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🐇
ラストティーンの祈り - 🐇の小説 - pixiv
ラストティーンの祈り - 🐇の小説 - pixiv
8,218字  8,218 字
ラストティーンの祈り  最后的青春祈祷
瑞希が絵名に自分の絵を描いてほしいとお願いする話です。友達のふたりですが感情は重め。
瑞希请求绘名为自己画一幅画的故事。虽然是朋友关系,但情感颇为沉重。
みずえなプロセカ  水绘名 普罗塞卡
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2024年11月21日下午3点37分  2024 年 11 月 21 日下午 3 点 37 分

 もうかれこれ数年来の付き合いとなる友人は、今度の八月二十七日で二十歳を迎える。せっかくの節目になるんだからって、いつもよりも盛大にお祝いしたくて、ねえ、瑞希は何か欲しいものある? って自分の記念日でもないのに浮かれた調子で訊ねてみたら、思いの外真剣な、何処かに不安の覗く眼差しが目に入るので、意外性に瞬きを一つ、小さく息を呑んだ。
这位朋友,我们已经相识多年,今年八月二十七日,他将迎来二十岁生日。既然是个值得纪念的节点,我想比以往更隆重地庆祝一番,于是,尽管不是自己的纪念日,我还是兴奋地问他:“瑞希,你有什么特别想要的东西吗?”出乎意料的是,我捕捉到了他眼中一闪而过的认真与隐约的不安,这意外的反应让我不禁眨了眨眼,轻轻倒吸了一口气。

 光の強い真夏の昼下がり、カフェの窓際のテーブル席で。向き合った瑞希は目を伏せると、白い肌に長いまつ毛の影を落とした。
在阳光炽烈的盛夏午后,我们坐在咖啡馆靠窗的桌旁。对面的瑞希低垂着眼帘,长长的睫毛在他白皙的皮肤上投下阴影。

「絵を描いてほしい」  “我想请你画一幅画。”
「絵?」  「画?」
「今のボクの姿を、絵名に描いてほしいな」  「希望你能把现在的我画下来,绘名。」
 そう言って私を見据える瑞希は、微笑みの端に僅かな陰りを帯びている……ように見えた。カシャン。どこかのテーブルで食器が触れ合う高い音が、やけに非現実的に響いた。
瑞希这样说着,目光坚定地注视着我,嘴角的微笑似乎带着一丝不易察觉的阴霾……至少在我眼中如此。咔嚓一声,远处某张桌子上餐具相碰的清脆声响,在这时显得格外虚幻。

 私はすぐに返事をできなかった。  我一时语塞,未能立即回应。
 決して、絵を贈ること自体が嫌なわけではない。奏の誕生日に似顔絵を描いてプレゼントしたことだってある。はずなのに。目の前の静かな瞳と言葉には、ただ素直に頷くのを躊躇わせる何かがあって、せっかくの希望を快く受け入れたい意思に相反して、気持ちはその口を噤ませてしまう。
并非讨厌赠送画作本身。在奏的生日时,我也曾画过肖像画作为礼物。理应如此。然而,眼前那双平静的眼眸和话语中,却有着让人无法轻易点头的某种东西,与想要欣然接受这份希望的意愿相悖,心情让话语止于唇边。

 私が答えを見つけられていないことに瑞希も気づいたのだろう。口の端を緩めて、申し訳なさそうな表情で明るく場を繕った。
瑞希大概也察觉到我尚未找到答案。她嘴角微扬,带着歉意地试图以轻松的方式缓和气氛。

「ごめんごめん! 絵名だって今忙しい時期だし、お願いされたからって、そんな簡単にホイホイって描けるものじゃないよね。なんとなく、ダメ元で言ってみただけだからさ」
“抱歉抱歉!绘名你现在也是忙得不可开交的时候,就算被拜托了,也不是那么轻易就能挥笔即成的吧。我只是抱着试试看的心态随口一提而已。”

「あ、いや、違うの! 全然、嫌とか、そんな気持ちはホントになくて、ちょっと……珍しいなってびっくりしただけ」
「啊,不,不是的!完全没有讨厌或者那种感觉,只是……有点惊讶,觉得挺稀奇的。」

 空気感の違いには触れられないまま誤魔化してしまうけれど、本当はそれだけじゃないこと、人の感情に聡い友人のことだ、不自然に逸らした目線できっと気付かれてしまっているのだろうな。あーあ、こんなことなら最初から、ちょっと様子おかしいよって突っ込んどけばよかった。そうしたらこんな無駄な嘘をつく必要もなかったのに。もう少し無謀で自由だった、昔の自分が今は羨ましい。
虽然避而不谈气氛的变化,但事实上不仅如此,对于敏锐察觉他人情感的朋友来说,那刻意避开的目光恐怕早已被看穿了吧。唉,早知道这样,一开始就该直接指出“你看起来有点奇怪”就好了。那样的话,也就没必要撒这种无谓的谎了。现在真羡慕以前那个更鲁莽、更自由的自己。

 なんて、スムージーに差さったストローを無意味にクルクル回してグダグダ考えてみるけれど、目の前の現実を動かす何にもならない。「うん……」場を取り持つように声を漏らすと、瑞希は次の言葉を待って、小さく座り直した。
就这样,我无意识地转动着插在冰沙里的吸管,思绪纷乱地想着这些,但眼前的现实却纹丝不动。「嗯……」为了打破僵局,我轻声应道,瑞希则等待着下一句话,微微调整了坐姿。

「似顔絵もいいけど……もう少し、自分でも考えてみる。瑞希にとって一番いいプレゼントにしたいし」
「虽然肖像画也不错……不过,我也想再多考虑一下。想给瑞希准备最棒的礼物。」

 できる限り誠実に伝えたくて、真っ直ぐに見つめて言葉を届ける。瑞希は「そっか」と、やっぱりちょっと残念そうに眉を傾けるので、自分で保留を提示しておきながら少しだけ心が痛む。
我尽可能真诚地表达,直视着她传递心意。瑞希“哦”了一声,依旧略带遗憾地歪了歪头,这让我虽是自己提出暂缓,心里也不免有些刺痛。

 ただそれも一瞬。すぐにいつもの調子に戻った瑞希は、右肘をついたその手の甲に顎を乗せ、ニヤニヤと笑って私を見た。
不过那只是一瞬。很快恢复常态的瑞希,右手肘撑在桌上,手背托着下巴,笑眯眯地看着我。

「でも絵名がそこまで考えてくれてるなんて、ボクって愛されてるんだな〜」
「不过,绘名能为我考虑到这种程度,我真是被深深爱着呢~」

「は? それは……そんなの、当たり前じゃん」  「哈?那个……这不是理所当然的吗」
「あ、否定はしないんだ……てっきり、調子に乗らないでよ〜とか怒るかと思ったのに〜」
「啊,你居然不否认……我还以为你会说别得意忘形了~之类的,要生气了呢~」

「私のことなんだと思ってるの?」  「你以为我在想什么?」
 手足を組んで目を細めると、瑞希がおかしそうに笑うから、つられてこちらの口元も緩んでしまう。その後はいつもみたいに、ショッピングをして遊んで、十九時前のまだちょっと明るい駅前、じゃあまたナイトコードで、と手を振り合ったところだった。瑞希から名前を呼ばれるので、背を向けようとする足を止める。
我交叉手脚,眯起眼睛,瑞希见状忍俊不禁,我也不由得嘴角上扬。之后,我们像往常一样逛街游玩,在傍晚七点前,天色尚明的车站前,挥手告别,约定在 Night Code 再见。正要转身离去时,瑞希叫住了我。

「あのさ、絵のことだけど」  「那个,关于画的事……」
「あ……」  「啊……」
「余裕があったらでいいのはホントだけど、でも、やっぱり考えてくれたら嬉しいな」
「等你有空的时候再说吧,真的,不过,如果你能考虑一下的话,我会很高兴的。」

 それだけ、じゃあね! と手を振る瑞希は屈託のない笑顔で、私も慌てて同じように手をふり返す。やがて雑踏に消えていく背中が儚く見えてしまうのは、脳裏にこびりついたいつかの茜色のせいだろうか。
就这样,再见!挥手告别的瑞希带着无忧无虑的笑容,我也慌忙挥手回应。她那渐渐消失在人群中的背影,为何显得如此虚幻,莫非是脑海中那抹挥之不去的昔日茜色所致?

 逃げるみたいにいなくなるのはやめてほしい。やなこと思い出しちゃうじゃん。なんとなく切ない気持ちに駆られて、肩に掛かったカバンのストラップをキュ、と片手で握りしめた。
希望你不要像逃跑一样消失。这样会让我想起不愉快的事情。一种莫名的哀愁涌上心头,我单手紧紧抓住了肩上书包的带子,仿佛要抓住些什么。

 夕暮れは、いつの季節も一瞬だ。日の入りに伴ってあっという間に宵闇に浸る空の裾、シブヤのネオンは今日も真昼にもない光で煌々として騒々しい。人混みを縫うように響く近頃流行りのダンスミュージックは、私の悶々とした心境をざらざらと引っ掻くと、上滑りをするように去っていく。
黄昏时分,无论哪个季节,总是转瞬即逝。随着日落,天空的边缘迅速被暮色浸染,涩谷的霓虹灯今日依旧以正午所不及的光芒璀璨夺目,喧嚣不已。穿梭于人群中的流行舞曲音乐,仿佛在我烦闷的心境上粗糙地刮擦,随即又轻飘飘地离去。

 ——絵を描いてほしい。  ——请为我画一幅画。
 小さく動いて音を出す、薄い唇を思い出す。あの時、瑞希の表情を見て、一瞬だけ時空がどこかに飛んでいったような気がした。ぎゅっと、心臓を締め付けられるような感覚がして顔を顰める。
回想起那微微颤动、发出声音的薄唇。那一刻,看着瑞希的表情,仿佛时空瞬间飞向了某个遥远的地方。心头一紧,有种被紧紧攥住的感觉,不禁皱起了眉头。

 なぜ、こんなに不安になるのだろう。なんの変哲もないお願いのはずなのに。私の絵を好きでいてくれる瑞希に、絵を贈るだけ。躊躇する理由なんて無いはずなのに。
为何,心中如此不安。明明只是个再普通不过的请求。只是想将画作赠予喜欢我画的瑞希。本应毫无犹豫的理由才对。

 ——今のボクの姿を、絵名に描いてほしいな。  ——希望绘名能描绘出现在的我。
 今の瑞希。薄桃のサイドテールをリボンでまとめて、ネコチャンだから、なんてお茶目な冗談で小首を傾げる、オシャレで器用で、カワイイ友人。
现在的瑞希。淡粉色的侧马尾用丝带束起,因自称“喵酱”而俏皮地歪着头,时尚又手巧,可爱的朋友。

 信念によって支えられたスタイルは、出会ったころから変わらない、あの子の大事なアイデンティティ。きっとずっと、これからも、変わることはない。
由信念支撑的风格,自相遇之初便未曾改变,是那孩子重要的身份标识。想必今后,也永远不会改变。

 ——本当に?  ——真的吗?
 心のどこかで虫の食うような疼きが囁いた。もしも、一番大切にしている信念を、曲げようとする圧力に瑞希が迫られていたら。それがどれだけ苦しいのか、側で見てるだけの私にも……側で見ていたからこそ、少しは想像がつく。突拍子もないけれど、あの時の瑞希の言葉からは、そんな未来を想像させるだけの力があった。
心底某处,如虫噬般的疼痛在低语。倘若瑞希被迫屈服于试图扭曲她最珍视信念的压力之下。那将是何等的痛苦,即便只是在一旁观望的我……正因为在一旁目睹,多少也能想象得到。虽显得突兀,但那时瑞希的话语中,确实蕴含着足以让人预见那般未来的力量。

 もしも、その時が訪れるとして。私の絵が、なにか、一つのきっかけになってしまうとして。
如果那一刻真的来临。我的画作,若成了某种契机。

 脳裏を過った言葉は最後まで浮かべることなく、頭を左右に振ることで追い払った。ゾワと、鳥肌が腕を這うので両手でさする。ただの勝手な妄想でしかない。こんなことを考えることも、勝手に怖がることも、瑞希にとって失礼なのかもしれない。でも……。
脑海中闪过的念头未及完全浮现,便被我摇头驱散。一阵寒意爬上手臂,激起鸡皮疙瘩,我连忙用双手搓揉。这不过是无端的妄想罢了。或许,这样想,这样无端地害怕,对瑞希来说是一种失礼。但是……。

 答えの見えない問いが巡って、頭の中はぐるぐると絡まっていく。そうして最後に思い出したのは、今日の去り際の立ち姿。しゃんと伸びた背筋——瑞希の身長は今年も伸びて、私との差は十センチを超えている——。大人びて落ち着いた微笑み。やけにはっきりと、切に響いた声。その言葉。
无解的问题在脑海中盘旋,思绪纷乱如麻。最终,我想起的是今日离别时她的背影。挺拔的身姿——瑞希的身高今年又长高了,与我的差距已超过十厘米——。成熟而沉稳的微笑。那清晰而深切的声音。那句话。

 そうだ、きっと、瑞希なりの覚悟を持って、私に何かを託そうとしている。予感がそっと胸の裡に生まれて、それなら、受け止めたいと。瑞希がこの現実を歩くために差し出した手を、誰でもない、私の手で取って支えたいと、強い願いが奥で熱を持つのが分かった。雑踏を避けて道の端、スマートフォンを取り出す。
是的,瑞希一定带着自己的决心,想要托付给我什么。预感悄然在心底萌生,既然如此,我愿承接。我想用这双手,不是别人,正是我的手,去握住并支撑瑞希为在这现实中前行而伸出的手,强烈的愿望在内心深处燃起。避开喧嚣,我走到路边,取出智能手机。

 先程までの不安がなくなったわけではない。けれど、瑞希は今日も、自分の大好きなフリルとリボンの洋服を買っていた。諦めの悪いあの子が、そう簡単に自分の信念を手放す未来だって、きっと同じくらいにありえないんだ。そう、大丈夫って、言い聞かせる部分もなくはないけど。
刚才的不安并未完全消散。但瑞希今天也买了她最爱的带有蕾丝和蝴蝶结的洋装。那个不轻易放弃的女孩,要她轻易放弃自己的信念,那样的未来,想必同样难以想象。是的,我告诉自己,一切都会好起来的,尽管这自我安慰的成分并非没有。

『瑞希、プレゼントのことだけど』  『瑞希,关于礼物的事』
 ナイトコードにメッセージを送る。二通目を送信する前に一つ、呼吸を挟んだ。
向 Night Code 发送消息。在发送第二条之前,我深吸了一口气。

『絵、贈らせて。今の瑞希をとびっきり可愛く描いてみせるから』
『让我送画吧。我会把现在的瑞希画得无比可爱』

 返事があったのは家に着いてしばらくしたころ。『分かった。本当にありがとね』普段より幾分真面目な文面を眺めていたら、なんだか瑞希をとても愛おしく思えてきたのだけれど、言葉にして伝えるのはやめておいた。単純に照れくさいのはあったけど、こういう気持ちはやっぱり絵に込めて渡したいしね。
回到家后不久,收到了回复。『明白了。真的很感谢你』看着比平时略显认真的文字,不知为何觉得瑞希格外惹人怜爱,但我还是决定不把这份心情化作言语传达。单纯是因为害羞,而且这样的情感,果然还是想通过画作来传递吧。

「そ、それじゃあ。今日はよろしくね、絵名」  “那、那么。今天请多关照了,绘名。”
「はーい、よろしくね……ていうか瑞希、緊張しすぎじゃない?」
“好——的,请多关照……话说瑞希,你是不是太紧张了?”

「そりゃあそうだよ! まさか、こんなにしっかり描いてもらえるって思わなかったし……」
「那是当然的啦!我没想到,竟然能画得这么细致……」

 八月二十一日、午前十時。玄関のドアを開けて、耳を擘くセミの声と物憂げな真夏の日差しを逆光に、やっほー、絵名と、首筋に汗を浮かせた赤らんで硬い表情の瑞希を迎えたのがついさっき。私の部屋に通された瑞希は更に足取りにぎこちなさを増して、イーゼルの前の私に相対するよう置かれた椅子におずおずと腰掛けていた。
八月二十一日,上午十点。刚打开玄关的门,迎面而来的是震耳欲聋的蝉鸣和慵懒的盛夏阳光,逆光中,我迎来了汗流浃背、脸颊泛红、神情紧绷的瑞希,以及欢快地打着招呼的绘名。被领进我房间的瑞希,步伐显得更加拘谨,她小心翼翼地坐在了画架前我特意为她准备的椅子上。

「言ったでしょ、とびっきり可愛く描くつもりって」  「我不是说过了嘛,打算把你画得超级可爱。」
 そうだけどさあ……。もごもごそわそわと所在なさげに目線を彷徨かせる瑞希は、借りてきた猫みたいでちょっと面白い。愉快な気分でしばらく眺めて、そうだ、と両手を合わせてパチンと鳴らす。
是啊,不过呢……瑞希目光游移不定,显得无所适从,像只借来的猫一样,有点有趣。我愉快地看了一会儿,然后突然想到什么,双手合十拍了一下。

「暑い中ウチまで歩くの大変だったでしょ? 先にジュースとか飲んでひと息つこ」
「这么热的天,走到我家来一定很辛苦吧?先喝点果汁,休息一下吧。」

「あー、それ助かるかも。お願いしてもいい?」  「啊,那真是帮大忙了。可以麻烦你吗?」
「はいはい」  「好好好」
 ローテーブル前に腰掛けるよう伝えて、ちょっと待っててねと部屋を去る。事前に用意して冷やしておいたオレンジジュースをガラスコップに注いで、ついでにお菓子もいくつかお皿に広げる。
我告诉她坐在矮桌前稍等片刻,便离开了房间。将事先准备好并冷藏的橙汁倒入玻璃杯中,顺便在盘子上摆了几样点心。

 部屋に戻ればぺたんとカーペットに座った瑞希が、扉の開く音に気づいてこちらを向く。作業デスクのある壁の方をじっと見ていたらしい。……なんか、自分のテリトリーに瑞希が一人でいるのって、まだ慣れない。嫌じゃないんだけど、ちょっとくすぐったいような、変な感じ。
回到房间时,瑞希已经盘腿坐在地毯上,听到开门声便转过头来。她刚才似乎一直盯着有工作桌的那面墙看。……怎么说呢,瑞希独自待在我的领地里,这种感觉我还不太习惯。虽然不讨厌,但总有点痒痒的,怪怪的感觉。

「絵名、おかえり」  「绘名,欢迎回来」
「お待たせ、何見てたの?」  “让你久等了,刚才在看什么呢?”
「あ……勝手にごめんね。絵名の絵、壁に飾ってあったから」
「啊……擅自这么做,真是抱歉。因为绘名的画挂在墙上。」

「別にいいよ。古いのもあるから、ちょっと恥ずかしいけど」
「没关系。有些是旧作,虽然有点不好意思。」

「ううん、ボクやっぱり、いつの時期の絵名の絵も好きだなって思ったよ」
「不,我还是觉得,无论哪个时期的绘名的画,我都喜欢。」

「え? そ、そう……ありがと」  「诶?这、这样啊……谢谢」
「ふふふ、絵名照れてるぞ〜」  「呵呵呵,绘名害羞了呢~」
「うるさいな」  「烦死了」
 お盆をテーブルに置くと、氷のカランと涼しげに揺れる音がする。瑞希は嬉しそうな声でお礼をして、ストローに口をつけると「おいし〜! 生き返る〜!」って噛み締めるように頬に手を当てた。
将冰镇饮料放在桌上,冰块碰撞发出清脆悦耳的声音。瑞希开心地道了声谢,含住吸管,随即“好喝~!感觉活过来了~!”她双手捧着脸颊,仿佛在细细品味这份清凉。

「そういえば、今弟くんたちってシブヤに帰ってきてるんでしょ? 会えたりできるかな〜」
“说起来,现在你弟弟他们不是回涩谷了吗?不知道能不能见到他们呢~”

「彰人は冬弥くんたちと朝から練習って言って出てったわよ……まったく、よくあんな早朝からあちこち動けるわよね」
“彰人说他今天一早就要和冬弥他们去练习,已经出门了……真是的,他们怎么能在那么早的清晨就四处奔波呢。”

「おお、さっすが弟くんたち。今や世界のビビバスだもんね〜。絵名も、弟くんがいなくなったから誰も朝起こしてくれないのに、よく大学通えてるよね〜」
「哎呀,不愧是弟弟们。现在可是世界级的 VIVIVAS 呢~。绘名也是,弟弟不在后没人早上叫醒她,居然还能坚持去大学上课呢~」

「習慣になっちゃえば大丈夫なの! そもそも別に毎回彰人に起こしてもらってた訳じゃないし……まあ今でもたまに寝坊しちゃうけど」
「习惯了就没事啦!本来也不是每次都要彰人叫醒我……虽然现在偶尔还是会睡过头就是了」

「いや、ダメじゃん!」  「不,这样不行!」
 そういえば動画サイトに新曲も出てたよね……瑞希がスマホで検索しているので、私もテーブルの向かいから隣に移動して身を寄せる。「これこれ! みんなかっこいいな〜」「わ、今のがなりすっご……」きゃぴきゃぴ指をさしたり、目を合わせたりしながら感想を言い合って、曲の終わった後もしばらくは取り止めのないことで盛り上がる。二十分ほどおしゃべりをして、さ、そろそろはじめよっかと立ち上がると、そうだね、と瑞希もすんなり移動した。和やかなひとときのおかげか、数十分前に比べて、瑞希は大分調子も取り戻せたようだけど、いざその時を迎えてみたら今度は私が緊張してきてしまったみたいで、足元から冷えたものが這い上がってくる感覚に戸惑う。ドキドキと主張を始める動悸を塗りつぶすように、画材を黙々と準備する。
说起来,视频网站上也有新歌了呢……瑞希正在用手机搜索,我也从桌子对面挪到她旁边,紧挨着她。「这个这个!大家都好帅啊~」「哇,刚才那个超级……」我们一边兴奋地指着屏幕,一边对视着交流感想,歌曲结束后还沉浸在无拘无束的欢快气氛中。聊了大约二十分钟,我说,差不多该开始了吧,便站起身来,瑞希也爽快地跟着移动。或许是因为那段温馨时光的缘故,比起几十分钟前,瑞希的状态似乎恢复了不少,但真到了那一刻,反倒是我开始紧张起来,感觉一股寒意从脚底爬升,心中困惑。为了掩盖那开始加速的心跳声,我默默地准备着画具。

 こうして目の前の人と改めて向き合ってみれば、瑞希も今日はかなり力を入れて支度をしてきてくれたことがわかる。リボンもブラウスもスカートも、どれも瑞希にとびきりよく似合った色やかたちをしていて、ヘアスタイルや、化粧だってばっちり決まっている。そしてリボンはきっと、私の記憶が正しければ、昔に瑞希のお姉さんが瑞希のために繕ってくれたもの。
这样重新面对面一看,便知瑞希今天也是精心打扮了一番。无论是发带、衬衫还是裙子,每一件都极其适合瑞希的颜色和款式,发型和妆容也都完美无瑕。而且那条发带,如果我的记忆没错的话,应该是瑞希的姐姐以前为她缝制的。

 よし。小声でひとりごちて、「じゃあはじめるね」と今度は瑞希に向かって呼びかける。うん。瑞希の返事があって、鉛筆に手をかけたところ。
好的。他小声自言自语,然后转向瑞希说道:“那我们就开始吧。”嗯。瑞希应声后,手已握住了铅笔。

「絵名」  「绘名」
 瑞希が改まった声で自分の名前を呼ぶので、顔をあげて声の方向を見る。膝の上で両手をキュッと組んだ瑞希は、穏やかな眼差しを湛えて佇む。窓の向こうから差し込む淡い光にまっすぐ照らされている姿は、ハッとするほどの魅力を帯びていた。
瑞希以正式的语气呼唤他的名字,他抬起头朝声音的方向望去。瑞希双手紧握置于膝上,目光温和地站在那里。窗外透进的柔和光线直射在她身上,那模样美得令人屏息。

「絵を描いてくれるって言ってくれて、本当にありがとう。今日は一番カワイイボクで来たからさ、絵名から見えるボクを……絵名の手で、キャンパスにとじこめてね」
“谢谢你答应为我画画。今天我以最可爱的样子来了,所以请把从你眼中看到的我……用你的手,定格在画布上吧。”

 返事をするのを忘れたまま、瑞希の放つ透明な静けさに意識を持っていかれっぱなしだった私は、あ、とようやく息を漏らしたあとに、続けて一言で頷く。右手に持った3Bの鉛筆が、ずしっと重くなったように感じた。
我忘了回应,一直沉浸在瑞希散发出的那份透明的宁静中,直到“啊”地一声终于吐出一口气,随后用一句话点了点头。右手握着的 3B 铅笔,感觉一下子沉重了许多。

「任せて」  「交给我吧」
 とりあえず今はどんな不安も緊張も、置いておいて。この子の願いに最善の形で応えられるよう、自分がするべきことに集中しよう。はっきりと声に出した私の決意に、瑞希も微笑んで頷いた。
暂且将所有的忐忑与紧张都抛诸脑后。为了能以最佳的方式回应这个孩子的愿望,我要专注于自己该做的事。我坚定地大声说出决心,瑞希也微笑着点了点头。

 それからはずっとキャンバスと瑞希とに向き合い続けた。手と頭を動かし続けている私はまだいいけど、瑞希は座っているだけできっと疲れるだろうのに、自分から休憩を言い出すこともなく、長時間が経ってふと現実感を取り戻した私が「気付けなくてごめん、一旦休憩にしよう」って慌てて伝えても「もう少し大丈夫だよ」なんて微笑む始末。仕方がないので、定期的にアラームをかけて強制的に区切りをつけることにした。
从那以后,我一直面对着画布和瑞希。虽然我不断动手动脑还好,但瑞希只是坐着,肯定很累吧。然而,她从不主动提出休息,长时间过去后,当我突然回过神来,慌忙地说“对不起没注意到,我们休息一下吧”,她却微笑着回答“再坚持一会儿也没关系”。没办法,我只好定期设置闹钟,强制性地划分时间。

「集中している絵名が好きだから、ずっと見てられるんだよね」
“我喜欢专注绘画的你,所以能一直看着你。”

「……瑞希、そういうこと言うキャラだったっけ?」  “……瑞希,你原来是会说这种话的角色吗?”
「んー、なんか今日ちょっとだけセンチメンタルになっちゃってるかも?」
「嗯——,今天可能有点多愁善感了呢?」

「ふうん……」  「嗯……」
 ようやく設けた休憩時間に、じっとしていて退屈じゃない? って問いかけてみれば、そんな答えが返ってくる。優しい友人のことだから、そのまま退屈だって返すのも、一生懸命絵を描く私に失礼だって思ったのかもしれないけど。いつの私の絵も好きとか、集中している私が好きとか——普段は軽口で誤魔化されるはずの質問が今日はストレートな好意で返ってくるから、気恥ずかしいような、ちょっとだけ心配なような、複雑な心境。センチメンタルって言っているのは、ホントなのかも。
在好不容易设立的休息时间里,我试着问道:“一直待着不无聊吗?”结果得到了这样的回答。因为是温柔的朋友,或许他觉得直接回答“无聊”对正在拼命画画的我有些失礼。无论是何时画的画都喜欢,还是喜欢专注的我——平时应该会被玩笑话搪塞过去的问题,今天却以直率的好意回应,让我感到既害羞又有些担忧,心情复杂。说这是多愁善感,或许是真的吧。

 私から見る瑞希。とびきり可愛い今の瑞希を永遠に残すとしたら、どう表現すればいいんだろう。お願いを受けると決めてから考え続けてきた問いは、答えの出ないまま今日を迎えた。けれど、今はある。いまここにいる瑞希、さっき、顔をあげた時に私の胸を打ったあの儚さと強さを、私の大好きな瑞希と一緒に、キャンバスに落とし込もう。筆を、走らせて、走らせて、走らせつづけて。
我眼中的瑞希。若要将此刻无比可爱的瑞希永远留存,该如何表达呢?自决定接受这份委托以来,我一直在思考这个问题,直到今天仍未找到答案。然而,现在有了。此刻在此的瑞希,刚才抬头时触动我内心的那份脆弱与坚强,我要将我最爱的瑞希,连同这些情感,一同倾注于画布之上。让画笔驰骋,不断挥洒,持续描绘。

 ——ピピピ、と何度目かのアラームが鳴るのと、私が仕上げの筆をキャンバスから離したのはほぼ同時だった。終わった。疲労の溜まっているであろう体とは裏腹に、達成感と開放感に大放出のドーパミンが気持ちを昂らせるので、心臓はバクバクと鳴っている。それら持て余した私は、一周回って放心状態に陥ってしまって、キャンバスの中の瑞希をぼうっと見つめるほかなかった。
——哔哔哔,不知第几次的闹钟响起,我几乎同时将最后一笔从画布上移开。完成了。尽管身体可能已经积攒了疲劳,但成就感和解脱感释放的大量多巴胺让心情高涨,心脏砰砰直跳。面对这些过剩的情绪,我反而陷入了一种恍惚的状态,只能呆呆地凝视着画布中的瑞希。

「休憩しよっか……絵名、大丈夫?」  「休息一下吧……绘名,你还好吗?」
「瑞希……今、何時?」  「瑞希……现在几点了?」
「十九時だよ」  「现在是十九点哦」
「十九時……」  「十九点……」
「……さすがにもう遅いし、続きは今度にする?」  “……毕竟已经很晚了,剩下的下次再说吧?”
「ううん、だいじょぶ……瑞希、絵、完成したよ」  「嗯,没事……瑞希,画,完成了哦」
「えっ、ほんと!」  「诶,真的吗!」
 完成を告げた瞬間、瑞希が嬉しそうに椅子から飛び上がるので私まで驚いて跳ねてしまうけれど、抗議の声をあげる体力は残って無かった。なんで今、こんなに元気でいられるの? 一個差ってこんな違うものなの? なんて、呆れ返っちゃう気持ちと、長い時間付き合ってくれたことへの感謝が同じくらいあって、下手くそな笑顔で瑞希と目を合わせた。
就在我宣布完成的瞬间,瑞希高兴得从椅子上跳了起来,连我也被惊得弹了一下,但已经没有力气发出抗议的声音了。为什么她现在还能这么有精神?仅仅一个小时的差距,就能让人如此不同吗?我心中既有些无奈,又充满了对她长时间陪伴的感激,于是用笨拙的笑容与瑞希对视。

「これから乾かすから、本当の完成は来週くらいになるんだよね?」
「接下来要晾干,所以真正的完成大概要到下周了吧?」

「うん……瑞希の誕生日には、ちゃんとプレゼントできると思う」
「嗯……我想在瑞希生日那天,应该能准时把礼物送出去。」

「そっかあ……えへへ、じゃあそれまでのお楽しみだね」
「这样啊……嘿嘿,那在那之前就当作是期待的小惊喜吧。」

 まだ完成品を見てもないのに、はしゃいでいる瑞希を見ていたら、すでに苦労も報われる気がしてくるけれど、きっと絵を見たらもっと喜んでくれるだろうなって自信もあった。早く贈りたいな。逸る気持ちのままキャンバスを見て再確認する。うん、大丈夫、私の表現したかったもの、ちゃんと表現できたと思う。ああ、よかった。安心して一息ついてみれば、疲労と空腹とが一気に襲ってくるので、両腕を組んで伸ばして声をあげる。
虽然还没看到成品,但看着兴奋不已的瑞希,我已经觉得辛苦都值得了,而且我确信,她看到画后一定会更加高兴。真想快点送给她。怀着迫不及待的心情,我再次审视画布。嗯,没问题,我想表达的东西,已经很好地表达出来了。啊,太好了。安心地松了一口气后,疲劳和饥饿感一下子袭来,我交叉双臂伸了个懒腰,发出了一声叹息。

「あー、お腹空いた! ……ねえ、これからファミレスにご飯食べに行かない?」
“啊——,肚子好饿!……喂,我们现在去家庭餐厅吃饭怎么样?”

 私の提案に、瑞希は「いいね、いこいこ!」と二つ返事で乗ってくれた。善は急げ……と言うより、早く食事にありつきたくて、パパッと簡単に片付けをして、私は軽く支度を整えると、どこかふわふわとした心地を残したまま夏の夜に飛び出した。
对于我的提议,瑞希爽快地答应了:“好啊,走吧走吧!”与其说是趁热打铁,不如说是急于填饱肚子,我们迅速收拾了一下,我简单整理了一下行装,便带着一丝轻飘飘的心情,一头扎进了夏夜的怀抱。

 一日部屋に篭りきりで重くなった体に、夜風の通るのが気持ち良い。瑞希も同じ心地なのか、コンクリートを打つ足取りは軽やかに弾んでいる。私も楽しくなってしまって、なんの理由もないのに笑みを溢してしまったところ、瑞希はいきなり小さな早足で駆けると少し前で止まって、振り返って私を見た。私の名前を呼ぶ。絵名。
一天都闷在房间里,身体变得沉重,夜晚的微风拂过,感觉格外舒畅。瑞希似乎也有同感,踏在混凝土上的步伐轻快而富有弹性。我也不由得心情愉悦,无缘无故地笑容满面。这时,瑞希突然小跑几步,在前方停下,回头望向我,呼唤我的名字:“絵名。”

「絵名、本当にありがとうね」  “絵名,真的谢谢你。”
 目を丸くしてその場に止まった私に、瑞希は困ったように微笑んでみせた。暗い住宅街の夜道で街灯に照らされた瑞希は、スポットライトを浴びて一人芝居をする役者のようだ。やがて瑞希は目を伏せて、語り出す。
我瞪大眼睛,愣在原地,瑞希则露出困扰的微笑。在昏暗的住宅区夜路上,被街灯照亮的瑞希,宛如聚光灯下独自表演的演员。不久,她垂下眼帘,开始诉说。

「ボクさ、ホントに怖かったんだ……大人になっていくこと。声変わりは終わったんだって思ってるけど、それもただの勘違いで、今後低い声しか出せなくなっちゃったらどうしよう、とか。体付きが大きく変わって、カワイイ服を着られなくなっちゃったら、とか——きっと、大丈夫だって。その時その時のボクにできることを選んでいけば、ボクはボクらしさを失うことはないって信じてみるけど、未来ってなんの確証もないからこそ、偶に不安が浮かんじゃうと、どうしようもなくて」
「我啊,真的非常害怕……长大这件事。虽然以为变声期已经结束了,但那可能只是错觉,万一以后只能发出低沉的声音怎么办,还有身体形态大变,再也穿不了可爱的衣服了之类的——虽然我相信,只要在每个阶段选择自己能做的事,我就不会失去自我,但正因为未来没有任何保证,偶尔涌上心头的不安,真的让人束手无策。」

 瑞希の独白を、私はただじっと聞いていた。告白された不安は、私には理解してあげられないし、消してあげることだってできない。せめて、瑞希が寄りかかりたいと思った分だけ、受け止めたい。だって、私が今感じている、ぎゅうと胸を締めつける切なさの何倍もの不安を、瑞希は感じて生きてきているんだ。立って、聞かなきゃ、聞かなくちゃいけない。聞きたい。
我静静地聆听着瑞希的独白。他所坦露的不安,我无法完全理解,也无法替他消除。至少,在他想要依靠的时候,我愿意成为那个支撑。因为,瑞希所承受的,是我此刻心中那份紧揪的哀愁的无数倍。我必须站起来,倾听,必须倾听。我渴望倾听。

「せめて、ボクがボクらしくいられる今を、なにかのかたちで残せたらなって……考えた時、絵名に今のボクを描いて、永遠に閉じ込めてほしいなって。そうしたら少しは、未来が怖くなくなるのかなって……思ったんだ」
「至少,如果能以某种形式,将现在这个还能保持自我的我留存下来就好了……想到这儿,我就希望绘名能画下现在的我,永远地封存起来。那样的话,或许未来就不会那么可怕了吧……我是这么想的。」

 だから、ありがとう。最後に続いた言葉を聞くや否や、私は瑞希の元に駆けて行った。細い体に勢いで抱き付けば、瑞希の驚く声がする。
所以,谢谢你。一听到最后持续的话语,我便奔向瑞希。用尽全力抱住她那纤细的身体,瑞希发出了惊讶的声音。

「瑞希、大切な役割に、私を選んでくれてありがとう」
“瑞希,谢谢你选择我担任这个重要的角色。”

 両腕に手を添えたまま体を離して、少し見上げる位置にある見開かれたローズクォーツを見つめて、安心させるように微笑む。
双手依然搭在她的双臂上,我稍稍拉开距离,抬头凝视着她那双睁大的玫瑰石英般的眼睛,为了让她安心,我露出了微笑。

「大丈夫、できたよ。ちゃんと残せた。私が見た、とびきりカワイイ瑞希を、ちゃんと描いたから。だから、安心して、誕生日を楽しみにしててよ」
「放心吧,我做到了。真的留住了。我看到了,那个超级可爱的瑞希,我好好地画下来了。所以,安心地期待你的生日吧。」

 ——それでね、一つ思ったんだ。続けると、瑞希は「ん?」と一言で問いかける。
——然后呢,我有了一个想法。继续下去,瑞希用一声“嗯?”来回应。

「今日ずっと瑞希のことを描いててさ、きっと大人になった瑞希って、少し色気なんかも出てきたりして、また別のすっごい可愛さが生まれちゃうんだろうなって……私、これからの瑞希も楽しみにしてるからね」
「今天一直在画瑞希,我想,等瑞希长大了,或许会多出几分成熟的风韵,又会有另一种特别的可爱吧……我,也很期待未来的瑞希呢。」

「……うん、ありがと」  「……嗯,谢谢」
 今日何回お礼言えば気がすむのよ、ってからかいのつもりで伝えるけれど「何回言っても足りないよ」って、笑いながらの返事は多分瑞希の本心で。本当はお互い様だって思うけど、仕方がないから受け止めてあげることにする。本当にお腹減っちゃった、いくらでも食べられる気分。今日だけはなんのカロリーも気にしなくていいよね? 軽口を叩く私の傍で、瑞希が楽しそうに笑っているのでひとまずは満足だ。
我本想以调侃的语气说“今天你要说多少次谢谢才够啊”,但瑞希笑着回答“说多少次都不够”,这大概就是她的真心话吧。其实我觉得彼此彼此,但既然她这么说了,我也只好接受。真的饿坏了,感觉能吃下好多东西。今天就不用在意任何卡路里了吧?在我打趣的时候,瑞希在旁边开心地笑着,这让我暂时感到满足。

 気持ちなんて置き去りに変わっていく世界、なんの保証もない未来をかろうじて生きているとしても、私たちが私たちらしく存在して、お互いの傍にいる。この大切な時間だけは絶対に守り抜きたいなって、そっと、愛しい友人の腕に触れながら願った。
在这个情感被遗弃、不断变化的世界里,即使我们勉强生活在毫无保障的未来中,我们依然以我们自己的方式存在,彼此相依。我轻轻触碰着心爱朋友的手臂,心中默默祈愿,至少这段宝贵的时光,我一定要守护到底。

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ラストティーンの祈り
瑞希が絵名に自分の絵を描いてほしいとお願いする話です。友達のふたりですが感情は重め。
3659748
2024年11月21日下午3点37分
🐇
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霖语Raine
ルンルン
ルンルン
2024年11月25日
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