」
"世界上还有好多没遇到的伙伴,也有很多强大的家伙。所以啊,要不要一起走?"
サトシの提案にゲッコウガは少しだけ目を見開いた。サトシは期待に胸を膨らませる。
小智的提议让甲贺忍蛙微微睁大了眼睛。小智满怀期待地心跳加速。
サトシはゲッコウガのことが大好きだ。ゲッコウガもまた然り。だからゲッコウガは頷いてくれるとそう信じていた。信じて疑わなかった。
小智深爱着甲贺忍蛙。甲贺忍蛙亦是如此。所以他坚信对方会点头答应。从未怀疑过这份确信。
カロスの風がサトシの考えを肯定するかのように、優しくふいた。
卡洛斯的风温柔吹拂,仿佛在肯定小智的想法。
「コウ」 "「吼」"
だから、ゲッコウガが最初何と言ったのか理解できなかった。ゆっくりと首を横に振られる。その仕草を見て、サトシはようやくゲッコウガが否定の言葉を口にしたのだと気がついた。
所以,小智最初没能理解甲贺忍蛙说了什么。看着它缓缓摇头的动作,他才意识到甲贺忍蛙说出了拒绝的话语。
「なんで……?」 "「为什么……?」"
だってお前、オレのこと大好きだって。ずっと一緒にいたいって言ってくれた。それなのに。
明明你说过最喜欢我了。说过想永远在一起的。可为什么。
信じられない。ゲッコウガの言葉はまやかしだと思いたかった。お茶目な面があるポケモンだ。きっとサトシを驚かせようとして嘘をついているだけだ。そう自分に言い聞かせた。けれども、
难以置信。小智曾以为甲贺忍蛙的话语只是玩笑。那是个总爱恶作剧的宝可梦。一定只是想吓唬我才说谎的。他这样说服自己。然而,
「コウ、コウガ」 "「小翔、翔河」"
二度目の拒絶の言葉。初めて受けるゲッコウガからの明確な拒否。サトシはただ黙ることしかできなかった。
第二次的拒绝话语。第一次收到甲贺忍蛙明确的否决。小智只能保持沉默。
どうしてゲッコウガが断ったのか、サトシはわからない。少し前まで、もっとこの旅が長く続けばいいのにと考えていたのに。サトシが提案した時、揺れた瞳。あそこには確かに肯定の意思があった。それなのに。
为什么甲贺忍蛙会拒绝,小智不明白。就在不久前,他还想着希望这段旅程能持续更久。当小智提出建议时,那双动摇的眼睛。那里明明有着肯定的意愿。尽管如此。
もしかしたら研究所にいるポケモン達に遠慮したのかもしれない。サトシは多くの地方を旅し、仲間を得た。ゲッコウガがカロスで初めての仲間であっても、仲間の中で新参者に代わりはない。
或许甲贺忍蛙是顾虑研究所里的其他宝可梦们吧。小智走过许多地方,结识了不少伙伴。即使它是卡洛斯地区最初的同伴,在新加入的伙伴中也没有谁能取代它的位置。
そんなことしなくても皆わかってくれる。 就算不这么做大家也都能理解的。
ゲッコウガを説得したかったが、こうと決めた彼の意思は石より固いとサトシは知っていた。サトシが折れるしかなかった。
小智虽然想说服甲贺忍蛙,但他知道它做出的决定比磐石还要坚定。小智只能选择退让。
この件を知っている者は誰もいない。ピカチュウだけが、二人の間にわだかまりがあることを知っている。だがそれでも根本的な原因は知らない。
这件事无人知晓。只有皮卡丘知道两人之间存在隔阂。但即便如此,它也不清楚根本原因。
少しだけぎくしゃくしたが、二人は努めて普通の関係を演じた。
虽然关系略显生硬,但两人都努力维持着表面的平常。
サトシはゲッコウガが好きだ、ゲッコウガはサトシが大好きだ。提案を断られても繋ぐキズナは変わらない。そんなことで揺らぐ、柔な関係ではない。
小智喜欢甲贺忍蛙,甲贺忍蛙深爱着小智。即使提议被拒绝,彼此相连的羁绊也不会改变。他们的关系绝非如此脆弱,不会因这种事动摇。
一緒に旅ができなくても、それでもゲッコウガはサトシのポケモンだった。ゲッコウガはサトシの故郷へ行くことを、とても楽しみにしていた。研究所にいる全てのポケモンに挑戦状を叩き付けてやる。親友のルチャブルと共に意気込んでいた。それだけがサトシの心の支えだった。
即使不能一起旅行,甲贺忍蛙依然是小智的宝可梦。它曾无比期待前往小智的故乡。向研究所里所有的宝可梦发起挑战,与挚友摔角鹰人一同斗志昂扬。这成为了小智心中唯一的慰藉。
ただ、それは裏を返せば研究所で待機するという暗黙の意思表示でもある。そのことに気がついた時、サトシの心に浮かんだのは僅かな寂しさである。
然而,反过来想,这也是一种默示的意愿表达——它选择在研究所等待。当小智意识到这一点时,心中涌起的是一丝淡淡的寂寞。
あの一件からゲッコウガは他の仲間達との会話で、頻繁にマサラタウンを話題にするようになった。
自从那件事后,甲贺忍蛙在与同伴们的交谈中,开始频繁提起真新镇。
ゲッコウガがサトシを拒絶したのは夢であった。そう思い込みたかったのに、あれは夢でなかったと思い知らされた。胸が痛んだ。
甲贺忍蛙拒绝小智只是一场梦。他多么希望那只是一场梦,却不得不承认那并非梦境。胸口传来阵阵刺痛。
サトシは未だに痛む胸を押さえるように、シャツを握りしめた。あの拒絶に未だにショックを受けている自分が惨めで嫌だった。女々しい。セレナの言葉を借りるならば「サトシらしくない」というやつだろうか。
小智像是要按住仍在隐隐作痛的胸口般,紧紧攥住了衬衫。至今仍因那份拒绝而深受打击的自己,让他觉得窝囊又厌恶。若借用瑟蕾娜的话来说,大概就是"不像小智的作风"吧。
せめてゲッコウガがここにいればよかったのに。そうすればこの胸の痛みも、もう少しマシだった。
要是甲贺忍蛙在这里就好了。那样的话,这份胸口的疼痛或许能减轻些。
一緒に旅ができなくても、彼が旅に出たサトシの帰りを待っていてくれたなら、心の持ちようは変わった。
即使不能一起旅行,只要他愿意等待踏上旅程的小智归来,心境也会有所不同。
ゲッコウガがマサラタウンにくる夢は敵わなかった。
甲贺忍蛙来到真新镇的梦想未能实现。
深い息を吐き、サトシは目を瞑る。カントーが夜ならば、カロスは昼だろう。
小智深深吐出一口气,闭上眼睛。如果关都已是夜晚,卡洛斯想必还是白昼。
ゲッコウガは今何をしているのだろうか。ジガルデのコア達と一生懸命負のエネルギーを駆除しているに違いない。
甲贺忍蛙此刻在做什么呢?一定正和基格尔德的核心们拼命清除着负能量吧。
無理はして欲しくない。ゲッコウガの姿を思い、両手を伸ばす。感覚を共有して、初めてわかった痛み。ポケモン達が人間よりも丈夫な肉体構造だとしても、痛いものは痛い。バトルならまだしも、相手は世界を滅ぼそうとしたエネルギーの残骸。容赦なく、ゲッコウガの命を狙ってくるだろう。
不想勉强它。想起甲贺忍蛙的身影,伸出双手。通过共享感觉,第一次体会到的痛苦。即使宝可梦们拥有比人类更坚韧的肉体构造,痛就是痛。若是战斗倒也罢了,但对手是企图毁灭世界的能量残骸。它们绝不会手下留情,势必会瞄准甲贺忍蛙的性命。
ゲッコウガは約束を守る。だから必ずサトシの元へ帰ってくる。わかってはいるが、無茶をしてほしくない。怪我をしたゲッコウガなんて見たくない。
甲贺忍蛙会遵守约定。所以它一定会回到小智身边。虽然心里明白,但不想让它乱来。不想看到受伤的甲贺忍蛙。
「プニちゃんがいるから多分、心配ないと思うけど」 "「有布尼在的话应该不用担心」"
万が一、怪我をしたらキズナで繋がっているサトシにはわかる。その場合は説教をしなければならない。
万一受伤了,通过羁绊相连的小智会感知到。到时候必须好好说教一番。
サトシとゲッコウガはキズナで繋がっている。 小智与甲贺忍蛙通过羁绊紧密相连。
それは他のポケモンとトレーナーでは起こすことができない奇跡。二人を繋ぐ糸。
这是其他宝可梦与训练家无法创造的奇迹。连接两人的羁绊。
だからサトシは不思議とゲッコウガと離ればなれになっても、その存在を感じ取れた。これは誰にも言っていない。サトシしか知らない事実。その気になれば夢の中でゲッコウガに会えるだろう。
所以小智不可思议地即使与甲贺忍蛙分离,也能感受到它的存在。这件事他没有告诉任何人。只有小智知道的事实。只要愿意,他就能在梦中与甲贺忍蛙相见。
サトシは深く深く、ため息をついた。今日一日で何度ため息をついたかわからない。伸ばした手の影が、月の光りを受け、奇妙な形となり壁に映る。
小智深深地、深深地叹了口气。今天一天里,他不知道自己已经叹了多少次气。伸出的手的影子,在月光下投下,在墙上映出奇异的形状。
本当はわかっている。サトシの心に影を落としているのは、提案を拒絶されたことだけではない。
其实他心知肚明。让小智心中蒙上阴影的,不仅仅是提议被拒绝这件事。
それは、ゲッコウガと別れる羽目になったあの日にある。
那是在与甲贺忍蛙分别的那一天。
「また会えるよ」 "「还会再见的」"
思いを込めて抱擁を交わす。ゲッコウガの体は、自分の体より少しだけ体温が低い。ひんやりとした体に抱きしめられ、サトシは目を潤ませた。人とは違う体温を持つ彼の体がサトシは大好きだった。ゲッコウガの体温を感じていると不思議と心が安らぐのだ。
满怀思念地相拥。甲贺忍蛙的体温比他自己的略低一些。被这微凉的身躯紧抱着,小智眼眶湿润了。他最爱这具与人类不同温度的躯体。感受着甲贺忍蛙的体温时,总会莫名感到心安。
そっと後ろから忍び寄り、この体に何度飛びついただろう。ゲッコウガは驚きつつもサトシの行動を許容してくれた。
多少次悄悄从背后靠近,扑向这个身躯。甲贺忍蛙虽然惊讶,却总是纵容着小智的举动。
暫く、この体温を感じることができない。その名残惜しさも込めて、ゲッコウガの体に自分の体をすりつける。
暂时,无法再感受这份体温。带着这份依依不舍,小智将自己的身体紧贴在甲贺忍蛙身上。
また会えると信じていても、寂しい。ずっと一緒にいたのだ。明日からゲッコウガがいないなんて考えたくない。
即使相信还能再见面,也依然感到寂寞。毕竟一直在一起。不愿去想从明天起甲贺忍蛙就不在了。
―別れたくない ―不想分开
口からこぼれ落ちそうになる言葉を必死で耐える。 拼命忍住即将脱口而出的话语。
だがこれもカロスの平和と未来のためなのだ。必要な別れだ。
但这也是为了卡洛斯的和平与未来。必要的离别。
ゲッコウガもそれがわかっているのだろう。力強くサトシを抱きしめる。背中に周された腕が微かに震えている。寂しさを見せないようにと固く閉じられた瞳。隠さなくてもいいのに。ゲッコウガの目元には、サトシと同じくうっすらと涙がにじんでいた。
甲贺忍蛙也明白这一点吧。它用力地抱紧了小智。环绕在背上的手臂微微颤抖着。紧闭的双眸仿佛在掩饰寂寞。其实不必隐藏的。甲贺忍蛙的眼角,也和小智一样泛起了淡淡的泪光。
ゲッコウガの美しい瞳が見たいと思った。 好想再看看甲贺忍蛙那双美丽的眼睛。
サトシの思いが通じたのだろう。ゲッコウガが瞳を開いた。涙に濡れた目は、夕日を浴びて宝石のように見えた。
或许是小智的心意传达到了。甲贺忍蛙睁开了眼睛。被泪水浸湿的双眼,沐浴着夕阳,宛如宝石般闪耀。
「大好きだぜ。ゲッコウガ」 “我最喜欢你了,甲贺忍蛙。”
「……コウガ」 "「……甲贺」"
「うん、待ってる。無理はするなよ。お前すぐ無理するからさ。もし怪我したら、ちゃんとポケモンセンターかプラターヌ博士の研究所にいけよ」
"“嗯,我等着。别太勉强自己。因为你总是爱逞强。如果受伤了,一定要乖乖去宝可梦中心或者布拉塔诺博士的研究所哦。”"
「コウ」 "「吼」"
「わかってるって。オレも無茶しないよ。気をつける。あ、飯はちゃんと食えよ。戻って来た時、やせ細っていたら怒るからな」
"“我知道啦。我也不会乱来的。会小心的。啊,记得按时吃饭。回来的时候要是瘦了的话我可要生气的。”"
「ピカピカ!」 “皮卡皮卡!”
「そうだなピカチュウ。ゲッコウガ、オレのママの料理すごいうまいんだぜ。ほっぺが落ちちゃうくらい。コロッケなんかもう最高で……それから」
"「是啊皮卡丘。甲贺忍蛙,我妈妈做的料理可好吃了,好吃到让人咬掉舌头。炸肉饼什么的简直绝了……还有啊」"
ゲッコウガに言いたいことが山ほどある。ピカチュウも同じなのだろう。肩の上でしかめっ面をして必死に考えを張り巡らせている。二人で代わるがわるゲッコウガに声をかける。たまらず背後でセレナが吹き出した。
想对甲贺忍蛙说的话堆积如山。皮卡丘想必也一样。它在肩头皱着脸拼命组织语言。我俩轮流对甲贺忍蛙搭话。身后的瑟蕾娜终于忍不住笑出了声。
「ちょっとやだ、サトシったら、まるでママみたいよ」
"「真是的,小智这样子活像老妈子似的」"
悲しい別れの筈が、何だかとてもおかしな気分だ。セレナの言葉にシトロンが笑い声を上げた。ユリーカとプニちゃんまでもが呆れた顔でサトシを見ていた。湿っぽい雰囲気は何処へいったのか、温かな空気があたりを包んだ。
本该是悲伤的离别,却莫名觉得十分滑稽。瑟蕾娜的话引得希特隆笑出了声。柚丽嘉和咚咚鼠甚至都用无奈的表情看着小智。方才潮湿的氛围不知消散何处,温暖的空气重新笼罩了四周。
「またな。ゲッコウガ」 "「再见了,甲贺忍蛙」"
「コウガ」 "“甲贺”"
「ああ、待ってる。お前の帰りを。ちゃんと帰ってこいよ」
"「啊,我会等着。等你回来。一定要好好回来啊」"
たっぷりと笑い合い、サトシとゲッコウガは再びハグをかわした。共に帰還することは叶わなかったが、キズナという繋がりが二人に力を与える。
小智与甲贺忍蛙相视而笑,再次紧紧相拥。虽然无法一同归去,但羁绊的力量仍在两人之间流动。
プニちゃんを手に乗せ、ゲッコウガはサトシ達に背を向ける。このままでは互いに決意が鈍る。決めたことだ。
甲贺忍蛙将普尼放在掌心,转身背对小智一行人。若再犹豫,彼此的决心都会动摇。这是早已决定的事。
「元気でなー」 "「要保重啊——」"
歩き出すゲッコウガ達。サトシ達は声援を送り手を振る。ちらりと下を見れば、ユリーカが涙を拭い、プニちゃんに笑顔を見せていた。
甲贺忍蛙们迈步离去。小智一行人挥手呐喊送别。低头瞥见柚丽嘉正擦拭泪水,对咚咚鼠露出笑容。
「お仕事終わったら一緒に旅しようね」 "「等任务结束后我们再一起旅行吧」"
気丈に振る舞うその姿をサトシは見習おうと、ゲッコウガにとびきりの笑顔を向けた。ゲッコウガもそんなサトシ達に笑顔を返す。その瞳の奥に静かに燃える闘志が見えた。
小智凝视着甲贺忍蛙昂首阔步的背影,向它绽放最灿烂的笑容。甲贺忍蛙也回以微笑,那双眸深处静静燃烧着斗志。
サトシとゲッコウガ。ユリーカとプニちゃん。約束を交わし合う二組に、もう一人ジガルデ・コアは不満げに鼻をならした。
小智与甲贺忍蛙。尤莉卡与泡沫栗鼠。交换约定的两对搭档旁,另一只基格尔德核心不满地哼了一声。
「嫉妬してるのかな」 “是在嫉妒吗”
「かもな」 "「也许吧」"
ニシシと笑うユリーカにサトシも同意した。プニちゃんの仲間だという青いコア、彼もまた随分と感情豊かなポケモンらしい。
小智也笑着点头同意尤莉卡的窃笑。那个自称是普尼同伴的蓝色核心,似乎也是只情感相当丰富的宝可梦。
きっと、ゲッコウガは大丈夫だろう。この地に一人残してしまう。そのことが残念でならなかったが、プニちゃんが、ジガルデが一緒なら―
一定,甲贺忍蛙会没事的。将它独自留在这片土地上。虽然对此感到无比遗憾,但有布尼和基格尔德在身边的话——
「サトシもユリーカもね。きっと直ぐに再会できるよ。また一緒に旅ができる。だって凄く強いもん。プニちゃんと一緒にぱーってお仕事片付けてくれるよ」
"小智和尤莉卡也是呢。肯定很快就能再见的。还能一起旅行。因为你们都很强嘛。和布尼酱一起'啪'地就把工作搞定啦"
「オレもそう思う。プニちゃんもゲッコウガも誰にも負けないくらい強いもんな」
“我也这么觉得。普尼酱和甲贺忍蛙都是强到无人能敌的。”
ユリーカの言葉はサトシをおおいに元気づけた。サトシは口の中で何度もゲッコウガの名前を呼んだ。その姿を目に焼き付けておきたかった。
尤莉卡的话极大地鼓舞了小智。他在口中无数次呼唤着甲贺忍蛙的名字,想要将它的身影深深烙印在眼底。
穏やかな風が吹いた。追い風だ。 一阵和煦的风吹过。是顺风。
その風はサトシ達を励ますように背中を強く押し、それから遠ざかるゲッコウガ達にエールを送るように吹き抜けた。風が離ればなれになる自分たちを繋いでくれるような気がした。まるで自分とゲッコウガを繋げる見えないキズナのようである。
那阵风仿佛在鼓励小智他们一般,用力推着他们的后背,又如同为远去的甲贺忍蛙们送上声援般呼啸而过。风似乎将渐行渐远的他们重新连接在一起,就像维系着自己与甲贺忍蛙之间无形的羁绊。
その時だ。 就在那时。
一瞬。ほんの一瞬。ゲッコウガが振り返った。 一瞬间。仅仅是一瞬间。甲贺忍蛙回头了。
首をゆっくり動かし、ちらりとサトシの方を見た。数秒にも満たない。あまりにも自然な仕草。きっとサトシ以外の誰も気がついていない。
它缓缓转动脖颈,朝小智的方向瞥了一眼。不到几秒钟。动作自然得几乎无人察觉——除了小智之外。
サトシを瞳に映したゲッコウガが僅かに瞳を細めた。
小智的身影映在甲贺忍蛙的眼中,它微微眯起了眼睛。
「……ゲッコウガ?」 "「……甲贺忍蛙?」"
ゲッコウガとキズナで結ばれたサトシだけが、その意味に気がつく。気持ちを繋げ、全ての感覚を共有していた為、その感情が手に取るようにわかる。ゲッコウガが今何を考えているのかが、はっきりと見えた。
只有与小智通过羁绊相连的甲贺忍蛙,才能理解其中的意义。因为心意相通,共享所有感官,那份情感如同触手可及。甲贺忍蛙此刻在想什么,清晰可见。
サトシと同じで、別れを辛い、寂しいと感じているのがわかる。だがゲッコウガはただ悲観していない。つぎに感じたのは必ずこの地のエネルギーを全て除去して、帰還するという強い意志。
和小智一样,能感受到离别带来的痛苦与寂寞。但甲贺忍蛙并非一味悲观。紧接着感受到的是它必定要彻底清除此地所有能量、凯旋而归的坚定意志。
サトシは戸惑いの声を上げるしかなかった。 小智只能发出困惑的声音。
はっきりと感じる決意。そこに混ぜる感情。細められた瞳に込めれたものの正体。
清晰感受到的决心。其中混杂的情感。在细眯起的双眼中所蕴含之物的真面目。
―安堵感 ―安心感
ゲッコウガはサトシと離れ、遠くにいけることに酷く安堵していた。まるで煩わしいものから離れることができると言わんばかりの心からの安らぎが見て取れた。
甲贺忍蛙与小智分离后,对能远走高飞感到无比释然。那种发自内心的安宁,仿佛在宣告终于能摆脱烦扰之物般显而易见。
***
「……なんでだよ」 “……为什么啊”
苛立った声が出てしまった。静かな部屋にそれはよく響いた。拳を作ると、荒ぶる感情にまかせてを振り下ろす。ボスリと柔らかな音を立て、その拳はベットに受け止められる。
愤怒的声音脱口而出。在安静的房间里格外响亮。攥紧拳头,任由狂暴的情绪驱使着砸下。随着一声闷响,柔软的床垫接住了这一拳。
「ピカ……?」 “皮卡……?”
ピカチュウが寝ぼけた声を出す。あどけない声にサトシは我に返る。八つ当たりなんて最低だと顔を歪ませた。怒りを抑えようとサトシは深呼吸を繰り返す。
皮卡丘发出睡意朦胧的声音。听到这纯真的声音,小智猛然回过神来。他扭曲着脸,心想迁怒他人实在太差劲了。为了压制怒火,小智反复做着深呼吸。
カロスでの思い出が蘇る原因となったジャケットから目をそらす。窓から差し込む月の光がサトシの顔を照らした。
小智移开视线,不再看那件勾起卡洛斯回忆的外套。从窗户洒落的月光照亮了他的脸庞。
ゲッコウガの心がわからない。 我不明白甲贺忍蛙的心意。
サトシの元に帰ると思う彼の気持ちに偽りはないだろう。だが、あの時見せた表情は何なのか。
他想要回到小智身边的这份心意绝非虚假。但那时展露的神情又意味着什么。
それがずっとサトシを悩ませている。 这个疑问始终困扰着小智。
帰りたいと願いつつも、サトシと離れられることに胸を撫で下ろしていたあの仕草。細められた瞳。わからない。ゲッコウガの気持ちがわからない。だからその真意が知りたい。
明明渴望着归来,却在与小智分别时如释重负的那个动作。微微眯起的双眼。不明白。读不懂甲贺忍蛙的心意。所以想要知晓它真正的想法。
寝返りをうちながら考える。 一边翻身一边思考。
このままゲッコウガを思いながら眠りにつけば、彼に会えるだろうか。会えば問い質すことができる。ゲッコウガの本当の気持ちを知りたい。
就这样想着甲贺忍蛙入睡的话,能见到他吗?如果见到他,就能质问清楚。我想知道甲贺忍蛙真正的想法。
サトシは目を瞑る。しかし直ぐに頭を振る。怒りが沸き上がったせいで目はますます冴えている。当分眠れそうになかった。
小智闭上眼睛。但随即又摇了摇头。愤怒涌上心头,眼睛反而愈发清醒。看来一时半会儿是睡不着了。
「ゲッコウガ……」 「甲贺忍蛙……」
枕に顔を埋める。帰宅したサトシがぐっすり眠れるようにと、洗濯されたシーツと枕は気持ちがいい。沈んだ心を柔らかな感触が少しだけ慰める。
将脸埋进枕头。为了让回家的小智能好好安睡,洗过的床单和枕头都令人心情舒畅。柔软的触感稍稍抚慰了沉郁的心。
ひんやりとした温度がゲッコウガの体温を思い起こさせる。
冰冷的温度让人想起甲贺忍蛙的体温。
ゲッコウガに会いたい。別れてまだそれほど日が経っていないのに、もう何年も会っていないようだ。ぽっかりと心に穴が空いたように、サトシの心は飢えていた。
想见甲贺忍蛙。明明分别还没过多久,却仿佛已经多年未见。小智的心如同被挖空了一块,饥渴难耐。
もう一度、ジャケットを見る。 再一次,看向甲贺忍蛙。
「お前、どうして……」 "「你为什么要……」"
それほど旅の誘いが嫌だったのだろうか。ゲッコウガに会いたい。会って尋ねたい。だが、願いとは裏腹にサトシの本能はそれを拒否している。もう一度拒絶されたら、きっと立ち直れない。
难道它真的如此厌恶继续旅行吗?想见甲贺忍蛙。想当面问个清楚。但与愿望相反,小智的本能却在抗拒这个念头。若再被拒绝一次,他恐怕再也无法振作。
眠るピカチュウの背をそっと撫でる。 轻轻抚摸着熟睡的皮卡丘的背。
「やっぱりオレ変だ。すげー我が侭なこと考えている」
"果然我还是很奇怪。居然在想这么蠢的事情"
サトシは小さな声でピカチュウに語りかける。返事が返ってこないとわかっていても、言葉にしなければ妙な不安に押しつぶされそうであった。
小智轻声对皮卡丘说着话。明知不会有回应,但若不把话说出口,就会被莫名的焦虑压垮。
「ゲッコウガ……」 「甲贺忍蛙……」
静かに夜は更けていく。ピカチュウの背中を撫でながらサトシは大きなあくびをした。ゆるりと睡魔がサトシを襲う。思考が鈍くなり、瞼が重くなる。ようやく眠れそうだ。サトシはそのまま眠りに身を任せる。
夜色在寂静中渐深。小智抚摸着皮卡丘的背打了个大哈欠。睡意缓缓袭来,思维变得迟钝,眼皮越来越重。终于能睡着了。小智就这样放任自己沉入梦乡。
どうかゲッコウガの夢を見ませんように。ああ、でも少しだけでもお前の姿が見たい。
;; 但愿不会梦见甲贺忍蛙。啊,可是哪怕只有一瞬间也好,我也想见到你的身影。
矛盾した願いを胸に抱え、サトシは眠りの世界へと足を踏み入れた。
怀着矛盾的愿望,小智踏入了梦乡的世界。
現シリーズが終わってしまうということでUPいたしました。
ゲッコウガと別れた後のお話。
サトシくん…終わってほしくない…!!
pkmnに再度ハマるきっかけになったのがXYZなので思い入れが強い本です。
そしてあまりにもゲコサトのお別れが悲しすぎて書いてしまった本であり、好き勝手やってた本ですが、感想頂けて嬉しかった思い出。
闇堕ちメリバEDの妄想も今なお脳内でフィーバーしてるくらいゲコサト大好きです。
23.3.26 追記
延々とスクロールすると大変かなと思いページ分割しました。
こちらの方が読みやすいかと思いまして。