言葉なき態度 无言的态度
X(旧Twitter)で掲載していた体調不良のお話の後半です。
这是在 X(旧 Twitter)上发布的关于身体不适故事的后半部分。
こちらはTwitter掲載時の伏字や誤字、ルビ等を読みやすく編集したものになります。未編集版はTwitterをご覧ください。
这里是对 Twitter 发布时的隐藏字、错字、注音等进行了易读性编辑的版本。未编辑版请查看 Twitter。
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9月開催のrnisのWebオンリーにてこちらの作品を加筆修正+後日談を付け加えた形で展示する予定です!
预计在 9 月举办的 rnis 网络限定展上,将以加笔修正并附上后日谈的形式展示这部作品!
追加部分のサンプル等はまた近づいたらアップします🙇♂️
追加部分的样本等将在临近时上传🙇♂️
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──ふと、意識が浮上した。 ──突然,意识浮现了。
ゆっくりと目を開けると、一度は後にしたはずの部屋の天井が広がってた。確か、朝飯食べて、凛とトレーニングフィールドに行って、冴と戦術の話してて、と思い出してきたところで練習中に倒れたんだとわかって勢い良く起き上がろうとした。
缓缓睁开眼睛,曾经一度离开的房间天花板映入眼帘。我记得,早上吃了饭,和凛一起去了训练场,和冴讨论战术,正回忆到这里时,突然意识到自己在练习中倒下了,于是猛地想要坐起身来。
結果的には誰かが俺の右手を握ってて、体に力も入らなくて起き上がれなかったから、ゆっくりと握られている方の手に視線を向けると、凛がベッドに突っ伏して俺の手を握ったまま寝てた。
结果发现有人握着我的右手,身体也没力气,起不来。于是我慢慢将视线转向被握着的那只手,只见凛趴在床上,握着我的手睡着了。
なんで凛が、と思ったところで機械音と共に扉が開いて、視線だけ向ければ冴がいた。体調を崩してるからか五感がいつも以上に敏感になってる気がして、機械音が頭に響くような感じがする。気のせいであって欲しいと思いながら、ボンヤリと冴を見た。
为什么凛会在这里,正想着,随着机械声响,门开了,只要转过视线就能看到冴。或许是身体状况不佳,感觉五感比平时更加敏锐,机械声仿佛在脑海中回荡。希望这只是错觉,我茫然地看着冴。
「気がついたか」 「察觉到了吗」
「……さえ」 「……而已」
掠れた声で名前を呼んだら、冴は手に持っていた桶をその辺に置いてペットボトルの水を手渡してくれた。
用沙哑的声音呼唤名字后,冴将手中的桶放在一旁,递过来一瓶水。
開けようとしても力が入らなくて、それに気づいた冴はスッと俺の手からボトルを抜き取ってキャップを開けてくれる。
想打开却使不上劲,注意到这一点的冴迅速从我手中抽走瓶子,帮我拧开了瓶盖。
「飲めるか?」 「能喝吗?」
「……むり、ちからはいんねぇ……」 「……不行,力气不够……」
「少し待ってろ」 「等一下」
無理だと言えば、冴は封の開けたペットボトルを棚に置いて一度部屋を出た。スライドドアの機械音がやけに大きく、頭に響く。響くような感じがしたのは、気のせいじゃなかった。
如果说无理,冴将打开的瓶装水放在架子上,走出了房间。滑动门的机械声异常响亮,在脑海中回荡。那种回响的感觉,并非错觉。
さっきは起きたばっかで気づかなかったけど、自分の呼吸音も、“青い監獄”の施設内の空調音も、機械音も、ありとあらゆる音が大きく聞こえて、それなのにキンッとした小さな耳鳴りもする。頭痛も酷くて、もっと早くに気づいてたらここまで酷くならなかったのかな、とも思う。
刚才刚醒来还没注意到,但现在自己的呼吸声、“蓝色监狱”设施内的空调声、机械声,所有的声音都变得异常清晰,甚至还能听到尖锐的耳鸣。头痛得厉害,要是早点察觉到,或许不会严重到这种地步吧。
ボーッと天井を見つめてると、機械音と共に人の気配がして、視線だけそっちに向ける。ストローを手に持った冴が戻ってきて、蓋のしていないボトルを手に取るとストローを突っ込んだ。そのままベッド脇に来ると、床に膝をついて一度ペットボトルも床に置く。俺の体を支えながら起こしてくれて、片手でもう一回ペットボトルを持って俺に近づけてきた。
呆呆地盯着天花板,忽然听到机械声伴随着人的气息,视线不由自主地转向那边。冴手里拿着吸管回来了,他拿起没有盖子的瓶子,将吸管插了进去。然后他走到床边,跪在地上,先把瓶子放在地板上。他一边支撑着我的身体,一边扶我坐起来,另一只手再次拿起瓶子,靠近我。
「飲めるだけでいい。ストローあれば少しは飲めるだろ」
「能喝多少就喝多少。有吸管的话应该能喝一点吧」
「ありがと…………」 「谢谢…………」
少しずつ水を飲んで、もういらないと思ったとこでストローから口を離した。水分を摂ったことで、朦朧としてた意識は少しだけ明瞭になった。
一点点地喝着水,觉得不需要了便从吸管上移开了嘴。摄取了水分后,原本朦胧的意识稍微清晰了一些。
「潔、体調が悪いなら最初からそう言え」 「洁,要是身体不舒服,一开始就该说出来。」
水分を取って、また冴の手によってベッドに寝かされた俺は、そう言われた。というか、身体起こして水分取ってってしてるのに一度も起きない凛に驚いていたら、デコピンをされてそう言われた。
喝了水,又被冴扶回床上躺下,我听到了这句话。或者说,在凛一次次扶我起来喝水却始终没醒来的惊讶中,我被他轻轻一拍,听到了这句话。
「ごめん、あさからなんか、いわかんはあったんだけど……」
「抱歉,从早上开始,总觉得有些心神不宁……」
気づかなかった、と素直に言えば冴は呆れたように深いため息をついた。意識が明瞭になったからとはいえ、高熱からか舌っ足らずな話し方になってしまう。
没有察觉到,如果坦率地说,冴无奈地深深叹了口气。虽然意识已经清晰,但由于高烧,说话还是有些含糊不清。
「目の前でいきなり倒れるから、驚いた」 「突然在我面前倒下,吓了我一跳。」
「さえもおどろくこと、あるんだ」 「竟然也有令人惊讶的事啊」
「お前は俺をなんだと思ってるんだ」 「你把我当成什么了?」
「にほんのしほう、いとしさえさま、てんさいMF」
「日本之诗,伊藤静老师,天才 MF 中野」
なんだと思ってる、って聞かれるからちゃんと答えたのにとても苦いものを口にしたような顔をするから、内心首を傾げた。実際に動作にしようとしたら頭の中が揺れて目が回りそうだった。
你以为是什么,被这么一问,我认真回答了,结果他却露出像吃了苦药一样的表情,让我心里直犯嘀咕。实际上,我正要做出反应时,脑袋里一阵摇晃,差点眼冒金星。
「それで、今の症状言えるか?」 「那么,现在能描述一下症状吗?」
「あたまがいたいのと、みみなり……もすこししてる。あと…………ごめん、うまくいえない…………」
「头很痛,耳朵也……稍微有点耳鸣。然后……对不起,我说不清楚……」
いつもなら周りより見えてても、聞こえてても感じてても上手く情報として処理できるのに、体調が悪いときのこの感覚だけは、気にならないものが気になるというのは上手く言えなくて、言葉に詰まる。
平时明明无论看到、听到还是感觉到周围的一切,都能顺利地作为信息处理,但身体不适时的这种感觉,却让人无法忽视那些原本不在意的事物,难以言表,话到嘴边又咽了回去。
そんな俺を見て冴はゆっくりと寝かせてくれたあとに、固く絞った濡れタオルを額に乗せてくれて、優しく頭を一撫でした。
看着这样的我,冴轻轻地让我躺下,然后在我额头上放了一块拧得干干的湿毛巾,温柔地抚摸了一下我的头。
「今は寝とけ。それと、俺は1回この部屋を離れるから、何かあったらこの愚弟叩き起こせ」
「现在先睡吧。还有,我要离开房间一次,有什么事就叫醒这个笨蛋弟弟。」
そう言って凛を一瞥した冴はまた部屋を出て行った。視線だけで見送った俺は、ふう、と一つ大きな息を吐いて入口に向けていた視線を手元に向ける。
说完,冴瞥了一眼凛便离开了房间。我目送着他离去,长舒一口气,将原本望向门口的视线转向手边。
「りん、おきてんだろ……?」 「凛,醒着吧……?」
その一言に、ゆるりと緩慢な動作で凛が顔を上げた。俺の手は、握ったまま。視線はバツが悪そうに逸らされていて、途中から寝たふりをしていたのがバレていたから居心地が悪いらしく、握っていた俺の手を握る力が弱められる。
听到那句话,凛缓缓地抬起头。我的手依然紧握着。她的视线尴尬地移开,中途开始装睡的把戏似乎被识破了,显得有些不自在,握着我手的力道也减弱了。
弱められた力に対して、俺は力が入らないなりにキュッと離さないことの意思表示をする。そうして部屋の中に沈黙が流れ、体感30分くらい経ってようやく凛は口を開いた。
面对被削弱的力量,我虽力不从心,却仍紧咬不放,以此表达我的坚定意志。房间内陷入沉默,仿佛过了半小时之久,凛终于开口了。
「……なんで、責めたりしねーんだよ……」 「……为什么,不会责备你啊……」
「じこかんりがなってないのに、りんをせめるのはおかどちがいだろ」
「自己管理不到位,却来责怪凛,这未免太不讲理了吧。」
「気づいてて何も言わなかったんだぞ」 「明明察觉到了却什么也没说」
「いおうとしてたじゃん」 「不是想亲吗」
それでもまだ凛は食い下がって、何で怒らないのか、と言外に含ませてくる。今回倒れたのは、自己管理のなっていない俺自身の自業自得としか考えられなくて、俺は凛を責めなかった。というよりも自業自得について滾々と状況を説明することに体力を使わなくて、凛の言葉に端的に返すということを繰り返した。
尽管如此,凛依然不依不饶地追问,为何不生气,言外之意昭然若揭。这次倒下,只能归咎于自己管理不善的自作自受,我并未责怪凛。与其说是解释自作自受的状况耗费了体力,不如说我反复直接回应凛的话语。
繰り返しながら感じた寒気に、ふるりと小さく体を震わせた。寒気がするってことは、まだ熱が上がりきってないってことだって小さい頃に病院でか母さんが言ってたのかで聞いた気がする。つまり、まだ俺の熱は上がりきってなくて今よりもさらにしんどくなるということ。
一边重复着,一边因感受到的寒意而微微颤抖。记得小时候在医院里,妈妈好像说过,感到寒意是因为热度还没完全上来。也就是说,我的热度还没完全上来,接下来会比现在更加难受。
しんどいのは別にいい。自業自得だし、“青い監獄”に来てからのトレーニングで限界まで追い詰めたりしたから。
辛苦什么的倒无所谓。自作自受罢了,自从来到“蓝色监狱”后,训练已经逼近极限了。
ただ、これ以上熱が上がって苦しくなって、些細な音でも耳が拾って頭に響くのは嫌だと思う。小さい頃とは違って我慢できるようにはなったけど、ここでキツイのを隠したら、冴は──凛はどう思う。
只是,不想再让热度升高到痛苦的地步,连细微的声音都能捕捉到并在脑海中回响。虽然和小时候不同,已经能够忍耐了,但如果在这里掩饰痛苦,冴——凛会怎么想呢。
表情には出さないけど、きっと凛はさらに自分を責めるかもしれない。いっそ蜂楽たちみたいに表情に出してくれた方がわかりやすいのにな、と思いながらクイッと緩く繋いだままの凛の手を引っ張った。
虽然脸上没有表现出来,但凛或许会更加自责。要是能像蜂乐他们那样把情绪表露出来,反而更容易理解,我一边这么想着,一边轻轻拉了拉凛那只依旧松松牵着的手。
「おと、あたまひびいてきつい」 「音、头裂开似的疼」
なんのことだ、と一瞬胡乱げな表情をされたけど、さっき冴に伝えた症状からピンと来たのかもしれない。緩く繋いでた手を離されて、両手で耳を優しく塞いでくれる。自分のものではない、大好きな相手の自分とは違う心地いい体温にポヤポヤとしていた意識はまた沈み込んで行った。
“什么啊?”他露出一瞬的困惑表情,但或许是从刚才告诉冴的症状中察觉到了什么。松开轻握的手,用双手温柔地捂住了我的耳朵。沉浸在并非自己、而是最爱的对方那与自己不同的舒适体温中,朦胧的意识再次沉沦下去。