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キス魔の対処法/らーくろ的小说

キス魔の対処法  接吻狂魔的应对方法

7,485字14分钟

キス魔な世一に困ってるカイザーの話です。  被亲吻狂魔般的世界第一困扰的凯撒的故事。
Xで書いていたものを加筆修正しました。  对在 X 上发布的内容进行了增补修改。

誤字脱字には目を瞑ってください。  请对错别字和漏字睁一只眼闭一只眼。
読んでからの苦情は受け付けておりません。自己責任でお読みください。
阅读后的投诉概不受理。请自行承担风险阅读。

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最近悩みがある。  最近有件烦心事。

「ふへ……あったかい……」  "呼嘿……好暖和……"

こいつだ。  就是这家伙。
今日も酔った世一を家まで送り届けているが、背中に抱えた世一が躊躇なくカイザーにキスを送る。
今天又把喝醉的世一送回家,趴在我背上的世一毫不犹豫地对着凯撒亲了上去。

そう、世一は酔うとキス魔になるのだ。それがカイザーの最近の悩みであった。
没错,世一喝醉就会变成接吻狂魔。这成了凯撒最近的烦恼。

当の本人はと言うと、次の日には全て忘れていて、いつも通り接してくる。
而当事人第二天就会全部忘记,依旧如常地对待他。

世一へ片想いしているカイザーにとって、世一の態度は理性との戦いだった。しかし、世一が誰彼構わずキスしに行くことの方が耐えられないので、自分が引き受けた方がいいという考えに至ったのだ。
对于单恋着世一的凯撒而言,世一的态度简直是理性与冲动的拉锯战。但比起世一见人就亲的行为,他更无法忍受的是——不如干脆自己来承受这一切。

そしてもう一つの悩み。  还有另一个烦恼。

「んへへ、大好き」  "嘿嘿,最喜欢你了"

これだ。  就是这样。
世一はキス魔になると共に、愛の言葉を口にする。独り言とは思えない愛おしさのこもった声に、カイザーは何度胸を締め付けられた事か。
世一变成接吻狂魔的同时,总会说出爱的告白。那饱含爱意、不似自言自语的声音,不知多少次让凯撒心头一紧。

世一は酔うと何も出来なくなるため、カイザーはいつも世一を自分の家に運び、近くで寝るようにしている。しかし、世一が起きるといつも「なんでお前が……」と嫌な表情を見せるのだ。その時点で脈がないことなど分かっている。
因为世一喝醉后就什么都做不了,凯撒总是把他带回自己家,睡在近处守着。但每次世一醒来时总会露出"怎么是你......"的嫌恶表情。这种时候任谁都明白没戏了。

しかし、それならば酔っている時の言葉は誰に向けたものなのか。
那么,醉酒时的话语究竟是对谁而说?

酔うと必ず呟かれる愛は、毎回世一の表情を柔らかくした。カイザーを捉えるその瞳は本来、カイザーに向けられているものではない。世一は一体誰と間違えているのだろう。
每次酒醉后必定呢喃的爱语,总能让世一的表情变得柔和。那双凝视凯撒的眼眸,本就不该属于凯撒。世一究竟把他错认成了谁呢。

世一にはこんな表情を向ける程好きな相手がいるのだ。自分はこんなにも世一を好きでいるのに、世一がそれに応えることはない。
世一竟有能让他露出这般神情的心上人。明明自己如此深爱着世一,却永远得不到回应。

それなのに世一は、カイザーにキスを送り、愛を囁くのだ。なんと残酷な男だろうか。
可即便如此,世一仍会向凯撒献上亲吻,倾诉爱意。这是何等残忍的男人啊。

カイザーはいつも通り世一を抱えたまま家へと帰る。風呂に入れる余裕など無いため、キスをし続けてくる世一を引き剥がしてベッドに下ろした。
凯撒像往常一样抱着世一回到家。根本没空洗澡,他只好把不停索吻的世一从身上扒下来放到床上。

ベッドは世一に譲っているため、カイザーはいつもソファで寝ている。すぐにソファへ行こうと世一の毛布をかけた瞬間、世一に腕を引かれ、ベッドの上に落とされた。
因为把床让给了世一,凯撒平时都睡沙发。刚给世一盖好毯子准备去沙发时,却被拽住手腕摔在了床上。

驚いたままのカイザーの頬を包んだ世一は、この時にだけ見せる柔らかい表情になる。
世一捧住凯撒惊愕的脸,露出只在这种时刻才会展现的温柔神情。

「大好き。ずっと好き」  "最喜欢了。永远都喜欢你"

世一の口から発される甘い言葉。カイザーにかけられているのにカイザーに向けられたものではない言葉。カイザーの胸がチクチクと痛む。
从世一口中说出的甜蜜话语。明明是针对凯撒却并非指向凯撒的言语。凯撒的胸口传来阵阵刺痛。

そんなカイザーを気にも止めず、世一は言葉を続けた。
世一毫不在意这样的凯撒,继续说着。

「ねぇ、俺のこと好き……?」  "呐,你喜欢我吗......?"

思わぬセリフに息をのむ。  这出乎意料的台词令人屏息。
好きだ。好きに決まってる。そんな言葉が出かかったが、なんとか飲み込む。
我喜欢你。当然喜欢你。这句话几乎脱口而出,却硬生生咽了回去。

世一がこの言葉を望んでいる相手はカイザーでは無い。カイザーにこんなこと言われても困るだけだ。
世一期待这句话的对象并非凯撒。就算被凯撒这样告白也只会徒增困扰。

「……それは、俺に聞いても意味ないだろ」  "......这种事问我也没有意义吧"

この言葉がカイザーにとって最大限の優しさだった。  对凯撒而言,这已是极致温柔的回应。
もうやめてくれと心が叫んでいる。本当は、他人に向けられた世一の愛など見たくはない。
内心在呐喊着快停下。其实根本不想看到世一对别人展现那份世界第一的爱意。

「そっかぁ」  "这样啊"

軽い声色とは裏腹に、世一は寂しそうに微笑んだ。  与轻快的语气相反,世一露出了寂寞的微笑。
自分でなければ、世一はこんな表情をせずに済んだのかだなんて考えながら、ベッドから起き上がる。
一边想着如果对象不是自己,世一就不用露出这种表情了吧,一边从床上起身。

世一から最後に送られたキスを振り払いながらソファへと向かった。
甩开世一最后送上的吻,我走向沙发。


次の日の朝、世一と顔を合わせたく無かったため早朝から家を出る。昼に家へと帰ると、世一は既に家から出ていったようで、丁寧にメモが残されていた。
次日清晨,因不想与世一碰面而早早出门。中午回家时,世一似乎已经出门了,只留下工整的字条。

昨日の感謝と謝罪。世一の柔らかい文字を見て、自然と頬が緩んだ。もう少し傍にいたいだなんて我儘だろうか。
写着昨日的感谢与歉意。看着世一柔和的字迹,脸颊不自觉放松下来。想再多待在他身边一会儿,这种想法会不会太任性呢。

世一に好きな人がいるなら諦めなければならないが、カイザーに諦めるだなんて選択肢は無かった。
如果世一有喜欢的人就该放弃,但"向凯撒认输"这个选项从来就不存在。

どうすればいいのかなど決まっている。世一の好きな人をカイザーに変えればいいのだ。カイザーが好きだと言わせればいい。
解决方法再简单不过。只要把世一喜欢的人变成凯撒就行了。让他亲口说出喜欢凯撒就好。

意志を固めたカイザーは世一のメモを手に、スマホから世一の宛先を探してメッセージを送った。
下定决心的凯撒攥着世一的便签,从手机通讯录里找出世一的联系方式发了条消息。

「来週の土曜、一緒に呑まないか?」  "下周六要不要一起喝酒?"

そんな一言。世一は応えてくれるだろうか。  短短一句话。世一会答应吗。
断られるかもな、だなんて自嘲気味に笑うと、スマホを置いて寝室の整理を始めた。
自嘲般地笑了笑,心想可能会被拒绝吧,然后放下手机开始整理卧室。


結局、土曜は一緒にのむことになった。世一からの返事は「いいよ」と簡易的なものだったが、練習で顔を合わせた時に予定を確認する。かなり渋られたが、カイザー宅で飲むことを了承してもらい、内心ガッツポーズをした。これであとは準備をするだけだ。
最终,周六决定一起喝酒。世一的回复很简单,就一句"好啊",但在训练碰面时确认了具体安排。虽然对方显得很勉强,但总算同意在凯撒家喝,内心不禁比了个胜利手势。接下来只要做好准备就行了。

約束の日まで一週間。その間に世一にアピールをする。そして、土曜には確実に落としてやる。そんな志を胸に、カイザーの奮闘の日々が始まった。
距离约定之日还有一周。这段时间要好好向世一展现自己。然后,周六一定要把他拿下。怀着这样的志向,凯撒开始了奋斗的日子。


約束の土曜日。  约定的周六。
カイザーは色鮮やかな料理たちを前に深呼吸をする。  凯撒面对着色彩鲜艳的菜肴深吸了一口气。
ここ一週間、カイザーは世一への態度に気を使った。喧嘩してしまいそうな気持ちを抑え、なるべく優しく接したし、普段の距離も近づけてみた。世一も困惑しているようだったが、自分の中では上手く接する事が出来たと思う。
这一周来,凯撒一直小心翼翼地对待世一。他压抑着想要吵架的冲动,尽量温柔相待,还刻意缩短了平时的距离。虽然世一看起来有些困惑,但他自认为相处得还不错。

しかし、そこまで手応えが無い。上手く接することは出来たが、世一からの好感が上がったようには思えなかった。だからこそ、今日確実にやるしかない。
然而效果并不明显。虽然相处得不错,但似乎并没有提升世一对自己的好感度。正因如此,今天必须确保成功。

その時、玄関からチャイムの音が鳴り響いた。世一だろう。
这时,门铃声响彻玄关。应该是世一来了。

カイザーはテーブルの上を整えると、玄関へと向かった。
凯撒整理好桌面,朝玄关走去。

扉を開けたカイザーは咄嗟に息をのむ。扉の向こうにいたのは世一だったが、なんだかいつもより可愛いような?
推开门的一瞬间,凯撒不禁屏住了呼吸。站在门外的是世一,但不知为何看起来比平时更可爱?

服装だろうか、髪もセットしているのか、少し大人っぽい雰囲気になっていた。しかし、どこか幼さが隠せていないような愛おしさがある。
是因为服装吗?似乎还做了发型,整个人散发着稍显成熟的氛围。然而那份藏不住的稚气反而更惹人怜爱。

「変、かな……?」  "很、很奇怪吗......?"

扉を開けたまま固まってしまったカイザーに、世一は不安そうに問いかけた。
凯撒僵在原地忘了关门,世一不安地询问道。

「いや……」  "那个......"

可愛いと言っても良いのだろうか。成人男性に可愛いはどうなんだ?
用"可爱"来形容合适吗?对成年男性说可爱是不是不太妥当?

カイザーが回答に困っていると、世一は居心地の悪そうに言葉を繋ぐ。
见凯撒迟迟不回答,世一局促不安地继续搭话。

「あっえっと……今日用事があって、そのまま来ただけだから……」
"啊那个……今天有点事,就直接过来了……"

用事……? こんなに全身を整えてどこに行くんだ?  有事……?打扮得这么正式是要去哪儿啊?
一つ浮かんだ仮説にカイザーは眉を顰める。  凯撒皱起眉头,脑海中浮现出一个假设。
世一の好きな人。  世一喜欢的人。
世一がこんな格好をする用事、もし好きな人とのデートだったら。そのデートの後にカイザーの元へ来たのだとしたら。
如果世一穿成这样是为了和喜欢的人约会。如果约会结束后又来到凯撒这里的话。

「そうか……」  "这样啊……"

そう考えてしまえば嫉妬が抑えられず、自然と重い声が漏れた。
一想到这个就无法抑制嫉妒之情,不自觉地发出了低沉的声音。

気落ちしたまま世一を家の中に入れる。あんなに楽しみにしていたのに、今は気分を上げることが出来ない。世一もカイザーの雰囲気を感じ取っているのか気まずそうに俯いていて、空気は最悪だ。
心情低落地把世一带进屋里。明明之前那么期待,现在却完全提不起兴致。世一似乎也察觉到了凯撒的低气压,尴尬地低着头,气氛糟糕透顶。

「食っていいぞ」  "可以吃了哦"

世一を椅子に座らせると、目の前に並べられた料理を勧める。
让世一在椅子上坐下后,我向他推荐摆在眼前的料理。

料理は全て世一の好みに合わせたものだ。喜んでくれるだろうかと一つ一つ考えて買って来た。
这些菜全都是按照世一的口味准备的。每一样都是想着他会喜欢才特意买来的。

「いたたぎます」  "我开动了"

丁寧に手を合わせた世一は、料理を口にした。その瞬間、世一の目が輝きだす。
世一双手合十恭敬地行礼后,将料理送入口中。那一瞬间,他的眼眸骤然亮了起来。

「美味しい!」  "好好吃!"

パァッと明るくなった世一の表情に、カイザーは思わず微笑んだ。時間をかけて選んだ甲斐があった。カイザーは世一のこの表情が見たくて仕方なかったのだ。
看到世一骤然明亮起来的神情,凯撒不自觉地扬起嘴角。花费时间精心挑选果然值得。他就是为了看到世一这样的表情才如此大费周章。

やっぱり可愛いなだなんて思いながら、美味しそうに料理を口にする世一を眺めていたkisは、いつの間にか機嫌が直っていた。世一の笑顔には不思議な力がある。
"果然很可爱呢",kis 望着津津有味享用料理的世一时,不知不觉间心情已由阴转晴。世一的笑容总是蕴含着不可思议的魔力。

「世一……好きな人はいるのか……?」  “世一……你有喜欢的人吗……?”

食事が進んでいくのを確認したkisは、タイミングを見計らって口を開く。急すぎただろうか。しかし、聞くなら今しかないだろう。
确认对方开始用餐后,kis 看准时机开口。或许问得太突然了。但此刻不问更待何时。

カイザーの言葉を耳にした世一は、咄嗟に手を止めた。
听到凯撒这句话的世一,猛然停下了手中的动作。

「……なんで?」  “……为什么突然问这个?”

少し強ばった声で返される。その声色は、相手はいると言ったも同然だった。
对方用略显僵硬的声音回应道。那语气简直就是在说"有人在"。

「いや、少し気になっただけだ」  "不,只是有点在意而已"
「……そっか」  "……这样啊"

世一の緊張が伝わって来てしまう。やはり自分には言えない相手なのだろうか。
世一的紧张感传递了过来。果然是对自己难以启齿的对象吧。

「……いるよ、好きな人」  "……有哦,喜欢的人"

長い沈黙の後の呟きに、カイザーは顔を上げる。そんなカイザーに41はニコッと笑いかけた。
在漫长的沉默后听到这句低语,凯撒抬起了头。面对这样的凯撒,41 露出了灿烂的笑容。

「でもカイザーには言わない」  "但不会告诉凯撒是谁"

その言葉に胸が苦しくなる。やはり、カイザーには言えない相手なのだ。
这句话让胸口阵阵发闷。果然,是不能告诉凯撒的对象啊。

世一の言葉はカラッとしているようで、下がった眉からはどこか寂しさが浮かんでいる。もっと問い詰めたかったが、そんな表情を見てしまえば、カイザーは何も言うことが出来なくなってしまった。
世一的话语看似干脆利落,可那低垂的眉梢却透着一丝落寞。凯撒本想继续追问,但看到这副神情,终究什么也没能说出口。

また冷えきってしまった空気に、カイザーは咄嗟に席を立った。空気を変えようとそのままキッチンへと向かう。事前に買っておいた酒を手に取ると、二個のグラスに注いだ。
面对再度凝结的空气,凯撒猛地站起身来。为打破僵局,他径直走向厨房。取出事先备好的酒,往两只玻璃杯里各斟了些。

グラスをテーブルまで持っていくと、一つを世一の前に置く。
将酒杯端到餐桌前,其中一杯推到了世一面前。

「今日はこれを飲むぞ」  "今晚喝这个"

もう一つのグラスを手にしたまま、カイザーはそれを口に運んだ。いつもとは違う喉越しにこれもたまにはありだななんて思う。そう、これはノンアルコールだ。世一は酔うとキス魔になり、まともに会話が出来なくなる。更に記憶も失うため、今日はそんなことにはならないようにとこれを用意した。
凯撒握着另一个酒杯,将酒液送入口中。与往常不同的口感让他觉得偶尔这样也不错。没错,这是无酒精饮品——因为世一喝醉后会变成接吻狂魔,根本无法正常交谈,更会丧失记忆,所以今天特意准备了这种饮品。

「ん、ありがと」  "嗯,谢谢"

世一がグラスを口に運ぶ。いつもと違い違和感を持ったのか、一口目で少し首を傾げたが、味を気に入ったのか嬉しそうに飲み始めた。
世一将酒杯凑到唇边。或许是察觉到与平日的不同,他第一口就微微偏头露出疑惑,但似乎很喜欢这个味道,很快又开心地啜饮起来。

それからどれくらい経っただろう。食事も終盤にかかって来た頃、世一が突然立ち上がった。
不知过了多久。当晚餐接近尾声时,世一突然站了起来。

世一とは向き合うように座っていたが、世一は机を回ってカイザーの元へやってくる。
我与世一相对而坐,他却绕过桌子来到凯撒身边。

「……ん、好き……」  "……嗯,最喜欢了……"

いつものように柔らかい表情を見せた世一は、甘い言葉を口にしながらカイザーにキスを送る。あれ、何故だろう、いつもの世一だ。
露出与平日无异的温柔表情,世一边说着甜言蜜语边亲吻凯撒。奇怪,明明就是平常的世一啊。

「お前、酔ったのか?」  "你喝醉了吗?"
「んん……」  “嗯……”

思わず問いかけると、世一は曖昧に返事をする。  我不由得追问,世一含糊地回应道。
ノンアルでも脳がアルコールだと勘違いして酔うことがあると聞いたことがある。何も言わずに飲ませていたため、そのせいだろうか。
听说即使是无酒精饮料,大脑有时也会误以为是酒精而醉倒。因为我什么都没说就让他喝了,大概就是这个原因吧。

「あの酒はノンアルコールだが」  “那酒虽然是无酒精的。”
「えっ」  "诶?"

カイザーが事実を告げると、キスを続けていた世一の動きが止まる。先ほどまでの曖昧な態度が嘘のように、はっきりと目を見開いてカイザーを見つめてきた。
当凯撒说出真相时,持续亲吻的世一突然停下了动作。方才暧昧的态度仿佛假象般,此刻他睁大双眼直直盯着凯撒。

なんだこの反応?  这算什么反应?
世一の脳が勘違いしているだけだと思っていたが、なんだか違うような気がする。
本以为只是世一的大脑产生了误解,但总觉得事情并非如此。

「お前、酔ってなかったのか」  "你...原来没醉啊"

ある事実に気づき、世一を問い詰める。  察觉到某个事实后,凯撒开始逼问世一。

「あっちがっ……えっと、その……」  "那边是...呃、那个..."

急にしどろもどろになった世一は、顔を真っ赤に染めて必死に言葉を探している。これが酒による赤面でないことくらいカイザーには分かっていた。
突然变得语无伦次的世一脸涨得通红,拼命寻找着合适的说辞。凯撒心里很清楚,这绝非酒精作用下的脸红。

「お前、今までも酔ってなかっただろ」  "你刚才其实根本没醉吧"
「あっ……」  "啊..."

否定がないということは肯定と捉えて良いだろう。  既然没有否认 那就可以当作是默认了吧。
何故酔った振りなんか? わざわざキス魔の振りまでして。
为什么要装醉? 还特意扮成接吻狂魔的样子。

ここまで考えてある説が浮かぶ。もしかして、世一は俺にキスをしたかった…?
想到这里,突然冒出一个假设。难道说,世一其实是想亲我……?

いや、そんな都合の良いことがあるだろうか。流石にこれは片想いを拗らせたやつの妄言だろう。いや、でも……。
不,哪有这么凑巧的事。这八成是单相思上头之人的妄想吧。不对,可是……

そういえば、カイザーからしたら世一は酔ったらキス魔になるというのは常識だったが、カイザー以外からそんな話を聞いたことは無かった。まさか、自分の前でだけこんなことをしていたのか?
说起来,对凯撒而言"世一喝醉就会变成接吻狂魔"是常识,但从其他人那里从未听过这种说法。该不会,他只在我面前才这样?

そんなことをグルグルと考えていると、世一の目が潤む。
正这么胡思乱想着,世一的眼睛突然湿润起来。

「……っごめん……勝手にキスなんか……好きとか言って、ごめん」
"……对不起……擅自亲了你……还说喜欢你什么的……对不起"

必死の謝罪に、思わず世一に手を伸ばす。そのまま引き寄せると強く抱きしめた。
面对他拼命的道歉,我不由自主地向世一伸出手。顺势将他拉近,紧紧抱住。

「カイザッ……」  "凯撒……"
「……世一は俺が好きなのか」  "……世一,你是喜欢我的吗"

望みをかけて聞いてみる。期待していいだろうか。  我怀着期待询问。应该可以抱有希望吧。
カイザーの言葉を聞いて抵抗をやめた世一が、小さく口を開いた。
听到凯撒的话,放弃抵抗的世一微微张开了嘴。

「好き、って言ったら……?」  "如果说喜欢的话......?"

その声は弱々しく部屋に響く。  那微弱的声音在房间里回荡。
好き。世一から聞きたかった言葉。気持ちが昂るのを抑えられない。
喜欢。这是世一最想听到的话语。他无法抑制内心翻涌的情感。

「俺も世一が好きだ」  "我也喜欢世一"

体を離したカイザーは、世一の目を見て愛の言葉を口にする。世一の涙を溜めた瞳が大きく見開かれた。その奥には困惑が浮かんでいる。
凯撒松开世一的身体,凝视着他的双眼说出爱语。世一盈满泪水的眼眸倏然睁大,眼底浮现困惑的神色。

「嘘だ……」  "骗人的......"
「嘘じゃない」  "不是骗人的"
「だって、それならなんで……好きって言ってくれなかったのさ……」
"那为什么...不早点说你喜欢我呢..."

世一の言葉にカイザーは首を傾げる。言ってくれなかったってなんのことだ。
面对世一的话语,凯撒困惑地歪着头。什么叫没说过?

「先週……聞いた……」  "上周...我问过你..."

先週? 世一の言葉から記憶を辿ったカイザーは、ふとある言葉を思い出す。
上周?从世一的话语中追溯记忆的凯撒,突然想起某句话。

——ねぇ、俺のこと好き……?  ——呐,你喜欢我吗……?

先週飲んだ時にそんなことを言っていたような。世一が好きな人と勘違いして聞いているのかと思ってはぐらかしてしまったが、あれはカイザーに向けられたものだったのだ。
上周喝酒时似乎说过这样的话。当时以为是世一误以为在问他喜欢的人就搪塞过去了,但那句话其实是冲着凯撒说的。

キス魔のフリをするくらいだ。きっと世一は素直に好きだと言うことが出来なかったのだろう。だからこそ遠回しにカイザーの気持ちを探った。キスを許している時点で察してほしいものだが、今の世一を見るにそんな余裕もなさそうだ。
都做出接吻狂魔的举动了。世一肯定是不好意思直接说喜欢吧。所以才拐弯抹角地试探凯撒的心意。明明允许接吻时就该察觉到的,但看世一现在的样子似乎根本没这份余裕。

「あの時は……お前が別の誰かと勘違いしていると思っていたんだ」
"那时候...我还以为你是把我错认成别人了"

素直に気持ちを話すと、世一は拗ねたように口を尖らせる。
当世一直率地说出心里话时,凯撒却像闹别扭似地撅起了嘴。

「……俺はずっとカイザーに言ってたんだけど」  "...我可是对凯撒说过很多次了"
「あぁ、今なら分かる」  "啊,现在的话我明白了"

世一の頬を優しく包むと、こぼれ落ちそうな涙を拭う。
轻轻捧住世一的脸颊,拭去那即将滑落的泪水。

「試すようなことしてごめん……」  "对不起...我不该这样试探你..."

カイザーの手に自分の手を重ねた世一は、きゅっと眉を寄せてか弱く言った。
世一将自己的手覆在凯撒的手上,微微蹙眉轻声说道。

「俺も、気づいてやれなくて悪かった」  "我也很抱歉...没能早点察觉你的心意"

気持ちを隠していたのはお互い様だ。カイザーにだって非はあるはず。
彼此都隐藏着心意。凯撒也有不对的地方。

「世一、好きだ」  "世一,我喜欢你"
「俺も大好き」  "我也最喜欢你了"

手を絡ませた二人は愛の言葉を交わす。ああ、早く伝えておけば良かった。
十指相扣的两人交换着爱语。啊,要是能早点说出口就好了。

今、世一の傍にいれてこんなにも幸せなのだから。  此刻能待在世一身旁,就已经让我幸福得无以复加。

「ところで、なんで酔ったフリなんかしてたんだ?」  "话说回来,你为什么要装醉啊?"

答えは大体予想が付いているが、本人の口から聞いてみたくなった。
答案我大致能猜到,但还是想亲口听他说明。

「えっと……カイザーは俺のこと嫌いだと思ってたから、少しでも好きになってもらおうと思って……」
"那个...因为以为凯撒很讨厌我,所以想方设法要让你多喜欢我一点..."

「それでキスを?」  "所以你就亲了?"
「はい……」  "嗯......"

まるで懺悔でもするように縮こまる世一に思わず笑ってしまう。
看着像在忏悔般蜷缩成一团的世一,我不禁笑出了声。

「まぁ嫌われていると思っていたのは俺の方だがな」  "不过,我倒是以为被讨厌的人是我呢"
「えっ、なんで」  "诶,为什么啊"
「俺の事好きなら、あのよそよそしい態度はなんだったんだ?」
既然喜欢我,那之前那种冷淡态度算怎么回事?

酔ったフリはアピールとしては十分だろう。しかし、介抱後の嫌そうな態度やカイザー宅へ来るのに渋るなど、アピールとは程遠い行動だ。
装醉的表演应该足够明显了。但事后照顾时露出的嫌弃表情,还有不情不愿来凯撒家的态度,这些举动可完全不像是在示好。

「あっ……えっと、俺の気持ちがバレないように的な……?」ハハッと乾いた笑いをする世一に、カイザーは呆然とする。
"啊......那个,就是不想让你发现我的心意之类的......?"世一干笑着打哈哈,凯撒听得目瞪口呆。

「お前、キスは出来るのに、気持ちはバレたくないと隠してたのか?」
"你明明会接吻,却一直藏着不想暴露自己的心意吗?"

「うっ……だって恥ずかしいじゃん……気持ち悟られて嫌われるとか絶対嫌だもん」
"呜...因为太羞耻了啊...要是被察觉到心意然后被讨厌的话绝对不要..."

「あのキス魔とは思えん発言だな」  "真想不到这是那个接吻狂魔会说的话"
「酒のせいにすれば許されるかと……」  "想着推脱给酒劲的话就能被原谅......"

恥ずかしそうに顔を隠す世一にカイザーはため息を付く。
凯撒看着害羞遮脸的世一,叹了口气。

「酒のせいにしなくても怒らないから、今度はシラフでしてくれ」
「不用拿醉酒当借口我也不会生气,下次清醒着亲就好」

「ん…分かった…」  「嗯...知道了...」
「よし」  「乖」

思わず世一の頭を撫でると、咄嗟の行動に世一はぎゅっと目を瞑る。小動物のような姿に自然と頬が緩んだ。
我不由自主地摸了摸世一的头,这突如其来的动作让他紧紧闭上了眼睛。那副小动物般的模样让我不自觉地放松了表情。

「あの、カイザー……髪セットしてるから……」  "那个...凯撒...我做了发型..."
「あぁ、そうだったな」  "啊,说得也是"

そういえば世一は見た目を整えて来たんだった。頭から手を離すと、世一はソワソワと視線を泳がして小さく呟く。
说起来世一今天确实精心打扮过。当我将手从他头上移开时,他眼神游移不定地小声嘟囔着。

「これ、どう……?」  "这个...怎么样?"
「どうって?」  "什么怎么样?"
「カイザーのためにしてみたんだけど…」  "是特意为凯撒准备的..."

世一が全身を見せるようにクルッとその場で回る。  世一在原地转了个圈,展示着自己的全身。

「俺の、ため……?」  "为了我……?"
「そう……」  "没错……"

まさかの事実にカイザーは固まってしまう。  面对这出乎意料的事实,凯撒整个人都僵住了。

「それは用事があったからだと……」  "那是因为有事情要办才……"
「あれは嘘。カイザーの反応が微妙だったから、良くないのかと思って言い訳しちゃった……」
"那是骗人的。因为凯撒的反应有点微妙,我以为他不喜欢就找了个借口……"

好きな人とデートに行っていたんじゃないのか。いや、あれは自分が勝手に思い込んでいただけだ。
不是和喜欢的人去约会了吗?不,那只是我自己一厢情愿的想法罢了。

「あの時は遠慮していたからな……。本音を言うと、今日のお前は一段と可愛い」
"那时候我有所顾虑啊……说实话,今天的你格外可爱"

あの時、素直に言っておけば良かった。そしたら世一も喜んでくれただろうか。
要是当时能坦率说出来就好了。那样的话世一也会高兴的吧。

「かっこいいじゃないんだ」  "才不帅呢"

カイザーが褒めたのにも関わらず、世一は不服そうに口を膨らませた。そんな世一を前に笑わざるを得ない。
尽管凯撒出言称赞,世一仍不服气地鼓起脸颊。看着这样的世一,他忍不住笑出声来。

「お前は可愛いだろ」  "明明就很可爱啊"
「うぅ……次はかっこいいって言わす」  "呜......下次一定要让你说我帅"
「ハハっそうか、楽しみにしてるぞ」  "哈哈,这样啊,我很期待呢"

未だ不服そうな世一を他所に、カイザーはキッチンへと向かい、別の酒を手にする。
不顾仍一脸不服的世一,凯撒走向厨房,拿起了另一瓶酒。

「飲み直すか」  "重新喝一杯吧"

そんなことを言いながら、新しいグラスに酒を注いだ。今回のはノンアルではない。
他一边说着,一边往新杯子里倒酒。这次可不是无酒精的。

「今度は酔うなよ?」  "这次可别喝醉了?"

そう挑発的に笑ったカイザーに、世一は負けじと睨み返す。
面对凯撒挑衅般的笑容,世一不甘示弱地瞪了回去。

「そっちこそ、俺に介抱されないようにな」  "你才是,可别又让我来照顾你"

カイザーは世一と飲む時、最終的に介抱をしなくてはならないため、いつも飲む量をセーブしていた。
因为每次和世一喝酒最后都得照顾他,凯撒总是刻意控制着自己的酒量。

しかし、世一が酔っていないと分かった以上、セーブする必要は無いだろう。
既然知道世一没醉,那也没必要克制了吧。

今日は盛大に飲んでやろうと、カイザーは一口目を流し込んだ。
凯撒灌下第一口酒,今天打算喝个痛快。


翌日の朝。  第二天早晨。
カイザーは頭に響き渡る痛みで目を覚ます。昨日は飲みすぎてしまったようで、体調があまり良くないようだ。
凯撒被脑袋里嗡嗡作响的疼痛惊醒。看来昨天喝得太凶,身体状态实在不佳。

思わず体をひねると、隣で寝ていた世一と目が合う。  我不由自主地扭动身体,结果和睡在旁边的世一对上了视线。

「おはよう」  "早上好"

世一は既に起きていたようで、すっきりとした顔で微笑んだ。
世一似乎已经醒了,神清气爽地微笑着。

「お前、昨日の記憶ある?」  "你还记得昨天的事吗?"

世一の問いに、カイザーは眉を顰めた。そういえば途中から記憶がない。自分はこんなに酒に弱かっただろうか。
面对世一的质问,凯撒皱起了眉头。说起来中途开始就断片了。自己酒量有这么差吗?

『41……好きだ、愛してる……』  41……喜欢你,爱你……

悶々と記憶を辿っていると、突然声が聞こえてくる。それは紛れもなくカイザーのもので、その音の発生源であろう世一のスマホが目の前に突きつけられた。
正当他苦闷地追溯记忆时,突然传来声音。那毫无疑问是凯撒的,而声源——世一的手机被举到了眼前。

『ふふっ……可愛いな世一』  呵呵……真可爱呢世一
『俺だけの世一……愛してる』  『只属于我的世一……我爱你』

世一のスマホに映し出されたのは、吐きそうなほど甘ったるい言葉を口にして世一にキスを送る自分の姿。
世一手机屏幕上显示的,是正说着甜到发腻的情话、对着世一送吻的自己。

「は……なんだ、これ……」  「哈……这、这是什么啊……」

カイザーが愕然としていると、世一は嫌な笑みを浮かべてカイザーを見つめた。
当凯撒愕然呆立时,世一露出了令人不快的笑容凝视着他。

「キス魔はお前だったな」  "原来你才是那个接吻狂魔"

これは恐らく、昨日カイザーが記憶を飛ばしてからの様子である。
这大概是从昨天凯撒失忆后开始的状况。

「カイザー俺のこと大好きじゃんね。かーわいー」  "凯撒明明超喜欢我的嘛。好~可~爱~"
「っ……うるさい!!ていうか撮るんじゃねぇ!!」  "闭...闭嘴!!还有别拍了!!"

ニヤニヤと揶揄ってくる世一に、カイザーの羞恥心はMAXだ。咄嗟にスマホを奪おうとするが、二日酔いのkisは上手く動くことが出来ず、スマホは遠ざけられてしまった。
看着世一满脸戏谑的笑容,凯撒的羞耻感达到了顶点。他下意识想抢回手机,但宿醉的亲吻魔根本使不上力,手机被轻松躲开了。

しかし、動画は流れたままである。じぶんの醜態を晒した動画を世一は容赦なくカイザーへ見せつける。
然而视频仍在继续播放。世一毫不留情地将记录凯撒丑态的视频怼到他眼前。

部屋の中で追いかけっこをしたが、結局スマホを奪うことは出来ず、世一に弱みを握られてしまったままになってしまった。
两人在房间里展开追逐战,但凯撒最终没能夺回手机,彻底被世一抓住了把柄。

ニヤニヤと見下ろしてくる世一に、負け惜しみで睨み返したカイザーは、もう一生世一の前では酒は飲まないと心に決めるのだった。
面对世一居高临下的嘲笑目光,凯撒用不甘心的眼神瞪了回去,暗自下定决心这辈子绝不再当着世一的面喝酒。

评论

  • kohiru touto    小日向透
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  • 蛇羅覇  蛇罗霸
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  • トマト  番茄
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