無罪が言い渡されたのは袴田巌さん(88)です。 被无罪释放的人是 Iwao Hakamada(88 岁)。
58年前の1966年に今の静岡市清水区でみそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件で、死刑が確定した袴田さんの再審は去年10月から開かれ、あわせて15回の審理が行われました。
58 年前的 1966 年,在静冈市清水区,一家味噌制造公司总经理的四名家庭成员被谋杀,去年 10 月对被判处死刑的袴田先生进行了重审,共举行了 15 次听证会。
58年前、静岡県で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さんの再審=やり直しの裁判で、静岡地方裁判所は捜査機関によって証拠がねつ造されたと指摘し、袴田さんに無罪を言い渡しました。判決の後、裁判長は袴田さんの姉のひで子さんに、「ものすごく時間がかかっていて、裁判所として本当に申し訳なく思っています」と謝罪しました。
58 年前,在静冈县,因谋杀一家四口人而被判处死刑的袴田岩夫被重审=重做,静冈地方法院指出证据是调查机构伪造的,宣告袴田先生无罪。 判决后,主审法官向袴田的姐姐秀子道歉,说:“花了很长时间,作为法院,我们真的很抱歉。
袴田さんの姉のひで子さんと弁護団の会見をライブ配信しています。
袴田先生的姐姐秀子与辩护团队之间的新闻发布会进行了现场直播。
【ライブ配信中】姉のひで子さんと弁護団が会見 [直播] 秀子姐姐和她的辩护团队见面
最大の争点は、事件の発生から1年2か月後に現場近くのみそタンクから見つかり、有罪の決め手とされた「5点の衣類」に付いていた血痕に赤みが残っていたことが不自然かどうかでした。
最大的争论点是,事发一年零两个月后,在现场附近的味噌罐中发现的“五件衣服”上的血迹被认为是定罪的决定性因素,这是否不自然。
26日の判決で静岡地方裁判所の國井恒志裁判長は「1年以上みそに漬けられた場合に血痕に赤みが残るとは認められず『5点の衣類』は事件から相当な期間がたった後、捜査機関によって血痕を付けるなど加工され、タンクの中に隠されたものだ」と指摘しました。
静冈地方法院首席法官 Tsuneshi Kunii 在 26 日的裁决中说:“没有认识到在味噌中浸泡一年多后血迹中仍会发红,'五件衣服'是在事件发生后经过相当长的时间后由调查机构处理并藏在水箱中。
そして「袴田さんの自白は非人道的な取り調べで得られたため任意性に疑いがあり、当時の裁判で無罪の可能性が否定できない状況にあった。衣類を犯行時の着衣としてねつ造した者としては、捜査機関以外に事実上想定できない」と述べました。
他说:“袴田先生的供词是通过不人道的审讯获得的,因此有其自愿性的怀疑,不能排除在当时的审判中被无罪释放的可能性。
その上で「5点の衣類」と警察が袴田さんの実家を捜索した際に見つかったとされる「5点の衣類」のズボンの切れ端、それに過去の裁判で自白の任意性を認めていた1通の調書のあわせて3つの証拠を捜査機関がねつ造したと判断し「袴田さんを犯人とは認められない」として無罪を言い渡しました。
最重要的是,调查机构判断,调查机构伪造了三项证据,包括据说是警方搜查袴田先生父母家时发现的“五件衣服”和一条“五件衣服”的裤子,以及一份承认过去审判中供述自愿性质的记录。
判決を言い渡したあと、國井裁判長は袴田さんの姉のひで子さんに対し「ものすごく時間がかかっていて、裁判所として本当に申し訳なく思っています」とことばをつまらせながら謝罪しました。
宣判后,首席法官国井向袴田的姐姐秀子道歉,说:“花了很长时间,作为法院,我们真的很抱歉。
そして「確定するにはもうしばらくお待ちいただきたい。真の自由までもう少し時間がかかりますが、ひで子さんも末永く心身ともに健康であることを願います」と述べました。
他说:“我希望你等一段时间再确认,真正的自由还需要一点时间,但我希望秀子在未来的许多年里身心健康。
ひで子さんは閉廷したあとにハンカチで涙をぬぐっていました。
法庭关闭后,秀子用手帕擦干了眼泪。
袴田さんは1980年に死刑が確定したあとも無実を訴え続け、10年前の2014年には再審を認める決定が出されました。
即使在 1980 年确认死刑判决后,博园仍然继续辩解自己,10 年前的 2014 年,决定重审他。
しかし、検察の不服申し立てを受けて決定が取り消されるなど司法の判断に翻弄され続け、去年3月にようやく再審開始が決まりました。
然而,他继续受制于司法决定,例如由于检方上诉而取消决定,最终于去年 3 月决定开始重审。
そして事件の発生から60年近くがたった26日、長く求め続けた無罪判決が言い渡されました。
然后,在事件发生近 60 年后的 26 日,他期待已久的无罪释放被宣告下来。
死刑が確定した事件の再審で無罪判決が言い渡されたのは35年ぶりで、戦後5件目となります。
这是 35 年来第一次有人在确认死刑的再审中被无罪释放,也是自二战结束以来的第五起案件。
【判決の内容を詳しく】 [裁决详情]
裁判長 ことばつまらせ「本当に申し訳ない」 主审法官:“我真的很抱歉”
國井恒志裁判長は2時間近くかけて判決を読み上げた後、袴田さんの姉のひで子さんに証言台の前に座るように促しました。
主审法官国井常史(Tsuneshi Kunii)花了近两个小时大声宣读判决书,然后敦促袴田的妹妹秀子(Hideko)坐在证人席前。
ひで子さんは声が聞こえづらいとして、さらに近くの書記官の前に座りました。
秀子发现很难听到她的声音,所以她在附近的一名店员面前坐下。
裁判長は判決の概要を改めて説明したあと「再審の初公判でひで子さんは巌さんに『真の自由を与えてほしい』と願われました。無罪判決が言い渡されましたが検察は控訴する余地があり、審理は続く可能性があります。無罪が確定しないと意味がありません。巌さんに自由の扉は開けましたが、まだ、閉まる可能性はあります」と述べました。
在重申了判决摘要后,主审法官说:“在重审的第一次审判中,秀子希望赋予岩尾真正的自由。 除非证实无辜,否则它毫无意义。 我们已经打开了通往自由的大门,但它仍有可能关闭。
また、國井裁判長は「ものすごく時間がかかっていて、裁判所として本当に申し訳なく思っています」とことばをつまらせながら話しました。
此外,首席法官 Kunii 哽咽着说:“这花了非常长的时间,作为法院,我们真的很抱歉。
そして「有罪か否かを決めるのは検察でもなく裁判です。確定するにはもうしばらくお待ちいただきたい。真の自由までもう少し時間がかかりますが、ひで子さんも末永く心身ともに健康であることを願います」と述べました。
“决定有罪与否的不是检方,而是审判。 她需要更多的时间才能真正自由,但我希望秀子在未来的许多年里都能保持身心健康。
ひで子さんは時折、相づちを打ちながら裁判長のことばを聞き、閉廷したあとにハンカチで涙をぬぐっていました。
秀子不时一边拍着头一边听主审法官的话,并在法庭关门后用手帕擦去眼泪。
「5点の衣類」ズボンの切れ端の布も“ねつ造”判断 “5 件衣服”裤子边角料上的布料也被判定为“捏造”
警察が袴田さんの実家を捜索した際に見つかったとされる「5点の衣類」のズボンの切れ端にあたる布について、判決では「捜査機関によってねつ造されたもので証拠とすることはできない」と判断しました。
关于据称在警方搜查袴田父母家时发现的“五件衣服”的一条裤子的布料,法院裁定它是“调查机构捏造的,不能作为证据”。
自白の任意性を認めた調書「ねつ造したものと認められる」
承认供词自愿性质的记录:“它被认为是捏造的”
判決では過去の裁判で自白の任意性を認めていた1通の調書について「黙秘権を実質的に侵害し、虚偽の自白を誘発するおそれが極めて高い状況で、捜査機関の連携によって肉体的、精神的苦痛を与えて供述を強制する非人道的な取り調べによって獲得された。犯行時の着衣などに関する虚偽の内容も含み、実質的にねつ造したものと認められる」と指摘し、証拠から排除すると判断しました。
判决书指出,其中一份笔录在以往的审判中承认了供述的自愿性,“是通过不人道的审讯获得的,其中保持沉默的权利受到实质性侵犯,并且存在极高的激起虚假供述的风险,侦查机关冒着身心的痛苦配合,强迫供述接受检验。 我们决定将其从证据中排除。
「5点の衣類」の血痕“赤み残るとは認められない” “5 件衣服”上有血迹“”不被认定为发红”
再審で最大の争点となった「5点の衣類」に付いていた血痕に赤みが残っていたことが不自然かどうかについて、判決では「1年以上みそ漬けされた場合に血痕に赤みが残るとは認められない。事件から相当期間経過した後、発見に近い時期に、犯行とは無関係に捜査機関によって血痕をつけるなど加工され、タンクの中に隠されたものだ」と判断しました。
关于再审中最大的争议点的“五件衣服”上的血迹是否不自然,裁决称:“血迹在味噌中浸泡一年以上后仍呈红色,不被承认。
判決冒頭で「証拠に3つのねつ造」認定 在判决开始时,发现“三项伪造证据”。
判決の理由を説明する冒頭で裁判長は「証拠に3つのねつ造があると認められる。袴田さんを犯人であるとは認められないと判断した」と述べ、有罪の決め手とされた「5点の衣類」や過去の裁判で自白の任意性を認めていた1通の調書などを、捜査機関がねつ造したと判断しました。
在解释判决理由时,主审法官说:“公认证据中有三项捏造,判断不能认定袴田先生是罪魁祸首”,以及被认为是定罪决定因素的“五件衣服”和一项承认过去审判中供述自愿性质的记录被判定为调查机构伪造的。
姉ひで子さんは主文のあと深くお辞儀 秀子姐姐在主句后深深鞠躬
袴田さんの姉のひで子さんは、落ち着いた様子で弁護士の隣に座りました。
袴田的姐姐秀子平静地坐在律师旁边。
開廷するとまず、裁判長が短期間での判決の言い渡しとなったことについて、弁護側と検察の双方に対し「心から敬意を表するとともに改めてお礼申し上げます」と述べました。
在审判开始时,主审法官说:“我想对辩方和控方对判处的短刑表示衷心的敬意和感谢。
このあと裁判長はひで子さんに対して「主文だけでも証言台でお聞きください」と促し、ひで子さんは証言台の前に座りました。
在此之后,主审法官敦促秀子女士“在证人席上听主讲”,秀子女士在证人席前坐下。
そして裁判長がはっきりとした声で「主文、被告人は無罪」と伝えると、傍聴席に座る人たちからは拍手が沸き起こりました。
当主审法官用清脆的声音说:“主,被告无罪”时,观众爆发出热烈的掌声。
裁判長が傍聴席に静かにするよう促し、再び「主文、被告人は無罪」と伝えると、背筋を伸ばしたまま座っていたひで子さんは裁判長に向かって深くお辞儀をしました。
当主审法官敦促听众保持沉默并再次说“主要判决是被告无罪”时,挺直背坐着的秀子向主审法官深深鞠躬。
そして、ひで子さんは自分の席に戻る際、弁護士と握手し、涙を浮かべていました。
当她回到座位上时,她与她的律师握手,流下了眼泪。
静岡県警「検察当局で判決内容を精査 コメントは差し控える」
静冈县警察 “检察官办公室将仔细审查判决内容,不予置评”
静岡県警察本部は「今後、検察当局において判決内容を精査し、対応を検討するものと承知しておりますので、コメントは差し控えさせていただきます」としています。
静冈县警察总部表示,“我们理解检察官办公室会仔细审查判决的内容,并考虑将来如何回应,因此我们将不发表评论。
【記者解説】今後の注目点は 记者评论:未来值得关注
【支援した人たちは】 [那些支持我们的人]
およそ30年にわたって袴田さんの支援活動を続けている山崎俊樹さんは、静岡地方裁判所の前で判決を待ちました。そして、袴田さんに無罪が言い渡されたと聞くとほかの支援者らとともに万歳をしました。取材に対して「素直に嬉しいです。58年かかってようやく願いが叶いました。袴田さんには『やっと袴田さんの願いを裁判所が認めたよ』と伝えたいです。検察官には控訴しないでほしいです」と述べました。また、血痕の付いた衣類をみそに漬ける実験を重ねてきたことについて「実験を重要な証拠として裁判所が評価してくれて今回の無罪判決につながったことは、何とも言いようがなく嬉しいです」と話していました。
支持袴田约 30 年的 Toshiki Yamazaki 在静冈地方法院前等待判决。 当他听说袴田被无罪释放时,他和其他支持者都为他加油。 在一次采访中,他说:“老实说,我很高兴,我花了 58 年才终于如愿以偿。 我想告诉袴田先生,法院终于实现了他的愿望。 我希望检察官不要上诉。 此外,他还表示,他曾多次尝试将带有血迹的衣服浸泡在味噌中,“我感到难以形容的高兴,法院将实验评价为重要证据并导致无罪释放。
袴田さんと家族ぐるみでの親交があった静岡市清水区の渡邉昭子さん(90)は、裁判所の前で無罪の一報を聞き、拍手をして喜びながら目に涙を浮かべていました。渡邉さんは「無罪と聞いてうれしく、胸がいっぱいです。袴田さんは遊園地や海に一緒に行ったときに子どもを優しくかわいがってくれていました。袴田さんに会ったら『よかったね』『がんばったね』と伝えたいです」と話していました。
与袴田有着密切家庭关系的静冈市清水区 90 岁的渡边明子 (Akiko Watanabe) 在法院前听到她被无罪释放的消息时,鼓掌并高兴地哭泣。 渡边女士说:“我很高兴听到她没有罪,我的心很充实。 当我见到袴田先生时,我想告诉他,'那很好'和'你已经尽力了'。
袴田さんを長年、支援してきた日本国民救援会中央本部の瑞慶覧淳副会長は「判決が出るまでは少し不安があったので、無罪判決は本当にうれしいです。一方で喜びと同時に、何でこんなに時間がかかったのかという思いもあります。袴田さんには『お疲れ様』という気持ちと時間がかかって申し訳ないという気持ちがあります。検察官には控訴を断念してほしいです」と話していました。
多年来一直支持袴田的日本国民救援协会中央总部副主席 Jun Zukiran 说:“在宣判之前我有点担心,所以我对无罪释放感到非常高兴。 袴田先生有一种 “谢谢你的辛勤工作 ”的感觉,也有种对所花费的时间感到遗憾的感觉。 我希望检察官放弃上诉。
10年前に静岡地方裁判所の裁判長として袴田さんの再審と釈放を認める決定を出した元裁判官の村山浩昭さんは、静岡地裁の前で支援者らと「ありがとうございました」と声をかけ合いながら喜びをわかちあいました。村山さんは「私は再審開始を決めたので、無罪になってほしいと、強く願っていました。それが10年半たってようやく叶ってほっとしています。巌さんには『無罪になって自由になったんですよ』とお伝えしたいです。今までの精神症状が緩和されて、あの事件は終わったんだと伝えられたら、最高だなと思います」と述べました。
10 年前主持静冈地方法院并发布袴田重审和释放决定的前法官村山博明 (Hiroaki Murayama) 在静冈地方法院前与支持者分享了他的喜悦,并说“谢谢”。 村山说:“自从我决定开始重审以来,我就强烈希望他能被无罪释放,我很欣慰,10年半后终于实现了。 我想告诉岩尾先生,“我被无罪释放,我自由了。 我认为,如果一直在发生的精神症状得到缓解,人们可以看出事件已经结束,那就太好了。
その上で「検察は絶対に控訴してはいけない。今後、必ず再審に関する法律を変えていくと改めて決意しました。巌さんとひで子さんのご年齢を考えると、これ以上、解決を長引かすことは絶対にあってはならない」と話していました。
他补充说:“检方永远不应该上诉,我已经重申了我在未来改变有关重审的法律的决心。 考虑到 Iwao 和 Hideko 的年龄,我们不应该再拖延决议了。
1995年に大阪・東住吉区の住宅が全焼し女の子が死亡した火事で放火や殺人などの罪に問われ、無期懲役の刑で服役したものの、再審で無罪が確定した青木惠子さん(60)は、静岡地裁前で支援者らとともに喜びを分かち合いました。青木さんは「えん罪として闘ってきた仲間として、喜び合おうと思って来ました。無罪が出るのは当たり前ですが、本当によかったです。検察は控訴せず、袴田さんに対して申し訳なかったと謝ってもらいたいです。警察や裁判所にも謝ってもらいたいと思います。えん罪被害者はその一言で救われると思います」と話していました。
青木惠子(60 岁)在 1995 年烧毁大阪东住吉区一所房屋并杀死一名女孩的大火中因纵火和谋杀被判处无期徒刑,但在重审中被无罪释放,她在静冈地方法院前与支持者分享了她的喜悦。 青木先生说:“我来到这里是为了作为一个为犯罪而战的同伴感到高兴。 我希望检方不要上诉,并为博来田先生的道歉向他道歉。 我希望警方和法院也道歉。 我相信,用这句话就能拯救犯罪的受害者。
元プロボクサーの袴田さんを支援してきた日本プロボクシング協会のメンバーで、元東洋太平洋バンタム級チャンピオンの新田渉世さんは「最高の結果で、みんなで声を大にして無罪を獲得したことを伝えたい。検察の控訴をなんとしても止めないといけないので、試合は完全に終わったわけではなく、それまでは闘い続けたい。巌さんには畏敬の念しかないし、ゆっくり穏やかな日を過ごしてもらって、少しずつ回復してもらいたい」と話していました。
日本职业拳击协会成员、前东方太平洋雏量级冠军新田涉(Wataru Nitta)曾支持前职业拳击手袴田(Hakamada),他说:“我想告诉你,这是最好的结果,我们都大声疾呼,赢得了无罪释放。 我对岩尾只有敬畏,我希望他能度过缓慢而平静的一天,逐渐康复。
また、スーパーフライ級元世界チャンピオンの飯田覚士さんは「やっと袴田さんが自由になれるんだという思いがこみ上げてきてうれしかったです。これを機に再審法の見直しが始まればうれしいです」と話していました。
前超蝇量级世界冠军饭田悟说:“我很高兴看到袴田先生终于重获自由,如果这能成为开始审查再审法的机会,我会很高兴。
袴田さんは自宅で過ごす ふだんと変わりない様子 袴田先生像往常一样在家里度过。
袴田さんの姉のひで子さんによりますと袴田さんは26日、午前中に起きて朝食をとったということです。
据袴田的姐姐秀子说,袴田于 26 日早上醒来并吃了早餐。
袴田さんは自宅でくろいでいる様子で、ひで子さんが「静岡に行ってくる、晩に帰ってくるよ」と声をかけると「はい」とこたえたということです。
支援者によりますと、ひで子さんが家を出た後は、テレビの前で寝たり、昼食をとったりして過ごし、ふだんと変わりない様子だったということです。
そして無罪の判決が言い渡された直後、支援者から「いいことがあったそうです」と伝えられると、袴田さんはいすから立ち上がって飼っている猫を触ったということです。
このあと袴田さんは自宅を出て支援者の車に乗り込み、日課のドライブに出かけました。
袴田巌さん再審 きょう午後判決 事件発生から60年近く
浜松では無罪判決を報じる号外も
浜松市の中心部では午後3時半ごろから袴田さんの無罪判決を報じる新聞の号外が配られました。
浜松市の50代の男性は「長い間頑張って結果を勝ち取ったことは素晴らしいと思います。本当に頑張られたと思うし、お姉さんも凄いと思います」と話していました。
高校1年生の男子生徒は「同じ静岡県民としては悲しい出来事でしたが、58年という長い年月をかけて無罪を勝ち取ったことはすごいと思います。捜査機関が証拠がないことを恐れてねつ造に手を出したのなら、しっかりしてほしい」と話していました。
浜松市に住む女性は「袴田さんが散歩しているのを時々見かけていたので、結果にほっとしましたし涙が出てきました。何十年も苦しんで来たので、本当によかったと思います」と話していました。
【再審判決の前には】
支援者「無罪判決を信じる」
およそ30年にわたって袴田巌さんの支援活動を続けている山崎俊樹さんは、多くの支援者とともに静岡地方裁判所の前で集会を開きました。
山崎さんは「長いようで短かった気もします。裁判所が捜査関係者の証拠のねつ造を認めて、無罪判決を言い渡すことを信じています」と述べました。
また「多くの人が集まっているのは、これだけ問題になっている事件だということを表している。えん罪について考えるためにも、この事件に関心を持ってもらいたい」と話しました。
山崎さんは、血痕の付いた衣類をみそに漬ける実験を重ねてきていて「われわれの実験は20年以上も重ねていて、検察側よりもはるかに精密に実験をしていると思う」と自信をのぞかせていました。
傍聴券の倍率は12.55倍
静岡地方裁判所には開廷の5時間前の午前9時ごろから傍聴を希望する人が列を作りました。裁判所によりますと、傍聴席40席に対して傍聴を希望した人は502人で、倍率はおよそ12.6倍でした。
弁護士を目指しているという20代の大学院生は「きょうは一国民として、えん罪が晴れる瞬間に立ち会いたいと思い、傍聴を希望しました。是非、司法が誤りを認めて、これから司法が正しい方向に向かって行くことを願っています」と話していました。
初公判から合わせて6回、傍聴のために訪れているという大学教授の男性は「これまで1回も当たっておらず最後の公判なので、検察側の謝罪なども含めて最終的にどういう形になるのか聞きたいと思ってきました。無罪になれば戦後5例目で歴史的なものになると思います」と話していました。
ハワイから傍聴に訪れた、日本の司法や検察の研究を行っているハワイ大学のデヴィッド・ジョンソン教授は「袴田さんが無罪になることを望んでいます。また、裁判所の判決がこの事件の問題点についてしっかりと言及することを望んでいます。この事件にある問題点は袴田さんだけでなく、多くの司法事件に存在するものだと思います」と話していました。
プロボクシング協会のメンバーも傍聴を希望
元プロボクサーの袴田さんを支援してきた日本プロボクシング協会のメンバーも、裁判を傍聴しようと静岡地方裁判所を訪れました。
このうち元東洋太平洋バンタム級チャンピオンの新田渉世さんは「巌さん、ひで子さんの倒れても立ち上がるボクサースピリットを見習って頑張ってきました。無罪しか信じていないが、控訴があるとまだ続いてしまうので、控訴しないよう訴えていきたいです」と話していました。
また、スーパーフライ級元世界チャンピオンの飯田覚士さんは「この支援活動に加ったのはボクサーへの偏見を払しょくすることが目的です。巌さんがボクサーだからこそこれだけ長い間耐えられたと思うし、ボクサーだけでなく、いろいろな人に勇気を与えてもらいたい。無罪を勝ち取りたいし、再審法の改正に向けても動き出しているので、このようなえん罪が2度と起きてはならないという思いで今後も頑張っていきたい」と話していました。
日弁連が再審に関する法改正を訴え
再審に関する法律の改正を目指す日弁連=日本弁護士連合会も、判決を前に、静岡地方裁判所の前で街頭活動を行いました。
2014年に静岡地裁の裁判長として袴田さんの再審と釈放を認める決定を出した元裁判官の村山浩昭弁護士も参加し、通りかかった人たちにパンフレットなどを配りながら、審理が長期化しないよう法律を改正する必要があると訴えました。
村山さんが10年前に袴田さんの再審を認めた決定は、検察の不服申し立てを受けて取り消され、袴田さんが裁判のやり直しを求めてから去年、再審開始が確定するまでに40年以上かかりました。
26日、判決が言い渡されることについて村山さんは「気が遠くなるような時間がかかりましたが、裁判所には審理した内容にふさわしい判決を出してほしい」と述べました。
その上で「この10年間は、非常に無駄な期間だった。再審開始決定に対する検察官の不服申し立ては許されず、いまの法制度は間違っていると思う」と法改正の必要があるという考えを示しました。
前例ない死刑囚の釈放 認めた元裁判長が語る「再審」
死刑が確定した事件で再審無罪は今回が5件目
死刑が確定した事件のやり直しの裁判で無罪が言い渡されるのは、35年前の1989年1月以来、5件目です。
死刑が確定した事件で初めて再審で無罪となったのは、1948年に熊本県で夫婦2人が殺害された「免田事件」で、1983年の再審で無罪を言い渡されました。
その後、1950年に香川県で男性が殺害され現金が奪われた強盗殺人事件の「財田川事件」や1955年に宮城県で住宅が全焼し一家4人が遺体で見つかった「松山事件」、1954年に静岡県で当時6歳の女の子が連れ去られ殺害された「島田事件」の再審で、いずれも1980年代に無罪が言い渡されました。
これらの4つの裁判ではいずれも検察が控訴せず、1審で無罪が確定しています。
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