
「ほんっと体力バカなんだから」 「真是个体力笨蛋呢」
あれから私はまた瑞希に好き勝手にされたおかげで腰が痛くて仕方がなかった。
从那以后,我又被瑞希随心所欲地折腾了一番,腰疼得不得了。
昨日まではキスすらしたことがなかったのに、瑞希との行為に慣れてきて、それを当たり前のように受け入れ始めている自分自身に驚きだった。
直到昨天,我连亲吻都未曾有过,却惊讶地发现自己已逐渐习惯了与瑞希的亲密行为,并开始将其视为理所当然。
夕方には瑞希はバイトがあるからと出かけてしまい、今は家に一人でいる。ここが瑞希の家なのか、私の家なのか、それとも私たちの家なのかは分からなかった。
傍晚时分,瑞希因有兼职工作而出门,此刻家中只剩我一人。这里是瑞希的家,还是我的家,亦或是我们的家,我已分不清。
何かする気分にもなれず、とりあえずテレビをつけた。最近はテレビを見るほとんどなくなったけれど、見たい番組が特にない時はわざわざ自分から見たいものを検索する必要がないテレビは便利だなって思う。
提不起劲做任何事,便随手打开了电视。近来虽很少看电视,但在没有特别想看的节目时,电视这种无需主动搜索就能提供内容的方式,倒也显得颇为便利。
映し出されたのはドラマか映画のようだった。対して興味はなかったけれど私は見たこともないものだったのでそのまま流しておくことにした。
映现在眼前的,仿佛是一部电视剧或电影。虽然我对它并不感兴趣,但因为从未见过这样的场景,便决定任由它继续播放下去。
『どの世界の僕も君に恋しているよ』 『无论身处哪个世界,我都深爱着你』
ふとそんな言葉が耳に入った。 突然,这样的话语传入耳中。
声のした方へと顔を向けると流しっぱなしになっていたテレビに映るのは向かい合った男女だった。
听到声音的方向转过头去,只见一直开着的电视屏幕上,映出一对相对而立的男女。
引き込まれるように画面の中の二人を見た。 仿佛被吸引一般,我凝视着画面中的两人。
『僕の世界では、僕たちは結婚しているんだ。でも、この世界の僕たちは恋人関係ですらない。それでも……それでも僕は君を愛している。いや、どの世界の君も、君は君だ。君には変わりない。だから、どの世界の君も僕は愛すると誓ったんだ。僕の世界の君に。だから、この世界の僕のこと信じてくれないかい?』
『在我的世界里,我们已经结婚了。但在这个世界的我们,甚至连恋人都算不上。即便如此……即便如此,我依然爱着你。不,无论哪个世界的你,你就是你。你始终如一。所以,我发誓要爱每一个世界的你。对我那个世界的你。所以,你愿意相信这个世界的我吗?』
どの世界の君も愛する? 何それ。 哪个世界的你我都爱?什么啊这是。
リモコンを手に取り、流れている番組のタイトルを確認する。
拿起遥控器,确认正在播放的节目标题。
「すべての世界の君に恋してる」 「恋上所有世界的你」
携帯で内容を検索する。 用手机搜索内容。
ー並行世界を行き来するのが普通の世界に生きている男女の物語ー
ー在平行世界间穿梭如同家常便饭的世界里,一对男女的故事ー
「並行世界……?」 「平行世界……?」
すぐにスマホで言葉を調べる。 立刻用手机查起了这个词。
「パラレルワールド。……私たちが生きている世界と並行して存在する似たようなもう一つの別の世界。似てるけど別の世界……?」
「平行世界。……与我们生活的世界并行存在的另一个相似却不同的世界。相似却又不同的世界……?」
再び視線をテレビに向けて食い入るように映画を見た。映画が終わり私の中に浮かんだ一つの考え。
再次将视线转向电视,全神贯注地观看电影。电影结束后,我脑海中浮现出一个想法。
私が、この映画の人たちのように自分が生きている世界とは別の世界に来てしまったということ。並行世界に来たとすれば全て辻褄が合う。私の知らない写真が携帯にあることも、瑞希がニーゴを辞めてしまっったことも、“私”と瑞希が恋人になっていることも、別の世界だとするなら納得できる。できるけど……。
我就像这部电影中的人们一样,来到了一个与自己原本生活的世界不同的地方。如果说是来到了平行世界,那么一切就都说得通了。手机里有我不认识的照片,瑞希辞去了 Nigo 的工作,还有“我”和瑞希成为了恋人,如果这是另一个世界的话,我就能理解了。虽然能理解……
「まさか、ね」 「不会吧,真的吗?」
頭の中に浮かんだ考えを掻き消した。 他挥去了脑海中浮现的念头。
「映画とかドラマの中だけの話でしょ。現実で起こるなんてあり得ない」
“那不过是电影或电视剧里的情节吧。现实中怎么可能发生这种事。”
昨日の出来事が頭に浮かんだ。 昨天的事情浮现在脑海中。
瑞希にキスされて。キスしてってお願いして。それ以上のことも……。
被瑞希亲吻了。我请求她吻我。甚至还有更多……。
やっぱり何度考えても、どうして自分が知らない間に瑞希と恋人になっているのか分からない。それも昨日今日の話じゃない。瑞希の態度や携帯の内容からずっと前から恋人になってることが分かる。それなのにどうして私には身に覚えがないの? 全く身に覚えはないのに……ないはずなのに、瑞希とキスしたり、それ以上のことをしたりすることを自然と受けれてるっていうか、慣れてるっていうか、“私”のこの身体は知ってるんだって思い知らされた。
无论反复思考多少次,我还是不明白自己为何在不知不觉间与瑞希成为了恋人。而且这并非昨日今日之事。从瑞希的态度和手机内容来看,我们早已是恋人关系。可为何我对此毫无记忆?明明完全没有印象……本不该有的,却自然而然地接受了与瑞希接吻,甚至更进一步的事情,仿佛早已习惯,这具“我”的身体似乎早已熟知这一切。
「……一体、ここはどこなのよ」 “……一体、这里是哪里啊”
考えても考えても答えが出るはずもなく、気を紛らわすために絵を描くことにした。タブレットもスケッチブックも見当たらなかったので、その辺にあった紙と鉛筆で筆を走らせる。
思来想去,答案依旧无迹可寻,为了分散注意力,我决定画画。手边既没有平板也没有素描本,便随手拿起一张纸和铅笔,让笔尖在纸上自由游走。
「はぁ、ダメだ。全然描けない」 「唉,不行啊。完全画不出来」
いつもと感覚が違う……気がする。久しぶりに鉛筆を握った感じがするというか。自分のイメージ通りの絵が描けるって訳じゃないけど、前よりはマシになってたのに、前みたいに全然描けないときに戻ったっていうか。……やっぱりこの身体は“私”じゃない、の? じゃあ、あの映画みたいに並行世界に来たってこと……!?
感觉和平常不一样……似乎如此。久违地握起铅笔的感觉,或者说,虽然不能画出自己想象中的画,但比以前好多了,却又回到了以前完全画不出来的状态……果然这具身体不是“我”的吗?那么,就像那部电影一样,我来到了平行世界……!?
「ああ〜もう! また余計なこと考えてる。とにかく今は描くことに集中!」
「啊~真是的!又在想些多余的事了。总之现在要集中精力画画!」
私はもう一度、描くことだけに意識を向けた。 我再次将意识专注于绘画本身。
「ただいま〜」 「我回来了~」
どのくらい時間が経ったのか、瑞希の声で現実に引き戻された。
不知过了多久,瑞希的声音将我从思绪中拉回现实。
「え、あ、おかえり」 「诶,啊,欢迎回来」
「ちょっと絵名〜ずっと寝てたの? ご飯どうするか連絡したのに返ってこないから適当に買ってきちゃったよ。食べたくない物でも文句言わないでよ〜。それにしても絵名が連絡に気づかないなんて珍しいね。え……」
「喂,绘名~你一直在睡觉吗?我联系你问吃饭的事,但你没回我,所以我就随便买了点回来。就算有不想吃的也别抱怨哦~。不过话说回来,绘名没注意到消息还真是少见呢。诶……」
「ん? 特に何にもないんだけど、考え事してたら絵を描きたくなって集中しちゃってた」
“嗯?没什么特别的事,只是想着想着就想画画了,结果就集中精神画了起来。”
「……」
「瑞希?」
瑞希の纏っている空気が一瞬、強張った気がした。でもその理由が私には分からない。
瑞希周围的空气一瞬间似乎变得紧张起来。但我并不明白其中的原因。
「瑞希、どうしたの?」 「瑞希,你怎么了?」
「いや、何でもーー」 「不,没什么——」
瑞希のこの顔は私は知っている。何かを誤魔化す時の顔。部屋に行こうとした瑞希を止めて、強引に私の方へと向かわせた。
瑞希这副表情我熟悉得很,那是她想要蒙混过关时的模样。我拦下正欲回房的瑞希,硬是将她拉向自己这边。
「言って!」 「说啊!」
「えっと……絵名が絵を描いてるの久しぶりに見たから」
「那个……好久没看到绘名画画了呢。」
「え?」 「诶?」
私が、瑞希の前で絵を描いてない? ずっと? なんで……。
我是不是在瑞希面前一直没画画?为什么……
「やっぱり遠慮させてたよね。そう、だよね。ボクが動画作るの辞めちゃったから。絵名は絵を描くことが大好きなのにボクのせいで……」
「果然还是让你有所顾虑了吧。是啊,没错。因为我停止制作视频了。绘名明明那么喜欢画画,却因为我的缘故……」
「そんなこと! ……」 「那种事!……」
ないって言えなかった。ううん、違う。私がその言葉を口にしてもいいのか分からなかった。瑞希の前でどうして絵を描かなくなったのか、理由を知らない私が簡単に口にしてはいけないって思った。瑞希の前で絵を描かないって決めたのは“私”ではないから。
我没能说出“没有”。不,不对。我不知道自己是否该说出那句话。在瑞希面前为何不再画画,原因不明的我,觉得不该轻易开口。因为在瑞希面前决定不再画画的,并不是“我”。
やっぱり私はずっとここにいたわけじゃない。 果然,我并不是一直待在这里的。
ここは私がいる世界とは違う世界なんだ。 这里是与我所处的世界不同的另一个世界。
並行世界をテーマにしたみずえなのお話の第4話です。
这是以平行世界为主题的水绘奈故事的第四话。
瑞希の身体の性を男性としている表現がありますので、ご注意ください
请注意,文中存在将瑞希的身体性别描述为男性的表达。
プロセカのストーリーのネタバレを含みますのでご了承ください。
本文涉及《プロセカ》故事剧透,敬请知悉。
誤字脱字などあたたかい目で見ていただけると嬉しいです。
若有错字漏字,恳请以温暖的目光包容,我将不胜感激。
続きも頑張ります。 后续内容我也会继续努力。
第1話 novel/17702219 第 1 话 novel/17702219
第2話 novel/17986081 第 2 话 novel/17986081
第3話 novel/18176800 第 3 话 novel/18176800