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二十いくつと無限の恋/さらさらら的小说

二十いくつと無限の恋 二十几岁与无限的爱恋

19,234字38分钟

四か月限定で同居することになり、つきあってないのに身体の関係を持っちゃうりんいさ。の、本気の好きの話。
四个月限定同居,明明没有交往却发生了身体关系的凛和伊佐。关于他们认真喜欢对方的故事。

凛と潔が好きでいまさらのように書きました。深く突っ込まずにお願いします。
我因为喜欢凛和洁,所以现在才写了这个故事。请不要深究细节。


・監獄後、海外プロ未来軸。つきあってない、けど……の二人です。
·监狱之后,海外职业未来发展。虽然没有交往,但是……的两个人。

・おまえは俺のことだけ一生見てろよクソ潔大好きの凛と、絶対振り向かす一緒にいよーぜ凛!いいよな?の強気で健気な世一。(たぶん公式)
・你给我一辈子只看着我吧,超级喜欢你的凛,绝对不会回头的一起走吧凛!没问题吧?坚强又勇敢的世界第一。(大概是官方的)

・りんいさはバチバチで一言で言えない関係ですが、とても純愛だと思う。いつでも。
・凛和伊佐的关系虽然说不清道不明,但我觉得非常纯爱。无论何时。

※12/5のR18デイリー・女子ランキングに入れて頂きました。すごくうれしいです…!
※12 月 5 日的 R18 日刊女子排行榜中入选了。非常开心…!


・前回までのお話にブクマやスタンプ、コメントを下さった方、本当にありがとうございます…!!!壁打ちに近いので、ご感想頂けるのうれしすぎる…糧になりまくっています。今回もrnisです、好き。(最後の4ページ目はその後のおまけです)
・感谢之前的故事中给予书签、点赞和评论的朋友们,真的非常感谢!!!因为接近于试探,能收到大家的感想实在是太开心了…这些反馈对我来说非常宝贵。这次也是 rnis,很喜欢。(最后四页是后续的附赠内容)


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 殺してやりたい奴がいる。 想杀了那家伙。
「凛、おつかれ!」 「凛,辛苦了!」
 ユニフォームを着替えながら、家で筋トレをしながら、俺はいつでもそいつのことを考えると本気で殺してやりたくなる。だというのに、いつも平気で俺に気楽に話しかけて来るのが常だ。
换着制服,在家做着肌肉训练,我无时无刻不在想着那家伙,真想认真地杀了他。尽管如此,他却总是若无其事地轻松跟我搭话,这已是常态。

「なーいま時間ある? 俺ちょっと今日の試合のこと聞きたくてさ」
「现在有时间吗?我想问一下今天比赛的事。」

「おまえと話す時間なんてねえ」 「我没有和你说话的时间。」
「とか話してくれるじゃん。あのさ、後半のシュートの振りのタイミングなんだけど、おまえ左足でやったのあったろ? なんで普通に右じゃなかったんだろって」
「你不是会聊这些吗。那个,后半场的射门时机,你不是用左脚射门了吗?为什么没有用平常的右脚呢?」

 何を言っても背を向けても、隣でべらべらと話を続ける。こうなるとコイツはもう止まらない。
无论说什么、背对着他,他都在旁边喋喋不休地继续说话。这样一来,这家伙就停不下来了。

「ぬりぃこと言ってんな。空中でバランスとった方が早く打てるからだタコ」
“你这家伙真会说啊。在空中保持平衡反而能更快击中目标,你这个章鱼。”

「え、やっぱそうなの!? うわすっげ~あの体勢から振り切ってってこと……あーでも凛なら確かにいけるか……なるほどなぁ」
“诶,果然是这样吗!?哇,太厉害了~那种姿势还能甩开……不过如果是凛的话,确实能做到……原来如此啊。”

 ただそれでも内容には確かに中身があって、いったい何がそんなに楽しいのかニコニコと頷いている。
虽然如此,内容确实充实,究竟是什么让人如此开心,他微笑着点头。

「ありがとな! 俺もああいうバランス取れるよう、トレーニングしてこ」
“谢谢了!我也要通过训练,达到那种平衡。”

「雑魚フィジカルのモブには一生無理だ」 “对于体力差的杂鱼角色来说,这是永远不可能的。”
「モブっておま……ひっでえなマジで。この暴言下まつげっ、いまに見てろよ!」
“你这个家伙……真是太可恶了。等着瞧吧,我一定会让你好看的!”

 そう言いながらもやっぱりなんだか楽しそうで、ただむかついた。こいつ誰といてもこんな風に警戒もせず普通に笑うんだろう。俺とは違う。
尽管如此,他看起来还是一副很开心的样子,这让我更加生气。无论和谁在一起,他都能这样毫无戒备地自然地笑出来吧。和我不同。

 ひとしきりやたら悔しがり、けれど少しだけ笑みを変えると、上目遣いで俺を見上げてきた。青味がかった大きな丸い目が三日月に溶ける。
他一阵子显得非常懊恼,但随即稍稍改变了笑容,用向上看的目光看着我。他那带着青色的圆圆的大眼睛,仿佛要融化成新月一般。

「……でもさ。俺やっぱ凛と話してるのって結構好きかも。じゃな、次はぜってー勝つ!」
「……不过啊。我果然还是蛮喜欢和凛聊天的。那么,下次我一定会赢的!」

「言ってろカス」 「说得好听,废物」
「ハッ、それまで誰にも踏まれんなよ」 「哼,在那之前别被任何人踩在脚下啊」
 ひらりと手を振り、さっさと踵を返してそいつはその場からいなくなった。いつだって追ってくるくせに去って行くのはいつだって俺じゃない、あいつの方だ。
轻轻挥手,迅速转身,那家伙就从那地方消失了。总是追着我跑,但离开的却从来不是我,而是他。

「……チッ」 「……啧」
 ああ、イライラする。こめかみが焼ける。いつの間にか見慣れてしまった、自分よりも頭半分以上小柄なその後姿を見てもう一度唇をかみしめた。
啊,真让人烦躁。太阳穴发烫。不知不觉间已经看惯了,那个比自己矮半个头以上的背影,再次咬紧了嘴唇。

 やっぱりその首へし折ってやりたい。 果然还是想把那脖子折断。
 殺してやる、潔世一。 杀掉你,洁世一。



 だが、なかなか殺す機会は訪れないままだった。青い監獄のイカれたプロジェクトが終わってからあと、俺はそのままフランスのプロチームに所属することになり、潔はしばらく海外のチーム見学をしてから所属を決めることにしたらしい。ちんたら無駄なことを考えるアイツらしい選択だ。まあそんなことも別に、俺は殺せればいいから関係ないが。
然而,一直没有等到杀你的机会。自从蓝色监狱这个疯狂的项目结束后,我就直接加入了法国的职业队伍,而洁似乎是先去海外的队伍观摩一番,然后再决定归属。真是那家伙会做的拖泥带水的选择。不过,这些都无所谓,只要能杀掉你就行。

 と、思っていたというのに。 本以为会是这样的。

「なあ、凛。一緒に住ませてくんない?」 “喂,凛。让我跟你一起住行不行?”
「は?」 “啊?”

 ある日家で唐突にもたらされた提案に、俺は絶句した。こいつ狂ってんのか?
某天在家中突然提出的建议,让我哑口无言。这家伙疯了吗?

『よっ元気? フランスに来ました。うまいお茶漬けとか土産に買ったから、いろいろ持ってくな!』なんて能天気な連絡をよこして来たと思ったら、人んちのソファで正座して頭なんて下げやがって。
“哟,还好吗?我到法国来了。买了好吃的茶泡饭当伴手礼,带了不少东西来哦!”本以为他会发来这样轻松的联系,结果却看到他在别人家的沙发上正襟危坐,头还低着。

 けれど平身低頭のていのまま、流れるように潔の言葉は続いた。
然而,他依旧保持着低头的姿态,流畅而干脆的话语继续着。

「いやあの、俺フランスのチームにしようかなって悩んでて。で、しばらくいくつか時間かけて見て回りたいなーと思ってるんだけどさ、地理もなんも詳しくないわけです」
“哎呀,我在考虑要不要加入法国的团队。然后呢,我想花点时间四处看看,但我对地理什么的都不太了解。”

「知るかよ」 “谁知道啊”
「でもおまえはもう住んでるだけあってすっごい詳しいし、何回来てもココ交通の便もいいし広いし、部屋余ってるじゃん? 住みたいです、という」
“但你已经住在这里了,所以非常熟悉,而且无论来多少次,这里交通便利,空间宽敞,房间也空着,不是吗?我想住在这里。”

「てめえに貸す部屋なんざあるわけねえだろ。出てけ」
“我怎么可能会有房间借给你这种人。滚出去!”

 いずれも即答した。そもそもからしてなんでこいつが割とうちに来てるのかがわからない。たしかに言ってることは本当らしいが……それにしたっておかしいだろ、ホテルとかあんだろ。
他都立即回答了。从一开始就不明白为什么这家伙会经常来我们这里。确实他说的话听起来像是真的……但即便如此,这也太奇怪了吧,不是有酒店什么的吗。

 だが潔はまるでお構いなしのようだった。ぱちんと両手を合わせて懇願してくる。
但洁却毫不在意,双手合十恳求着。

「そんなこと言わずにさ、もちろん家賃は払う! 飯も作るよ、俺結構料理得意だし、部屋とか風呂の掃除もするし、プライベートだってちゃんと守るから! か、彼女とかの邪魔も、しな」
“别说那种话嘛,当然会付房租的!饭也会做,我挺擅长料理的,房间和浴室的打扫也会做,私人空间也会好好尊重的!也不会打扰你和女朋友什么的。”

「んなもんねえしどうでもいい。つーか、おまえがいなけりゃいいだけの話だろ」
“那种东西根本没有,怎么样都无所谓。再说了,你要是不在就好了,就这么简单。”

「あっそぉ……いやりーーんさーーん、じゃあ……じゃあさ、あの……うん、四か月! 四か月間おねがい!!」
“啊,这样啊……不,救命啊——那么……那么,那个……嗯,四个月!请给我四个月的时间!!”

 再び頭を下げていた潔がバっと顔を上げる。そうして一、二、三、四本指を立て、必死のまなざしでこっちを見る。
再次低头鞠躬的洁猛地抬起头来。然后竖起一、二、三、四根手指,用拼命的眼神看着这边。

「あ?」 “啊?”
「来て四か月、年内いっぱい、頼むから住ませて欲しい。そしたら今年中にこの辺なんとか慣れて、住む場所とかチームどこにするかとかも絶対なんとかする、おまえの邪魔はしない」
“来了四个月,希望你能让我住到年底。这样我就能在今年内适应这里,住处和团队的选择也一定会解决,不会打扰你。”

「そもそもいまですら邪魔だ」 “现在就已经够碍事了。”
 眉間に深くしわを寄せ、吐き捨てるように答えると、潔は急に泣きそうな顔をした。一瞬ざわりと胸が変な音を立てた気がした。
眉间深锁,他几乎是吐出般回答,洁突然露出了快要哭出来的表情。那一瞬间,他感觉心中仿佛发出了不寻常的声响。

「だ、って……いや、だって俺ここにいるなら、凛と一緒がいいんだよ。おまえみたいなやつ他に絶対いないし、こんなタイミングないし。ちょっとでも凛のそばがいいんだ」
“因为……不,因为我在这里的话,我想和凛在一起。像你这样的人绝对找不到第二个,而且这样的时机也不会再有。哪怕是一点点时间,我也想待在凛的身边。”

「……は……」 “……是……”
 何が凛と一緒がいい、だ。他にいない、だ。お得意の仲良しごっこならよそでやれクズ、慣れ合うつもりはないと、いつものように言えばいい。それなのに。
何が凛と一緒がいい、だ。他にいない、だ。お得意の仲良しごっこならよそでやれクズ、慣れ合うつもりはないと、いつものように言えばいい。それなのに。 翻译: 什么跟凛在一起就好,没有其他人了。如果是你擅长的那种友好游戏,去别的地方玩吧,混蛋,我没打算跟你混熟,像平时那样说就行了。尽管如此。

「……」
 次の言葉がなかなか口から出てこない。そうしてふと思いついたことがあった。
这些话怎么也说不出口。然后突然想到了一件事。

 ──四か月。年内か。そうだな、どうせこいつには俺の一番近くで、俺が世界一になるのを見届けさせるんだし、だったらいっそ。
──四个月。年内吗?是啊,反正这家伙会在我身边最近的地方,见证我成为世界第一,既然如此,干脆就……

「…………飯は」 “…………饭呢”
「え?」 「诶?」
 まあ潔がここにいる理由なんてなんであろうとどうでもいい。いずれ近いうちに殺してやるんだし、精々死ぬ前に好きにしたらいい。俺のそばがいいとか言ってやがるなら、精々それまで寝ぼけていたらいいだろう。
嘛,不管洁在这里的理由是什么都无所谓。反正不久后我就会杀了他,让他尽情地在死前做他想做的事吧。如果他说喜欢待在我身边,那就让他在这段时间里尽情地昏睡吧。

「飯はおまえが作るっつったな。何ができんだよ」 “你说你会做饭的。能做什么啊?”
「う……うん、凛が言うやつがんばって作るから! やったー、よろしくなっ大家さん!!」
“呃……嗯,我会努力按照凛说的去做!太好了,请多关照,房东大人!!”

「死ね」 「去死」
 そうして、殺意に満ちた俺は奇しくもその相手と、四か月の同居生活を始めることになった。
 就这样,充满杀意的我竟然与对方开始了为期四个月的同居生活。


*  *  *


 半ば無理やりに始まった潔との生活だったが、何故かことのほか楽だった。
虽然与洁的生活半是被迫开始的,但不知为何,却异常轻松。

 しつこいくらいに話しかけて来た監獄時代とは少し違い、距離感をある程度踏まえていたし、だがあの頃の影響か決めたルールは絶対に遵守する。
虽然他不再像监狱时代那样频繁地搭话,但他保持了一定的距离感,并且由于那时的影响,他决定遵守的规则绝对不会违背。

 俺は過干渉されることもなく、日常生活に支障もないどころか比較的過ごしやすいとすら感じるようになった。まあそもそも殺そうと思っているくらいだし、なんらの期待もしていなかったから余計にかもしれない。カスの割には邪魔にならねえレベルだ。
我没有被过度干涉,日常生活不仅没有受到影响,甚至感觉相对容易度过。或许是因为我本来就没有抱任何期待,所以可能更加如此。尽管他是个废物,但并没有达到碍事的程度。

 料理も結構食える感じだった。デリはバランスが偏るからあまり好きではなかったし、自分で作るのも億劫で一番面倒だったが、潔はあまり自炊が苦にならないようでいろいろと作っていた。
他的料理也相当不错。我不太喜欢外卖,因为营养不均衡,而且自己做饭也很麻烦,但洁似乎并不介意自己做饭,经常做各种菜。

 海外にいることが多いからか、和食がいいと思っているのも同じだったようで、煮物だそうめんだあえものだと、なんだかんだいろいろ作ってやがった。まあどれもそこそこ悪くはない。
可能是因为经常在海外,所以觉得和食不错,好像也是一样的想法,无论是煮物、素面还是凉拌菜,他都做了不少。嗯,不管哪个都还算不错。

「りーん、今日の親子丼さ~結構美味くできただろ? 自信作だぜ」
"铃,今天的亲子丼做得不错吧?算是我的自信之作哦。"

「普通だろうがボケ」 "一般般吧,你这笨蛋。"
「あ、そ。おかわりあるぞ」 “啊,那儿。还有一碗呢。”
「よこせ」 “给我。”
「ん! はいよ」 “嗯!给你。”
 俺が食うといつもうれしそうに潔は笑った。知人も多いこいつのことだ、そんな顔しょっちゅうしてんだろ、と思いつつも言う気も特に起きなかった。
我吃东西时,洁总是开心地笑着。虽然我知道这家伙认识的人多,经常露出这样的表情,但也没特别想说什么。

「へへ。じゃあ俺ももうちょっと食べちゃおっかな」 「嘿嘿。那我也再多吃点吧。」
「身体がちげえだろ。太るぞタコ」 「你身体会变差的。会胖的,章鱼。」
「うっせ! 凛が食ってんの見てたら、なんか食べたくなったんだもん」
「吵死了!看到凛在吃东西,我也突然想吃了嘛」

 潔は俺より大盛でおかわりして、また笑った。絶対食い過ぎだろ。
洁比我点了大份还要再加一碗,然后又笑了。绝对是吃太多了。

 ……どうせ誰といても笑ってんなら、俺ととでも勝手に笑ってろ、と思った。雲みたいにほやほやした馬鹿面しやがって、クソ潔。
……反正不管跟谁在一起都在笑,那就随便跟我在一起也笑吧,我在心里这么想。像个傻瓜一样满脸得意,该死的洁。


「凛ってさ、結構顔に出るのな」 “凛,你挺容易把情绪表现在脸上的嘛。”
「死ねよ」 “去死吧。”
「照れんなって、褒めてんじゃん! このインタビュー苦手だったんだろ、なんか写真もすっげー嫌そう」
“别害羞啊,我是在夸你呢!你不是不擅长这种采访吗,看你拍照时也一副很不情愿的样子。”

 ある日はテーブルで雑誌を読みながら話しかけて来た。それはインタビュアーの女の香水があまったるくてたまらず、さっさと終われとしか思っていなかったやつだ。
某天,他在桌边读杂志时向我搭话。那是个觉得采访者的女性香水味过于浓烈,只想快点结束的人。

「……なにが顔に出るだ。一緒にすんな」 “……什么表情啊。别跟我一起。”
「一緒になんかしてないよ。凛のことわかんのうれしいだけ」
“我可没跟你一起。只是因为了解凛而感到高兴。”

「てめえにわかられたくねえよ」 「我不想被你知道」
「そ? 俺はうれしいよ」 「是吗?我倒是很高兴」
 潔は二度もうれしいと言って笑った。人のことわかった気になってうれしいとか言いやがって、カスだろ。俺はコイツのことが全然わからないままなのに。
洁说了两次“高兴”并笑了。自以为理解了别人而感到高兴,真是垃圾。我明明对这家伙一无所知。


「あれっ、おかえり~早かったな。飯は冷蔵庫だぜ、あと風呂入ったんで洗っといた」
“哎呀,你回来了~真早啊。饭菜在冰箱里,还有我已经洗过澡了。”

 それから、家に帰ってくれば潔がいることが多かった。誰かがいる家に帰って来るなんてことはなかったから、なんだか妙な感じがしばらく抜けなかった。
然后,回家时经常能看到洁。因为以前回家时家里总是没人,所以总觉得有点奇怪的感觉一直挥之不去。

「凛?」
「……んでもねえ。来んな」 “……不过,别来了。”
 スウェットでぺたぺた歩いて来たからか、ボディーソープの匂いがした。自分が使っているものと同じはずなのに、こいつが使うと妙に甘い匂いがする気がして落ち着かない。
他穿着运动衫拖着脚步走来,我闻到了沐浴露的味道。明明应该是和我用的一样的东西,但这家伙用起来总觉得有股奇异的甜香,让我心神不宁。

「そっか。おつかれ」 “是吗?辛苦了。”
「疲れてねえよカス」 “我才不累呢,混蛋。”
 監獄時代から風呂上りなんて見慣れている。違うのは、いまここにいるのは俺とこいつの二人だけだということだった。潔の存在は俺の中でずっと違和感でしかなくて、それは大きくなるばかりで、けれど潔はそれをなんとも思っちゃいない。それに俺だけが気づいていることが、何よりもむかついた。
从监狱时代起,洗完澡后的情景我已经司空见惯。不同的是,现在这里只有我和这家伙两个人。洁的存在在我心中一直只是一种违和感,而且这种感觉越来越强烈,但洁对此却毫不在意。只有我一个人察觉到这一点,这让我格外恼火。

「ハイハイ、そーすかそーすか……俺さ、ちょっと出て来るわ」
“好好,知道了知道了……我,要出去一下。”

「は? いまから?」 “什么?现在吗?”
 息をつくなり、明らかに湯上りだというのにダウンと財布を手にしている。普通に驚いて声が出ると、気まずそうに俺を見た。
他刚喘了口气,显然是刚洗完澡,手里却拿着羽绒被和钱包。我惊讶得差点叫出声来,他尴尬地看了我一眼。

「あー…うん、さっきボディソープ使い切っちゃったんだよ。ゴメンな、凛が帰ってくる前に補充しとこって思ったんだけど」
“啊……嗯,刚才用完了沐浴露。对不起,我想在凛回来之前补充一下。”

 頬を掻いて俺の傍らをすり抜けようとする。その瞬間にふわりとひどく甘い匂いがし、俺は咄嗟に潔の肩を掴んでいた。
他挠了挠脸颊,试图从我身边溜走。就在那一瞬间,一股甜腻的香味飘来,我下意识地抓住了洁的肩膀。

「お?」 「哦?」
「……俺が行く」 「……我去」
「えっ。なんで」 「哎?为什么」
 ぱちぱちと目を瞬かせ、潔は素で驚いたような様子だった。厚みがない肩、自分とはまったく違う骨格にも何故か胸が騒ぎ、俺は眉間にしわを寄せる。
眨巴着眼睛,洁显得非常自然地吃惊。没有厚度的肩膀,与自己完全不同的骨架,不知为何让我的心跳加速,我不禁皱起了眉头。

「……こんなほやほやのくせして、外何度だと思ってやがる」
“……明明这么新鲜,你以为外面是几度啊?”

 動揺を振り払いたくてワシワシと小さな頭に触れると、あたたかく濡れていた。潔の髪は俺と違い少し固く、シャンプーも同じはずなのにやっぱりやけにいい匂いがする。
为了摆脱这种动摇,我轻轻地摸了摸那小小的头,发现它温暖而湿润。洁的头发与我的不同,稍微硬一些,虽然我们用的是同一种洗发水,但他的头发总是散发出特别好闻的香味。

「おわ、わわっ……え、そ、そっか。悪いな、凛」 “哦,哇……哎,这,这样啊。不好意思,凛。”
「普通だろ。一緒に住んでて使ってんだし」 “很正常吧。我们一起住,当然会用啊。”
「…………ん」 “…………嗯。”
 そう返してみれば、潔の頬がほんのり赤くなったような気がした。風呂上がりだからだろうとわかってるはずなのに、頭と身体の奥が妙にざわめく。
这样回答后,我仿佛觉得洁的脸颊微微泛红。明明知道是因为刚洗完澡的缘故,但内心深处却莫名地躁动不安。

「……じゃあ、行く」 “……那,我走了。”
「あ、あ~うん! ほんとごめんな、いってらっしゃい」
“啊,啊~嗯!真的很抱歉,你慢走。”

 これ以上じっとしていたくなくて、さっさと踵を返し玄関に戻った。靴を履き直し扉に手をかけると、俺の背に向かって、潔の声が追加で飛んで来る。
我再也坐不住了,急忙转身回到玄关。重新穿上鞋子,手扶在门上时,洁的声音从背后追了上来。

「──なあ凛ってさ。将来結構いい旦那さんとかになんだろーな」
"——喂,凛那家伙。将来肯定会成为相当不错的丈夫吧。"

「寝言は寝て言えクソ雑魚くされモブ」 "梦话等睡着了再说,你这个废物杂鱼路人甲。"
「さすがにひどすぎない?」 “这也太过分了吧?”
 意味の分からないことを言うからほっといて出かけた。あいつ本当におかしいんじゃねえのか。
因为他说了一些莫名其妙的话,我就没理他出门了。那家伙真的不正常吧?

 とにもかくにも速攻ボディソープを買って家に帰ると、潔が俺にとホットコーヒーを淹れていた。苦みのあるそれはまずくなかったからさっさと飲み干し、俺は浴室に向かいシャワーを浴びることにした。
总之,我迅速买了速攻沐浴露回家,洁正在为我泡热咖啡。那带有苦味的咖啡并不难喝,我很快喝完,然后决定去洗澡。

 ボディソープはいつもと同じものにしたが、どうにも潔からはもっと甘い匂いがしたような気がする。理由はわからない。
沐浴露还是和平时用的一样,但总觉得它的香味比平时更甜。不知道为什么。

「………チッ」 “……啧”
 身体はあたたまったものの、胸の違和感は日に日に大きくなって消えないままだ。切り替えようと最後に思い切り冷たい水で顔を洗い、風呂を出る。やっぱりあいつは早めに殺すしかないなと、そう思いながら。
身体虽然暖和了,但胸口的异样感却一天比一天严重,始终没有消失。为了转换心情,最后用冰冷的水用力洗脸,走出浴室。果然还是得早点干掉那家伙,我一边想着。


*  *  *


 そんな風にして時間は過ぎて、二か月ほどが経ったある日のことだ。帰って来ると、テーブルの上にメモがあった。
就这样时间流逝,大约两个月后的某一天,我回到家时,发现桌子上有一张便条。

【今日は飲み会で遅くなる! 飯は冷蔵庫に入ってるから、好きなの食べてな。煮物はあっためろよ。 いさぎ】
【今天有聚餐会晚点回来!饭菜在冰箱里,想吃什么就吃吧。炖菜记得热一下。——勇树】

 そういえばそんなことを言っていたような気がして、舌打ちをしながら俺は冷蔵庫を開ける。あたためろとかうるせえと思ったが、一応は適当にその通り食事をした。食える味なのは変わらない。だが一人食べるだけの食事は摂取と同じだ、すぐに終わる。
这么说来,我似乎记得他提过那样的事,一边咂舌一边打开冰箱。虽然心里想着“加热一下”或者“真烦”,但还是姑且按照他的意思吃了饭。味道还是可以吃的,没变。但一个人吃的饭,就像摄取营养一样,很快就结束了。

 食いながら、今日は遅くなるというメモを改めて見た。いさぎ、じゃねえだろおまえしかこんなもん俺によこさねえよ。
边吃边看,发现了一张写着今天会晚到的便条。勇次,你这家伙,除了你没人会给我这种东西。

「……チッ」 「……啧」
 何時だか知らないが、どうせそのうち帰って来る。待つ気なんかそもそも欠片もなかったから、食って軽くルーティンをこなしたらすぐに寝ようと思った。けれど。
不知现在是几点,反正他迟早会回来。我根本就没有等他的意思,想着吃完饭简单处理一下日常事务就马上睡觉。然而。

「…………」
 時計の秒針の音がやけに大きく聞こえてくる。見ればもうとうに一時を過ぎている。潔は帰ってこないままだった。
时钟的秒针声异常响亮。一看,已经过了凌晨一点。洁还没有回来。

 こんなに遅いことは今までなかったなと思う。黙って、俺は幾度目かわからない寝返りを打つ。
我从未觉得有这么晚过。我默默地翻来覆去,已经记不清是第几次了。

『ただいまー、凛!』 “我回来了,凛!”
 静かすぎる部屋にいると、うるさいあの声が聞こえてくるような気がする。目を閉じているとドアが開く音、帰ってくる音に慣れてしまったことに、否が応にも気が付いてイライラした。
在过于安静的房间里,总觉得能听到那吵闹的声音。闭上眼睛,听到门打开的声音,习惯了回来的声音,不由得意识到这一点而感到烦躁。

 ふと目を開けてカレンダーを見やった。いまは十月の終わり、潔との共同生活は四か月の約束だったことを思い出す。あと二か月もないなとも気づいた。
睁开眼睛,瞥了一眼日历。意识到现在已经接近十月底,想起与洁的共同生活原本约定为四个月,意识到剩下的时间已不足两个月。

 そうなれば、もう俺以外があのドアを開けることはない。潔が帰って来るなんてこともなくなる。ここはあいつの家ではないのだから、当たり前だ。
那样的话,就再也不会有人打开那扇门了。洁也不会再回来了。这里本来就不是他的家,理所当然的。

 ──でも、いまはここが潔の家だろう。だから帰って来るはずだ。それでももし帰ってこなかったら、だったらあいつは他のだれと一緒にいるというんだろうか。
──但现在这里是洁的家吧。所以他应该会回来的。即便如此,如果他不回来的话,那家伙会和其他什么人在一起呢?

「………クソが」 「………该死」
 起き上がりキッチンに行き、コップにいっぱいの水を飲んだ。自分の家のシンクはとっくに見慣れたはずで、けれどいまはなんだか違和感がある。キッチンはよく潔が使っているからだ。
起身走向厨房,喝了一整杯水。自己家的水槽早就看习惯了,但现在却感到有些违和。因为厨房是洁经常使用的。

 深く溜息をついた。あいつが出て行くときには必ずここを全部、何もなかった頃に、元に戻させないとならない。そうでないと俺は、きっといつまで経っても
深深地叹了口气。那家伙离开的时候,必须让这里全部恢复到什么都没有的样子。否则,我一定会一直……

 いつまで経っても──… 无论过多久……


 ガチャ、とドアが開く音がした。ひくんと肩が跳ねる。
咔嚓一声,门开了。肩膀不由自主地一颤。

「ただいまー……って寝てるよなー……」 “我回来了……应该在睡觉吧……”
 ひとりでいるくせにアイツは喋るのか。ぼんやりそう思っていると、ガチャンとドアを遠慮がちに閉める音がして、電気もつけず進んでくるようだった。
一个人待着的时候,那家伙居然会说话。我正这么想着,突然听到轻轻的关门声,似乎连灯都没开就走了进来。

 俺は振り返り、廊下をじっと見つめる。そこにはいつもと同じ、潔がいた。
我转过身,凝视着走廊。那里一如既往,站着洁。

「や~こんな遅くなると思わなかったなぁ。あ、水のも」
哎呀~没想到会这么晚。啊,还有水。

 何か言ってポリポリと頭を掻くなり、ふいにキッチンの方に顔を向けた。夜の中にも光る、青味がかった大きな目が俺を映したらしく、ぱちぱちと瞬く。
他嘟囔着什么,一边挠着头,突然转向厨房的方向。那双在夜色中也闪着青光的大眼睛似乎映出了我,眨巴眨巴地闪烁着。

「は………うお、凛っ!? なになにちょっ、ね、寝てたんじゃねえの!? びびった~~!」
"啊……哇,凛!?什么什么,喂,不是在睡觉吗!?吓死我了~~!"

「うるせえ。殺すぞ」 "吵死了。杀了你哦"
 嘘じゃなく慌てた様子の潔はやっぱり酒を飲んでいるていで、なんだかいつにもましてふわふわしている。こんなんでこんな時間に、ひとりで帰って来たっつーのか。ボケが。
洁看起来并不像在说谎,而是真的慌了神,果然是因为喝了酒,感觉比平时更加飘飘然。他居然在这种状态下,一个人在这个时间回来了。真是糊涂啊。

「お、ゴ、ゴメン夜中に騒いで……いや、遅くなるって言ってあったじゃん? 気にしなくてよかったのに」
“哦,对、对不起,半夜吵到你了……不是,我不是说过会晚点回来吗?你其实不用在意的。”

「してねえ」 「没做」
「あ。はは、まあそうだよな~水? いや俺も飲もうと思ってて……つーかまさか、凛が起きてると思わなくてさ。お」
「啊。哈哈,嗯,是啊~水?不,我也正想喝……话说回来,没想到凛会醒着。哦」

 そこまでぺらぺら半笑いで言った潔をぐいっと引き寄せる。黙れと言ってもどうせ黙らないから、抱きしめて力づくで胸に閉じ込めた。ぴたりと潔は動きを止める。
他一边轻松地笑着说,一边用力把洁拉近。即使让他闭嘴,反正他也不会听,所以干脆用力抱紧,把他困在怀里。洁立刻停止了动作。

「………ふらついてんじゃねえよカス」 “……别在这儿晃悠了,废物。”
「へ……え、いいいやあの、飲んだけど、べ、別にふらついては」
“诶……啊,不,那个,我喝了,但,并,并没有摇晃……”

 初めて抱き締めた潔の頭は小さく、やっぱり肩もずっと細身で熱かった。こんなんじゃすぐ誰かに連れてかれるんじゃないか。そうしたらここよりも居心地が良いことに気づいて、潔は俺の所なんて二度と戻ってこないだろう。
初次拥抱时,洁的头很小,肩膀也一直很纤细,而且很热。这样下去,他会不会很快就被别人带走呢?如果他发现别的地方比这里更舒适,洁可能就再也不会回到我这里来了。

「おまえんち、ここだろうが」 “你家就在这儿吧。”
「う、ん。あの、り、りん……? どうした? 何かあったとか?」
“呃,嗯。那个,梨,梨音……?怎么了?发生什么事了吗?”

  俺が動かずにいると、躊躇ったような声で背中をぱすぱすと叩かれた。なんだそのしょぼい叩き方、ガキじゃあるまいし。そう思い顔を上げてみると、潔と目が合う。
我一动不动地站在那里,背后传来了犹豫不决的声音,轻轻地拍打着我的背。那种软绵绵的拍打方式,又不是小孩子。我这么想着,抬起头来,与洁的目光相遇。

 少しだけ赤い顔をして、じっと必死になって俺の顔を見て、それからふわっと笑った。初めて見る顔だった。
她的脸颊微微泛红,紧紧地盯着我的脸,然后轻轻地笑了。这是我第一次见到她的笑容。

「──…え、やっと?」 “——…哎,终于?”
 何がやっとだよこのタコ。ふざけんな。うるさいので手っ取り早く黙らせたくて、その唇を塞いでやった。潔はようやく静かになった。
这家伙真是烦人。别开玩笑了。因为太吵了,想快点让他闭嘴,就堵住了他的嘴。洁终于安静下来了。

 その日、俺はずっと殺してやりたいと思っている奴を抱いた。
那天,我一直抱着那个我想杀掉的家伙。

评论

  • みなほ
    2月22日回信
  • natsuki

    最高のrnisでした💓

    1月10日回信
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  • はなと雪
    2023年12月31日回信
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