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怪獣のバラード/おばけちゃん的小说

怪獣のバラード 怪兽的叙事曲

38,744字1小时17分钟

彼女持ちよっちゃんを彼女から寝取る凛ちゃんの話 从有女友的阿良手中夺走他的凛酱的故事

⚠️よっちゃんに彼女がいます。 ⚠️阿良有女朋友。
最終的に凛潔になる話ですが、苦手そうな方はご遠慮ください。
最终会变得凛洁的故事,不擅长此类题材的读者请谨慎阅读。

その他、注意事項がありますので1ページの注意書きをよくご覧ください。
此外,还有其他注意事项,请务必仔细阅读第一页的注意事项。


シリーズ表記になっていますが、1話の「君の恋が早く終わりますように」とは繋がっていません。別軸の世界線の話です。
虽然采用了系列标题,但与第一话的「愿你的恋情早日结束」并无联系。这是另一条世界线的故事。

なのでこの話はこれで完結してます。 所以这个故事到这里就结束了。

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その日、朝から潔の様子は少しおかしかった。寝起きの時点で妙に顔がぼうっとしていて。
那天,从早上开始洁的样子就有点奇怪。刚起床时,他的脸就异常地呆滞。

朝、潔は俺を放ってサッサと一人で家を出て行くのが常なのだが、今日は俺が家を出る時間になってもいつまでも家にいた。ソファに座っている潔に「まだ行かねぇのか」と問うと、潔はぼんやりした表情で俺を見上げた。頬が赤い。思うところがあって、無理矢理潔の体温を測ると、ディスプレイには37.5度と表示された。
平时早上,洁总是丢下我一个人匆匆出门,但今天到了我出门的时间,他还在家里。我问他:“还不走吗?”洁坐在沙发上,茫然地抬头看我,脸颊泛红。我有些担心,强行给他量了体温,显示屏上显示 37.5 度。

「……身体がキツかったんなら早く言え」 「……身体不舒服的话,早点说啊」
「……ちょっとダルいだけだと思ったんだよ。でも熱があると思ったら確かにキツくなってきた」
「……只是觉得有点累而已。但一想到发烧,确实感觉更难受了」

潔は気持ちの悪そうな顔をしている。俺は体温計をローテーブルの上に置くと、潔に言った。
洁露出不舒服的表情。我把体温计放在低矮的茶几上,对洁说。

「今日は寝とけ。明日までには治せよ」 「今天好好休息。明天之前要痊愈」

潔は大人しくコクンと頷いた。 洁轻轻地点了点头。
ただ、治せ、と言っても治るもんではないのが体調不良というものらしい。練習を終え、帰り際にスーパーに寄り、病人でも食えそうな食材を買い漁って家に戻る。ベッドの中にいた潔は朝よりも明らかにしんどそうな顔で寝ていた。
然而,虽说能治好,但身体不适似乎并不是那么容易痊愈的。练习结束后,回家途中顺便去了超市,买了些病人也能吃的食材。回到家,洁躺在床上,明显比早上看起来更加疲惫。

寝ている潔の脇に体温計を突っ込む。計測終了のピピピという音で潔が目を覚ました。
把体温计塞到熟睡的洁的腋下。随着测量结束的“哔哔哔”声,洁睁开了眼睛。

「……あれ、もう帰ってきたの……」 「……啊,已经回来了……」

潔は朝からずっと寝ていたらしい。コイツ、朝から何も食べてねぇのか、と心臓がひやっとする。体温計には40度という見たことのない数字が表示されていた。
洁似乎从早上就一直睡着。这家伙,从早上开始什么都没吃吗,心脏不禁一紧。体温计上显示着 40 度这个从未见过的数字。

「……医者、呼ぶ」 「……叫医生来」
「呼ぶ……?」
「往診。チームスタッフに教えてもらった」 「出诊。团队工作人员告诉我的」

潔の具合が悪いから休ませた、という話をスタッフにしたら夜間往診の番号を教えてもらったのだ。朝は微熱と呼べるような温度だったから、まあ呼ぶことはないだろうが念のために、くらいの気持ちだったのに。俺が電話を掛けているうちに、潔は再び眠ってしまっていた。意識を失ってるんじゃねぇよな、と思い至って血の気が引く。
我向工作人员说洁身体不适让他休息,结果他们告诉我夜间出诊的号码。早上只是有点低烧,本以为应该不会叫医生,只是以防万一的心态。在我打电话的期间,洁又睡着了。想到他不会是失去意识了吧,我不禁感到一阵寒意。

往診の医者はすぐに来た。いくつかウィルス検査をしたら全て陰性で「おそらくただの風邪でしょう。3日経っても熱が下がらないようであれば再度医療機関を受診してください」と言って、解熱剤だけを置いて帰って行った。風邪、と診断されてホッとすると同時に、ただの風邪でここまで熱が上がることがあんのか、と不安になる。
出诊的医生很快就来了。做了几项病毒检测,结果全是阴性,医生说:“恐怕只是普通感冒。如果三天后热度还不退,请再次就诊。”留下退烧药就离开了。被诊断为感冒,松了一口气的同时,又不安起来,只是感冒怎么会烧到这种程度。

取り敢えず、解熱剤を飲ますか、とコップに水を汲んでくる。潔の身体を揺らすと、微かに瞳が開いた。
总之,先喝点退烧药吧,说着拿起杯子去打水。轻轻摇晃洁的身体,他的眼睛微微睁开。

「薬、もらったから飲め。水分もとらねぇとだろ」 「药,拿来了,喝吧。水分也要补充啊」

潔は俺の言葉に返事もせずにぼうっとしていた。その反応が怖くて錠剤を出して無理やり潔の口の中に突っ込む。そして水の入ったコップにさしたストローを突っ込む。潔はゆっくりとそれを嚥下した。
洁对我的话毫无反应,只是呆呆地愣着。我害怕她的反应,便拿出药片强行塞进洁的嘴里。然后,将插在装水杯子里的吸管塞进去。洁慢慢地咽下了药水。

「……薬が効いたら楽になるはずだ」 「……药效上来后,应该会感觉轻松些。」

気休めのようにそう言うと、潔はそれに呼応するように再びまぶたを閉じた。
我像是在安慰自己似地说道,洁仿佛回应般再次闭上了眼睑。

『風邪 早く治す』『風邪 食べ物』『風邪 40度』
『感冒 快点好』『感冒 食物』『感冒 40 度』

リビングで色んなワードを打ち込み検索をする。仕入れたばかりの知識をもとに、明日はスーパーに行って新たに食材を買い込んでこようと心に決める。あと水分補給が何より大事らしい。俺は常用している粉のスポーツドリンクをコップに溶かすと寝室に向かった。
在客厅里输入各种关键词进行搜索。根据刚学到的知识,我决定明天去超市采购新的食材。据说补充水分尤为重要。我将常用的粉末运动饮料溶解在杯子里,然后走向卧室。

潔は薬が効いたのか、さっきよりは穏やかな表情で寝ていた。起こすのも悪いのでベッド脇の棚にスポーツドリンクのコップを置く。
洁似乎是药效起了作用,比刚才更平静地睡着了。叫醒他也不好,于是我把运动饮料的杯子放在床边的架子上。

そばにいると風邪が移る可能性が高いからなるべく別の部屋にいたほうがいいのは分かるが、別室にいる間にコイツに何かないか、ということが心配で離れることが出来ない。結局、その日の晩、俺はいつもと同じように潔と同じベッドで寝た。風邪が移るなら移れば良い、と思った。
我知道待在旁边可能会被传染感冒,最好待在别的房间,但担心在他独处时会发生什么,所以无法离开。最终,那天晚上,我和往常一样和洁睡在同一张床上。心想,如果感冒传染了就传染吧。

夜中、何度も目が覚めて、その度に潔のおでこに手を伸ばした。最初は解熱剤が効いてひんやりしていたおでこも、じきに薬の効果が切れたのか、再び熱が上がってきた。
半夜,我多次醒来,每次都伸手去摸洁的额头。起初,退烧药起效,额头凉凉的,但很快药效似乎过去了,热度再次上升。

翌朝も、潔の熱は一向に下がらなかった。俺は午前中だけ練習に参加し、スーパーで買い出しを済ませて、家に帰った。寝室を覗き、潔が寝ていることを確認してキッチンに向かう。たまご粥を作り、りんごを剥いて、スポーツドリンクも作る。それらをトレーに乗せて再び寝室に向かった。潔は昨日から丸一日何も食べていない。一口、二口何か物を口に入れてくれたら良い、と思った。
第二天早上,洁的热度丝毫未减。我上午只参加了练习,去超市采购后回家。探头看卧室,确认洁还在睡觉,然后走向厨房。煮了鸡蛋粥,削了苹果,还做了运动饮料。把它们放在托盘上,再次走向卧室。洁从昨天起一整天都没吃东西。心想,哪怕能吃上一口、两口也好。

ベッド脇の棚にトレーを置き、ベッドの中の潔を覗き込むと、俺の気配を察したのか、潔が目を開いた。
把托盘放在床边的架子上,探头看向床上的洁,他似乎察觉到了我的气息,睁开了眼睛。

「何か食うか。たまご粥とりんごがある」 「吃点什么吧。有鸡蛋粥和苹果。」

潔は目を何度か瞬かせた後に「……いらない」とだけ言った。
洁眨了几下眼睛后,只说了句「……不需要」。

「じゃあ、せめてスポーツドリンク飲め。水分は取った方が良い」
「那么,至少喝点运动饮料吧。补充水分比较好」

そう言ってスポーツドリンクのストローを潔の口に当てる。潔は何回かに分けてそれを飲んだ。喉は乾いていたらしい。
说着,将运动饮料的吸管凑到洁的嘴边。洁分几次喝下了它。喉咙似乎很干渴。

「薬飲むか?」 「要吃药吗?」

俺の問いに潔は首を横に振る。食べ物はいらない、薬もいらない、飲み物は飲んだ。もうこれ以上、俺に出来ることはない。ただ、そのまま寝室を出るのも嫌で、ベッド脇の床に腰を下ろした。潔の顔と俺の顔の高さがちょうど同じくらいになる。熱は依然として下がらないままだが、昨日よりかは顔色が良い気がする。幸い、明日、うちのチームはオフ日だ。一日中、看病が出来る。
面对我的询问,洁摇了摇头。不需要食物,不需要药物,已经喝过水了。我已经无能为力了。只是,就这样离开卧室也觉得不妥,于是在床边的地板上坐下。洁的脸和我的脸差不多在同一高度。热度依旧没有退去,但感觉比昨天脸色好些了。幸好,明天我们队是休息日。可以一整天照顾他。

そんなことを考えていると、潔が口を開いた。 正想着这些,洁开口了。

「……凛。昨日、俺と一緒に寝てた?」 「……凛。昨天,你和我一起睡的吗?」

掠れた声だ。ぐっすり寝ているように見えたが、コイツも夜中、目を覚ましたのか、と思った。
声音沙哑。看起来睡得很沉,但这家伙也在半夜醒来了吗,我这么想着。

「寝た。狭かったか」 「睡了。挤吗?」
「いや、そんなんじゃなくて。……風邪の人間と一緒に寝たらダメじゃない?お前にも移るよ」
「不,不是那个意思。……和感冒的人一起睡不好吧?你会被传染的。」

「俺は風邪引いたことねぇ」 「我可从来没感冒过」
「それは嘘」 「那是骗人的」

潔はそう言うと微かに笑った。笑えるなら昨日よりも元気になっている。俺はホッとして潔のおでこに手を伸ばした。そこは未だ熱いけど、昨日ほどではない。
洁这么说着,微微地笑了。能笑出来,说明比昨天精神多了。我松了口气,伸手摸了摸洁的额头。虽然还是有点热,但已经不像昨天那么烫了。

「俺が寝てる間に、お前が死んだら困る」 「我睡觉的时候,你要是死了可怎么办」

俺がそう言うと、潔は「……風邪で死ぬわけないじゃん」とぽつりと言った。
我这么一说,洁低声嘟囔道:「……感冒怎么会死人嘛」



次の日の朝。潔の熱は37度台まで下がった。医者に3日熱が続いたら、と言われていたが、医者の読み通りだった。普通の風邪だったらこれくらいで下がるんだな、と思った。
第二天早上,洁的体温降到了 37 度左右。医生曾说如果持续发烧三天,但正如医生所料,体温降下来了。我想,如果是普通感冒,大概就是这样降下来的吧。

前の晩も俺は潔と同じベッドで寝ていた。朝、目が覚めると潔は俺より先に目を覚ましていて、困ったように俺を見ていた。
前一晚,我和洁睡在同一张床上。早晨醒来时,洁已经比我先醒了,他有些困扰地看着我。

「おはよ。凛」 「早安,凛。」
「……だいぶ、体調良さそうだな」 「……看起来,你身体状况不错啊。」
「うん。おかげさまで。ってか、何でまた同じベッドで寝てるんだよ。昨日言ったじゃん」
「嗯。托你的福。话说,为什么又睡在同一张床上啊。昨天不是说过了吗」

それに、と潔は続ける。少し恥ずかしそうな顔だ。 而且,洁继续说道。脸上带着些许害羞的表情。

「俺、二日間風呂入ってねぇし……。汗もめちゃくちゃかいたし」
「我已经有两天没洗澡了……。汗也流得一塌糊涂」

何が言いたいか分からずに潔を見つめる。潔は俺の身体を手で押した。
不知所云地凝视着洁。洁用手推了推我的身体。

「だからあんま近寄んなって。くせぇだろ」 「所以别靠太近啊。很烦吧」
「……くせぇとは思わなかった」 「……并不觉得烦」

確かにシャンプーやボディソープみたいな匂いはしないが、臭いとは思わなかった。生きてる人間の匂いだ、と思った。そう言ったら「それが臭いってことじゃねぇの!?」と潔は一人で謎に焦っていた。
确实没有洗发水或沐浴露那样的香味,但并不觉得臭。我觉得那是活人的气味。这么一说,洁却独自一人莫名其妙地焦急起来,说:“那不就是臭的意思吗?!”

その後、潔がどうしてもと言うので風呂にお湯を溜めた。潔が風呂に入っている間にたまご粥を作る。前日に作ったが食べれなかったやつだ。
之后,洁执意要求,于是我放了洗澡水。在洁洗澡的时候,我做了鸡蛋粥。是前一天做的但没能吃掉的那份。

風呂上がり、潔はそれを皿の半分ほど食べた。「昨日は食べれなくてごめんな」なんて申し訳なさそうに言っていた。
洗完澡后,洁吃了大约半盘。他带着歉意说:“昨天没能吃掉,对不起。”

食事を終わらせて再び潔をベッドに押し込む。ベッドシーツは先ほど潔が食事している間に新しいものに変えた。
吃完饭后,再次将洁推回床上。床单在他用餐期间已经换上了新的。

潔は新しいシーツの上で気持ちよさそうに伸びをした。
洁在新床单上舒适地伸展着身体。

「ありがとな。凛。何から何まで」 「谢谢你,凛。什么都帮我做了。」
「別に。普通だろ」 「没什么。很平常吧」
「いや、結構本気で感動してる。……俺、こっちに来たばっかりの時も今回みたいに体調崩したことがあってさ」
「不,我可是相当认真地感动了。……我刚来这边的时候,也有过像这次一样身体不适的经历」

俺は昨日と同じようにベッド脇の床に座った。潔は横向きで寝たまま俺を見ながら続ける。
我像昨天一样坐在床边的地板上。洁侧躺着,一边看着我一边继续说。

「あの時も40度くらい上がったかも。でも移籍したばかりだからまわりに頼れる人がいなくて。飲み物も食べ物も買いに行けなかったし、解熱剤も家になかったし、結構マジで死ぬかと思ったんだよな。だから今回、凛がいてくれて助かった」
「那时候可能也烧到了四十度左右。但刚转会,周围没有可以依靠的人。连水和食物都没法去买,家里也没有退烧药,真的以为自己会死掉呢。所以这次有凛在,真是帮了大忙。」

俺は潔のおでこに手を伸ばした。この3日間で何度このおでこに手を伸ばしただろうか。伝わる熱に、何度不安を煽られただろうか。成人済みの大人が風邪をひいただけなのに。
我伸手摸了摸洁的额头。这三天里,我究竟多少次伸出手去触碰这个额头呢?传递过来的热度,又让我多少次感到不安呢?明明只是个成年人得了感冒而已。

「凛。一昨日から何回も俺のおでこ触ってただろ。……意外と心配症なんだな」
「凛。从前天开始你就一直在摸我的额头吧。……没想到你还挺操心的。」

そう言って潔はここ数ヶ月、見たこともない穏やかな顔で俺に笑った。
说完,洁露出了这几个月来我从未见过的温和笑容。

その後、俺は床に座ったまま本を読んでいたのだが、ベッドの中の潔は一向に眠る様子もなくゴロゴロと転がっていた。
之后,我坐在地板上继续看书,而床上的洁却丝毫没有要入睡的样子,一直在床上翻来覆去。

「寝ろよ」 「快睡吧」
「眠れねぇ。寝過ぎた」 「睡不着。睡太多了」
「……テレビでも見るか?」 「……要不看看电视?」
「んー。それより、凛。なんか面白い話してよ」 「嗯——。与其那样,凛。给我讲点有趣的事吧」
「は?」 「哈?」

本から顔を上げて潔を見ると、潔はイタズラが成功した子供のような顔で俺を見ていた。どうやらこんな会話が出来るくらいには元気になったらしい。
抬起头看向洁,洁正带着一副恶作剧得逞的孩子般的表情看着我。看来他已经恢复到能进行这种对话的程度了。

「まあ、面白い話じゃなくていいよ。なんか話そ。……凛の好きな動物って何?俺は伊勢海老」
「嘛,不用有趣的故事也可以。随便聊聊吧。……凛喜欢的动物是什么?我嘛,是伊势龙虾。」

予想外の話の展開についていけない。というか。 跟不上意料之外的剧情发展。或者说。

「……伊勢海老が好きな動物のジャンルに入ってくることあんのか。好きな食いモンじゃねぇのか」
「……伊势龙虾也算喜欢动物的范畴吗。不是喜欢的食物吗」

「あのフォルムがカッコいいんだって。で、凛は?」 「那个外形很酷啊。那你呢?」
「……俺はフクロウ」 「……我是猫头鹰。」
「フクロウ!?」 「猫头鹰!?」

潔はへぇ、と目を丸くさせた。 洁惊讶地瞪大了眼睛。

「なんか意外だわ。どこら辺が好きなの」 「有点意外呢。你喜欢哪一点?」
「……目、が良い」 「……眼睛、很好」
「目がいい?視力の話?」 「眼睛很好?是指视力吗?」
「んなわけねぇだろ。視力が良いから好きとかなんねぇだろ」
「怎么可能嘛。因为视力好就喜欢什么的,根本没那回事吧」

「いや、わかんないじゃん。好きになる理由なんて人それぞれなんだし。じゃあ、好きな季節は?」
「不,谁知道呢。喜欢上一个人的理由因人而异嘛。那么,你喜欢的季节是?」

「秋」
「俺も!ちょっと寒くなったくらいが寂しくていいよな。……じゃあ、学生の時に得意だった教科は?」
「我也是!稍微有点冷的时候最棒了,有点寂寞的感觉真好。……那么,学生时代最擅长的科目是?」

「体育と美術」 「体育与美术」
「……マジで?俺もなんだけど。体育と美術」 「……真的假的?我也是啊。体育和美术」

俺らって意外と似てる?なんて潔が小さく笑う。俺は何となく気恥ずかしくなった。聞かれたから答えただけなのに。
我们意外地相似吗?洁轻声笑了笑。我莫名感到有些害羞。只是被问到就回答了而已。

「趣味は?ホラー映画鑑賞?」 「兴趣是什么?看恐怖电影?」
「……ああ」 「……啊」
「そっかー。今度、おすすめの映画教えてよ。この前、凛と観た映画結構面白かった。怖かったけど」
「这样啊——下次推荐几部好电影给我吧。之前和凛一起看的电影挺有趣的。虽然有点吓人。」

ってか、今からなんか観ようかな?熱上がるかな?と笑う潔を見ていると、何だか昔に戻った気がする。俺が潔をレイプする前。まだライバルであり、チームメイトであり、友人、と言っても差し支えなかった頃。
话说回来,现在要不要看点什么?会不会热血沸腾呢?看着笑着这样说的洁,不知为何有种回到了过去的感觉。在我强奸洁之前。那时我们还是竞争对手、队友、朋友,说起来也毫不违和。

「……お前の趣味はなんなんだ」 「……你这家伙的兴趣是什么啊」

俺は言った。あの頃は、潔ばっかりに喋らせていた。俺は潔の喋る話を適当に受け流したり、酷い時は無視したり。今ならそんなことしない、と思う。というか。あの時、もう少しマシな対応をしていれば、俺は潔をレイプしないですんだ道があったのではないか、と思った。潔の意思や尊厳を無視したやり方ではなく、潔自身が自分の意思で俺のそばにいることを選んでくれた未来が。
我说道。那时候,总是让洁一个人说话。我随便应付他的话题,有时甚至无视。现在我不会那样做了,我想。或者说。如果那时我能稍微好一点地回应,也许就不会走上强奸洁的道路,我这样想。不是无视洁的意愿和尊严,而是洁自己选择留在我的身边,那样的未来。

「……俺?俺の趣味?興味ある?」 「……我?我的兴趣?你感兴趣?」

潔が笑う。俺は潔の頬に指を伸ばした。ここまで元気になってくれて良かった。コイツが弱っている姿はもう見たくない。指の背で頬を撫でる。
洁笑了。我伸出手指触碰洁的脸颊。看到你恢复精神真是太好了。再也不想看到这家伙虚弱的样子了。用指背轻抚脸颊。

「ある」 「有」
「……俺の趣味は散歩かなー。考え事したい時とか外を歩くと新しいアイディアが降ってくるし、あと家の中にこもってるよりリフレッシュ出来る」
「……我的兴趣大概是散步吧。想事情的时候在外面走走,会有新的灵感降临,而且比宅在家里更能放松。」

「散歩してるところ見たことねぇが」 「没见过你散步的样子啊。」
「だって、お前、俺が一人で外出すると不機嫌になるじゃん」
「可是,你看到我一个人出门就会不高兴嘛。」

そう切り返されて閉口する。確かに、俺は潔が一人で外出するのを好まなかった。俺から逃げるつもりなんじゃないかとか、外出した先で誰かと会ってるんじゃないかとか、想像するのが怖かったせいだ。俺はコイツのささやかな趣味すら、知らず知らずのうちに取り上げていたらしい。
被他这么一反驳,我无言以对。确实,我不喜欢洁一个人外出。我害怕他会逃跑,或者在外面见什么人。我甚至不知不觉中剥夺了他那微不足道的兴趣。

「……風邪が治ったら、散歩でもなんでもしろ。もう不機嫌になったりしねぇから」
「……感冒好了之后,随便去散个步什么的吧。不会再不高兴了」

俺がそう言うと、潔はジッと俺の顔を見つめた。本当か?とでも言うように。俺は気まずくなってそれを誤魔化すように立ち上がった。
我这么一说,洁直直地盯着我的脸,仿佛在问:真的吗?我感到尴尬,便站起身来掩饰。

「俺はリビングにいる。なんかいるもんがあったら呼べ」
「我在客厅。有什么事就叫我。」

そう言って寝室を出ていく。 说完便离开了卧室。
潔は離れて行ってしまうかもしれない、と思った。自由を与えたら、これ幸いと俺の元から逃げてしまうかもしれない。というかきっとそうなるだろう。
他可能会离我而去,这个念头闪过脑海。一旦给予自由,他或许会趁机逃离我的身边。不,应该说肯定会那样吧。

あの動画がある限り、潔は俺から離れられないだろうが、最早俺にはあの動画をどうこうしようという気が起きない。元からただの脅し用に撮っただけだったが、今ではその脅し文句ですら口に出来そうにない。
只要有那段视频在,洁就无法离开我吧,但如今我已无心再去处理那段视频。原本只是为了威胁而拍摄的,现在甚至连那威胁的话语都说不出口了。

俺は、この生活にも終わりが近づいているのだと感じた。
我感到,这样的生活也快要结束了。



次の日には潔の熱もすっかり下がった。病み上がりだから大人しくしてろよ、と言ったにも関わらず、俺が日中練習でいない間に潔はロードワークに行ったらしい。その話を聞いた時、俺は心底呆れてしまった。
第二天,洁的热度已经完全退了。尽管我说过病刚好要老实点,但似乎在我白天练习不在的时候,洁还是去跑外勤了。听到这个消息时,我真是打心底里感到无语。

「休んでろっつたよな?」 「不是叫你休息吗?」

スーパーに寄って買った食材をキッチンカウンターに置きながら言う。潔は「怒られるとは思わなかった」というような顔をしていた。
一边说着,一边把在超市买的食材放在厨房的料理台上。洁露出一副“没想到会被骂”的表情。

「え、ごめん。もうすっかり元気だったし」 「啊,对不起。我已经完全恢复了。」
「熱がぶり返したら殺すからな」 「要是再发烧,我可要杀了你。」

イライラしながら冷蔵庫を開けると、中に鍋が丸ごと入っているのに気が付いた。俺が入れた覚えはない。
烦躁地打开冰箱,发现里面整整齐齐地放着一个锅。我完全不记得自己放进去过。

「……作ったのか、これ」 「……这是你做的吗?」
「……作ったけど。凛がいらないなら食べなくて良いよ。別に」
「……是我做的。凛不需要的话不吃也没关系。反正……」

潔は拗ねたような声を出して言う。俺はため息を吐いて冷蔵庫のドアを閉めた。
洁带着赌气的语气说道。我叹了口气,关上了冰箱的门。

「まさか買い出しも行ったんじゃねぇだろうな」 「不会连采购都去了吧」
「……行ったけど。でもそれ以外は家で大人しくしてた」
「……去了。不过除此之外都在家乖乖待着」

俺は、怒れば良いのか、喜べば良いのか、どうしたら良いのか分からなかくなってしまった。
我不知道该生气还是该高兴,到底该怎么做才好。

潔が家で大人しくしていなかったことにはイライラする。買い出しなんて俺に任せとけば良いのに、とも思う。ただ、飯を作ってくれたのは純粋に嬉しい。潔が俺のために飯を作ったのは数ヶ月ぶりだ。
洁在家里不乖让我很烦躁。明明买东西这种事交给我就可以了,我也这么想。不过,能吃到他做的饭还是打心底里高兴。洁为我做饭已经是好几个月前的事了。

「……ごめん。凛の言う通りだわ。熱がぶり返したらまたお前に迷惑かけるもんな」
「……对不起。凛说得对。要是热度又反复了,又要给你添麻烦了。」

潔が珍しく落ち込んだような声色で言った。潔はリビングの真ん中で下を向いて突っ立っていた。コイツもまさか俺がこんなことで怒るとは思ってもいなかっただろう。むしろ料理を準備したことで俺が喜ぶと思っていたのではないか。なんだかそう思うと俺の胸がチクリと痛んだ。
洁用难得一见的低落语气说道。他站在客厅中央,低着头僵立着。这家伙大概也没想到我会因为这种事生气吧。他或许以为我看到他准备料理会高兴呢。不知为何,这么一想,我的胸口就隐隐作痛。

「迷惑だとは思ってねぇ。またお前が熱を出したらいくらでも看病してやる。……ただ、サッカー出来ねぇのはお前もしんどいだろ」
「我可没觉得困扰。你再发烧的话,我会随时照顾你的。……只是,踢不了足球,你也很辛苦吧。」

俺がそう言うと、潔は顔を上げた。きょとんとした顔で。俺は再び冷蔵庫を開けると、鍋を取り出してコンロの上に置いた。火をつけて温め直す。蓋を開けて調理用スプーンでかき混ぜる。チキンとトマトのスープのようだった。
我这么一说,洁抬起了头。一脸茫然。我再次打开冰箱,取出锅放在炉子上。点火重新加热。打开盖子,用调理勺搅拌。像是鸡肉番茄汤。

「お前はもう食ったのかコレ」 「你已经吃过了吗?」
「……まだ。凛と一緒に食おうと思って」 「……还没。想着和凛一起吃」

潔は俺の顔色を伺うように見ていた。なんだかその表情も哀れで、そんな顔をさせている自分に苛立つ。
洁似乎在窥探我的脸色。不知为何,她的表情显得可怜,让我对自己让她露出这样的表情感到烦躁。

「パンを買ってきてる。スープに合うだろ」 「我去买面包。配汤应该不错。」

そう言うと、潔は嬉しそうな顔をした。俺が買ってきた買い物袋を覗き込み「美味そう」と声をあげる。
说完,洁露出了开心的表情。他探头看向我买来的购物袋,发出“看起来很好吃”的赞叹声。

その後、二人で潔の作ったスープをメインに食事をした。ぎこちないながらも、ここ数ヶ月の夕食の中で一番和やかな夕食だった。
之后,两人以洁做的汤为主食共进晚餐。虽然有些生硬,但这却是几个月来最温馨的一顿晚餐。

「痛い……」 「好痛……」

夕食の途中で潔が顔を顰めた。どうした、と視線で問うと、潔が舌を突き出す。
晚餐进行到一半时,洁皱起了眉头。怎么了?我用眼神询问,洁吐了吐舌头。

「口内炎」

潔の舌には赤いポツンとした出来物が出来ていた。俺は潔の舌の鮮やかな赤に目を奪われた。
洁的舌头上长了一个鲜红的突起。我被洁舌头上那抹鲜艳的红色吸引了目光。

「……噛んだのか」 「……咬了吗?」
「うーん、分かんない。なんかいつの間にか出来てた」
「嗯,不知道。好像不知不觉间就出现了。」

「ビタミン不足じゃねぇのか。風邪のせいで」 「是不是维生素不够啊。因为感冒的缘故」
「あ、なんかあり得そう。それ」 「啊,好像有可能。就是那个」

二人でポツポツと喋る。その後、潔は口内炎の痛みに顔を顰めながら夕食を食べ切った。潔が夕食を作ったので、俺が皿を洗った。その間に潔はシャワーを浴びに行く。皿を洗っている間中、俺は先ほど見た潔の舌の赤を思い出していた。
两人断断续续地聊着。之后,洁因为口腔溃疡的疼痛皱着眉头吃完了晚饭。晚饭是洁做的,所以由我来洗碗。期间洁去洗澡了。洗碗的时候,我一直在回想刚才看到的洁舌尖的红色。

柔らかそうな舌だった。 柔软的舌头。
きゅっと蛇口を閉めてタオルで手を拭く。そして俺は財布と鍵を掴むと玄関に向かった。
紧紧关上水龙头,用毛巾擦干手。然后我抓起钱包和钥匙,走向玄关。


外出から帰り、玄関で靴を脱いでいると、ドタドタと足音がして潔が驚いた表情で俺を見ていた。
从外面回来,在玄关脱鞋时,突然传来一阵急促的脚步声,洁露出惊讶的表情看着我。

「凛。どこ行ってたの?シャワーあがったらお前いねぇんだもん。びっくりしたんだけど」
「凛。你去哪儿了?洗完澡出来你就不见了,吓我一跳。」

俺は手に持っていた袋を潔に押し付けると、潔を追い越して洗面所に入り、手を洗った。リビングに戻ると、潔は買い物袋を抱えてポケッと立ち尽くしていた。
我将手中的袋子干净利落地塞给洁,越过他走进洗手间洗手。回到客厅时,洁正抱着购物袋,呆呆地站在那里。

「なにこれ?何買ってきたの?」 「这是什么?买了什么回来?」

潔は袋の中身を取り出して聞く。俺はソファに座って言った。
洁从袋子里拿出东西问道。我坐在沙发上回答。

「口内炎の薬。塗ってやるからここに座れ」 「口腔溃疡的药。我给你涂,坐这儿。」

後ろを振り返る。潔は薬の箱を片手にポカンとしていた。
回头一看,洁手里拿着药箱,愣愣地站在那里。

「……何やってんだ、早くこっちに来い」 「……在搞什么啊,快点过来」

久しぶりに見た間抜けな表情にイラッとする。潔は慌てて俺の隣に座ると、俺を見ながら言った。
看到久违的傻样,我不禁有些恼火。洁慌忙坐到我旁边,一边看着我一边说道。

「買ってきてくれたの?薬?」 「你买回来了吗?药?」
「見りゃあ分かんだろ」 「一看不就知道了嘛」
「……口内炎に薬ってあるんだ」 「……口腔溃疡有药的」
「こっちが塗り薬で、こっちがシールタイプの薬だ。食事の時とかにはこのシールタイプのやつを貼ってると痛くない」
「这边是涂抹药,这边是贴片型的药。吃饭的时候贴上这个贴片型的,就不会疼了。」

俺は潔の手から袋を奪うと中の箱を開けながら言った。取り敢えず塗り薬の方のチューブを開ける。指に薬を出すと「口、開けろ」と潔を見る。
我从洁手中夺过袋子,边打开里面的盒子边说道。先打开涂抹药膏的那支管子。挤出药膏在手指上,然后看着洁说:“张嘴。”

「え、良いよ。自分で塗るよ」 「诶,可以啊。我自己来涂吧」

もっともな拒絶をされて我に帰る。確かにそうだ。いくらコイツがアホだろうと、子供じゃねぇんだから薬くらい自分で塗れる。そんなことにも思い至らなかった自分に驚いていると、その動揺をどう受け取ったのか、潔は慌てて言った。
被合情合理的拒绝了,我回过神来。确实如此。不管这家伙再怎么傻,毕竟不是小孩子了,药总该会自己涂吧。我对自己竟然没想到这一点感到惊讶,而洁似乎误解了我的动摇,慌忙说道。

「あ、いや、もう薬出したんなら凛が塗って」 「啊,不,既然药已经拿出来了,就让凛来涂吧。」

そう言ってベェと舌を出す。俺は再び固まった。先ほども見た潔の赤い舌が目の前に差し出される。潔は自分の目の前にいるのが、自分を散々凌辱した男だということをスッカリ忘れているかのようだった。
说完,贝也吐出了舌头。我又一次僵住了。眼前再次出现了洁那鲜红的舌头。洁似乎完全忘记了眼前这个男人就是曾经对自己百般凌辱的人。

俺は指を伸ばして潔の舌に薬を塗った。潔は痛むのか少し顔を顰めていた。指で潔の舌の側面を撫でる。その頃にようやく潔はピクンと身体を揺らした。
我伸出手指,在洁的舌头上涂抹药物。洁似乎感到疼痛,微微皱起了眉头。我用手指轻抚洁的舌侧。这时,洁终于微微颤动了一下身体。

潔の頬が赤くなる。俺は引っ込みかけた潔の舌を指2本で掴むと言った。
洁的脸颊泛红。我伸出两根手指,抓住了正要缩回去的洁的舌头。

「まだ塗れてねぇ」 「还没湿透呢」

嘘だった。潔も何となく気付いていただろうが、大人しく舌を出したまま俺を上目遣いで見ていた。俺は潔の舌の上に自分の指を乗せた。軽く押すと潔の舌に自分の指が沈む。潔は俺の指を嫌がることも噛むこともせずに大人しくしていた。
那是骗人的。洁大概也隐约察觉到了吧,他乖乖地吐着舌头,用仰视的眼神看着我。我将手指放在洁的舌头上。轻轻一按,自己的手指便陷入了洁的舌中。洁既没有厌恶地避开,也没有咬我,只是乖乖地任我摆布。

「……もういい」 「……够了」

しばらく潔の舌を指で撫でまわしてから潔の口から指を引き抜く。潔は舌を出している間に口内に唾液が溜まったらしく、それを音を鳴らして飲んだ。
过了一会儿,他用手指抚弄着洁的舌头,然后从洁的口中抽出手指。洁在伸出舌头期间,口中似乎积攒了唾液,他发出声响地咽了下去。

ごくり、という音が俺の耳にまで響く。俺はテーブルの上にあったティッシュを1枚取り、指を拭きながら思った。
咕噜一声,这声音甚至传到了我的耳中。我拿起桌上的一张纸巾,一边擦拭手指一边想着。

潔の唇に自分の唇を当てたら、どんなに心が満たされるだろうか、と考えたことがある。
曾想过,若将自己的唇贴上洁的唇,心灵会得到怎样的满足。

正直、俺は人生で誰かと唇を合わせたいなんていう欲求を持ったことがない。キスは女相手に何度かしたことはあったが、全く興奮もせず、気持ちが良いとも思えなかった。そもそもキスだけじゃなくてセックスだって、ペニスを膣に入れて何分か擦って終わり、くらいの淡白なものしかしたことがない。ただ、潔相手だと違う。すぐに出してしまうのは勿体無くて、イクのを我慢したり、色々な対位を試してみたり、潔の気持ち良さそうな顔が見たくて前戯に時間を掛けたりする。唇だって合わせたいのをいつもすんでのところで我慢しているのだ。
老实说,我从未有过想要与某人接吻的欲望。虽然曾与女性接过几次吻,但完全没有兴奋感,也不觉得愉快。更不用说性行为,我仅有的经验不过是将阴茎插入阴道摩擦几分钟就结束的平淡无奇之事。然而,对洁来说,情况截然不同。我总是舍不得太快射精,会忍耐高潮,尝试各种体位,甚至为了看到洁愉悦的表情而花费大量时间在前戏上。就连接吻,我也总是在最后关头忍住,只因我渴望与洁的唇相触。

その晩、俺は夢を見た。潔とキスをする夢だった。唇を合わせる度に潔は嬉しそうに微笑んだ。今日、指で感じた感触通り、潔の舌は柔らかくて暖かかった。
那晚,我做了一个梦。一个与洁接吻的梦。每当我们的唇相触,洁都会开心地微笑。今天用手指感受到的一样,洁的舌头柔软而温暖。



潔が練習に復帰した。ただ、数日寝込んだせいで少し体力が落ちてしまったらしい。練習後、以前より疲れたような表情をするようになった。そんな表情を見てしまうと何だか無理をさせるのも憚られて、夜、セックスをすることなく眠りにつく日々が続いた。セックスをしないと、夜が長く、手持ち無沙汰になった俺と潔は、二人でソファに並んで映画を観たりするようになった。基本的には俺が選んだホラー映画やサメ映画を観るが、たまに潔に選ばせたりもした。
洁恢复了训练。只是,似乎因为躺了几天,体力有些下降。练习后,他开始露出比以前更疲惫的表情。看到那样的表情,总觉得不忍心让他勉强,于是夜晚我们不再做爱,只是相拥入眠的日子持续着。不做爱的话,夜晚显得漫长,无所事事的我和洁,开始并排坐在沙发上一起看电影。基本上是我选的恐怖片或鲨鱼片,但偶尔也让洁来挑选。

そうやって、一旦、セックスをしない期間を作ってしまったら、いざヤりたくなった時にどうやってセックスに誘えば良いのか分からなくなってしまった。以前はどうしていただろうか。俺がムラっときたタイミングで潔の身体を無言で撫で回したりしていたらアイツの身体が反応してそのまま雪崩れ込むように寝室に向かう、とかそんなんだった。アイツの意思なんて全く考慮しない始まり方。
就这样,一旦制造出一段不发生性行为的期间后,等到真正想做的时候,却不知道该如何开口邀请对方进行性行为。以前是怎么做的呢?我情绪上来时,会默默地抚摸洁的身体,然后他的身体会有反应,我们就自然而然地像雪崩一样涌向卧室,大概就是那样开始的。完全不考虑对方意愿的开始方式。

俺からアクションを取らなければ、潔は当然俺とヤりたくもないのだろう。だからこそ、いまこんなに身体を合わせない期間が長くなってしまっている。むしろアイツとしては俺から誘われなくなってホッとしているかもしれない。
如果我不主动采取行动,洁当然也不会想和我做吧。正因为如此,我们才这么长时间没有身体接触。说不定那家伙反而因为我不再邀请他而松了口气。

その日も俺たちはセックスをせずに眠った。その晩は映画ではなく直近の自分たちの試合映像を観ながらあーだこーだ喋り時間を潰した。セックスをするよりも有意義な時間であるはずなのに、俺は何となく物足りないままベッドに入った。そしてそれは潔も同じだったようだ。
那天晚上,我们没有做爱就睡了。那晚我们没有看电影,而是边看最近的比赛录像边东拉西扯地打发时间。明明应该是比做爱更有意义的时间,我却不知为何感到有些不满足地钻进了被窝。而洁似乎也是同样的感觉。

夜中。物音で目が覚めた。まず聞こえてきたのは衣擦れの音だった。隣で寝ている潔が立てている音だと気付く。眠れねぇのか、と寝惚けた頭で思っていると、潔の掠れた声が聞こえた。
夜半时分,被物音惊醒。首先传入耳中的是衣料摩擦的声音。意识到是睡在旁边的洁发出的声响。迷迷糊糊地想着,他是不是睡不着呢,这时听到了洁略带沙哑的声音。

「……ん、は……っ」 「……嗯、哈……」

その声で一瞬で目が覚めた。その甘い声は俺が今まで何度も聞いたことがある声だったからだ。潔を抱く時。よくコイツはこういう鼻から抜ける吐息を漏らしていた。
那声音让我瞬间清醒过来。那甜美的嗓音,是我曾多次听过的。每当拥抱洁时,他常会发出这种从鼻腔逸出的叹息。

頭をずらして潔の方を見ると、潔は俺に背を向けていた。潔は相変わらず布団の下でゴソゴソと動いている。やけに規則的なその動きに俺はピンときた。
歪着头看向洁的方向,发现洁背对着我。洁依旧在被子底下窸窸窣窣地动着。那异常规律的动作让我一下子明白了。

オナニーをしている。 在自慰。
潔は俺が眠っているすぐ横で一人でオナニーをしていた。
洁在我熟睡的旁边独自自慰。

俺は正面を向いていた身体を潔の方は向けた。すると潔はぴたりと動きを止めた。潔の身体に手を伸ばす。
我将原本面向前方的身体转向洁。随即,洁立刻停下了动作。我伸手触碰洁的身体。

最初、コイツはペニスを擦っていると思った。普通、男はオナニーをする時そこを使う。ただ、俺が手を伸ばした先、ペニスは勃起していたが潔の手はなかった。
起初,我以为他在摩擦自己的阴茎。通常,男人自慰时会用到那里。然而,当我伸手过去时,阴茎是勃起的,但洁的手却不在那里。

「……お前」 「……你」

俺が呟くと、潔の身体がびくりと揺れた。手を潔のケツの方に伸ばすと、潔の手に触れた。
我低声嘟囔着,洁的身体微微一颤。我伸手向洁的臀部方向,触碰到了他的手。

潔は自分で後ろの穴を触りながらオナニーをしていた。
洁一边自己触碰着后穴,一边自慰着。

「……後ろいじってんのか」 「……在后面捣鼓什么呢?」

潔の耳元で囁く。わざと吐息混じりの声を耳に流し込む。潔の息がさらに荒くなった。
在洁的耳边低语。故意将混着吐息的声音灌入耳中。洁的呼吸变得更加急促了。

「手伝ってやる」 「我来帮你」

俺はそう言うと、後ろから潔の身体を抱きしめてケツの穴に指を伸ばした。そのまま潔の感じるところを刺激する。
我说着,从背后抱住洁的身体,将手指伸向他的肛门。就这样刺激着洁的敏感点。

「あ、……やっ」 「啊,……糟了」
「嫌じゃねぇだろ。自分でいじってたくせに」 「才不嫌弃呢。明明自己还玩得挺欢的。」

激しく手マンをすると、潔の身体がビクビクと震えるのが分かる。知らなかった。コイツもオナニーをするのか。まあ男ならするだろ、と言われたらそうなのだが。驚くのは、コイツはオナニーの時にペニスではなくアナルをいじるらしい。あの潔が。確かに最近は後ろの刺激だけでもイけるようにはなっていたが、俺の予想以上にアナルの快感にハマっていたようだ。
激烈地手淫时,可以看到洁的身体在微微颤抖。原来如此,这家伙也会自慰啊。虽说要是有人说男人都会这么做,那确实没错。令人惊讶的是,这家伙似乎在自慰时不是玩弄阴茎,而是摆弄肛门。那个洁啊。确实最近光是后方的刺激就能射了,看来他对肛门快感的沉迷程度超出了我的预料。

「そう、じゃなくて……」 「不是,那个……」

潔は息も絶え絶えに俺の腕に縋りついた。 洁气若游丝地紧紧抓住我的手臂。

「……指、じゃなくて。……挿れて欲しい」 「……不是指、而是。……想要插入」

潔の言わんとすることは一瞬で察することが出来た。要するに指でイくんじゃなくてペニスを突っ込んで欲しいということだろう。俺はその瞬間、グンと自分の性器が反応するのが分かった。上半身を起こして布団を剥ぎ取る。そのまま潔の半分脱げたズボンをずり下ろした。
洁的意思我瞬间就明白了。总之,不是用手指,而是想要插入阴茎吧。那一刻,我感觉到自己的性器猛地有了反应。我上半身抬起,掀开被子。接着,直接将洁半脱的裤子拉了下来。

潔の穴はもう既に十分ほぐれた状態だったので、俺は自分のズボンを少し下ろして性器だけを出した状態ですぐに突っ込んだ。
洁的穴已经足够松弛,于是我稍稍拉下自己的裤子,只露出性器,随即猛地插了进去。

「あぁ゛あ……っ!」 「啊……!」

潔が背中をそり返らせて喘ぐ。喉仏が晒される。 洁反弓着背喘息,喉结暴露无遗。
俺は潔の足を掴むとそのまま腰をガンガンと打ち付けた。
我抓住洁的脚,猛烈地撞击他的腰。

「ああぁっ!あっ……っ!」 「啊啊啊!啊……!」

潔が聞いたこともない大きな声で喘ぐ。コイツがオナニーの時に穴をいじっていた、という事実を頭の中で反復する。正直、溜まったものをサクッと抜くだけならペニスを擦ったほうが早いしお手軽だ。穴なんて洗浄しないと汚ねぇし、ローションも使う。それなのに、そんな手間を惜しんでコイツはわざわざ穴でオナっていた。
洁从未听过的巨大声音喘息着。他在脑海中反复回想着这家伙在自慰时玩弄后穴的事实。老实说,如果只是想快速释放积压的欲望,直接摩擦阴茎既快捷又方便。后穴不清洗的话很脏,还得用润滑剂。然而,这家伙却舍不得这些麻烦,特意用后穴来手淫。

俺がコイツの身体を変えたのだ、という喜びがふつふつと指の先から湧いてくるのが分かった。
我感受到了一股喜悦,从指尖涌出,因为我改变了这家伙的身体。

かつては女の膣に突っ込んでいた潔が。今では女のように穴に突っ込まれないと満足出来ないらしい。そんな身体にしたのは紛れもなく俺だった。
曾经将阳具插入女人阴道的洁,如今似乎不被人像女人一样插入就无法满足。毫无疑问,将他变成这副模样的正是我。

「ヤりたかったんなら、早く言えよ……っ」 「要是想玩的话,早点说啊……」

腰をピストンさせながら言う。なに一人で解消しようとしてんだ。潔は頬を高揚させ、潤んだ瞳で俺を観て言った。
一边挺动腰肢一边说道。你一个人在那儿解决什么呢。洁兴奋地扬起脸颊,湿润的眼睛看着我说道。

「……凛が……っ、俺の身体に飽きたのかと思って」 「……凛她……该不会,是对我的身体厌倦了吧」

んなわけねぇだろ、とばかりにイライラと腰を突き上げる。潔は声にならない声を上げた。何にも分かってねぇなコイツは。
怎么可能,他烦躁地猛然挺腰。洁发出不成声的呻吟。这家伙什么都不懂。

俺は潔の顔の横に手をついてその顔を見下ろした。潔も快感に溶けた表情で俺を見る。
我将手撑在洁的脸旁,俯视着他的脸。洁也以沉浸在快感中的表情看着我。

———今なら、キスをしても拒否されないかもしれない。
———现在的话,也许不会被拒绝接吻。

そう思うが、身体が動かない。 虽然这么想,身体却动弹不得。
今日、初めてコイツから望まれてセックスをした。ただ、それは潔がアナルでのセックスにハマっただけで、別に俺に抱かれたかったわけではない。
今天,我第一次被这家伙要求做爱。不过,那只是洁沉迷于肛交,并不是特别想被我抱。

キスをしようとして顔を近付けて、もし拒否されたら。そう思うと心臓がキュッと痛くなる。
想要亲吻而靠近脸庞,如果被拒绝了怎么办。一想到这里,心脏就猛地一紧,疼痛不已。

「……っ、凛。俺……」 「……唔、凛。我……」

潔が俺を見つめながら囁く。俺はそれ以上聞きたくなくて、潔の身体を抱きしめた。潔もそれ以上何も言わずに、喘ぎながら俺の身体を抱きしめ返してきた。
洁一边凝视着我,一边低语。我已不想再听下去,紧紧抱住了洁的身体。洁也没有再说什么,喘息着回抱住我。



『好きな食べ物:きんつば』 『喜欢的食物:金锷烧』

パラパラと特に興味のないページをめくっている時にふいに目に入ったその文字。ぴたりとページをめくる手を止めると、潔の写真がこちらを見つめていた。
翻阅着那些并无特别兴趣的页面时,突然映入眼帘的那行文字。手指蓦地停下了翻页的动作,洁的照片正凝视着这边。

ある晩。潔が夕食後にシャワーを浴びている間、手持ち無沙汰だった俺はテーブルの上にあった雑誌に手を伸ばした。
某个晚上。洁在晚餐后洗澡时,闲来无事的我伸手拿起了桌上的杂志。

潔がシャワーから戻ったら一緒に新作のホラー映画を観る約束をしている。最近、潔がシャワーを浴びている時間の長さで潔が今夜抱かれたがっているかそうでないかが分かるようになっていた。今夜は長い気がする。つまり、映画の後にそういう雰囲気になるかもしれない。妙に浮つく心を抑えつける。
洁从淋浴间回来后,我们约好一起看新出的恐怖电影。最近,洁洗澡的时间长短似乎能让我判断他今晚是否想要被拥抱。今晚感觉时间特别长。也就是说,电影结束后可能会出现那种氛围。我努力压抑住莫名雀跃的心情。

気持ちを紛らわせるように手を伸ばしたその雑誌は潔が買ってきたもので。表紙にノエル・ノアが載っていたので、表紙買いしたのだろうとすぐに予想がついた。
为了分散注意力而伸手拿起的杂志,是洁买来的。封面上印着诺埃尔·诺亚,所以立刻猜到他是因为封面才买的。

潔と違ってノエル・ノアには特に興味がない俺は、中をじっくり見ることもなくパラパラとページをめくる。そして目に入ったのがその写真だった。
与洁不同,我对诺艾尔·诺亚并无特别兴趣,因此并未细细翻阅,只是随意地翻动着书页。然而,映入眼帘的却是那张照片。

コイツも載ってたのか。 这家伙也上榜了吗。
そのページには潔の写真とプロフィールが載っていた。そして書いてあったのが『好きな食べ物:きんつば』だったのだ。きんつばってなんだ。
那一页上刊登着洁的照片和简介。而上面写着的是『喜欢的食物:金锷烧』。金锷烧是什么啊。

俺はスマホを手に取ると「きんつば」を検索した。検索してもイマイチよく分からなかったが、要するに餡子を皮で包んだ和菓子のようだった。というか、日本人にすらそこまで知名度の高くなさそうな和菓子の名前を海外の雑誌の取材で出すな、と思う。
我拿起手机搜索了“金锷”。虽然查了但还是不太明白,总之就是用皮包裹着馅料的和果子。话说回来,连日本人都未必那么熟悉的和果子名字,居然会在海外杂志的采访中出现,真是让人无语。

いま知ったばかりの「きんつば」という単語を心の中で反復する。この国でそれは手に入るのだろうか。無理だろうな。ただ、餡子の入った饅頭くらいはどこかで売っているのではないか。
心中反复念叨着刚刚得知的“金锷”这个词。在这个国家能找到它吗?恐怕很难吧。不过,至少带馅的馒头应该在哪儿都有卖吧。

俺は再びスマホを手に取ると、検索画面を開いた。確か、近くに日系スーパーがあるとチームメイトから聞いたことがある。そこになら売っているかもしれない。調べると、日系スーパーは車ですぐのところにあった。何故今まで行かなかったんだ、という距離だった。
我再次拿起手机,打开了搜索界面。记得队友曾提过附近有家日系超市。那里或许有卖。一查,日系超市就在开车即达的地方。这么近的距离,为何之前没去过呢?

その後、シャワーからあがった潔と一緒に映画を観た後に案の定セックスをした。映画の終盤、クライマックスに向けて盛り上がるはずの場面で、俺はさっぱり画面に集中出来なかった。それは潔も同じだったようで、映画のエンドロールが流れた瞬間、二人同時にお互いに手を伸ばした。映画終わりまでお行儀よく我慢したのが何だか滑稽だった。
之后,和洗完澡出来的洁一起看了电影,不出所料地做了爱。电影接近尾声,本该是推向高潮的场面,我却完全无法集中注意力在屏幕上。似乎洁也是一样,电影片尾字幕开始滚动的那一刻,我们俩同时向对方伸出了手。一直忍到电影结束才行动,真是有点滑稽。

ソファで一回、ベッドに移った後でもう一回した後に、俺の隣で満足げな顔でうとうとしている潔の顔を見ていたら、さっきの日系スーパーのことを思い出した。俺一人で行っても良いが、コイツも行きたがるかもしれない。
在沙发上一次、转移到床上又来了一次之后,看着洁在我旁边一脸满足地打着盹,我不禁想起了刚才的日系超市。虽然我一个人去也行,但这家伙可能也想去。

気まぐれにしてみた話に、潔は予想以上にテンションが上がっていた。さっきまで眠そうな顔をしていたのに。
试着随性而为的故事,洁没想到自己的兴致会如此高涨。明明刚才还一副昏昏欲睡的样子。

そのまま、次のオフ日にそのスーパーに行ってみよう、と話になった。
于是决定,下次休息日就去那家超市看看。

後日、二人で行ってみた日系スーパーにきんつばはなかったが、羊羹ならあった。潔は「きんつばと饅頭と羊羹は全然違うんだよなぁ」とぶつぶつ言いながらもしっかりとそれを買っていた。それと味噌やら醤油やら味醂やらを見つけたのでそれも買い込んだ。それらの調味料を使って夕飯を作るようになったら、夕飯のレパートリーが格段に増えた。潔に「凛が作ったこの飯、美味いからレシピ教えて」と言われて二人でキッチンに立ったりするようにもなった。いつも夕飯を作るのは俺だったが、潔もキッチンに立つようになり、次第に交互に夕飯を作るのが暗黙のルールのようになった。
次日,两人一同前往那家日系超市,虽然没找到金锷烧,但羊羹倒是有的。洁一边嘟囔着“金锷烧、馒头和羊羹完全不一样啊”,一边还是认真地买了下来。此外,他还发现了味噌、酱油、味醂等调味品,也一并采购了。自从开始用这些调料做晚饭,晚餐的种类明显丰富了起来。有时洁会跟我说:“凛做的这顿饭真好吃,教我怎么做吧。”于是我们俩就会一起站在厨房里。虽然以前总是我负责做晚饭,但洁也开始进厨房帮忙,渐渐地,轮流做晚饭成了我们之间心照不宣的规矩。

潔と顔を合わせながら夕飯を食べるのはもう数ヶ月経つが、明らかに最初の頃とは雰囲気が変わった。テレビを付けて、それを見ながらリラックスをした食事をとる。潔が何でもないような顔で「誰かに食べてもらいたいって思わないとさ、料理なんてする気起きないよな。俺、一人で暮らしてた時は自炊とか全くしなかったもん」と笑う。その日は潔が夕食の当番の日で。潔が作った醤油味の野菜炒め。潔の夕食当番の日は高確率で野菜炒めが食卓に並ぶ。味付けはたまに変わるが、肉と野菜の種類は常に一緒だ。これは潔が自分で食べたいから作ったのではなく「俺に食べてもらいたい」と思いながら作ったものなのだろうか、と思いながら食べた。何だか形容し難い感情が俺を襲う。
与洁面对面吃晚饭已经过去几个月了,明显感觉气氛与最初时不同了。我们打开电视,边看边放松地用餐。洁笑着说,“如果不是想着有人会吃,根本就不会有做饭的心情吧。我一个人住的时候,可是完全不做饭的。”那天正好是洁负责晚餐的日子。洁做的是酱油味的蔬菜炒肉。洁负责晚餐的日子,餐桌上高概率会出现蔬菜炒肉。虽然调味偶尔会变,但肉和蔬菜的种类总是相同的。我一边吃,一边想,这或许并不是洁自己想吃才做的,而是怀着“希望我吃”的心情做的吧。一种难以言喻的情感涌上心头。


ある日、潔が「……今日、俺、飲みに行ってきても良い?」と練習終わりのロッカーで言ってきた。柄にもなく緊張した面持ちだった。
某天,洁在练习结束后的更衣室里问道:“……今天,我可以去喝一杯吗?”他难得地露出了紧张的神情。

俺は潔の顔から目を離し、何でもないことかのように「行けばいいだろ」と承諾した。潔がホッとした空気を出したのには気付かないフリをした。
我移开视线,从洁的脸上,装作若无其事地答应道:“去就行了。”我没有注意到洁松了一口气的样子。

その日は久しぶりに自分の家に帰るか悩んで結局潔の家に向かった。自宅にはもう数ヶ月帰っていなかった。
那天,我犹豫着要不要回自己家,最终还是去了洁的家。我已经好几个月没回过自己的家了。

家主のいない部屋で我が物顔で夕飯を作り、食事をし、シャワーを浴びる。アイツはいつ帰ってくるだろうか、と思いながら帰りを待つ。潔がいないだけでやたらと心が落ち着かず、日課のヨガもする気が起きなかった。ぼーっとテレビの画面を見ていると、玄関の鍵が開く音がした。
在主人不在的房间里,我自顾自地做起晚饭,吃完后洗了个澡。一边想着他什么时候回来,一边等待着。只是洁不在,心里就莫名地无法平静,连日常的瑜伽也提不起劲来。呆呆地看着电视屏幕,突然听到了玄关钥匙开门的声音。

「……いると思ったわ」 「……果然在呢」

リビングに入ってきた潔は俺を見てそう一言だけ言うと、シャワー室に向かった。そりゃいるだろ、と俺は思った。外食はOKしたが、潔を解放するとは言っていない。アイツは俺の姿を見てガッカリしただろうか、と考えながらテレビを消して寝室に向かう。寝室の床にヨガマットを敷いてヨガを始める。いつものルーティンワーク。まるで潔が帰ってくる前もいつもと同じように過ごしていましたと言わんばかりに。
走进客厅的洁看了我一眼,只说了句“我去洗澡”,便朝浴室走去。我心想,当然得洗啊。虽然同意了他外出吃饭,但可没说放他自由。我关掉电视,走向卧室,边走边想,那家伙看到我是不是失望了?在卧室的地板上铺好瑜伽垫,开始做瑜伽。这是我的日常。简直就像在说,即使洁回来之前,我也一如既往地生活着。

しばらくすると、寝室のドアが開いた。シャワー終わりの潔が髪をタオルで拭きながら入ってきた。ヨガをしている俺を追い越してベッドに座る。俺はベッドを正面に床に座っていたので、潔と向き合う形になった。
过了一会儿,卧室的门开了。洁刚洗完澡,一边用毛巾擦着头发一边走了进来。他越过正在做瑜伽的我,坐在了床上。我正对着床坐在地板上,于是便与洁面对面了。

何か言いたいことがあるのかと潔の顔を見上げる。潔は少しの間、無言で俺を見つめていたが、無表情で口を開いた。
抬头看向洁的脸,问道:“你有什么想说的吗?”洁沉默地注视着我片刻,然后面无表情地开口了。

「飯食ってきた」 「吃饭去了」
「……知ってる」 「……知道」
「誰と食ってきたか聞かねぇの?」 「没问你跟谁一起吃的吗?」

その言い方に胸がザワっとする。最初に頭に浮かんだのは潔の元カノだった。別れたはずだったが。そんな俺の表情を見て潔はふふっと笑った。
听到他这么说,心里不禁一阵骚动。首先浮现在脑海的是洁的前女友。明明已经分手了。看着我这样的表情,洁轻轻地笑了。

「ゲスナー達と行ってきた。久しぶりだなって散々飲まされたわ」
「和格斯纳他们去了,好久没这样了,被灌得够呛。」

「……そうか」 「……这样啊」
「今日行った店、初めての場所だったんだけど結構美味かった」
「今天去的那家店,是第一次去的地方,但味道相当不错」

「良かったな」 「太好了」
「今度、一緒に行こうな」 「这次,一起去吧」

伸ばしていた身体をピタッと止める。潔は真っ直ぐに俺を見ていた。
伸展开的身体猛地停住。洁直直地盯着我。

「久しぶりに酒飲んで、人といっぱい喋ってすげぇ楽しかったんだけどさ」
「好久没喝酒了,跟人聊得热火朝天,真是爽翻了。」

「……ああ」 「……啊啊」
「途中で、凛のこと思い出して。どうせお前のことだから自分の家に帰らずに俺の家にいるんだろうな、とか思って。予想通りだったわ」
「中途想起凛的事。反正你这家伙肯定不会回自己家,而是待在我家吧,我这么想着。果然如我所料。」

「悪かったな」 「抱歉啊」
「ん、まあ。んで、お前のことだから、俺がいないと、どうせササミとゆで卵みたいな夕飯食ってるんだろうな、と思って。……当たりだろ?」
「嗯,嘛。不过,想到你这家伙,我不在的话,肯定又是吃些像鸡肉和煮鸡蛋那样的简单晚餐吧。……猜对了吧?」

潔が笑う。実際、その通りだった。コイツがいないなら別に手の込んだ夕飯なんて作る必要性を感じなかったので、サッと作れる夕飯ですませた。最近、出ずっぱりだった醤油や味噌なんて触れもしなかった。
洁笑了。确实如此。如果没有这家伙,她根本不会觉得有必要做一顿精致的晚餐,随便弄点简单的就应付过去了。最近,连酱油和味噌这些调料都几乎没碰过。

「そしたらさ、なんか無性に帰りたくなって。二次会誘われたけど断って帰ってきちゃったよ」
「然后啊,不知怎么的突然特别想回家。虽然被邀请去二次会,但还是拒绝了直接回来了。」

潔の言葉に俺の心臓が止まった気がした。帰りたくなった?コイツが?俺のいる家に?混乱している俺を差し置いて潔は俺を見て笑った。
洁的话语让我感觉心脏仿佛停止了跳动。想回家了?这家伙?回有我在的家?混乱中的我被洁推开,他看着我笑了。

俺は思わず立ち上がった。 我不由自主地站了起来。
潔に手を伸ばす。潔は俺の手に頬を寄せると、そのままその手を引いてゆっくりとベッドに倒れた。潔の目は俺を見つめている。
伸出手去触碰洁。洁将脸颊贴在我的手上,然后顺势拉住我的手,缓缓地倒在床上。洁的目光一直注视着我。

「凛、今日はもう寝る予定だった?」 「凛,今天本来打算睡觉了吗?」
「……お前は疲れてねぇのか」 「……你不累吗?」

潔に覆い被さりながら聞く。そう聞きながら俺の身体は熱を上げていて。潔は煽るように笑いながら言った。
一边被洁覆盖着,一边听着。听着的同时,我的身体在发热。洁一边煽动般地笑着,一边说道。

「大丈夫。……抱いてよ、凛」 「没事的。……抱抱我,凛。」


「……やぁっ……んんっ」 「……呀啊……嗯嗯……」

腰を突き上げると、潔が鳴く。その顔を見ながら腰をピストンさせる。潔の両手が俺の背中に回った。そのままグッと引き寄せられると、身体はピッタリとくっついて潔の顔が目の前にくる。
腰一挺,洁便发出声音。一边看着他的脸,一边抽插着。洁的双手环上了我的背。被他猛地一拉,身体紧紧贴在一起,洁的脸近在眼前。

「……凛って」 「……凛酱」

潔はとろんとした目で俺を見ていた。潔の手が俺の後頭部に回って押さえつけられるので更に顔が近付く。あと少しでキスしてしまいそうな距離感だ。
洁用朦胧的眼神看着我。她的手绕到我的后脑勺,将我的脸更近地压向她。距离近得几乎要吻上了。

「キス嫌いなの?」 「讨厌接吻吗?」
「……お前は、俺としたくねぇだろ」 「……你,不想和我做吧」

あと数センチ動かせば触れてしまいそうな唇を見つめながら聞く。レイプ犯にキスされて喜ぶ人間なんていない。
盯着只差几厘米就会触碰到的嘴唇问道。没有人会因为被强奸犯亲吻而感到高兴。

潔は俺に揺さぶられながら言った。 洁一边被我摇晃着一边说道。

「キスしてよ」 「亲我一下吧」

潔の目を見る。再び唇に目を戻すと、潔の口は少しだけ開いていた。そこに誘われるかのように唇を合わせる。
凝视着洁的眼睛。再次将目光移回唇上时,洁的嘴微微张开。仿佛被邀请一般,双唇相合。

「……んっ……はぁ……っ」 「……嗯……哈……」

潔の舌は柔らかかった。角度を変えて深く舌を合わせる。先日、口内炎の薬を塗るために指で触った箇所を今度は舌でなぞる。潔の腕が俺の後頭部を、まるで逃がさない、というかのように押さえている。俺はキスをしたまま潔の足を抱え上げた。そのまま本能のままに突き上げる。
洁的舌头柔软无比。他变换角度,深深地与我的舌头交缠。前些天,为了涂抹口腔溃疡的药,我用手指触碰过的地方,如今被他的舌尖细细描摹。洁的手臂紧紧按住我的后脑,仿佛不容我逃脱一般。我一边亲吻着,一边抱起洁的腿,顺从本能地挺进。

ちゅっちゅと音が鳴る。まるで好きあっている恋人同士みたいに。潔がキスをしたいと言った。抱いて欲しいと言った。俺に早く会いたかったと言った。
啾啾的声音响起。简直像热恋中的情侣一样。洁说他想接吻。说他想要拥抱。说他很想快点见到我。

その事実で胸の奥が震えるほど熱くなる。 那个事实让内心深处炽热得几乎颤抖。
腰を大きく突き上げると唇が一瞬外れた。目を合わせて、再びお互いの唇に顔を寄せる。少しも離れたくないと思った。
他大幅度地挺起腰,嘴唇瞬间分开。目光交汇,再次将脸贴近彼此的唇。一刻也不想分开。

「……潔。一回、出していいか」 「……洁。一次,可以出来吗」
「ん、……っいいよ」 「嗯,……可以哦」

一回出す、は出した後にもう一回したい、という意味だ。
一次做完,是指做完后还想再来一次的意思。

潔が風邪をひいて以来、体力面を考慮して回数を減らすようにしていた。ただ、今日は一回で収まりそうになかった。熱が身体の中で暴れている。この熱は一回発散したくらいじゃ落ち着きそうにない。
自从洁感冒以来,考虑到体力问题,减少了次数。不过,今天似乎一次不够。体内的热度在肆虐。这热度似乎不是一次发泄就能平息的。

「俺も、今日はすげぇ気持ちいいから、いっぱい抱いて欲しい……」
「我也觉得今天特别舒服,想让你多抱抱……」

潔がキスの合間に囁く。もういっぱいいっぱいだ、と俺は思った。コイツは何なんだ。こっちがどんな気持ちを持て余しているか、想像もしないで煽りやがって。
洁在亲吻的间隙低语。我感到已经到了极限。这家伙到底算什么。他根本不去想象我此刻内心的煎熬,还一个劲地煽风点火。

その日は久々に一晩中、抱き合っていた。次の日がオフだったのが助かった。お互いに何度も欲を吐き出しながら、視線を合わせ、唇を合わせる。
那天晚上,我们久违地相拥而眠。幸好第二天是休息日。我们彼此吐露着无尽的渴望,眼神交汇,唇齿相依。

お前と生きていきたいと言ってもいいだろうか、と俺は思った。お前が俺の人生には必要なんだと。
我想,我可以说想和你一起活下去吧。因为你对我的人生来说是必要的。

最初は分からなかった。俺が何故潔を自分に縛り付けたいのか。女に夢中になっている潔を何故許せないのか。分からないから無理矢理レイプした。
最初不明白。我为何想要束缚洁到自己身边。为何无法容忍沉迷于女人的洁。不明白,所以强行强奸了他。

今ならわかる。ただ、「好きだったから」なんて薄っぺらい言葉で、自分の犯した罪の理由を告げたら、コイツはどんな表情をするだろうか。なんと俺に言うだろうか。
现在我明白了。只是,如果用“因为喜欢”这种轻飘飘的话来告诉他,我犯下的罪行的理由,这家伙会露出什么样的表情呢?他会对我说什么呢?

潔はいま、どんな気持ちで俺に抱かれているのだろうか。
洁现在是以怎样的心情被我抱在怀里的呢?

俺は潔の汗ばんだ背中を抱きしめて、ピッタリと身体を重ね合わせた。少しの隙間も許せなかった。
我紧紧抱住洁那汗湿的背脊,身体紧密相贴,不留一丝缝隙。

怖かった。今のこの幸せな時間のまま、潔と一緒に死んで、全てを終わりにしてしまいたかった。
好害怕。真希望就这样停留在现在的幸福时光,和洁一起死去,结束这一切。

评论

  • かえる

    泣きました。 不器用な凛ならやりかねない…。相手が潔じゃなかったらただの異常者になっちゃうんだケド、潔が凛を理解してくれてようやく人間になれる。

    9月30日回信
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  • mina
    9月29日回信
  • 無味無臭
    9月29日回信
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