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本編
22.妄執の行き着く先①  22.妄执的归宿①

 








「駄目だ、やはりご再考頂けない……」


 軍務長ユーニードは、カーディルが決断しない事に憤りを覚え始めていた。


 癒しの力を持った少女の事は現在も伏せられたまま。カーディルやアストが何らの理由で伏せているとしても、折角の力を利用しない事が理解出来ないユーニードだった。


「今この時も騎士や森人が命を賭して戦っているのだぞ……もし又犠牲者が出たら何とするのだ……? 何より許せないのは魔獣共が今も我が物顔でのうのうと生きている事だ!」


 ガンッ!


 ユーニードは怒りが止められず、思わず机に拳を叩きつけた。


「……陛下は何をお考えなのだ……? このまま滅びを待つ訳にはいかないのだぞ。証言通りなら致命的な負傷さえ回復しうるのだ。森を焼き街を取り返し奴らを駆逐出来るかもしれないのに……これは神々の………」


 そうだ……神々の御意志なのだ……


「刻印があったと、刻まれていたと言っていた……」


 もっと詳しく調べる必要がある……そう呟くとユーニードは席を立った。










 変装すると言っても、過去にあった敵対国や危険な地域に行くわけでもない。特徴的な箇所を変化させればそう危険は無いだろう……そう考えたアストは、カズキの黒髪をなんとかしようとクインに相談に来ていた。


「まずは黒髪を隠した方が良いと思う。他には何かあるかな?」











































「……?」












 ニヤッと笑いながらカズキの手を無理やり取って握りしめ、その顔を見たロザリーは驚きの声を上げた。黄金に輝く瞳を大きく見開いていれば、それが嘘では無い事は明白だ。


「ほぉ……こりゃ別嬪さんだね! アスティア様が太陽なら、この子は銀の月ってところだ! アンタなら笑えばもっと最高だよ?」


 カズキはブンブンと振られる腕につられて、ふらついている。ノルデはそれを横に見ながら、ケーヒルに質問をぶつけた。



















 隊商とは森人の集団の事を指す。 队商是指森人集团。


 元々は各国々や街を渡り歩き、物品を売り買いする商売人の事を言っていた。しかし森に侵略されつつある今では、森に分け入り採取や狩猟を行う者たちの一部を隊商と呼ぶように変化したのだ。
最初是指穿行各国和城镇,买卖商品的商人。然而在如今正受到森林侵袭的情况下,队商的定义已经转变为进入森林进行采集和狩猎的人的一部分。


 隊商は個人で動く森人達とは違い、森から森へ長期的に移動を繰り返して大量の資源を集める事が特長だ。採取狩猟組と運搬組に分かれており、集めては受け渡し次の森へと旅を続ける。リンスフィアの生命線である大量の物資を賄う、アスト達とは違った英雄と言えるだろう。マファルダストはその中でも最高と謳われる隊商である。
队商与个人行动的森人不同,其特点在于长期在森林间移动,收集大量资源。分为采集狩猎组和运输组,收集后交接并继续旅行到下一个森林。他们是林斯菲亚的生命线,可以说是与阿斯特不同的英雄。马法尔达斯特被誉为其中最高的队商。


 もしカズキがその説明を聞けば、遠洋漁業のようだと答えたかもしれない。
如果卡兹基听到这个解释,可能会回答说这像远洋渔业。




「ケーヒルはなぜロザリーと?」 “凯希尔为什么和罗莎丽在一起?”


 ケーヒルはカズキの存在に気付きながらも、それには触れずアストの質問に答えた。
尽管凯希尔注意到了卡兹基的存在,但他没有触及这一点,而是回答了阿斯特的问题。


「殿下、イオアンを覚えておられますかな?」 「陛下,您还记得约翰吗?」


「ああ、勿論だ。大変優秀な森人で、私も森について教わった事もある。ユーニードから行方不明になっていると聞いたよ……魔獣にやられただろうとも。もしそうなら本当に残念だ」
「啊,当然了。他是一个非常优秀的森林人,我也曾向他学习过关于森林的知识。听说他在尤尼德失踪了……可能是被魔兽所害。如果是这样的话,真是太遗憾了」


「そうですな、このケーヒルも昔ご教授願ったものです。イオアン程の練達の森人に何があったのか気になりましてな。ロザリーはイオアンの一番弟子と言っていい程の森人です。何か分かればと思いまして」
「是的,我曾向这位凯希尔学习过。我很在意像约翰这样熟练的森林人发生了什么事。罗莎莉是约翰最资深的弟子,可以说是一位非常优秀的森林人。我希望能了解一些情况」


「そうか……確か南部の森だったな。つい最近も騎士達に被害が出た……」
哦……确实是南部的森林。最近骑士们也遭受了损失……


「偶然かもしれません。ですが気にはなりますからな……」
可能只是巧合。但确实让人在意……


「アスト様。次の出発はまだ先だが、南部も回る予定だよ。何が分かればすぐに連絡を回すから待ってておくれ」
阿斯托大人。虽然下次出发还很久,但计划也会经过南部。只要有消息马上就会通知你,所以请耐心等待。


「わかった。 ロザリー、くれぐれも気を付けてくれ」
「明白了。罗莎莉,请务必小心」


「ありがとさん。しかし足止めしてしまったね……用事はいいのかい?」
「谢谢。不过耽误你了呢……有什么事吗?」


「ああ、急ぎの用事という訳ではないんだが……」 「嗯,虽然不是什么急事……」


 そう言いながらカズキを探すアストの目には馬車を興味深そうに見る少女の姿が見えた。
说着这样的话,阿斯特的眼中出现了一个对马车感兴趣的少女的身影,她正在寻找卡兹基。


「なんだい? こんなボロ馬車が気になるのかい?」 怎么了?你对这辆破马车感兴趣吗?


 カズキはクインに手を引かれながら、いや逃げられないように捕まったまま馬車を眺めている。中だけでなく、大きさや馬なども観察しているようだ。
卡兹基被奎因牵着手,无法逃脱,一边看着马车。他不仅仅是在观察车厢内部,还在观察大小和马匹等。


「こんな物何が楽しいのかねぇ? 中を見てみるかい?」
这种东西有什么好玩的呢?要看看里面吗?


 カズキの両脇に手を入れてヒョイと馬車の中に持ち上げ入れた。カズキは驚いて逃げようとしたが、すぐに大人しくなり素直に馬車に乗った。その馬車の中に樽がいくつも並んでいるが、中は空のようだった。
把手放在一起,轻轻地把卡兹基举起放进了马车里。卡兹基吓了一跳,想要逃跑,但很快就安静下来,乖乖地坐进了马车里。马车里摆放着许多木桶,但里面却空空如也。


「もう中身は下ろしちまったよ。まあ見ても楽しいもんでもないさ」
里面的东西已经取出来了。嘛,即使看了也没什么好玩的。


 樽の中まで覗き見る少女に、ロザリー思わず解説してしまう。
看着酒桶里的少女,罗莎莉情不自禁地解释起来。


「変わった子だねぇ……男の子でもないのに」 真是个奇怪的孩子呢……明明也不是男孩子


 森人は騎士と並び、国を守る英雄でもある。小さな男の子には人気も高く、装備や馬車を見せて欲しいとせがまれる事も多い。しかし残念ながら女の子には不評だ。獣や虫などを大量に集める上、魔獣避けに泥まみれになる。そういった点であまり人気はない。
森人与骑士齐名,是保卫国家的英雄。对于小男孩来说很受欢迎,经常被要求展示装备和马车。但遗憾的是,对于女孩子来说并不受欢迎。他经常收集大量的动物和昆虫,为了避开魔兽而弄得满身泥巴。因此在这些方面并不受欢迎。


 それでもロザリーは、まるで自分の娘を見る母親のように暖かい視線を送る。
尽管如此,罗莎丽还是像看到自己女儿一样,洒下了温暖的目光。



「フィオナ……」 菲奥娜……


 ロザリーの呟きは、誰の耳にも届く事はなかった。 罗莎丽的低语,没有传达到任何人的耳中。











 ところで、街中でのカズキに特出して何かあった訳ではない。
顺便说一句,在街上并没有什么特别突出的事情发生在卡兹基身上。



 酸っぱい果物を食べて吐き出しそうになったり、剣を見つけて持ち上げようとして上がらなかったり、お酒を飲もうとしてクインに怒られたり、 何故か暗い路地裏に行こうとしたり。
吃了酸酸的水果差点吐出来,看到剑想要举起却举不起来,想喝酒却被昆恼怒,莫名其妙地想要走进黑暗的小巷。


 そんなところだ。 大概就是这样。













 外円部の街とは遠く離れた城内の一室で、一人の男が両手で何枚かの紙を持っている。


 ユーニード子飼いの軍務情報官は、手に入れた文書を見て震えが止まらなかった。謎のままだった事がここに明かされたのだ。まるで宝を見つけた様な、歓喜に溢れた表情を抑えることもなく呟きが部屋に響いた。



「これは素晴らしい……正に……神の御意志だ。ユーニード様の仰る通りだった」




 丁寧な美しい字で、その書類の表紙にはこう書かれている。
用端正美丽的字体,文件封面上写着这样的字。





 [刻印の解読と考察] 【铭文的解读和思考】





 それは……クインとコヒンが調べまとめた、聖女カズキの刻印の全てだった。
那是……奎因和科欣调查整理的,圣女卡兹基的所有铭文。



 軍務情報官は文書を小脇に抱えて部屋を出て早足に歩き始めた。
军务情报官抱着文件,匆匆走出房间开始快步行走。














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