
ようやく東の空に太陽が顔を出し、うっすらと空が明け始めている。早朝と呼ぶにもまだ早い時間帯。道脇きで横たわるケンタロスが眠そうにあくびをした。
东方的天空终于露出太阳,天色开始微微泛白。这个时段称之为清晨还为时尚早。路旁躺着的肯泰罗睡眼惺忪地打了个哈欠。
マサラタウンの朝はゆっくりだ。人が少ないせいだろう。常に穏やかに時間が過ぎる。全ての住人が目を覚ますのは太陽が昇りきってからだ。この時間帯に起きている者など、牧場の主くらいだろう。
真新镇的早晨总是慢悠悠的。或许是因为人烟稀少的缘故。时间永远在这里平和地流逝。所有居民都要等到日上三竿才会醒来。这个时间点还醒着的,大概只有牧场主人了吧。
住人が眠りの世界にいる明け方、ある一軒家からつんざくような悲鳴が上がった。
当居民们还沉浸在梦乡的拂晓时分,一栋独栋小屋里突然爆发出撕心裂肺的尖叫。
何事かとピカチュウが目を覚ます。隣を見ればサトシが尋常ではない悲鳴を上げ呻いている。額に浮かんだ脂汗。顔は真っ青で苦悶の表情を浮かべ、身をよじらせている。
皮卡丘被惊醒。转头望去,只见小智正发出不似人声的惨叫。额头上渗出豆大的冷汗,面色惨白扭曲着痛苦的表情,身体剧烈抽搐。
「ピカピ!」 "「皮卡——!」"
ピカチュウはサトシの頬を叩く。異常な様子だ。ピカチュウが数度頬を叩くと、サトシがガバリと飛び起きた。顔だけではない、全身にびっしりと汗をかいている。酷い顔だ。
皮卡丘拍打着小智的脸颊。情况很不寻常。当皮卡丘多次拍打后,小智猛地坐起身来。不仅是脸上,全身都布满了汗水。脸色糟糕极了。
「夢……」 "「梦……」"
呆然とするサトシの頬に流れるのは涙だ。 呆滞的小智脸颊上流淌着泪水。
「ピカピ……?」 "「皮卡皮……?」"
サトシはゆっくりとピカチュウを見る。顔色は青を通り越し、真っ白だ。何があったのだろう。悪夢を見たにしても酷い状態だ。
小智缓缓看向皮卡丘。他的脸色苍白得发青。究竟发生了什么。就算是做了噩梦,这状态也太过糟糕了。
サトシはぼんやりとピカチュウの顔を見つめる。手を伸ばしピカチュウの頭を撫でる。ここが現実がどうかを確認しているのだろう。それから辺りを見渡し、自分がどこにいるかを確認する。
小智茫然地凝视着皮卡丘的脸。他伸出手轻抚皮卡丘的脑袋,似乎是在确认这里是否是现实。随后环顾四周,确认自己身在何处。
何度かその行動を繰り返し、ようやくサトシはここが現実で、先ほどまで見ていたものが夢だと認識したのか、深い息を吐いた。
反复确认了几次后,小智终于意识到这里是现实,刚才所见不过是梦境,深深吐出一口气。
「ピカピ……ピーカ?」 "「皮卡……皮?」"
ピカチュウはサトシの名を呼びながら、起き上がるサトシの膝に座る。現実に安堵しているサトシの顔はなおも浮かない。よほど夢見が悪かったのだろうか。不安になる。
皮卡丘呼唤着小智的名字,跳上坐起身的小智膝盖。明明已经确认了现实,小智的脸色却依然阴沉。大概是做了相当糟糕的梦吧。皮卡丘感到不安起来。
サトシはゆっくりとピカチュウを抱きかかえ、そのまますがるように小さな体を抱きしめた。サトシの体が小さく震えている。
小智缓缓抱起皮卡丘,就这样紧紧搂住它娇小的身躯。小智的身体微微颤抖着。
いつぞやみたサトシの姿を思い出し、ピカチュウは短い腕をサトシに伸ばした。頬に触れると何かが手についた。
回想起曾见过的那个小智的模样,皮卡丘伸出短小的前肢触碰他的脸颊,有什么东西沾到了手上。
「ピカピ?」 "「皮卡皮?」"
サトシは泣いていた。両目からとめどなく涙を流しながらサトシはピカチュウを抱きしめる。
小智在哭泣。他紧紧抱住皮卡丘,泪水从双眼中不断涌出。
「……馬鹿だな、オレ。ようやくわかったんだ」 "“……我真是个笨蛋。现在才终于明白了。”"
吐き出された言葉には自虐的な感情が込められていた。
脱口而出的话语里浸透着自我厌恶的情绪。
自分の叫び声にゲッコウガは飛び起きた。辺りはまだ暗闇に包まれており、一瞬自分がどこにいるのかがわからなくなる。慌てて辺りを見渡し、同時に背中に感じたごつりとした感触に寝ぼけていたのだと気がつく。
甲贺忍蛙被自己的惊叫声惊醒。四周仍被黑暗笼罩,一时间他分不清自己身在何处。慌忙环顾四周,同时感受到背后坚硬的触感,才意识到自己刚才是在打盹。
『どうした? 寝ぼけているのか?』 『怎么了?睡迷糊了吗?』
自分がもたれ掛かっていた木の上から聞こえる声に、ゲッコウガは何でもないと首を振る。酷い夢を見た。
听到从自己倚靠的树上传来声音,甲贺忍蛙摇摇头表示没事。做了个可怕的梦。
体力を回復させる為に眠りについたというのに、夢のせいで逆に体力を消耗している。体中のあちらこちらが痛む。口の中は乾いて酷く気分が悪かった。
本是为了恢复体力才入睡的,却因梦境反而消耗了体力。全身上下到处都疼。嘴里干得厉害,难受极了。
ずきずきと痛む頭を押さえようとして、ゲッコウガは手に違和感を覚えた。湿ったような感触。
甲贺忍蛙想按住抽痛的脑袋,却在手上感到异样。湿润的触感。
「コウ……」 "「甲贺……」"
手を開けば、ぬめりとした粘つく液体が付着している。生臭い匂いを放つそれに、ゲッコウガは項垂れた。自分が見ていた夢を否が応でも実感せざる得ない。そしてその夢に興奮していた自分がいたことに。
摊开手掌,黏糊滑腻的液体附着其上。散发着腥味的液体让甲贺忍蛙颓然垂首。不得不承认梦中所见皆为真实。更不得不承认——那个因梦境而兴奋的自己确实存在。
自身の欲望がついに夢となり具現化してしまった。しかも根のエネルギーを借りてである。
自身的欲望最终化为梦境并具现化了。而且还是借助了根源的能量。
そっと手を拭うとゲッコウガは苛立ちを隠さず木の幹に打つける。
轻轻擦去手上的水渍,甲贺忍蛙毫不掩饰烦躁地一拳砸向树干。
今夜はもう眠れそうになかった。 今晚看来是无法入睡了。
「ごめん……ごめんな」 “对不起……对不起”
ピカチュウを抱きしめ、サトシは謝り続ける。まるで壊れた機械のようにひたすら謝罪の言葉を口にする。そんなサトシの姿に、ピカチュウはデジャブを感じる。
小智紧紧抱住皮卡丘,不停地道歉。他就像一台坏掉的机器,机械地重复着道歉的话语。看到小智这副模样,皮卡丘感到一阵似曾相识。
ゲッコウガに謝り無理矢理作られた笑み。 强行挤出的对甲贺忍蛙道歉的笑容。
「ピカ、ピカピカ……」 "「皮卡,皮卡皮卡……」"
謝りながら、サトシはゲッコウガの名を口にする。ごめんという謝罪、そして嫌われたという嘆き、交互に吐き出される言葉からピカチュウがサトシがどんな夢をみたのかうっすらと悟る。
小智边道歉边呼唤甲贺忍蛙的名字。从交替吐露的对不起与好讨厌这两句话中,皮卡丘隐约明白了小智究竟做了怎样的梦。
サトシの頬を手で叩き、その頬を伝う涙を慰めるように舐める。
它用爪子轻拍小智的脸颊,又像安慰般舔去他脸上滚落的泪珠。
大丈夫だよ。ゲッコウガはサトシを嫌わない。嫌う筈がない。あれほど大好きなのに。だからそれはただの悪い夢だよ。泣かないで。
没事的。甲贺忍蛙不会讨厌小智的。怎么可能会讨厌呢。明明那么喜欢他。所以那只是个噩梦而已。别哭了。
サトシのポケモンは自分を含め、サトシが大好きだ。サトシが好きで、自分の意志でここにいると決めた。そしてゲッコウガもまたその一人だ。彼は必ずサトシの元へ帰ると言っていた。そんな彼がサトシを嫌いになる筈がない。
小智的宝可梦们,包括他自己在内,都非常喜欢小智。它们出于对小智的喜爱,自愿选择留在这里。而甲贺忍蛙也是其中之一。它曾说过一定会回到小智身边。这样的它,怎么可能会讨厌小智呢。
そうやって言葉を紡ぎ、涙を流すサトシを励まそうとする。これほど取乱すサトシは久しく見ていない。いや、もしかしたら初めてかもしれない。異様な雰囲気のサトシに、ピカチュウは必死になる。
小智就这样编织着话语,流下眼泪,试图振作起来。已经很久没见过他如此失态了。不,或许这还是第一次。面对异常状态的小智,皮卡丘拼尽全力。
サトシはまるで赤子のように泣き続ける。 小智像个婴儿一样不停地哭泣。
「ピカー……」 "「皮卡……」"
「ごめんな、ピカチュウ……」 "「对不起,皮卡丘……」"
サトシは慰めるピカチュウを抱きしめた。親友の労りが嬉しい。だが、涙は止ることはなかった。
小智紧紧抱住了安慰他的皮卡丘。挚友的关怀让他感到欣慰。然而,泪水却怎么也止不住。
ピカチュウの言い分はわかる。ただの夢だ。けれどもゲッコウガの夢だ。だから普通の夢ではない。あれはサトシが思い描いたゲッコウガではない。正真正銘、本物のゲッコウガだった。
我明白皮卡丘的意思。那只是个梦。但那是甲贺忍蛙的梦。所以不是普通的梦。那不是小智想象中的甲贺忍蛙。千真万确,是真正的甲贺忍蛙。
久しぶりに見たキズナで繋がった夢を見た。 做了一个久违的、以羁绊相连的梦。
別れてから初めて夢で繋がった。 分别后第一次在梦中相连。
夢の中でゲッコウガの姿を見て、サトシの心臓は跳ね上がった。あんな別れ方をしてふさぎ込んでいたサトシにとって、不安ではあったが嬉しい夢であったからだ。なぜならキズナの力で繋がった夢は、二人の思いが重なっていないと見ることができないからだ。
在梦中看到呱呱泡蛙的身影,小智的心脏猛地一跳。对于因那样的离别方式而陷入消沉的小智来说,这虽然是令人不安的梦,却也是令人欣喜的。因为通过基拉祈的力量相连的梦境,若两人的心意没有重合就无法相见。
サトシがゲッコウガを思い続けていたように、ゲッコウガもまたサトシを思っていてくれていたのだ。
正如小智一直思念着甲贺忍蛙一样,甲贺忍蛙也始终惦记着小智。
自惚れてもいいだろうか。 我可以自恋一下吗?
サトシは恐る恐るゲッコウガに近づいた。 小智战战兢兢地向呱头蛙靠近。
静かに近づくサトシにゲッコウガはまだ気がついていないようであった。
悄然接近的智似乎还未被呱头蛙察觉。
「ゲッコウガ……」 「甲贺忍蛙……」
名を呼ぶと、ようやく気がついたのかゲッコウガが顔を上げた。見開かれた瞳に自分の姿が映っている。
当我呼唤它的名字时,甲贺忍蛙终于抬起头来。在它睁大的双眼中,映出了我的身影。
気まずい思いもあったが、せっかくなのだからと精一杯笑ってみせる。途端、力強い腕に抱き寄せられた。
虽然心里有些别扭,但想着机会难得,还是努力挤出了笑容。就在这时,被一双有力的臂膀紧紧搂住。
吐息とともに呼ばれた名。腰に周された手に力が込められる。
随着叹息呼唤的名字。环在腰间的手加重了力道。
―寂しい。会いたい。 ——好寂寞。想见你。
「あ……」 "「啊……」"
こぼれ落ちたゲッコウガの心の声。まるで赤子のようにサトシの名を呼ぶゲッコウガにたまらなくなり、サトシはその背中を撫でた。同時に自分が抱え込んでいた愚かな考えに呆れた。
甲贺忍蛙心底溢出的心声。它像个婴儿般呼唤着小智的名字,令他无法抗拒,小智轻抚它的后背。与此同时,他对自己那些愚蠢的想法感到无比羞愧。
なんだ、と思った。自分が苦しいと思っていたように、彼もまた寂しさを抱えていたのだ。同じ想いを抱えていた。その事実にサトシは嬉しくなる。
原来是这样,他想。就像自己感到痛苦一样,他也同样怀抱着寂寞。我们怀着同样的心情。这个事实让智感到欣喜。
「ゲッコウガ」 「甲贺忍蛙」
その後、彼に押し倒されて口づけをされたが、別に厭だとも何も思わなかった。親愛を示す行為にキスをすることがあるとサトシは理解していた。いるつもりであった。
之后,被他推倒亲吻时,我并没有感到厌恶或其他任何情绪。小智明白亲吻有时是表达亲昵的行为。他原本是这么认为的。
ゲッコウガは荒い息を吐きながらサトシの体を撫でた。それが何を意味するかわからない。だがゲッコウガに触れられている。そのことがサトシに幸福感を与えた。
甲贺忍蛙一边喘着粗气,一边抚摸着小智的身体。他不明白这意味着什么。但被甲贺忍蛙触碰着。这件事给小智带来了幸福感。
ゲッコウガになら何をされてもいい。サトシはそう思い目を瞑った
为了甲贺忍蛙,无论做什么我都愿意。小智这样想着,闭上了眼睛。
だがしかし、ゲッコウガの態度は一変する。突然サトシの手を叩き、警戒するように距離を取った。
然而,甲贺忍蛙的态度骤然大变。它猛然拍开小智的手,如临大敌般拉开了距离。
威嚇するゲッコウガにサトシは戸惑った。甘い雰囲気は何処へいってしまったのか。そこにはただ敵意を向けるゲッコウガしかいなかった。
面对充满敌意的甲贺忍蛙,小智感到困惑不已。那甜蜜的氛围究竟去了哪里?眼前只剩下对他充满敌意的甲贺忍蛙。
自分は何か不興を買っただろうかと。慰めるように背を撫でたのがいけなかったのだろうか。それともキスをくれるゲッコウガが嬉しくて頰にふれたのが駄目だったのだろうか。変な声が漏れたのが癪に障ったのだろうか。
是不是自己做了什么惹他不高兴的事。是安慰般抚摸他的背不对吗?还是因为得到甲贺忍蛙的亲吻而开心地触碰脸颊不行呢?又或者是漏出了奇怪的声音让他感到不快?
とにかく理由を聞こうとしてして、伸ばした手は勢いよく振り払われた。甲高い音が響いた。
无论如何想要询问理由而伸出的手,却被猛地甩开了。响起了尖锐的声音。
夢だというのに酷く手が痛んだ。 明明只是梦,手却疼得厉害。
サトシはピカチュウを抱える手を見る。夢の中の出来事であった筈なのに、現実のサトシの手も真っ赤に腫れ上がり酷い状態だ。
小智看着自己抱着皮卡丘的手。明明应该是梦中发生的事情,现实中他的手也红肿得厉害。
「夢じゃない……」 "这不是梦……"
手を朝日にむかってかざす。 将手伸向朝阳。
最後にもう近づくなと言わんばかりに、問答無用で水手裏剣を投げられた。ぶつかる直前夢は途切れたが、いっそあのまま水手裏剣で消えていなくなりたかった。
最后它几乎是用行动在说别再靠近了,不由分说就朝我掷来水手里剑。就在即将被击中的瞬间梦境中断了,我甚至宁愿就这样被水手里剑击中消失算了。
サトシは笑う。なんだか酷くおかしな気分だ。悲しくて涙は止らないのに、大声で笑いたい。何故こんなにも奇妙な気分なのだろう。
小智笑了。不知为何,心情异常古怪。明明悲伤得泪水止不住,却想放声大笑。为何会如此奇妙呢。
そもそもおかしい。何故こんなにもゲッコウガのことが気になって仕方がないのだろう。ゲッコウガから受けた仕打ちが悲しくてやるせなくて、胸が張り裂けそうなほど辛い。
本来就很奇怪。为什么我会如此在意甲贺忍蛙到无法自拔的地步。它对我的所作所为让我既悲伤又无助,痛苦得几乎心碎。
「あ……そっか。そうなんだ」 “啊……这样啊。原来如此”
感情が荒れ狂う中、急に脳が冴える。それは啓示のようであった。
在情感汹涌澎湃之际,思绪突然变得异常清晰。那感觉宛如天启。
慰めるピカチュウの言葉を聞きながらサトシは笑った。笑い声は徐々に大きくなっていく。ピカチュウがぎょっとしたような顔でサトシを見る。サトシは戸惑うピカチュウの顔を見るとさらに笑みを深めた。ただ両目から涙を流し続けながら。
小智听着皮卡丘安慰的话语笑了。笑声逐渐变大。皮卡丘一脸惊讶地看着小智。看到皮卡丘困惑的表情,小智的笑容更深了。只是双眼依旧不停地流着泪。
「ごめん。ごめんなピカチュウ。オレの最初のポケモン。オレの唯一。ずっと一緒にいようって約束した親友。ごめんなずっとお前だけが特別だった。だって初めて出会った大事な仲間で、悲しいことも嬉しいことも全部一緒に体験したオレの大事な一部。だけどごめんなピカチュウ。オレにはもう一つ特別ができたんだ。大好きだよピカチュウ。でも同じくらい大好きで大好きでたまならい。ううん、お前と違う意味で一番大事だったんだ。あいつのことが。ゲッコウガが、オレはゲッコウガが……」
“对不起。真的对不起,皮卡丘。我最初的宝可梦。我唯一的伙伴。约定好要永远在一起的挚友。对不起,一直以来只有你是特别的。因为你是第一个与我相遇的重要伙伴,无论是悲伤还是快乐,我们都一起经历过,你是我重要的一部分。但是对不起,皮卡丘。我心中又有了另一个特别的存在。我爱你,皮卡丘。但我也同样深爱着,不,甚至更爱它。不,它对我来说,意义与你不同,是最重要的存在。那个家伙。甲贺忍蛙,我……甲贺忍蛙……”
サトシは息も突かずに一気に語る。涙を流す為に全身の水分が奪われた。それは口の中もだったらしい。からからに乾いた口で吐き出した言葉は。乾いた舌では呂律がまわらずうまく音にならなかった。それでも謝るようにサトシはピカチュウに語る。
小智上气不接下气地一口气说完。为了流泪,全身的水分都被夺走了。连口中似乎也是如此。从干涸的嘴里吐出的言语,因干燥的舌头而无法流畅成声。即便如此,小智仍像道谢般对皮卡丘诉说着。
「好きなんだ……」 “我喜欢你……”
だから一緒に旅に出たかった。傍にいるだけでたまらなく幸福になる存在。きっと誰にも渡したくなかった。
所以想和你一起踏上旅程。光是待在身边就让我无比幸福的存在。一定不想让给任何人。
「ゲッコウガが好きなんだ……」 "「原来我这么喜欢甲贺忍蛙啊……」"
こんなにも胸が苦しいのは彼が好きで仕方がないからだ。離ればなれになって愛おしさが増した。
胸口如此疼痛,正是因为无可救药地喜欢着他。分离让这份爱意愈发浓烈。
でも、もう彼には会えない。嫌われてしまった。 可是,我已经无法再见到他了。被他讨厌了。
ピカチュウをそっと布団の上に降ろし、サトシはがっくりと項垂れる。手足に力が入らなかった。
轻轻将皮卡丘放在被褥上,小智垂头丧气地低下头。四肢使不上一点力气。
「ごめんな……ごめんな……」 “对不起……对不起……”
それは誰に対してむけた謝罪なのかわからなかった。サトシは、悲鳴を上げた息子を心配した母が扉をノックするまでずっと謝り続けた。
他不知道那道歉是对谁说的。小智一直道歉到担心尖叫儿子的母亲敲门为止。
**
現シリーズが終わってしまうということでUPいたしました。
ゲッコウガと別れた後のお話。
サトシくん…終わってほしくない…!!
pkmnに再度ハマるきっかけになったのがXYZなので思い入れが強い本です。
そしてあまりにもゲコサトのお別れが悲しすぎて書いてしまった本であり、好き勝手やってた本ですが、感想頂けて嬉しかった思い出。
闇堕ちメリバEDの妄想も今なお脳内でフィーバーしてるくらいゲコサト大好きです。
23.3.26 追記
延々とスクロールすると大変かなと思いページ分割しました。
こちらの方が読みやすいかと思いまして。