突然だけど、僕は淫語が好きだ。
淫語ってのはまぁ、文字通りいやらしい言葉のこと。前から女性が恥ずかしい言葉を言いながらセックスしているAVとかをオカズにしていた。清楚でえっちなことなんて全く知りませんって娘がそういうプレイをしていたら、まぁ自然と勃ってくる訳で。
なんで好きなのかはいまいち僕にも分からないけど、それが僕の性癖なんだろう。
そして僕には今、恋人がいる。小柳ロウという、可愛い恋人。別に同性愛者でもなんでもなかった僕が何故彼を好きになったのか、どういう経緯で付き合うことになったのかは長くなるので省略するが、とにかく僕達はそれなりに上手くいっている。普通にデートとか、ハグやキスといったスキンシップもするし(向こうからは恥ずかしがってあまりしてくれないが、それも可愛い)、身体ももう両手の指では数えられない程度には重ねた。
身体の相性もかなり良いんだと思う。ロウとするのは気持ちいいし、向こうも気持ちよさそうだし。それにロウとのセックスで一番良いところってやっぱあれだ。
ロウは躾がしやすい。僕はそんなロウが大好きだ。
いつもは僕かロウの家でそういうことをするけど、今日はデート先がお互いの家から遠い場所だったこと、帰るのが思ったより遅くなったこと、そして帰り道で偶然ホテルを見つけて、まぁそういう雰囲気になったことと色々要因が重なり合って、宿泊する流れになった。
ホテル代が割と安めだったのが不安要素だったけど、いざ部屋に入るとちゃんと綺麗だった。ベッドも大きい。成人男性二人が並んで寝ても問題無いだろう。
「シャワー先に浴びてくる」
ソファーの上に荷物を置いたロウが、そう言って浴室の方に行ってしまった。
「え〜待ってよ、一緒に入ろ」
慌てて脱衣場まで追いかけると、既に上半身裸のロウが出迎えた。びっくりした顔を見せた後、むっとした顔つきに変わる。
「はぁ?なんでだよ」
「家と違って時間限られてるじゃん。一緒に入った方がより長く色々出来るよ」
色々。その内容を想像してしまったらしいロウの顔が急速に赤く染まった。可愛いなぁと愛でたくなる気持ちと同時に、加虐心も湧いてくる。
「ほら、入ろ」
手早く全裸になって、僕はロウを促した。ロウも少し迷った末に下も脱いで、僕と一緒に浴室に入る。
浴室は流石に成人男性二人では狭い。シャワーヘッドから湯が出ると、湯気が立ち上って部屋を満たした。僕はロウの意外と引き締まっている身体に湯をかけてやる。
「……っ、俺一人で洗えるから」
「ん〜?たまにはいいじゃん」
ロウはさっきから居心地悪そうだ。というか今日に限らず、多分この後するんだろうなって時はいつも居心地悪そう。まぁそれもそうか。この後、僕に躾けられたことをするんだから、緊張しちゃうよね。
「髪、洗ったげるよ」
備え付けのバスチェアを置いてロウを座らせた。僕としては本当に善意で髪を洗うだけなのに、ロウはさっきから警戒しっぱなしだ。それが逆に僕を煽っていることに気付かないのだろうか。
シャンプーを手に乗せてロウの髪を泡立たせていく。サラサラの群青色の髪が白い泡に包まれていく。
「痒いところないですか〜?」
「……ない」
美容師の真似をしながら頭皮もしっかり洗って、ついでに僕の髪も適当に泡立たせた。髪は今回のメインイベントではないのだ。ちゃっちゃと終わらせたい。
それが分かっているのか、ロウの手早くシャンプーを洗い流す僕への警戒心も徐々に薄くなってきた。肩の力を抜いてされるがままだ。トリートメントの時も同じ感じだった。
「……じゃあ、次、身体洗おうね」
「…………なぁ、身体は自分で────」
ロウがおずおずと提案してきたけど、あえて無視した。そんなことさせる訳ないじゃん。今一番楽しみにしてるんだから。
「ほら、立って」
命令するとロウは言う通りにした。立ってバスチェアを端の方に寄せる。
石鹸を泡立たせてロウの胸元に触れた。ぴくっ、と反応するのが可愛らしい。
最初はちゃんと身体を洗ってあげる。石鹸のぬるぬるを活かして、ロウの白い肌の上を僕の手が滑っていく。しゃがんで下半身も洗おうとすると、上から「下は、いい……っ」と声が降ってきた。
「え〜、ちゃんと洗ってあげたいじゃん」
そう言いながら上を向こうとして、ロウの陰茎が緩く勃ち上がっていることに気が付く。興奮してるんだ。
「……ロウきゅん」
僕はロウの陰茎の先端に人差し指を置いた。たったそれだけの接触でびくっ、と分かりやすく反応するロウが愛おしい。
「どこ洗って欲しい?」
「え……」
「言って、言えるよね」
躾けられてるもん。僕がにっこり微笑むと、ロウは火が出るんじゃないかってぐらい赤い顔で僕に釘付けになった。
僕は淫語が好きで、ロウが僕とのセックスに慣れてきた辺りでそれを仕込んでみた。最初は興味本位だったけど、ロウが思ってたより躾しやすくて、しかもロウは躾を喜んでいる節があって。口では嫌々言っても実際は辱められるのが大好きなロウと、僕の性癖は相性が良かったらしい。
「…………俺の、おちんぽ、洗って欲しい」
震えた声が浴室に反響して響く。笑いが零れるのを抑えられない。よしよし、ちゃんと出来た。
「いいよ」
ご褒美に僕はロウの陰茎を右手で柔く握った。前後に動かしてごしごし洗ってあげる。
「あ、ぁ……っ、ん、あ……っ」
「汚れやすいからね〜、ちゃんと丁寧に洗わなきゃ」
洗うって言いながら扱いているだけだけど。でもロウは目を閉じて気持ちよさそうに喘いでいる。
「ロウきゅ〜ん、折角洗ってあげてるんだから、汚しちゃダメだろ〜?」
漏れてきた先走りを指で掬って、咎めるように亀頭に擦り付けた。石鹸のぬるぬると先走りのぬるぬるが合わさって、触っているだけで楽しい。
「あ"〜〜〜〜っ、ごめ、ごめ、なさい……っ、あ、ああ……っ、ン、は、あぁっ」
膝ががくがく震えている。見上げるとロウの口の端から涎が垂れていた。もうすっかり夢中だ。僕の手の動きに合わせてヘコヘコ腰振ってるのも無意識なんだろうな。
「気持ちいい?」
「ん、きもちい……っ、あ、うぅ……っ」
「どこが?」
「え……っ?あ、うう……、おちんぽっ、おちんぽきもちい……ッ、あ"っ、ぁ、はぁ、ン、あ……っ、あ」
まだちょっと恥ずかしそうだけど、でもちゃんと僕の意図を分かってくれている。いい子だな。いい子にはご褒美あげないと。
「ロウ、どうしたい?言って」
「あっ、んん、お、おちんぽ……っ、ぴゅっぴゅっしたい、です……っ、ふ、あ……っ」
「いいよ」
扱くスピードを上げると、ロウの目尻から涙が零れた。息がさらに荒くなって、腰もさらにヘコヘコして。
「あ〜〜〜〜ッ、イく、イく、ぴゅっぴゅっする……ッ」
僕の手の中にロウは射精した。何回かに分けて白濁液が吐き出される。勢いすご。最近会えてなかったし、溜まってたのかな。
「……ロウ、大丈夫?」
ロウは荒い息を吐きながらなんとか立っている状況だった。このままだと倒れちゃいそうで危ないので、僕が支えてバスチェアに座らせる。
「待っててね、ロウ。すぐに身体洗うから」
座ってぼーっと宙を見つめていたロウに僕は声をかけた。びしょ濡れの頭を撫でてあげる。
まだ一箇所だけ、ロウの身体で洗えてないところがある。でもそこは時間かかっちゃうから、その前に僕は自分の身体を綺麗にした。完全に勃ってしまっている自身を丁寧に洗っていると、ロウが釘付けになって見ているのが感覚で分かった。視線が痛い。相当期待している。
「おまたせ。ロウ、大丈夫?逆上せたりしてない?」
ロウは無言で頷いた。顔は赤いけど、さっきイった時の余韻によるものだろう。目はしっかりしてるし大丈夫そうだ。
「じゃあロウの身体洗おうか。あと一箇所、洗えてないところがあるけど、どこだと思う?」
ロウの目がゆっくり見開かれ、視線が逸らされた。ちらりと覗いた耳が真っ赤なのに気付いてニヤニヤが止まらなくなってしまう。
「言って」
僕が優しく促してやると、ロウは俯いたまま、普段とは違うか細い声で呟いた。
「お、おまんこ……」
「……そうだねぇ」
やばい、可愛いしエロい。顔を真っ赤にして、恥ずかしながら言ってくるの、一番エロいじゃん。股間に熱が集中するのが自分でも分かる。
「じゃあ今から洗ってあげるから、立って壁に手ついて」
ロウはまた無言で頷いて立ち上がった。壁に両手をついて、立ちバックの体勢になる。
「あ、ローションとか無いや。どうしよ」
「え……」
顔だけ振り返ったロウが不安そうにこちらを見てきた。折角期待して頑張ったのに、ここでお預けなんて流石に可哀想だ。
「……ロウ、指、舐めて」
大丈夫、という意味を込めて僕は微笑みかけてあげた。そして自分の右手をロウの口元に持って行ってやる。
こちらを振り返ったままロウが舌を出して舐めようとしてくれた。「辛いでしょ、前向いていいよ」と声をかけ、ロウに前を向かせる。指にロウの舌が当たる感触がする。
「ん、ふ……、ん」
僕からじゃ見えないけど、一生懸命唾液を出して指を濡らしてくれているのが分かる。指を一本一本、丁寧に舐めて、しゃぶって。たまにじゅるって唾液を啜る音が響く。顔が見えないのもったいないな。次する時、顔が見える体勢で指フェラしてもらおう。
「うん、もういいよ。ありがと〜」
こんだけ濡れてたら十分か。僕はロウの口から手を離した。
「入れるね」
「ん……、う、ぁ……っ」
何度も身体を重ねたおかげで、中指一本なら難なく入っていった。ロウ曰く最初は快感は無くて圧迫感の方が強いらしいから、早々にロウの好きなところを目指す。腹側のにあるしこりのようなもの。何度も触れて、もう場所を覚えてしまった。
「あ"っ、ん、ふ……っ、うぁ……っ」
前立腺に触れると同時に、ロウは分かりやすく反応を示した。声とかもそうだけど、触れたり擦ったりするとその度中が締まる。人差し指も入れてみたら、こちらも難なく入った。中指と人差し指でしこりを挟んで揺さぶってやると、ロウが喘ぎながら嫌々するように首を横に振る。
「ロウ、これ好きだもんね」
「ひ……っ、すき、じゃない……っ、あ、ん、あぁッ」
「好きでしょ。ほら、きもちいね〜」
「あ"ああぁ……っ、あ、う"、ぐ……ッ、お"っ、あ、ああッ」
また膝が笑いだしている。ロウの喘ぎ声が反響して響いて、それがさらに興奮を高めていく。可愛い。可愛いけど、そろそろ。
「あ、やばい、イく、イ、ぐ……っ」
ロウが絶頂を迎える直前で僕は指を全部抜いた。寸前で止められ、ロウは「ひ……ッ」と甲高い声を漏らす。
「……え、なんで、ウェン」
振り返ったロウの顔は涙と汗と涎でぐちゃぐちゃだ。手マンだけでこうなるのなら、セックスだと大変なことになるのでは。
「ベッド、行こうか。そこでもっといっぱい気持ちよくなろ」
ロウの目が欲と期待でらんらんと輝く。可愛い、と僕は我慢しきれず口にした。
この後、どうしたらより気持ちよくなれるのかなんて、ロウが一番知っているはずだ。
バスタオルで雑に髪と身体を拭いて、まだしっとり濡れたままお互いベッドに転がった。ロウを押し倒し、ほとんど噛み付くようにキスをする。開いたままのロウの口の中に舌を入れて、反射的に逃げようとしたロウの短い舌を捕まえて絡ませた。
「ん"ん……、んっ、ん……」
舌先を吸うとロウが身動ぎして低く喘ぐ。いつもこの反応するけど好きなのかな。
唇を離すと、ロウと僕の間に銀色の線が繋がれ、ぷつっと途切れた。ロウの視線が途切れた場所をじっと見ている。半開きの口から赤い舌がちろりと覗いていた。
「ロウ」
ロウの視線が僕に移る。性欲から来る期待でらんらんと輝いた瞳。この後、何を言われるのか、何をしなきゃいけないのか、ロウは知ってる。知っていて、それを期待しているんだ。
「どうして欲しいか、ちゃんと言って」
ロウの頬に赤みが差して、許しを懇願するような、泣き出しそうな顔になる。薄い唇が開いたり、何も言えずに閉じたりを繰り返す。僕がこう言うといつもこの顔をするけど、確かに可愛いけどだからといって許してやる訳が無い。
僕はこの瞬間を何より楽しみにしてるんだから。ロウだってそれを理解しているから。
ロウが口を開く。可哀想に、涙の浮かんで目で、羞恥心で死にそうな表情で。
「おれ、おれのお、おまんこに……ウェンの、おちんぽ、挿れてほしい……っ」
ロウはえっちなことを全く知らないって雰囲気はしてないけど、でもどちらかと言うと消極的な感じだ。男同士でもあんまり性癖の話とかしないし、女性相手にグイグイ行く感じでもない。恋人である僕にも恥ずかしがって自らスキンシップをとることなんてほとんどしない。
そんなロウが、やらしい言葉を使って、僕とのセックスをおねだりしている。脳味噌が沸騰しているんじゃないかと錯覚してしまうぐらい熱くなって、熱暴走を起こして、止まれない。
「〜〜〜〜〜〜ッ♡♡♡」
正常位で挿入してすぐ、ロウは声も出せないまま絶頂を迎えた。シーツを掴む手に爪が白くなるぐらい力が入って、首を反らして、急所の喉元を晒して。
「あはっ、きもちいねぇ」
「あ"あっ、あ♡、お"っ、ほ……ッ♡♡、は、あッ、あああ……ッ♡♡」
イってる最中をガンガン突くのも好き。中がきゅうきゅう締まって、ロウの陰茎からはだらだら精液が垂れ流しになってる。最高としか言いようがない。
「ほらロウ〜?どこ気持ちいいか言って〜?」
「お"っ、おまんこ……っ、おまん、ごッ♡♡ぎもちい……ッ♡♡」
ロウも自分が何言っているのかよく分かってなさそうだ。ただひたすら淫語を言って快楽に溺れている。
「あ"〜〜〜〜♡♡♡イ、ぐ……ッ、お、お"お……っ」
ロウがまたイった。色も薄く、粘り気も無くなって水のようになった精液がとろとろ亀頭から流れてくる。首も胸も反らしてイってる。可愛いと可哀想でぐちゃぐちゃになりそう。
「そういえばここ、ちゃんと洗えてなかった」
「ぇ?あ"♡♡、あ、お"お……っ♡♡、は、う、んんっ」
差し出された乳首を両手で摘むと、ロウの中がまた締まった。真っ白な肌に何度もキスして、キスマークを残して、ギリギリ服で隠れそうなとこに噛み付く。僕の歯、ギザギザで誰がつけたか丸わかりだから好き。ロウが誰のものなのか一目で分かる。
そうこうしていたら僕も限界が来そうだ。腰を両手で掴んで一番締まる場所を何度も突き上げる。たまにぐりぐり押し潰すような動きに変えると、締まり方も変わって面白い。
「ロウ、イくね……っ、ロウ……っ」
「あ"、ひ……っ、あ"あ♡♡イ、く、イく、イく……っ♡♡」
最奥に屹立を突き立て、射精した。脳味噌が最高潮に熱くなって、どろどろ溶けて、気持ちいい。思考がまとまらない。ロウ、好き。大好き。
ようやく波が落ち着いて、僕はゆっくり自身を引き抜いた。引き抜く時も「んん……」とえっちな声を出すの勘弁して欲しい。
「…………ロウ?大丈夫か?」
ロウの身体は弛緩しきって、ベッドの上に仰向けで倒れていた。呼吸も今は落ち着いて、ぼんやりと天井を眺めている。ごぽっ、と後孔からさっき出した僕の精液が流れ出ている。絶景。
顔を上から覗き込むと、ロウの目がゆっくり僕に移動した。
「……ウェン」
ロウが上体を起こして、僕に顔を近付ける。蕩けきった、漫画とかだったらハートが浮かんでそうな目でロウがにたりと笑った。
「もっと」
普段は出さないような甘ったるい声で強請られる。
堕ちた、と僕は思った。
「あ、あ〜〜〜〜ッ♡♡お"、う、おく、ぎもぢい……ッ、おまんこ、ぁ、だめにな"、る"……ッ♡♡」
先程とは打って変わってロウは散々恥ずかしがって渋っていた淫語を言いながら喘いでいる。対面座位だからロウの声が耳元で響いてきて、それでさらに性的興奮が高まってを繰り返していた。
「ウェン、ウェン……っ、おちんぽきもちい……っ♡♡」
「気持ちいい?」
「き"もち、い……ッ♡♡、お"っ、あ"っ、あ……ッ♡♡」
首の後ろに回った腕に力が入り、自然と顔が近くなったところをキスされた。ロウの短い舌が懸命に動いて僕の舌と絡み合おうと頑張っている。
ある程度の「線」が多分、ロウにはある。ロウが理性を保つための一線。
それを僕が快楽でぐずぐずにして溶かしてあげると、ロウはこうやって躾された通りえっちな言葉を叫び散らすけだものになってしまう。これを僕は、心の中でこっそり「堕ちる」と表現していて、そして僕はロウが堕ちる瞬間が大好きだった。
勿論、羞恥心に耐えながら何とか淫語を口にするロウも大好きだ。でもあれとはまた別の味がする。何もかもどうでも良くなって、目の前の快楽に溺れて、それを教えられた言葉で表現するロウ。
えっちな言葉を言うよう躾けたのは僕だけど、まさかこうなるとは。予想していない嬉しい変化である。
僕が腰を動かすのに合わせて、ロウも腰をゆるゆる動かしている。精巣はもう空っぽらしく、明らかにイっているのにロウの性器からは何も出ていない。辛くないのかなぁ、と流石に心配になるけど、ロウはお構いなく僕とのセックスに勤しんでいる。
「おまんこ、や、ぁ、あ"……っ♡、お"、う"……っ、おまんこ、ばかになる……ッ♡♡」
「もう馬鹿になってるだろ」
「う"〜〜〜〜♡♡、や、こわれるぅ……っ、お"ほっ、は、あ……っ♡♡」
狼らしく低い唸り声をあげたけど、全然怖くないし可愛いしどちゃクソエロい。
「かーわいい」
背中を支えていた両手をまたさっきみたいに腰に移した。ぐっと力を込めて固定すると、ロウがひゅっと息を吸った。ロウ、これ好きだもんね。
ロウの身体をオナホみたいに使えるのが対面座位の良いところである。対面座位が一番そうしやすいっていうか。本来なら恋人にするには酷すぎるプレイなんだけど、マゾ気質なロウはこれで大喜びしちゃうから仕方ない。
「お"、あ"……っ、ふ、う、お"お……ッ♡♡」
ロウは濁点混じりの喘ぎ声を突かれる度に出す。気持ちいいのと苦しいのが同時に襲いかかってきていて、ロウはもうめちゃくちゃだ。でも痛いのも苦しいのもロウは好きだから。
「あー……イきそ……。ロウ、ちゃんと受け止めてね」
「あ"、あ……っ♡、ん、せーし、せーしくらさい"……ッ♡♡」
蕩けた声音でそう言われて、僕も流石に限界だった。固定した腰の奥に思いっきり打ち付けた。
「あ、あ"…………ッ♡♡」
ロウも何も出していないけどイったらしい。びくびくびく、と身体が震え、揺れて。
そしてこちらに倒れ込んだ。慌てて受け止めて優しく抱きしめてやる。
「……ははっ、ロウ、気持ちよさそうだったねぇ」
背中を優しく擦ると、それすら刺激になってしまうらしく「ぁ、ん……」と小さく喘ぎ始めた。もうどこ触っても快感に変換されてしまうのではないだろうか。
「ロウ、まだ行ける?」
たった二回で治まる訳ない。ロウに囁くように聞くと、蕩けた表情のロウが僕を見て。
「おまんこ、して、ほしい……」
ぞくぞく、と興奮で脳味噌が茹だる。何も分からないといった様子でロウが微笑んだ。天使みたい、可愛い。
「いいよ」
ロウ、明日大丈夫なのかな。そんな心配が一瞬だけ脳内を掠めたけど、すぐに性欲の波に呑まれて掻き消えてしまった。
延長料金がかかってしまう直前に何とか身支度を済ませ、慌てて僕とロウはホテルを出た。
遠出だったから僕の車でここに来ている。普段は運転しないししたくないけど、こんな良い思いが出来たんだから、今回は車で良かった。昨日の影響で歩くことすら辛そうなロウも楽に移動出来るし。
朝日が照らす道路を僕達は走る。時間帯のせいか、元々この辺に来る人がいないのか、車は僕達の一台だけだ。直線道路だけど対向車も見当たらない。
「……やりすぎなんだよ、お前」
不意にロウがそう言った。昨日散々喘いだせいで声はガラガラだ。こりゃ今日は配信出来そうにないだろう。
「あはは、ごめんごめん」
「ごめんで済むなら警察はいらねぇ……」
ロウはうんざりした顔で前を見つめている。朝、僕に起こされたその瞬間から喉が痛い、腰が痛い、全身怠いと文句のオンパレードだった。まぁそうしたのは僕だし、僕に全責任があるので。
「コンビニ見つけたら寄ろうか。のど飴とか水とか買うよ」
「頼んだ……。あ"ー、普段より声ひでぇ……、どれだけしたんだ、ウェン」
相当お怒りのようだが、一つだけ訂正しておきたいことがある。僕は口を開いた。
「回数自体は普段と変わらないよ。いつもより声やばいのは別に原因あるし」
「え……」
心当たりがないらしく、ロウは僕の顔を見て首を傾げた。ちょうど赤信号に引っかかる。僕はロウに顔を向けてにっこり微笑んでやった。
「普段、僕やロウの家じゃ、ご近所さんが気になって思いっきり声出せないもんね。ホテルだといつもより声大きかったよ。可愛かったなぁ〜」
可愛かったなぁ〜、の「な」の部分で信号が青に変わった。同時に「ウェン!!」とロウがガラガラ声で叫ぶ。
「こら、暴れないでよ。運転中だからさ〜!」
「ふざけるな……お前……!」
前を見なきゃいけないから、ロウの今の可愛いお顔が見れないのは残念だ。でも横から聞こえる声だけでもすっごく可愛い。
車内に僕の笑い声とロウの怒りの文句が響き渡った。