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三食サッカー付の理想的な生活!(下)/みっちぃー的小说

三食サッカー付の理想的な生活!(下) 三餐足球相伴的理想生活!(下)

19,247字38分钟

【あらすじ】 【故事梗概】
プロとなって数年、潔世一はオフを利用して帰国していた。
成为职业选手数年后,洁世一利用休赛期回国。

その際たまたまタイミングがあった糸師凛と会う約束をしていたのだが、「今日からお前は俺のペットだ」という衝撃的なひとことを突きつけられ、あれよあれよという間にオフシーズン中は一緒に日本に住むことが決定していた。
期间偶然与糸师凛约定见面,却被突如其来的一句“从今天起你就是我的宠物了”震惊,不知不觉间,休赛期一同住在日本的决定就这样定下了。


なんだかんだ楽しく過ごしていた潔だったが、蜂楽の指摘により自分が凛に犬扱いされていたことに気がつく。
虽然洁过着充实快乐的日子,但被蜂乐指出自己被凛当作狗对待的事实后,他才意识到这一点。

そのことにショックと怒りを覚えた潔は思わず二人で暮らす家を飛び出したのだが……?
洁对此感到震惊和愤怒,不由自主地逃离了两人共同生活的家……?


「…………凛ちゃんさぁ。ほんっとうに潔に帰ってきてほしいんだね」
「…………凛酱啊。你真的希望洁回来吧」


「あ? 当然だろ。あいつは……」 「啊?当然吧。那家伙……」

「『俺のペット』だっけ? もう凛ちゃんがそう言い張るんなら俺もとやかく言わないけど、結局潔の家出の原因ってソレでしょ。潔を引きずって連れ帰ったとしても、結局そこを解決しなきゃまた逃げられちゃうよ」
「『我的宠物』对吧?既然凛酱坚持这么说,我也不多说什么了,但说到底,洁离家出走的原因不就是那个吗。就算强行把他带回来,不解决那个问题,他还是会再次逃跑的。」


逃げる潔、追う凛の話。 洁逃跑,凛追逐的故事。

『三食サッカー付の理想的な生活!(上)』 『三餐足球相伴的理想生活!(上)』
novel/23026702 小说/23026702
の続きです。 的续篇。

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四.ふぉーりんらぶ! 四.Forever Love!

 新山口駅に着いた俺は、新幹線の到着予定時刻を確認した。
 到达新山口站的我,确认了新干线的预计到达时间。

 ふん、なんとか今日中に捕まえられそうだな。  哼,看来今天之内能抓住他。

「潔もうすぐ着くってさ」 「洁马上就到了」

「知ってる」 「知道」

 スマホに表示されたメッセージに簡潔に答えると、俺は逃亡犯を確保したらどうしてやろうかと考える。
 简短回复了手机上的消息后,我开始思考抓住逃犯后该怎么办。

 突如として家出した潔は、あろうことか本格的に姿を消そうとしやがった。
 突然离家出走的洁,竟然真的打算彻底消失。

 オカッパ蜂楽廻赤髪千切豹馬による探索も空振りし、近場の避難所になりそうな交友関係の元にはなんの連絡も来ていなかったのだ。
 由奥卡帕和赤发进行的搜索也徒劳无功,附近可能的避难所,即交友关系中,也没有任何联系。

 普段のあいつなら頼ろうとまで思わなくても誰かしらに愚痴でも垂れ流しているに違いなかったのだが、心当たりは全滅だった。
 如果是平时的他,即使不特意依赖谁,也肯定会向某人发泄抱怨,但这次却毫无头绪。

 潔の実家にも探りを入れたが、こちらも違った。  也调查了洁的老家,但这里也不对。
 となると、ある疑念が湧き上がる。  这样一来,某种疑念便涌上心头。
 あいつ、マジで姿消す気だな?  那家伙,真的打算消失吗?

 非常にしゃくなことだが、長年最も近い場所で宿敵関係を続けてきた俺と潔は互いの思考がある程度読める。
 虽然非常令人恼火,但我和洁多年来作为宿敌一直近距离相处,彼此的思维在一定程度上是可以互相理解的。

 サッカー以外ではたまに何を考えていやがるかわからないことをしでかすが、おおむねの傾向は把握しているつもりだ。
 除了足球之外,他偶尔会做出一些让人摸不着头脑的事情,但大致的倾向我还是自认为掌握了的。

 潔は直前にオカッパと話していた。  洁刚刚和奥卡帕聊过。
 となると、普段のあいつならまずオカッパに連絡をしたはずだ。
 这样一来,如果是平时的他,肯定会先联系小丑。

 なのにしなかった。それはなぜか。  但他却没有这么做。这是为什么呢?
 あいつは俺が連絡を取れる相手だからだ。  因为他知道我能联系上的人。

 さらに言えば、いつも頻繁に連絡を取っているような奴らに全く音沙汰がないことも、オカッパ経由で情報が漏れそうな相手を徹底的に避けているようにも見受けられる。
 更进一步说,那些平时频繁联系的家伙们也完全音讯全无,似乎也在彻底避开可能通过奥卡帕泄露信息的对手。

 つまり潔は、熟考の末、意図的に足取りが追えないように行動しているといっていいだろう。
 也就是说,洁经过深思熟虑,有意地采取了让人难以追踪的行动。

 こうなるともうお手上げだった。  这样一来,真的束手无策了。
 案外近所のホテルにでも泊まっているのかもしれないし、はたまたドイツに帰っている可能性さえあり得た。
 说不定意外地就住在附近的酒店,甚至有可能已经回德国了。

「凛お前、潔のスマホにGPSとか仕込んでねぇの?」
「凛,你没在洁的手机里装 GPS 什么的吗?」

「は? するわけねぇだろ。頭イカれてんのか」 「哈?怎么可能装那种东西。你脑袋坏掉了吗?」

 赤髪からの問いに答えると、奴は目を見開いて「意外」と言ってきた。
 回答了红发的问题后,他瞪大眼睛说:“意外”。

 なにがだよ。  什么啊。
 逆に聞きたいが、お前は成人した宿敵のスマホにGPSを仕込むのか?
 反过来想问你,你会给成年的宿敌手机里装 GPS 吗?

「いやー、なんか凛だったらやりかねないな〜って」 「哎呀,总觉得凛可能会这么做呢~」

「凛ちゃんはむしろ管理されてる側だよねっ。ご両親とかさえちゃんにっ!」
「凛酱反而是被管的那一方吧。比如父母或者冴酱!」

「はあ? んなわけねーだろ。馬鹿かお前は」 「哈?怎么可能。你傻吗?」

 身に覚えのないことをオカッパから告げられて顔をしかめると、奴は「ありゃ。もしや気付いてなかったかんじか!」と意味深なことを言いやがる。
 被告知了一件自己毫无印象的事情,皱起眉头,那家伙却意味深长地说:“哎呀,难道你还没察觉到吗!”

「…………参考までに聞かせろ。なんで俺のスマホにGPSがついてると思った」
「…………作为参考,告诉我吧。你为什么认为我的手机上装了 GPS?」

「えっ、だって前に冴ちゃんが言ってたよ。『俺が最初に海外に行った時に軽く事件に巻き込まれかけたことがトラウマになってんのか、うちの両親はいまだに俺と弟の位置情報がわかるアプリを入れてんだよ』って」
「诶,因为冴酱之前说过啊。『我第一次出国时差点卷入事件,成了心理阴影,所以我家父母至今还在用能知道我和弟弟位置信息的应用』」

「もしかして知らなかった?」と聞かれ、俺は思わず奴から目をそらした。
「难道你不知道吗?」被这么一问,我不由自主地移开了视线。

 …………知らなかった。  …………不知道。
 そもそもあのクソ兄貴が海外で事件に巻き込まれかけたことがあったことすら知らなかった。
 就连那个混蛋大哥曾在国外差点卷入事件的事,我都一无所知。

 まあ確かに海外生活は長いが故に一度や二度くらいは何かしらのトラブルに巻き込まれていても不思議ではないが。
 确实,海外生活久了,卷入一两次麻烦也不足为奇。

 それに思い返せば、親からはたまにタイミングよく「近くにいるから顔を見せろ」だのと連絡がくることがあった。
 而且回想起来,父母偶尔会适时地联系我,说什么“在附近,来见个面”之类的。

 偶然だと思っていたが、そんなカラクリがあったとは。
 我原以为是巧合,没想到背后有这样的机关。

「『別にやましいこともねぇし、それで両親が安心するんならって放置してる』って冴ちゃんは言ってたよ」
「『反正我也没做什么亏心事,能让父母安心的话就这样放着吧』冴酱是这么说的哦」

「……そうかよ」 「……这样啊」

 チッ、知ってて俺には黙ってたのかよあいつ。  啧,那家伙明明知道却对我保密啊。
 少し苛つきながら俺はふと思いつく。  我有些焦躁地突然想到。

 まさか潔のやつ、あいつに連絡取ってねぇよな?  该不会洁那家伙,还没联系冴吧?
 俺が自ら冴あいつに連絡をすることはないだろうと考えて、あえてコンタクトを取っている可能性はあるかもしれない。
 考虑到我可能不会主动联系冴,他有可能故意去联系的可能性也不是没有。

 なんなら「お前の弟のことなんだから責任を持て!」などと、ずけずけと厚かましく自身を匿うように要求していることすら考えうる。
 甚至可能厚颜无耻地要求自己庇护,说什么“既然是你弟弟的事,就该负起责任来!”之类的话。

 ……だとしたら行き先はスペインか?  ……如果是这样的话,目的地是西班牙吗?
 スペインと日本の時差は七時間。この時間ならまだ兄貴もギリギリ起きている時間だろう。
 西班牙与日本的时差是七小时。这个时间的话,哥哥应该勉强还醒着吧。

 俺は仕方なく緑色のアイコンをタップすると、「潔からなにか連絡がきてないか」と入力した。
 无奈之下,我点击了绿色的图标,输入了「洁有没有联系你」。

 本当に非常に不本意なことだが、もし潔が「凛は冴には頼らないだろうし!」などと、さも俺のことなんかわかってますと言う顔であいつに連絡していたとしたらそっちの方が許せねぇ。
 虽然非常不情愿,但如果洁真的以一副「凛才不会依赖冴!」的样子,自以为是地联系了那家伙,那我更不能原谅。

 すると意外なことにすぐ兄貴から返事があった。  然而出乎意料的是,哥哥立刻回复了。

「なんだ、ついに逃げられたか?」 「什么啊,终于逃掉了吗?」

 ヒクリとこみかみに力が入るのがわかった。  感觉到太阳穴微微抽动。
 タンッタンッと無駄に力みながらスマホをタップする。
 咚咚咚地用力敲打着手机屏幕。

「うぜぇ。質問に答えろ」 「烦死了。回答我的问题」

「お前が俺の質問に答えたらな」 「你先回答我的问题再说」

「はあ? 先に聞いたのは俺だろ」 「哈?明明是我先问的吧」

 腹立たしいことに、奴は既読だけつけてこれ以降返事を寄越そうとしなかった。
 令人恼火的是,他只标记了已读,之后就再也没有回复。

 どうやらマジで俺が先に返答しないと質問に答えない気のようだ。
 看来他是真的打算我不先回复就不回答问题。

 クソったれと内心で悪態をつきつつ「逃げたんじゃない。家出だ」と返信してやると、ほぼノータイムで「同じだろ」と返ってくる。
 我心里暗骂一声混蛋,回复道「不是逃跑,是离家出走」,几乎立刻就收到了「还不是一样」的回复。

「うるせえ。ちゃんと答えたんだから俺の質問に答えろよ」
「吵死了。我已经好好回答了,你也回答我的问题吧」

「連絡は来てない。なんならさっきから電話をかけているが出ないし、メッセージも既読にならないな」
「没有联系。甚至从刚才开始就在打电话,但没人接,消息也没被已读」

「そうかよ、ならもう用はない」 「是吗,那我也没事了」

 とんだ無駄骨だったと顔を歪めた俺に、兄貴は思いもよらないことを告げてきた。
 白费力气,我扭曲着脸,哥哥却告诉我一件意想不到的事。

「お前、SNSはチェックしてるか」と。 「你,有在看 SNS 吗?」

「とっくに確認してる。けどあいつ何も投稿してねぇよ」
「早就确认过了。但那家伙什么都没发啊。」

「馬鹿、潔本人のじゃねえ。その他諸々、一般人の投稿だ」
「笨蛋,那不是洁本人的。还有其他各种,都是普通人的投稿」

「? 意味わかんねえ」 「? 搞不懂什么意思」

「はぁ、まったく……。例えばこのアカウントとかチェックしとけ」
「唉,真是的……。比如这个账号什么的,先检查一下吧」

 そのあとにURLが貼り付けられていて、リンクから飛べば『ブルロ選手遭遇情報』という名のアカウントが表示された。
 后面附有一个 URL,点击链接后会显示一个名为『布罗利选手遭遇情报』的账号。

 んだこれ。遭遇情報……?  这是什么啊。遭遇情报……?

 過去の投稿を確認すると、『☓月☓日 羽田空港 蜂楽廻選手 楽しそうにスーツケースを引きながらダッシュで駆け抜けていったそうです』などという内容があった。
 查看过去的帖子,发现有类似『某月某日 羽田机场 蜂乐廻选手 据说他一边开心地拉着行李箱一边飞奔而去』的内容。

 なんなら俺や潔の名前もあって、『☓月☓月 都内某所 潔世一選手 糸師凛選手 二人で仲良く喋りながら歩いてたそうです』なんて書かれているではないか。
 甚至还有我和洁的名字,写着『☓月☓日 东京某处 洁世一选手 糸师凛选手 两人似乎很愉快地边走边聊』之类的话。

 確かにその時にはすでに潔と共に暮らしていたので、近所を散歩したり買い物に行ったりした時のことなら呟きの内容は事実だろう。
 确实,那时我已经和洁同居了,如果是散步或购物时的事情,那么推文的内容应该是事实。

 つまり、これは……。  也就是说,这是……。

「ブルーロックのメンバーには結構コアなファンがついてんだよ。んで、街中での目撃情報を募ってとりまとめてるアカウントがある」
「蓝色监狱的成员可是有不少铁杆粉丝的。然后,有个账号专门收集整理街头的目击情报。」

「日本のみならず海外での情報も乗るぞ。一般人の目はいつ何時もどこにあるかわかんねぇからな。お前もこれを機に気を付けろ」と続いたメッセージに、俺は思わず舌打ちした。
「不仅在日本,海外的情报也会被发布。普通人的视线随时随地都可能出现在任何地方,你也要趁此机会多加小心。」看到这条后续消息,我不禁咂了咂嘴。

「んだこれ、プライバシーの侵害だろ。訴えてやる」 「这算什么,侵犯隐私了吧。我要起诉他们。」

「例えこのアカウントが消えてもどうせすぐに似たようなアカウントが現れる。そうでなくとも世間の目に口を閉ざさせるのはほぼ不可能だ」
「就算这个账号消失了,反正很快就会有类似的账号出现。即便不是这样,想要让世人闭嘴几乎是不可能的」

「けど……」 「但是……」

「有象無象のことなんか無視しろ。開き直れ気にするな。イメージが大事なアイドルなんかと違って、俺達はあくまでサッカー選手だ。多少のことはプレーで黙らせられる。ま、あまりにも非常識な態度を取るとスポンサーやらクラブチームが口を出してくるから見極めは大事だが」
「别在意那些无关紧要的事。别太在意,放轻松。和那些注重形象的偶像不同,我们终究只是足球运动员。一些小问题可以用比赛来让他们闭嘴。不过,如果态度过于无理,赞助商或俱乐部可能会插手,所以把握分寸很重要」

 そして兄貴は「あとは検索だな。『潔世一 いた』とか『潔世一 見た』とかで調べたら目撃情報が出てくるかもしれねーぞ」と告げるとようやくメッセージは止まった。
 然后大哥说:“接下来就是搜索了。用‘洁世一 在’或者‘洁世一 看见’之类的关键词查查看,说不定会有目击情报出来。”说完,消息终于停了下来。

 …………チッ。  …………啧。
 知らねー奴らに好奇心でプライベートを侵されるのはムカつくし許せねぇが、今回は利用させてもらおうじゃねえか。
 被不知情的人用好奇心侵犯隐私真是令人火大,无法原谅,但这次就利用一下吧。

 普段俺らのプライベートを消費してるんだから、こんな時くらいせいぜい役に立てよ。
 平时都在消费我们的隐私,这种时候就该好好派上用场啊。

 こうして俺は世間の目を利用して、潔の追跡を始めたのであった。
 就这样,我利用世人的目光,开始了对洁的追踪。


 さて、潔の情報は案外あっさりと見つかった。  话说回来,洁的信息意外地很快就找到了。

 まず最初の目撃情報はマンションの最寄り駅の駅員。
 首先,最早的目击信息来自公寓最近的地铁站的站员。

 そして次に東京駅の構内で駅弁を買っているのを見かけた奴らがSNS上にいた。
 接着,有人在东京站内看到他们买车站便当,并在社交媒体上分享了这一见闻。

 羽田空港なんて一番目撃情報が多かったくらいだ。  羽田机场的目击信息更是多得数不胜数。
 とはいえどこに行くかわからないことには意味がないが、それもすぐにわかった。
 虽说如此,不知道去哪里就没有意义,但这一点也很快明白了。

 長崎行きの飛行機で機内でグズる子供にお菓子をあげて泣き止ませたことを子供の親が感謝の意と共に投稿していたし、降り際に上の棚に上げた荷物が取れなくて困っていたお年寄りの荷物をおろしてあげていたのも周囲の客が見ていた。
 在飞往长崎的飞机上,给哭闹的孩子糖果让他停止哭泣,孩子的父母表达了感谢并上传了这件事;下飞机时,帮助一位老人取下放在高架上的行李,周围的乘客都看到了。

 長崎駅で観光客よろしく一人で記念撮影している姿もバッチリとネットに上がっていたし、改めてネット社会の恐ろしさってやつを実感することとなったのだった。
 在长崎车站,像游客一样独自拍照的样子也被完美地上传到了网上,再次让我感受到了网络社会的可怕之处。

「……おい、これ」 「……喂,这个」

 俺はとある目撃情報を目にすると、オカッパと赤髪に見せた。
 我看到某个目击情报后,向赤发露出了惊讶的表情。


 俺達は現在、叙々苑じょじょえんにいる。  我们现在在叙叙苑。
 エゴイストふたりの時間と労働力を買うためであり、ムカつくことに俺の奢りである。
 这是为了购买两个自恋狂的时间和劳动力,令人恼火的是,这还是我请客。

 クソ、せめて肉は自分で焼けよ!  该死,至少肉你自己烤啊!
 なんで肉焼く係まで俺がやらなきゃなんねぇんだ。  为什么连烤肉的活儿都得我来做啊。
 潔がいればあいつにやらせるのに。  有洁在的话,就让他来做啊。

 つーかそもそも、こんなことをやらされているのは元を辿ればクソ潔のせいだ。
 话说回来,归根结底,被逼做这种事都是因为那混蛋洁的错。

 決めた。戻ってきたら焼肉に連行して、ひたすらあいつに肉を焼かせよう。
 决定了。等他回来就带去吃烤肉,让他不停地烤肉。

 もちろん肉は全部俺が食う。  当然,肉全都是我吃的。
 あいつには一枚たりとも口にさせねぇ。  那家伙连一片都不会让他尝到。
 俺が肉を食うのを見ながら匂いをおかずに白飯だけ食ってろ。
 让他看着我吃肉,闻着香味,只配吃白饭。

「りーんー、なあ一枚くらいくれよ……」なんて憐れみを誘うようにねだられても、絶対に頷かねぇからな。
「铃——,给我一张嘛……」即使被这样可怜兮兮地央求,我也绝对不会点头答应的。

 俺がそんなことを心に決めているとは知らず、赤髪は「なんだ潔、雷市と一緒なのか」と僅かに目を見開いた。
 他不知道我心里已经下了这样的决心,红发微微睁大了眼睛,说:「什么嘛,洁,你和雷市一样啊。」

 オカッパも肉を口いっぱいに頬張りながら「ほんひょは、いひゃい〜」と同意のような何かを口にする。
 奥卡姆也一边大口吃着肉,一边像是赞同似地说:「真是的,好厉害啊~」

「潔と雷市ってなんというか、交流はあるけど二人で遊ぶ感じには見えなかったけどねぇ」
「洁和雷市嘛,怎么说呢,虽然有交流,但看不出两人一起玩的感觉呢。」

「ていうか、チームZのグループでも蜂楽聞いたろ? 潔と連絡取れる人いない? って。でもあいつ何も言わなかったよな」
「话说回来,在 Z 队里也问过蜂乐了吧?有没有能联系上洁的人?但那家伙什么都没说啊。」

「あー、潔が先に事情話して口止めしてんのかも。しっかし意外だねぇ。まあ確かに、意外だからこそ効果的というか。いつものメンバーが誰も知らなかった時点で予想はしてたけど、今回の潔はガッツリ本気だね」
「啊,可能是洁先说了情况并封了口吧。不过真是意外啊。嘛,正因为意外,所以才有效吧。虽然早就预料到平时那些成员都不知道,但这次的洁可是认真到底了。」

「だって俺にも居場所教えてくれなかったし」と、オカッパは口を尖らせる。
「毕竟你也没告诉我你的藏身之处。」奥卡帕噘着嘴说道。

 それに対して赤髪は「まあ蜂楽はな。凛が連絡取る可能性あるし」と冷静に指摘する。
对此,红发冷静地指出:「嘛,蜂乐的话,凛有可能联系他。」

「九州民として言わせてもらえば、関東の奴らって九州行ったことない奴ら多いだろ。ひどいやつは位置も覚えてねーし。だから関東生まれの潔が『遠くまで逃げる』って考えた結果、九州を選ぶのはわからなくもない」
「作为九州人,我要说,关东的家伙们很多都没来过九州吧。有些家伙甚至连位置都不记得。所以出生在关东的洁会选择『逃到远方』,结果选了九州,也不是不能理解。」

「まだ国外に飛ばれなくてよかったじゃん」と、言いながら赤髪は俺の手元から肉を奪っていく。
「还好没被派到国外去。」红发一边说着,一边从我手里抢走了肉。

 チッ、マジで腹立つし腹減ってきた。  啧,真是让人火大,肚子也开始饿了。
 おまけに当の潔は長崎を楽しんでいるらしく、カステラを買い込んで嬉しそうにしていた様子を周囲に目撃されている。
 更让人气愤的是,洁本人似乎在长崎玩得很开心,周围的人都看到他买了一大堆长崎蛋糕,一副高兴的样子。

 こちとらお前の足取り掴むため、空腹の中、他人に肉を焼かされるという屈辱を味わってんだぞ。 
 老子为了抓住你的踪迹,忍受着饥饿,还要被别人烤肉吃,真是屈辱至极。 

 当分は甘いもの取り上げてやるから覚えていやがれ。
 暂时没收你的甜食,给我记住了。

「…………凛ちゃんさぁ。ほんっとうに潔に帰ってきてほしいんだね」
「…………凛酱啊。真的希望你能干净利落地回来呢」

「あ? 当然だろ。あいつは……」 「啊?当然吧。那家伙……」

「『俺のペット』だっけ? もう凛ちゃんがそう言い張るんなら俺もとやかく言わないけど、結局潔の家出の原因ってソレでしょ。潔を引きずって連れ帰ったとしても、結局そこを解決しなきゃまた逃げられちゃうよ」
「『我的宠物』吗?既然凛坚持这么说,我也不多说什么了,但说到底,洁离家出走的原因不就是那个吗。就算把他拖回来,不解决那个问题,他还是会再逃走的。」

 箸を置いて、オカッパはじっと俺の目を見た。 放下筷子,奥卡帕直视着我的眼睛。
 あんまりにも真っ直ぐな視線に、俺はつい視線をそらす。
 面对如此直率的目光,我不由得移开了视线。

 すると横でやり取りを聞いていた赤髪もオカッパに同調して「せめてお前のその突拍子もないその思いつきが、どういう経緯でどういう感情から生まれたものなのかを包み隠さず潔に話せよ」と言ってくる。
 这时,在一旁听着对话的红发也与小丑同调,说道:「至少把你那突如其来的想法,是如何产生的,出于何种情感,坦率地毫无保留地说出来吧。」

「俺達に話したとおり、変に取り繕ったりしないでまんま話せ。そしたらまだどうにかなる望みはあるだろ」
「就像你对我们说的那样,不要刻意掩饰,原原本本地讲出来。那样的话,或许还有一线希望。」

 潔がよっぽどの朴念仁じゃなけりゃあな、と赤髪は言った。
「如果洁不是个彻头彻尾的木头人,那他肯定会明白的。」红发说道。

「どうかなぁ、潔ってサッカーしてない時は変に自己評価低いから。普段のエゴイストっぷりはどうしちゃったのってくらいに」
「谁知道呢,洁这家伙不踢足球的时候,自我评价低得离谱。平时那股自恋劲儿都跑哪儿去了?」

「あいつなんで試合中あんな口悪くなんの? ブルーロック七不思議の一つだろ」
「那家伙为什么比赛时嘴巴那么毒?简直是 Blue Lock 七大不可思议之一。」

「ちなみに残りの六つは?」 「顺便问一下,剩下的六个是什么?」

ニ子にこのおでこ、臥牙丸ががまるのプライベート、ブルーロックマンの超テクノロジー、めちゃくちゃサラサラになるブルーロック印のシャンプーの成分……あとは……あー、めんどくさ。まあざっとこんなとこか」
「二子的额头、卧牙丸的私事、布鲁洛克曼的超科技、能让布鲁洛克印洗发水变得超级顺滑的成分……还有……啊,麻烦。总之大概就是这样吧」

 ふざけたことを言いながらケラケラと笑うオカッパと赤髪を睨むと、奴らはあからさまに不服そうな目をこちらに向けた。
 一边说着玩笑话一边咯咯笑的奥卡帕和瞪着红发的家伙们,明显露出了不满的眼神看向这边。

「んだよ、俺らに文句言う前にお前はまず自分のことをちゃんと考えろって」
「什么啊,在对我们发牢骚之前,你先好好想想自己吧」

「俺もちぎりんの意見に賛成。潔はさ、察しがいいようで鈍いからちゃんと言葉にしなきゃ駄目だよ」
「我也赞成千切的说法。洁啊,虽然看起来很敏锐,但其实很迟钝,不明确说出来是不行的」

 察しがいいようで鈍い。  看似敏锐,实则迟钝。
 言い得て妙だ。あのバカは周囲が見えているようで妙なところでズレている。
 真是妙语连珠。那家伙看似眼观六路,却在奇怪的地方偏离了轨道。

 俺は肉を焼く手を止めると、潔のアホ面を思い出して嘆息した。
 我停下烤肉的手,想起洁的傻样,不禁叹息。

 ひとまずはあいつを確保するのが先だ。  首先得确保那家伙的安全。
 それからのことはそのあとじっくり考えればいい。  之后的事情,之后再慢慢考虑就好。

「おい、凛。あんまり放置しすぎると焦げて食えなくなるだろ」
「喂,凛。放太久会烧焦,没法吃了吧」

「うるせえ。燃えカスでも生焼けでも肉には変わりねぇんだからとっとと食え」
「吵死了。烧焦也好,半生不熟也罢,肉就是肉,快点吃吧」

「俺は美食家グルメなの。お前らみたいになんでも食い尽くすサッカージャンキー共とは違うんだっつーの」
「我可是个美食家。和你们这些什么都吃的足球狂热分子可不一样。」

 文句を言う赤髪を無視して、俺は再び肉と向き合った。
 无视了红发家伙的抱怨,我又一次面对着肉。

 それが今から約六時間ほど前のことである。  那大约是六小时前的事了。


 俺の姿を目にした途端、標的ターゲットは脱兎のごとく駆け出した。
 一看到我的身影,目标便如脱兔般逃窜。

 はっ、雑魚が。  哈,小喽啰。
 フィジカルで俺に勝てると思うなよ。  别以为能在体能上胜过我。

 それに俺は荷物を抱えたあいつと違って着の身着のまま、身軽である。
 而且我与抱着行李的他不同,身无长物,轻装上阵。

 みるみるうちに距離がなくなり、あっという間に奴の背に追いついた。
 距离迅速缩短,转眼间便追上了他的背影。

 襟首を引っ掴むと、「ゔぇ」とうめき声をあげていた潔は足を止めた。
 抓住他的衣领,发出“呃”的一声呻吟,洁停下了脚步。

「最後の晩餐ばんさんは美味かったかよ」 「最后的晚餐好吃吗?」

「り、りん……なんでここに!?」 「凛、凛……为什么在这里!?」

「長崎に向かうならともかく、なんで山口にいるの!??」と喚く潔を鼻で笑い飛ばす。
「去长崎也就罢了,为什么会在山口!?」洁大声质问,却被凛嗤之以鼻。

「ハッ。そもそも俺は絶対に逃げられない場所でお前を待つ必要があった。例えばそう、飛行機の中だったり空港の保安検査所だったり……新幹線の改札内だったり、な」
「哈。说起来,我根本不需要在一个你绝对逃不掉的地方等你。比如说,在飞机上,或者机场的安检处……新干线的检票口内,之类的。」

「……いやいやいや、でもここにいるってことは時間的に羽田から直接山口に来てるよな? なんで俺がここに来るって知って……」
「……不不不,但你在这里,说明你是从羽田直接飞到山口的吧?你怎么知道我会来这里……」

 そこまで言いかけて、潔はぐしゃりと表情を歪めて「まさか雷市がチクった?」と俺に尋ねる。
 话说到一半,洁扭曲着表情,问道:「难道是雷市告的密?」

「あの金髪ギザ歯じゃねえよ」と答えてやれば、奴はそっと安堵の息をつきつつ「じゃあいったい誰が?」と首を傾げた。
「不是那个金发锯齿牙的家伙」我回答道,他轻轻地松了口气,歪着头问:「那到底是谁?」

「考えりゃわかるだろ。金髪ギザ歯じゃねえんなら、こっちに迎えにくる予定だった奴に決まってる」
「想想就知道了吧。既然不是金发锯齿牙,那肯定是原本预定来接我们的那个人。」

 俺の言葉ですべてを悟ったのか、潔は「く、久遠くおん、あの野郎! 裏切ったなー!??」とぶるぶるとその身を震わせた。
 或许是我的话让他明白了全部,洁颤抖着身体,喊道:「久远,那个混蛋!背叛了吗!??」

 その情報源はオカッパと赤髪経由で手に入れた。  那条信息是通过奥卡帕和红发获得的。
 チームZとかいう、一次選考の寄せ集めチームにいたメンバーのひとりだ。
 是那个名为 Z 队的、初选阶段的临时拼凑队伍中的一员。

 即席の寄せ集めで短期間の関係だったにも関わらず、奇妙なことにチームZとやらは全員なにか結びつきのようなものを感じているらしい。
 尽管是临时拼凑的短期关系,但奇怪的是,Z 队的成员们似乎都感受到了某种联系。

 だからか、未だに連絡を取り合っているらしかった。
 所以,他们似乎至今仍保持着联系。

 そこでオカッパ達がうまいこと話をつけて、「潔を山口へ向かうようそそのかす」役目をその中の一人に託したのだ。
 于是,奥卡帕他们巧妙地安排,将“唆使洁前往山口”的任务委托给了其中一人。

「本当に潔君のためなんだよね……?」 「真的都是为了洁君好吗……?」

「俺達が潔を傷付けるようなことするわけないじゃん!」
「我们怎么可能伤害洁呢!」

「まあ蜂楽君が言うなら信じるけど。それが潔君の幸せに繋がるんなら、喜んで裏切り者の汚名をかぶってあげるよ」
「嘛,既然蜂乐君这么说,我就相信吧。如果这能让洁君幸福,我很乐意背负叛徒的污名。」

 オカッパに丸め込まれたソイツは、金髪ギザ歯経由で「糸師凛が長崎に向かっているらしい」とオカッパから聞いたという体で潔へ吹き込んだ。
被奥卡帕拉拢的那家伙,通过金发锯齿牙向洁传达了「听说糸师凛正前往长崎」的消息,假装是从奥卡帕那里听来的。

 その前に仕込んでおいた意味深な写真の投稿が効いたのか、潔はまんまと信じ込んで大焦りしだしたらしい。
 之前埋下的意味深长的照片投稿似乎奏效了,洁似乎完全相信了,开始变得非常焦急。

 冷静さを欠いた思考は脆弱だ。  失去冷静的思考是脆弱的。
 あとはやんわりと話の中に選択肢を混ぜ込んで誘導するだけ。
 接下来只需在对话中巧妙地混入选项进行引导。

 そうすれば焦った獲物はひとりでに罠に飛び込んでくる。
 这样一来,焦急的猎物就会自己跳进陷阱。

「なんとなーく経緯はわかった。でもなんで山口だったんだ?」
「大概的经过我明白了。但为什么是山口呢?」

「別に意味はねぇ。長崎から近ぇし、協力者が山口出身だっつーから不自然にならねぇだろうって。ただそれだけだ」
「并没有什么特别的意义。因为离长崎近,而且合作者是山口出身,这样不会显得不自然。仅此而已。」

「あっそ。うわ、はー、本当最悪。俺けっこう本気で頭使って逃げたんだけどなぁ」
「啊,真是的。哇,哈——,真是糟透了。我可是相当认真地动脑筋逃走的啊」

「フン。策士策に溺れるってやつだな」 「哼。这就是所谓的聪明反被聪明误吧」

「…………はあ」 「…………唉」

 潔からなにやら諦めの気配を感じて顔を覗き込めば、奴の顔にはデカデカと「次は絶対に捕まらない」という反抗的なメッセージが浮かんでいた。
 从洁那里感受到某种放弃的气息,探头一看,他的脸上赫然浮现出“下次绝对不会被抓到”的反抗信息。

 思わず奴の首元を引っ掴む。  不由自主地抓住他的脖子。
 ぐんと近くなった奴との距離に反比例し、俺達の心は遠く離れていく気がした。
 与猛然拉近的距离成反比,我们之间的心却感觉越来越远。

 どれだけ俺が近寄ってもするりと逃げ出す。  无论我如何靠近,它都轻巧地逃开。
 さながら磁石の同極のように、寄ろうとすればするほど反発される。
 仿佛磁铁的同极一般,越是试图接近,越是被排斥。

 昨日まではもっと傍にあった気がするのに、今ははっきりした拒絶の意思を感じて俺は息をのんだ。
 明明昨天还感觉就在身边,如今却清晰地感受到明确的拒绝之意,我屏住了呼吸。

『お前結局なにがしたかったわけ?』 『你到底想干什么?』

『潔を引きずって連れ帰ったとしても、結局そこを解決しなきゃまた逃げられちゃうよ』
『就算强行把洁带回去,不解决根本问题,他还是会再次逃跑的。』

 ふいに脳裏に赤髪とオカッパから言われ言葉が過る。
 突然间,赤发和奥卡帕的话在脑海中闪过。

 本能的に、今なにかを伝えなくては潔はすぐにまた俺の元を去るだろうと予感がした。
 本能地,我感觉如果不马上说些什么,洁会立刻再次离开我。

 おまけに次を許せば潔はもっと上手く逃げおおせてみせるだろう。
 而且如果再给她机会,洁一定会更加巧妙地逃脱。

「…………戻ってこい」 「…………回来吧」

 頭で考えるより先に口が動いていた。  在思考之前,嘴巴已经先动了。
「お前がいないと困る」と伝えれば、潔は呆気に取られたように口をかぽりと開けて、それから困ったように眉を寄せて「なんで?」と聞いてきた。
「如果你不在,我会很困扰。」当我这么告诉他时,洁像是愣住了,微微张开嘴,然后皱起眉头,困惑地问:「为什么?」

「なんで俺がいないと困るわけ」 「为什么我不在你会困扰?」

「お前がいなかったら誰が俺を癒やすんだよ」 「如果你不在了,谁来治愈我啊」

「癒やす……? マジでどういう意味???」 「治愈……? 到底是什么意思???」

 潔がきょとんと瞳を大きく見開いて、じっと俺を見つめてくる。
 洁睁大眼睛,一脸困惑地盯着我不放。

 ああ畜生。そういうところが可愛らしく見えるんだっつーの。
 啊,该死。就是那种地方看起来很可爱啊。

「なんのバグなのか、俺の脳はお前のことをカワイイ判定してくる時があんだよ。つまり、俺の中でお前はカワイイ動物扱いされてるも同義」
「不知道是什么 bug,我的大脑有时会判定你很可爱。也就是说,在我心里你被当作可爱的动物对待了。」

「……え?」 「……诶?」

「ペット動画を見ることで得られる癒やしと、お前のアホ面拝むことで得られる癒やしはイコールってことだ。だからお前を俺の傍に置いてペットとして飼えば、俺の脳は癒やしを感じるってわけだ」
「看宠物视频得到的治愈和看你那傻样得到的治愈是等同的。所以把你留在身边当宠物养,我的大脑就能感受到治愈了。」

「…………」

「あとお前、いつもは俺の周りまとわりついて尻尾振ってるくせに誰彼構わずはしゃいでんだろ。そういうの見ると、懐いてた犬猫に裏切られたみてーな気持ちになってイライラするんだよ。だから俺に尻尾振ったんなら責任持って俺に飼われるべきだ」
「还有你,平时总是围着我转,摇着尾巴,对谁都那么兴奋。看到那种样子,就像被曾经亲近的猫狗背叛了一样,心情烦躁。所以既然对我摇了尾巴,就应该负起责任让我养着。」

 わかったか? と告げれば、潔は真顔で立ち尽くしていた。
 明白了吗? 说完,洁就一脸严肃地站在那里。

 んだよ。ようやく自分がどれだけ無責任極まりないことをしてたか理解したか?
 知道了吗?终于明白自己做了多么不负责任的事了吧?

「おい潔」 「喂,洁」

 反応を促せば、奴はゴクリと喉を鳴らして真剣な目を俺へ向けて尋ねた。
 催促他回应,他便咕噜一声咽下口水,认真地看向我问道。

「凛お前、俺のこと好きなのか?」 「凛,你喜欢我吗?」

「は? んなわけねーだろ頭沸いてんのかバカが」 「哈?怎么可能啊,你脑子烧坏了吧,笨蛋」

 返ってきたのはポンコツな回答で、俺は呆れてしまう。
 回答如此糟糕,我无奈地叹了口气。

 しかし潔はムッと唇を尖らせると「そもそも普通は年の変わらない成人男性のことを可愛いなんて思わねーよ!!」と声を荒げる。
 然而洁却噘起嘴,不悦地说道:「本来就不会有人觉得同龄的成年男性可爱吧!!」声音中带着怒气。

 バカか。だから普通じゃねーんだって言ったの聞いてなかったか。
 你傻吗。我不是说了吗,我们不正常。

 俺の脳がバグを起こしてて……。  我的大脑出故障了……。

「馬鹿はそっちだろ。バグってなんだよ。お前はロボットかなんかなのか? あのな。急に相手が可愛く見えて、他人といるのを見たらイライラして、自分の近くに置いておきたい。そういうの全部ひっくるめるて、世間は『好き』って表現すんだよバーーーカ!」
「笨蛋在那边吧。Bug 是什么鬼啊。你是个机器人还是什么吗?我说啊。突然觉得对方很可爱,看到他和别人在一起就烦躁,想把他留在自己身边。把这些全部加起来,世人称之为『喜欢』啊,白痴!」

 ベッと舌を突き出して「凛の馬鹿バカばーーーーかっ!!」とアホみたいに罵る潔に、俺はつい奴の頭部を鷲掴みにしていた。
我伸出舌头「啧」了一声,对着洁骂道「凛的笨蛋大笨蛋——!!」,忍不住像傻瓜一样骂他,还一把抓住了他的脑袋。

 そしてそのまま、視界に入った赤い舌に柔く噛み付いてやる。
然后就这样,轻轻地咬住了映入眼帘的红色舌头。

「んぇ」と色気のねぇ声がして、けれど不思議とどうしようもなく興奮を誘われ、俺はじゅっと奴の舌を吸った。
「嗯呃」发出毫无风情的声音,但不知为何却莫名地被挑起了兴奋,我紧紧吸住了那家伙的舌头。

 たらりと潔の口元から唾液が垂れたところで口を離してやると、奴はわなわなと震えて「なっなっ、なぁ〜!??」と意味を持たない声を発していた。
 从洁的嘴角滴下唾液时,我松开了嘴,只见他颤抖着发出「什、什、什么啊~!??」这样毫无意义的声音。

「なにすんだよ!?? ファーストキスだったのに……」
「你在干什么啊!??这可是我的初吻……」

「お前は俺のペット、つまり俺の所有物。てことはお前のものは俺のもの。お前のちゃちな初体験も全部飼い主である俺のもんであるべきだ。何も問題はねぇ」
「你是我的宠物,也就是我的所有物。那么你的东西就是我的东西。你那廉价的初体验也应该是作为主人的我的东西。没有任何问题。」

「なにそのジャイアンも真っ青なトンデモ理論は!?」
「那是什么让胖虎都惊呆的荒谬理论!?」

「他の男の名前口にすんじゃねえよ。ハチ公並の忠犬になるように躾けてやんねーといけねぇか」
「别提其他男人的名字。看来得好好训练你,让你成为像八公一样的忠犬才行。」

「ジャイアンに嫉妬するってお前本当にイカれてんな……」
「嫉妒胖虎,你真是彻底疯了……」

 潔はなにやら脱力したように肩を落とし、それからゆるりと俺の方へ半歩ほど近寄ってこちらを見上げた。
 洁似乎有些无力地垂下肩膀,然后缓缓地向我这边靠近了半步,抬头看着我。

「でも、そんなお前のこと可愛いなんて思っちまった俺も相当イカれてる」
「不过,觉得那样的你很可爱,我也真是疯得不轻。」

「!」

「なあ凛、俺は一方的に飼われるなんて御免だ。犬猫扱いされるのは腹立った。飼い主の義務感でされてたことだと思うと、お前と一緒に過ごして楽しかったり嬉しかったりした思い出が全部偽物に見えて悲しかったし。お前が俺にちょっとは心許してくれてんのかなって思ってたのが、ペット扱いで人として見てくれてなかったんだと知ってめちゃくちゃ傷付いた」
「喂,凛,我可不想单方面被养着。被当成猫狗对待真是气人。想到这一切可能只是出于你作为主人的义务感,那些和你在一起时感到快乐和开心的回忆都变得像是假的,让我感到悲伤。我曾以为你对我至少有些许真心,但得知你只是把我当宠物,没有真正把我当人看,这让我非常受伤。」

「俺のことをちゃんと一人の人間として、ペットじゃなくて同居人として見てよ。そのうえで今までみたいに二人で穏やかな時間が過ごせるんなら、俺はそれで幸せになれるから」と、そう言うと潔はじっと俺の返事を待つように見つめる。
「请把我当作一个真正的人,而不是宠物,当作同居人来看待。如果那样我们还能像以前一样度过平静的时光,我会因此感到幸福。」说完,洁静静地注视着我,等待我的回应。

「俺と二人で幸せになってくれんなら、お前のとこに戻ってもいいけど」
「如果你愿意和我一起幸福,我可以回到你身边。」

 どうする?  怎么办?

 ひそやかに問いかけられたその言葉は、甘やかで蠱惑こわく的な響きを持って俺の耳に届けられた。
 那句悄声的询问,带着甜腻而诱惑的音色,传入了我的耳中。

 バグといって直視することを避けていたこの感情に向き合い、たった二言受け入れてやれば、この潔世一という人の形をした幸せを手に入れることができる。
 直面这本想回避、称之为“错误”的情感,只需接受这短短的两句话,就能获得名为洁世一的这份幸福。

 今度は逃げられる心配をせず、隣に置いておける。  这次不用担心他会逃走,可以安心地放在身边。
 潔がいうところの幸せとやらに、俺も含まれる。  我也被包含在洁所说的那种幸福里。
 そう認識した途端、俺の脳はあっさりと白旗を揚げていた。
 意识到这一点的那一刻,我的大脑已经干脆地举起了白旗。

「わかった」 「明白了」

 ぱちぱちと潔は瞳を瞬かせて、それからニッとこちらへ笑みを向ける。
 洁眨了眨眼睛,然后朝这边微微一笑。

「じゃあ決まり。一緒に帰ろ。俺達の家に」 「那就这么定了。一起回家吧。回我们的家」

 差し伸べられ手を取れば、ぎゅっと指を絡めて握られた。
 伸出的手被握住,手指紧紧缠绕在一起。

 確かこれは、そう、いわゆる『恋人つなぎ』という奴……。
 这确实是,没错,所谓的『恋人牵手法』……。

 気付いて思わず潔の方をガン見すると、奴はとびきり可愛らしく微笑んだ。
 意识到这一点,我不由自主地瞪大了眼睛看向洁,他露出了极其可爱的微笑。

 薄っすらと赤く色づいた頬、柔らかな唇……と、俺はそこで今更のように先ほどその唇を奪ってしまったことを思い出す。
 微微泛红的脸颊,柔软的嘴唇……而我却在此时此刻才恍然想起,刚才竟夺走了那双唇。

 あの時はただ衝動に従ってしたいようにしただけだったが、うまく息ができず苦しげに目を閉じた潔の姿を思い出して息が詰まった。
 那时只是顺从冲动行事,但回想起洁因呼吸不畅而痛苦地闭上眼睛的样子,我几乎窒息。

 意識した途端、なんだか急に心臓が速くなる。  意识到这一点的瞬间,心脏不知为何突然加速跳动。
 
「りーん?」 「铃?」

 きらきらと世界まで輝いて見えた俺は、いよいよ認めざるを得なかった。
 闪闪发光到仿佛整个世界都在闪耀,我终于不得不承认了。

 なるほど、確かにこれはペットに抱く感情ではない。
 确实,这确实不是对宠物该有的感情。

 その時ようやく俺は潔世一という男をどう思っているのか理解し、隣を歩くマヌケ面を見て、『しあわせ』とはこういうことなのかと腑に落ちたのだった。
那一刻,我终于明白了自己对洁世一这个男人的看法,看着他走在旁边那副傻样,我恍然大悟,原来‘幸福’就是这样的感觉。

三食サッカー付の理想的しあわせな生活!(完) 三餐足球相伴的理想生活!(完)

评论

  • momoo0
    12:02回信
  • 千里
    10:12回信
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