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好きと嫌いは紙一重/茶茶茶的小说

好きと嫌いは紙一重

21,385字42分钟

「だから嫌いなんだ」
「うん、俺も大好き」

嫌いな男についてずっと考えているカイザーと、分かりやすい男を好きになった世一のお話です。

・バスミュン所属if
・捏造+にわか知識

前作までの閲覧やコメントありがとうございました!

表紙お借りしましたillust/108750697

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 プロ意識の塊のような男だと思った。 我觉得他是个充满专业意识的人。

「世一のことはブルーロック・プロジェクトから見ているが、ドイツに来てからの成長が目覚ましい。これで世界も改めて、いかにドイツという国がフットボールに関して優れているか理解したことだろう」
“我一直在关注世界第一的 Blue Lock 项目,但自从来到德国后,他的成长令人瞩目。这样一来,世界也会重新认识到德国在足球方面的卓越之处吧。”

 体調を崩して、今にも倒れそうなくせにマネージャーにすら悟らせない。たかが取材一本、お前の体調より優先すべきことなのか。取材を受けながら、世一はそう言いたくて堪らなかった。けれど最後まで『ミヒャエル・カイザー』を貫き通したから、世一は彼の意思を尊重して付き添うことを選んだ。
身体状况不佳,几乎要倒下,却连经理都不让察觉。仅仅是一次采访,难道比你的健康更重要吗?在接受采访时,世一非常想说这句话。但因为世一始终坚持扮演“米夏埃尔·凯泽”,所以世一选择尊重他的意愿,陪伴在他身边。

 結果、このザマだ。自宅のベッドに転がした男を見下ろして、世一はため息を吐く。インフルエンザかと思うほどの高熱、苦しそうな表情、ぐっしょりと濡れた背中。馬鹿じゃねぇの、と内心で百回唱え、世一は腹を括った。明日どんな文句を言われても関係ない。日本式の看病を見せてやる。
结果就是这样。俯视着躺在自家床上的男人,世一叹了口气。高烧到让人以为是流感,痛苦的表情,湿漉漉的背部。内心默念了一百遍“真是蠢”,世一决定豁出去了。不管明天他说什么,都无所谓了。我要让他见识一下日本式的照顾。


 ――そんなことをきっかけに、世一とカイザーの関係は変わっていった。カイザーが世一に近づくなと毛を逆立てる猫のような顔で言ってきたり、逆に世一がカイザーと出かけようとしつこく誘いをかけたり。二人の間にはサッカーしかなかったのに、何か新しいものが構築されていった。
——以此为契机,世一和凯撒的关系开始发生变化。凯撒像炸毛的猫一样,警告世一不要靠近他,而世一则不断邀请凯撒一起外出。尽管两人之间原本只有足球,但某种新的东西正在逐渐建立起来。

 意外にも、カイザーという男は付き合いやすい人間で。気遣いもできるし、逆に親しみやすい大雑把さも持ち合わせている。己という相手だからかもしれないが、世一はそれが嬉しかった。カイザーにとって特別であるのだと思い込めたから。
意外地,凯撒这个人很容易相处。他既会关心人,又有着让人容易亲近的粗犷。或许是因为面对的是自己,世一对此感到高兴。因为他能让自己相信,对凯撒来说自己是特别的。

 その感情の名前に気づいたのは、クリスマスの日。イヴのカイザーを独占して、匂わせとやらをしていた女優に中指を立てた翌日。目覚めた視界にカイザーがいて、離したくないと思った。
意识到那份感情的名字,是在圣诞节那天。在前一天对独占平安夜的凯撒、进行某种暗示的女演员竖起中指后,醒来时看到凯撒在眼前,不想放手。

「俺、カイザーのこと好きだ」 “我喜欢凯撒。”

 気づいたら、そんなことを口走っていて。けれど後悔はしなかったし、むしろその事実がすとんと心に落ちてきた。ああ、俺はカイザーのことが好きだったんだ。好き勝手にカイザーを振り回していた己の、全ての根源に辿り着いて――まあ、要は浮かれていたのだ。
回过神来,发现自己已经脱口而出那样的话。然而我并不后悔,反而这个事实清晰地落入心中。啊,我曾经喜欢过凯撒。追溯到任意摆布凯撒的自己,一切的根源——总之,就是沉浸在喜悦之中。

「嫌悪はない。だから恋人関係を了承したんだ」 “没有厌恶。所以才接受了恋爱关系。”

 だから、温度差に衝撃を受けた。カイザーにとっての自分はその程度なのかとか、浮かれていたのは自分だけなのかとか。いろんな考えが頭をぐるぐると回って、分からなくなって。世一はカイザーと顔を合わせることを避けた。冷静になってから話をしたかった。結局、その前に珍しく熱愛が報じられ、殴り込んできたカイザーと想いを交わし合ったわけだから、随分な遠回りをしてしまったのだけど。
因此,感受到了温度的差异。对于凯撒来说,自己就只是那样吗?还是说,只有自己在兴奋呢?各种想法在脑海中盘旋,变得无法理解。世一尽量避免与凯撒见面。他想冷静下来后再谈。结果,在那之前,罕见地报道了热恋的消息,凯撒冲了过来,两人交换了心意,虽然绕了很大的弯路。

「世一」
「んー?」 嗯?
「愛している」 “我爱你”

 世一が不安になった時だけは愛を囁いて口付けてくる皇帝様を見るたびに、悪くない経緯だったな、なんて世一は思ってしまうのだ。
每当看到皇帝陛下在世一感到不安时,轻声细语地表达爱意并亲吻他,世一便会不禁觉得这段经历其实并不坏。



 そんなことも、あったな。世一は目の前に置かれたタブレットを見つめながらそう思った。現実逃避である。
那种事,也发生过啊。世一一边凝视着眼前摆放的平板电脑,一边这样想着。这是在逃避现实。

「世一」

 こつん。整えられた爪先が画面を叩く。そこに映るのは世一のSNSアカウント。トップに踊る投稿は先日凛と撮影した写真についてのもの。
咚。修整整齐的脚尖轻敲屏幕。映入眼帘的是世界顶级的社交账号。置顶的动态是关于前些日子与凛一同拍摄的照片。

 世一は息を吸い、腹に力を入れて顔を上げた。逃げていた相手――光を失ったアイスブルーと視線を合わせる。
世一深吸一口气,收紧腹部,抬起头来。他直视着那个一直在逃避的对手——失去了光芒的冰蓝色眼睛。

「浮気だな」 “真花心啊。”
「違うって!」 “不是的!”

 即座に否定したが、カイザーの顔には何一つ感情が乗らない。世一は冷や汗をかいた。この男は度を越した激情を抱いた時、表から感情を削ぎ落とす癖がある。今が正にそれだ。返答を間違えば、世一はとんでもない目に遭うに違いない。彼の手元に置かれた金属の塊を見なかったことにして、世一は言葉を重ねた。
他立刻否定了,但凯撒的脸上没有流露出任何情感。世一出了一身冷汗。这个男人在怀有过度激情时,习惯于从表面抹去情感。现在正是如此。如果回答错误,世一肯定会遭遇难以想象的困境。他假装没看到放在手边的金属块,继续说道。

「凛には誓って触れてません」 “我对凛发誓,绝对没有碰过。”
「指一本?」

 カイザーの爪先が写真をなぞる。世一が凛の肩に手を回している箇所を強調するように。世一は静かに両手を挙げた。
凯撒的指尖在照片上划过,特意强调了世一搂着凛的肩膀的部分。世一静静地举起了双手。

「……指は、ちょっと、ほんのちょっとぶつかったかもしれない」
“……手指可能,只是稍微,碰到了一点点。”

「浮気」
「だから違うって!」 “所以说不是那样的!”

 じゃら、と鎖の付いた金属の塊――手錠を持ち上げるカイザーに、世一は身を乗り出す。上から押さえつけるようにして止めると、カイザーはじろりとこちらを見つめるだけで抵抗はされなかった。まだ本気ではないらしい。こっそり安堵の息を吐く。
世一探出身子,从上方按住了卡伊萨尔举起带有锁链的金属块——手铐的手。卡伊萨尔只是瞥了他一眼,并未反抗。看来他还没认真起来。世一暗自松了口气。


 いつからか、カイザーは世一に対してこのような行動を見せることが多くなった。彼は嫉妬にしては度が行き過ぎている、けれど許せる範囲の行動をして、世一を振り回す。
不知从何时起,凯撒对世一表现出这种行为的次数变多了。他的嫉妒有些过度,但仍在可容忍的范围内,让世一感到困扰。

 以前は自分の方がカイザーのことを好きだと思っていたし、恐らくそれは事実だった。けれど最近は自信がない。もちろん世一はカイザーのことが好きで、心と体をあけ渡せるくらいには愛している。ただ、カイザーがそれ以上の愛で覆いつくそうとしてくるのだ。
以前我认为自己比世一更喜欢凯撒,或许那确实是事实。但最近我没有了自信。当然,世一深爱着凯撒,爱到身心都可以完全交付的程度。只是,凯撒似乎要用更深的爱来将他完全包围。

 ――知らなかった。カイザーがこんなに深い情を持つ男だったなんて。
——不知道。凯撒竟然是这样一个情感深沉的男人。

 その視線を独り占めしたいという束縛。サッカーでもプライベートでも己を一番にして当然と言わんばかりの態度。いくら愛しても愛しきれないと訴えるように繰り返される行為。それらを一身に受けている世一は、しかし悪くないという結論に落ち着いた。つまるところ、カイザーの縛る愛は心地良いのだ。俺も大概だな、と密かに笑う。
想要独占那目光的束缚。无论是足球场上还是私人生活中,都摆出一副理所当然地将自己放在第一位的态度。不断重复着仿佛在诉说无论多么爱也无法满足的行为。世一承受着这一切,却得出了并非不好的结论。归根结底,凯撒的束缚之爱是令人舒适的。我也在暗自苦笑。


「なんも心配しなくていい。お前が俺の一番だよ」 “什么都不用担心。你是我最重要的人。”

 世一はテーブルの向こうに回り込んで、椅子に座るカイザーを抱きしめた。胸に彼の顔を当てるように腕を回せば、ご満悦の皇帝様はくるしゅうないとばかりに喉を鳴らす。よしよしと後頭部を撫でながら、世一は音を立てないようにして手錠を回収した。
世一绕到桌子对面,紧紧抱住了坐在椅子上的凯撒。他将手臂环绕在凯撒的胸前,让他的脸贴在自己的胸口,皇帝满意地发出咕噜咕噜的声音。世一一边轻抚着凯撒的后脑勺,一边小心翼翼地不发出声音,收回了手铐。

「世一」
「なに」 “什么”
「パン屋で何を買ってきたんだ」 “你在面包店买了什么?”
「バゲットとクリームパンとデニッシュ。デニッシュはお前の大好きなブルーベリーと、俺の大好きなリンゴ」
“法棍面包、奶油面包和丹麦酥。丹麦酥是你最喜欢的蓝莓味,还有我最喜欢的苹果味。”

「そうか」 “这样啊”

 すぅ、はぁ。大きく呼吸を一回して、カイザーが世一から離れていく。こちらを見上げるアイスブルーに、世一はにんまりと笑ってみせた。美しい顔が顰められる。
呼,哈。深呼吸一次,凯撒从世一身边离开。世一抬头看着那冰蓝色的眼睛,露出了得意的笑容。美丽的脸庞皱起了眉头。

「随分と機嫌がいいな。俺は朝からクソ最悪な気分にさせられたというのに」
“心情好得很嘛。我可是从早上开始就被搞得心情糟透了。”

「えー、うん、まあ?」 “呃,嗯,那个?”

 だってさ。世一はテーブルに放置されていた紙袋からデニッシュを取り出して、片方をカイザーに渡す。もう一つの包み紙をぺりぺりと剥がし、がぶりと噛みついた。
世一从放在桌上的纸袋里拿出丹麦面包,递给凯撒一个。他迅速撕开另一个包装纸,大口咬了下去。

「……むぐ、好きと嫌いは紙一重、って言葉が日本にはあってさ」
“……嗯咕,喜欢和讨厌只有一纸之隔,日本有这么句话呢。”

 世一は唇に付いたデニッシュのかすを舌で舐め取りながら、言葉を継ぐ。
世一一边用舌头舔去粘在唇上的丹麦面包屑,一边继续说话。

「お前がそれだけ怒ってるのは、ひっくり返せばそれだけ俺のことが好きってことだろ」
“你这么生气,反过来不就说明你很喜欢我吗?”

「クソ最低なことを言っている自覚はあるか?」 “你有意识到自己在说些非常糟糕的话吗?”
「妬かせたのは悪いと思ってる」 “我觉得让你嫉妒是不好的。”

 世一のポケットに仕舞われた手錠を盗ろうとする手を掴んで、指を絡める。手のひらが合うように握れば、カイザーは舌打ちと共に引いてくれた。
抓住试图偷取世上最安全口袋里的手铐的手,手指交缠。手掌相合般紧握,凯撒便咂舌并拉扯过来。

「だから嫌いなんだ」 “所以才讨厌啊”
「うん、俺も大好き」 嗯,我也非常喜欢

 笑顔でそう宣えば、カイザーがぎろりとこちらを睨む。アイスブルーには見慣れた強い光が宿っていて、世一は彼の機嫌を取れたらしいことに安堵した。食べかけのデニッシュを袋に戻すと、カイザーが持つデニッシュも取り上げて抱きつく。世一は己を難なく受け止める男に笑みを深め、カイザー、と甘ったるく恋人を呼んだ。
笑着这么一说,凯撒便狠狠地瞪了过来。冰蓝色中蕴含着熟悉而强烈的光芒,世一感到如果能讨好他,便松了口气。他把吃了一半的丹麦面包放回袋子里,然后抱住了凯撒手中的丹麦面包。世一对那个轻松接纳自己的男人加深了笑容,甜腻地呼唤着凯撒,我的爱人。

「好き。愛してる」 “喜欢。我爱你。”

 カイザーは何も答えない。けれど背中に回された腕が答えだ。心の内に温かい何かが広がる。名前を付けるなら、恋か、愛か。それらの違いを世一はまだ知らないけれど、きっといつか、腕の中の男が教えてくれるだろう。
凯撒没有回答。但环绕在背后的手臂就是答案。心中涌起一股暖流。如果要用名字来定义,那是恋爱,还是爱情?世一还不知道这两者的区别,但总有一天,怀中的男人会教给他吧。

「いくらでも嫌いになって、憎めよ」 “无论多么讨厌我、憎恨我,都无所谓。”

 お前はそれが深くなれば深くなるほど、ひっくり返ってしまうのだから。悪魔のように囁くと、カイザーは嫌厭と憎悪をかき混ぜたような顔でこちらを見上げた。そんな顔で見られても、否定を口にしないのだから笑ってしまう。
你越是深入,就越会翻倒。恶魔般低语着,凯撒带着厌恶与憎恨交织的表情抬头看向我。即便被这样的表情盯着,你也不开口否认,真是让人忍不住笑出声来。

 嫌いは好きに、憎悪は愛に。世一とカイザーの間にだけ成り立つ方程式はたまに逆行してしまうこともあるけれど、世一は正しくそれを直せるという確信がある。根拠は一つ、ミヒャエル・カイザーの一番が潔世一であるという事実だけ。それが揺るがされた時は、クローゼットの箱の中にあるスタンガンの出番だ。
讨厌会变成喜欢,憎恶会变成爱。在世一和凯撒之间成立的方程式偶尔也会逆行,但世一有信心能正确地修正它。依据只有一个,那就是米海尔·凯撒的第一名是洁世一这一事实。当这个事实动摇时,就是藏在衣柜箱子里的电击枪出场的时候了。

 ――まあ、こいつがこんな顔する間は、そんな日は来ないんだけど。
——哎,只要这家伙还露出这种表情,那种日子就不会到来。

 世一はにんまりと笑って、その顔に口付けた。 世一得意地笑了笑,在那张脸上亲了一下。


愛と憎悪は紙一重

评论

  • 降谷ØZERO
    5月16日回信
  • ウシパキ
    2023年11月30日回信
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  • 傾き。

    茶茶茶さんのお話どれも本当大好きです!世一からの熱い矢印だけかと思いきや覆いかぶさるほどのドロドロ矢印がしっかりとカイザーからも生まれてて尊さに空を仰ぎ見ました。もう世一がいないと生きていけない身体にされてるザーさんは責任取ってもらって監禁させてもらうしかないなと納得しました(?

    2023年11月18日回信
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