エゴイスト達のティザーフィルム 自我主义者们的预告片
「作られていない、こんなに美しくて幸せそうな誰かの顔が撮れるなんて、初めてなんだよ」
「从未见过,能捕捉到如此美丽幸福的面容,这还是第一次」
オフのお仕事でどこかのハイブラのアンバサダーとしてプロモーション撮影をするseisの話
关于 seis 在休息日作为某高端品牌的代言人进行宣传拍摄的工作
※注意事項 ※注意事项
・何でも許せる方向けです。閲覧は自己責任にてお願いします。
・适合能接受一切的读者。阅读请自行承担责任。
・レ・アールにて冴潔が同チームに所属しています。 ・冴洁在雷阿尔队中与同队成员一起。
・濃い目のモブががっつり出演&よくしゃべります。 ・浓墨重彩的配角们大举登场&话多。
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穏やかで距離は近くて、でもまだサッカーだけでいい、みたいなseisを書いてみたい人生だった……。
想要过一种平静而亲近,但又只专注于足球的生活,就像写一个 seis 一样……。
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「うん、良いね。良い写真が撮れた。我ながら最高だ」
「嗯,真不错。拍到了好照片。连我自己都觉得棒极了。」
撮影は程なくして終了した。満足顔のカメラマンはノートパソコンにデータを移し、マウスをカチカチとさせて大量の写真を流し見ていく。
拍摄不久便结束了。摄影师满意地开始将数据转移到笔记本电脑上,鼠标咔哒咔哒地浏览着大量照片。
潔はひっきりなしに手を動かす男の後ろに立ち、興味深そうに画面を覗き込んでいた。冴は黙ってその隣に佇みドリンクボトルに口をつける。
洁站在不停动手的男人身后,饶有兴趣地窥视着屏幕。冴则默默地站在一旁,喝着饮料瓶。
撮影現場はかなり空調が効いているが、セットの上はライトが多く使われていて暑かった。スタッフからタオルを受け取り軽く汗を拭っていると、真剣な光を宿していたカメラマンの目がふっと緩む。
拍摄现场空调效果很好,但布景上使用了大量灯光,显得很热。接过工作人员递来的毛巾轻轻擦汗时,摄影师原本严肃的眼神突然缓和下来。
「ピッチでもだけど、イサギはファインダーの向こうに置いてもかなり印象が変わるよね。面白い。今ここにいるのとは大違いだ」
「虽然是远景,但将伊佐木放在取景器外也会给人截然不同的印象呢。真有趣。和现在在这里的完全不同」
感慨深そうに言った男は、ウェーブがかった自身の前髪を耳にかけた。低い位置でひとまとめにされた金髪は長く、背中の中程まで及んでいる。
男人感慨颇深地说着,将波浪卷的刘海撩到耳后。低低束起的金发很长,垂至背脊中段。
彫の深い顔立ちと黒い瞳。年齢も20代後半のこのカメラマンは、こちらと歳が近いのもありつつ、元々フレンドリーな性格をしているらしい。少なくとも撮影前のちょっとした打ち合わせだけで、潔とはすっかり打ち解けている。
深邃的五官和黑色的瞳孔。这位二十多岁后半的摄影师,年龄与这边相近,原本似乎就是个友善的性格。至少在拍摄前的简短沟通中,已经和洁完全熟络了。
「なかなかないタイプの被写体だよ。それに自然と写真映えする」
「真是难得一见的拍摄对象啊。而且自然就上镜」
「そうですか?」 「是吗?」
「うん、ため息が出そうなくらい美しかった。もちろんサエもね」
「嗯,美得让人忍不住叹息。当然,沙惠也是」
手放しの賞賛に照れたような顔をしながら、潔は「Danke」と頬を緩める。ドイツと日本の両方にルーツを持つカメラマンに合わせたのだろう。気づいた男は興味深そうに目を細め、少しイタズラっぽく表情を作った。
洁在毫不掩饰的赞赏中羞涩地笑了笑,轻声说道:“Danke(谢谢)”,脸颊微微放松。这大概是配合了那位拥有德国和日本血统的摄影师吧。注意到这一点的男子饶有兴趣地眯起眼睛,露出了些许调皮的表情。
「オレさ、フィールドで暴れてるイサギとサエのこと、良いなと思ってよく見るんだよ。キミたちの連携も、ゴールもパスも。まっすぐで、鋭くて。けど……ねぇイサギ、キミは本当に、フィールドと同一人物なのかい?」
「我啊,经常看着在球场上狂奔的伊佐木和佐伯,觉得他们真好。你们的配合,进球,传球,都是那么直接,那么犀利。但是……伊佐木,你真的和球场上是同一个人吗?」
カメラマンは片方の口角だけを器用に上げた。潔は呆れ混じりに苦笑して肩を落とす。
摄影师巧妙地只扬起了一边的嘴角。洁无奈地苦笑着,肩膀微微下垂。
「同じです。同じに決まってるじゃないですか」 「是一样的。肯定是相同的嘛」
「え〜? 実は二重人格だったりしない? サエ、チームメイトとしての見解はどう?」
「诶~? 难道不是双重人格吗? 沙惠,作为队友你怎么看?」
「俺もたまに疑う」 「我也偶尔会怀疑」
「うそ! 冴まで?!」 「骗人!连冴也?!」
「……冗談だ」 「……开玩笑的」
「んなっ……! も〜」 「什么嘛……!真是的」
不満げな声を発した潔に対し、冴は柔らかく目を細めた。セットを崩さないよう指先で前髪を軽く弄れば、むすっとした顔を返される。カメラマンはニコリと微笑みを浮かべていた。
面对发出不满声音的洁,冴温柔地眯起了眼睛。为了不弄乱发型,用指尖轻轻拨弄前发,却得到了一个噘嘴的表情。摄影师则露出了微笑。
「ふふ、仲が良いね。というか、イトシサエも冗談とか言うんだ」
「呵呵,关系真好啊。话说回来,伊东也开这种玩笑呢」
「言ってもちょっとわかりにくいのが玉に瑕です」 「虽然说了,但有点难以理解,算是美中不足吧」
「……そうか?」 「……是吗?」
冴が首を傾げれば、潔はやれやれという顔をする。カメラマンは細かく肩を上下させて笑っていた。
冴歪着头,洁露出无奈的表情。摄影师则轻轻耸肩笑着。
「ふふっ、そっか。普段のキミたちはこんな感じなんだ。面白いね。すごく新鮮だよ。試合中とは全然違う」
「呵呵,这样啊。平时的你们是这样的啊。真有趣,非常新鲜呢。和比赛时完全不同。」
「そんなに?」 「真的吗?」
「うん。ピッチの上のキミたちはいつも研がれた刃物みたいにキレキレで隙がないのに、今はなんだか、穏やかな陽だまりみたいに感じる」
「嗯。球场上的你们总是像锋利的刀刃一样无懈可击,但今天却感觉像平静的阳光一样温暖。」
カメラマンは顔を綻ばせると、ちょいちょいと手招きして冴と潔を自分の近くに呼び寄せる。そうして一枚の写真を、パソコンの画面いっぱいに映してみせた。
摄影师露出笑容,招手示意冴和洁靠近自己。然后,他将一张照片放大到电脑屏幕上展示给他们看。
そこにいたのは、クイーンの駒を持ったまま、ふんぞり返って椅子にもたれる潔世一。口元には微笑を浮かべ、青い瞳は見下ろすようにして盤を捉える。
那里坐着的是洁世一,他手持皇后棋子,慵懒地靠在椅背上。嘴角挂着微笑,蓝色的眼睛俯视般地盯着棋盘。
対して向かいに座る冴は膝に両腕を突いて盤面をじっと見つめており、その様はどこか頭を垂れているようにすら見えた。……なんというか、これはそう。
而对面坐着的凛则将双臂支在膝上,专注地凝视着棋盘,那模样甚至让人感觉他像是在低头沉思。……怎么说呢,这真是。
「女王様の難題に頭を悩ませ服従するイトシサエの図」
「女王陛下的难题令伊东四郎苦恼屈服之图」
カメラマンのセリフに潔は文字通りの苦笑いを浮かべ、冴は無言で目を座らせた。そんな2人をクスリと笑って、男は次の写真をフォルダから呼び出して拡大する。
听到摄影师的话,洁露出了字面意义上的苦笑,冴则沉默地垂下眼帘。男子见状轻笑一声,从文件夹中调出下一张照片并放大。
「こっちは、王様の一手で逆転されて動揺するイサギの図、かな」
「这张,是被国王的一步逆转而动摇的伊佐木的模样,对吧」
見せられたのは先ほどとは真逆の構図だった。椅子の肘掛けに頬杖を突き横柄に足を組んだ冴と、動かされた駒を見て目を見開く潔の姿。まさにつけられたタイトル通りだ。
展示的构图与刚才完全相反。冴手肘撑在椅子扶手上,托着脸颊,傲慢地翘着腿,而洁则看着被移动的棋子,瞪大了眼睛。正如标题所言。
「まあ、これはさすがにプロモーションに使えないけどね。オレは好きだけど、2人がクールにゲームを楽しんでいる写真が欲しい、っていうブランドのオーダーからは明らかに外れてる。やっぱり、選ぶならこの辺りかな〜」
「嘛,这个显然不能用于宣传了。虽然我喜欢,但品牌要求的是两人冷静享受游戏的酷照,这明显不符合。果然,还是选这边这些吧~」
楽しそうに笑ったカメラマンは数枚の写真をピックアップし次々と画面に並べていく。
摄影师开心地笑着,挑选了几张照片,一一排列在屏幕上。
盤を挟んで、不敵な微笑みとともに視線で火花を散らし合う姿。盤上を見つめ、駒をどう操るかを静かに考え抜く眼差し。考え込んでいる相手のことを、ただじっと、どこか尊く眩しい存在のように見つめる表情。お互いしか目に入らないとばかりに見つめ合う様子。
隔着棋盘,带着挑衅的微笑,视线中火花四溅的对峙姿态。凝视棋盘,静静思考如何操控棋子的眼神。专注思考的对手,只是静静地,仿佛某种尊贵耀眼的存在般注视的表情。彼此眼中只有对方,深深对视的样子。
その全てが、素人目に見てもよく撮れているとすぐにわかるものだった。
那一切,即便是外行人看来,也能立刻明白拍得非常好。
冴の隣で吸い込まれるように画面を見ていた潔は無意識に感嘆の息を吐く。
在冴的旁边,洁如被吸引般盯着画面,无意识地发出赞叹的叹息。
「すご、いですね……。俺も冴も、適当に駒を触ってただけなのに」
「真是太厉害了……。我和冴也只是随便摆弄了一下棋子而已。」
ルールも知らずにお遊びで駒を動かしていただけのつもりが、きちんと絵になるスナップになった。技術的なことはわからないが、その事実には素直に感心せざるを得ない。
本以为只是不懂规则随意移动棋子玩耍,却意外拍出了像模像样的照片。虽然不懂技术上的事,但不得不由衷佩服这一事实。
密かに息を飲む冴のことに気づいたのかそうでないのか、男はふふんと鼻を鳴らす。
不知是察觉到了冴的暗自屏息,还是没注意到,男人哼了一声。
「サエはいつも通りの冷静な感じで、イサギは毅然と、真剣に次の手を考えてる演技を。キミたちがオーダー通りに立ち回ってくれたおかげだよ。でもって、ちゃんとオーダー通りにしてくれたのなら、そこをこれ以上なく上手く切り取るのがプロの仕事だ」
「沙绫一如既往地冷静,伊佐木则毅然决然、认真思考下一步的演技。多亏了你们按照指示行动。不过,既然你们确实按照指示做了,那么如何更完美地捕捉这一刻,就是专业人士的工作了。」
男はわざとらしく人差し指を立てる。「これ鉄則」、と口にして。
男人故意竖起食指。「这是铁律」,他嘴里说道。
「とはいえ、オーダー通りにしてくれなくてもちゃんとやりようはあるよ。今回は被写体が優秀なおかげで楽ができただけだ」
「虽说如此,即使不按订单来,也有办法做好。这次只是因为被摄体优秀,才轻松了些」
そう茶化しながらも、男の表情は口調のわりに真面目だった。彼は続けて口を開く。
虽然他打趣地说着,但表情却比语气更为认真。他接着开口。
「でも、こういう表情が撮れたのは、キミたちの関係性あってのことだとオレは思う」
「不过,我觉得能拍到这样的表情,是因为你们之间有这样的关系。」
「関係性……?」 「关系性……?」
潔が首を傾げて尋ねる。男はこくりと頷き、画面を見つめながら口元を緩めた。
洁歪着头问道。男人点了点头,目光紧盯着屏幕,嘴角微微放松。
「気を許してる相手にじゃないと、こんな風に、自然と余裕を持った表情って出にくいから。サッカーの相性が良いのは知ってたけど、プライベートでも、結構一緒にいたりするんじゃない?」
「如果不是对信任的人,很难这样自然地露出从容的表情。我知道你们在足球上的默契很好,但私下里,你们也经常在一起吧?」
そう言った男の黒い瞳には、視線で語り合う潔と冴の姿が映っている。
说着这话的男人,那双黑色的瞳孔中映出了洁和冴用视线交流的身影。
「美しいね」 「真美啊」
思わず溢れたかのように彼は言った。 他不由自主地脱口而出。
聞いた2人はどちらともなく互いに顔を見合わせる。正面から視線を合わせて、たっぷり3秒。耐えきれず目を逸らしたのは潔だった。
听到的两人不约而同地对视了一眼。正面相对,视线交织了整整三秒。最终忍不住移开目光的是洁。
「……なんか、照れるな」 「……有点害羞啊」
そう言って指の先で頬を掻く。潔の頬が微かに赤く染まっていくのをみとめた冴は、普段あまり動かないはずの口角を上げた。自分でも無意識の行動だった。
说着,用手指挠了挠脸颊。看到洁的脸颊微微泛红,冴不自觉地扬起了平时不太动的嘴角。连自己都没意识到这是无意识的动作。
冴は改めてパソコンの方に向き直る。 冴再次转向电脑。
画面の中には不敵に視線を交わす2人がいる。普段から表情をころころと変える潔はともかく、感情が表に出にくい冴が口元を緩めたところを写されるのは結構稀だ。被写体になっていた時間は短かったが、カメラマンはよくこんな瞬間を逃さず撮れたものだと思う。
画面中,两人正挑衅地交换着视线。平时表情多变的洁自不必说,感情不易外露的冴露出微笑的瞬间被捕捉到,实属难得。虽然被拍摄的时间很短,但摄影师能不放过这样的瞬间,真是厉害。
「冴、良い顔してるな」 「冴,表情不错啊」
潔はニッと笑って口にした。冴は画面に映る潔を見つめ「お前もな」と呟いた。そうしてポンと彼の背中を叩いてやる。潔は「いてっ」と冗談めかした声を漏らした。
洁微微一笑说道。冴盯着画面中的洁,低声回应「你也是」。然后轻轻拍了拍他的背。洁发出「哎哟」的玩笑声。
「なんというか、今手元でシャッターを押せないのが残念だよ」
「怎么说呢,现在不能按下快门真是遗憾啊」
男はそう言って肩を落とすと、一拍置いてパン! と一つ手を叩く。すくっと立ち上がった彼は室内のスタッフに向けて声を張った。
男人说完便垂下肩膀,停顿一拍后啪!地拍了一下手。他迅速站起身,对着室内的工作人员大声说道。
「おっけー! このシーンはおしまいにしよう! みんな良い仕事をさせてくれてありがとう。昼からの撮影もよろしくね!」
「好嘞!这个场景就到此为止吧!谢谢大家做得很好。下午的拍摄也请多多关照!」
休憩の号令が部屋に響く。その場はいったん解散となったため、潔と冴は衣装を着替えるために撮影ルームを後にした。
休息的号令在房间内回响。现场暂时解散,洁和冴为了换装离开了摄影室。