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潔が凛との写真だけをSNSにあげない話。/水煮的小说

潔が凛との写真だけをSNSにあげない話。  关于洁唯独不上传与凛合照的故事。

7,357字14分钟  7357 字 14 分钟

タイトルのまんまです。  正如标题所示。

当たり前のようにプロ軸。  理所当然的职业选手设定。
ドイツとフランスの遠距離恋愛。  德国与法国的远距离恋爱。

プロ1年目→2年目 兄、監獄勢の手厚いアシストによりどうにか付き合う→3年目 現在
职业第一年→第二年 在兄长和监狱势力的全力助攻下总算开始交往→第三年 现在


小説を書くの自体久しぶりで、読みにくかったら申し訳ございません。
时隔许久再次执笔创作小说,若阅读体验不佳还请见谅。

ブルーロックについても書くのは初めてなのでお手柔らかにお願いいたします。
这也是初次尝试描写蓝色监狱相关题材,请多多包涵。


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 詳細は割愛するが、兄も周りも巻き込みに巻き込んだすったもんだの末、あの鈍感王と名高い潔世一と付き合うことになった糸師凛には一つ気掛かりな事がある。
虽然细节不便赘述,但把哥哥和周围人都卷入风波后,最终与那个号称迟钝之王的洁世一交往的糸师凛,心里始终有个疙瘩。

 そんなに気になるなら直接聞いてしまえばいいのはわかっているのだが、自身が不安を抱いていると提示するような質問をぶつけるのは何となくプライドに反するし、わざわざ聞くのもどうかと思い、日々を悶々と過ごしていた。
凛当然明白若真在意就该直接问出口,但主动抛出这种暴露不安的提问总觉得有损自尊,又顾虑特意询问是否妥当,终日郁郁寡欢。

 凛のその些細な悩み、━━━━━それは潔のSNSにある。
凛这个微不足道的烦恼,其根源在于洁的社交媒体。

理由は単純。潔は付き合ってからこの1年、凛との交友関係をぱったりとSNSにあげなくなったのだ。
原因很简单:交往这一年来,洁突然彻底停止了在社交平台发布与凛的任何互动动态。

 元よりファンサービスが皆無で、チームの上層部に指示されるまましぶしぶ作ったのはいいものの、マネージャーやクラブの運営からの業務連絡のようなものしか動かない凛のSNSと異なり、潔は月に1〜2回の頻度だとはいえ本人によって更新されていた。それは、ファン感謝デーのお礼コメントだったり、オフに誰かと会っていた事だったりとありきたりで取るに足らないような内容とはいえ、ファンにとっては十分なファンサービスに繋がるらしい。
与凛那几乎为零的粉丝互动、在团队高层指示下勉强开设却只发布经理或俱乐部业务通知的社交账号不同,洁的账号虽然每月仅更新一两次,但都由本人亲自发布。内容虽不外乎粉丝感谢日的致谢留言或休赛期与某人见面的平凡琐事,对粉丝而言却已构成足够的福利。

 
 かくいう凛も、絶対に本人には言わないが、潔本人に聞かずとも交友関係の情報を得ることが出来るツールとして、活用させている。そして、その中でもパーソナルスペースが広く他人と馴れ合わない凛と過ごしている旨の投稿の際は、潔の周りをうろついている厄介な周囲への牽制としても使うことが出来るため、むしろ楽しみににしていた節もあったのだ。
凛虽绝不会当面承认,却也将洁的账号当作无需询问就能掌握其交友动态的工具。尤其当洁发布与习惯保持距离、不轻易与人亲近的凛共处的动态时,这些内容还能起到震慑那些在洁身边打转的麻烦人物的作用——凛甚至对此隐隐抱有期待。

 そんな中での悩みというのは、念願叶いどうにか潔の恋人の座を射止めたはずの凛との日常のみが潔のSNSから排除された事だった。
而此刻的烦恼在于:明明好不容易如愿以偿夺得了洁恋人的宝座,唯独与凛的日常点滴被彻底排除在洁的社交动态之外。

 凛とて最初は潔がSNSの方針を変えたのかと思ったのだ。しかし、オカッパや白いの、彼の惑星やその他有象無象との写真は変わらず上げ続けていることから、潔は恐らく凛とのものを意図的に投稿していない。
凛起初以为洁改变了社交账号的运营方针。但当发现锅盖头、白毛小子、他那个星球的伙伴以及其他杂七杂八人物的合照仍照常发布时,才意识到洁恐怕是刻意回避上传与凛相关的内容。

 別に本格的に恋人らしい匂わせをしろと言っているのではないし、内容は会っただのなんだのそれでいい。
并不是要求他们正式以恋人身份公开秀恩爱,内容只要提到见面之类的事情就足够了。

 
 本音を言うと凛からすればたとえ潔との関係が世間にすっぱ抜かれてバレたところで、結局サッカーで殺し合いを続けることは何も変わらないし、不都合がある訳でも無い。それでも、プロサッカー選手としてチームの商品である自分たちが自分勝手な判断を下すのは、スポンサーやらなんやらがうるさくなるからしないという大人として最低限の配慮はしてやっているのだ。
说实话对凛而言,即便和洁的关系被世人曝光,最终继续在足球场上厮杀的本质也不会改变,更不会有什么不便。即便如此,作为职业足球选手——这支球队的"商品",他们不做任性决定的原因,不过是出于成年人对赞助商等各方聒噪的最低限度考量罢了。

 
 だからこそ、たとえそれがあくまで外見上は恋人未満。だの友人同士の付き合いにしか見えなくたって、外堀に釘を刺すため、凛の嫉妬を癒すため、今まで通りを貫いて凛が潔のものであると知らしめればいい。
正因如此,哪怕表面上看起来只是恋人未满,或是普通朋友交往,只要能巩固外围防线、平息凛的嫉妒心,继续维持现状昭示凛对洁的所有权就够了。

 それこそ、凛が辞めるように言ったり、炎上してクラブチームからお咎めを受けるような理由があったならまだしも、潔の投稿は誰と会ったの夕飯を食べただのだけの至ってシンプルなものばかりで、燃えるような要素もない。
说到底,除非凛提出分手或是引发舆论导致俱乐部问责,否则洁发布的不过是"见了谁""吃了什么晚餐"这类毫无爆点的日常内容,根本不存在发酵的可能。

 過ごす頻度すら付き合う前より多少なりとも増えているし、そもそもの写真だって、撮っている頻度が落ちているわけでもない。ネタはいくらだってあるだろうに。
相处频率甚至比交往前有所增加,而且说到底,拍照的次数也并没有减少。明明有无数素材可发。

 まぁ、だからといって2人の関係に何か影響が出ている訳でもない。いくら凛が束縛魔のきらいがあるからと言っても、もういい大人なのだ。恋人の1から10まで全てを把握したい不満という名の傲慢を、どうにかこうにか蓋をして堪えるかりそめの甲斐性くらいは備わっている。
不过即便如此,两人的关系也并未因此受到影响。虽说凛多少有点控制狂倾向,但毕竟已是成年人了。那种想要掌控恋人一切的、名为不满的傲慢,他好歹也具备了暂时隐忍的浅薄骨气。

 というか、潔のSNSを見ていることさえ伝えていない自分では、何となく言い出すことも躊躇われるのだ。
或者说,自己连在关注洁的社交账号这件事都没坦白,总觉得难以启齿。

 
 現在の凛と潔はパリとミュンヘンという電車では5時間、飛行機では2時間弱の決して近いとは言えない距離ではあるが、オフシーズンはできる限り凛の家で共に過ごしたり、数少ない重なったオフを見つけて互いに行き来したりと(少なくとも凛からすると)順風満帆で上手くいっているはずである。なんなら雑誌のインタビューで潔が凛との交友を問われた際には今までと変わらず「定期的に遊んでもらってますね笑」なんて答えているため、ファンに不仲を邪推させている訳でもない。
如今凛和洁分别身处巴黎与慕尼黑,乘火车需 5 小时,飞机也要近 2 小时,虽称不上近在咫尺,但在休赛期他们尽量在凛的家中共度时光,或抓住少数重合的假期互相探望——至少凛觉得这段关系顺风顺水。甚至洁在杂志访谈中被问及与凛的交情时,仍回答"定期会约他出去玩呢笑",完全没给粉丝留下不和猜疑的空间。

 そんな訳で、特に進展も後退もしない凛の傲慢で些細な悩みはちょっとした膠着状態に陥っていたのだ。
就这样,凛那傲慢又微不足道的烦恼既无进展也无退步,陷入了微妙的僵持状态。

 

「今週末、冴とこっちで会うんだけどさ」  "「这周末我要在这边和冴见面」"
「は?また兄貴かよ」  "「哈?又是老哥啊」"
「今年もこっちで仕事があるからついでに会わないかって」
"「他说今年这边也有工作,顺便问我要不要见一面」"

 今回に限った話では無いが、兄はどうやら潔を気に入っているようでオフシーズン毎に必ず一度は呼びつけている。
虽非仅限此次,但兄长似乎对洁颇有好感,每逢休赛期必定召见一次。

気に入った相手が同じという点で血が争えないなんてことは死んでも思いたくないが、潔と付き合うことが出来たのはこの兄のアシストあってのことのため、この手の話題では下手に兄に逆らうことも出来ない。多少なりとも不快ではあるが、大人しく従っておくのが吉だと成長した今の凛は理解している。
我死也不愿承认因喜好相同而血脉相连这种话,但能与洁交往确实多亏了这位兄长的助攻,故在此类话题上不便忤逆。虽略有不适,如今成熟的凛深知乖乖顺从方为上策。

 そもそも、SNSで流れてくる監獄勢やチームメイトとの距離の近さもそうだが、あのただでさえ排他的な兄から誘ってくるという特別待遇を、なんの躊躇いもなく享受しているこの男は本当に人たらしである。そんな相手に嫉妬するのも、本来なら馬鹿らしいことなんてのは付き合う以前から、なんなら監獄の頃かり嫌という程思い知っている筈であるのに。
说到底,SNS 上频繁出现的监狱组及队友亲密互动也罢,连那个素来排外的兄长都主动邀约的特殊待遇,这男人竟能毫无负担地照单全收,实属蛊惑人心。明明早在交往前——不,甚至在监狱时期就该刻骨铭心地明白,嫉妒这般对象本就愚蠢至极。

 それでもなお、子供のような束縛をどこか諦めきれない自身の愚かさに思わず頭が痛くなる。
即便如此,仍未完全舍弃孩童般占有欲的这份愚钝,仍令我不禁头痛。

 そんなくだらないことを思いながらソファに沈みつつ潔を眺めていたら、何か閃いたような顔をした。なんだと思いそのまま様子を窺うと、唐突にこちらに向いた顔と目が合う。
一边想着这些无聊的事情深陷沙发,一边望着洁时,他突然露出灵光一现的表情。正疑惑着继续观察,他突然转头与我四目相对。

 その表情を見て、つい一瞬顔を逸らすのを忘れてしまったことを俺は後悔した。それがいけなかったのだろう、この男は俺の反応に何を思ったのか席を立ってこっちに来た。
看到那个表情的瞬间,我竟忘了移开视线,事后才感到后悔。或许正是这反应刺激了他——不知他如何解读我的神情,这个男人突然起身朝我走来。

「んで、今回は凛も一緒にどうかな〜ってお誘いなんですけど」
"所以这次想说,凛要不要也一起来呀~"

「は?」  "哈?"
「あ、行かない?今もう返事しちゃいたいんだけどさ」
"啊,不去吗?我现在就想回复你呢"

「行く」  "去"

 ソファにもたれ掛かる俺を上から覗き込むような大きな目と目が合ったことで、咄嗟に返事をしてしまい、俺は苦い顔を隠さずに潔を見た。すると、潔はしてやったりと今日一番の笑顔でこちらを見ている。
当我后仰靠在沙发上时,与那双从上方俯视的大眼睛四目相对,不由得脱口回应。我藏不住苦涩的表情,直直看向洁。结果洁露出今天最得意的笑容,一副计谋得逞的样子看着我。

「お義兄にいちゃんも喜ぶな〜」  "义兄也会很开心吧~"

 そんなことを呟きながらうきうきとした様子を隠す素振りもなく隣に寄りかかりながら返信をし始める潔に、デコピンの1発でも喰らわせたくなる。
他一边这样嘀咕着,一边毫不掩饰雀跃的神情靠过来开始回复消息,看得我想给洁的脑门来一记弹指。

 今更逃がす気はさらさらないがなにしれっと家族になってるつもりなんだとか、まだ正式にお前の兄になったわけでも無いだろうとか、色々と言いたいことはある。それでも結局、俺が折れることになるのだからもう惚れた弱みで惚れた側が負けと言うやつはどうしようも無いのだろう。
事到如今根本没打算放你逃走,但你这家伙凭什么理所当然以家人自居啊/明明还没正式成为你哥哥吧——虽然想吐槽的很多。可最终妥协的总是我,所谓"先动心的人就输了"大概就是这么无可奈何吧。

 まあ、とりあえず、それはそれとしても潔の掌で転がされているようでムカつくものはムカつくのでいつもより機嫌良さげに揺れるチャームポイントの双葉を思う存分引っ張っておいた。
算了,即便如此,被洁玩弄于股掌间的感觉还是让人火大,所以我尽情揪了揪他那对总是欢快晃动的呆毛——这家伙今天心情似乎格外好。


 結論として、結局凛は飲み会に行くことは出来なかった。
最终结论是,凛终究没能去成酒会。

マネージャーと連絡の疎通が上手くいっていなかったらしいインタビューの仕事が急に入って、行けなくなったのだ。最終的にはインタビューだけでなく、諸々の仕事の打ち合わせなどが長引いて当初の予定よりかなり遅い解散となった。
似乎与经纪人的沟通出现了问题,突然接到采访工作导致无法赴约。最终不仅采访延长,各类工作洽谈也拖了很久,解散时间比原计划晚了许多。

 チームのクラブハウスから家まで送ってくれるはずのマネージャーの待つ駐車場に向かいながら、手持ち無沙汰に開いたスマホの明かりに目を細め、蛍光灯の切れかかった通路を横切る。
穿过荧光灯频闪的走廊时,他百无聊赖地眯眼盯着手机亮光,朝停车场走去——本该由经纪人从球队俱乐部送他回家,此刻对方正在那里等候。

 今回は仕事があったのだから仕方がないという気持ちもあるが、今朝それを伝えた時の落胆した潔の表情を思い出すと少しの罪悪感が過ぎった。以前だったら一考もしなかったそんなことを考えてしまうあたり、自分もたいがい丸くなったものだなと思う。
虽然想着这次有工作也是没办法的事,但回忆起今早告知洁时对方沮丧的表情,仍掠过一丝愧疚。若在从前根本不会考虑这种事的自己,如今竟会这般纠结,倒也算是被磨平了棱角。

 時計を見ると午後9時、今からマネージャーの運転でまっすぐ家に帰れば10時前には家に着くだろう。どうせ帰ってもまだ潔は戻っているかは分からないし、せっかくだからシアタールームで配信されたばかりの映画でも見るか……なんてことをぼんやり考える。
看了眼手表已是晚上九点,若现在坐经纪人的车直接回家,十点前就能到。反正回去也不确定洁是否在家,不如趁此机会去放映室看看刚上线的新电影……他漫不经心地盘算着。

その時だった。  就在那时。

 @IsagiYoichi〝今日は冴と!〟
 
 ぴこん。通知をオンにしている数少ないアプリのプッシュ通知に思わず反応すると、今日の潔と兄のツーショットが投稿されていた。
叮咚。手机里为数不多开着通知的应用突然弹出提示,屏幕上显示着今天洁与哥哥的双人合照动态。

 凛のチームのクラブハウスは郊外ということもあって電波が悪いのか、読み込みに時間がかかっているようで画像は標示されていないが、凛と並んで露出が少ない日本の至宝の貴重なプライベートことで、コメント欄はいつになく賑わっているのようだ。
由于凛所在球队的俱乐部会所地处郊区,信号似乎不太好,图片加载缓慢尚未显示。但这条涉及鲜少露面的日本至宝私下生活的珍贵动态,评论区罕见地热闹非凡。

〝また冴選手と会ってたの!?仲良しだ〜!〟  又和冴选手见面啦!感情真好~!
〝あ、ちょまってやばい。ほろ酔い潔くん可愛すぎ〟  『啊等一下糟糕。微醺的洁君可爱过头了』
〝あの糸師冴とのこの距離感、リアコ勢を殺しにきてる〟
『和那个糸师冴的这种距离感,简直是要杀死现实 CP 粉』

などなど……どうやらファンによって色々思うことはあるようだが、俺の知ったことでは無いといつも通りコメント欄をスルーしようとした、その時だった。
诸如此类……看来粉丝们各有想法,但反正与我无关,我像往常一样准备滑过评论区时,就在这时——

 〝なんか潔選手、オフの度に冴選手に会ってない?笑なんかもう付き合ってるみたいなこと言われても信じちゃうわ笑〟
『话说洁选手每次休假都会去见冴选手吧?笑 就算有人说你们已经在交往了我都会信哦笑』

 瞬間、空気を読んだように表示された写真と相まって息を呑む。
瞬间,与仿佛会读空气般显示的照片一同令人屏息。

 酒の入った潔の距離感がバグっているというのは、付き合う前に潔をダシにして行く羽目になった飲み会で体感し、付き合ってからの晩酌で凛が良い思いをしているのを含め、耳が痛いほど知っていた。
关于洁酒后距离感失常这件事,凛早在交往前被迫用洁当借口参加的酒会上就亲身体验过,更在交往后的晚酌中尝尽甜头,耳朵都快听出茧子了。

 だからこそ凛の前以外では一定量以上は飲むなと言い含めていたはずだがどうにも今日は忘れているらしい。潔と兄は代表戦や凛と付き合うまでに巻き込まれた諸々を経て、多少は気安い仲になったのは知っているが、流石にあそこまで距離が近かった覚えはない。
正因如此凛明明叮嘱过他在自己不在场时饮酒不得超过定量,但今天他显然忘得一干二净。虽然知道洁和兄长因代表赛以及在与自己交往前卷入的种种事件变得熟稔,但亲密到那种勾肩搭背的距离实在闻所未闻。

 それでも試合で点を決めた時よろしく冴の肩に手を回しながらキスでも出来そうな距離まで顔を近づけて満面の笑みを浮かべる潔に腹が立たないかと言われると、どうしたって嘘になる。自分達の関係を応援してくれている兄相手に野暮だというのはわかっていても、だ。
可若问凛是否真能对那个进球后搂着冴肩膀、将脸凑到几乎能接吻的距离还满脸堆笑的洁生气,答案必然是否定的。即便明白对支持两人关系的兄长摆脸色太不识趣——可终究意难平。

 
 少し苛立った気持ちのままアイコンに触れ、メディア欄に映る沢山の他人との写真に改めて舌打ちしたい気持ちを抑えつつ、潔にメッセージを送る。
带着些许烦躁的心情点击头像,强忍着想对媒体栏里大量与他人合影咂舌的冲动,给洁发了条消息。

〝今から帰る〟 〝おつかれ!〟 〝いつ戻んだ〟 〝いま冴ホテルに送ったから俺ももうちょっとで着くよ!〟
『现在回去』『辛苦啦!』『什么时候回来』『刚把冴送到酒店了,我也快到了!』

 少し苛立ち始めた気持ちを鎮めるように間髪入れずに返ってきたこの返事だけで、どこか胸のすくような気分になる。そして、そんな安直な自分がいるという事実から目を逸らすようにスマホを裏返した。
这秒回的讯息莫名让开始焦躁的心情平复下来,胸口涌起一阵畅快感。为逃避如此轻易被安抚的自己,他把手机反扣在桌上。

 
 …いつだったかに胡散臭い関西弁が言っていたことを思い出す。理解出来ないことではあるが、たとえ同性だったとしても距離の近い有名人2人が付き合っているのではないかと妄想する女性ファンはどの界隈でも後を絶たないらしい。元々他人との距離が近い潔からしたら、こんな距離の写真の1枚や2枚、酒の席のなんでもない日常の一環だなんてことはわかっている。そしてその相手が他の誰でもない自身の兄だということは、紛れもない安心材料になり得るのもわかっている。それでも。
忽然想起某个可疑的关西腔曾说过的话。虽然难以理解,但据说无论哪个圈子里,都少不了会幻想两位关系亲密的同性名人正在交往的女性粉丝。对于天生与人亲近的洁而言,这种勾肩搭背的照片不过是酒局上再普通不过的日常。更何况对象不是别人正是自己的哥哥——这本该是毋庸置疑的安心要素。即便如此。

 つーか、どうせ騒ぎ立てるなら最良だのなんだの言われてる俺と潔でいいだろカス。というかそもそも、最近お前が俺との写真あげねぇからこんなこと言われんだバカ潔。
要我说啊,既然要闹腾的话,直接拿被夸成最佳拍档的我和洁来炒作不就行了蠢货。说到底,最近你不发跟我的合照才会被说三道四啊白痴洁。

 
 余談だが、その胡散臭い関西弁に 〝だからこそ、ただでさえ人気なお相手サンを逃がさんように上手いこと囲っときいや〟 と半笑いで言われたのも思い出し、むしゃくしゃしてマネージャーの車の床を踏みつけた。クソが。
顺带一提,想起那个可疑的关西腔还半开玩笑地说"所以更要牢牢拴住本来就人气爆棚的搭档先生嘛",气得我狠狠踩了经纪人车里的地板。混账东西。


「り〜ん!ただいまぁ」  "凛~!我回来啦!"
 
 扉の開く音の直後、ドタドタと駆ける音がしたかと思えば、潔がリビングに飛び込んできた。
门开的声响刚落,就听见咚咚的跑步声,转眼间洁就冲进了客厅。

おつかれさま!!そう言って、飛び込んできた勢いのまま凛の胸の中にダイブしてくる。酔っ払った潔のいつもの事だ。潔とて現役のサッカー選手、多少重たくはあるが、体格差もあり、少しの勢いがついていたところで、凛の我慢できないほどの衝撃ではない。
"辛苦了!!"话音未落,凛就被飞扑而来的洁撞了个满怀。醉醺醺的洁总是这样。毕竟现役足球运动员的体格摆在那里,虽然有些分量,但凭借身高差和缓冲的冲力,倒也不至于让凛承受不住。

 それよりも。抱き着いてきた潔から、漂うアルコールの匂いに眉間に皺を寄せる。
比起这个。凛闻着紧贴在自己身上的洁散发出的酒气,不由得皱起眉头。

 
「くせぇ。どんだけ呑んできたんだてめぇ。」  "臭死了。你这家伙到底灌了多少啊。"
「んー?そんな飲んでないと思うけどな〜へへ」  "嗯——?我觉得没喝多少啦~嘿嘿"
 
 そのままもたれかかってくる潔の身体を支えるように、首元に顔を近づける。途端、元より体臭の薄い潔の汗の匂いに交じる、どこか兄を想起させる匂いが鼻を掠めた。
我支撑着径直靠过来的洁的身体,将脸贴近他的颈窝。霎时间,原本体味就很淡的洁的汗味中,混杂着一丝令人联想到他哥哥的气息掠过鼻尖。

 瞬間、普段ならただの甘えとして受けとめているそれがどうにも取って付けたような行動に思え、凛は内心舌打ちをした。
刹那间,这个平时只会被当作普通撒娇的举动,此刻却显得格外刻意做作,凛在心底咋舌。

 いくら潔が世紀の鈍感王だからといって恋人の前で他の男の匂いを纏うなど、不愉快以外の何物でもない。一度、きちんと分からせるべきなのか?
就算洁是世纪级的迟钝之王,但在恋人面前沾染其他男人的气味,除了不愉快别无他感。是不是该好好让他明白这一点?

 そんな考えがまとまるまもなく、凛は気づけば潔の首元にかぷりと歯を立てていた。安心して力を抜ききっていたはずの潔も突然の行動に驚いたのか、小さく悲鳴を上げ、酔いが覚めたように凛を突き飛ばす。
还没等这个念头成形,凛发现自己已经狠狠咬上了洁的脖颈。原本完全放松力道的洁似乎被这突然的举动吓到,发出小声惊叫,像酒醒般猛地推开凛。

 
「痛っ!?なんだよ凛!!!」  「好痛!?搞什么啊凛!!!」
「……あぁ、兄貴にも同じことしてきたのかよ」  「……呵,原来对老哥也来这套啊」
「は?何言ってんの??何の話??冴は関係無いだろ」
「哈?你在说什么??跟冴有什么关系」

「関係なくは無いな、恋人がいるってのにあんな距離で抱き着いておいて。酒の席だってのはわかってるが、その上ネットにその写真あげるだと?恋人がいる自覚、足りてねぇんじゃねぇか」
「倒也不是没关系。明明有恋人还贴那么近搂搂抱抱。我知道是酒局场合,但居然还把那种照片传到网上?你这家伙,是不是缺乏身为恋人的自觉啊」

「別に、そんなつもりじゃ」  「又不是,那个意思」
「兄貴だけじゃねぇよ。この際距離は関係ねぇ、隠すみてぇに俺との写真は1枚だってあげねぇくせに。」
「不光是大哥。这种时候距离根本不是问题,可你连一张和我的合照都不发,简直像在刻意回避。」

「それは……」  「那是……」
「図星だろ。現に兄貴やオカッパとの写真は昔から変わんねぇ」
「被我说中了吧。实际上你和大哥、小平头的合照从以前开始就没变过」

 
 ひとつ溢れるとどうにかこうにか仮初の板で蓋をしていた煮えかかるような感情が、吐き気のように込み上げてくる。
每当一种情感满溢而出,勉强用临时木板盖住的沸腾情绪,就会像反胃般涌上喉头。

 言い訳をするかのように目線が合わなくなったのが、更に感情に拍車をかける。
像是找借口般移开的视线,愈发加速了情绪的失控。

お前だって結局兄貴がいいのか。俺との関係なんて隠したかったんじゃないのか。
说到底你也是更喜欢大哥吧?和我这段关系根本就想藏着不让人知道对不对?

「じゃあなんで、俺との写真だけ隠してんだよ」  「那你为什么唯独把和我的合照藏起来?」
「違う!!別に、凛とのことを隠してるワケじゃない。……むしろ!本当は、自慢したいくらい……なのに」
「不对!!我、我才没有要隐瞒和凛的事……倒不如说!其实我恨不得向全世界炫耀……可是」

「は?なら……なんで、」  「哈?那你倒是说说……为什么,」
 
 唇を噛んだ潔は視線を逸らしたまま、なかなか話し出そうとしない。
咬住嘴唇的洁始终移开视线,迟迟不肯开口。

 
 ……ここでさらに捲したてるのは簡単だが、それでは話にならない。凛は気持ちをどうにか鎮め、あくまで冷静になるために小さく息を吐く。その行動だって、以前長引いた口喧嘩をした際に、凛は怒るといつにもまして話を聞いてくれないと宣う潔から学んだことだ。
……此刻继续咄咄逼人很简单,但那样根本解决不了问题。凛努力平复情绪,为了保持冷静而轻吐一口气。这个动作还是从前那次漫长争吵中学来的——当时气得听不进话的洁曾说过,凛发火时比平时更不愿倾听。

 これ以上売り言葉に買い言葉に重ねても不毛であるし、本当に些細なすれ違いで取り返しがつかないほど糸が綻ぶのを大人になった凛は身をもって知っている。
继续针锋相对只会徒劳无功,长大后的凛早已亲身体会过——那些微不足道的摩擦足以让关系彻底崩坏到无法挽回。

 ならば、これ以上は堪えて潔に譲るのが筋なんだろう。
既然如此,此刻隐忍退让才是成年人的体面。

 
 普段の恋人としての潔は凛に流されるままなのに。これと決めたことには妙な意志を貫き通そうとする潔の性格は、もう嫌という程わかっている。そして、少なくとも自慢だなんて漏らすくらいなら悪いことでは無いはず。感情のまま捲し立てたい気持ちをぐっと堪え、黙って続きを促した。
平日里作为恋人的洁总是任由凛牵着鼻子走,可一旦认定某件事就会异常固执——这个性格特点凛再清楚不过。况且至少...这算不上值得炫耀的坏事吧。凛强压下想要宣泄情绪的冲动,沉默着示意他继续。


そうして待つことしばらく、どうにか意を決したらしい潔がようやく気まずげに口を開いた。
在片刻等待后,似乎终于下定决心的洁尴尬地开口了。

 
「なんか!!!…………凛は、俺の、だからさ。」  「那个!!!……凛是我的,所以。」
「上手く言えないんだけど他の人に、俺の凛を、あげたくなくて。この凛は俺なのに、って。」
「虽然说不清楚…但就是不想把我的凛让给别人。明明这个凛是属于我的。」

 曰く、以前からファンの間で潔の投稿に映る凛は表情が(当社比で)柔らかだの、彼女目線を味わえるだのなんだの言われていたらしい。
据说粉丝们早就发现,在洁的社交动态里出现的凛(据本社观察)表情会更柔和,还能享受到女友视角之类的特殊待遇。

 凛からしたらどうでもいい話だったので考えたことも無かったが、恋を自覚した潔からするといままでは何となく知っていても理由も分からずもやついていた程度のそれが、付き合うという関係の変化により、たまったものではなくなったそうだ。
对凛而言这根本无关紧要,所以从未放在心上;但对刚刚意识到恋心的洁来说,虽然之前隐约有所察觉却不明所以的郁结情绪,随着两人关系转变为交往状态,终于到了无法压抑的地步。

 誰だって、自分の恋人の写真がそんなふうに知らない誰かに消費されるのは良い気はしない。それなら思い出を閉じ込めるように世間の目から隠したって仕方ないだろう━━━━━と。
任谁都不会乐意看到自己恋人的照片被素不相识的人这样随意消费。既然如此,将回忆封存起来避开公众视线也无可厚非━━━━━

 
 虚を突かれた気分だった。それならこいつだって、結局凛と変わらない。それはつまり、自身に対する独占欲以外のなにものでもないのだから。
有种被戳中痛处的感觉。这么说来这家伙终究和凛没什么两样。说到底,这不过是除独占欲外别无他物的自我投射罢了

「……お前、自覚は足りてねぇのに独占欲だけは一丁前なんだな」
"……你这家伙,明明自我认知不足,独占欲倒是格外旺盛啊"

「うるさい!嫉妬魔の凛だけにはいわれたく、ない」  "闭嘴!唯独不想被嫉妒狂魔凛这么说"

 大きな目を気まずげに彷徨わせながら、下から凛の反応を伺うようにのぞき込まれ、視線が交じる。
那双大眼睛尴尬地游移着,从下方偷偷观察凛的反应,当视线交汇时。

 酒、そして羞恥のせいで赤くなった頰がいやに色っぽくて、感情のまま噛み付いた首筋に触れると少しだけ熱かった。
酒精与羞耻让脸颊泛起不自然的红晕,显得格外妩媚,当指尖触碰因情绪失控而咬过的颈侧时,还能感受到微微发烫。

 試合中はあんなに苛烈でエゴイスティック、不遜な態度で刃向かってくる癖に、このあざとさは本当になんなんだよ。改めてキレたくなる気持ちを抑えながら、「プライベートは恋する乙女だな。」なんて漏らすと「凛が俺に恋を自覚させなかったらこんなことにならなかったんだ…」と、気まずげに勢いのない理不尽な文句が飛んで来る。
明明比赛中是那般凌厉自我又傲慢地对抗,私下却露出这种狡猾模样到底算什么啊。强压着再度涌上的恼火嘟囔道"私下里倒像个怀春少女",结果换来凛有气无力的抱怨:"要不是你让我意识到这份感情...根本不会变成这样..."那副理不直气还壮的样子简直让人火大。

 その発言には流石の自分も心臓が跳ねるのを感じた。
听到这句话的瞬间,连自己都感到心脏漏跳了一拍。

試合だろうがなんだろうが、コイツの頭の中を俺が占めているというのは本当に満たされる。
无论是比赛还是什么,能占据这家伙的脑海确实让我心满意足。

 まあだとしても、鈍感潔の分際で何を言い出すんだとか、そもそもお前がさっさと言い出せば俺もこんな取り越し苦労をしなかったとか言いたいことは色々とあるのも事実なのだ。
话虽如此,迟钝的阿洁居然敢说这种话,或者说你要是早点开口我也不用白操心这么多——想吐槽的地方确实堆积如山。

 それでも、今回は他者に執着することの無い男の珍しい姿を見せてもらった分、許してやらないことも、ない。
不过这次难得看到这个对他人毫无执念的男人反常的模样,倒也不是不能原谅他。

 
「ほんと、めんどくせぇ奴」  "真是个麻烦的家伙"

 監獄にいた頃と変わらないどころか、広がった身長差。それでも普通の成人男性よりは大きいけれど、未だに自分より小さな身体を引き寄せる。
与在监狱时相比毫无变化,甚至拉大的身高差。即便如此仍比普通成年男性高大,却依然将那副比自己娇小的身躯揽入怀中。

 潔にその気はなくとも、やられっぱなしは癪なのだ。俺は俺で好きにしたっていいだろう。
就算洁没那个意思,单方面被压制也实在恼火。我按自己的喜好来总可以吧。

 自分の全てを棚に上げたそんな発言にまた腕の中で暴れ出しそうな気配がしたが、とりあえず凛は恋人として穏便に事を解決するため、ぎゃあぎゃあと小うるさい口を塞いだ。
面对这种把自己问题全数搁置的发言,臂弯里的人又快要闹腾起来。但作为恋人,凛为了稳妥解决问题,还是堵住了那张吵吵嚷嚷的嘴。


 

评论

  • 千里
    2024年10月9日回信  2024 年 10 月 9 日回复
  • momoo0
    2024年7月14日回信  2024 年 7 月 14 日回复
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