言葉なき態度 无言的态度
X(旧Twitter)で掲載していた体調不良のお話の後半です。
这是在 X(旧 Twitter)上发布的关于身体不适故事的后半部分。
こちらはTwitter掲載時の伏字や誤字、ルビ等を読みやすく編集したものになります。未編集版はTwitterをご覧ください。
这里是对 Twitter 发布时的隐藏字、错字、注音等进行了易读性编辑的版本。未编辑版请查看 Twitter。
◆
9月開催のrnisのWebオンリーにてこちらの作品を加筆修正+後日談を付け加えた形で展示する予定です!
预计在 9 月举办的 rnis 网络限定展上,将以加笔修正并附上后日谈的形式展示这部作品!
追加部分のサンプル等はまた近づいたらアップします🙇♂️
追加部分的样本等将在临近时上传🙇♂️
- 29
- 44
- 659
◇ ◇ ◇(rn視点)
朝から、潔の様子がおかしいことには気づいてた。いつもなら目覚ましが鳴る前に起きるくせして、今日は目覚ましが鳴っても起きない上、動く素振りもなかった。仕方ないからウルセェ目覚ましを止めて、先に朝飯を食いに行けば、それから15分くらいして潔のやつも食堂に現れる。
从早上开始,我就注意到洁的样子有些不对劲。平时总是闹钟还没响就起床的,今天闹钟响了也不起来,连动都不动一下。没办法,只好关掉那烦人的闹钟,先去吃早饭,结果过了大约 15 分钟,洁那家伙才出现在食堂。
カウンターで朝飯を受け取って席に着いた潔が、ボケッとしながらゆっくり飯を食ってるのを視界の端で捉えつつ、俺は黙々と自分の分を食べ進める。
在柜台取了早餐坐下的洁,一边发呆一边慢慢吃着,我则在视野边缘捕捉到这一幕的同时,默默地继续吃着自己的那份。
カタンと小さく椅子の動く音を聞いてチラリと視線だけ向ければ、潔は朝飯を残してカウンターに食器を下げた。部屋で見た時よりも顔色は悪く、青を通り越して白く見える。いつもはうるさいくらい近くにいて飯の間も話しかけてくるのに、今日は静かで近くにもいなくて、認めるのは癪だが落ち着かねえ。
听到椅子轻微移动的声音,我瞥了一眼,只见洁把早餐剩菜放在柜台上。他的脸色比在房间里看到时更差,几乎是惨白。平时总是近得让人心烦,吃饭时也会搭话,今天却异常安静,也不在近旁,虽然承认这一点让人不爽,但心里却无法平静。
ハァと息を吐けば、いつの間に目の前に座ったのかオカッパがニヤニヤしながら俺を見ていた。
哈地吐了口气,不知何时坐在眼前的奥卡帕正咧嘴笑着盯着我。
「……視線がウゼェ」 「……视线真碍事」
「凛ちゃん、潔の方に意識向けすぎて俺のこと気づかないなんて珍しいじゃん!」
「凛酱,你居然只顾着洁,都没注意到我,真是少见啊!」
「用があんならさっさと言え」 「有事就快说」
「潔、心配だよね」 「洁,很担心吧」
「……あ?」 「……啊?」
「潔ってさ、周りが前に進んでいくとドンドン焦っちゃって、自分の限界が見えなくなるから」
「洁啊,周围的人都在前进,自己就越来越焦虑,感觉不到自己的极限了。」
“青い監獄”の入寮直後はそれで寝れなくて1on1したりもしたんだけどね〜、というオカッパに、思い出したことがあった。
“蓝色监狱”刚入宿舍那会儿,因为这样睡不着还 1on1 过呢~,想起这件事的哥哥。
潔は周りをよく見ていて、だからこそ俺のオーバーワークを止めようとした。周りのことは見ているのに、自分のことには無頓着。そんなアイツに、どこまでチグハグなんだと眉を寄せる。俺よりはマシかと思ったが、潔のおかげでオーバーワークして倒れなかったことを考えれば無自覚ながらにアイツのそれはアホらしく思えた。
洁总是细心观察周围,正因为如此,他才会试图阻止我过度工作。明明关注着周围的一切,却对自己的事情漠不关心。我皱起眉头,心想这家伙到底有多不协调。虽然觉得他比我强点,但想到若非洁的提醒,我可能早已因过度工作而倒下,不禁觉得他那无自觉的关心真是傻得可爱。
「前に聞いたことあるんだよね〜、潔は自分の限界ちゃんと理解るの?って」
「之前听你说过吧~洁,你真的清楚自己的极限吗?」
オカッパいわく、一次選考の頃に聞いたらしい。試合中も含め潔が周りを把握し続けているから。普通なら気づかないことにも、アイツは気づくことが多くて、たまにそれを口に出す。
据奥卡帕所言,似乎在一次选拔赛期间听说的。包括比赛过程中,洁始终在掌握周围的情况。换作常人难以察觉的细节,那家伙却能敏锐捕捉,偶尔还会脱口而出。
「潔、『自分では限界を理解ってるつもりだけど……えっ俺そんなに周りのこと見てた?!』って言っててさ。実際、チームのみんな俺が朝起きなくても起こしたりしないのに、潔だけは毎日ご飯遅れるからって起こしてくれてた」
「洁说,『虽然我自认为很清楚自己的极限……咦,我原来这么关注周围的人吗?!』。实际上,团队里其他人就算我早上起不来也不会叫醒我,只有洁,因为怕我每天吃饭迟到,特意来叫我起床。」
そこまで来たらただの世話焼きだろ、なんて言えるわけがなかった。それはあまりにも、昔俺がクソ兄貴にしてもらってたことに似てたから。
事已至此,说什么只是多管闲事,根本说不出口。因为那实在是太像了,就像过去我被混蛋老哥照顾时一样。
「アイツ、兄弟いんのか」 「那家伙,有兄弟吗?」
次々とオカッパから明かされる潔の面倒見のよさに思わずそう呟いた。アイツが面倒見てたとかそういうのをしてもらってたのは、俺だけじゃねぇってわかって、なんとなく嫌な気持ちになった。
不禁喃喃自语道,随着一个个从奥卡帕那里揭露的洁的细心照顾。原来不只是我一个人被他照顾,这种感觉让我莫名地感到不快。
「一人っ子、って言ってたよ!兄弟に憧れあるんだって〜」
「说是独生子呢!好像很憧憬有兄弟姐妹啊~」
弟がいたらこんな感じなのかなって言われたことある!とかオカッパが言う。つまり、面倒見のよさはクソ潔の視野の広さと本人の適応能力が故の産物か。
有人说过,如果有弟弟的话大概就是这种感觉吧!之类的,奥卡帕会这么说。也就是说,照顾人的好脾气是洁世一视野的广阔和本人适应能力的产物吗?
だからとなにかあるわけでもない。むしろ、それで潔自身が体調を崩していたら元も子もないとかいうやつだ。
所以也没什么特别的。倒不如说,要是因此洁自己身体垮了,那可真是得不偿失。
「……チッ」 「……啧」
「舌打ちしないのー!凛ちゃんさ、潔は具合悪い自覚ないみたいだし、それとなく言ってみてよ」
「不咂舌吗!凛酱,洁好像没意识到自己身体不舒服,委婉地提醒他一下吧。」
多分俺が言っても気のせいだろって言われるだろうからさ、と続けたオカッパに返事はしない。オカッパ自身も俺が返事するとは思ってないから、それだけ言ってサッサと食器を下げに行った。
大概我说了也会被当成错觉吧,所以我没有回应继续说下去的 Okappi。Okappi 自己也没指望我会回答,说完就匆匆去收拾餐具了。
それから少しして食べ終わった食器を下げて部屋に戻れば、ちょうど着替え終わった潔が一息ついたとこだった。
过了一会儿,吃完的餐具撤下后回到房间,正好是洁换完衣服喘口气的时候。
オカッパに言われたことをどう伝えるか考えてたら、どしたの、なんて聞いてくるから思わず舌打ちをして口を開いた。
正在思考如何转达奥卡帕的话,结果被问到“怎么了”,我不由自主地咂了咂嘴,张开了口。
「テメェ……」 「你这家伙……」
言いかけたところで、潔が自分の限界に自覚を持てなければ、どっかでまたオーバーワークして倒れることは簡単に想像できた。
话说到一半,洁如果不能意识到自己的极限,很容易就能想象到他会在某个地方再次过度劳累而倒下。
「……やっぱいい」 「……果然还是算了」
「ちょ、言いかけて止められると気になんだけど……」
「喂,话说到一半被打断,很在意啊……」
言ってくんね、と聞いてくる潔を自覚がないなら意味ねーと突っぱねる。もしここでちゃんと話してたら、なんて数時間後に後悔することになるなんて俺は気づかなかった。
要是没意识到洁在问“你不说吗”,那拒绝也没意义。如果当时好好谈了,我也不会在几小时后后悔得要命。
チッと舌打ちをして手早く荷物をまとめた俺は、既にクソ兄貴が待っているだろうトレーニングフィールドに向かってさっさと移動し始める。そんな俺に、なんだよ、と言いながら潔も荷物をまとめて追いかけてきた。
咂了咂舌,迅速整理好行李的我,已经朝着那混蛋大哥大概在等着的训练场快步走去。在我身后,洁一边说着“搞什么啊”,一边也收拾好行李追了上来。
どうせ行先は一緒だから待ったところで変わんねぇのに、数日前にも眼と頭の使いすぎで倒れたコイツが、体調を崩していることに自覚がないことにイライラして、何故かモヤモヤとして。モヤモヤする理由もわからないが、ただ、ずっと隣にいるのにここまで気づけなかった俺にもイラついた。
反正目的地都一样,等不等也没什么区别,前几天还因为用眼过度和用脑过度而倒下的这家伙,竟然对自己的身体状况毫无察觉,这让我感到烦躁,不知为何心里还一阵郁闷。虽然不明白郁闷的原因,但一直待在旁边却到现在都没察觉的我,也让我自己感到恼火。
トレーニングフィールドに潔と揃って足を踏み入れたら、やっぱ先に来てたクソ兄貴がストレッチをしながらこっちに視線を投げかけてきた。
一踏入训练场,和洁并肩而行的我,果然看到那个混蛋老哥已经先到了,正一边做着拉伸一边朝这边投来视线。
それを無視して、手近な壁際に荷物を置いて俺もストレッチを始める。時間をかけて怪我のリスクを抑えるためにアップもしたところで、練習に入る。
无视那声音,我将行李放在附近的墙边,也开始做起了拉伸。为了降低受伤风险,花时间做了热身,然后开始练习。
兄貴と連動して走り回る潔を見ながら、その動きがいつもよりもやっぱり鈍いことに気づいて、休憩に入ったら声をかけるべきかと考える。芝生を踏む音、ボールを蹴る音がピタリと途絶えてからようやく二人が一時中断したことに気づいて、兄貴と潔はピッチ内でああでもないこうでもない、と意見を交わしていた。
看着洁与兄长一起奔跑的身影,注意到他的动作果然比平时迟钝,思考着是否该在休息时上前搭话。草坪上的脚步声、踢球声戛然而止,才意识到两人暂时停了下来,兄长和洁在球场上讨论着这样也不行那样也不行。
いつ声をかけるべきか様子を見ていたら、いきなり潔の身体が傾いで、俺は目を見開いた。
正当我观察着该何时开口时,洁的身体突然倾斜,我惊讶地睁大了眼睛。
「潔!」 「洁!」
兄貴も急にグラついたことに驚いたらしく、ドサッという倒れた音のあとに地面に膝をついて潔を抱え起こしていた。
大哥似乎也对突然的踉跄感到惊讶,扑通一声倒地后,他跪在地上,抱起了洁。
「クソ兄貴」 「混蛋大哥」
潔を抱え起こす兄貴に声をかければ俺と同じ色の見透かす目に、居心地が悪くなる。
被哥哥抱起洁时,他那看透一切的目光与我对视,让我感到一阵不适。
「おい凛、お前と潔同室だったよな。こいつの様子がおかしいって朝から気づいてただろ」
「喂,凛,你和洁是室友吧。从早上就注意到这家伙不对劲了吧。」
咎めるような言葉に思わず目を逸らす。自白しているようなものだった。
不由自主地移开目光,仿佛在坦白一般。
「……気づいてて、話はしようとした」 「……察觉到了,本想说的」
「話してたら潔は今ここにいねぇだろ。というより部屋で大人しく寝てんだろうが」
「说起来洁现在不在这里吧。倒不如说,他应该在房间里乖乖睡觉吧。」
伝えれば、コイツがちゃんと休むのはわかってた。それでも意地が邪魔して、突き放すような言葉しか頭に浮かばなくて、言えなかった。
即使知道这家伙会好好休息,但自尊心作祟,脑海中只浮现出那些推开他的话语,终究没能说出口。
様子を見てダメなら、無理矢理休ませようと思った。兄貴の言ってることは正論だとわかってても、八つ当たりみたいに声を荒らげる。
看情况不行的话,就强行让他休息。虽然明白哥哥说的是正理,但还是像在发泄一样大声嚷嚷。
「ただ、気づいてねえみてぇだから言いにくかった。こいつはさりげなく俺がオーバーワークしねぇように様子みてストップかけてくれた。実際俺がそれをやる側になったら、なんて言っていいかわかんねぇんだよ!」
「只是,看他没察觉的样子,我很难开口。这家伙不动声色地观察我,怕我过劳,适时叫停。实际上,如果换作是我来做这事,我都不知道该怎么表达才好!」
俺が熱を出したことも看病してもらった経験は覚えてないくらい数少なくて、サッカー始めてからは始める前よりも兄貴の真似したりくっついたりしてた。
我发烧时被照顾的经历少得几乎不记得,自从开始踢足球后,反而比以前更常模仿哥哥或黏着他。
してもらったことはあっても、するような経験はなくて、どうしていいかわからなくて、結果本当にやばかったら止める、と思っていたのに止める前に潔は限界を迎えて倒れた。オカッパからも言われてたのに。
虽然被做过,但自己却没有那样的经验,不知道该怎么办,想着如果真的不行了就停下来,结果还没来得及停下,洁就已经到达极限倒下了。明明连教练也提醒过。
らしくないと言われるのはわかってるけど、好きなやつが目の前で倒れて頭が真っ白になった。
虽然知道这样不像我,但看到喜欢的人在眼前倒下,脑子一片空白。
少ししてハァ、とクソ兄貴のため息が聞こえて少しだけ、ほんの少しだけ身体が強ばる。前よりも殺伐とした関係じゃねーけど、あの雪の夜は俺にとってはまだ完璧に乗り越えられたわけじゃなくて、ずっと根付いてる。
过了一会儿,听到那混蛋老哥叹了口气,身体不由自主地微微绷紧,只是那么一点点,真的只有一点点。虽然关系不像以前那样剑拔弩张了,但那个雪夜对我来说,还没有完全释怀,它一直深深扎根在心底。
「あぁ、あのメガネとマネージャーに伝えて必要なものもらってこい」
「啊,告诉那个戴眼镜的和经纪人,让他们把需要的东西拿过来。」
そう言って潔を横抱きにした兄貴が出て行くのを見送って、俺は誰もいない空間でクソメガネを呼んだ。
目送着说完话便将洁横抱起来的大哥离去,我在空无一人的空间里呼唤了混蛋眼镜。
「おいクソメガネ」 「喂,混蛋眼镜」
『はいはい』 『好好好』
「どうせ見てたんだろ。必要なものが欲しい」 「反正你都看到了吧。想要需要的东西。」
『アンリちゃんに伝えてお前たちの部屋に必要なもの運んでやるから、今日はオフでいい』
『我会告诉安利,让他给你们房间送些必需品,今天你们就休息吧。』
「フン……」 「哼……」
その言葉を聞いて、俺は三人分の荷物をまとめて持ってトレーニングフィールドを後にした。
听到那句话,我收拾好三人的行李,离开了训练场。