
久しぶりに二人の休日が重なった日だった。 这次我们两个人的假日重合了。
朝食にしては遅く、昼食にしては早い食事をとった灰髪の青年と足立は散歩を兼ねてコンビニに出掛けた。日が高くなるにつれて気温が上昇し、すっかり夏日である。
早餐吃得晚,午餐吃得早的灰发青年和足立一起散步去了便利店。随着太阳升高,气温上升,完全变成了夏日。
「君がアイスを買っておいてくれれば、こんな糞暑い日差しの中、外に出ることもなかったのに」
「如果你买了冰淇淋,那我就不用在这种热辣辣的阳光下出门了」
「最後の一本を食べたのは足立さんでしょう」 「最后那本书是足立先生吃的吧」
遠くに陽炎が立つ熱されたアスファルトの上を足立はサンダルを引き摺るようにしてぐねぐねと歩く。青年のスニーカーはしゃきしゃきと規則正しく進んだ。足元だけ見ても二人の歩き方はまるで異なっている。
現在の住まいからコンビニは十分そこそこで着くが、足立はいつもそれを遠いと言う。普段の生活の中でもできるだけ体を動かしたほうが良い、などと青年が言えば、足立は途端に老人扱いされたと機嫌を損ねるだろう。なので青年は何も言わない。ジムに通わせるのだって一苦労だったので、運動のことはもう足立と話したくなかった。
「あ、ここに咲いていた花もう散っちゃったんだね」
足立は立ち止まると柵の外から緑が茂る庭を眺めた。その家は足立が使う駅とは別方向にあるため、こうしてコンビニに来るときぐらいしか前を通らない。園芸が趣味の住人が住むのか、いつも季節の花々が柵沿いに咲き誇っている。今日も綺麗に手入れされてはいるが庭に花は見当たらなかった。
「橙色の小さな花が咲いていましたね。二日くらい前には散り始めていたから時期が終わったんでしょう」
足立とは違い、この道をジョギングコースにしている青年は花が散ったことを知っていた。植物が綺麗な家、不思議な形の屋根の家、白い犬のいる家、イルミネーションのある家など、ジョギングは風景が変わるのが楽しい。
足立に運動させようとしたときもそのセールスポイントを強調したが、逆にぼーっとしていて車に轢かれないかを心配されてしまった。しかも三日後には通販で購入したジョギング靴に付け替えられる光る靴紐を渡された。青年が走るのは主に早朝なので、その紐は大して光ることなく普通の靴紐として活躍している。
「こう毎日暑くっちゃ花も枯れるよ」
「明日からまたスーツを着ることを考えるとうんざりしますね」
出会った頃は学生服を着ていた青年も働くようになって十年近く経った。住む場所も職業も関係も随分変わったが、それでも二人はこうして休日を過ごしている。ふとした瞬間にそういう感慨にひたってしまうのは自分が年を重ねたせいだろうか。
相変わらず足立は理屈っぽいくせにいい加減な皮肉屋で付き合うのが難しい人物だ。彼に言わせれば青年は傲岸不遜で頑固者らしいが思い当たるところはない。そういうところが不遜なのかもしれないと考えて青年は唇を綻ばせた。
「こないだ桜が咲いたと思ったら散ってるし、時の流れに頭が着いていかない」
「そのうち認識の遅れが一年になって、きちんと季節に対応できるようになるかも」
「一周遅れのマラソンみたいに? はは、それもいいかもね」
でもさ、と足立は付け加えると黙った。青年は次の言葉を待ちながら考える。
一周遅れのマラソン。青年と足立は丁度一回り年が違う。自分達は示し合わせて走っているのだろうか。それとも自然とそうなってしまったのか。過去には引き離されてがむしゃらに追ったこともある。追い抜きそうになったことも。努力してか自然にかはわからないが、今はとても心地の良いスピードで並走している。
「すべての花が散ろうとも、僕の隣にはいつも美しい花が一輪咲いているから構わないさ」
昨日の酒は残っていないはずだ。残っていたらこんな炎天下の中、足立が外に出ようなどと言うはずがない。青年は無言でコンビニへ向かうことを再開した。
足立に対して相変わらずという言葉を使ったのは間違いだった。彼は一層付き合いづらい男になった。昔とは違う方向で突拍子もないことを言い出すようになったからだ。青年の後ろからひゃひゃひゃと子供っぽい笑い声が近づいてくる。
「照れないでよ、僕の灰薔薇ちゃん」
青年の歩幅が広くなり、足立の笑い声は再び遠ざかった。しかしすぐに追いつくだろう。
そうやって今日も暮らしていく。
在《在所有花朵凋谢之前》再录集中附上的原创内容。至此,第一本再录集的所有内容都已实现网络再录。感谢大家的书签、评论和评分。非常鼓舞人心!