親友だもんね 他是我最好的朋友。
这是一个前锋的故事,他对本应是他“最好的朋友”的AKN的感情爆发并深深地伤害了他。
無理矢理の描写があります。ご了承ください。 有一个强迫的描绘。 感谢您的理解。
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三枝明那という人間は、不破湊にとって絶対的な存在だった。絶対的、と言っても随分曖昧な形容で、要領を得ない話である。しかし、得てして真に大切で、深い深い愛情を向けている対象を言葉で表すとなると、中々難しいものだ。
ある時には、太陽であった。ネオンとバーチャルの世界を飛び回るほどにこびりつく、どろついて重たい病魔を、彼は笑顔一つで払ってくれた。暗闇に閉ざされかけた世界を、白く照らしてくれた。
またある時には、月であった。太陽の光があまりに痛くて、とても見ていられないと察するや否や、黒い空に浮かぶ月のように寄り添う。流れる苦しみを、時に見ないふりをしてくれた。
そして、ある時には星であった。彼は決して遠くない人間である―明那自身、それを望んでいるのだろう。自分も星であり、彼も星。互いに導き合いながら、同じように、けれど明確に違う輝きを纏いながら共に進んでくれる。
では、不破湊という人間が三枝明那にとってどのような人物なのかと問われると、これは背筋が寒くなるほど簡単で、一つの言葉に集約される。
「俺達、親友だもんね」
彼は頻りに、不破に対してそんなことを言った。屈託のない眩ゆい笑顔で、これこそが自分達を形容する唯一の正解だとでも言わんばかりの自信に満ち溢れた声色で、そう言った。
はじめは、それが救いだった。
そしていつしか、呪いになった。
目に悪い夜の世界を生きる中で、やはり自分の目も濁り澱んだ。色恋どころではない、交友関係一つとっても欺瞞と裏切り、打算が交錯し、それを見抜くことに神経を擦り減らす。バカバカしい摩擦熱を少しでも軽くする為には、人間と距離をとるのが一番だった。信用しないことが最も楽だった。染まるのは簡単で、嘘をつくのも上手くなった。どこまでも心は遠いのに、近いふりをすることに慣れていた。心は次第に冷えていった。
それを救ったのが、明那だった。彼が笑って、白く温かい光の差す場所に手を引いてくれる度、自分の中に巣食った闇が浄化される気がした。こんな自分でも、日の下にいてもいいのだと思わせてくれた。彼と対等な立場に―「親友」になってもいいのだという現実が、不破を何より救った。そんな彼だからこそ、目一杯尽くしたいと思ったし、望むことは何でも叶えたいと思った。それだけなら、少し深いだけの友人関係で終われたかもしれない。
だが、不破は明那に恋をしてしまった。情欲のへばりつく、美しいだけとも言えない恋をしてしまった。自覚した当初は自分自身に戸惑ったし、恋の扱いにはほとほと困り果てたものだった。
それでも諦めきれなかった。あの手この手でアプローチして、返事が一度も来なくたって諦めたくなかった。せめて、彼から答えが欲しかった。恋は報われてほしいものだが、破れたとて逆恨みはできない。ただ一つ区切りがついたなら、いつかは呑み込めるはずだったのだ。
宙吊りにされた恋は、次第に黒ずんでいく。「親友」という言葉が、いつしか「恋人」を遮る為の概念に見えてしまった。
彼によって清められたはずの心が、彼によって狂わされていく。再び、否、かつてより急速に、おぞましい黒に染まっていく。それを止めるだけの力は、今の不破にはなかった。
「アキナ、好きだよぉ」
酒に潜ませてしか恋心を伝えられない自分の情けなさが、喉の奥でつかえている。磨かれた机に両手を投げ出し、腕の上に頬を置く。上目遣いのこのポーズは、自身を魅力的に見せるのもそうだが、顔を適度に隠すのに役立つのだ。奥底に沈んだ停滞への怒りも、こうすれば隠せる。
時折、こうやって本音を伝えていた。しかし、与えられる場は大抵どちらかの自宅で、床や机にはつまみやら酒の缶、後はゲームのコントローラーなどが転がっている有様だった。つまりは、到底ロマンティックな雰囲気ではないということ。そんなであるから、明那もその言葉をまともに相手にしなかった。
「もー、知ってるよ。ふわっちったらほんっと、俺のこと大好きなんだから」
殆ど空の酒の缶を揺らしながら、彼は笑う。酔いに頬を染め、力の抜けた笑みを湛える表情はひどく扇情的で、しかしそれに欲を煽られることを許してもらえないのが、ひどく歯痒かった。
歯痒い。その気持ちが、今日は妙に静まらなかった。胸の奥で解けることもなく、寧ろこれまでののらりくらりとした躱しと結びつき、制御できないほどに膨れ上がっていく。ぞっとするほどの勢いで肥大化する負の感情は、静かに狂気へと変わっていく。
「俺は本気で言ってるよ?」
「本気、って。知ってるよぉ」
「知ってる?」
暖かな酩酊の漂う空気が強張る。こちらを見遣る明那の目元が固くなったのは、口角の上がりが不自然になったのは、自分のせいだろう。目の据わりは、酔ったからではない。内側から身を焼くもどかしさはやがて怒りとなり、不破を動かしていく。
「本気って、どういう意味かわかってるの」
「……どうしたの」
彼はあくまでも、はぐらかすつもりらしかった。おどけたように肩を竦めて笑う彼に、ため息をつく。少なからず、明那に落胆してしまったのは否定できない。大切に思い、恋い焦がれ愛している親友だからこそ、きっと理想から外れることが許せない。
知っているくせに。いつもそうだ。よく回る頭をその時だけは使ってくれない―いや、使ってはいる。「鈍感なふりをする」ことに使っているのだ。
「ねえ、アキナ。好きって……『恋人になりたい』って意味だよ」
「え、な、なに」
座ったまま身体を動かし、明那に近づく。明那はと言えば、思わず後ずさりしかけて、しかしそれもできないと悟るや、胸の前に手を当てて縮こまるようにして固まった。怯え、拒むような姿勢にまた眉間の皺が深くなる。
「アキナは、俺のことそういう意味で好きにはなれない? 俺のこと、そういう目では見れない?」
「……え、っと」
「答えて」
「…………うん、ごめんけど―」
「嘘つき」
冷ややかな声に、明那の肩が大きく震えた。いよいよ恐れを笑顔で隠すことすらできなくなった彼は、わなわなと唇を震わせ、何度も何度も瞬きをしながら、不破を見つめている。目を逸らせないまま、
彼に追い討ちをかけることに、心が痛まなくなっていた。誰より愛しているはずなのに、彼を追い詰めねばならないという義務感が背中を押している。そんな有様を、激情に駆られかけながらも時折俯瞰的に眺める度に、まるで自分が自分でなくなったかのような気味の悪さに寒気がする。だが、そうやって氷のような目を、心を持つのもまた自分であり、少しずつ「不破湊に似た誰か」と自分が重なって統合されていくのだ。
内面に隠された暴力性が、表面の自分と重なっていく。
「嘘つかんといてよ。知ってるよ。アキナも本当は、好きなんでしょう?」
「ふ、ふわっち。それは、その」
「何?」
ぎゅっと唇を引き結んだ明那の表情は、ひどく哀れを誘う。こちらの様子を窺いながらも視線から逃げ出そうと、ゆっくりと俯く彼を、不破は何も言わず見つめる。沈黙でやり過ごすことは許さない。とにかく、彼の意思を知りたかった。何だっていい、彼の本音が知りたかった。
「俺達、親友でしょ?」
頭を突然、真っ白にされた心地だった。脳で巡り続けた思考や心に留め続けていた感情が、一瞬消え失せたように感じた。実際、消え失せてはいなかった。
好きだけど、それでも付き合えない。そう真正面から言われたなら、今度は不破が黙る番になるはずだった。黙れるはずだった。もっと理由を問い詰めるかもしれないし、精一杯反論するかもしれない。けれど、ちゃんと理由を告げられて納得したなら、若しくは根負けしたなら、諦めもつくものだった。時間はかかってもしこりは残っても、いつかは受け入れられるはずだった。
どうしてそんな言葉を、今ここで使う。
どうして、どうしてどうしてどうして。逃げる。
鈍い音と共に、明那の後頭部がフローリングを叩いた。カーペット越しでもそれなりに痛かっただろう、明那は眉間に皺を寄せ、ぎゅっと目を瞑って呻いた。心配などしなかった。
「っう……なに、なんで」
「……アキナさあ、俺がどんくらいアキナのこと好きかわかってないでしょ?」
ぱちぱちと瞬く空色の瞳は、欲を煽る。一つは庇護欲。そしてもう一つは―ぞっとするような加虐心だった。
「こういうこと、だってできるんだよ」
不破は明那のワイドパンツをぐっと掴む。そして、乱暴に引き下げる。愛用しているトレンカも、そして灰色の下着さえも簡単に脱がして、横のソファに放り投げた。
「へっ、えっ?」
一瞬、何が起きたか理解できなかったのだろう。口を小さく開けたまま、防御の引き剥がされた下半身を、現実味の無い目つきで見遣ったかと思うと。明那は目をかっ開き、不破に掴みかかった。押し倒され、下半身は不破に邪魔されて起こせない状態ではあったが、不破の黒いトレーナーを握り、自分から引き剥がそうとした。しかし体格差は残酷で、明那の抵抗では不破はびくともしない。
不破は彼の陰茎を握り込み、適当に上下に擦った。勃っていないどころかその兆しも見えない、萎んでいるとさえ言えそうなそれも、無理矢理刺激を与えれば芯を持ってきた。人並みに大きさはあるが、色素の薄いそれは彼の初心さを雄弁に語ってくれる。仄暗い喜悦が、胸のうちにふつふつと湧いてくる。引き攣った悲鳴じみた声を上げていた明那も性感には抗えなかったか、甘い声をあげた。それに微笑みを向ければ、彼は首を振ってまた叫ぶ。
「ま、待ってっ、ふわっち、ガチでやばいって!」
「何で。何でアキナばっかりイヤイヤするの? 俺の言うこと聞いてくれないの?」
「ちがっ、それとこれとは、話がっ……んんんっ!?」
明那の言葉は、最後まで続くことはなかった。不破の口づけが、酸素ごと音を奪った。舌を入れるのも絡ませるのは簡単で、精一杯抗っているだろうに無防備にしか思えない彼を危うく思った。ぴちゃ、ぴちゃと音を立てながら舌の端まで唾液を混ぜ、彼の喉に流し込んでいく。舌をこちら側に寄せて軽く啄み、細部まで彼を味わう。そして、彼の反応を観察する。どこが弱いのか、どこが好きなのか。全て知りたかった。
背中を強く叩かれればそれなりに痛いが、自分を止めるには至らなかった。しかも次第に力が弱まり、しまいには背に縋りつくようになってしまうのだから、憐れで愛らしい。
「はっ、はう……だめ、だってぇ……」
唇を離した時には、彼はすっかり頬を染め、息を荒げて弱りきっていた。
逃げ出そうとした明那の腕を掴む。視線を少し動かして、自分で脱がした彼のトレンカを空いた手で握ったかと思うと、それで器用にも彼の手首を縛る。明那は視線を上にやると、いやだ、外して、と叫んでは腕を動かす。だが拘束は解けない。いたずらに体力を消費するだけであったし、不破の歪んだ情欲と苛立ちを募らせるだけだ。
「逆らわないで。拒まないで、逃げないで。俺のこと、全部受け入れてよ」
ぼたり、と何かが垂れるような感触があった。実際には、何も垂れてはいない。汗はかいているが明那の肌を打つほどでもないし、涙など流しようもない。血も流れてはいない。
ただ、何となく。身体の内側からどす黒く粘度の高い感情が、溢れ出ている気がした。それが明那の肌を打つ。明那の呼吸を、自由を、尊厳を奪っていく。そして不破自身の尊厳も、人間味のある優しさも、何もかも奪っていく。
「俺達、親友だもんね?」
そう笑った自分の顔がどれだけ醜悪かを知るほどの度胸は、不破にはなかった。ただ、鏡を見なくともわかった。目の前の愛する彼の、深い深い絶望に染まりきった顔が、力の抜けきった腕が、自身の悍ましさを如実に示していた。
不破は何も言わない。やっと声を取り戻したか、叫ぶ明那の脚を開かせ、秘部へと唾液で軽く濡らしただけの手を伸ばす。感動はなく、喜びもなく。獣じみた興奮と「アキナが悪い」という他責的な思考、捨てきれない怒りばかりがあった。
こうすればよかった。いや、違う。
こうするしかなかった。
この恋が成就しないなら、無理矢理にでも幕を引かなければいけない。どれほど痛みを伴っても、愛する誰かを傷つけても、そうでもしなければ終われない。膿はどこかで吹き出させる必要があったし、また必ず出てしまうものだった。
乾いた笑いが漏れる。明那の透き通るような肌に華奢な体躯を見ても、そこに宿るしなやかな色気を前にしても、温かな感動など湧き上がってはこなかった。ただ、身体は正直で、立派に下半身は欲情の兆しを見せていた。
望んだ未来からは、もう何をしたって辿り着けないほどに遠ざかっている。
「いたいっ、いたっ、やだぁああ」
「やだじゃないやろ。こんなに後ろ締めといて」
「ちがうっ、ちがうぅっ」
嬌声よりは、悲鳴に近かった。この部屋の元々の防音性能が高くてよかった。こんな可愛らしい声など、誰にも聞かせたくないから。自分だけが聞いていたいから。
ずる、と熱を軽く抜いたかと思うと、前立腺を亀頭で抉り磨いてやる。明那は甲高い声を上げて快楽に悶え、淫らに身体を捩る。腸壁は不規則に蠢き、不破の肉棒を揉みしだく。ぬるついたそれがぎゅっと締めつける感覚の気持ち良さに動かされるようにまた腰を振って、明那が啼く。また後孔がいやらしく締まる。その動きは、身体を蹂躙する異物を押し出そうとしているようにも、歓迎しているようにも感じられた。
処女だからだろう、やはり胎内はきついし、まともな準備もしていないから滑りも全く素晴らしいとも言えない。率直なことを言えば、血が出ていないことを喜んだ方がいいくらいの有様だった。腸液と先走りが混じり合って、やっと滑るようになってきたのだ。それによって快楽も輪郭を伴って、明那は本気の戸惑いを見せ始めていた。
明那も、最初は不破の理性を取り戻さんと足掻いていた。床で無体を働かれて身体も痛むのに、「落ち着いて」「疲れてるんだよ」、そう叫んでは手首の拘束を解こうとしたし、這いずってでも不破の下から逃れようとしていた。だが、次第に立派な反抗心も折れていった。
「ごめっ、ごめんなさいっ、ゆるして、ゆるしてぇ」
終いには、空色の瞳から大粒の涙をぼろぼろと零して謝り、許しを乞うていた。時折しゃくり上げ、息苦しそうに咳き込みながらも健気に訴え続ける様が―どうも癇に障った。普段なら、明那の言動に腹を立てることなどないのに、今は彼の一挙手一投足が神経を逆撫でする。不破は明那の頬を掴み、自身の方へと引き寄せる。温かな涙が手を濡らしても、何の感慨もなかった。
「何に謝っとんの?」
そう問われた途端、明那は目を丸くした。数秒黙って、そうしてもごもごと口を開いて何かを訴えかけようとする彼の姿は、まったく滑稽であった。ふっと嘲るように笑って、不破は手を頬から首元へと動かす。息苦しそうにはしていたが、明那は文句は言わなかった。えっと、ええっと、何度もそう繰り返しながら、必死に言葉を選んでいる。機嫌を損ねないように―というよりは、間違わないように。嘘が通用しないと悟っているからこそ、本心とずれないように足掻いている、そう見えた。
「ごめんなさっ、ひっく、ううっ」
「だから、謝ってる理由を―」
「おれが、もっとふわっちのことみてたら、ひっく、こんな、こと」
「……え」
「こんな、ひどいこと、させなくてすんだのに」
ぴたりと、不破の動きが固まった。明那は気づいているのかいないのか、絶えずぐすぐすと泣いているから、自分だけが唐突に置き去りにされた気分だ。紫色の瞳を小さく見開き、明那を見つめて。
「……なに、それ」
ぽろりと零した言葉は、何の取り繕いもない。純粋な驚きだけがそこにあった。そんな言い方、まるでこちらが被害者のようではないか。被害者はそちらだろうに。確かに責任を押し付けようとしたけれど、いざ当の本人にそれを受け入れられると黙り込んでしまう。恨み言さえ言われると思っていた。「謝ってるのにどうして許してくれないの」くらい言われるものだと思っていた。
「ごめんっ、ごめん……ちゃんと、む、向き合わなくて……ごめんなさい……」
「なに、に……」
「おれ、ちゃんと言えるようになるから、すきって、言えるように……」
言語はちぐはぐ、要領を得ない言い回し。その中にも、彼の想いは伝わった。泣きすぎて赤く腫れた目元も、真実を雄弁に語っていた。
明那だってわかっていた。不破が自分を好いていると知っていて、気づかないふりを続けてきた。疎ましかったのではない、気持ち悪かったのではない。ひとえに、不破の人生を想ってのことであった。親友としては未来を創れても、恋人として、人生のパートナーとして未来を生み出せる自信がどうしてもなかった。いつか、彼の幸福の足を引っ張るかもしれないのが辛くてたまらなかった。
恋しているからこそ、身を引くことを選んでいた。
だが、この惨たらしい現状が自身の臆病さによるものだとも気づいていた。どこかで、いつか諦めてくれないかと思っていた。自分まで引きずられるから、この恋情を捨てきれないままになるから。そんな怠惰であったから、決断を不破に押し付けたツケが今になって回ってきたのだ。苦痛を恐れ嫌がっても、それを与えてくる不破のことまでは嫌いになれなかった。それほどに愛していた。
せめてもの償いに、自分の気持ちに素直になろうと誓ったのだ。もう今までの「親友」に戻れなくても、恋人という関係など望むべくもなくとも、それがけじめになると思ったから。
果たして、明那の決心は―不破を狂気から正気へと戻すことは叶わなかった。それどころか、憤怒を焚きつける薪にしかならなかった。衝動のまま明那の首を絞めなかっただけマシだろう。最早快感など求めていないかのように、不破は醜い欲望を彼へと打ち付けた。
「何で、今更っ……!」
「あぁぁあぁっ!」
絶叫は部屋を満たすことはない。明那の視界を覆う不破が全て、悲痛な音の揺れを吸い込んでいく。たすけて、たすけて―不破以外の誰にも、助けを呼ぶ声は届かない。それでも明那は必死に縋った。こんな状態になってまで自分を信じている明那に対して抱くのは、見当違いの憎しみだった。
惨めでならなかった。自分という人間が嫌で嫌でたまらなくなった。傷つけられてなお自分に過ちを見出し、それを認めて未来へと踏み出そうとしている明那と比べて、何と自分は惨めだろうと、可哀想だろうと。現実の惨さに、耐えきれなくなってしまった。
「いぎっ……! く、くるしっ……」
「……ふ、ははっ。可哀想にねえ、アキナ」
こんなの、ただの暴力だ。まかり間違ってもセックスなんて呼べる代物ではないだろう。腹の中を突き破りそうなほど抉って、冷ややかな言葉でメッタ刺しにして。最初からなかった自分の尊厳を回復させようと、最も愛する人を痛めつける。そんなもので尊厳など取り戻しようもないのに。明那から奪ったとて、それは自分のものにはなれないのに。
「はあっ、クソッ……」
ずっと後悔している。何に悔いているのだろう。彼に優しくできなかったことか、苦しめばいいと思っていることか。まともに恋心を伝えられなかったことか。若しくは、明那に恋をしたことそれ自体か。悔いていることが多すぎて、優先順位もつけられない。
「まって、わ、わかった、もう、いいから、せめて、なかだけは」
何が「もういい」なんだ。彼は何を許した。何故許せる。それが、許すことが本当に「愛している」ことなのだろうか。なら、それができなかった自分は―。
だめだ、もう何もわからなくて、全てに怒り狂っている。わかりたくないのだ。知れば知るほど、現実を見るほど、自分の汚さが浮き彫りになる。汚さに沈んでいく感覚が鮮明になる。浮き上がることもできず、浮き上がる気力も湧かないまま、忌避したはずの醜さに身を浸している。
「中出し嫌かぁ」
「いやっ、だめ、だめっ」
明那は首を振る。その度に髪がカーペットに散る様は、大抵の人間の心に哀れみを呼び起こせるほど美しかった。だが、不破の目は据わったままだ。
男性の体内に精を吐き出すのが体調不良の原因になることくらい、知っている。それが不破を止める理由になるかと言えば、そんなことはなく。不破にとって大切なのは、明那が苦しい思いをするかどうか、悲しむかどうか。
ただ彼を辱めたい、それだけで。
「じゃあ出しちゃお」
「ッ……! あ、ぐァ……」
悪魔のように笑ってやったのだった。ぶつかる肌は赤くなりそうなほどで、肉棒を包み込まされている腸壁はとうに赤く膨れているだろう。泣き声、えずく声が聞こえてもお構いなしに明那の身体ごと心を抉り、犯し壊していく。
「うぐっ……いっ、たぁ……」
不破は明那の首元に顔を埋めると、思いきり噛みついた。歯が肉を裂き、傷を作る。引き攣った声が聞こえ、やがてそれは呻きへと変わる。口内に広がる鉄の味も、変わらず飲み込んだ。滲み続ける血は舐め取った。キスマークだけでは足りない、痛みと共に覚えてもらいたかった。
アキナが俺を「親友」という言葉で呪ったのなら、俺はこの痛みと熱さで、アキナを呪うから。何年経っても、俺の顔を見ることもなくなっても、ずっと忘れないでいて。
「はぁっ、いくっ……」
「ふわっち、ふ、ふぁ、いやっ、あっ、あぁっ――!」
背中を抱き込み、肌を密着させる。藻掻くことすら叶わなくなった明那は、白い喉を小さく反らして叫んだ。細い脚は天井に向かって伸び、小刻みに痙攣している。それに合わせるように蠕動する内側に、不破は精をぶちまけた。吐き出される情欲が明那の柔い腸壁を白く染め、存在の証拠を否が応でも刻み込んでいく。いつか掻き出されるものだとわかっていても、擦りつける。体内に染み込んだなら、自分という存在が彼の中で永遠になると思ったし、願ったのだ。
「あ、でてるっ、うぅ……」
叫びすぎたか、明那の強靭な喉はすっかり枯れて、掠れた弱々しい声を吐き出すのみとなっていた。やがて、唇は動いているのに何も言えなくなる。空色の瞳の焦点は定まらなくなり、こちらを見ているのかも定かでない。ちゃんと見て、そう言おうとしたところで、ふっと彼の瞼が降りた。それきり、明那は何も言わなくなった。死んだのではなく、失神した。あれだけ酷いことをされたのだ、当然だろう。
不破は萎れた肉棒を引き抜き、明那を静かに抱き上げる。小さくも呼吸を続ける彼の身体は、きちんと重い。細っこい身体ではあるが、その中には確かに生きる為の器官が詰まっている。心臓は鳴り、体温は温かいままだ。自分のどす黒い感情をぶつけられるだけのサンドバッグでもないし、理想を押し付けられるだけの偶像でもない。彼は生身の人間だ。
生身の人間に。強くはあるが、きちんと壊れ得る人間に。自分は凄惨な暴力を働いた。
「……ごめんなぁ、アキナ」
視界が滲んだ。そうして、涙がぼろりと溢れた。止まらなくて、頬が延々と濡れている。今更になって泣けてきた自分があんまり滑稽で、自嘲気味に笑った。
得てして何かを為している時、その事柄に対して冷静でいるのは難しい。明那を犯している時、ずっと後悔していると思っていた。確かに後悔していた。だが、今襲い来る悔いはその比ではない。頭が冷えてきた今になって、積み重ねてきた罪に押し潰されそうになっている。
目を覚ましたら、きっと彼は自分を怖がるだろう。嫌うだろう。全て自分の責任であって不平を言うことなどできないが、この現状を、そして未来を受け入れるのはひどく難しく、そして時間がかかるように思われた。
山積した「すべきこと」を何一つできないでいる。不破は明那の身体を抱きしめたまま、暫くベッドに座り込んでいた。流すべきでない涙を流し続けながら、不破は唇を震わせていた。
「ずっと親友でいてやれなくて、本当にごめん」
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親友だもんね 他是我最好的朋友。
这是一个前锋的故事,他对本应是他“最好的朋友”的AKN的感情爆发并深深地伤害了他。
無理矢理の描写があります。ご了承ください。 有一个强迫的描绘。 感谢您的理解。